2026年10月12日月曜日

ガザ侵攻3年 停戦下で続く民族浄化

 イスラエルのガザ侵攻から7日で3年になります。ガザ保健局によると死者は累計7万4200人以上、負傷者は17万5000人以上に上っています。これにはがれきに埋もれた行方不明者は含まれていません
 昨年10月の停戦後もイスラエル軍は攻撃を続け、死者数は1400人超に達しています。住宅や避難テント、民間車両などへの攻撃を繰り返し、9月だけで100人以上が殺されました。
 ヨルダン川西岸では、イスラエル軍の攻撃や入植者による暴力によって1200人以上が殺害され、住宅、土地、耕地や生業の破壊が大規模に進められています。外形的には戦時下ではありませんが、その中で入植者などによる殺人が平然と繰り返されているのは、「恐怖」以外のものではありません。
 しんぶん赤旗の下記の3つの記事を紹介します。
 ・ガザ侵攻3年 停戦下で続く民族浄化
 ・ガザ侵攻3年 現地専門家4人に聞く 住民追放に抵抗し生きる 
 ・世界で孤立深めるイスラエル
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ガザ侵攻3年 停戦下で続く民族浄化
                       しんぶん赤旗 2026年10月7日
【カイロ=米沢博史】イスラエルのガザ侵攻から7日で3年になります。ガザ保健局によると死者は累計7万4200人以上、負傷者は17万5000人以上に上っています。これにはがれきに埋もれた行方不明者は含まれておらず、各地で掘り出された遺体の集団埋葬が行われてきました。

 昨年10月の停戦後もイスラエル軍は攻撃を続け、死者数は1400人超に達しています。住宅や避難テント、民間車両などへの攻撃を繰り返し、9月だけで100人以上が殺されました。イスラエル軍は、停戦合意が定めたラインを越えて支配区域を拡大し、ガザの約65%を支配。住民の排除が続いています。
 停戦合意には、第1段階で十分な人道物資の搬入や避難民の安全な帰還や居住地の確保なども盛り込まれていますが、イスラエルは履行していません。
 国連人権理事会のアルバネーゼ特別報告者は、殺害や住居・インフラの破壊、支援物資の搬入制限などを、パレスチナ人を土地から追い出す政策と指摘。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)も、こうした措置が民族浄化につながっているとの懸念を示しています。
 イスラエルのネタニヤフ首相は6月、ガザ住民の「自発的移住」を進めていると認め、ベングビール国家治安相は9月、7年間で186万人をガザから移住させる計画を発表しました。
 パレスチナ中央統計局によると、この3年間でガザでほぼ全人口に当たる約200万人が強制移動を余儀なくされました。多くはガザ内で幾度も避難を繰り返しています。国外に逃れた人も10万人を超え、そのうち帰還できたのは約7000人にとどまります。
 停戦第2段階への移行も進んでいません。イスラム組織ハマスは7月30日、イスラエル軍が段階的撤退を進めることと連動して、武器を1月発足予定のパレスチナ人による行政実務機関「ガザ行政国家委員会」(NCAG)に引き渡すと表明しました。しかしイスラエルはハマスの完全な武装解除を求め、撤退を拒否。NCAGのガザ入りも認めていません。
 ガザ住民は避難を繰り返しながら土地にとどまり、懸命に生活を立て直す抵抗を続けています。


ガザ侵攻3年 現地専門家4人に聞く 住民追放に抵抗し生きる 
                       しんぶん赤旗 2026年10月7日
【カイロ=米沢博史】イスラエルによるガザ侵攻から3年を迎える現在、ガザでの武力侵攻、水道・電気・食料・医薬品の遮断、強制移動などを通じたパレスチナ人に対するジェノサイド(集団殺害)は今も続いています。とくにヨルダン川西岸では、イスラエル軍の攻撃や入植者による暴力によって1200人以上が殺害され、住宅、土地、耕地や生業の破壊が大規模に進められています。イスラエルの住民追放政策の実態、そのなかでパレスチナの人々はどのように抵抗しているのか-。現地の4人の専門家に聞きました。

私たちの存在消させぬ
  ガザの政治アナリスト ムスタファ・イブラヒム氏

 この3年間は単なる戦争ではありません。殺害や破壊、飢餓、貧困、失業、強制移動によって、パレスチナ人を土地から追い出そうとするイスラエルの一貫した政策の一環です。病院や学校、水道など生活基盤の破壊も、人々を土地から離れさせることにつながっています。
 これは、1948年のイスラエル建国で70万人以上のパレスチナ人が土地を追われたナクバ(大災厄)と重なります。今回も同じことが繰り返されるのではないかという恐怖があります。
 しかし、パレスチナ人は何度避難を強いられても土地に戻り、生活を立て直そうとしています。これ自体が抵抗です。亡くなった人々や破壊された場所を記憶し、歴史を次の世代に伝えることも、私たちの存在を消し去ろうとする動きへの抵抗です。

入植者の土地強奪続く
  パレスチナ壁・入植対策委員会中央局長 サラ・ハワジャ氏

 この3年間、西岸では土地の収奪と住民の追放が急速に進んでいます。特に北部の難民キャンプでは攻撃が続き、入植者による威嚇も拡大しています。ベドウィン(アラブ遊牧民)集落104ヵ所が追放にさらされ、うち67力所以上が完全な立ち退きを強いられました。
 入植者の武装化も進み、現在、西岸では63の入植者グループが活動しています。この3年間で約30万人が武装し、過去4年間には104の入植地と252以上の入植前哨地(入植者が無許可で設置した拠点)が設置・公式承認され、西岸の23%以上を占めるまでに拡大しています。
 イスラエル当局は、放棄地や国有地、自然保護区、軍事訓練区域を指定する制度を利用して、土地を奪っています。また土地登記が困難なパレスチナ人に土地の所有権を証明する義務を負わせる一方、その間にも入植前哨地が正式な入植地として承認されるなど、法律や制度自体が土地収奪の道具になっています。
 それでも私たちは土地を守り、オリーブを植え、収穫を続けています。土地を守ることは存在そのものを守る闘いです。国際社会には、入植政策を国際刑事裁判所(ICC)のローマ規程上の戦争犯罪として追及し、国際司法裁判所(ICJ)が壁と入植地を違法とした勧告的意見を実施するよう求めます。


壊された医療取り戻す 
  ガザ保健局長 ムニール・バルシュ氏

 イスラエルによる3年間の攻撃と封鎖で、ガザの医療体制は大きな打撃を受けています。医療施設や従事者、医薬品、医療機器が不足し、専門医療も停止しています。それでも医療従事者は限られた設備と物資で治療を続け、命を救おうとしています。
 34の病院のうち22病院は部分稼働、12病院は機能を停止しています。国際機関が運営する8病貌を含む12の野戦病院がこれを補っています。医師数は2083人から1363人に34・6%減少し、医療機器も大幅に減りました。MRIや開胸心臓手術、ペースメーカー植え込みなども停止しています。
 必須医薬品の44%で在庫が枯渇し、医療用消耗品の54%が不足しています。ガザ域外への医療搬送を待つ患者は約2万I000人に上り、待機中に2027人が死亡。2月1日以降に搬送されたのは2877人で、手続きを終えた患者の約14%にとどまります。
 私たちは医療施設と従事者を守り、イスラエルに医薬品や医療物資、燃料をガザに搬入させなければなりません。ガザ域外への医療搬送を拡大し、専門医療と病院機能を取り戻すことが必要です。医療を守ることは、ガザの人々の命と未来を守ることです。

子どもの命と権利守る
  人権研究者・ヒマヤ人権センター報道官 イマン・アブオワイメル氏

 この3年間で、ガザでは一つの世代が失われつつあります。イスラエル軍の攻撃は子どもの殺害や負傷だけでなく、拘束、強制移動、飢餓、医療・住居・教育の権利の剥奪にも及んでいます。
 18歳未満の子ども2万1745人が死亡しました。負傷者は約4万6000人、下肢を切断した子どもは1万1000人に達しています。家族が消息を確認できない子どもが医療、教育、適切な住居など基本的な権利を奪われています。
 それでも、私たちは子どもたちの命と権利を守るために活動を続けています。負傷した子どもの域外治療を求め、食料や医薬品を届け、教育と医療へのアクセスを確保しなければなりません。子どもたちの未来を守ることは、パレスチナ社会の未来を守ることです。
 子どもは国際人遵法と国際人権法で特別に保護される存在です。違反を行った政治・軍事指導者の責任も問う必要があります。


世界で孤立深めるイスラエル
                       しんぶん赤旗 2026年10月7日
 イスラエルの国際的な孤立は、この1年間でさらに深まりました。9月にニューヨークで行われた国連総会で、イスラエルのネタニヤフ首相が壇上に上がると、数十カ国約100人の外交官が一斉に退場しました。
 ネタニヤフ氏は唇をゆがめて、「まだ道徳的臆病者が残っているなら、今すぐ出て行くがいい」と挑発。パレスチナ人に対するジェノサイド(集団殺害)の批判を「今世紀最大のうそ」と言い放ちました。
 アイスランドのグンナルスドッティル外相は、「真の道徳的臆病者とは、正義に基づいた永続的な和平を求めて交渉することを拒む者たちのことだ」と反論。人道支援を拒絶し、国際法を繰り返し破り、無視し続ける世界の指導者こそが「臆病者」だ、と述べた演説はSNSで世界を駆け巡り、喝采を浴びました。
 パレスチナ国家の承認は2024年のスペイン、アイルランド、ノルウェーに続き、昨年は英、仏、カナダ、オーストラリアなどが条件付きながら国家承認に踏み出しました。一部の国では、イスラエル軍に入隊し戦争に参加した自国民(二重国籍者)への処罰の可能性も議論され、現実を動かす力となっています。
 今年9月にμ、英仏など12カ国がユダヤ人入植地との禁輸措置を発表しました。イスラエル本国との:軍事協力や経済関係の停止に踏み出すべきだとの声も強いものの、転換の第一歩となっています。
 英国の労働組合全国組織「労働組合会議(TUC)」(530万人)が9月にブライトンで開いた年次大会では、イスラエルとの軍事協力を即時停止し、経済・文化・学術・スポーツの関係断絶などを進める「ボイコット・投資引き揚げ・制裁(BDS)運動」を支持する決議が圧倒的多数で初めて可決されました。
 イスラエルの最大の支援国である米国でも、11月の中間選挙に向けて、イスラエルに批判的な若者の支持を集めた米民主的社会主義者てDSA)などの候補者が予備選挙で躍進し、議席獲得へ運動を強めています。      (伊藤寿庸)