国際ジェノサイド学者協会(IAGS)は8月31日、イスラエルがパレスチナ・ガザ地区で行っている「政策と行動」について、国際法上のジェノサイド(集団殺害)の要件を満たすと認定し、即時停止を求める決議を採択しました。IAGSは、過去から現代に至るジェノサイドの研究と分析、防止に向けた政策提言を行ってきた国際的影響力のある学術団体で、世界のジェノサイド研究者が参加しています。
決議は、国際社会が「ジェノサイド防止条約に基づく責任を果たすべきだ」と訴え、各国にICC逮捕状の執行に協力するよう呼びかけました。
イスラエル軍がパレスチナ・ガザ地区で続けるジャーナリスト殺害に対し、50カ国以上200を超える報道機聞が1日、共同で抗議し、報道の自由の保障を訴え、さらに国連安保理に「イスラエル軍の犯罪を止める強力な行動」を呼びかけました。
この行動は国際ジャーナリスト連盟(IFJ)、国境なき記者団(RSF)国際市民運動ネットワーク「アバーズ」が共同で呼びかけました。
ベルギーのプレボ外相は2日、今月ニューヨークで開かれる国連総会でパレスチナを国家承認すると発表しました。オーストラリア、英国、カナダ、フランスも同じ意向を示しており、パレスチナ・ガザ地区を侵攻するイスラエルに対する国際的な圧力が強まっています。
プレボ氏はXへの投稿で「パレスチナ、特にガザ地区での人道的惨事や、イスラエルが国際法に違反して行っている暴力」を受けての決定だと述べ、イスラエルに対し12の「強硬な」制裁を課すとしています。
サイバーセキュリティ関連の大規模イベント「サイバーテック東京2025」が4日、都内のホテルで開かれるのに先立って、登壇者の3分の1以上がイスラエル人であることを問題視した日本の市民団体が1日、イベントを後援する日本政府の経産省及び内閣官房の担当者と後援の撤回などを求める交渉を行ないました。
市民団体は事前に10項目の質問書を出しましたが、政府の担当者は文書で回答をせず、口頭で「答える立場にない」などの回答を何度も繰り返しました。
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ガザ虐殺 ジェノサイドと認定 国際学会即時停止求め決議
しんぶん赤旗 2025年9月3日
【カイロ=米沢博史】国際ジェノサイド学者協会(IAGS)は8月31日、イスラエルがパレスチナ・ガザ地区で行っている「政策と行動」について、国際法上のジェノサイド(集団殺害)の要件を満たすと認定し、即時停止を求める決議を採択しました。
【ジェノサイド(集団殺害)】
集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約(ジェノサイド条約)の第2条は、集団殺
害について、「国民的、人種的、民族的又は宗教的集団を全部又は一部破壊する意
図をもって行われた」行為と定義し、▽集団構成員を殺す ▽重大な肉体的又は精
神的な危害を加え ▽肉体の破壊をもたらすために意図された生活条件を集団に対
し故意に課す ▽集団内における出生を防止することを意図する措置を課す ▽集
団の児童を他の集団に強制的に移すーの五つを挙げています。これらの行為のため
の共同謀議、直接・公然の教唆、未遂、共犯も処罰の対象となります。
IAGSは、過去から現代に至るジェノサイドの研究と分析、防止に向けた政策提言を行ってきた国際的影響力のある学術団体で、世界のジェノサイド研究者が参加しています。
3ページに及ぶ決議は、イスラエルが2023年10月7日のガザ侵攻以降続けてきた「ガザのパレスチナ人に対するジェノサイド、戦争犯罪、人道に対する罪を構成するすべての行為を直ちにやめる」よう求めています。これらの行為には、「子どもを含む民間人に対する意図的な攻撃と殺害、飢えさせること、住民の生存にとって不可欠な人道援助、水、燃料その他の物資のはく奪、性的・生殖に関する暴力、住民の強制的な追放」が含まれるとしています。
また、政権や軍幹部がガザ住民を「人間の動物」と呼び、「ガザを更地にする」「地獄に変える」と発言したことを「集団を破壊する意図」の証拠と強調。さらに、イスラエルのネタニヤフ首相が米国のトランプ大統領によるガザからのパレスチナ人追放計画を支持したことについて、国連のパレスチナ調査委員長が「民族浄化に相当する」と表明したことに言及しました。
IAGSは、イスラエルの行為をジェノサイドと認定するに当たって、▽国際刑事裁判所(ICC)によるネタニヤフ首相とガラント前国防相に対する逮捕状発出 ▽国際司法裁判所(ICJ)がジェノサイドの可能性があると認定して、イスラエルに停止を命じた暫定命令 ▽アムネスティ・インターナショナルなど国際人権団体の調査結果-を踏まえました。
またイスラエルに対してハマスが行った攻撃も国際犯罪を構成するとしました。
決議は、国際社会が「ジェノサイド防止条約に基づく責任を果たすべきだ」と訴え、各国にICC逮捕状の執行に協力するよう呼びかけました。
ジャーナリスト殺害に抗議 報道機関が国際共同行動
しんぶん赤旗 2025年9月3日
【カイロ=米沢博史】イスラエル軍がパレスチナ・ガザ地区で続けるジャーナリスト殺害に対し、50カ国以上200を超える報道機聞が1日、共同で抗議し、報道の自由の保障を訴えました。新聞は1面を黒塗りにし、テレビやラジオは番組を一時停止して声明を発表。オンラインメディアもホームページのトップをブラックアウトしました。
この行動は国際ジャーナリスト連盟(IFJ)、国境なき記者団(RSF)国際市民運動ネットワーク「アバーズ」が共同で呼びかけました。
RSFのティボー・ブルタン事務局長は、ガザでのジャーナリスト殺害の横行を「ジャーナリズムヘの戦争」と非難。IFJのアンソニー・ベランジエ事務局長も「人々の知る権利は深刻に損なわれている。国連はジャーナリストの安全と独立を保障する国際条約を制定すべきだ」と訴えました。
RSFは声明で、ガザのジャーナリストの保護、イスラエル軍の不処罰の終結、外国報道機関のガザヘの自由な立ち入りの保障などを国際社会に要求。さらに国連安保理に「イスラエル軍の犯罪を止める強力な行動」を呼びかけました。
この国際行動には、ロイター通信、AP通信、中東のアルジャジーラ、仏紙ルモンド、スペイン紙バイスなどが参加しました。
パレスチナ国家承認ヘ ベルギー 英・仏・加・豪に続き
しんぶん赤旗 2025年9月3日
ベルギーのプレボ外相は2日、今月ニューヨークで開かれる国連総会でパレスチナを国家承認すると発表しました。オーストラリア、英国、カナダ、フランスも同じ意向を示しており、パレスチナ・ガザ地区を侵攻するイスラエルに対する国際的な圧力が強まっています。
プレボ氏は自身のX(旧ツイッター)への投稿で「パレスチナ、特にガザ地区での人道的惨事や、イスラエルが国際法に違反して行っている暴力」を受けての決定だと述べました。また、占領地からの輸入禁止やイスラエル企業からの公共調達に関する政策の見直しをはじめ、イスラエルに対し12の「強硬な」制裁を課すとしています。
パレスチナ問題を巡りイスラエルとパレスチナ独立国家の「2国家共存」による解決を目指すとした「ニューヨーク宣言」に署名するとも表明し、国家承認は「2国家解決」への道を開くと指摘しました。
4月時点で国連加盟国の75%にあたる147カ国がパレスチナを国家承認しています。
パレスチナでの虐殺に加担する「サイバーテック東京2025」/市民団体が政府交渉
レイバーネット日本 2025-09-03
パレスチナでの虐殺に加担する「サイバーテック東京2025」
〜市民団体が後援の撤回など求め、政府と交渉〜
竪場勝司
サイバーセキュリティ関連の大規模イベント「サイバーテック東京2025」が9月4日、東京都内のホテルを会場に開かれる。登壇者の3分の1以上がイスラエルからの登壇者で、海外での暗殺作戦などを指揮した元モサド長官をはじめ、元軍人、元諜報機関幹部、関連企業幹部などが多く含まれている。イスラエルのサイバーセキュリティ企業は、パレスチナでの虐殺、民族浄化を支える基幹産業でもあり、日本の市民団体が9月1日、イベントを後援する日本政府の経産省及び内閣官房の担当者と、後援の撤回などを求める交渉を衆議院第二議員会館で行なった。市民団体が事前に出していた質問に対して、政府の担当者は文書で回答をせず、口頭で「答える立場にない」などの回答を何度も繰り返した。
政府側は文書回答せず、「答える立場にない」繰り返す
「サイバーテック」は元々イスラエルで毎年開催されていたもので、2017年に初めて東京での開催が始まり、コロナ禍による中止をはさんで、今回が6年ぶりの東京での開催となった。
政府との交渉は、「武器取引反対ネットワーク(NAJAT)」、「ジェノサイドに抗する防衛大学校卒業生の会」、「BDS Japan Bulletin」の3団体が呼びかけて実施した。約40人が参加し、司会進行はNAJAT代表の杉原浩司さんが務めた。
市民団体は事前に10項目にわたる質問書を経産省と内閣官房に送り、文書による回答を求めていた。政府側からの文書回答はなく、交渉会場で政府側が配布したのはイベントのプログラムを印刷した資料だった。「なぜ文書による回答ではないのか」と杉原さんが問いただしたのに対し、経産省の担当者は「本行事はサイバーセキュリティに関連した技術的課題に焦点を当てた、世界中の当局や企業の間で最新の動向や、共通的課題に対するグッドプラクティスを勉強し合うためのイベント、すなわちカンファレンスと展示会だ。お配りした文書で、回答が完結すると考えている」と述べた。
また経産省の担当者は「本行事は、みなさんが言うような、ガザ地区のおけるイスラエルの軍事的行為に関係するとは思っていない」、「イスラエルの軍事的行為に関する(日本)政府の見解について、私たちはお答えする立場にない」などとも発言した。これに対し杉原さんは「あなた方が後援を出して登壇をさせ、お墨付きを与えている。『立場にない』ではなく、あなた方は当事者だ。あなたの説明は、文書回答をしない理由にはなっていない」と厳しく指摘した。
イベントはイスラエルによる虐殺とは「無関係」と強弁
ここから交渉は、各質問項目に政府側が口頭で回答し、回答内容をめぐる議論になった。「1年以内の占領終結をイスラエルに求め、各国政府にそのための行動を求めた24年9月18日の国連総会決議には日本政府も賛成票を投じている。この決議について、内容を把握し、サイバーセキュリティ政策に反映させる必要を認めているのか?」の質問に対して、経産省の担当者は「国連総会決議に関する政府の対応・見解については、私どもとして答える立場にない」と回答。杉原さんがさらに「日本政府がこの決議に賛成したということを持って、経産省がこの1年近くで何か具体的措置を講じたはあるのか」と問いただし、担当者は「決議の内容を反映させるような政策はなかった」と答えた。杉原さんは「反映させる政策はなく、やっているのはサイバーテックに後援を出したこと。私たちからみると、全く逆行することをやっている」と批判した。
後援を決定した理由について経産省の担当者は「このイベントに後援名義を発出することは我が国産業界におけるサイバーセキュリティ対策の向上・促進につながると考えた。後援名義を発出することが、イスラエルの軍事的行為に与するものだとは考えていない。配布した資料にあるように各国の当局が登壇することが、その証左だ」と発言した。
この後も、質問項目ごとのやり取りがあったが、経産省と内閣官房の担当者は「答える立場にない」の回答を頻発。「イベントは最先端のサイバーセキュリティ技術を学ぶ勉強会」とし、イスラエルによる虐殺行為とは「関係ない」との主張を繰り返した。
交渉の最後に、市民団体側はイベントに対する後援撤回を強く求め、杉原さんは「そうしないと、日本政府はイスラエルのジェノサイドの共犯だということになる。フランスやイギリスでさえ、国際的非難を浴びて、武器見本市のイスラエル企業の出展を、一部であれ制限している。日本政府は何をやっているのか。幕張の見本市でも堂々と人を殺しているドローンの模型を展示させて、後援して。今度はサイバーセキュリティ。同じように虐殺に由来するような技術をPRさせて後援を出して、登壇させて。どこまで日本政府は堕ちるのか」と批判の声を強めた。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。