2024年12月4日水曜日

斎藤元彦知事は“無双”から絶体絶命に…刑事告発した上脇教授と郷原弁護士に聞いた

 兵庫県知事選は、立花孝志氏の乱入によってこれまでに見られない様相を呈しました。「民意は重視しなければ」は鉄則ですが、誤情報を規制する手段をもたないSNS界ではそれに接する人たちに相応の「リテラシー(正誤についての判断力)」が求められるのも当然のことです。
 あの結果は果たして当然とされるべきそうした常識に則ったものだったのでしょうか。
 立花氏のそもそものストーリーは「故県民局長は10年間に10人以上の女性と不倫乃至不同意性交を重ねていた」ので、それが公開されるのを苦にして自殺したというもので、その反動が斎藤知事に及んだだけで斎藤氏は完全なデッチアゲの被害者というものでしたが、その後10人ではなく7人だったか6人に減り最後は1人になったものの、その根拠も明らかでないということです。 ⇒https://youtu.be/8kJbfK9B8Ig (哲学系ゆーちゅーばー)
 要するに立花氏の主張には何の根拠もなかったことを事後に本人が認めている訳で、そうしたものを政見放送として吹聴するのは非常識であり、故県民局長を冒涜し選挙民侮辱する犯罪というべきです。
 ところで斎藤氏は副知事のなり手がなくて困っているようです。「県議会から陥れ」られた「正義の人」の味方になる人が県庁内にはいないというのをどう解釈すればいいのでしょうか。それは勿論 故県民局長とは対照的に「人望がない」からで、彼がそういう人物であることが少なくとも県庁内では知れ渡っているからです。

 知事選挙戦をPR会社と一体となって行った=公職選挙法違反の疑いで、上脇教授と郷原弁護士が2日、斎藤氏本人と「陣営から広報戦略を任された」とするPR会社社長に対する告発状を兵庫県警と神戸地検に送付しました。この件では県警は動きにくいので地検にも送付したものです。
 日刊ゲンダイの掲題の記事と、併せて「兵庫県知事選 問われる『違法性』と『適法性』弁護士 三輪記子」を紹介します。

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斎藤元彦知事は“無双”から絶体絶命に…公選法違反疑惑で刑事告発した上脇教授と郷原弁護士に聞いた
                          日刊ゲンダイ 2024/12/03
 兵庫県政を巡る混乱は収束の兆しが見えない。
 県議会では、再選した斎藤知事によるパワハラなどの疑いについて調査する百条委員会が開かれているが、議員らは元気がない。調査は継続中だが、不信任を突きつけ失職に追い込んだ斎藤知事のまさかの復活に意気消沈。ある県議が言う。
「全会一致で『NO』を突きつけた斎藤知事が、知事選で有権者から『YES』と評価され信を得たわけです。今度は我々の方に“不信任”が突きつけられている格好。一部の支援者から『辞職すべき』と迫られています。中には『自主解散すべき』と言う県議もいるほどです」
 民意を受けて再選した斎藤知事は“無双”状態だが、ここへきて新たな展開だ。炎上中の公職選挙法違反疑惑について、神戸学院大学の上脇博之教授と元東京地検検事の郷原信郎弁護士が2日、斎藤本人と「陣営から広報戦略を任された」とするPR会社社長に対する告発状を兵庫県警と神戸地検に送付したと明かしたのだ。
 公選法は、選挙戦略を主体的に企画した者に報酬を支払うことを禁じており、違反すれば同法違反の買収に問われる恐れがある。上脇教授と郷原弁護士は、県内のPR会社「merchu」の折田楓社長が、知事選に関するSNSの広報戦略の立案などの業務を斎藤側から受注したと指摘。斎藤知事が報酬として71万5000円を支払ったとして、それぞれを買収罪と被買収罪容疑で告発している。
 折田氏が投稿サイト「note」に、広報戦略を担うに至った経緯を詳述したことから疑惑が浮上し、目下、大炎上中である。斎藤側は71万5000円の支払いは「ポスター・デザイン制作」といった選挙運動とは無関係な5項目への対価だったと説明。SNS上の広報戦略を担った折田氏については「ボランティアで個人参加した」とし、公選法違反を否定しているが、疑惑は拭いきれていない。

きわめて怪しい「note」の修正
 2日、斎藤知事は告発について問われ「詳細は承知していない」と逃げたが、胸中、穏やかではないのではないか。上脇教授と郷原弁護士に相当痛いところを突かれているからだ。
 上脇教授が言う。
「折田氏はnoteが炎上して以降、中身を修正。選挙に主体的に関わったことを示す文言を変えたり、削除したりしています。問題を隠す意図があった疑いは濃厚です。また、斎藤氏側は71万5000円の支払いについて『選挙運動とは無関係な5つの項目への対価』としていますが、これらは折田氏がボランティアとして担ったSNSの広報戦略と切り分けることは不可能でしょう。支払いは『買収』だったと見るのが自然です」
 斎藤知事が起訴される展開はあり得るのか。郷原弁護士はこう言う。
「県の組織のトップである知事を捜査対象にするのは、警察としては非常にやりにくいでしょう。そのため、今回は神戸地検にも積極的に関わってもらいたいという思いがあり、両者を並べる形で告発状を提出しました。最終的には検察の判断になるでしょうが、noteの内容や斎藤陣営関係者のSNSを精査したところ、買収罪は成立すると考えられます」
 司直の手が伸びれば、また失職か。斎藤知事は絶体絶命だ。
  ◇  ◇  ◇
 元明石市長でコメンテーターの泉房穂氏は兵庫県知事選の投開票日である先月17日夜に出演したフジテレビ「Mr.サンデー」で、斎藤氏との中継時に再選を祝う言葉と同時に謝罪するも、その後テレビ露出が激減。ファンの間からは《テレビから消えた?》の声が。果たして真相は? ●関連記事【もっと読む】『泉房穂氏は斎藤元彦知事に謝罪後「テレビから消えた」騒動が…"物言う"コメンテーターの現在地』で詳報している。


それ、当たり前のことですか? 弁護士 三輪記子
兵庫県知事選 問われる「違法性」と「適法性」 
                         日刊ゲンダイ 2024/12/02
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 2024年、このコラムを書くようになって公職選挙法について触れることが多い気がする。7月は「事前運動」について触れ、それだけで起訴され有罪になる事案は見当たらないと指摘した。選挙人買収(公選法221条1項1号)と一緒に起訴されている事案が多い。

 さて、今回の兵庫県知事選ではインターネットを使った選挙運動において選挙人買収の疑惑が生じている。総務省のホームページでは〈インターネットを利用した選挙運動を行った者に、その選挙運動の対価として報酬を支払った場合には買収罪の適用があります〉〈一般論としては、業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行う場合には、当該業者は選挙運動の主体であると解されることから、当該業者への報酬の支払いは買収となるおそれが高いと考えられます〉とある。

 この点、知事はPR会社社長の行為は「ボランティアだった」と主張している。つまり無償行為であり、選挙運動の対価を支払ったわけではないという。ここで問題なのは当事者の弁解というよりも、その実態、内実。
 PR会社社長がボランティアで選挙運動に従事していたら即セーフかというとそうとも限らない。従業員をも動員して選挙運動に従事していたとしたら、社長に買収罪が適用される可能性もある。買収罪は立候補者のみに成立する犯罪ではない。
 仮に、PR会社社長に買収罪が適用されたとして、「組織的選挙運動管理者等」に当たることが連座裁判等により確定した場合には、公職の候補者本人に連座制が適用され、当選無効や立候補制限が課せられることとなる(公職選挙法第251条の2及び第251条の3)。つまり、この理路の場合、今回の選挙について当選無効となる可能性もある。

 もちろん、指摘しているのはあくまでも「可能性」であって証拠状況によっては公職選挙法上の違法性から免れることもあるだろう。
 しかし、このような疑惑にまともに答えず、事実関係さえ弁護士に回答させようとする(しかもその弁護士は事実関係を正確に押さえていないようだった。いやむしろ正確な事実を提供してもらっていないようだった)知事は、果たして政治家としての適格性があるのだろうか説明責任から逃げ続ける者は公職に値しないと私は考える。あらためて強く言っておきたい。そのような政治家を戴くことを「当たり前」にしてはならない。

三輪記子 弁護士
1976年、京都市生まれ。東大法学部卒、立命館大法科大学院修了。2010年に弁護士登録。コメンテーターとしてテレビなどのメディア出演のほか、「弁護士三輪記子のYouTubeチャンネル」などネットでも発信。

終わりゆくEUやユーロ(田中宇氏)

「田中宇の国際ニュース解説」に掲題の記事が載りました。
「変わりゆく・・・」ではなく「終わりゆく・・・」である点が事態の深刻さを表しています。
 EUの経済的牽引車であったドイツは、米国主導の対露制裁に拠ってロシアからの天然ガスを停止された結果 先行きが真っ暗になりました。
 櫻井ジャーナルによればロシアからの天然ガス供給ラインは対露制裁が課されると
ベラルーシとポーランドを経由してドイツへつながるヤマル-ヨーロッパ・パイプライ
ウクライナを経由するソユーズ・パイプライン
がまず寸断されました。次に2022年9月26日27日に、
バルト海を通るパイプライン、「ノード・ストリーム1」
・同じく「ノード・ストリーム2」
米国によって海底配管を爆破されました。

 ロシア産天然ガスをEUへ供給するルート破壊されたことで欧州は苦境に陥りましたが、特に化学製品の原料として用いていたドイツの被害は決定的で、GDPの6・5%を失いました(来年のGDPは「ー2・2%」の見込み)
 事実上政権崩壊したドイツで、支持と議席を増やしている右派政党のAfD(ドイツのための選択肢)が11月末EUやユーロ、温暖化対策パリ協定から離脱し、対露制裁をやめてロシアから石油ガス資源類などの輸入を再開することなどを掲げた新公約を発表しまし
 EUやユーロの中心であるドイツが離脱すると、EUもユーロも崩壊してしまうということです。
 今度のウクライナ戦争で明らかにされたのはNATOは米国の完全な「従属体」であり、米国はEUの経済がどうなろうと一向に構わないし、バイデンはむしろさらに没落することを望んでいるかのようです。

 欧州の政権はこれまで(超)エリート層で占められていて 庶民がどんなに苦しもうともそれには無頓着で、疑似理想主義的対応をとってきましたが、近年その綻びが各所で顕れてきました。ドイツのAfDやBSW(ザーラワーゲンクネヒト同盟)は、エリート側の大間違いに気づいた有権者に支持され、議席を増やしていると見られます。
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終わりゆくEUやユーロ田中 宇
                田中宇の国際ニュース解説 2024年12月2日
政権崩壊したドイツ政界で、支持と議席を増やしている右派政党(マスコミ権威筋リベラル派から見ると「極右」)のAfD(ドイツのための選択肢)11月末、ドイツがEUやユーロ、温暖化対策パリ協定から離脱し、対露制裁をやめてロシアから石油ガス資源類などの輸入を再開することなどを掲げた新公約を発表した
1月の党大会で正式決定し、来年2月の連邦議会選挙の公約にする。AfDは、これまでの公約でもEUを批判していたが、離脱を掲げたのは初めてだ。欧州最大の経済大国で、EUやユーロの中心であるドイツが離脱すると、EUもユーロも崩壊してしまう。on{}Germany's far-right AfD to campaign to leave EU, euro and Paris deal)(Germany's far-right AfD vows to part ways with EU, Paris deal, euro

AfDは、ドイツが通貨としてユーロを使い続けることは、ドイツが(借金体質の南欧諸国を含む)EUを救済し続ける不合理なことなので、ユーロを離脱して新たな自国通貨(新マルク?)を作り、EUに替わる国家間共同体を作ると言っている
温暖化問題については、温暖化人為説が政治圧力によって無誤謬な科学的合意だという話にされている(人為説は実のところ間違っている)ので、温暖化対策のパリ協定からドイツを離脱させると言っている。人為説が政治詐欺であるという話は、私から見ると全く正しい。欧米の自滅と多極化を招く温暖化対策

米欧日のマスコミ権威筋リベラル派(米エリート側)から見ると、AfDは間違った考えを掲げる危険な極右であり、AfDの選挙公約も大間違いな危険思想だということになる。ドイツのエリート側の諸政党(SPDやCDUなど)は、AfDを非合法化しようとしているThe End Of Democracy? Vote To Ban AfD Party Will Occur Before German Snap Elections

だが私から見ると、ウクライナ戦争(ロシア敵視)、中国敵視(貿易停止)、地球温暖化、移民問題、財政、以前の新型コロナ対策、覚醒運動(ジェンダーなどの歪曲・逆差別)など、いくつもの分野で大間違いで危険な策を強行し、反対する人々を潰す全体主義を強めてきたのはエリート側だ。
ドイツのAfDやBSW(ザーラワーゲンクネヒト同盟)は、エリート側の大間違いに気づいた有権者に支持され、議席を増やしている。
エリート側がAfDを非合法化しようとするほど、有権者の間でAfDの人気が高まる。AfDは、人々の不満を汲み取って政策化しており、民主主義的だ。大間違いな策を強行するエリート側は、AfDなど反対派を弾圧する全体主義に走ることで、権力にしがみつこうとしている。 リベラル全体主義・リベ全の強まり

AfDの方が正しく、エリート側は間違っており「悪」だ。EUはフォンデアライエンなど、全体主義化したリベラル派が上層部を支配し、露敵視や温暖化対策や移民問題、覚醒運動などで大間違いで自滅的な策をやり続けている。AfDとその支持者たちが、ドイツのEU離脱を望むのは当然だ。
ユーロは、AfDが政権を取る前に金融崩壊を引き起こすかもしれない。ユーロが健全な状態なら離脱は困難だが、崩壊するならむしろ離脱して当然だ。
ウクライナ戦争が米欧側の敗北で終わりそうな中で、ロシア敵視も不合理な策になっている。米欧側の敗色をわざと無視して報じず、米国側の人々を無知な状態にしたマスコミは極悪だ。
少し前まで「過激な策」に見えていたEUとユーロからの離脱、パリ協定離脱、対露和解などAfDの策は今後、まっとうな政策に見えるようになっていく欧州エリート支配の崩壊

ドイツの社会活動機関Bertelsmann StiftungがEU27か国の市民に聞いたところ、欧州は対米従属を離脱して自立的に安保政策を決めるべきだと思っている人が、2017年の25%から今年の63%に増加している。欧州の従来の支配層(リベラル派エリート)は対米従属でやってきたが、それは民意の多数派でなくなくっている
(この世論調査で言うところの対米自立は「NATO内で欧州が米国と対等になり、欧州が米国から自立した安保政策を採れるようになること」を意味しているようだが、NATOにいる限り加盟諸国は徹底的な対米従属を強いられ、米国と対等などあり得ない。マスコミ権威筋によくあることだが、この設問は非現実的だ。欧州が対米自立するなら、NATOから出ていくしかないEuropeans prefer greater independence from the US)(Most EU citizens back breaking from US - poll

AfDだけでなく、フランスのルペン、ハンガリーのオルバン、スロバキアのフィツォなど、欧州各地で右派政党が支持を拡大している。最近は、ルーマニアの大統領選挙で右派のジョルジェスクが勝ちつつある(ロシアの選挙介入があったとか、米英傀儡のエリート層がイチャモンつけてるが)。
リベラル派のエリートは、権力にしがみつくために全体主義化し、不人気が増して駆逐されていく。フランスでは、マクロン傘下の連立政権に入った左翼政党がマクロンとの喧嘩を激化し、政府予算が成立せず政権崩壊していく流れにある。ドイツもフランスもエリートの政権が崩壊し、右派が強くなる。この傾向は今後も続くRight-Wing NATO Critic Wins First Round Of Romanian Election)(French Govt Collapse Imminent As Le Pen Piles On Pressure Over Budget Vote

AfDの強気は、米国選挙のトランプ勝利も追い風になっている。社会の自滅や不合理な負担増になっているリベラルな移民受け入れ積極策をやめるとか、インチキな人為説に基づく不合理な温暖化対策をやめるなどの点で、トランプとAfD(や多の欧州諸国の右派)の政策は似ている
トランプは人為説のインチキさに踏み込まずに石油ガス開発の再開を掲げているが、ドイツ人はくそまじめなので、AfDは人為説のインチキさからしっかり指摘している。良い。歪曲が軽信され続ける地球温暖化人為説

トランプは、就任日にウクライナを停戦すると公約した。プーチンは、非米側の結束強化を維持するため、米国側から敵視され続けることをこっそり望んでいる。停戦したら、米国側と非米側の対立が解け、非米側の中で米欧との付き合いを再開したがる国が出てきて、非米側の結束が弱まる懸念がある。
だがプーチンはサイン、トランプのウクライナ和平案を受けることにしたと言われている(ウクライナのNATO加盟を延期でなく永久否定にしろと条件を付けたとか)。'Contours Of A Trump Peace Deal': Kremlin Insiders Discuss Putin's Initial Reaction

これと連動する話として、ロシア軍は、ロシア領のクルスクを占領しているウクライナ軍を追い詰め始め、クルスクの土地の4割を奪還した。
ロシア政府は、ウクライナがクルスクを占領している限り停戦や和平交渉に応じないと言っていた。そして同時に、ロシア軍が本気を出せばクルスクはすぐ奪還できるのに、それをしてこなかった。ロシアはわざとウクライナにクルスクを占領させ、和平交渉を不可能にしてきた。
そのロシアが最近、クルスクからウクライナ軍を追い出していく過程を続けている。1月下旬のトランプ就任のころに、ちょうど露軍がクルスクからウクライナ軍を追い出し、プーチンが和平交渉に応じるかもしれないUkraine has lost over 40% of territory previously gained in Kursk incursion, Reuters reportsウクライナ戦争で米・非米分裂を長引かせる

だがウクライナ停戦してしまうと、非米側の結束が弱まり、プーチンの思惑から外れるのでないか??。それを考える際に、新たな動きとして、ドイツなど欧州各国で右派がリベラルエリートを蹴散らしていく過程が本格化していくことを加味すると。結論が違ってくる。
欧州が崩壊して政治経済の強さを失っていくと、非米側は、たとえウクライナが停戦して露中と欧州との関係が改善しても、もう欧州が魅力的な取引相手でないので、非米側の結束が崩れなくなる。
米国はトランプで、ドルの利用を忌避して米覇権を崩そうとする非米側に懲罰的な高関税をかけて制裁してやると息巻いている。ウクライナがどうなろうが、トランプと非米側(とくに中国)との関係は好転しない。How Trump’s dump on de-dollarization affects BRICS

トランプは、ウクライナとロシアを仲裁して停戦するかもしれないが、同時に、欧州ではドイツもフランスも政権崩壊が進んでおり、欧州が米国と並ぶ世界の中心である状態から急速に遠ざかっている
ウクライナが停戦しても、米欧は世界の中心に戻らない。トランプが非米諸国を経済制裁するほど、非米側は「米国要らず」の世界体制を構築していく。その全体状況を見て、プーチンはトランプのウクライナ和平策に乗ることにしたのでないか。

トランプは、ウクライナを停戦して停戦ラインをNATOの欧州諸国の軍勢が守る案を出している。だが、独仏が政権崩壊しているので、欧州諸国はウクライナに軍を出せる状況にない
欧州のエリートは、ロシアを潰すまでウクライナを支援すると言ってきたが、その非現実な姿勢が国民の支持を失い、下野しつつある。エリートに替わって多数派になっていく右派政党は、対露和解して石油ガスの輸入を再開し、ゼレンスキーへの支援をやめる現実策を採っている。ウクライナは停戦しても不安定な状態が続く。Trump’s national security advisor pick reveals Ukraine peace vision


ヨーロッパ経済を破綻させた天然ガスのパイプライン爆破とノルウェーの役割
                         櫻井ジャーナル 2024.12.03
 ドイツをはじめとしてヨーロッパ経済は破綻、社会は崩壊しつつある。最大理由はロシア産の安い天然ガスを入手できなくなったからだ。それはなぜなのか?
 アメリカのバラク・オバマ政権はネオ・ナチを使ったクーデターでウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したのは2013年11月から14年2月にかけてのことだった。

 目的のひとつは、ウクライナをNATOの支配下に置くことでロシアに対する軍事的な圧力を強め、弱体化させることにあったが、天然ガスで結びついていたロシアとEUを分断するためにパイプラインをアメリカの管理下に置くという目的もあった。

 まずベラルーシとポーランドを経由してドイツへつながるヤマル-ヨーロッパ・パイプライン、ウクライナを経由するソユーズ・パイプラインがまず寸断されたが、ウクライナを迂回するため、バルト海を通るパイプライン、「ノード・ストリーム1」と「ノード・ストリーム2」が2022年9月26日から27日の間に爆破されている。その直後、ポーランドで国防大臣や外務大臣を務めたラデク・シコルスキーは「ありがとう、アメリカ」と書き込んだ。こうしてロシア産天然ガスをEUへ供給するルートは破壊され、ヨーロッパは苦境に陥った
 ちなみにビクトリア・ヌランド国務次官は2022年1月27日、ロシアがウクライナを侵略したらノード・ストリーム2は前進しないと発言、同年2月7日にはジョー・バイデン大統領がノード・ストリーム2を終わらせると主張、記者に実行を約束している。

 事故の可能性は小さく、ロシアには破壊する理由がない。​調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは2023年2月8日、アメリカ海軍のダイバーがノルウェーの手を借りてノードストリームを爆破したとする記事を発表した​。工作の拠点はノルウェーだという。
 ハーシュによると、ジョー・バイデン米大統領は2021年後半にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成し、その中には統合参謀本部、CIA、国務省、そして財務省の代表が参加している。12月にはどのような工作を実行するか話し合い、2022年初頭にはCIAがサリバンのチームに対し、パイプライン爆破を具申している。
 ノルウェーの海軍はアメリカと連携、デンマークのボーンホルム島から数キロメートル離れたバルト海の浅瀬で3本のパイプラインにプラスチック爆弾C4を設置、2022年9月26日にノルウェー海軍のP8偵察機が一ソナーブイを投下、信号はノード・ストリーム1とノード・ストリーム2に伝わり、数時間後に爆発した。

 スカンジナビアでは国のあり方を変える出来事が引き起こされたことがある。例えば、スウェーデンでは1986年2月28日、アメリカとは一線を画していたオロフ・パルメ首相が妻と映画を見終わって家に向かう途中に銃撃され、死亡している。
 パルメが首相に返り咲いたのは1982年10月8日のこと。その直前、10月1日からスウェーデンでは国籍不明の潜水艦が侵入したとして大騒動になるが、潜水艦は捕獲されず、根拠が曖昧なままソ連の潜水艦という印象だけが広められた。ノルウェーの研究者、オラ・ツナンデルによると、西側の潜水艦だった可能性が高い
 1980年までソ連を脅威と考える人は国民の5~10%に過ぎなかったスウェーデンだが、この出来事の結果、83年には40%へ跳ね上がり、軍事予算の増額に賛成する国民も増える。1970年代には15~20%が増額に賛成していただけだったが、事件後には約50%へ上昇している。(Ola Tunander, “The Secret War Against Sweden”, 2004)

 ノルウェーでは2011年7月22日に77名が殺害される事件が引き起こされている。犯人としてアンネシュ・ブレイビクが逮捕、起訴されているのだが、単独犯という公式見解に疑問を持ち、米英の情報機関が組織した「NATOの秘密部隊」が背後で蠢いているのではないかという推測もある。
 この事件では、まずオスロの政府ビル前に駐車していた自動車が爆発して8名が死亡、さらに与党だった労働党の青年部がウトヤ島で行なっていたサマーキャンプが襲撃されて69名が殺されているのだが、複数の目撃者が別の銃撃者がいたと証言している。

 その当時、ノルウェーの首相だったイェンス・ストルテンベルグは2014年10月から今年10月にかけてNATO(北大西洋条約機構)の事務総長を務め、ロシアとの戦争に向かって邁進する。そのストルテンベルグの友人も犠牲者に含まれていた。 

04- ガザについて連中は嘘をつき、シリアについても嘘をついている

 ケイトリン・ジョンストンが掲題の記事を出しました。
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ガザについて連中は嘘をつき、シリアについても嘘をついている
               マスコミに載らない海外記事 2024年12月 3日
 ガザに関する嘘を見抜いたら、そこで止まらないで頂きたい。続けよう。調べ続けよう。学び続けよう。好奇心を持ち続けよう。彼らはガザについて嘘をついた。イラクについて嘘をついた。リビアについて嘘をついた。ウクライナについて嘘をついた。そしてシリアについても嘘をついている。 ケイトリン・ジョンストン 2024年12月1日

 欧米諸国から資金援助を受けてきた歴史を持つアルカイダ系組織が、トルコの支援を受ける戦闘員とともにシリアで活動を再開し、戦争で荒廃した同国で、かなりの領土を奪還しようとしている。
 現時点で何が起きているのか正確に言うのは難しいが、ロシアがウクライナに縛り付けられ、ヒズボラがイスラエルに壊滅させられたことで、これら二つの代理紛争を支援してきた同じ欧米帝国の長年の政権転覆計画に、再びシリアが曝されることになったのは実に好都合なことだと言わざるを得ない。

 シリアはガザより複雑で理解しにくいが、調べてみれば政権転覆を狙って、アメリカや同盟諸国やパートナーがシリアで暴力や混乱や破壊を長年にわたり積極的に煽動してき山のような証拠が見つかる。これを否定する人は無知か不誠実かのどちらかで、この十分に証明された事実を人が言ったことで、ロシア・プロパガンダやアサド支持者だと呼ぶ連中も同様だ。
 ガザに関する帝国の嘘は見抜いているのに、シリアに関する帝国の嘘を信じている人はたくさんいる。それは主に、ガザに関する嘘の方が遙かに見抜きやすいためだ。2011年以来シリアで見られる紛争が、悪人であるがゆえに民間人を殺害したいだけの暴君独裁者に対する完全に自然な反乱だと見せかけるため、膨大な量のプロパガンダと情報工作が行われている。しかし、パレスチナ人の窮状に向けるのと同じ真摯な好奇心と徹底的な調査をこの問題に向ければ、欧米諸国の政治・メディア支配層がガザについて広めてきたのと同じ種類の嘘と歪曲が、シリアについても同様、しばしば同じ連中が広めているとわかる
 帝国の嘘を解き明かせば、人々はそうなる。ベトナム戦争やイラク侵攻やガザ攻撃など、公式説明に非常に明らかな矛盾点があることに目を見開き、それらの嘘を見抜けば、他でどのように騙されているのか興味を持ち始める。他の糸口を探り、どんどん学んで、しばらくすると、地球を支配する狙いを掲げて、世界中の人類に恐ろしい虐待を加えているアメリカを中心とする帝国の全体像が見えてくる。

 ガザに関する嘘を見抜いたら、そこで止まらないで頂きたい。続けよう。調べ続けよう。学び続けよう。好奇心を持ち続けよう。彼らはガザについて嘘をついた。イラクについて嘘をついた。リビアについて嘘をついた。ウクライナについて嘘をついた。シリアについても嘘をついているのだ。あなたの好奇心を鈍らせようとする人の言うことに耳を傾けてはいけない。都合の悪い質問をしたからといって、あなたを怒鳴りつけ、黙らせようとする人は無視して頂きたい。あなたの目が本当に澄み渡るまで、帝国のプロパガンダ・マトリックスから目覚め続けよう。

 最近のテレグラフ紙インタビューで、ウクライナで欧米諸国が「代理戦争を仕掛けている」とボリス・ジョンソンがテレグラフ紙に語ったが、これは明らかに真実である一方、かつて欧米政治メディア関係者の間では、極めてタブーな発言とみなされていた
 「我々は代理戦争を展開しているが、任務を遂行する十分な能力を代理軍に与えていない」とジョンソンは語った。「何年間も、彼らが片手を縛られた状態で戦うのを我々は許してきたが、それは残酷なことだ」
 長年、ウクライナ戦争をロシアに対する欧米の代理戦争と呼ぶのはクレムリン・プロパガンダだと考えられてきた。今では「まあ、これは明らかに代理戦争なのだから、我々は代理軍にもっと武器を与える必要がある、当然だ!」という言い方になっている。

 英雄とは悪者を倒す欧米の兵士や警官のことだと我々は教えられるが、欧米諸国のジャーナリストがプロパガンダをする一方、本当の英雄は欧米諸国政府に支援される大量虐殺残虐行為について真実を伝えるために全てを危険にさらしているパレスチナ人ジャーナリストだ。

 私はオーストラリア政府に子どものソーシャルメディア利用を禁止してもらいたいのではなく、オーストラリア政府には、イスラエルの大量虐殺残虐行為支援をやめ、ワシントンと中国との戦争に備えて、この国を巨大米軍基地に変えるのをやめてもらいたいのだ。

 ホームレスの人々を強制的に移動させることは違法とするべきだ。裕福な地域が野宿するのに最高の場所なら、ホームレスの原因になっている根本的問題が解決されるまで、裕福な人々は自分たちが暮らすディストピアを毎日思い出すことになるはずなのだ。人々を安心させるため、そのようなことを隠すことは許されるべきではない。

 ホームレスを犯罪人扱いし、強制的に移動移住させるために制定された全ての法律は、プロパガンダやインターネット検閲や、パレスチナ人ジャーナリスト殺害と同様、我々が暮らすディストピアが虐待や矛盾を大衆の目から隠すための一つの方法にすぎない。彼らは、戦争や大量虐殺が人々の目に触れずに忘れ去られるのと同様、ホームレスを人々の目に触れずに忘れ去らせたいのだ。
 彼らはただホームレスに「消え去って」ほしいだけだ。なぜなら彼らが支配する権力構造を覆さなければ、ホームレスの原因となる不正や不平等を正すことはできないためだ。彼らは社会における貧困や不正の兆候が全て、彼らの戦争のように、広大な海の向こう側に隠されればよいと願っているのだ。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/12/01/they-lied-about-gaza-and-theyre-lying-about-syria/

2024年12月2日月曜日

イスラエルに武器1000億円分 米政権が売却計画 国内から批判相次ぐ

 バイデンがイスラエルに対し6億8千万ドル(約1020億円)相当の武器売却を計画していることが27日、明らかになりました。折しもイスラエルとレバノンのヒズボラが停戦合意に至った直後であったため、人権擁護団体からは批判の声が相次いでいます。
 ネタニヤフは26日、レバノンとの停戦が武器補充の機会になると指摘し、武器供給の遅れは「すぐに解決されるだろう」と述べていました。これでは虚偽の停戦協定ということになります。現実にイスラエルは停戦の初日からイスラエル流の口実を設けてレバノンへの空爆を続けています。

 またイスラエル軍がガザにおいて、拘束したパレスチナ人を「人間の盾」として作戦に使っていることが明らかになりました。民間人を攻撃に対する盾として使うことは国際法で禁止されているし、民間人か戦闘員かにかかわらず、拘束者に危険な場所の探索を強制することは違法です。

 23日、金沢市でパレスチナに連帯するデモ行進が行われ、金沢市の大学に通う学生や卒業生約100人が、ガザ地区でのジェノサイド(集団殺害)に抗議し、「パレスチナに自由を」などを英語を交えながらコールし市内の繁華街を行進しました。

 しんぶん赤旗の5つの記事を紹介します。
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イスラエルに武器1000億円分 米政権が売却計画 国内から批判相次
                      しんぶん赤旗 2024年11月30日
【ワシントン柴田菜央】バイデン米政権がイスラエルに対し6億8千万ドル(約1020億円)相当の武器売却を計画していることが27日、明らかになりました。英紙フィナンシャル・タイムズが関係筋の話として報じ、米メディアが続きました。イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが停戦合意に至った直後にもかかわらず、イスラエルに軍事支援を続ける米政府に対し、人権擁護団体からは批判の声が相次いでいます。
 計画には、数千の統合直接攻撃弾(JDAM)と数百の小直径爆弾の売却が含まれています。ロイター通信によると、計画は9月に議会の委員会に持ち込まれ、その数カ月にわたって進められてきました。
 イスラエルのネタニヤフ首相は26日レバンとの停戦が武器補充の機会になると指摘し、武器供給の遅れは「すぐに解決されるだろう」と述べていました。米政府の計画は、この発言を事実上裏付けるものです
 アムネスティ・インターナショナル米国は「報道が真実なら、これは胸が張り裂けるような壊滅的なニュースだ」と批判。売却予定の武器は、同団体の調査によればガザの人びと全を壊滅させるために使われてきたものだと強調しました。
 中東理解研究所(IMEU)政策プロジェクトも、計国に含まれる武器は「イスラエルが数々の明白な戦争犯罪に使ってきた」ものだと指摘。「バイデン大統領は任期中最後の日々を、大半の米民の願いや国内法、国際法に反して過ごしている」と非難しました。


イスラエル軍がレバノン空爆 停戦発効後初「ヒズボラ施設攻撃」
                      しんぶん赤旗 2024年11月30日
【カイロ=秋山豊】イスラエル軍は28日、レバノン南部でイスラム教シーア派組織ヒズボラがロケット弾の保管に使用していた施設を空爆したと発表しました。ロイター通信などが伝えました。
 イスラエル軍の空爆は、イスラエルとヒズボラの停戦が27日早朝に発効して以降初めて。レバノン治安筋と地元メディア報道によると、空爆はリタニ川北のベイサリヤ付近で実施されました。
 空爆の発表より先にイスラエルとヒズボラは停戦合意に違反したと互いに非難していました。
 イスラエル軍は、レバノン南部の複数の地域に来た「容疑者」に対し、停戦違反だとして発砲したと述ぺました。
 一方、ヒズボラのハッサン・ファドララ議員は、イスラエルが合意に違反していると指摘。「イスラエルは境の村に戻る人々を攻撃している。イスラエルによる違反行為が今日、この形で行われている」と記者団に述べました。
 レバノン軍もイスラエル軍の複数の停戦違反を非難。イスラエル軍が27、28両日にさまざまな武器を使ってレバノン領内を攻撃したとしています。
 レバノン国営メディアなどによると、イスラエル28日朝、レバノン南部の五つの町などを戦車で砲撃しました。
 停戦合意は、イスラエル軍が60日以内にレバノン南部から撤退し、ヒズボラが国境から約30キロ北を流れるリタニ川以北へ撤退するよう求めています
 停戦を受け、レバノン軍は国レバノン暫定軍(UNIFIL)と協力し、同国南部での部隊配置を増強しています。兵士5千人以上を配備する用意があるとしています。キリスト教徒の多いある村では、住民がコメや花びらをまいてレバノン軍の到着を祝ったと報じられています。
 レバノンのメディアは軍関係者の話として、レバノン軍がリタニ川の南で「パトロールし、検問所を設置している」が、イスラエル.軍が駐留している地域には進軍していないと伝えました。
 レバノン軍は、イスラエル軍がいる地域に近づかないよう住民に警告しています。


レバノン南部また空爆
                      しんぶん赤旗 2024年12月01日
【イスタンブール=時事】イスラエル軍は29日、ロケット発射装置を移動させるなどイスラム教シーア派組織ヒズボラの「テロ活動」が確認されたとして、レバノン南部で空爆を行ったと発表しました。27日にレバノンでの停戦発効後、イスラエルは停戦合意違反を理由にレバノン領内を断続的に空爆。合意の実効性が疑問視されています。
 合意では、イスラエル軍は地上侵攻したレバノン南部から徐々に撤収するとされましたが、軍は29日の声明で「レバノン南部へ展開し、停戦合意の違反行為に積極的に対処する」と強調しました。28日にもヒズポラの武器庫を空爆しており、イスラエルとヒズポラが互いに停戦違反を非難する事態となっています。
 ヒズボラの最高指導者カセム師は、29日に公開された停戦後初めてのビデオ演説で「敵は抵抗を弱めることはできなかった。われわれの偉大な勝利だ」と主張しました。停戦維持のため、国境付近へ展開するレバノン軍に協力する意向を示しました。
 イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザでも空爆を強化。ロイター通信によれば、中部ヌセイラトや北部ベイトラヒヤでは28日から29日にかけて40人が死亡しました。


拘束者を人間の盾に 米紙報道 ガザでイスラエル軍
                      しんぶん赤旗 2024年12月01日
【ワシントン=柴田菜央」パレスチナのガザ地区を軍事侵攻するイスラエル軍が拘束したパレスチナ人を「人間の盾」として作戦に使っていることが明らかになりました。来紙ニューヨーク・タイムズが27日までに報じました。
 イスラエル軍に拘束されていたパレスチナ人3人が同紙に証言しました。イスラム組織ハマスの待ち伏せや爆弾でイスラエル軍兵士に危害が及ぶ可能性があると同軍が判断した場所での
偵察などを強要されたと語っています。取材に応じたイスラエル兵士の証言も、それらを裏付けるものになっています。
 民間人を攻撃に対する盾として使うことは国際法で禁止されています。イスラエルの最高裁も2005年に同様の行為を禁止しています。英大学の専門家は同紙に対し「拘束者が民間人か戦闘組織のメンバーかにかかわらずパレスチナ人拘束者に危険な場所の探索を強制することは違法だ」と述べました。
 イスラエル軍におよそ10日間拘束された男性(17)は、故郷のガザ南部ハンユニスを手錠をかけられた状態で歩かされ、ハマスが仕掛けた爆発物を探すよう命じられました。
イスラエル兵は私を犬のように、偽装爆弾の仕掛けられたアパートヘ送り込んだ。これが人生最後の瞬間になると思った
 解放される数日前には、おとりとしてイスラエル兵の制服を着て通りを歩かされました。無人機に見張られて逃げられませんでした
 グラフィックデザイナーの男性(31)は、ガザ中心部にあるハマスの拠点とされる隠れ場所にイスラエル軍が近づく際、パレスチナ人はその先頭を歩かされたと証言しました。
「兵士は(自分たちが)撃ち返されないよう、私たちを前に行かせた」。隠れ場所に着くと兵士はパレスチナ人の後ろから現れ、建物になだれ込んだといいます。
 薬剤師の男性(43)は、自宅で捕らえられた後、下着を脱がされ手錠と目隠しをされました。イスラエル兵は、ハマスが隠れるトンネルの入り□があると疑われる場所で、発電機を勣かすよう命令。ためらうと背中をライフル銃の角で突かれました


パレスチナに自由を 金沢 学生など連帯デモ行進
                      しんぶん赤旗 2024年11月30日
 金沢市の大学に通う学生や卒業生が呼びかけて23日、金沢市で、パレスチナに連帯するデモ行進が行われました。約100人が、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区でのジェノサイド(集団殺害)に抗議。「パレスチナに自由を」など英語を交えながらコールし市内の繁華街を行進しました
 主催者の富樫洋乃輔さんは、市内の学生たちとパレスチナで起こっている実情を知る読書会や大学での展示会を行ってきたと言い、展示会を見た人たちの声に応えデモを計画したと述べました。
 金沢市のヒクマ・バルベイドさんがパレスチナに住む友人のメッセージを代読。主催者の一人の木林純太郎さんは、「パレスチナの問題はかわいそうでは終わりません。知った責任を果たすために忘れないことを心に決めてデモに参加したい」と述べました。

 金沢市の大学生、那須開登(なす・かいと)さん(18)は、まずは停戦してほしいと求め、「パレスチナの人たちのイスラエルに対する抵抗は、私たちが国内の抑圧に対して行う抵抗と同じたたかい」と参加した理由を述べました。