2026年6月15日月曜日

万世一系の男系男子は虚構(植草一秀氏)

 植草一秀氏の掲題の記事を紹介します。
 皇位継承問題についての国民の最大関心事は愛子氏が天皇になるのかどうかです。
 これについては実に9割の国民女性天皇女系天皇を容認していると言われています(「週刊文春」の直近のアンケートでは93%が容認)。一方「皇室典範」の改定を目指す高市政権は「万世一系の男系男子」が譲れない原則であるかのように主張しますが、「万世一系」は明治政府が生み出した言葉でそれ以前にはありませんでした。
 明治政府が制定した「大日本帝国憲法」は世界に類を見ない絶対主義的天皇制を制度化したもので、その第1条で「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」と謳いました。
 ところが「万世一系」を科学的に証明することはほぼ不可能です。日本書紀などを根拠にしようとすると100歳を超える天皇が頻出するなど常識に反することになります。
 植草氏は、極めて簡潔に且つ明快に実態は「万世一系」ではありえないことを説明しています。

 併せて植草氏のブログ記事:「松井氏は全然私たちが知らない人」を紹介します。
 松井氏とは松井健氏のことで、昨年の自民党総裁選や今年2月の総選挙において、高市事務所が他の総裁候補者や総選挙時に野党候補を中傷する動画を、大量に制作し散布することを依頼したNoborde(社)の主宰者です。
 高市氏は、当初は全く知らない人という「逃げ口上」に徹していましたが、今や関係を否定できなくなりました。
 余りにも白々しい嘘が罷り通る筈がないので当然の成り行きですが、そうなっても決して責任を取ろうとしない点が高市氏が「鉄面皮」とされる所以です。
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万世一系の男系男子は虚構
               植草一秀の「知られざる真実」 2026年6月14日
皇位継承問題についての国民の最大関心事は愛子氏が天皇になるのかどうか。
女性天皇、女系天皇を容認する国民の声が圧倒的に強い。
これに反対する勢力は「万世一系の男系男子」を主張する。
その際、最重要になるのは「万世一系の男系男子」という「事実」が存在するのかどうかである。

歴史学の一般的学説は「万世一系」と「男系男子」のいずれをも否定する。
天皇家は「万世一系」ではないと見られている。また、「男系男子」が永続してきたという「説」も誤りとする。

皇位継承問題においては、この点の「歴史上の事実」を確認することが優先されるべきだ。
「万世一系の男系男子」はフィクションであるとするのが歴史学の見地。
大日本帝国憲法制定時に定めた原理でしかない。
「例外のない男系継承」は『古事記』、『日本書紀』=『記紀』を根拠としている。
しかし、これは8世紀前半に中国を模倣した律令制採用と同時に流入した中国の男系宗族制度観念から埋め込まれたもの。

このことを歴史学が明白にしている。
初代から9代の天皇の系譜は以下にとおり。
初代 神武(じんむ)紀元前660〜585年:享年127
2代 綏靖(すいぜい)紀元前581〜549年:同84歳
3代 安寧(あんねい)紀元前549〜511年:同57歳
4代 懿徳(いとく)紀元前510〜477年:同77歳
5代 孝昭(こうしょう)紀元前475〜393年:同114
6代 孝安(こうあん)紀元前392〜291年:同137
7代 孝霊(こうれい)紀元前290〜215年:同128
8代 孝元(こうげん)紀元前214〜158年:同116
9代 開化(かいか)紀元前157〜98年:同111
2代から4代以外の6人が100歳以上まで生存。
137歳まで生存した者さえいる。
この9名に関する事績の記録はほとんど存在しない。

第10代の崇神(すじん)天皇から第25代武烈(ぶれつ)天皇までの実在も極めて不確かである。この期間の初期の天皇の長命も奇異である。

特異な存在が第26代継体天皇。即位は507年。越前の支配者から天皇に即位。
応神天皇の5世孫とされ、200年前に天皇の血統から分岐したとされるが極めて不確かである。25代と26代の間に血統の断絶があるとの見方が歴史学では有力なのだ。

『選択』2026年5月号記事「皇統「男系継承」という幻想の世界」によると、26代継体は24代仁賢(にんけん)天皇の皇女を正妻に迎えている。さらに、継体の子である27代安閑(あんかん)、28代宣化(せんか)はともに仁賢の皇女を正妻に迎えている。
これを上記『選択』記事は「前王朝への婿入り」であるとし、「女系」の血統での正統性担保であったと指摘する。

同記事は「入り婿・女系継承という“不都合な真実”が歴史に埋もれている」と指摘する。
「万世一系の男系男子」がフィクションであることを明らかにしたうえで皇室典範を改正する必要がある。

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松井氏は全然私たちが知らない人
               植草一秀の「知られざる真実」 2026年6月14日
高市首相は国会で虚偽を述べていた。二つの重大問題が同時進行している。
サナエトークンと誹謗中傷動画配信問題。二つの問題の中心人物は同一。松井健氏である。
この松井健氏が週刊文春に対して多くの情報を提供している。
松井氏は高市首相の公設第一秘書の木下剛志氏と連絡を取って「誹謗中傷動画作成」ならびに「サナエトークン創設」に主体的な役割を担ってきたと証言している。

共同通信が松井健氏に取材し、松井氏が連絡を取った相手の携帯番号が木下剛志氏の携帯番号と一致したと報道した。
文春が誹謗中傷動画作成に関する記事を掲載したのは4月29日。
このことに関して高市首相は、5月11日の国会で動画作成者とされる松井健氏について
私自身も、地元の秘書も、面識のない方」と述べた。

高市首相の「全面否定」に対して週刊文春電子版は、6月3日に高市首相の公設第一秘書・木下剛志氏と松井氏らによる昨年12月に行ったとされるZOOM会議の音声を公開
6月4日の衆院予算委員会で日本共産党の山添拓議員がこう聞いた。
「音声が公設秘書のものかどうか、秘書には確認したんですか」
高市首相はこう答えた。「(秘書に)『オンラインに出ているやつを聞いてみてくれ』と言ったら、こちらの主張ではなく、全然、私たちが知らない人の主張を一方的に書き立てるストーリーを作っている、そんなところに対して『なぜお金を払わなきゃいけないのか』とキレられましたよ。」
松井健氏が週刊文春に示した証言について、「全然、私たちが知らない人の主張を」週刊文春が「一方的に書き立てるストーリーを作っている」と主張した。

同じ6月4日の衆院予算委で立憲民主党の西真紀子参院議員が次のように質問した。
「『週刊現代』が高市事務所へ照会をしておりまして、4月3日付けで回答があったとされた記事も載っております
高市事務所からの回答に『12月17日のオンライン会議はNoborder側からの求めに応じて行ったもの』とあります。
これは高市事務所で回答したもので、そして12月17日のオンライン会議を行ったということでよろしいでしょうか?」

この質問に対して高市首相は次のように答弁した。
「週刊誌にうちから回答したと書かれてあるんでしたら、うちから回答したのかと思います。ただ、4月3日付けの回答については内容が事実と違うと今朝聞きました。」
しかし、この高市首相答弁もひっくり返った

6月10日の衆院予算委で中道改革連合の西村智奈美議員が質問。
5日の質疑で高市首相が「内容が事実と違うと今朝聞いた」と答弁したことについて、
「具体的にどの部分が事実と異なるのか、ご答弁をお願いいたします。」
高市首相は「これを改めて秘書に確認しましたところ、『週刊現代』に引用されている4月3日付の回答については、高市事務所から回答した内容であるということでしたので、その点は訂正します。」

高市首相事務所は昨年12月17日のオンライン会議について「Noborder側からの求めに応じて行ったもの」と回答していた
そして、その回答は「事実と違う」のではなく「事実」だった

松井氏は2025年9月に告示された自民党総裁選に際して首相の地元事務所で所長を務める秘書を知人に紹介され、総裁選告示3日後の2025年9月25日にSNS戦略に関するオンライン会議を開催したと共同通信の取材に回答している。
そして、総裁選終了まで秘書から2日に1回程度、情勢報告などを電話で受けたと説明している。

総裁選で協力関係を築いた松井氏は続く衆院選でも秘書から支援を依頼されたと説明した。
この松井氏の説明に強い説得力がある。
高市首相は「自分も秘書も面識がない」と述べた上、週刊文春報道について秘書の言葉として「全然、私たちが知らない人の主張を一方的に書き立てるストーリーを作っている」との表現を用いた。
ところが、木下秘書が松井氏側の要請でオンライン会議に出席していたことを認めた。
高市首相の国会答弁は完全に破たんしたと言える。

続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」4443号
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                  (後 略)