2025年9月11日木曜日

11- イスラエルが戦闘を止めればジェノサイドは終わる ハマスが戦闘を止めれば民族浄化が進む

 ケイトリン・ジョンストンの掲題の記事を紹介します。
 彼女の記事は事例が豊富で論旨も分かりやすいので何の案内も不要に思われます(たまに難解なものもありますが・・・)。
 別掲の記事に、エルサレムの集会に参加したビキ・コーエンさんが、「ハマスが部分合意を求めればネタニヤフ首相は包括的合意を主張し、ハマスが包括的合意を受け入れれば、今度は首相が部分合意を持ち出す」と述べ、決して停戦協議が整わないようにしていると批判していることが紹介されています。
 兎に角批判は一切受け入れず、自分たちが意図することはそれがどんなに残虐な行為でも貫徹するという恐るべき集団というしかありません。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
イスラエルが戦闘を止めればジェノサイドは終わる。ハマスが戦闘を止めれば民族浄化が進む。
                 マスコミに載らない海外記事 2025年9月9日
イスラエルが武器を放棄すればジェノサイドは終わる。ハマスが武器を放棄すれば、イスラエルが計画しているガザの民族浄化は迅速かつ抵抗なしに実行される。
                  ケイトリン・ジョンストン 2025年9月5日

 イスラエル擁護者たちは良く「ハマスが武器を捨てれば戦争はなくなる、イスラエルが武器を捨てればイスラエルはなくなる」と言う。
 しかし、実際には全く逆だ。イスラエルが武器を放棄すれば、ジェノサイドは終わる。ハマスが武器を放棄すれば、イスラエルが計画しているガザの民族浄化は迅速かつ抵抗なく実行される
 トランプ大統領のガザ地区民族浄化計画が完了するまで、ガザへの猛攻撃は決して終わらないことを、非常に明確かつ、あからさまにイスラエルは表明してきた。イスラエル高官によれば、ハマスが今日降伏し、人質全員を解放したとしても、この民族浄化計画は計画通りに進むという。この点について、彼らは全く明白な態度をとっている。
 ハマスが降伏すればこの悪夢は終わると言う人は嘘つきだ。ハマスが降伏すれば、パレスチナ人がパレスチナ領土から永久に排除されるだけだ。

 イスラエル人政治家や政府の公式ソーシャルメディア・アカウントは、イスラム教徒移民はヨーロッパにとって脅威だという主張を広め始めているが、それが意味するところは、イスラエルがイスラム教徒殺害を支援しているのだから、ヨーロッパ人はイスラエルを支援すべきだということだ。
 最近、イスラエルのアラビア語Twitterアカウントが、右翼的な「大規模置換(ヨーロッパ住民がイスラム世界からの大規模移民に置き換えられること)」風論点を添えてヨーロッパ全土のモスク数を示すグラフを投稿し「これが植民地化の本当の姿だ。ヨーロッパが危険に気づかず無関心でいる間に、このようなことが起きている」と述べた。
 先月、イスラエル元首相ナフタリ・ベネットは「ヨーロッパはイスラム化している」とツイートし、ヨーロッパ全土におけるイスラム教徒移民の数について恐怖を煽った。
 水曜日に「ベルギーのデ・ウェーフェル首相はイスラエルを犠牲に、イスラム・テロを宥めようとする弱腰な指導者だ。ベルギーを食い尽くす前に、テロリストのワニどもに餌を与えようとしている」とベンヤミン・ネタニヤフ首相がツイートで述べた。
 彼らはイスラム教徒がパレスチナに暮らすのを望んでいない。ヨーロッパに暮らすのを望んでいない。まるで、イスラム教徒が生きるのを望んでいないかのようだ。

 10月7日のノヴァ音楽祭へのハマスによる攻撃直前に、ハイム・コーエンという名のイスラエル国防軍司令官が諜報機関から警告を受けていたのに、先制行動を取らなかったとハアレツ紙は報じており、「コーエンは、当初その週の火曜日の音楽祭を承認した将校でもあった」としている。
 これは、パレスチナ領土を更に奪う既存計画を推進するために、イスラエルが10月7日の攻撃を意図的に誘発して、攻撃を意図的に可能にしたと思われる膨大な証拠に新たに加わったものにすぎない。

 国防総省の名称を、第二次世界大戦直後までアメリカの軍事部門が呼ばれていたDepartment of War=戦争省(陸軍省は意図的誤訳では?)に戻す準備をトランプ大統領がしていると報じられている
 この動きには批判の声も上がっているようだが、個人的には問題ないと私は思う。アメリカが最後に自国軍を防衛目的で運用したのは一体いつのことだったろう? 戦争省と呼ぶのは、実態をその通り呼ぶに過ぎない。正直に話す方が良いだろう

 麻薬密売船だとトランプ政権が主張する船に対するアメリカによる致命的攻撃の後、更なるベネズエラ船舶に対する攻撃が予想されるとピート・ヘグゼス国防長官(間もなく「戦争長官」になると私は思う)が発表した
 水曜日「これは我々にとって極めて重大な任務なため、我が国は空、海中、海上艦船資産を有しており今回攻撃で終わることはない」とヘグゼス国防長官は報道陣に語った。
 マルコ・ルビオ国務長官は、ベネズエラはアメリカの麻薬問題に責任があるという自身の主張について報道陣から問われた際、「国連が何を言おうと気にしない」と述べ「マドゥロはアメリカに起訴され、アメリカ司法から逃亡中の麻薬密売人だ」と主張した。
 アメリカ外交官トップが「国連の言うことなど気にしない」と言いながら、主権国家指導者は「アメリカの正義」に従わねばならないと主張することほどアメリカ外交政策を正直に表すものはない。地球丸ごと自分たちのものだとこの変人連中本気で信じているようだ。
 以前にも論じた通り(英語版) 日本語はこちら。これは長年ワシントンが打倒を目指してきた石油資源に恵まれた社会主義政権に対する長年の政権転覆計画の隠れ蓑に過ぎない。麻薬取引におけるベネズエラの役割は酷く誇張されておりフェンタニル蔓延におけるベネズエラの役割など存在しない石油と資本主義と地政学的支配こそが狙いだ。

 我々の社会で、名声というのは実に奇妙なものだ。何かで成功しようと人々は努力し、多数のファンを獲得した挙げ句、莫大な富や精神病質者や寄生虫のような仲介業者や神経質な人間だらけの社交界という奇妙な閉鎖的世界に放り込まれ、気が狂い、そもそもファンが最初に彼らに夢中になったものを見失ってしまう。こんなことが何度も繰り返される。
 資本主義の下で芸術家として成功することは、自分の芸術を失うことを意味する。
                  (後 略)
記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/09/05/if-israel-stops-fighting-a-genocide-ends-if-hamas-stops-fighting-ethnic-cleansing-moves-forward/