2026年6月8日月曜日

入植者のテロ急増 「かつてない死傷者数」 パレスチナ・西岸地区 ほか

 しんぶん赤旗が、ヨルダン川西岸地区でイスラエル入植者による「日常的なテロ」が急増している問題や、イスラエルによるレバノンへの侵攻や病院などへの空爆を報じました。
 対イラン攻撃を早く終了させたい米国は3日、イスラエル、レバノン両政府が停戦の履行で合意したと共同声明を通じて発表しましたが、両者が細部まで合意したのかは不明です。
 ガザの例を見てもイスラエルが停戦合意を守ることは殆ど期待できません。そもそも戦争を続けないことには自分の安全が保てないネタニヤフの指揮下では、和平が訪れようもありません。下記の4つの記事を紹介します。
 ・入植者のテロ急増 「かつてない死傷者数」 パレスチナ・西岸地区
 ・イスラエル レバノン病院攻撃190件 医療従事者128人殺害
 ・レバノンと停戦履行合意 イスラエルなおも攻撃継続
 ・焦土作戦 責任者の訴追を 政治評論家 リズカラー・ヘルーさん
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入植者のテロ急増 「かつてない死傷者数」 パレスチナ・西岸地区
                        しんぶん赤旗 2026年6月4日
 パレスチナ占領地を担当する国連特別報告者フランチェスカ・アルバネーゼ氏を含む14人の国連の人権専門家は1日、声明を発表し、イスラエル占領下のパレスチナ・ヨルダン川西岸地区で、入植者による「日常的なテロ」が急増していると警鐘を鳴らしました。イスラエル軍が入植活動を黙認し、パレスチナ人を追放する入植者の暴力によって「民族浄化」が進められていると厳しく指摘しています。
 西岸での入植者の暴力が激化し、パレスチナの死傷者数はかつてない水準に達しています。今年5月までに13人が殺害され、約500人が負傷。この数は「昨年1年間の数をすでに上回った」と指摘しました。
 パレスチナ側は西岸の土地を一切放棄していませんが、イスラエル側が治安・行政権限を握る「C地区」にあるヨルダン渓谷と南ヘブロン丘陵で入植地拡大をさらに活発化させていると指摘。
 南ヘブロン丘陵のある村では、2025年7月から始まった違法入植地(アウトポスト)や入植地が村を取り囲み、村の電気や水道の供給が中断され、建物が取り壊され、住民は入植者による暴力を繰り返し受けていると告発しました。
 声明は、イラン戦争を巡る和平やレバノンでの戦争に注目が集まる中で、西岸での入植活動とパレスチナ人の追放が国際社会から「忘れ去られる」事態になっていると指摘。イスラエル政府に対し、即時の入植活動の停止を呼びかけ、パレスチナ人を安全に尊厳を持って帰還させ、土地へのアクセスを保障するよう求めました。


イスラエル レバノン病攻撃190件 医療従事者128人殺害
                        しんぶん赤旗 2026年6月4日
【カイロ=米沢博史」イスラエル軍は日、レバノン南部スールのジャバル・アメル病院を空爆し、レバノン保健によると4人が死亡、127人が負傷しました。
 世界保健機関(WHO)のレバノン駐在代表アブディナシル・アブバカル医師は2日、攻撃により救急部門と集中治療室が大きな被害を受けたと明らかにしました。
 WHOによると、レバノンで過去3ヵ月間に確認された医療機関への攻撃は約190件に上り、医療従事者128人が死亡、332人が負傷しました前日には、「国境なき医師団」(MSF)が支援する近隣のヒラム病院も空爆を受け、医療従事者13人が負傷しました。スールでは3病院のうち2病院が被害を受け、残る病院に負傷者が集中しています。
 レバノン南部では、患者が病院に到達するまでに48時間を要する場合もあります。六つの病院が産科医療を再開できておらず、アブバカル氏は「妊婦や新生児にとって、ケアの遅れは生死を分ける問題になり得る」と警告しました。
 ジャバル・アメル病院では2日、攻撃を非難する抗議集会が開かれました。国会議員や市長、医療関係者らが参加し、ワエル・マルワ理事長は「医療機関への攻撃は人法と国際法に対する重大な違反」と非難しました。その上で、病院は今後も医療活動を継続し、人道的・医療的使命を果たすと表明しました。
 MSFも同日、抗議声明を発表し、がれきの中で遺体の回収作業が続いているとして、死傷者数がさらに増加する可能性を指摘しました。
 レバノン保健は2日、イスラエルが同国に大規模な攻撃・侵攻を開始した3月2日以降、3468人が死亡し、約1万577人が負傷したと発表しました。


レバノンと停戦履行合意 イスラエルなおも攻撃継続
                        しんぶん赤旗 2026年6月5日
 米国務省は3日、イスラエル、レバノン両政府が停戦の履行で合意したと共同声明を通じて発表しました。履行の条件として、イスラム教シーア派組織ヒズボラによる攻撃の全面停止、レバノン南部のリタニ川以南からの全戦闘員引き上げを求めています。
 レバノン南部に侵攻したイスラエルは3月初めに、国境から30キロのリタニ川以南の地域に住む住民に避難を命じ、集落や建物の広範な破壊を続けてきました。5月27日には、さらに北方のザハラニ川以南の住民に避難を強制し、レバノン領奥深くへの侵攻を進めています。
 米、イスラエル、レバノンの高官は2、3両日、ワシントンで会合を開催。共同声明では、米国の指導の下で、レバノン国軍が支配し、他の武装勢力を排除した「試験区域」を設置すること、イスラエルとレバノンが互いに敵意を持たず、直接交渉で懸案を解決することなどをうたいました。
 声明の中で、イスラエルは、自国の安全保障およびレバノンの領土保全の尊重は、ヒズボラの完全な解体を通じてのみ達成できると表明。事実上レバノン領内でのヒズボラ攻撃継続を宣言しています。
 報道によると、3日もイスラエル軍がレバノン南部を攻撃し、少なくとも9人が死亡。ベイルート南部では、イスラエルの無人橋が自動車を攻撃しました。ヒズボラもイスラエルに向けてロケット弾を発射しています。
 イスラエル軍のザミール参謀総長は3日、「わが軍に停戦はない」と述べ、「イスラエル市民への脅威の除去」に最大限取り組むと宣言しました。


焦土作戦 責任者の訴追を 政治評論家 リズカラー・ヘルーさん
                        しんぶん赤旗 2026年6月6日
【カイロ=米沢博史】レバノンの首都ベイルートに住む政治評論家リズカラー・ヘルー氏に1日、イスラエルの攻撃で00万人以上もの国内避難民を生んでいる問題について聞きました。
     
 レバノンのサラーム首相は5月30日、イスラエルの攻撃による大規模な「集団的強制移住」を強く非難しました。
 集団的強制移住とは、武力紛争や広範な暴力、人権侵害など外部要因によって、住民が意思に反して集団で住居を追われることを指します。国内避難民の急増はイスラエルによる度重なる人権侵害の結果です。
 避難民は国際法の下で特別な保護を受けるべき存在ですが、脆弱(ぜいじやく)な立場に置かれています。
 集団的強制移住の典型例はパレスチナです20世紀前半、英国による委任統治時代には、ユダヤ人の国家建設が認められる一方で、パレスチナ人の権利が制限され、土地収用や民兵組織を助長する環境が形成されました。
 1948年のイスラエル建国時には、村の焼き討ちや破壊、虐殺によって多くのパレスチナ人が故郷を追われ、エジプトやヨルダン、レバノン、シリアヘ避難しました。その結果、イスラエルはさらに広い土地を掌握していきました。
 イスラエルはレバノンでも同様のやり方で、都市や村、あらゆる住民の生存基盤を完全に破壊する焦土作戦を実施し、集団的に住民を追放しているのです。

 強制移住は周辺地域に影響を与えるため、国際的な政策課題としては、注目されていますが、住民の苦境に対する関心がまだ低いと思います。なにより強制移住の責任者を特定し、訴追する取り組みが必要です。これはレバノンだけの問題ではありません。世界の避難民の大半はグローバルサウスの人々です