ル・モンド紙(仏)が14・15日付の記事でNHKの報道姿勢を批判しました。
外務省HPの「報道・広報」のコーナーに、毎週1回海外各紙記事の要約版を載せる「海外主要メディアの日本関連報道 」欄がありますが、19日掲載の「同 7月13日~7月19日」版※には、「原発とアジサイ」と題したフランスのル・モンド紙の記事が載りました。
そこでは、「毎週金曜日夕方,官邸前で行われる原発反対の抗議デモの参加者は回を重ねる毎に増えているが、日本の主要新聞の扱いは非常に小さく、NHKはこれを完全に無視している」と、NHKが主要新聞よりもさらに退嬰的な姿勢であることが批判されていました。
NHKは、これまで海外については数百人規模のデモでも映像入りで報道する一方で、国内で行われている毎週金曜日の官邸前の原発再稼働反対・抗議行動については、一貫して無視してきました。それが外人記者にとっては奇異に映り、政府寄りの態度を不審に思ったのでしょう。公共の報道機関であるNHKが、政府にとって都合の悪いことは報じないなどの、政府寄りの姿勢を示すことは許されません。
そうした批判に加えて、今や官邸前の抗議行動は全国民の注視するところとなりましたので、20日(金)夜のNHKのNC9では、初めて数分を掛けてその抗議行動を報じていました。
以下にル・モンド紙の記事(要約版)を紹介します。
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原発とアジサイ
ル・モンド紙(仏)2012年7月14・15日付
日本ではデモの習慣は失われていたが,1ヶ月前から毎週金曜日の夕方,総理官邸の前で原発反対の抗議デモが行われている。デモの参加者は回を重ねる毎に増えている。しかし,国内の主要新聞の扱いは非常に小さく,NHKはこれを完全に無視している。参加者数は,主催者側の発表では10万人から15万人だが,警視庁はこの十分の一の数としている。
今日日本で繰り広げられているデモは1960年の日米安保条約調印反対デモや,数十年前から続いている沖縄の米軍基地反対デモ以来最大規模だが,これは「アジサイ革命」につながるだろうか。
反原発運動の組織はばらばらで,参加者は運動家というより個人としてデモに参加している。60年代及び70年代,原発に反対していたのは農業従事者や漁民で,自分たちの生活様式を守るためであった。その後,チェルノブイリ原発事故で主婦が反原発を訴えるようになり,その後環境保護派が反原発の先鋒を担ぐようになった。生活の不安定な人々の数が最近急増した日本では,福島原発事故後,これらの人々が新たに抗議活動に加わるようになった。
生活の不安定な若者は,自分たちをマージナルな存在に追いやっている社会経済システムに対する欲求不満のはけ口として,時間的な余裕もあることから反原発運動に加わる。
(マージナル : 周辺の、境界の ※事務局)