2026年5月14日木曜日

変容を遂げつつある「戦争方法」:イラン戦争から学ぶ教訓

 マスコミに載らない海外記事に掲題の記事が載りました。
 記事は冒頭で、「かつては恐怖心を抱かせたかもしれないアメリカ空母は、もはや恐怖の対象ではなく、むしろ脆弱さを漂わせている」と記します

 米国は、高性能で過剰に設計された航空機やミサイルなどの兵器を持ち、いかなる軍事的敵国よりも多くの資金をそれらの開発と維持に投入できる能力を持っていることで、そして、何処でも制空権を確保出来て 思い通りの空爆ができるという 圧倒的に有利な航空戦が出来ることで、これまで世界に君臨して来ました。
 しかし今回の対イラン戦争は 国際法違反の先制攻撃で開始したにも拘わらず。戦況は一向に改善されず「米国・イスラエルの敗け」と評される有様です。
 記事はこの 対イラン戦争で、「戦争の方法」がどの様に変化したのかを具体的に述べています。
 それは同時に米国の軍産複合体がどの様に堕落していたかを示すものとも言えます。
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変容を遂げつつある「戦争方法」:イラン戦争から学ぶ教訓
                マスコミに載らない海外記事 2026年5月13日
                   アラステア・クルック 2026年5月12日
                       Strategic Culture Foundation

 かつては恐怖心を抱かせたかもしれないアメリカ空母は、もはや恐怖の対象ではなく、むしろ脆弱さを漂わせている。

 イラン戦争は概して従来の西側諸国の戦争という視点から捉えられてきたが、そこから得られる教訓は決して従来型のものではない。むしろ、それは反乱の教訓と言える。
 戦後の欧米諸国の戦略(特に冷戦期において)は、高性能で過剰設計かつ高価な有人航空機や兵器の調達を通じて、いかなる軍事的敵国よりも多くの資金を投入できる能力に依存してきた。制空権の確保と、航空爆撃への強い依存、すなわち航空戦こそが、戦略の最終目標だった。
 過剰支出(と推定上の技術革新)はソ連との対立上、決定的要素と見なされた。
 同様に、海戦における潮流は、より大型の空母と、それに付随する各種の海軍支援艦艇への投資へ向かっていた
 地上戦において、イラク戦争の「砂漠の嵐」作戦では、戦車が敵の防衛線を「突破」することに重点が置かれていた。しかし、ウクライナでは、前線で21世紀のドローン主導の「塹壕戦」に移行したため、西側諸国はこの手法を放棄した。

 高額な支出による軍事費の過剰投入という手法は、アメリカ軍産複合体に有利に働き、米ドル覇権と相まって、アメリカが事実上高額な軍事費を「印刷」できる独自の利点をもたらした。
 そして2026年の、対イラン戦争が勃発し、その非対称的なモデルは従来の軍事ドクトリンを覆した
 イランは制空権の獲得ではなく、航空優位の確立ではなく、高度なミサイルによる制空権の確立を目指していた。
 地上設置された軍事インフラの代わりに、ミサイル兵器庫、発射施設やミサイル生産の大部分は、イランの広大な地理範囲に分散され、地下ミサイル都市や山脈の奥深くに埋められている。

 しかし、非対称的な手法への決定的転換点は、安価で容易に入手できる技術部品の出現だった。西側諸国が迎撃ミサイル1基に数百万ドルを費やすのに対し、イランや同盟諸国は数百ドルで済ませている。
 こうしてドル覇権の利点は失われ、代わりに負債へと転じた。アメリカ兵器の高騰した価格と高度技術は、供給網の硬直化、長期間を要する製造期間と、最小限の兵器在庫という結果を招いた
 アメリカ兵器が持つとされる技術的優位性も、安価な技術部品を使った「ガレージ」や「ワークショップ」レベルの技術により凌駕されつつある。こうした技術革新は、非公式な試験を経て「軍事当局」に採用され、規模を拡大していく。

 この傾向は特にロシア軍で顕著で、初期の「ガレージ」技術が試験的に導入され、その後軍全体に展開されている。これは技術ハードウェアとインターネットAIイノベーション両方に当てはまる。
 同様に、ヒズボラが開発した光ファイバー制御ドローンは、レバノン南部での戦争を大きく変え、イスラエル軍戦車や部隊に甚大な損害を与え、イスラエル国防軍が南部からの撤退を余儀なくされる可能性さえある。
 同様に、海峡における非対称性と革新は、欧米諸国が従来依存してきた大型の重厚な海軍艦艇や空母への依存を覆しつつある。後者はペルシャ湾「戦争」において「無用の長物」と化しており、ドローン群や対艦ミサイルの脅威により、イラン沿岸から遠く離れた場所に追いやられ、艦載機による攻撃能力は、目標上空で空中給油機から燃料補給を受ける必要があるため制限される。
 数十隻もの武装高速艇が文字通り「群れ」となり鈍重な従来型海軍艦艇に接近する光景は、それら艦艇の脆弱性を浮き彫りにするだけだ。いずれにせよ、イランは他にも対艦兵器を保有している。
 要するに、アメリカ空母は、かつてのような恐怖心を抱かせる存在でなくなり、今や脆弱ささえ漂わせている。
 だが、イランの新たな海上戦力には最大4日潜水可能な高速潜水ドローン(または魚雷)も含まれ、これらはAIによる標的捕捉機能を備えている。これらドローンは、ホルムズ海峡の海底トンネルから発射される。
 イランの技術革新は、確実に長年にわたり計画され、開発されてきたものだ。その有効性は、イスラエルとアメリカとの戦争中に実証された。イランは(甚大な被害と犠牲者を出したが)イスラエルとアメリカの絨毯爆撃に耐えて、依然海峡の支配権と、豊富なミサイル保有と、湾岸諸国の米軍基地を破壊し、使用不能にしている。

 それが対イラン戦争の経験だ。しかし、より広範な戦略的意義は、戦争が、安価で革新的な技術と綿密な非対称戦略により、欧米諸国の「戦争のやり方」が時代遅れになったことを示した点にある。
 欧米モデルは壊滅的被害をもたらす可能性があるのは確かだが、民間人の死や破壊や苦難を証言するマスメディアや、スマートフォン写真の時代には、正確な使用が欠如しているのも逆効果だ。
 第二に、西側諸国は依然扱いにくい巨大国家で、新たな非対称戦争の理解はおろか、予測さえできない軍産複合体が少数の官僚的独占企業に集約されているため、イノベーションが阻害されてきた。
 西洋式の戦争方法は、高度な非対称戦力を持つ敵を相手にした場合、全く通用しない。

 だが、対イラン戦争から得られた教訓に気づいた国は他にもある。ロシアはその一つで、中国もそうだ。今後もそうした国は増えるだろう。欧米諸国は、他の戦争で、これらの教訓が形を変えて再び現れるのを目の当たりにするだろう。
 欧州エリート連中は、ウクライナによるロシア深部へのドローン攻撃を容認したことで、近い将来、これまでとは異なる(物理的)反撃を招くかもしれないことに気づくかもしれない。警告は発せられている。果たして彼らは耳を傾けるだろうか?

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/05/12/ways-war-metamorphosis-lessons-from-iran-war/