トランプ米政権は先に国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長を制裁対象に指定したのに引き続き9日、今度は国際刑事裁判所本体を制裁対象に指定すると発表しました。
グテレス国連事務総長は、制裁措置を「非難する」とした声明を発表し、「国際刑事司法の実現を目指す国際社会の取り組みに対する重大な打撃だ」と指摘しました。
しんぶん赤旗の下記の4つの記事を紹介します。
・世界はICCを支持 国連・各国 米政権を批判
・法の支配への攻撃 ICCが声明、制裁非難
・ICC制裁に抵抗を NGO連合 国際社会に訴え
・8カ国外相「強く反対」 米ICC制裁 日本など共同声明
併せて毎日新聞の記事「ICC赤根智子所長 決意の声明全文」を紹介します。赤根智子所長の強い決意を示した格調の高い声明です。
・米国の制裁「断固拒否」ICC赤根智子所長 決意の声明全文
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世界はICCを支持 国連・各国 米政権を批判
しんぶん赤旗 2026年10月11日
【ワシントン=洞口昇幸】トランプ米政権は9日、戦争犯罪などを犯した個人を裁く国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)本体を制裁対象に指定すると発表しました。ICC判事などを歴任したナビ・ピレイ氏のノーベル平和賞受賞決定から数時間後の発表で、「法の支配」を敵視する姿勢を改めて示しました。発表直後から、国連や各国政府は米国の制裁を批判し、「ICCを守ろう」と呼び掛ける声を相次いで上げています。
グテレス国連事務総長は、制裁措置を「非難する」とした声明を発表し、「国際刑事司法の実現を目指す国際社会の取り組みに対する重大な打撃だ」と指摘しました。またICCへの「揺るぎない支持」を表明し、全ての国に対し、国際法を支持するよう訴えました。
ICCの本部があるオランダのベーレンドセン外相は声明で「非常に遺憾な措置だ。われわれは確固としてICCを守る立場に立つ」と表明しました。またX(旧ツイッター)で、赤根所長と電話で協議し「ICCとその職員への支持を続ける」と伝えたことを明らかにしました。
スペイン外務省は声明で、「ICCと不処罰との闘いへのスペインの支持は確固としたものだ」「ICCの擁護は、重大犯罪の犠牲者を守り、責任者を追及し、ルールに基づく多国間秩序を守ることを意味する。スペインはこれらの原則を堅持する」と表明しました。
ロイター通信によると、ドイツのフービッヒ司法相は、米国は戦後の国際刑事法の発展に貢献してきたとし、「その米国が国際刑事法の考えを破壊しようとしていることにはまったく驚かされる」と述べました。
欧州連合(EU)のカラス外交安全保障上級代表(外相)はXで、「ICCは国際刑事司法制度の礎だ」「ICCの擁護はEUの優先課題であり続ける」と表明。米政権の制裁発表の後に赤根氏と協議したことも明らかにしました。
日本、カナダ、デンマーク、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、英国の8カ国外相は共同声明を発表し、制裁について「遺憾に思い、強く反対する」と表明。ICCを引き続き支援していくと表明しました。
法の支配への攻撃 ICCが声明、制裁非難
しんぶん赤旗 2026年10月11日
【ハーグ=時事】国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)は9日、米国がICC本体を制裁対象に指定したことを受けて声明を発表し、「法の支配と国際法秩序の根幹に対する攻撃だ」と強く非難しました。赤根智子所長は「重大犯罪の無数の被害者のため、法と証拠のみに基づき、独立性と公平性を保ちながら、引き続き使命を全面的に果たす」と表明しました。
ICCは声明で、今回の制裁について「裁判所の活動を妨害し、職員や協力者を威嚇することを狙ったものだ」と批判。「歴史がこの瞬間を裁くだろう」と訴え、加盟する125カ国・地域に対し、活動継続に必要な支援を求めました。
その後、赤根氏はビデオメッセージを出し、制裁は「ICCを設立した主権国家に対する攻撃だ」と述べました。長年にわたり加害者の責任追及を待ち続けてきた重大犯罪の被害者にも影響が及ぶと強調しました。
その上で、国際社会は「力が正義となる世界」と「法の支配に基づく未来」のどちらを選ぶのかという岐路に立っていると指摘。加盟国を含め、われわれ全員には国際法秩序を守る法的・道義的義務があるとして、具体的な行動を呼び掛けました。
ICC制裁に抵抗を NGO連合 国際社会に訴え
しんぶん赤旗 2026年10月11日
国際刑事裁判所(ICC)を支持するNGOのネットワーク、ICC連合(CICC)は9日、声明を発表し、米政権によるICC制裁決定を「断固非難」し、それへの「抵抗」を国際社会に呼びかけました。
〝即時撤回を求めよ″
声明は「125の締約国にはICCの独立と機能を確保する集団的な責任がある」「この局面では懸念の表明だけでは不十分だ」と指摘。締約国と地域機構に対し、「ICCおよびICC協力者への制裁を公然と明確に非難し、即時撤回を求めること」を要求しました。
また、制裁措置からICC、その職員、資産、パートナーを守るため、欧州連合(EU)の阻止法などを直ちに発動することや、銀行、決済、保険、IT、デジタルサービスなどへの継続的なアクセスを保証することなどを求めました。
CICCは1995年、アムネスティ・インターナショナルなどの人権団体が創設。現在150カ国超の2500以上のNGOが参加しています。
声明は米国の制裁について、「ICCそのものを標的にすることで、ICCヘの攻撃を前例のないレベルにまで高め、司法の独立、法の支配、より広範な国際司法制度に直接的な打撃を与える。その影響は、ICCにとどまらず、世界で最も重大な犯罪の被害者や生存者の権利、保護、司法ヘのアクセスをより大きな危険にさらす」と批判。締約国への脱退圧力など米国のキャンペーンの目的について「米国民やイスラエルを含む同盟国をICCの捜査や訴追から保護することだ」と指摘しました。
8カ国外相「強く反対」 米ICC制裁 日本など共同声明
しんぶん赤旗 2026年10月11日
日本や英国、フランス、ドイツなど8カ国の外相は9日、米国の国際刑事裁判所(ICC)に対する制裁に「強く反対」する共同声明を発表しました。声明は、ICCは「最も深刻な国際犯罪で訴追された者を裁きにかけ、被害者を支援するために尽力している」として、制裁が実施されればICCの活動や職員、家族に重大な影響を及ぼすと懸念を示しました。
8カ国は「引き続き協力して裁判所の活動を支援し、ルールに基づく国際秩序を守る」と表明。米国などICC非加盟国と建設的かつ包括的な対話に取り組む姿勢を示しました。
制裁に反対する8カ国の共同声明に加わりながら、日本単独では米側に「反対」と表明できない高市首相の対米従属ぶりもあらわになりました。
米国の制裁「断固拒否」ICC赤根智子所長 決意の声明全文
毎日新聞 2026年10月10日
米国による国際刑事裁判所(ICC、本部=オランダ)に対する制裁発表を受けて、ICCの赤根智子所長が9日に発表したビデオ声明の全文(英語で発信)は以下の通り。【訳・石山絵歩】
本日、米国は、歴史上前例のない措置として、ICCそのものに対して制裁を科しました。
これは、正義の実現に尽力している特定の独立した裁判官や検察官に対する一連の指定措置に続くものです。当裁判所は、これらの制裁を断固として拒否します。
私自身、ICCの裁判官として、裁判所が政治的な動機に基づいて行動しているわけではないことを断言します。
我々は独立かつ公平な司法機関であり、その行動は法と証拠のみに基づいて行われています。裁判所が司法上の使命を果たすことを妨害しようとする行為は、決して容認できません。
「国際法秩序に対する攻撃」
これは、当裁判所を設立した主権国家に対する攻撃です。さらに言えば、国際法秩序に対する攻撃でもあります。
(犯罪の)責任者が裁かれるのを何年、時には何十年も待ち続けてきた大量残虐行為の被害者たちに対する攻撃でもあります。当裁判所に対して取られるあらゆる措置は、最終的にはそれらの被害者たちに影響を及ぼします。
当裁判所は、決して各国の司法制度に取って代わることを意図したものではありません。
当裁判所は最終手段としての裁判所であり、国家が真摯(しんし)に捜査や起訴を行う意思がない、あるいはその能力がない場合にのみ行動することができます。その管轄権は、世界中のあらゆる法制度に共通する原則に基づいています。
脅威には「屈しない」決意改めて表明
国家は、自国内で犯された犯罪、あるいは自国民によって犯された犯罪について、加害者を裁判にかけることができます。ICCの締約国は、(ICC設立の根拠となった)ローマ規定に加盟することで、当裁判所を通じて共同でその権限を行使することを選択したのです。
明確にしておきますが、ICCは、国際社会が懸念する最も重大な犯罪を犯した者たちにのみ利益をもたらすような外部からの脅威には屈しません。
本日、私は、被害者のために、独立性と公平性を保ちつつ、その任務を完全に遂行するという当裁判所の揺るぎない決意を改めて表明します。
一つの機関の問題ではない
今回の指定は、当裁判所の活動を妨害し、裁判所で働く人や協力する人を威嚇することを目的としています。ICCは決して屈することはありません。
しかし、ICCは単独では立ち行きません。その運命は今や、ICCを創設した締約国の手にも委ねられています。
ローマ規定は、国際社会全体が関心を寄せる最も重大な犯罪が、決して処罰を免れてはならないという集団的な約束です。その約束を果たせるかどうかは、それを交わした者たちの決意次第であります。
課題はあるかもしれませんが、裁判所は締約国と協力し、その活動の継続性と強じん性を確保するために多大な努力を払ってきました。裁判所は、締約国に対し、裁判所がその業務を継続するために必要な手段を引き続き確保できるよう、具体的な措置を講じ続けるよう呼びかけています。
これは単なる一つの機関を守るということではなく、法の支配に基づく国際秩序を守ることなのです。
「今日下す選択は歴史に評価される」
私たち一人ひとりは今、力こそが正義とされる世界と、被害者が引き続き正義にアクセスできる、法の支配に基づく未来との間で選択を迫られています。こうした攻撃に直面して、私たちは無関心でいるわけにはいきません。
締約国を含む私たち全員が、国際秩序を守り、力ではなく法を支持するという、法的かつ道義的な義務を負っており、今日下す選択は歴史によって評価されることになるでしょう。
私は皆様に誓います。ICCは、正義が必ず勝つという揺るぎない決意をもって、その活動を継続し、抑止力を発揮し続けます。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。