トランプ政権は29日、ニューヨークの国連本部で9月に開かれる国連総会に向けて、パレスチナ自治政府やパレスチナ解放機構関係者へのビザ発給を「拒否または取り消す」との方針を発表しました。
それはパレスチナのアッバス氏らを国連総会に出席させないためで、国連と米国が1947年に結んだ国連本部協定は、国連が招待した人物の国連本部訪問に障害を加えてはならないと定めビザの発給を義務付けていることに違反する行為です。イスラエルがガザで行っている無法と同列の行為です。
NGO「パレスチナ囚人研究所」は27日、イスラエルが2023年10月7日にガザ侵攻を始めて以来、収容所内で少なくとも77人のパレスチナ人を殺害したと告発しました。死因は拷問や必要な治療をしない医療放置、食料を与えない飢餓などです。
1967年の第3次中東戦争以降、被拘束者の死者は314人に上ります。
トルコのフィダン外相は29日、国会演説で「イスラエルとの貿易を全面的に断ち切った。イスラエル船舶のトルコ港湾の利用と、トルコ船舶のイスラエル港湾の利用を禁じた」「トルコ領空へのイスラエル機の侵入を禁じた」「イスラエルはガザ地区でジェノサイドを続け、基本的人道原則を踏みにじってきた」と強調し、レバノン、イエメン、シリア、イランヘの軍事行動を「国際秩序を損なうテロ国家的思考の最たる例」と断じました。
イスラエル軍は29日、ガザ市制圧に向け、同市を「危険な戦闘地帯」と位置づけ、同日午前10時から戦闘の「戦術的休止」の対象から外すと発表しました。ガザ市にはガザの全人口のほぼ半数にあたる約100万人が避難しています。わずかな支援物資を届けるための戦闘休止も終了したことで、ガザ市住民の飢餓がいっそう深刻になる危険があります。
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パレスチナ関係者の国連総会出席 米がビザ発給拒否
しんぶん赤旗 2025年8月31日
【ワシントン=洞口昇幸】トランプ米政権は29日、ニューヨークの国連本部で来月開かれる国連総会を前に、パレスチナ自治政府やパレスチナ解放機構(PLO)の関係者へのビザ(査証)発給を「拒否または取り消す」との方針を発表しました。
これによりパレスチナ自治政府のアッバス議長が国連総会のために訪米することができない可能性が高まりました。国連総会でパレスチナを国家承認する流れが強まるなか、アッバス氏らの出席を妨害し、国家承認の動きをけん制する狙いがあるとみられます。
米国務省は声明で、自治政府やPLOに対して「テロリズムを否定し、教育によるテロの扇動はやめるべきだ」などと主張。パレスチナの国家承認に反対する立場を改めて掲げ、イスラエルとの関係で妥協するよう圧力をかけています。
パレスチナ国連代表部は声明で、「国際法や国連本部協定に明確に反する」と訴え、トランプ政権に撤回を求めました。国連と米国が1947年に結んだ国連本部協定は、国連が招待した人物の国連本部訪問に障害を加えてはならないと定め、ビザの発給を義務付けています。
ドウジャリク国連事務総長報道官は29日の記者会見で、国連本部協定に沿って米国務省と話し合うと表明。「すべての国連加盟国、オブザーバー国家の代表が出席できることが重要だ」と述べ、方針の撤回を求める立場を示しました。
各国首脳が演説する一般討論演説は9月23日から始まります。22日にはイスラエルとパレスチナの「2国家共存」を目指す首脳級会合を予定。フランスや英国、カナダなど複数の国が、国連総会でパレスチナを国家として正式承認する方針を表明しています。
パレスチナ人77人殺害 侵攻開始以来イスラエル収容所 NGO告発
しんぶん赤旗 2025年8月31日
【カイロ=米沢博史】イスラエルに拘束されたパレスチナ人の人権を監視・記録するNGO「パレスチナ囚人研究所」は27日、イスラエルが2023年10月7日にガザ侵攻を始めて以来、収容所内で少なくとも77人のパレスチナ人を殺害したと告発しました。このうち6割以上がガザ地区出身です。死因は拷問や必要な治療をしない医療放置、食料を与えない飢餓などによるとしています。
研究所によれば、収容所では、電気ショックや全身への激しい暴行、寒冷下での裸拘束、強姦(ごうかん)など拷問が横行。過密収容と飢餓のなか、感染症がまん延していると報告しました。
また、1967年の第3次中東戦争以降、被拘束者の死者は314人に上り、そのうち77人が今回のガザ侵攻後に死亡。74人の遺体が依然として家族に返還されていないといいます。
同研究所はネタニヤフ政権の黙認や極右のベングビール国家治安相の介入が被拘束者への抑圧を強めていると指摘し「殺害の連鎖は続いている」と非難。国際社会に対し、調査委員会の設置やイスラエルヘの圧力を求め、国際刑事裁判所(ICC)に戦争犯罪として指導者を訴追するよう訴えました。
イスラエルと貿易停止 トルコ、集団殺害を非難
しんぶん赤旗 2025年8月31日
【カイロ=米沢博史」トルコのフィダン外相は29日、国会演説で「イスラエルとの貿易を全面的に断ち切った。イスラエル船舶のトルコ港湾の利用と、トルコ船舶のイスラエル港湾の利用を禁じた」と述べました。また「トルコ領空へのイスラエル機の侵入を禁じた」と述べました。
フィダン氏は「イスラエルはガザ地区でジェノサイド(集団殺害)を続け、基本的人道原則を踏みにじってきた」と強調し、ガザ地区での戦闘拡大や飢餓を招く封鎖政策を非難しました。またレバノン、イエメン、シリア、イランヘの軍事行動を「国際秩序を損なうテロ国家的思考の最たる例」と断じました。
イスラエルとトルコの関係は、イスラエルによるガザ侵攻を機に急速に悪化しました。トルコのエルドアン大統領がイスラエルのネタニヤフ首相をヒトラーになぞらえて批判する一方、ネタニヤフ首相がオスマン帝国期のアルメニア人迫害をジェノサイドと非難。双方はすでに大使を召還しました。トルコは昨年、ガザ侵攻を理由に70億/(約1兆300億円)規模の貿易を停止しています。
ガザ市 「戦闘地帯」 イスラエル軍
しんぶん赤旗 2025年8月31日
【カイロ=米沢博史】イスラエル軍は29日、パレスチナ・ガザ地区北部のガザ市制圧に向け、同市を「危険な戦闘地帯」と位置づけ、同日午前10時から戦闘の「戦術的休止」の対象から外すと発表しました。「戦術的休止」は7月27日に開始。ガザ地区の一部に人道支援物資を搬入するため毎日午前10時から午後8時まで軍事活動を停止する措置でした。
ガザ市にはガザの全人口のほぼ半数にあたる約100万人が避難しているとみられます。わずかな支援物資を届けるための戦闘休止も終了したことで、ガザ市住民の飢餓がいっそう深刻になる危険があります。