2026年8月13日木曜日

米製AI導入で自衛隊は米軍の「駒」になった…さらに経済主権も米国に売り渡そうとする高市首相は「愛国賊」である

 元経産省官僚の古賀茂明氏の掲題の記事を紹介します。
 内容は2つであり、前半は「AIによる米軍支配下への自衛隊統合」についてです。
 政府が目下検討している「自衛隊(部隊)の指揮統制に米国製のAIシステムを導入する」件についてはAIシステムを使えば世界中のあらゆる情報を収集・分析し、戦場のデータ分析と合わせて、自動で攻撃目標とともに最適な攻撃手段とタイミングが数時間又はそれ以下の短時間従来は何十日もかかっていた)で提示されるので、今や米軍ではAIなしの戦争など考えられない状況です。日本としては米製のAIを取り入れることで米側の戦争遂行のスピードに追いつく他には選択肢はありません米製AIには当然自衛隊の機密情報も全て渡さざるを得なくなるし、日米間で利害が対立する場合には米国の利益優先の判断が行われるにしても、です)
 これによって自衛隊は確実に米製AIの支配下に置かれることになりますが、それを拒否すれば米軍との一体運用が出来なくなるので導入するしかありません。

 後半は、高市政権が進める「無責任放漫財政」政策が、結果的に「経済主権を米国に売り渡そうとしている」ことが指摘され、高市政権が経済面でも既に「がんじがらめ」になっている実態が明らかにされています(要約は省略いたします)。
 中国由来の言葉「愛国賊」については末尾で説明されています。
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米製AI導入で自衛隊は米軍の「駒」になった…さらに経済主権も米国に売り渡そうとする高市首相は「愛国賊」である 古賀茂明
連載:政官財の罪と罰 高市早苗
                        古賀茂明 AERA 2026/08/11
 8月5日の日本経済新聞朝刊に「自衛隊、指揮統制に米AI」という見出しの記事が掲載された。政府が自衛隊の部隊の指揮統制に米国製のAI(人工知能)システムを導入する検討に入ったというのだ。年末に予定されるいわゆる安保関連3文書の改定に向けて詳細を詰めると書いてある。方針は決まっているに等しい
 政府は、米軍と自衛隊との一体化を推し進め、そのために統合作戦司令部の設置などの組織改変まで行った。「自衛隊は米軍に統合されたのと同じ」などという陰口もよく聞かれる。
 だが、今回の方針は、これまでとは次元の異なる一体化になることが確実だ。自衛隊は、形式的には「独立軍」だと言いつつも、実際には米軍に隷属し自律的な判断を成し得ない米軍指揮下の「駒」に成り下がるだろう。
 米国によるベネズエラ攻撃で戦争におけるAIの威力が世界に知れ渡ったが、その後の米・イスラエルによるイラン攻撃では、AIの驚くべき戦争支援能力が明らかになってきた。しかも、その能力は日進月歩で、今や米軍ではAIなしの戦争など考えられない
 自衛隊は、米パランティア・テクノロジーズのメーブン・スマート・システム(MSS)や米アンドゥリル・インダストリーズのAIシステムを稼働する基本ソフト・ラティスを候補としている。
 これらのAIシステムを使うと、世界中のあらゆる情報を収集・分析し、戦場のデータ分析と合わせて、自動で攻撃目標とともに最適な攻撃手段とタイミングが提案される。複数のセンサー(艦隊・航空機・ドローンなど全て)から集められたデータを統合して一つの図に集約して一目で把握できるようにする。これまで何十日もかかっていた作業が数時間、場合によってはそれよりも短時間で実行される
 日本にはもちろん、これらに対抗できるAIシステムは存在しない。米軍と自衛隊の一体運用を進めたい日本政府としては、米製のAIで米側の戦争遂行のスピードに追いつくという政策を取る以外に選択肢はない。これを拒否すれば、米軍との一体運用を諦めるしかない。日米安保体制の根幹に関わる問題なのだ。
 
AIによる米軍支配下への自衛隊統合
 しかし、完全に米製AIに依存するだけでは、「米国への隷属」と批判される。そこで、政府が考えたのが、米製AIを複数採用し、状況に応じてどのAIシステムを活用するかを判断する機能(なぜかこれを「司令塔」機能と呼ぶ)を日本製のAIシステムが担うという案だ。
 しかし、こんなものを「司令塔」と呼べるわけがない。実際の戦略・戦術を企画立案し、それを人間の最終判断に委ねる直前まで担うAIは米軍の支配下にあるシステムなのだ。
 米製AIには自衛隊の機密情報も全て渡さざるを得なくなるのはもちろん、日米間で利害が対立する場合には、米国の利益優先の判断がなされる。日本側が有利になる判断をするAIを米側が提供するはずはない。
 自衛隊は、米軍との一体化を通じて、米製AIの支配下に置かれることになる。もちろん、将来日本製のAIで巻き返しを図るなどということはあり得ない。
 高市早苗内閣は、発足以来、あらゆるシステムを軍事目的で再編し、日本を戦争できる国に改変する政策を進めている
 私が1月6日配信の本コラム「2026年は“MX元年”! 日本の『経済的孤立』と『軍事国家化』がより加速…高市首相と経産省が進める経済安全保障という名の“中国排除”の愚策」で年頭に予言したとおり、日本では、政治・経済・文化・科学技術・教育、そして国民の内心にまでこの軍事化、「Military Transformation=MX」⇒軍事的再編成)の波が及んでいる。読者の皆さんはいくつもの例を思い浮かべることができるだろう。
 そして、軍隊という一番わかりやすい分野において、この動きは「米国への隷属」という従来の日本の安全保障政策、軍事政策の「鉄の不文律」の不可逆的確定という形で完成する。その象徴がAIによる米軍支配下への自衛隊統合である。それは、米国への隷属の証しでもある。それが今回のコラムの前半の結論だ。
 これに対して、米国は日本にとって最も信用できる友人だと考える人も多いだろう。現に、先月末から行われた日米政府による為替市場での協調介入は、まさに両国の友好関係の証しではないかというかもしれない。ここまで両国の信頼関係を高めた高市首相の外交手腕は大変なものだと評価したくなる。
 しかし、実態は、これもまた、経済面における日本の主権喪失・米国への隷属が確定する最後の段階に来ただけの話である
 
 
高市政権が進める「無責任放漫財政」
 協調介入が行われたということは、極めて異例の事態にあることを意味する。「28年ぶりの円買い協調介入」の危機とは何か。その状況を見てみよう。
 8月5日、高市内閣は、食料品の消費税を来年4月から2年間1%に引き下げることを閣議決定した。財源は未定だ。
 高市政権が責任ある積極財政と掲げつつ、実際には「無責任放漫財政」を進めるのではないかという疑念は早くから市場に広がり、金利上昇と円安の同時進行という現象がことあるごとに生じるようになった。4〜5月には10兆円を超える大規模円買い介入が行われたが、すぐに介入前の水準に戻った。単独介入の限界だ。
 その後、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案が出た頃からはますます放漫財政への疑念が高まり、急激な円安と金利上昇に襲われた。減税撤回以外に道はないという情勢だった。
 一方、自らのスキャンダルや国会運営の失敗もあり、支持率急落の危機も同時発生。首相が「悲願」とまで言った減税について「公約違反」はできない。進退極まり、米国に泣きつくしか手がなくなった。
 その後の展開はご承知のとおり、日米協調介入による一時155円台に至るまでの円高演出と、今後の協調介入を示唆することによる市場への「恫喝」により、とりあえず一方的円安には歯止めがかかった。そのおかげで、ようやく高市首相は、「悲願」の消費税の減税を決定できた。
 米国は、日本の財政悪化が円安と長期金利上昇を呼び、円安が輸入物価を押し上げて更なるインフレを誘発して、金利上昇を加速するという負の二重スパイラルを警戒している。長期金利の上昇が米国、さらには世界に波及するリスクもある。
 米国で金利が上がれば、米国の株価が下がり、不動産価格も下がる。設備投資も不動産投資も停滞し、景気が悪化する。何よりも政府の利払いが膨らみ財政危機に陥るかもしれない。この介入は、何よりも米国のためであると見ることになんの不思議もない
 さらに米国のみならず、世界への波及、とりわけ、円との連動性が高い東南アジア諸国にとって壊滅的な打撃になる懸念もある。
 米国としては、高市政権にしつこく財政規律の回復と日銀の利上げを求めてきたのに、それと正反対の行動をとった挙げ句、助けてくれと言ってきたのだから、当然快くは思わない。
 
アベノミクスを信奉する高市首相
 しかし高市政権は、世界の先進国の中で、唯一米国のトランプ政権を妄信的に支持する稀有な国だ。しかも日本は、経済規模でも自衛隊の規模で見ても非常に大きく、これを米国の奴隷にできるのであれば、多少の出費は安いと考えるのは合理的だろう。
 そこで、米国は、まずは、高市政権に自分でできることは最大限やれと指示したはずだ。本来は消費税の減税はやめさせたかったが、それはできない。
 高市政権の目玉政策、戦略17分野の370兆円の成長投資や米国に強要された90兆円にも及ぶ対米投資の財源も必要。そして防衛費拡大の費用もある。仮に何らかの財源を少し見つけたところで、消費減税に使えば他の財源が足りなくなる。
 米国から見れば、大事なのは、防衛費拡大(米国製武器の爆買い)と対米投資90兆円の確保だ。「その財源は何とかしろ。そして、国民への給付とか社会保障の充実とか子育て支援などに金を回す余裕はないはずだ」と釘を刺したと私は見ている。
 本来は、日銀による利上げが必要だが、高市首相は利上げが嫌いだ。ほとんど経済政策の基本がわかっていない高市首相は、いまだにアベノミクスを信奉し、放漫財政と日銀による金融緩和を今でも続けたい
 しかし、アベノミクスの前提はデフレ経済だ。デフレから脱却するための政策は、インフレを抑える政策とは基本的に正反対のはずだが、高市首相は、アベノミクスをやめると言えない。もちろん、金利を引き上げれば、国債の利払い費が膨らみ、積極財政の実施が不可能になることも利上げ反対の理由の一つだ。
 利上げを避けてきた高市忖度の日銀・植田和男総裁も、米国のベッセント財務長官の圧力もあり、次回会合では利上げに踏み切るしかないとみられる。ただし、0.25%の引き上げにとどまるだろう。その程度だと、円高への動きにはつながりにくい。
 追い詰められて行った今回の介入は、米国との協調介入なので、日本単独よりも遥かに大きな効果があり、その持続期間も長いはずだ。
 しかし、これだけやっても1ドル155円程度まで。介入をやめるとすぐに円安方向に戻っていく状況だ。高市政権発足時の151円20銭程度に戻ることはなさそうだ。
 本気で円安を反転させるには、金利を上げるだけでなく、無駄な支出を減らし、必要なら増税して財政規律を取り戻すことが必要だ。
 しかし、それをやったら、高市カラーが完全に否定されるのでできない。そこで、とにかく米国のご機嫌をとりながら、国民生活を犠牲にしつつ、防衛費と対米投資の財源だけを確保する。それもインフレによる税収増を当てにして、ということが続くと見た方が良さそうだ。
 
米国も日本政府の円買い介入には反対
 さて、ここから先は、もっと頭に来る話だ。前述のとおり、米国は日本政府の円買い介入には反対だ。
 しかし、高市政権から泣きつかれた米国は考えた。まず、米国は世界一のお得意様の日本に対して、その危機を黙って見過ごすわけにはいかないという判断がある。そこで、「友情の証し」として協調介入までして高市政権を助けた、というのがトランプ大統領の言いたかったことなのだろう。
 だが、円安は、日本の対米輸出を促進する。米国の自動車メーカーなどは円安を激しく批判しているので、米政府としても中間選挙を前に円安を止めたと製造業などの支持基盤に訴えることができるというのが本音だ。
 また、協力の対価として、関税合意で決まっている日本の90兆円の対米投資の早期実現、特に、中間選挙の前までに対米投資で大きな進展を実現するという約束を日本側にさせた可能性が高い。要するに米国は自分の利益を考えてやっているのだ。
 しかし、それより酷い話がある。ベッセント長官も片山さつき財務相も語っているが、ドル売り円買い介入の原資について、新たな方法を使うという話だ。
 それは、FIMAレポ・ファシリティ(Foreign and International Monetary Authorities Repo Facility)という仕組みだ。詳しいことはここでは省くが、要するに、日本が保有している米国債を担保としてFRBに預け、代わりにドル資金を借り入れる。そして一定期間後にドルを返済し、米国債を返してもらう。米国債を売却しないので米国の長期金利上昇につながらない。米側を利する仕組みだ
 一方、ドルを借りる日本側はFRBにレポ金利を支払う。しかも、金利水準は民間のレポ市場金利を上回る。現状では4%程度だ(年間の利息、1日ならその365分の1)。
 片山財務相は金利の話には触れていない。米国債売却がないので米国に気兼ねなく介入ができる。「原資に心配はない、ざまあみろ」と言いたいのだ。
 確かに、市場に介入への警戒感を強く抱かせるにはいい話かもしれない。しかし、FIMAレポ取引というのは、通常は1日や1週間程度の非常に短い期間の貸借を想定している。今回のように2日間で10兆円を超える規模になると、例えば1週間後にそれを返すためには、結局は米国債を売るしかなくなる
 
米国の経済奴隷となった日本
 そこで、例えば、米国の特別の協力を得て、3カ月程度で返すとしたらどうなるか。その場合、金利は、前述のとおり年利4%程度。3カ月分なら4分の1で約1%だ。10兆円分のドルを借りれば、最大で1000億円にもなる。
 一方、外為特会では毎月のように償還される国債が出る。さらに利息も入る。かなりの金額にはなるが、これらは勝手に使えるお金ではない。介入の回数が増えれば限界が来て、市場への牽制効果は薄れ、円安トレンドに戻る
 そう考えると、新たなスキームを使った介入で時間を稼ぎつつ、いかに市場に対して、高市政権の経済財政政策が持続可能なものであるのかについて説得できるかどうかが課題になる。
 しかし、そもそも高市政権のアベノミクスを踏襲するサナエノミクスは、前述のとおりインフレ下では全くのピントハズレで、持続可能ではない。しかも今や、高市政権に経済政策における自由はない。
 歳出では、米国の指示に従って、防衛費の対GDP比5%まで目指す大幅拡大と90兆円という常軌を逸した規模の対米投資の実施だけは必達目標となる一方、財政規律回復のため、国民への大規模な給付金や社会保障の拡大などはできない。国民生活防衛のための円買い介入のために外貨準備を臨機応変に使うことさえ制限される
 外貨準備の保有とその自由な使用の権利は、国家の経済主権の根幹をなす。それを米国が制限する。経済主権が米国にあるのと同じだ。IMFの監視下にある破綻国家を思い起こす

 前半は、軍事で米国の奴隷と化した日本、後半は、経済主権を売り渡して米国の経済奴隷となった日本という話になってしまった。高市首相はそれでも、トランプ大統領好き好き症候群で何の問題も感じないだろう
 愛国心を育むために国旗損壊罪を望み、制定されたが、そもそも愛国者とは何か。中国政府の要人はこう解説してくれた。
 愛国者とは国を愛する者だが、その本質は人民に寄り添い人民の幸福を願いその実現に全身全霊を傾ける者のことだ。人民を戦争に駆り立てるなどもってのほか
 中国では、これと反対のエセ愛国者、すなわち、愛国を売り物にして人民の歓心を買いそれを自らの利益・自己が属する集団の利益のために悪用し自らの権力の維持拡大に努める者を「愛国賊」と呼ぶそうだ。
 高市首相はまさにこれではないか。「愛国賊」高市早苗首相の追放。それこそが、「愛国者」の取るべき行動である。