2025年9月8日月曜日

自民党の再生はもうない/石川元秘書の死を悼む/「石破辞めるな」の激励デモ

 田中龍作氏が掲題の3つの記事を出しました。
☆自民党の再生はもうない
 自民党は小選挙区制度が出来たことで将来に向かって安泰と考えたようですが、そこで起きたことは、二世、三世の議員たちの関心事は選挙時に政府の公認を得られるかどうかということで、経済的困窮が進む選挙区民たちのことではありませんでした。
 そうなれば選挙区民の支持を失うのは自明のことでその時期が到来したのであり、もう支持の回復は困難という見方です。

☆石川元秘書の死を悼む~国策捜査と小沢一郎
 2009年8月30日、衆院選で小沢一郎氏が率いた民主党が単独過半数を大幅に上回る308議席を獲得し、政権交代を確実にしました。
 これに恐怖を抱いたのが体制側で、検察は小沢氏の資金管理団体「陸山会」が2004年に不動産を購入したことに関して、小沢氏本人と秘書ら3人を政治資金規正法違反であると2010年に「捏造」し、小沢氏は嫌疑不十分で不起訴となりました(その後検審が強制起訴するも無罪で結着)が元秘書2人と現役秘書1人の計3人が逮捕起訴されました。
 この間、しんぶん赤旗を含めたあらゆるメディアが徹底して「小沢叩き」を行ったので体制側の狙いは十分に達成されました。
 実刑判決を受けた元秘書で当時衆院議員であった石川知裕氏は先日まだ50代の若さで亡くなりました。

☆人々は最後まで自民党本部前で「石破辞めるな」と叫んだ
 酷暑の中の13時、石破降ろしに強い危機感を抱く人々約50人が自民党本部前に集まりました。プラカードを手にした女性は「石破さんが辞めると極右とかが入って来て危なくなるからねえ」と言って顔を曇らせました。神奈川県から駆けつけた女性は、ツボ議員が石破降ろしを仕掛けていることを憂慮していました。
「石破辞めるな」激励デモが始まって1カ月以上が経ちます。これほどまでに惜しまれた首相がかつていただろうかと記事は述べています。
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自民党の再生はもうない
                     田中龍作ジャーナル 2025年9月5日
総裁選が前倒しされようがされまいが、自民党が往時の勢いを取り戻すことはない。
自民党が有権者に愛想を尽かされたのは、この党が民意とまったく掛け離れた政治をしているからだ。
自民党が2日に発表した参院選の総括で『国民の声を聴く活動の不足』なんて悠長なことを言っているが、改善のしようもない。
こうなったのは小選挙区制(1994年導入)によるところが大きい。
中選挙区制では自民党のライバルは自民党だった。定数3で、「自民」「自民」「社会」が指定席とすると、自民党はそこに3人も候補を立てたりした。
2人しか立てなくてもトップ争いをした。地元の面倒をどれだけ見ているかで競った。
支持者の家の子は、長男がこんど高校に上がって、長女が中学校に上がって、という所まで知っていて、進学、就職の面倒を見た。
選挙区の子供は自分の子供だという保守政治家ならではの自負があった。
田中の親戚筋は自民党の地域ボスに高校を出してもらった。民草の事情を把握して対応しないことには自民党議員として当選を重ねることができなかったのだ。親戚筋は終生、自民党に投票した。



石破首相に続投されると困るアベ派裏金ツボ議員たち。=昨年2月、自民党本部 撮影:田中龍作=





1994年は日本政治のターニングポイントだった。小選挙区制になり、党の公認を得ることが至上命題になった。地元有権者の声は二の次になったのである。

かりに中選挙区制に戻したとしても、世襲が3代目、4代目まで行ってしまったら、手の施しようがない
東京生まれで東京育ちのボンボンがたまに選挙区に帰って、取って付けたようなお国言葉で何が話せるというのか。
どうしても保守でなければならないという層に向けては、国民民主党と参政党がある(田中は両党とも支持していないが)。
自民党でなくてはならないという政治環境はもはやなくなった。それもわきまえず、内紛に明け暮れ、自らの醜態にも気づいていない。
石破おろしは自民党の最終章となるだろう。



「さようなら自民党政治」が現実のものとなりつつある。=昨年3月、国会正門前 撮影:田中龍作=




  ~終わり~


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石川元秘書の死を悼む~国策捜査と小沢一郎
                     田中龍作ジャーナル 2025年9月6日





小沢一郎と石川知裕。今となっては見ることのできないツーショットだ。=2013年3月、豊島公会堂 撮影:取材班(島崎ろでぃ)=







国策捜査による、あの冤罪事件がなかったら日本はここまで転落しなかっただろう。

小沢一郎の資金管理団体「陸山会」による不動産購入をめぐって、小沢本人と秘書ら3人が政治資金規正法違反でデッチ上げられる事件があった。2010年のことだ。不動産購入は2004年。
4億円という巨額の資金移動で痛くもない腹を探られないように分割して税務署に申告したことが政治資金規正法違反の「期ズレ」に当たる、とされた。形式犯である。多くの事務所(資金管理団体)がとっているような常識的な手法だった。
小沢は嫌疑不十分で不起訴となったが、元秘書2人と現役秘書1人の計3人が政治資金規正法違反で逮捕起訴された。
元秘書のうち1人が衆院議員(当時)の石川知裕だった。資金担当の秘書だった石川は起訴後の取り調べで、『小沢先生に虚偽記載を報告し了承を得た』と供述したことにされていた。
ところが、そんなことはひと言も言っていなかった。石川が持ち込んでいたICレコーダ―に記録されていないのだ。検察の捏造だったのである。

判決内容は検察以上に検察寄りだった。疲れ切った表情の石川議員。=2011年9月、衆院会館 撮影:田中龍作=
検察以上にイカサマだったのが裁判所だった。世田谷の土地購入をめぐって石川は逮捕起訴されたのだが、裁判所は起訴事実にはないことを認定して石川に有罪判決を下したのである。

さらに凄まじかったのがマスコミだった。石川によると「裁判所が不採用にした検察調書の内容まで報道された」という。
検察、裁判所、マスコミあげて小沢をクロにしようとした。まさしく国策捜査である。
その後、小沢は検察審査会に申し立てられ強制起訴となる。無罪が確定したのは2012年11月
小沢の手腕により民主党が政権を取ったのが2009年9月。直後の2009年11月に政治資金規正法違反で告発され、やっとこさ無罪が確定したのが2012年11月。
野田首相率いる民主党がアベ自民党に政権を明け渡したのが同年12月。
米国と対等の関係を掲げて「検察改革」「記者会見の開放」「消費税は上げない」…小沢や鳩山由紀夫らがリードして掲げてきた民主党の改革の多くは、経団連や新聞テレビにとって都合の悪いものだった。
小沢が冤罪に苦しめられることなく、存分に剛腕をふるえていたら、自民党の政権復帰はなかったかもしれない。
石川知裕。国策捜査を最もよく知る男が黄泉へと旅立った。《文中敬称略》

  ~終わり~


人々は最後まで自民党本部前で「石破辞めるな」と叫んだ
                     田中龍作ジャーナル 2025年9月7日




13~14時という一番暑い時間帯にもかかわらず、参加者たちは石破首相に激励を送り続けた。=7日、自民党本部前 撮影:田中龍作=



13時、自民党本部前に約50人が集まった。石破おろしに強い危機感を抱く人々だ。

悪い奴と交代しないで(写真)と書いたプラカードを手にした女性は、「石破さんが辞めると極右とかが入って来て危なくなるからねえ」と言って顔を曇らせた。
ツボ議員が石破おろしを仕掛けていることを憂慮する参加者もいた。神奈川県から駆けつけた女性だ。
彼女は韓鶴子総裁への捜査が韓国で進んでいることをあげ、石破首相が退陣しツボ議員が復権すると「日本が危なくなる」と眉間に皺を寄せた。
統一教会の資金源は日本だ。韓国特別検察が韓鶴子総裁を自供に追い込んで、日本の政治家名が出てきても、ツボ議員たちが政権を支えていれば、捜査共助なんて望むべくもない。
結果として日本が統一教会の解放区となる恐れさえある。
「石破辞めるな」「石破頑張れ」「負けるな負けるな石破」…炎天下、参加者たちは声をあげ続けた。
「石破辞めるな」激励デモが始まって1カ月以上が経つ。これほどまでに惜しまれた首相がかつていただろうか
自民党本部前での石破激励デモが解散したのは14時。それから1時間20分後、NHKが速報で「石破首相が辞任する意向を固めた」と伝えた。
自民党議員たちは国民世論なんて意に介さず、自分たちにとって不都合な石破首相を退陣に追い込んだ。
裏金議員が跋扈し、統一教会の解体と被害者救済は進まなくなる。燭光が見えたのも束の間、この国は暗黒の無法社会に向かって突き進むのだろうか。独裁は瞬く間にやってきそうだ。

  ~終わり~