植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
植草氏は、「兵庫県知事選問題に関する報道が下火になり始めているが、斎藤氏にかかる公選法違反疑惑事案と兵庫県における個人情報の取り扱いの問題はまったく解決していない(要旨)」と述べています。
前者については、郷原弁護士らの告発状が神戸検察庁にも兵庫県警にも異例のスピードで受理されたことから、年明けには何らかの進展が見られるものと思われます。
問題は、亡くなられた元西播磨県民局長に関する「個人情報」が悪意を持って拡散されていることです。この「人権侵害と名誉棄損の犯罪行為」は一刻も早く是正されなければならないもので、それは知事の権限で即座に阻止し解明できるものであるにもかかわらず、斎藤知事は1月以上も前から、「弁護士を含めた第三者委員会を立ち上げて 云々」と口にするだけで何も進んでいません。
要するに事態を迅速に解決しようとする意志がなく、第三者委員会などという的外れな構想以外には何の適切な判断も持っていないということです。
斎藤氏は総務省に入ったもののデスクワークが不得意だったため、ひたすら出先官庁などの現場回りをさせられていたということも言われています。こんな初歩的な問題の解決能力に欠けるのであれば「知事不適格」と見做されても仕方がありません。
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個人情報外部漏洩の犯罪性
植草一秀の「知られざる真実」2024年12月23日
兵庫県知事をめぐる問題に関する報道が下火になり始めているが問題はまったく解決していない。
二つの重大問題がある。
一つは斎藤元彦氏にかかる公選法違反疑惑事案。
もう一つは兵庫県における個人情報の取り扱い。
いずれも重大な問題である。見落とせないのは死者が発生していること。
一人は兵庫県の元総務課長。
オリックスの優勝パレード実施に際して寄付金を集めることが課題になった。この問題で当該総務課長が苦境に追い込まれたとされる。
もう一人は元播磨県民局長。
この局長が内部通報を行ったことが一連の騒動の端緒。兵庫県の斎藤知事は元県民局長の内部通報について「嘘八百」と断定し、元県民局長を懲戒処分した。
その後、百条委員会が設置され、元県民局長の証言が予定されていたが、その前に元県民局長が自死した。
元県民局長が行った内部通報に公益性があるのかどうかが一つの焦点。
これまでに明らかにされている情報を踏まえると、斎藤元彦知事を筆頭とする兵庫県が行った対応に問題があったと考えられる。
内容を十分に精査せず、元県民局長の内部通報を「嘘八百」として懲戒処分したことと、元県民局長の個人情報の取扱いに瑕疵があったと思われる。
また、知事選に際しての斎藤元彦氏陣営の行動に公選法違反の事実があった疑いも濃厚である。
元県民局長による内部通報の内容についても「公益性があった」と見られており、そうなると斎藤知事の対応に問題があったことになる。
これらの問題をうやむやにせずに明らかにする必要がある。
この問題に関するメディアの取り扱いを見ると、一部に著しく偏った情報流布が行われていることを確認できる。
例えば「講談社」の情報流布に著しい偏りが感じられる。
2024.11.08「【スクープ】齋藤元彦事件「優勝パレード協賛金キックバック疑惑」渦中の信金理事長が実名告発「前知事を陥れようとする思惑が…」
⇒ https://gendai.media/articles/-/140837
2024.11.08「前兵庫県副知事が語る「告発文書は、齋藤県政転覆のためだった」…キックバック、パワハラ内部告発、そして百条委員会の「深層」」
⇒ https://gendai.media/articles/-/140869
2024.11.22「「齋藤新党」創設も…齋藤元彦知事の再選で維新代表・吉村洋文知事らが目論む「参院選での大旋風」の現実味」 ⇒ https://gendai.media/articles/-/141832
2024.12.17「【独占インタビュー】兵庫県知事・齋藤元彦「失職したあの日の朝、地元・須磨駅に立った私が考えていたこと」」 ⇒ https://gendai.media/articles/-/143160
2024.12.17「【独占インタビュー】齋藤元彦が再選後初めて語った「県政改革の内幕」「告発文書問題」そして「百条委員会」のこと」
⇒ https://gendai.media/articles/-/143161
2024.12.18「「せっかくの優秀な人材があんな形で足を引っ張られるなんて…」《選挙の神様》藤川晋之助から見た「齋藤知事と立花孝志」」
⇒ https://gendai.media/articles/-/143390
斎藤氏を擁護するスタンスが鮮明である。
講談社はリニア建設問題でも川勝平太前静岡県知事を攻撃する主張を多く掲載してきた。
何らかの政治的背景をベースに論考を流布している疑いがある。
これ以外にも、高橋洋一氏、弁護士の高井康行氏、北村晴男氏などが斎藤氏擁護の主張を展開する。全体として「維新人脈」が斎藤氏擁護の姿勢を固めているように見える。
元播磨県民局長による内部通報が斎藤県政打倒の思惑を背景に行われたことは十分に考えられる。問題は通報内容に真実相当性があったのかどうかである。
兵庫県は担当部局が12月11日に「パワハラがあったとの確証までは得られなかった」としたが、この担当部局が「財務部」であり、しかも、そのトップが斎藤氏の側近部下であることが明らかにされている。
「「なぜ財務部が?」…斎藤知事パワハラ「確証なし」発表のウラ側 重用される「知事の後輩」」 ⇒ https://x.gd/h9dIV
この論考は弁護士で元テレビ朝日法務部長の西脇亨輔氏によるもの。
県知事選で斎藤氏が再選されたことに、知事選に立候補した立花孝志氏が元県民局長のプライバシー情報を流布したことが強く影響したと見られる。
立花氏は元県民局長の人間性を貶めて内部通報に対する不信感を県民に植え付けることに成功したと見られる。既存メディアは立花氏が流布したプライバシー情報についての論評を控えたことから元県民局長を貶める作戦が奏功したと考えられる。
問題は元県民局長のプライバシー情報が流布された点にある。
この情報流布が不正なものであったなら、この情報に影響を受けた選挙結果に疑義が生じることになる。
これらの点を含めて兵庫県知事問題は現段階において何も解決していない。
このことを明確にしておくことがまずは重要だ。
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