トランプは2月7日、石破首相との首脳会談を行った後で、石破氏のことを「ナイスガイで、タフガイだ。タフだ。タフだ」とか、石破氏は「強い人間。(会談の相手としては)もっと弱い人間の方が良かった」などと、率直に好感を持ったことを表明していました。石破氏はトランプにそういう印象を与えた日本の政治家としては特異のケースだったのではないでしょうか。
またトランプは9月7日には、石破総理の退陣表明について「驚いた」と述べ、そのうえで「とてもいい人だと感じた。私たちはとてもうまくやっていた」との認識を示しました。
世に倦む日々氏が掲題の記事を出しました。タイトルから明らかなように、「石破氏の退場を惜しみ、それによる政治の反動化を危惧する」という内容になっています。
同氏はこれまで政治家に対しては常に辛口の批判をして来たし、その口調?も痛快だったのでそれを期待していたのですが意外でした。
勿論 石破氏には自民党議員という限界がありますが、引きずりおろした結果「より悪い政治」になるということでは言い訳になりません。
なお 世に倦む日々氏は、CIA(トランプも?)が石破氏の退場を画策してそれが実現したと推測しています。
7日夜に(菅義偉と)小泉進次郎が公邸を訪問し深夜に至る会談を行うまでは、石破氏は森山裕幹事長と同様に「解散突入」で肚を括っていましたが、小泉との1時間半の会談後に態度を翻すことになりました。
その急展開を、「石破おろしを扇動した政治記者たち」と「石破茂を憎悪し、自民分裂の危機を死ぬほど嫌忌したマスコミ」は大いに歓迎したようですが、世に倦む日々氏は「腑に落ちない」として以下のように述べました。
「陰謀論の誹りを恐れずに言えば、CIAからの脅迫と辞令が小泉進次郎の口を通じて伝言されたのではないか」と疑うと述べ、防衛族の石破氏が「台湾有事に対して一貫して消極的で牽制的であるのが『本音』と受け止められるメッセージを放っていた」ことが、「CIAを大いに刺激した」のではないか…。「石破茂が官邸から去り、石破政権が終焉する。日本の政治は大きく反動方向に逆転する。それを一つ一つ具体的に想像すると憂鬱で気分が塞がれる」と。
そして「石破政権が転覆させられた後、新しい政権と野党の下で始まる議論はスパイ防止法だろう。参政党がその牽引車であり、高市早苗が法制化に前のめりで、維新と国民民主も賛成している。
国家が戦争を遂行するためには、反戦平和を唱えて抵抗する市民と勢力を弾圧して取り締まる必要があり、国民の思想信条を斉一化し、戦争協力態勢を固める治安立法が必要だ。
今、アメリカが予告した台湾有事の開戦まで2年という時期にあり、徴兵制と並んでスパイ防止法は日米同盟にとって喫緊の政治課題となっている」、さらに
「維新と国民民主が強力に推進しているところの、社会保障削減がポスト石破の下で本格議論される。維新は高齢者医療費の負担を3割に上げると提言し、70歳以上の医療費上限額の引き上げを言っている。
国民民主は終末期医療の見直しに踏み込み、現役世代の社会保険料負担を引き下げるためとして、臆面もなく尊厳死の法制化を堂々提案する動きに出た。いずれ維新と調整し、参政党と合意し、新しい総裁の自民党と協調して、マスコミの手を借りつつ観測気球を連続的に上げ、世論の地均しを始めるだろう。」と述べます。
「石破おろし」で大騒ぎした挙句が〝この悲惨”ということです。
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石破おろしに包囲され屈服、無念の陥落 - 日本政治は反動方向に一気に逆流
世に倦む日日 2025年9月11日
9/7、石破茂が夕刻に会見を開いて辞任表明した。7/20 の参院選の後、50日間続いた石破おろしの権力闘争に決着がつき、矢折れ刀尽きて退陣となった。総裁選前倒しに突き進む国会議員と地方組織の攻勢を止めることができず、結局、賛否を書面提出する 9/8 の期限を前に辞任発表へと追い込まれた。意思確認を行えば党の分断を生むからというのが理由説明だが、多数を確保し得ず政治的に敗北し屈服したのが真相だ。尤も、総裁選前倒しをめぐる数の取り合いで負けても、そのときは解散総選挙に打って出て国民の信を問うという最後の手段が残されていて、そのカードを切るか切らないか、石破茂は前日まで揺れていたらしい。9/8 の後藤謙次の解説では、8/31に森山裕の方から、仮に前倒し多数となった場合は解散に踏み切ろうという献策と進言があり、石破茂もその強気の選択で一度は固まっていたと言う。
石破政権は森山政権であり、政権運営(政策調整・党内調整・野党調整)は森山裕が担っている。それほど影響力の大きなキーパーソンの森山裕が、党分裂を覚悟で解散方針を決意していたのなら、石破茂もそれに乗ればよかったし、20年前の小泉純一郎の郵政解散と同じ展開となり、モメンタムを得られたと思われる。解散の大義名分など何とでも作文できる。国民多数は石破おろしを支持せず、石破続投を支持していた。選挙に3連敗した石破茂が、敢えて自民分裂の幕を作って乾坤一擲の勝負に出れば、世論の追い風を受け、劇場選挙を演出でき、衆院選に勝利して権力基盤を固められただろう。289小選挙区の自民候補者は森山裕が公認する。石破おろしに加担した現職は公認されない。そうなったとき、参政党や国民民主が立って競合し激戦となる選挙区で、無所属になり、地方団体組織(農協・医師会・土建)の支援を受けられない元自民現職は決定的に不利だ。しかも、世論からは敵役として憎まれる。
9/7 夜に菅義偉と小泉進次郎が公邸を訪問し、深夜に至る会談に及ぶ前までは、石破茂も解散突入の構えで肚を括っていた(らしい)。それが2時間の会談後に態度を翻す結果に転じた。小泉進次郎の説得の奏効だとマスコミは囃し、石破おろしを扇動した政治記者たちが喝采して言祝いでいる。石破茂を憎悪し、自民分裂の危機を死ぬほど嫌忌したマスコミは、この決着を歓迎して総裁選の政局報道に嬉々満面だ。だが、自民分裂を待望した私は腑に落ちない。小泉進次郎との1時間半の会談の中身は何だったのだろう。陰謀論の誹りを恐れず敢えて仮説を言えば、アメリカCIAからの脅迫と辞令が小泉進次郎の口を通じて伝言されたのではないか。そう疑う。防衛族の石破茂は、台湾有事に対して一貫して消極的で牽制的だった。山崎拓の口を通じて、自分が首相を続けるのは台湾有事を阻止するためだと、本音と受け止められるメッセージを放っていた。この発信はアメリカCIAを大いに刺激しただろう。
トランプは最初から反安倍の石破茂を冷遇して、不満な態度を露骨に表していた。トランプ関税の日本に対する異常な嫌がらせや虐待の数々も、明らかに、トランプ個人の石破政権に対する嫌悪と軽侮の態度がベースになっている。そのトランプに対して石破茂は「なめられてたまるか」と公然と反抗の姿勢を示していた。早くこの男を始末したいとトランプは欲望していたはずで、参院選での石破茂の敗北と失脚を望んでいただろう。石破おろしの策動にもCIAが裏で関与していた可能性は十分ある。事が成って、トランプとCIAは祝着至極と手を打ち満足しているに違いない。アメリカCIAからすれば、もともと、石破新政権は自分たちが手を貸して誕生させたフロックの政権で、用済みになったらいつでも倒すし倒せると踏んでいた使い捨ての政権に過ぎなかった。この見方は、一般には陰謀論的に映るだろうが、昨年の自民党総裁選の折、決選投票を前にプライムニュースに出演した森本敏の〝発言”を根拠として提出できる。
あの後、1年間、森本敏の姿をテレビで見ていない。あの緊迫した局面で、明らかに森本敏は、高市早苗ではなく石破茂に投票せよと示唆して選挙に介入していた。やんごとなき方面の意向を代弁していた。総理就任後に靖国参拝すると公約を壮言する高市早苗に対して、「アメリカは容認しない」と森本敏が釘を刺す重要な一幕があった。投票前の党内情勢に大きな影響を与えたと思われる。あのときの米大使はエマニュエルで、事ある毎に放恣的に日本政治に容喙していた。米政権がトランプ独裁の王権に変わり、夫婦別姓も靖国参拝も、多少位相が変わった感があり、小泉進次郎と高市早苗をアメリカCIAがどう評価・判断するかも1年前と同じではないかもしれない。1年前、アメリカCIA(エマニュエル)は日本のナショナリズムのマグマが国粋反米の方向に流れる図を危惧していた。いずれにせよ、アメリカCIAにおいては石破茂は御役御免で、トランプに従順に媚売りする、そして台湾有事(対中戦争)に積極的な日本首相に切り換えるのだろう。
石破茂が官邸から去り、石破政権が終焉する。日本の政治は大きく反動方向に逆転する。それを一つ一つ具体的に想像すると憂鬱で気分が塞がれる。ふるさと納税については、ようやく村上誠一郎が「ネット通販であってはならない」と 9/9 に正論を言い、ポイント付与を禁止する措置に出ていた。これは保坂展人らが従来から主張してきた論点からの政策転換で、石破茂らしさが出たネオリベ抑止の一事である。おそらく、これが覆されるだろう。石破おろしを剛腕した菅義偉がひっくり返すだろう。「マイナ保険証」の問題についても、石破茂は、マイナカード利用の義務化を強制しようとした河野太郎の方針を転換させ、現行保険証が使える猶予期間を設定させた。「資格確認書」の発行も整備された。「マイナ保険証」の混乱と不具合が回避される方向に進んでいた。石破茂は国民の方を向いていた。おそらく、菅義偉と麻生太郎はこれをひっくり返し、再び河野太郎の路線に戻すのではないか。維新の同意を得て「資格確認書」を廃止する強硬措置に出ると予想される。
森友問題での財務省の公文書改竄問題でも、文書不開示決定を取り消した大阪高裁判決について、石破茂は 2/6 に上告断念を決定して国民に寄り添った。官邸の主が石破茂でなかったら、この措置はあり得なかった。他にもある。例えば、大河原化工機の冤罪事件で 8/25 に検察と警察がしおらしく犠牲者の遺族に謝罪する絵が出たが、世間向けの素振りの行動だけにせよ、石破政権でなかったら果たしてこれがあっただろうかという気にはなる。袴田巌の冤罪事件で、5/29 に法相の鈴木馨祐が姉の袴田ひで子に面会し、頭を下げて謝罪している。検察が再審の控訴を断念して袴田巌の無罪が確定したのは、石破政権が発足した 10/1 の一週間後の 10/8 だった。私は偶然だとは思わない。高市早苗や小泉進次郎が首相になっていたら、この事件の司法の態度は違う方向に旋回していただろう。前回書いたところの、新浪剛史の捕物もそうである。大物の捜査には官邸の指揮権が確実に影響する。石破茂が首相でなかったら、何があっても菅義偉が新浪剛史を守り切っただろう。
残念なことに、石破茂の持論で念願だった防災庁は実現しなかった。設置準備室は立ち上げたが、おそらく、次の予算年度で骨抜きにされ、菅義偉の手で空中分解されるだろう。菅義偉の防災政策・災害対応の要諦は、竹中平蔵直伝の「自助・共助・公助」である。政府は何もしない。自衛隊は救助しない。すべて住民と自治体の自己責任でやれ。その徹底と貫徹だ。その方針が見せしめ的に、デモンストレーション的に酷薄に遂行されたのが、岸田政権下で起きた能登半島地震での被災地と被災者への放置と等閑だった。「自助・共助・公助」のネオリベ災害対応のイデオローグが関西大の永田尚三で、NHKの南海トラフ地震ドラマに出演して説教し、「政府(自衛隊・消防)は3日間救助に来ない」「各自が一週間分の備蓄で自力で生存しろ」と刷り込んでいた。最近、永田尚三の顔をテレビで見ない。石破政権に変わった影響だろう。ということは、再び永田尚三が復活して登場する。菅義偉が「体育館で雑魚寝」の避難所仕様に戻す。地方の自治体首長は戦々恐々に違いない。
石破茂は日米地位協定の改定にも意欲を燃やしていた。昨年の総裁選レースで那覇を訪れた際に「見直しに着手するべきだ」と言い、衆院選前の党首討論会でも「必ず実現したい」と発言していた。就任後は封印してしまったが、この問題にここまで踏み込んで発言する自民党議員は他にいない。防衛族の重鎮でありながら聖域に切り込む石破茂に、国民は期待を寄せて魅力を感じていた。私が石破茂を支持する最も大きな理由は、目の前に台湾有事の名の対中戦争が迫っていて、それを回避する方向に舵を取れる指導者は石破茂しかいないと思うからである。戦争は総力戦となり、日本は再び戦場となり、破滅的な被害と犠牲を出す地獄の惨状となる。国家滅亡の事態となる。中国側も、田中角栄の弟子である石破茂の総理就任を歓迎し、日中関係改善と東アジア情勢の緊張緩和に期待を繋いでいた。水面下ではそれなりに準備と調整が進んでいたのだろう。こんな短期で退場の憂き目に遭い、訪中の機会が潰えたのは残念きわまりない。訪韓と訪中で言葉を残してもらいたかった。
石破政権が転覆させられた後、新しい政権と野党の下で始まる議論はスパイ防止法だろう。9/2 に参政党がスパイ防止法制定に向けた勉強会を開催し、そこに内閣法制局の人間を呼んでいる。高市早苗が法制化に前のめりで、維新と国民民主も賛成している。秋から冬にかけて報道1930等で宣伝工作と地均しが図られ、世論調査で「賛成多数」となって既成事実化され、次の衆院選後に法案提出となるかもしれない。令和の治安維持法。国家が戦争を遂行するためには、国内の言論を統制し、反戦平和を唱えて抵抗する市民と勢力を弾圧して取り締まる必要がある。国民の思想信条を斉一化し、戦争協力態勢を固める治安立法が必要だ。昨年の総裁選で高市早苗が勝って首相に就いていれば、参院選の自民党公約にスパイ防止法が載り、選挙後には参政党と維新と国民民主の合意が組まれ、来年の通常国会で可決成立の進行になっていただろう。今、アメリカが予告した台湾有事の開戦まで2年という時期にあり、徴兵制と並んでスパイ防止法は日米同盟にとって喫緊の政治課題となっている。
もう一つ、もっと具体的で明確な政策日程は、維新と国民民主が強力に推進しているところの、社会保障削減がポスト石破の下で本格議論されることだ。維新は高齢者医療費の負担を3割に上げると提言し、70歳以上の医療費上限額の引き上げを言っている。国民民主は終末期医療の見直しに踏み込み、現役世代の社会保険料負担を引き下げるためとして、臆面もなく尊厳死の法制化を堂々提案する動きに出た。そのときは世論の猛反発を受け、現在は前面に押し出してないが、いずれ維新と調整し、参政党と合意し、新しい総裁の自民党と協調して、マスコミの手を借りつつ観測気球を連続的に上げ、世論の地均しを始めるだろう。高齢者社会保障の断固たる削減と財政保全。松原耕二が腕まくりして旗振りの出番を待っているだろう。松原耕二は緊縮財政(庶民負担増)を正当化しエバンジェリズム(⇒福音伝道)する〝使命”に熱中している。公明党には厳しい局面となり、社会保障削減を呑む選択が求められ、詰められ、自公連立の解消が現実問題として浮上するかもしれない。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。