2026年7月8日水曜日

08- 木原官房長官の意味不明発言/トップの説明責任回避は致命傷(植草一秀氏)

 植草一秀氏の掲題の2つの記事を紹介します。

1番目の記事)
 25年度の国税収入が84.2兆円に達し、20年度よりも23.4兆円増えました。
 一般にはこの増分を「自然増収」と呼びますが、実態はインフレによるもので「インフレ増税」(または「ステルス増税」)です。インフレで名目収入が増えれば所得税収も伸びるし消費税収も伸びるからです。
 財務省がインフレを熱望するもう一つの理由はインフレの分だけ国の借金の重みが減るからで、一回でも激しいインフレが起これば過去の借金は殆ど帳消しにできます。
 インフレでは物価は上がり、実質賃金と実質の年金は下がり、貯蓄は目減りするので、庶民の生活は苦しくなるだけです。
 木原稔官房長官が25年度の国税収入が84.2兆円になったことについて6日、「税率を上げずとも税収が自然増に向かっていく強い経済を構築していく」と述べました。大変な欺瞞です。
 植草氏は「『強い経済』も『弱い経済』もない。(それは)ただ『インフレ経済』を継続するということに過ぎない」と呆れます。
2番目の記事)
 数の力による強引な国会運営で、国会が動かなくなりました。
 虚言、虚飾、虚栄を旨として首相の座を獲得した高市氏の「全能感」が行わせた数々の暴挙がこの破綻をもたらしました。植草氏は「自民が多数議席を獲得した弊害が顕著」と述べます。
 2月の総選挙で自民党は37%の得票率で68%の議席を占めました。小選挙区を軸にする選挙制度がこの歪んだ議席配分をもたらしました。
 民意を正確に議席配分に反映するには、全議席を比例代表選挙で選出することが合理的であるのは自明ですが、自民党がそれを受け入れる可能性は皆無です。
 その逆に自民と維新が示す選挙制度改定は、比例代表の定数を45減らすというもので、そうなれば一段と歪んだ議席配分がもたらされます。話になりません。

 残された会期は極わずかなのに、この議員定数削減法案に加えて副首都創設法案、個人情報保護法改定、国旗損壊罪、そして皇室典範改定法案を通そうというのが、高市執行部の構想であり、常軌を逸しています(なお、7日に高市首相と吉村維新代表が議員定数削減法案、副首都創設法案、皇室典範改定法案の取り扱いについて協議したということなので、何らかの変更があったかも知れません)。
 副首都創設は維新利権を拡大するための法制で、個人情報保護法改定は個人情報への国家の介入を強めるものです。国旗損壊罪を創設すれば国旗に触れることを国民が忌避することになります。
 植草氏は「皇室典範改定は当初の皇族数確保のための改定が、皇位継承問題にすり替えられた。高市内閣の暴走である」として、皇室典範改定法案の問題点について具体的に述べています。
(皇室典範改定法の問題点については別掲の記事でも取り上げているので、ここでは要約を省略します)
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木原官房長官の意味不明発言
               植草一秀の「知られざる真実」 2026年7月 7日
2025年度の国税収入が84.2兆円に達することになった。
すでに7月2日に記事を掲載した。
23兆円も上振れした国税年額」 https://x.gd/Khq7R
「自然増収で消費税ゼロが可能」 https://foomii.com/00050

国税収入は2020年度に60.8兆円だった。これが2025年度に84.2兆円になった。大きな税制変更はない。制度変更がないのに税収額が23.4兆円増えた。
「自然増収」と呼ぶが適正な表現ではない。実態は「インフレ増税」=「ステルス増税」である。ステルス増税の最大の原因はインフレだ。インフレは税収を増やす

所得税の場合は税率構造が累進的に設計されている。所得が増えると適用される税率が上がる。
したがって、名目収入が増えると収入の伸びよりも税収の伸びが大きくなる。
消費税でもインフレで名目消費が増えれば税収は増大する。
インフレ」を誘導するともれなく税収激増が付いてくる

財務省がインフレを熱望する理由の一つが税収増大。制度を変えずに税収が増える。
これが「ステルス増税」だ。
財務省がインフレを熱望するもう一つの理由はインフレが借金の重みを減らすこと。
借金は名目額で固定されている。インフレが生じるとインフレ分だけ借金の重みが減る
一回でも激しいインフレが起これば過去の借金は帳消しにできる。だから財務省は工作員を日銀に送ってインフレ誘導をやらせる。実際にやった。それが2022年度から2025年度である。

この「ステルス増税」について看過できない発言があった。木原稔官房長官が25年度の国税収入が84.2兆円になったことについて7月6日に次のように述べた。
「税率を上げずとも税収が自然増に向かっていく強い経済を構築していく」木原氏の脳の構造が心配になる発言だ。
「税率を上げずとも税収が自然増に向かっていく強い経済」の意味が不明。
税率を上げないのに税収が増えるのはインフレの場合だ。実際にインフレが進行して税収が拡大してきた。

「強い経済」も「弱い経済」もない。あるのはただ「インフレ経済」だ。
日本の消費者物価上昇率は2022年から25年まで4年連続で2%を超えた。
 22年度 2.5%
 23年度 3.2%
 24年度 2.7%
 25年度 3.2%
         消費者物価指数上昇率(%)


黒田日銀はインフレ目標を2%としていたが2%を超えるインフレが実現してきたのにインフレ誘導の旗を23年4月の任期満了まで振り続けた。日本で深刻なインフレが発生した。

インフレで潤うのは実質賃金が下がることで利益を得る企業と税収が増えると同時に借金の重みが減る政府。
インフレで損失を蒙るのは実質賃金が減る労働者であり、虎の子預金の価値が減る一般市民である。
「税率を上げずとも税収が増える」のは「強い経済」ではなく「悪質な経済」である。
木原氏は戦後の日本財政を勉強した方が良い。

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トップの説明責任回避は致命傷
               植草一秀の「知られざる真実」 2026年7月 6日
日本政治が重大局面を迎えている。
数の力による強引な国会運営。2月総選挙で自民が多数議席を獲得した弊害が顕著である。
2月総選挙の比例代表選挙における自民得票率は37%。全有権者を分母にする絶対得票率では20%。有権者の5人に1人しか自民に投票していない。投票した有権者の3人に1人しか自民に投票していない。しかし、自民が獲得した議席は316で、衆院定数の68%を占有した。37%の得票率で68%の議席を占有することが適正でない

小選挙区を軸にする選挙制度が歪んだ議席配分をもたらす主因である。
したがって、選挙制度を刷新することが必要。
民意を正確に議席配分に反映するには全議席を比例代表選挙で選出することが合理的だ。
このことを国会は真剣に検討するべきだ。

ところが、自民と維新が示す選挙制度改定は比例代表の定数を減らすというもの。一段と歪んだ議席配分がもたらされるものである。
定数削減だけではない。副首都創設法案、個人情報保護法改定、国旗損壊罪、そして皇室典範改定が審議されている。

副首都創設は維新利権を拡大するための法制だと見られる。政治の私物化と言うほかない。
個人情報保護法改定は個人情報への国家の介入を強め、さらに、その個人情報の外資企業への提供につながる重大問題。
国旗損壊罪を創設すれば国旗に触れることを国民が忌避することになるだろう。

皇室典範改定は当初の皇族数確保のための改定が、皇位継承問題にすり替えられた。高市内閣の暴走である。
現在の皇室典範の最大の問題は皇位継承を「男系男子」に限定している点にある。これは「明治の残骸」に過ぎない。日本の皇室の系譜に「万世一系の男系男子」という「事実」は存在しない。「万世一系の男系男子」は明治が創作した「フィクション」である。
同時に、これが日本における「男尊女卑」の元凶になっている。

皇室典範の「男系男子」を除去することが最重要の課題だが、高市内閣提案は「男系男子」を死守しようとするものでしかない。
皇位継承問題については「国民の総意」による支持が必要不可欠。国会に上程された改定案はこの部分で要請を満たさない廃案にすべきである

高市内閣の暴走により、日本政治が混迷の極みにある。高市首相は自身の多数疑惑に対する説明責任を果たさない。首相辞任が視界に入る状況に至っている。
この状況下で、本当の野党の存在が重要性を増す。「隠れ与党」の「ゆ党」勢力が拡大するなかで、政治の浄化を実現するには「たしかな野党」勢力の拡充が必要不可欠だ。

このなかで際立つのが「れいわ」の混迷だ。最大の原因は山本太郎代表にある。
69キロの速度超過に対する刑事処分が行われたことが公表されたが、山本氏自身による説明がない。公党の代表として説明責任を果たすことは必要不可欠だ
説明責任を果たさずに代表職に残留していることが党勢凋落の原因になっている。

共産、れいわ、社民が「たしかな野党」勢力のカテゴリーに分類されるが、この勢力の再興が必要不可欠だ。
れいわが適正な対応を示さないなら、れいわを除く勢力での連帯、勢力拡大を目指すことが必要になる。まずは、れいわ自体が自浄作用を発揮させることが必要。
事態の放置は事態の悪化しかもたらさないことを認識する必要がある

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                 (後 略)