櫻井ジャーナルの掲題の記事を紹介します。
米国とイスラエルの両国はイランを違法にも奇襲攻撃しましたが イランの反撃で窮地に陥っていて 「事実上敗北」したものの 面子を守るためにいずれ戦争を再開すると見ます。
トランプはベネズエラの制圧に加えホルムズ海峡封鎖によって 中国が打撃を受けると考えたようですが、中国には十分な原油の備蓄があるので何の打撃も受けていません。
別掲の記事で示されているように 一番困っているのはガソリンが値上がりして国民の怒りを買っているトランプ自身と、原油不足で困窮している日本と韓国などです。
滑稽なのはロシアから欧州に引かれていたノルドストリームなどのパイプラインを、米・欧側は閉止したり破壊しましたが、それによって欧州は安価な天然ガスや石油が入手できなくなったため ドイツを筆頭に弱体化しました。それに対してロシアは、中国との関係を深め天然ガスや石油の販路を確保したので、殆ど被害はありませんでした。
ウクライナ戦争でもそうなのですが、トランプには欧州を困窮させようという強い思いがあるようなのは何故でしょうか。いずれにしても、トランプも欧州も、自分たちの意図が大外れになったのに対して、中・露は打撃を受けることなく健在です。そしていまや欧州の首脳たちは完全にトランプに対する信頼を失っていて、代わりに中国になびいているというのが実情です。
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選民意識による計算間違いで戦争に敗北、窮地に陥っている西側諸国
櫻井ジャーナル 2026.05.12
アメリカ政府がイランに提示した「和平案」に対する対応を気に入らないとドナルド・トランプ大統領は非難している。イラン政府は今回もこれまで一貫して主張していた戦争終結の条件を伝えただけだと推測されている。その条件をトランプ大統領が拒否することも予想されていた。
アメリカとイスラエルがイランに対して行った奇襲攻撃は失敗、イランの反撃で窮地に陥っている。つまりアメリカとイスラエルは事実上、敗北したのであり、トランプ大統領が本当に戦争を終結させたいならイラン側の条件を呑むしかないのだが、呑むことはできないだろうとも言われていた。その先にあるのは戦争の再開であり、アメリカ軍は戦争の準備をしてきた。つまりトランプ大統領による「和平案」の提示は茶番にすぎない。
イラン情勢はロシアや中国にとっても重要な意味があり、必然的にこの3カ国は団結した。この3カ国を強く結びつけているファクターのひとつはエネルギー資源。中国へはロシアから安価な天然ガスや石油が運ばれているが、イランからも輸入している。
アメリカがベネズエラを制圧し、イランが戦乱に巻き込まれたなら中国へのエネルギー資源の輸送が途絶えると予想する人が西側諸国では多かったようだが、そうした展開にはならなかった。中国は原油節約命令や工業生産の削減といった措置を講じていない。
ベネズエラの確認石油埋蔵量は世界最大だが、生産量は多くない。ウゴ・チャベスの死後、ニコラス・マドゥロ政権は石油関連のインフラを整備せず、スクラップとして処分されてしまい、熟練労働者は国外へ流出してしまった。こうした事態を招いたマドゥロは批判されていた。
しかも、中国は西アジアでの戦乱に備えて原油を備蓄、日本や欧米諸国とは違い、余裕がある。イランとロシアはカスピ海を経由するルートで繋がっているが、イランと中国を結ぶ鉄道が昨年5月に開通、上海からテヘランまで列車で15日。ちなみに、イランから中国まで海上ルートを利用すると必要な日数は30日だ。
この鉄道は中国が進めている「一帯一路(BRI)」構想に含まれ、この構想はロシアを中心とするユーラシア経済連合と連結する。イランの現体制が崩壊した場合、そうしたロシアや中国のプロジェクトは致命的なダメージを受けるため、アメリカやイスラエルによるイラン攻撃を中露は傍観するはずがない。その中国とロシアに対する「制裁」をEUが強め、中露からの反発を受けている。
反ロシア政策を続けていたアメリカのバラク・オバマ政権は2014年2月、キエフでクーデターを成功させ、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。これはウクライナをNATOの支配下におき、隣国のロシアに対する軍事的に圧力を強めると同時にロシアとヨーロッパを結びつけていた天然ガスのパイプラインをおさえようとしたのだ。
パイプラインをおさえることでロシアからマーケットを奪い、ヨーロッパから安価なエネルギー資源供給国を奪うことが目的。アメリアはロシアとヨーロッパを同時に弱体化しようとしたわけだ。実際、アメリカの思惑通りヨーロッパは弱体化したが、ロシアは中国との関係を深め、強大な中露同盟を作り出してしまった。
安価なエネルギー資源の供給源をなくしたEUは経済が衰退、社会は混乱している。そこでEUはウクライナへ多額の資金を投入、その資金でヨーロッパ企業の兵器を買うという仕組みを作った。ヨーロッパが提供した資金はウクライナからヨーロッパの大手企業へ戻っている。その仕組みを利用し、ウクライナやEUの「エリート」たちは私服を肥やしている。彼らは戦争を止められない。
その仕組みの中核になっているドイツはロシアとの戦争をエスカレートさせるため、「ドイチュラント作戦(ドイツ作戦計画)」を作成していると伝えられている。
これはドイツ連邦軍が2024年に作成した戦争計画で、ヨーロッパにおける大規模戦争を想定している。詳細は機密扱いだが、軍事利用のために保護すべき特定の建物やインフラ、そして脅威の増大に備えて企業や市民がどのように準備すべきかが詳細に記述され、1000ページに及ぶという。80万人のNATO兵士と20万台の車両がドイツ領内を通過して前線に向かうというのだが、この程度ではロシア軍に勝てるはずがない。本気でこの作戦を作成したのなら、ドイツ軍は救い難いほどスラブ人蔑視が強いということだろう。
ナチ体制下のドイツ軍は1945年5月8日にベルリンで降伏文書に署名したが、その直後にイギリスの首相だったウィンストン・チャーチルはソ連を奇襲攻撃するための作戦を立案するようにJPS(合同作戦本部)へ命じた。そして5月22日に提出された作戦が「アンシンカブル」だ。
その作戦によると、攻撃を始めるのはその年の7月1日。アメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始める想定になっていた。
この作戦が発動しなかったのは、イギリスの参謀本部が5月31日に計画を拒否したからだという。その作戦を無謀だと判断したようだ。またソ連と日本が手を組むことを懸念したという見方もある。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000)
2014年2月にアメリカがウクライナで始めた対ロシア戦争はロシアの勝利が確定的だ。すでに兵士になれるウクライナ人はいなくなり、ヨーロッパやラテン・アメリカから傭兵という形で集めているが、戦況を変えることはできない。ドイツ軍は次のステージとして現代版のアンシンカブル作戦とも言うべきドイチュラント作戦を作成しているのだろう。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。