2025年9月11日木曜日

ガザ市 住宅・テント破壊 イスラエル軍 72時間で7600人超 野ざらしに

 イスラエルのネタニヤフは8日、ガザ市で過去2日間に高層の建物50棟を破壊したと明らかにしたうえで、「これはガザ市での地上作戦の序章にすぎない。ガザの住民に告ぐ。これは警告だ、そこを出て行け」と述べ、ガザ市の制圧に向けて攻勢を強める姿勢を強調しました。
 イスラエル軍はガザ市の制圧に向けて軍事作戦を拡大していて、4日にはガザ市の4割を制圧したと発表しています。
 6日で、イスラエル軍のガザ侵攻は700日となりました。ガザ市への砲爆撃では住宅やテントを爆撃し続け、直近の3日間で子ども女性・高齢者7600人超を野ざらしの状態に追い込みました。
 国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」は6日、イスラエル軍がガザ地区へ侵攻を始めた23年10月7日から23カ月間で2万人以上の子どもが犠牲となり、平均すると1時間に人以上が殺害されていると発表しました
 欧州各地の都市で6~7日、イスラエルによるガザ地区でのジェノサイド(集団殺害)を止めさせ、政府や欧州連合(EU)に対してイスラエルヘの制裁を科すよう求める大規模なデモが行われ、怒りの声が巻き起こっていますしんぶん赤旗は、連日イスラエルの蛮行を批判する記事を出しています。下記の8つの記事を紹介します。

ガザ市 住宅・テント破壊 イスラエル軍 72時間で7600人超 野ざらしに10日付)
1時間に1人超 子を殺害 イスラエル ガザ侵攻23カ月10日付)
・ジェノサイドやめよ イスラエルに制裁を 欧州うねり9日付)
・ガザ飢え深刻 ユニセフ警告9日付)
・イスラエルとの武器貿易禁止へ10日付)
・ガザ死者・不明7万3000人超 終結求めイスラエルで集会 侵攻700日8日付)
・停戦合意追求せよ ネタニヤフ政権を非難8日付)
・ガザ市住民強制追放を非難 保健当局 餓死者は累計382人に8日付)
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ガザ市 住宅・テント破壊 イスラエル軍 72時間で7600人超 野ざらしに
                       しんぶん赤旗 2025年9月10日
 【カイロ=米沢博史】イスラエル軍はここ数日、パレスチナ・ガザ地区のガザ市への攻撃を強め、高層ビル(住宅)や避難民テントを次々破壊しました
 住民の救助にあたる民間防衛隊のマフムード・バサル広報官は8日、本紙に対し、わずか72時間で7階建て以上の高層ビル5棟(計209戸)が爆撃されたと証言しました。これにより、4100人以上の子ども・女性・高齢者が住まいを失ったといいます。
 さらに、350を超える避難民のテントが破壊され、約3500人が最後の避難場所を失いました。合わせて約550世帯、7600人以上が野ざらしの生活を強いられ、飢餓や酷暑、死に直面していると強調しました。バサル氏は、国際社会に対して緊急の介入を求めています。
 ガザ保健当局は8日、過去24時間で67人が死亡し、320人が新たに負傷したと発表しました。イスラエル軍が202310月7日にガザ侵攻を始めて以降の死者は6万4522人、負傷者は163096人に達しています。なお、多くの犠牲者がいまだがれきの下などに残されています。
 また、飢餓や栄養失調による新たな死亡が6人記録され、累計は393となりました。食料支援を求めてイスラエル軍などに殺害された人は過去24時間で14人、85人が負傷しました。累計で2430人が死亡し、1万7794人以上が負傷しています。


1時間に1 子を殺害 イスラエル ガザ侵攻23カ月
                       しんぶん赤旗 2025年9月10日
【カイロ=米沢博史】国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」は6日、イスラエル軍がパレスチナ・ガザ地区へ侵攻を始めた23年10月7日から23カ月間で2万人以上の子どもが犠牲となり、平均すると1時間に人以上が殺害されていると発表しました。
 同団体は、発表の中で、国連障害者権利委員会の報告を引用し、2万1000人超の子どもが生涯にわたる障害を負ったと指摘しました。
 さらに、イスラエル軍の爆撃で学校の97%、病院の94%が損壊。子どもは大人に比べ爆発による負傷で死亡する確率が7倍に達するなどの数値を紹介しています。
 ガザ市とその周辺では100万人以上が「壊滅的な飢餓」に直面し、その半数を子どもが占めていますガザ保健当局は8日、これまでに少なくとも140人の子どもが餓死したと明らかにしました。うち25人が国連による飢きん認定(8月22日)以降の死者です。
 セーブ・ザ・チルドレンのアフマドアルヘンダウィ地域局長は「国際社会はジェノサイド(集団殺害)の危険を前に行動を起こさなければならない。各国にはそれを防ぐ法的義務がある」と警告しました。
 同団体は即時かつ恒久的な停戦、ガザ全域への人道支援物資の無制限な搬入、そして子どもや民間人に使用される兵器供与の停止を各国に求めています。


ジェノサイドやめよ イスラエルに制裁を 欧州うねり
                        しんぶん赤旗 2025年9月9日
 欧州各地の都市で6~7日、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区でのジェノサイド(集団殺害)を止めさせ、政府や欧州連合(EU)に対してイスラエルヘの制裁を科すよう求める大規模なデモが行われました。

デモ ブリュッセルで11万人
 ベルギーのブリュッセルでは日、200以上の人権団体や援助団体が呼びかけたデモに11万人が参加し、3kmにわたって通りを人が埋め尽くしました。
「ガザのためのレッドライン」と名付けられたデモは、子どもや民間人の殺害など非道の限りを尽くすイスラエルの行動が「レッドラインを超えている」との怒りを込めて、多くの人が赤い服や赤い紙を持って参加しました。同様のデモは6月にも行われ、7万5000人が参加しています。
 ベルギー労働党のマルク・ボテンガ欧州議会議員は、デモの中からインスタグラムで「ベルギーや欧州各国の政府は、ジェノサイドヘの共犯をやめなければならない。なぜ今もイスラエルに対する制裁が行われていないのか。戦争犯罪を許している政治家やすべての人たちにレッドカードを」と訴えました。
 ベルギー政府は3日、条件が満たされれば、今月の国連総会でパレスチナ国家承認すると表明。イスラエルの過激入植者や極右閣僚の入国禁止などの象徴的な制裁措置も発表しました。
 デモ参加者は、運動の圧力が政府を動かしたとしつつ、さらに厳しい制裁を科すよう求めました。
 ロンドンでは6日、パレスチナ連帯運動や戦争ストップ連合などが呼びかけた30回目の「パレスチナのための国民行進」が行われました。ジェノサイドの停止、即時停戦を求め、英国政府によるイスラエルによる武器供与や軍事協力の停止を要求しました。
 英議会前の広場では、イスラエルのジェノサイド反対を訴えて直接行動してきた団体「パレスチナ・アクション」を政府がテロ組織に指定したことに抗議する行動が行われ、警察が約900人を逮捕しました。
 政府のテロ祖織指定によって、同団体への支持を表明するだけでも、罪に問われます。年金生活者から若者まで多様な市民が「私はジェノサイドに反対する。私はパレスチナ・アクションを支持する」を書いた紙を持って座り込むと、警察は一人一人に逮捕の理由を読み上げて「現行犯逮捕」。参加者の多くが、抗議の自由への不当な抑圧だとして逮捕への非協力を貫いたため、警官は数人がかりで参加者を1人ずつ運び出し、強制排除しました。
 6日には、パリやストックホルムでもデモが行われました。


ガザ飢え深刻 ユニセフ警告
                        しんぶん赤旗 2025年9月9日
【カイロ=米沢博史】パレスチナ・ガザ地区で飢きんが深刻化し、子どもの栄養失調が急速に悪化しています。
 パレスチナ通信によると、ガザ地区を訪問した国連児童基金(ユニセフ)のテス・イングラム中東担当広報官は7日、ガザ市の飢きんが深刻化しており、緊急対応がなければ数週間以内にガザ地区中部にも拡大しかねないと警告しました。
 ユニセフは4日付の発表で、ガザ市には現在も約100万人が残り、子どもたちは「生き延びるためのたたかい」を強いられていると指摘。「飢きんが広がる一方で、人道支援はほとんど届いていない」と強調しました。治療食や乳児用食品、妊産婦向け栄養補助、飲料水や教育支援を行っているものの、「資金と物資は圧倒的に不足している」と訴えました。
 また、ガザ地区でユニセフが支援し栄養治療を行う診療所92ヵ所のうち稼働しているのは44力所にとどまり、病院も11ヵ所だけが部分的に機能しています。新生児集中治療室(NICU)を備える病院は5ヵ所のみ。保育器は40台しかなく、1台に2人を同時に収容せざるを得ません。
 英紙ガーディアンは6日、ユニセフがガザ地区で運営する診療所で、急性栄養失調の治療計画に新規登録された5歳未満の子どもは、先月2週間だけで7000人以上、月全体では推計1万5000人超に達しました。2月の7倍にのぼり、子どもの栄養失調が深刻化していると報じました。
 ガザ保健当局によると、7日までの餓死者は387人、うち子どもは138人です。イングラム氏は、これらの死は「人為的で本来防げたもの」と強調し、イスラエルの妨害で実現していない、一日数百台規模のトラックによる食料・水・医薬品の緊急供給と停戦を求め、国際社会に即時の行動を訴えました。


イスラルとの武器貿易禁止へ
                       しんぶん赤旗 2025年9月10日
 スペイン政府は8日、イスラエルとの武器貿易の恒久的な禁止など9項目の措置を発表しました。サンチェス首相は(旧ツイッター)に投稿した動画で、「パレスチナ・ガザ地区でのジェノサイド(集団殺害)を止め、パレスチナ住民を支援するためだ」と説明しました。

スペイン政府発表
 発表された措置は、武器貿易の禁止のほかに、▽イスラエル向けの燃料を運ぶ船舶のスペイン寄港禁止 ▽イスラエル向けの武器を運ぶ航空機のスペイン領空ヘの進入禁止 ▽ガザでのジェノサイドに直接的に関与した物のスペイン入国禁止-などです。
 サンチェス首相は、イスラエルのガザ軍事侵攻について「民間人に対する正当化できない攻撃だ。自衛ではなく、無防備の市民のせん滅だ」と批判。「自国を守ることと病院を爆撃したり罪のない子どもを飢えさせたりすることは異なる」と指摘しました
 また「発表したこれらの措置によって、イスラエルのネタニヤフ政権に圧力を加え、21世紀のもっとも忌まわしい出来事を前にしてスペインが歴史の正しい側にたったと社会全体が感じられることを願う」と述べました。
 ロイター通信によると、イスラエルのサール外相は対抗措置として、スペインのディアス副首相とレゴ青少年相のイスラエル入国を禁止すると発表しました。両氏ともサンチェス氏が率いる社会労働党と連立を組む左派連合スマールに所属しています。
 これに対しスペイン外務省は「受け入れられない」と非難しました。サンチェス政権の措置はスペインの国民感情に沿ったもので、平和、人権、国際法を支持する同国の立場を反映したものだと強調しました。
 サンチェス政権は昨年5月、アイルランド、ノルウエーとともにパレスチナを国家として承認することを決めました。今年4月にはイスラエルの軍事企業からの弾薬購入契約を破棄するなどイスラエルに厳しい姿勢を取っています。


ガザ死者・不明7万3000人超 終結求めイスラエルで集会
                        しんぶん赤旗 2025年9月8日
侵攻700日
【カイロ=米沢博史イスラエルのガザ侵攻・ジェノサイド(集団殺害)が始まってから700日が過ぎた6日、パレスチナ・ガザ地区の広報当局は声明を発表し、「700日間にわたり、ジェノサイドと民族浄化が続いている」と非難しました。
 声明は、イスラエルの攻撃によるガザ地区の被害状況について、これまでに7万3731人が死亡または行方不明となっていると発表。死者の55%が高齢者・女性・子どもで、孤児は5万6320人に達しました。負傷者は16万2000人を超え、手足の切断は4800件以上。その18%が子どもです。強制移住の影響で感染症が拡大し、ウイルス性肝炎は7万1338件以上に及んでいます。
 また、これまでに医療従事者1670人、ジヤーナリスト248人、民間防衛墜(救助隊員)139人、自治体職員173人が殺害されました。
 インフラの被害も壊滅的で、ガザ地区の9割が破壊され、38の病院、833のモスク、163の教育施設が完全に崩壊。被害額は680ドル(約10兆円)以上と推計しています。農作地の94%が破壊され、漁業も壊滅状態です。
 同日、イスラエルの2大都市のエルサレムとテルアビブでは、戦争終結と人質全員の帰還を訴える数万人規模の集会が開かれました。
 エルサレムの集会では、人質の母親たちが次々に声を上げました。エイナブ・ザンガウケルさんは「ネタニヤフ首相の戦争はハマスを倒すものではなく、イスラエル社会を壊すものだ」と批判しました。アナト・アングレストさんは「首相は権力維持のために人質や兵士を兵士を犠牲にしている」と訴え、首相の姿勢を「狂気」と非難しました。
 イスラエル軍はガザ北部のガザ市の制圧に向けて軍事作戦を拡大しており、6日、同市の住民に対し南部の移動を命令しました。イスラエルによって人為的な飢餓状態に置かれ、医療の手当も受けられない負傷者や病人を含む数十万人の住民を追放することは、ジェノサイドと戦争犯罪を重ねる行為です。


停戦合意追求せよ ネタニヤフ政権を非難
                        しんぶん赤旗 2025年9月8日
【カイロ=米沢博史イスラエル2大都市のエルサレムとテルアビブで6日に開かれた、戦争終結と人質全員の帰還を求める集会では、イスラム組織ハマスとの停戦合意を追求せず、軍事制圧に固執するネタニヤフ政権への強い批判が噴き出しました。

イスラエル人質家族ら
 エルサレムの集会で、ビキ・コーエンさんは「ハマスが部分合意を求めれば首相は包括的合意を主張し、ハマスが包括的合意を受け入れれば、今度は首相が部分合意を持ち出す」と述べ、
停戦協議をないがしろにするネタニヤフ首相を強く批判しました。
 ヤエル・アダルさんも「首相が閣議で『部分合意は不適切、包括合意も不適切、ガザ占領こそが議題だ』と語る神経は理解できない。良心はないのか」と問いただしました。
 テルアビブの集会では、人質の妻リブカ・ブフボットさんが「私たちに必要なのは哀れみではなく行動だ。戦争を終わらせ、人質全員を取り戻す包括的合意が必要だ」と強く訴えました。
 集会の主催者、人質・行方不明者家族会(家族会)は声明で、「軍事作戦は人質を直接危険にさらしている」と警告し、「首相はただちに交渉団を派遣し、戦争終結と人質全員の帰還を実現するための協議を開始すべきだ」と主張しました。
 イスラム組織ハマスは同日、仲介国の提案した停戦合意(8月18日)への支持を改めて確認。ハマスは、「恒久的な停戦、ガザからの全面撤退、無条件での支援物資搬入、真剣な仲介交渉を通じた本格的な捕虜交換につながるいかなる提案にも開かれている」と表明しています。
 家族会の声明は、「ハマスの本日の声明は、イスラエル政府の視野の狭さを改めて浮き彫りにしている」と指摘。「首相の個人的な延命本能が、人質全員の救出や終わりのない戦争による不必要な死の防止より優先されることは許されない」と述べています。


ガザ市住民強制追放を非難 保健当局 餓死者は累計382人に
                        しんぶん赤旗 2025年9月8日
【カイロ=米沢博史ガザ保健当局は6日、飢餓と栄養失調によって過去24時間で新たに6人死亡し、累計382人に達したと発表しました。そのうち135人は子どもです。保健当局は「封鎖により240万人超の住民が飢餓に直面し、100万超の子どもが死の危険にさらされている」と警告しました。
 同広報当局は、イスラエル軍がガザ市など北部から住民を強制追放していると非難。同軍が避難先として「安全地帯」に指定した南部マワシ地区にも109回爆撃したと告発しました。

 こうした住民追放は、「ジュネーブ条約やローマ規程に明白に違反する戦争犯罪であり、人道に対する罪だ」と強調し、イスラエルとそれを支援する米国などに全責任があると指摘。国連や国際社会に対し、即時停戦、人道封鎖の解除、避難民の帰還保障、さらに占領責任者を国際法廷で戦争犯罪人として裁くための実効性ある行動を求めました