2026年10月12日月曜日

政治を堕落させる二つの制度/経済政策に関する風説の流布(植草一秀氏)

 植草一秀氏の掲題の記事を紹介します。
 政治を堕落させる二つの制度の第一は選挙制度=小選挙区制です。
 これについてはこれまで植草氏が繰り返し論じてきました。
 小選挙区制は自民党政権により1994年に導入されました。それまで野党もマスコミも「4割の得票で7割の議席が得られる」不当な選挙制度だとして反対して来ましたが、その後マスコミのトップらに自民党政権から圧力が掛けられると、掌を返したように「小選挙区制の導入が政治改革の肝」であるかのような論調に転じました。その効果は絶大で、世の中はそれ一色になってついに成立したのでした。「4割の得票で7割の議席が得られる」は、今年2月7日の総選挙でその通りに実現されました。
 第二は政党交付金です。
 これは企業献金を廃止するために導入された制度で、政治にかかる費用を国民が負担する代わりに、企業団体の献金を廃止することになっていたのですが、実際には廃止されていません。
 24年総選挙と25年参院選で自民党が惨敗した理由は「政治とカネ」でした。高市内閣が最初に打ち出すべき政策は「企業団体献金の禁止」でしたが、高市氏は「政治とカネ」問題を闇に葬り、代わりに出してきたのが「定数削減」でした。呆れるしかありません。
 植草氏は政党交付金が政党に交付されることで全員が党首になりたがる結果、政党が乱立されているとして、「政党交付金を議員交付金に改める」べきだと主張します。
 これは斬新な提案です。

 併せてもう一つの記事「経済政策に関する風説の流布」を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
政治を堕落させる二つの制度
              植草一秀の「知られざる真実」 2026年10月10日
日本政治を堕落させている原因は制度にある。二つの制度に重大な欠陥がある。
第一は選挙制度。
1994年の政治改革で選挙制度が改変された。中選挙区から小選挙区比例代表並立制に選挙制度が改変された。
小選挙区を基軸にする選挙制度は政権交代を引き起こしやすいことが期待された。
その前提にあるのは二大政党的状況の出現。
二大政党体制であれば小選挙区制度は合理性を有する。民意の変化によって政権交代を引き起こしやすいからだ。民意の変化によって政権交代が生じることは望ましい。
しかし、二大政党的状況が存在しない場合、小選挙区制を基軸とする選挙制度には重大な欠陥が露呈する。国会の議席配分が民意とかけ離れること。

日本国憲法前文は
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、(中略)主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」
「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」
で始まる。
国会における代表者を正当に選挙しなければならない。民意とかけ離れた議席配分をもたらす選挙制度は改変する必要がある。

本年2月総選挙の比例代表選挙における自民党得票率は37%。ところが、議席占有率は71%に達した。比例代表の候補者が足りず、自民が獲得するはずの議席が14議席も他党に流れた。したがって、現実の議席占有率は68%になったが、それでも得票率37%の2倍に近い。
自民党議席数が得票率に準拠して決定されるなら自民議席は171にとどまり、単独過半数233にも遠く及ばない。
比例代表選挙の比率で議席を配分することが民意を正確に反映する国会議席構成をもたらす。

第二は政党交付金。
企業と政治の癒着が大問題になった。リクルート事件が大きな背景。業界と政治の癒着を断ち切るために企業献金禁止が叫ばれた。
企業献金を廃止するために導入されたのが政党交付金制度。政治にかかる費用を国民が負担することとした。これと引き換えに企業団体献金を廃止することになっていた。

ところが、政党交付金制度が導入されたのに企業献金が廃止されていない。
24年総選挙と25年参院選で自民党が惨敗した。理由は「政治とカネ」。
自民党は「解党的出直し」を掲げた。このなかで誕生したのが高市内閣。
高市内閣が最初に打ち出すべき政策は「政治とカネ」への対応。「企業団体献金禁止」を打ち出すべきだった。しかし、高市首相は「政治とカネ」問題を闇に葬った。
問題をすり替えて出してきたのが「定数削減」。
しかも「比例定数削減」を叫び始めた。狂気の沙汰である。

問題の政党交付金制度。国民が助成する政治活動の資金を政党に交付することが間違いのもと。政党でなく議員に交付すべきだ。
この制度のために政党が乱立されている。全員が党首になりたがる。党首は公金を私物化する。政党交付金を議員交付金に改めるべきだ。

『日本経済の終宴』(ビジネス社) https://x.gd/yNOSpf を上梓しました。
大好評販売中です。
ご高読、ならびにアマゾンレビューをなにとぞよろしくお願いいたします。
高市暴政の真実を明らかにするとともに株価・為替の性格予測に基く投資戦略を提案する新著です。

続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4548号
「絶対やるべき二つの制度改革」 でご高読下さい。

月初のこの機会にメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」ご購読をぜひぜひお願いします。https://foomii.com/00050

『ザイム真理教』(森永卓郎著)の神髄を深堀り、最重要政策争点財務省・消費税問題を徹底解説する新著を上梓しました。
『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』(ビジネス社)https://x.gd/LM7XK
ご高読、ならびにアマゾンレビュー、ぜひぜひ、お願いします。

メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。


経済政策に関する風説の流布
               植草一秀の「知られざる真実」 2026年10月 9日
経済政策について誤った論が流布されている。
一般的に政策運営について的確な評価を下すのは難しい。メディアの論調に流されてしまうからだ。
情報を流しているメディアまでが実はあまり理解していない。メディアが流す情報には発信源がある。その発信源からの情報をメディアは単に右から左へと横流ししているだけ。

メディア報道に接する市民は、メカニズムがよくわからないから、その情報に洗脳されてしまう。これが情報発信源のやり口だ。
メディアが流布してきた「説」は
 1.円安は経済成長を高めるから善である
 2.インフレ率を引き上げることは善である。
 3.消費税は社会保障の財源だから減税すべきでない。
というもの。
しかし、すべて間違いだ。経済政策の影響は非対称的。誰かにとってのプラスは別の誰かにとってのマイナスである。その「誰か」を突き止めないと的確な論評は不能だ。

第一の問題は円安。
円安で利益を得るのは外国資本と輸出製造業。
日本円が暴落して外国資本は日本の優良資産を適正価格の半値で購入できる。
黒田日銀が円安誘導を実行した第一の目的は「外資への利益供与」であったと考えられる。
日本の優良資産を暴落値で外国資本に売り渡すことを目的に日本円暴落誘導が実行されたと考えられる。これを「究極の売国政策」と呼ぶ。
もう一つ、円安で利益を得たのが輸出製造業。つまり、円暴落誘導政策は輸出製造業への利益供与策でもあった疑いが強い。その利益供与の見返りとして岡本薫明元財務事務次官はトヨタ自動車の社外取締役ポストを獲得した。
だが、円安は日本国民に甚大な損害を与えた。日本国民のドル表示所得、ドル表示資産残高が激減した。
日本国民はグローバルスタンダードで所得と資産の激減を強要された。

第二の問題はインフレの亢進。
黒田日銀のインフレ誘導政策スタンスによって日本で4%インフレが発生してしまった。インフレも誰かの利益になると同時に誰かの不利益になってきた。
インフレで利益を得たのは賃金を支払う資本と債務者だ。賃金を据え置いてもインフレが発生すると企業の実質賃金コストは減少する。インフレは賃金を支払う企業にとっての福音だ。
これは、とりもなおさず労働者の不利益であることを意味する。また、借金の重みはインフレによって減る。個人預金者であり、国と企業が債務者である。
インフレによって政府と企業は実質債務残高減少という利益を享受した。政府は借金を棒引きしたと同時にインフレで税収激増を獲得した。
その裏側で、個人はインフレによって実質賃金減少と実質資産残高減少という不利益に直面してきた。

第三の問題は消費税。
消費税は社会保障の財源とされるが、これは正しくない。消費税は目的税でなく一般財源。
社会保障の財源は消費税である必要がない。所得税でも法人税でも国債発行でも構わない。
メディアが流す歪んだ情報に騙されてはいけない。
所得税と法人税は「能力に応じた負担」の税制度。これに対して消費税は収入ゼロの個人と収入100億円の個人に同じ税率を適用する。極めて逆進性が強い。
したがって、社会保障の財源としては消費税よりも所得税、法人税が優れている。
メディアが流布する情報がデタラメであることをすべての国民に知らせる必要がある。
                 (中 略)
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4547号
「ドル円・インフレ・消費税の風説」 でご高読下さい。
                 (後 略)