米軍は13日、核爆弾以外では最大の威力を持つ大規模爆風爆弾(MOAB)をアフガニスタンに投下しました。ISに打撃を与えるためといわれていますが真意は不明です。
MOABには高性能火薬8・5tが詰められていて、後楽園球場ほどの面積が一瞬のうちに火の海になり、強烈な爆風で人間や軽装備などは吹き飛ばされるということです。
16日、ワシントンのホワイトハウス前で市民らが抗議しました。
参加したアフガニスタンの留学生は「私たちの家族は戦争で疲弊している。はやく横柄な戦争を止めてほしい」と訴え、アフガンからの難民の一人は「今回爆撃された地区には多くの市民も暮らしており、絶対に許せない」と訴えました。
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米軍の最強爆弾投下に抗議 米首都 市民ら「アフガン撤退を」
しんぶん赤旗 2017年4月18日
【ワシントン=池田晋】トランプ米政権が13日にアフガニスタン東部の過激組織ISに対して、通常兵器では最強の破壊力を持つ大規模爆風爆弾を投下したことに対し、米国の首都ワシントンのホワイトハウス前で16日、市民らが抗議しました。
参加者は、今回の爆撃が米国史上最長の戦争となっている「対テロ戦争」をさらに悪化させるとして、「米軍はアフガニスタンから撤退を」と連呼。紛争を平和的に解決するよう訴えました。
主催者の女性は抗議行動について、米国内で暮らすアフガン移民と連帯するものだと強調。参加したアフガン留学生が「私たちの家族は戦争で疲弊している。皆さんには米国の横柄な戦争による侵略を止めてくれるようお願いしたい。私たちにはこの戦争を止められる」と声明を読み上げました。
パキスタンとの国境付近で育ったアフガン難民のファティマ・イマンさんは、今回爆撃された地区には多くの市民も暮らしており、「絶対に許せない」と強調。米国で政権が代わっても戦争が続く実態に怒ります。北朝鮮でもトランプ政権が軍事行動を示唆していることについて、「今や彼らが核戦争を日常のものにしようとしているのではと、とても心配している」と語りました。
米軍がアフガンに投下した「MOAB」とはどんな爆弾?
投下の理由は?
THE AGE 2017.04.18
米軍は13日、核兵器以外の通常兵器としては最強の破壊力を持つといわれる大規模爆風爆弾(MOAB)をアフガニスタンに投下しました。MOABとはどのような爆弾で、なぜ米軍はこのタイミングでアフガニスタンに投下したのでしょうか。
MOAB(モアブ)は約10トンという極めて大量の爆薬を搭載した超大型爆弾です。MOABはMassive Ordnance Air Blast(大規模爆風爆弾)の略ですが、通称として「すべての爆弾の母(Mother Of All Bombs)」とも呼ばれることもあります。イラク戦争の前後に開発されたといわれますが、実戦で投下されるのは今回が初めてです。
通常の爆弾は地上にある建物などを破壊するために使用されることがほとんどです。したがって通常の爆弾は、目標に着弾すると同時に信管(爆弾を作動させるための装置)が動作し、目標物を破壊することになります。
しかしMOABは地上に着弾するより少し前(地上数メートルの高さともいわれる)に爆発するように設計されています。その理由は高い位置で爆発させることにより、周囲に強力な爆風を到達させるためです。つまりMOABは特定の目標物を破壊するというよりも、周囲にある人や小さな施設、装備などを爆風で一気に吹き飛ばすことを目的としたものであり、通常の爆弾とは用途が異なっているわけです。
爆弾は大きくなりすぎると火薬の燃焼効率が下がり、100%の力を発揮できません。またサイズが大きいと現場での取り回しも困難になるため、一定以上の大きさは敬遠されます。
MOABは全長が9メートル、直径が1メートルと外形寸法が極めて大きく、通常の爆撃機に搭載することができません。MOABを投下するためには、大型輸送機に積み込み、後部の貨物扉からパラシュートを付けた状態で放出するという方法が用いられますが、これも広範囲に強力な爆風を発生させたいという特殊な目的があるからです。
今回、米軍はMOABの投下によってIS(イスラム国)戦闘員36人を殺害し、3つの地下トンネル、武器・弾薬を破壊したと報道されています。周囲にある人員や弾薬、施設などをまとめて破壊もしくは殺傷するわけですから、まさにMOABの目的に沿った使用法といえます。
こうしたMOABの特徴を考えると、北朝鮮に対する空爆に使用される可能性は極めて低いとされており、トランプ大統領も直接的な言及は避けました。しかし、このタイミングでわざわざMOABを投下したのは、政治的に見れば、やはり北朝鮮へのプレッシャーと考えるべきでしょう。(The Capital Tribune Japan)