2026年10月12日月曜日

中国が高市を呼び捨て ー 岩屋訪中で「撤回」を「是正」にハードルを下げた直後

 世に倦む日日氏の掲題の記事を紹介します。
 記事は第1節において、トランプが習近平との首脳会談の中で「第二次大戦では中国はアメリカの同盟国だった」と発言し、第二次大戦に勝利した連合国同士であるという歴史認識が確認され、世界中を騒然とさせたと記述し、これは予め準備した原稿を読み上げたものであり、トランプのアドリブではないと説明します。
 そして11月の深圳APECと12月のマイアミG20でも米中首脳会談が持たれることが明確にされた中で、その機会に中国は今回果たせなかった「米中両国は台湾の独立に反対する」という文言の文書化を達成するべく、外交攻勢をかけて行くだろうと見ています。
 トランプのこの発言と認識の下、今後台湾問題を協議し結論を出す上での前提が敷かれたと言えると述べました。
 このことは「台湾有事」で米中が一触即発の状態に陥ると見られていたことが、そうではなくなるという点で極めて大きな出来事です。
 世に倦む日々氏は、トランプ自身は元々台湾に対して関心が薄く、米国が台湾に軍事関与する必要性を感じておらず、台湾防衛に消極的だという見方をしています。
 いずれにしても「台湾有事」で米中が戦火を交える可能性が小さくなったことは日本のために喜ばしいことです。
 記事の後半では米国の対中世論に変化が表れていることに触れ、シカゴ・グローバル評議会が9月に発表した調査報告によると、米国人の57%が中国との友好的な協力や接触を支持すると回答し、「中国の領土拡大の野心を米国への重大な脅威と見なす」と答えた割合が、22年の52%から今回の41%へと減少したことを紹介し、「台湾有事」への対応についても、「米軍を投入することに賛成」と答えた割合が、22年の52%から今回の38%に下がるなど、米国人の中国に対する意識が変化し、前向きな関係構築を望む声が多くなっていると述べています。

 ただし記事は最後のところで、「私は、台湾有事は7割がたの確率で起きると予想していて、依然としてその見方を変えていない」と前置きして、元々米国は2021年の時点で、2027年には米中の国力(軍事力)が逆転するという予測の下、それまでに「台湾有事」を起こし中国を叩いておきたいと構想したものの、「現状は対イラン戦争で米国の軍備は消耗しているのでそんな余力はない。しかし2030年になれば米中の戦力の逆転は決定的になるので、(トランプは兎も角)米国中枢にとっては容認出来ないことである」と述べます。
 そして、日本が勝手に中国と戦争を始めることに懸けるのではないかと最後の望みを託しているのでは、と見ています。
 もしも自信過剰の高市氏がその時点で首相の座に居て、憲法の改悪が済んでいれば、「迷わず無謀に、楽観論と全能感のままで戦争に突入するだろう」と述べます。浅慮の高市氏を見ているとその可能性は否定できませんが、実に恐ろしい話です。
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中国が高市を呼び捨て ー 岩屋訪中で「撤回」を「是正」にハードルを下げた直後
                   世に倦む日日 2026年10月8日
10/5、臨時国会の幕が開けた。長く続いた雨の日々が終わり、天気も秋の晴れた空になった。NHKを筆頭に、マスコミは、この臨時国会の論点を、①簗和生への追及、②食料品消費税減税、③衆院定数削減 の3本柱だと報道し、国民の注目と関心をその地平に寄せ固めている。巧妙で狡猾な操作だ。高市官邸から指令が出て、それに従ってマスコミが情報工作している。実際には、中国との関係をどうするかという国家の重大問題があり、本来はそれこそが国会論議の中心テーマにならないといけないはずだ。9月に行われたトランプと習近平との首脳会談によって、米中は二国間関係の基礎を「第二次大戦の同盟国」という歴史認識で定義し、その上で、難問であり課題である通商問題と台湾問題とを調整し合うフェーズ(⇒段階、場面)に入った。そして、過剰なほどの厚遇演出で習近平を歓待し、内外に蜜月をアピールした。マスコミでも喋喋されているとおり、これは「日本が外された」外交状態であり、立つ瀬がなくなった窮地を意味する。

高市の安保外交政策は、日米同盟を基軸として、中国と毒々しく対決し、中国を孤立化させ、台湾有事に備えて決然と軍備増強を図るというものだった。それは、アメリカがその路線と方針だから、その前提に沿って行う政策だった。2018年のペンス発言以来の基本戦略である、新冷戦とデカップリングのフレームに則った安保外交の国策だった。が、今年9月のDCの外交の図は、そこに衝撃を与え、前提を揺さぶる結果となり、これまで右翼日本がめざしてきた国家目標(台湾有事)が怪しくなる事態を現出させている。特に無視できない変化は、9/30 の中国外交部の会見の折、高市を「高市早苗」と呼び捨てにし、「日本首相」という肩書きを付けなかった事実である。ちょうどこのとき、岩屋毅が訪中し、王毅が会談に応じ、「撤回」を求めていた高市の「台湾有事発言」に対して一段階ハードルを下げた「是正」を求める対応が示され、中国側の対日姿勢が宥和に転じたかと思われた矢先のハプニングだった。

この出来事について、一部の声では、中国はもはや高市を日本の首相として認めておらず、岩屋や石破のような、まともな政治家が首相に就くまでは相手にしないという意味だという解釈が流れている。他方、高市忖度と中国憎悪に徹するほとんどの日本マスコミは、この問題を深刻視せず、いつもの中国の過激表現のブラフだという程度で切り捨て、真剣な外交問題として受け止める必要はないとして、受け流す態度を日本国民に推奨している。マスコミは(キャスターとコメンテーターの学者は)、常にこんな感じで、中国や韓国からの日本への批判や警告に真面目に向き合わない。岩屋訪中という重要な機会に、中国側が示した矛盾する二つの行動について、それが何を意味するかを真剣に考察し、背景や内情を分析するべきなのに、日本のマスコミはそれをしない。中華人民共和国を無価値の悪魔としてしか認識しておらず、排除と打倒の対象としての関係性しかなく、外交する相手国家として認めていない。高市と同じ価値観なのだ。

その理由を深読みすれば、岩屋=高市密使説も一概にデマとは言い切れないだろう。もしも、岩屋が高市の密使であり、内々に「台湾有事発言の撤回」の意思を伝達し、その上で、中国側が高市を呼び捨てにする反応を返したのであれば、事は重大で、もはや中国は高市を完全に切り捨てている真相を意味する。高市を否定している。中国側にはそれが可能な立場的優位性があり、トランプとの蜜月関係に立てば、日本側(高市政権)に妥協する必要はないのだ。すなわち王毅が示した「是正」も、何立峰の言う「経済関係の発展」も、ポスト高市の日本に向けた発信であり、将来の関係改善を呼びかけたメッセージだったと推察できる。「水が流れれば水路ができる」という何立峰の示唆は、「高市が消えれば日中関係の障害がなくなる」という暗喩なのだろう。つまり、高市による謝罪や撤回は求めていないという意味だ。そして、ポスト高市は直接の責任者ではないので、日本政府トップとして「撤回」の必要はなく「是正」の仁義を切ればいいという意味に受け取れる。

中国は、基本的に「元栓を閉めれば水は流れない」戦略で対日関係に臨んでいて、トランプとの交渉に全力を傾注し、アメリカに台湾への干渉と関与を断念させ、台湾有事を蒸発させようとしている。その対米外交の奏功によって、自動的に日本の台湾有事計画を破綻させ、日米同盟による中国封じ込め戦略全般の止揚へ追い込もうとしている。FOIP(自由で開かれたインド太平洋)の構想を挫折させ、東アジアの新冷戦構造を崩壊させ、G2共存の新次元に移行させようとしている。そして、レアアース関連の部品製造力と供給網、AIロボット等の最先端技術開発力、電力生産の基盤と規模、人民元決済貿易圏の拡大などを背景に、超大国アメリカの横槍と圧力を克服する国力と外交に自信を深めている。中国にとって高市を代表とする右翼日本は、きわめて凶暴で危険で要警戒な、悪意を尖らせた攻撃的隣人であると同時に、経済社会的に自滅と自壊と劣化と衰退の道を進むだけの、生産力と発展性のない国だ。アメリカへの従属と番犬化を深めている、佞悪な負け犬の存在だ。

中国側が、訪中した岩屋毅に対して急に宥和的姿勢で接してきた理由の一つに、トランプが習近平との会談において、日本と対話するよう要請したのではないかという観測がある。これはリーズナブルな解読で、納得できる考察と説明と言える。飯田和郎は、王毅が岩屋とすぐに対面して「撤回」を「是正」に変える表明をしたのは、中国側のトランプへのメッセージであり、トランプの要請に迅速に従った行動を示し、トランプの顔を立てた外交だと言っている。当を得た分析だろう。中国にとってトランプとの現在の関係は肝要で、特に東アジアをめぐる問題の対応で歩調を合わせ、齟齬のないよう配慮を示すことは大事な課題だ。中国側としては、「撤回」を「是正」に変えたのは、トランプの要請に従ったことを確認させるアメリカ向けの行動であり、また将来の日本のポスト高市に向けた発信であって、高市に向けた発信ではないのだ。その点を明確にするため、すなわち日本側に誤解させないため、高市を呼び捨てにする外交部の声明を投擲したのだろう。11月深圳での日米首脳会談開催は相当に難しい。

私は、台湾有事は7割がたの確率で起きると予想していて、依然としてその見方を変えていない。10/19 から台湾有事を想定したキーン・ソード演習が始まるが、米軍・自衛隊4万5000人の兵力が動員され、きわめて大規模で実戦的な内容になっている。日米同盟の戦略と態勢においては、従来の方針は変更されておらず、トランプの対中蜜月外交は全く反映されていない。本当に戦争を始めるのでなければ、このような質と量の軍事演習を挙行するはずがないのだ。どれだけ巨費を投じていることか。現在、米軍は攻撃用/防御用ミサイルの在庫不足に直面していて、台湾に十分な量のPAC-3を供給できず、日本に必要な数のトマホークを納品できない。すなわち、戦争の主力兵器である飛び道具を欠き、シナリオどおりの戦争を予定どおりの日程で始められないのが現状だ。それゆえ、台湾有事は2027年中には起きないなどという見通しをアメリカの情報機関が報告書で出し、それをマスコミで撒くに至った。これは米軍の本音の吐露だろうし、イラン戦争が片づかない裡に中国相手に二正面作戦に出るのは厳しい状況なのに違いない。

ただ、考えなければいけないのは、アメリカの国家戦略である台湾有事が5年前の2021年に宣告され、6年後の2027年に目標年が設定された意味である。そこには、その刻限を過ぎるようであれば、中国の軍事力と技術力と経済力はアメリカを凌駕する趨勢となり、最早、アメリカが戦争して勝てる相手ではなくなるという危機的予測が据えられていた。G.アリソンの『米中戦争前夜』にもその趣旨の主張が書かれている。つまり簡単に言えば、早く叩かないと叩けなくなるという観測と判断だ。先延ばししていると、もう戦争という手段が無意味になるのであり、やるなら早い時点で始めるしかない。中国のドローンやヒューマノイドの技術力を正視し、AIや半導体の開発速度を窺う限り、台湾有事(対中戦争)を2030年以降に始めるという構想はナンセンスだろう。遅すぎる。もうアメリカの通常戦力では間に合わない。アメリカの事情と条件を考えると、2028年頃が最も台湾有事が起こる危険性が高く、われわれの観点から要注意の時期だと言える。だが、ここにもう一つの可能性があり、アメリカにとって最も好都合な展開がある。

それは、日本が勝手に中国と戦争を始めることで、日中戦争の勃発で中国に甚大な打撃を与えることだ。日本の武力攻撃(先制攻撃)で中国の海空ロケット軍基地と司令部を壊滅させ、中華人民共和国に深刻な混乱を惹き起こさせることである。新疆、西蔵、内蒙古に反乱蜂起の動きを作り、中国共産党の支配に動揺を与えることだ。その場合、アメリカは日中事変に無責任の立場をとることができ、自衛隊と台湾軍を後方支援しつつ、第三者に扮して途中から調停に割り込む立場を確保できる。ウクライナ戦争でのアメリカのポジションと同様に。これがおそらく、現在のアメリカにとってベストの台湾有事の形であり、もともとのJ.ナイの戦略設計に沿うところの理想的な対中戦争の姿と言えよう。どうやら、今、台湾有事はそのシナリオで動いている気配が強い。このとき、戦争を始める始めない、どこをどう攻撃するかの主導権は高市が握るのであり、高市の野望と采配で台湾有事が始まるのだ。自信満々の(自信過剰の)高市は、憲法改悪が済めば迷わず戦争に突入するだろう。無謀に、楽観論と全能感のまま。

日本を拠点にして活動しているCIA工作軍団と日米同盟の最高幹部衆は、何やら、満州事変を起こす直前の関東軍参謀本部の様相を呈していて、先に独断専行で事を進め、既成事実を作り、そこに強引にホワイトハウスと国防総省を引きずって行くような妖気と梟気に満ちている。最前線に近い出先機関の衆であり、きっと、自分たちがアメリカ帝国の前衛で統率しているような梁山泊的な気分なのだ。