2026年8月15日土曜日

露国の現大統領と前大統領が反露政策を続ける日本政府に警告(櫻井ジャーナル)

 ロシアのプーチン大統領はサハリン島沖の軍事演習視察のついでに13日択捉島を訪問しまし。高市首相はこれに強く抗議する発言をし、茂木外相はロシアの駐日大使を呼んで抗議しました。
 それに対してロシアの駐日大使は、「北方4島はポツダム宣言に基づいて正式にロシア領になったもので、大統領が国内の何処に行こうとも何の制約も受けるものではない(要旨)」との声明を出しました。
 そのこと自体は事実ですが、交渉の余地がないということではなく 事実これまでの交渉の中で「2島返還」が現実する寸前まで行きましたが、「返還後そこに米軍基地を置かない」ということを日本側が確約できなかったので、実現に至らなかったという経過もありました。
 なお別掲の植草一秀氏の記事には別の理由「ダレスの恫喝」が記載されています。上記の事態はその後の数次にわたる「日ソ交渉」の中でのことと思われます。

 櫻井ジャーナルの掲題の記事を紹介します。
 併せてしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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露国の現大統領と前大統領が反露政策を続ける日本政府に警告
                        櫻井ジャーナル 2026.08.14
 ロシアのウラジミル・プーチン大統領はロシア太平洋艦隊が軍事演習を行っていたサハリン島に続いて8月13日に択捉島を訪問した。日本の反ロシア政策に対する警告だと言えるだろう。
 それに対し、高市早苗首相は「断じて容認できない」と発言、茂木敏充外務大臣は「歴史的にも国際法上も日本の固有の領土の一部である」と主張しているが、これには説得力がない
 戦後日本は「ポツダム宣言」の受諾から始まるが、その宣言には「カイロ宣言の条項は、履行せらるべく、又日本国の主権は、本州、北海道、九州及四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべし」とある。確定している日本の領土は本州、北海道、九州、四国だけであり、残りの領土は連合国が決めることになっているわけで、択捉島の領有を日本が一方的に主張することはできない
 択捉島の南にあり、連合国から日本の領土だと認められた北海道もアイヌが住むアイヌモシリだった。つまり日本領ではない。イギリスの私的権力を後ろ盾とする明治維新で成立した明治政権が併合したというべきだろう。イスラエル人が入植し、パレスチナ人から土地を奪っているヨルダン川西岸と似ている。択捉島について「歴史的にも国際法上も日本の固有の領土の一部である」と言うことはできないのだ。

 そうした説得力ない主張を最近の日本政府が主張するのは、アメリカが日本とソ連/ロシアの接近を嫌っているからだ。アメリカは千島列島から南西諸島までの島々を中国やソ連/ロシアに対する軍事的な拠点と考えている
 中曽根康弘は首相に就任して間もない1983年1月にアメリカを訪問、その際にワシントン・ポスト紙のインタビューを受けたのだが、その中で「日本列島をソ連の爆撃機の侵入を防ぐ巨大な防衛のとりでを備えた不沈空母とすべきだ」と発言、さらに「日本列島にある4つの海峡を全面的かつ完全に支配する」とし、「これによってソ連の潜水艦および海軍艦艇に海峡を通過させない」と語ったと報道された。
 当然のことながらこの発言は問題になり、中曽根は「不沈空母」発言を否定しようとするのだが、インタビューが録音されていたことを知ると「巨大空母」と言ったのだと主張して誤魔化した。その前からイスラエルは自国のことをアメリカの中東における不沈空母だと表現していたので、それを記者は使ったのかもしれない。
 ダグラス・マッカーサーは第2次世界大戦や朝鮮戦争の際、台湾を「不沈空母」と呼んでいたが、日本軍も中国を空爆するための空母として利用していたが、アメリカは千島列島から南西諸島までの島々を自分たちの航空母艦群と考えてきた。ウクライナと似た位置づけだとも言える。
 それに対し、ロシアのドミトリー・メドベージェフ安全保障会議副議長は千島列島について永遠にロシアの領土だと主張、日本がその領有権を主張し続けることは「火種を求める」行為だと述べた。事実、日本政府の主張は「火種を求める」行為だが、それはアメリカ支配層が願っていることにほかならない。アメリカは日本をウクライナのようにしたいのだ。

 ロシアや中国は北極海航路を切り開きつつあるが、この航路は千島列島を通過する。その航路を成立させるためには千島列島の領有が重要になる。西ヨーロッパ諸国はロシアの輸送船を「影の船団」と称し、攻撃しているが、それについてもメドベージェフは発言している。
 ロシア以外の国旗を掲げてロシアの商船が航行することはあるが、それは「便宜置籍船」である。税金や規制にかかる費用を節約するために船主の国とは異なる国に船舶を登録しているのであり、一般的に行われていること。そうした船を西ヨーロッパ諸国が勝手に拿捕する権利はない
 もし、船主がロシアの便宜置籍船を西ヨーロッパ諸国が攻撃したならば、どの海域であろうと、敵の利益となる貨物を運んでいると疑うに足る十分な根拠があれば攻撃できるということだと警告している。アメリカ軍の命令に従い、自衛隊がロシアの商船を攻撃すれば、日本の商が報復されるということだ。


高市首相「許容できず」
                       しんぶん赤旗 2026年8月14日
 高市早苗首相は13日、ロシアのプーチン大統領が択捉島を訪問したことについて「日本の一貫した立場と相いれず、断じて許容できない」と非難し、「強く抗議する」と表明しました。
「北方領土は歴史的にも国際法上もわが国固有の領土だ」と強調しました。首相公邸で記者団の取材に応じました。
 首相は記者団に対し、プーチン氏訪問を自身が把握したのは「きょうの午後」だったと明らかにしました。日本政府関係者は「プーチン氏の訪問は驚いた」と述べ、想定外だったことを認めました。
 首相は「今回の訪問は日本国内の対ロ感情を一層厳しくし、中長期的な関係回復を困難にした」と指摘。「ロシア側にはこのことの重大さを深刻に受け止めてほしい」と述べました。


ロシア大統領の千島訪問に断固抗議する 日本共産党議長 志位和夫
                       しんぶん赤旗 2026年8月14日
 日本共産党の志位和夫議長は13日、以下の談話を発表しました。

 一、ロシアのプーチン大統領は13日、自身としては初めて日本の領土である千島列島の択捉島を訪問した。ロシアが不当に併合した千島列島の占領の固定化を図ろうとするもので、日ロ領土問題の公正な解決に反する行動であり、断固として抗議する。
 一、同大統領は、千島列島が第2次世界大戦の結果としてロシア領となったなどと述べているが、日ロの領土問題は、第2次世界大戦の終結時に、ソ連が「領土不拡大」という戦後処理の大原則を踏みにじって、日本の歴史的領土である千島列島を自国領土に一方的に編入し、北海道の一部である歯舞群島、色丹島までも編入したことによって起こったものであり、最悪の覇権主義の現れの一つであったことを厳しく指摘したい。
 一、ロシアがウクライナへの無法な侵略戦争など覇権主義的な行動を強めている今、領土問題の解決のためには、国際的道理にたった行動がいよいよ大切である。日本政府がサンフランシスコ講和条約にある「千島放棄」条項を不動の前提とせず、第2次世界大戦の戦後処理の不公正を正すという立場に確固として立ち、全千島列島と歯舞群島、色丹島の返還を求めることが必要である。わが党はその立場で政府が領土交渉の立て直しを図ることを強く求める。