2026年7月8日水曜日

皇室典範改定案撤回を 「国民の総意」と言えず 参院委で小池氏

 しんぶん赤旗の掲題の記事を紹介します。
 小池晃書記局長(共産党)は6日の参院決算委員会で、皇室典範改定案について天皇の制度は憲法の条項と精神に基づいて議論・検討すべきであり、「男系男子」による継承ありきで女性天皇の可能性を閉ざす改定案は「国民の総意」に基づいていないし、「旧宮家」の男系男子を皇族の養子に迎え、そこで生れた男子が天皇になることには国民の理解が得られないと指摘しました。
 そして憲法1条は天皇の地位を「主権の存する日本国民の総意に基く」としているとして、ほとんどの世論調査で女性・女系天皇に賛成が多数で、「男系男子での継承は「国民の理解を得ているとは到底言えない」、国民の総意に基づくべきものを「国会議員の数の力で押し通すものではない」、しかも「朝日」の世論調査で、養子縁組を可能にする法整備を「急ぐ必要はない」が71%であることなどを指摘して、法案の撤回を求めました。

 併せて同紙の記事:「【政治考】比例削減と高市政権 国会軽視の果て 民主主義を破壊 野党は結束して反対」を紹介します。
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皇室典範改定案撤回を 「国民の総意」と言えず 参院委で小池氏
                       しんぶん赤旗 2026年7月7日
 日本共産党の小池晃書記局長は6日の参院決算委員会で、政府が提出した皇室典範改定案について取り上げました。天皇の制度は憲法の条項と精神に基づいて議論・検討すべきで、「男系男子」による継承ありきで女性天皇の可能性を閉ざす改定案は「国民の総意」に基づいておらず、「旧宮家」の男系男子を皇族の養子に迎えることは国民の理解が得られないと指摘し、法案は撤回すべきだと述べました。(論戦ハイライト 下掲

 小池氏は、憲法1条は天皇の地位を「主権の存する日本国民の総意に基く」とし、ほとんどの世論調査で女性・女系天皇に賛成が多数で、「男系男子での継承」は「国民の総意」とはいえないと指摘。首相は「日本の歴史と伝統」と強調するが、同1条が「日本国民統合の象徴」と定める天皇を、男性に限定する合理的理由はなく、天皇は「万世一系」などとする天皇絶対の明治憲法下とは根本的に異なると断じました。
 法案は「旧宮家」の男系男子を皇族の養子にできるだけでなく、養子皇族の子の男子に皇位継承権を認めています。小池氏が、女性皇族の子は民間人になるが、養子皇族の子が天皇になりうるのかと質問したのに対し、高市早苗首相は「なりうる」と答弁しました。
 小池氏は、政府は、養子制度を「皇族数確保のため」と説明してきたが「養子の子を天皇にする法案になった」と指摘し、戦後、民間人となった「旧宮家」の人を特別な身分である皇族とすることが国民の理解を得られるのかと追及。首相が「国民の理解をたまわるべく法案を作成した」と開き直ったのに対し小池氏は「まだ理解を得られていないと認めたということだ」と指摘しました。
 養子が皇族となることは憲法14条が禁じる「門地による差別」に抵触し、「朝日」の世論調査で養子縁組を可能にする法整備を「急ぐ必要はない」が71%であることなどを指摘。「国民の理解を得ているとは到底言えない」「数の力で押し通すものではない」として法案の撤回を求めました。


論戦ハイライト】 皇室典範改定 憲法に基づく議論を 小池議員が批判
                       しんぶん赤旗 2026年7月7日
 日本共産党の小池晃書記局長は6日の参院決算委員会で、男系男子による皇位継承を“不動の原則”とする皇室典範改定案は憲法の精神にも国民の総意にも反すると厳しく批判し、撤回を求めました。
小池 民間人から養子皇族の子「男子なら天皇になれるか」
首相 「なり得る」
小池 「養子の子を天皇にする改定案になった」

 小池氏は、日本国憲法第1条は天皇の地位を「主権の存する日本国民の総意に基く」としていると指摘。どの世論調査でも女性天皇・女系天皇に賛成が多数だが、改定案は養子縁組によって男系男子での継承を明確にしたと批判しました。



(写真)質問する小池晃書記局長=6日、参院決算委





 小池 天皇は男系男子で継承しなければならないことは国民の総意か。
 高市早苗首相 衆参両院正副議長のもと「立法府の総意」として議論の取りまとめが行われ、法案を作成した。
 小池 「国民の総意」とは言えなかった。世論調査を見れば国民の総意ではない。日本共産党や立憲民主党なども反対しており、「立法府の総意」でもない。男系男子ありきで女性天皇をはじめから閉ざす憲法1条の精神に反するやり方は将来に大きな禍根を残す

 小池氏は、憲法1条は天皇の地位を「日本国民統合の象徴」としていると述べ、多様な性をもつ人々によって構成される日本国民の統合の象徴である天皇を男性に限定する合理的理由はないと主張。「憲法の条項と精神に照らせば、女性天皇、女系天皇を認めるべきだ」と迫りました。
 「首相はわが国の歴史と伝統を強調するが大切なのは憲法の条項と精神に基づくことだ」と強調。日本国憲法は大日本帝国憲法の天皇主権を否定したものだと追及すると、高市首相は「日本は国民主権の国だ」と答弁しました。小池氏は、日本国憲法の条項と精神に基づくことが戦後の象徴天皇の制度だと強調しました。最大の問題は、明治の皇室典範でも禁じていた養子制度について、改定案は旧宮家の男系男子を皇族の養子にできるとしていることだと強調。さらに養子皇族に生まれた男子に皇位継承権を持たせるとしたと批判しました。

 小池 女性皇族の子は天皇にならず民間人になる一方、民間人から養子皇族となった人の子は、男子であれば天皇になれるということか。
 首相 なり得る。
 小池 政府は養子制度を皇族数の確保のためとしてきたが、結局、養子の子を天皇にする改定案になった

 小池氏は、2005年の政府有識者会議の報告書では、養子縁組は国民の理解と支持などの視点から問題点があり「採用することは極めて困難である」と完全に否定していたと指摘。理由として旧宮家といまの天皇の共通の祖先が約600年前までさかのぼり、戦後は民間人として生まれ育ってきたことが挙げられていると強調しました。

 小池 こうした人たちを特別な身分である皇族にすることに国民の理解が得られると思うか。
 首相 国民の理解をたまわるべく、法案を作成した。
 小池 「たまわるべく」であって、国民理解を得られていないと認めた

 小池氏は「男系男子での継承を不動の原則にすることで、ひたすら男の子を産むことを迫られる。そんなことがあっていいのか」と述べ、朝日新聞の世論調査では養子縁組をできるよう法整備を「急ぐ必要はない」との回答が71%にのぼることを示し、「改定案が国民の理解を得ているとは到底いえない」と述べました。
 小池氏は、06年の通常国会で女性、女系天皇を認める皇室典範改定案の提出を巡り、高市首相が「国民の理解が進んでいない」「十分な議論の機会をいただきたい」と質問していたことを指摘。今国会の残されたわずかな期間で、数の力で押し通すようなものではないと主張しました。
 小池氏は、改定案を撤回し、憲法に基づく議論をし「国民の総意を形成する努力をすることこそ立法府の責務だ」と強調しました。


政治考比例削減と高市政権 国会軽視の果て 民主主義を破壊 野党は結束して反対
                       しんぶん赤旗 2026年7月6日
 高市自民党と日本維新の会が衆院の比例定数の45削減法案を強行しようとする動きに対し、日本共産党や中道改革連合、国民民主党、参政党などが厳しく抗議し国会審議の空転が続いています。自民党内からも「(高市早苗首相は)いくら何でもやり過ぎだ」という声が出ています。

「審議吹っ飛ぶ」
 元閣僚の一人は「議院内閣制のもとで、内閣の成り立ちの基礎は議院の信認にある。その議院の成り立ちの基礎になるのが選挙制度だ。議員定数をどうするかは選挙制度をどうするかと一体というルールだ。政策や政治路線の違いをおいて、共通の土俵に関わる問題として全ての政党で議論してきた」と指摘。「小選挙区・比例代表並立制の中で、比例定数だけを突然45も一方的に減らすのは筋が通らない。比例の一定割合は民意の反映のために必要だとされた。共産党だけでなく、参政党も国民民主党も中道改革連合も大幅に議席を減らしかねない。多数党の独裁と言われても仕方ない」と語ります。
 別の自民党議員からもこんな声が出ます。
 「比例だけの45削減など、誰も望んでいない。自民党内にも維新にも反対はある。国会全体の意思ではなく、多数派だけで決めて押し通せということ。選挙制度は少数政党にも十分配慮するのがルールだ。今なぜこれをやらなければならないのか。維新は『身を切る』というが日本の議員定数は少ない。本来あるべき議論がどこにもない。強行すれば全ての国会審議が吹っ飛ぶ可能性がある」

再可決も検討へ
 首相官邸は、法案の衆院通過から60日以内に参院で採決がない場合、否決と見なして衆院で3分の2以上の多数で再可決するという「60日ルール」の検討に入ったとされています。参院では多数を確保できないもとで、衆院の圧倒的多数を背景にごり押しする構えを見せています。
 前出の元閣僚は「60日延長で再可決とは『参院は要らない』という態度だ。自民党内でも感情的な対立を呼ぶ。きちんとした議論をせず、議会政治をぶっ壊すやり方だ。責任感など全くない。自民党の幹事長室も国対も状況打開に機能せず官邸のいいなり。自民党本体も劣化し手をこまねいている」と嘆きます。
 年初の高支持率を頼りに、大義も国民への説明もない奇襲解散・総選挙、それで国会の開会が遅れ予算の年度内成立が苦しくなると審議時間の短縮を要求、中傷動画拡散問題では「秘書の陳述書を読め」など公然と答弁拒否―相次ぐ国会軽視の果てに、議会制民主主義の根本をいとも簡単に破壊する「高市独裁」ともいうべき暴走です。

小選挙区制強化 くらし・平和脅かす
 憲法43条は、衆参両院は「全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」と規定しています。「代表する」とは、社会に実在する民意をできるだけ忠実に反映することと理解されています。選挙制度は、民意の反映を重視してつくられるべきです。

少数意見を軽視
 小選挙区制度は「民意の集約」を目指すものとされてきました。一つの選挙区で1人を選ぶ小選挙区制では、多数政党が議席を独占し、議席構成のうえで「民意の集約」が行われます。そうなれば、国会は多数党に代表される意思で次々と「改革」が進められ、国会での熟議は軽視されます。一方で、比例代表制度は、価値観の多様化する現代社会で少数意見が軽視されず、「多様な民意を反映」するものです。
 その結果、小選挙区300・比例代表200で1996年にスタートしたのが現在の制度です。しかし、その後比例定数は24議席も削られ現在176に(小選挙区は11削減)。ここからさらに比例定数のみを45削減すれば多様な民意の反映の契機は大きく損なわれます
 「民意の集約」に重きを置き、多数政党への議席の集中を目指したのは財界勢力の意向によるもので、新自由主義的な構造改革や改憲の政治をスピーディーに進めるためでした。
 現実にこの30年間で、大企業本位の新自由主義改革が進められ、大企業は650兆円超の内部留保を積み上げる一方で、社会全体では経済成長が止まり、国民の所得は上がらず、貧困化が進みました。また自衛隊の海外派兵が進み、「憲法解釈変更」で集団的自衛権の行使容認、敵基地攻撃能力の保有など、立憲主義が破壊されました。さらに、いま高市首相は9条改憲発議を急ぐ姿勢を強めます。
 比例削減をさらに進め、小選挙区制の比率を高めようとする高市自民・維新の暴走は、その根底で、行き詰まった新自由主義改革と米国の無法な戦争に参加する9条改憲への対抗勢力を排除していく狙いを秘めています
 この危険なたくらみを絶対に許すわけにはいきません。

行き詰まり加速
 2週間足らずの17日に特別国会の会期末が迫っています。比例定数削減法案や副首都法案、皇室典範改定、国旗損壊処罰法案などの審議日程は残っていますが、与党による比例削減法案の強行姿勢のもとで野党の抗議は続きます。もし、比例削減法案を衆院で与党のみで強行採決すれば、参院での審議も含め、全ての法案の審議を自らストップさせることになります
 参院では自民、維新のみでは過半数に足りない状況で、比例定数削減に固執したまま一連の法案を通すには、会期の大幅延長の上、60日ルールによる衆院での再可決によるしかありません。しかし、この乱暴なやり方は自民党内からも反発が噴出する可能性もはらみます。与党の横暴を批判する世論は急速に広がっています。
 自民党関係者は「維新との連携重視でどこまでやれるのか。こう言っている間にも円安と物価上昇は続いている。維新も大阪の意向で強硬路線をいっているが、東京の国会議員グループでは空気は異なる」とも述べます。
 今週には、社会保障国民会議での「消費税減税実施」の表明も観測されています。メディア関係者は「自民党内や財界からの反対の声が出る中で、『減税見送り』の見方も出されるが、そうなれば高市政権への国民の期待は吹き飛ぶ。他方、減税表明があっても、財源の説明がつかなければ金利の上昇と円安の進行というダブルショックに見舞われる」と指摘します。
 3日には、金利が2・81%と29年ぶりの水準に上昇する一方、為替介入の動きにもかかわらず為替レートは161~162円前後から上がらない状態が続きます。永田町の一部では「金利が3%を超えれば、4、5%へと一気に上昇する可能性も」とささやかれます。食料品の値上がりは今年中に2万品目を超えるという予測も出され、国民生活は逼迫(ひっぱく)しています。高市政権の行き詰まりは日を追って深刻さを増しています。暴走はその行き詰まりと一体のものです。(中祖寅一)