2026年10月12日月曜日

政治を堕落させる二つの制度/経済政策に関する風説の流布(植草一秀氏)

 植草一秀氏の掲題の記事を紹介します。
 政治を堕落させる二つの制度の第一は選挙制度=小選挙区制です。
 これについてはこれまで植草氏が繰り返し論じてきました。
 小選挙区制は自民党政権により1994年に導入されました。それまで野党もマスコミも「4割の得票で7割の議席が得られる」不当な選挙制度だとして反対して来ましたが、その後マスコミのトップらに自民党政権から圧力が掛けられると、掌を返したように「小選挙区制の導入が政治改革の肝」であるかのような論調に転じました。その効果は絶大で、世の中はそれ一色になってついに成立したのでした。「4割の得票で7割の議席が得られる」は、今年2月7日の総選挙でその通りに実現されました。
 第二は政党交付金です。
 これは企業献金を廃止するために導入された制度で、政治にかかる費用を国民が負担する代わりに、企業団体の献金を廃止することになっていたのですが、実際には廃止されていません。
 24年総選挙と25年参院選で自民党が惨敗した理由は「政治とカネ」でした。高市内閣が最初に打ち出すべき政策は「企業団体献金の禁止」でしたが、高市氏は「政治とカネ」問題を闇に葬り、代わりに出してきたのが「定数削減」でした。呆れるしかありません。
 植草氏は政党交付金が政党に交付されることで全員が党首になりたがる結果、政党が乱立されているとして、「政党交付金を議員交付金に改める」べきだと主張します。
 これは斬新な提案です。

 併せてもう一つの記事「経済政策に関する風説の流布」を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
政治を堕落させる二つの制度
              植草一秀の「知られざる真実」 2026年10月10日
日本政治を堕落させている原因は制度にある。二つの制度に重大な欠陥がある。
第一は選挙制度。
1994年の政治改革で選挙制度が改変された。中選挙区から小選挙区比例代表並立制に選挙制度が改変された。
小選挙区を基軸にする選挙制度は政権交代を引き起こしやすいことが期待された。
その前提にあるのは二大政党的状況の出現。
二大政党体制であれば小選挙区制度は合理性を有する。民意の変化によって政権交代を引き起こしやすいからだ。民意の変化によって政権交代が生じることは望ましい。
しかし、二大政党的状況が存在しない場合、小選挙区制を基軸とする選挙制度には重大な欠陥が露呈する。国会の議席配分が民意とかけ離れること。

日本国憲法前文は
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、(中略)主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」
「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」
で始まる。
国会における代表者を正当に選挙しなければならない。民意とかけ離れた議席配分をもたらす選挙制度は改変する必要がある。

本年2月総選挙の比例代表選挙における自民党得票率は37%。ところが、議席占有率は71%に達した。比例代表の候補者が足りず、自民が獲得するはずの議席が14議席も他党に流れた。したがって、現実の議席占有率は68%になったが、それでも得票率37%の2倍に近い。
自民党議席数が得票率に準拠して決定されるなら自民議席は171にとどまり、単独過半数233にも遠く及ばない。
比例代表選挙の比率で議席を配分することが民意を正確に反映する国会議席構成をもたらす。

第二は政党交付金。
企業と政治の癒着が大問題になった。リクルート事件が大きな背景。業界と政治の癒着を断ち切るために企業献金禁止が叫ばれた。
企業献金を廃止するために導入されたのが政党交付金制度。政治にかかる費用を国民が負担することとした。これと引き換えに企業団体献金を廃止することになっていた。

ところが、政党交付金制度が導入されたのに企業献金が廃止されていない。
24年総選挙と25年参院選で自民党が惨敗した。理由は「政治とカネ」。
自民党は「解党的出直し」を掲げた。このなかで誕生したのが高市内閣。
高市内閣が最初に打ち出すべき政策は「政治とカネ」への対応。「企業団体献金禁止」を打ち出すべきだった。しかし、高市首相は「政治とカネ」問題を闇に葬った。
問題をすり替えて出してきたのが「定数削減」。
しかも「比例定数削減」を叫び始めた。狂気の沙汰である。

問題の政党交付金制度。国民が助成する政治活動の資金を政党に交付することが間違いのもと。政党でなく議員に交付すべきだ。
この制度のために政党が乱立されている。全員が党首になりたがる。党首は公金を私物化する。政党交付金を議員交付金に改めるべきだ。

『日本経済の終宴』(ビジネス社) https://x.gd/yNOSpf を上梓しました。
大好評販売中です。
ご高読、ならびにアマゾンレビューをなにとぞよろしくお願いいたします。
高市暴政の真実を明らかにするとともに株価・為替の性格予測に基く投資戦略を提案する新著です。

続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4548号
「絶対やるべき二つの制度改革」 でご高読下さい。

月初のこの機会にメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」ご購読をぜひぜひお願いします。https://foomii.com/00050

『ザイム真理教』(森永卓郎著)の神髄を深堀り、最重要政策争点財務省・消費税問題を徹底解説する新著を上梓しました。
『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』(ビジネス社)https://x.gd/LM7XK
ご高読、ならびにアマゾンレビュー、ぜひぜひ、お願いします。

メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。


経済政策に関する風説の流布
               植草一秀の「知られざる真実」 2026年10月 9日
経済政策について誤った論が流布されている。
一般的に政策運営について的確な評価を下すのは難しい。メディアの論調に流されてしまうからだ。
情報を流しているメディアまでが実はあまり理解していない。メディアが流す情報には発信源がある。その発信源からの情報をメディアは単に右から左へと横流ししているだけ。

メディア報道に接する市民は、メカニズムがよくわからないから、その情報に洗脳されてしまう。これが情報発信源のやり口だ。
メディアが流布してきた「説」は
 1.円安は経済成長を高めるから善である
 2.インフレ率を引き上げることは善である。
 3.消費税は社会保障の財源だから減税すべきでない。
というもの。
しかし、すべて間違いだ。経済政策の影響は非対称的。誰かにとってのプラスは別の誰かにとってのマイナスである。その「誰か」を突き止めないと的確な論評は不能だ。

第一の問題は円安。
円安で利益を得るのは外国資本と輸出製造業。
日本円が暴落して外国資本は日本の優良資産を適正価格の半値で購入できる。
黒田日銀が円安誘導を実行した第一の目的は「外資への利益供与」であったと考えられる。
日本の優良資産を暴落値で外国資本に売り渡すことを目的に日本円暴落誘導が実行されたと考えられる。これを「究極の売国政策」と呼ぶ。
もう一つ、円安で利益を得たのが輸出製造業。つまり、円暴落誘導政策は輸出製造業への利益供与策でもあった疑いが強い。その利益供与の見返りとして岡本薫明元財務事務次官はトヨタ自動車の社外取締役ポストを獲得した。
だが、円安は日本国民に甚大な損害を与えた。日本国民のドル表示所得、ドル表示資産残高が激減した。
日本国民はグローバルスタンダードで所得と資産の激減を強要された。

第二の問題はインフレの亢進。
黒田日銀のインフレ誘導政策スタンスによって日本で4%インフレが発生してしまった。インフレも誰かの利益になると同時に誰かの不利益になってきた。
インフレで利益を得たのは賃金を支払う資本と債務者だ。賃金を据え置いてもインフレが発生すると企業の実質賃金コストは減少する。インフレは賃金を支払う企業にとっての福音だ。
これは、とりもなおさず労働者の不利益であることを意味する。また、借金の重みはインフレによって減る。個人預金者であり、国と企業が債務者である。
インフレによって政府と企業は実質債務残高減少という利益を享受した。政府は借金を棒引きしたと同時にインフレで税収激増を獲得した。
その裏側で、個人はインフレによって実質賃金減少と実質資産残高減少という不利益に直面してきた。

第三の問題は消費税。
消費税は社会保障の財源とされるが、これは正しくない。消費税は目的税でなく一般財源。
社会保障の財源は消費税である必要がない。所得税でも法人税でも国債発行でも構わない。
メディアが流す歪んだ情報に騙されてはいけない。
所得税と法人税は「能力に応じた負担」の税制度。これに対して消費税は収入ゼロの個人と収入100億円の個人に同じ税率を適用する。極めて逆進性が強い。
したがって、社会保障の財源としては消費税よりも所得税、法人税が優れている。
メディアが流布する情報がデタラメであることをすべての国民に知らせる必要がある。
                 (中 略)
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4547号
「ドル円・インフレ・消費税の風説」 でご高読下さい。
                 (後 略)

12- 「司法の根幹に迫る」 鴨志田弁護士にJCJ大賞

 日本ジャーナリスト会議(JCJ)はすぐれたジャーナリズム活動を表彰する第69回JCJ賞に、鴨志田祐美弁護士の『大崎事件は問いかける―これからの再審のかたち』(かもがわ出版)を選び、贈賞式を東京都内で開きました。
 鴨志田氏は、日弁連再審法改正推進室長として今夏の再審法改定で奮闘しました。
 選考理由として、鈴木耕・選考委員は「半世紀にわたって無実を訴え続けた大崎事件の原口アヤ子さん(99)の再審弁護団の一員として、事件の真相を追い続けた著者の渾身の手記で、司法制度の根幹に迫る成果として大賞にふさわしい」とたたえました。
 大崎事件の概要を末尾に追記しました。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「司法の根幹に迫る」 鴨志田弁護士にJCJ大賞
                      しんぶん赤旗 2026年10月11日
 日本ジャーナリスト会議(JCJ)は10日、すぐれたジャーナリズム活動を表彰する第69回JCJ賞の贈賞式を東京都内で開きました。



鴨志田祐美弁護士(右)の大賞受賞を祝ってスピーチする袴田ひで子さん(その左)=10日、東京都内




 今回、JCJ大賞に選ばれたのは鴨志田祐美弁護士の『大崎事件は問いかける―これからの再審のかたち』(かもがわ出版)。鴨志田氏は、日弁連再審法改正推進室長として今夏の再審法改定で奮闘しました。

 選考理由として、鈴木耕・選考委員は「半世紀にわたって無実を訴え続けた大崎事件の原口アヤ子さん(99)の再審弁護団の一員として、事件の真相を追い続けた著者の渾身(こんしん)の手記。司法制度の根幹に迫る成果として大賞にふさわしい」とたたえました。袴田巌さんの姉、袴田ひで子さん(93)と映画監督の周防正行さんら、えん罪救済に取り組む仲間たちも駆けつけ、祝福しました。
 鴨志田氏は「私は、再審無罪も勝ち取ってないし、再審法改正も道半ばだが、その道行きの中にみなさんが巻き込まれてくれれば、それこそが私に与えられたこの賞の意味なのかな」と述べ、第5次再審請求が行われている大崎事件への支援を訴えました。
 JCJ賞に選ばれた「連載『「国防」の陰で』(沖縄タイムス社)、「悲しみのピーヤ 海底炭鉱で待つ183人」(山口朝日放送)、「連載『離島記者 報道砂漠で闘う市民メディアの挑戦』」及び「屋久島町政をめぐる一連の調査報道」(武田剛氏、屋久島ポスト)、「『自治体による高齢者の連れ去り』に関する一連の報道」(西岡千史氏、フロントラインプレス、掲載媒体・スローニュース)の4点と、特別賞の「長期連載『憲法事件を歩く』」(101回、信濃毎日新聞社)の受賞者もスピーチしました。

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

追記)
大崎事件とは(A Iによる概説。カッコ内は引用元)
大崎事件は1979年に鹿児島県大崎町で発生した男性の変死事件で、冤罪の疑いが長年続く日本の代表的な司法事件です。
事件の概要
1979年10月15日、鹿児島県大崎町の自宅に隣接する牛小屋の堆肥置き場で、42歳の農業従事者の男性(被害者)が遺体で発見されました。被害者は酒癖が悪く、事件の3日前には酔って自転車で溝に落ち、道端で倒れているところを近所の人に自宅まで運ばれていたことが確認されています。(kyuenkai.org)
警察は当初から「近親者による殺人事件」として捜査を開始し、被害者の長兄、次兄、長兄の妻、甥の4人が逮捕されました。長兄の妻が主犯とされ、保険金目的で被害者を殺害したと起訴されました。(Wikipedia)
裁判経過
1980年3月31日、鹿児島地裁は長兄の妻を主犯として懲役10年、長兄を懲役8年、次兄を懲役7年、甥を懲役1年と判決しました。控訴や上告も行われましたが、1981年1月30日に最高裁で刑が確定しました.(Wikipedia)
しかし、事件には物証がほとんどなく、共犯者とされた3人は知的障害を抱えており、取調べで虚偽の自白を強要された可能性が指摘されています。長兄の妻は一貫して無実を主張し、1990年に再審請求を行いました。(kyuenkai.org)
冤罪の疑いと再審
被害者の死因については、頸部圧迫による窒息死と推定されましたが、事故死の可能性も指摘されています。特に、被害者は側溝に転落して濡れた状態で放置されており、寒さや体調不良による死亡の可能性もあるとされています。(yuroblog.site)
再審請求は複数回行われ、2025年2月には最高裁第3小法廷で原口アヤ子さんの再審請求が棄却されましたが、事件の真相や冤罪の可能性については未だ議論が続いています。(kyuenkai.org)
事件の特徴
物証がほとんど存在せず、自白に依存した裁判であったこと
共犯者とされた人物の知的障害や供述弱者性が考慮されなかったこと
保険金目的の殺人という捜査ストーリーが早期に作られ、他の可能性が検討されなかったこと
大崎事件は、日本の司法制度における冤罪の象徴的事例として、再審請求や弁護団の活動、社会的議論の対象となっています。(3rd-in.co.jp)

2026年10月10日土曜日

「自民党総裁 高市早苗」就任1年 空虚な熱狂と案の定の現実

 日刊ゲンダイの掲題の記事を紹介します。
 高市早苗氏が自民総裁選に勝ってから4日で1年が経過しました。史上最低最悪の政権です。日刊ゲンダイは第1節を「あれから1年。高市の危うさは日刊ゲンダイが危惧してきた以上である」と述べます。

 彼女は突然、発足から4ヵ月が経つ2月7日を投開票日とする総選挙に打って出て、大勝を収めました。この裏には、高市事務所が某企業に野党攻撃の動画を制作させ、それを高頻度で世上に流させることを委託・実行させたのが勝因とする疑惑が出されました。同企業は動画を脅威的な頻度で作成し、それを自動的に高頻度で公開するシステムを構築する特技を持っていて、そこと高市事務所が接触した証拠も出されましたが、高市氏は「知らぬ・存ぜぬ」の一点張りで結局有耶無耶にされました。
 日刊ゲンダイの記事はその点には触れていませんが、もはや多くの人たちの記憶が曖昧になりつつある総裁選の経過から始まって、この1年の高市政治の問題点を概括する記事になっています。

 併せて「簗農相『予算カット』恫喝発言が飛び火! 信じられない国交省調査で井林大臣は“火ダルマ”必至」を紹介します。因みに井林氏は国交大臣です。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「自民党総裁 高市早苗」就任1年 空虚な熱狂と案の定の現実
                         日刊ゲンダイ 2026/10/05
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 甘いほかの総裁候補に比して権力欲剥き出しで挑んだ高市が勝ってから1年だが、日刊ゲンダイが危惧した以上の危うさと落胆と。権力を履き違え、保身と自己愛の首相はなるほど、暴言農相とウマが合うのだろう。
  ◇  ◇  ◇
 高市首相が昨年10月の自民党総裁選に勝ってから、4日で1年。その第1回投票で高市が得た国会議員票は64票で、小泉防衛相の80票、林前総務相の72票の後塵を拝したのを、もう忘れた人も多いはずだ。
 それでも高市が決選投票に残れたのは、断トツの119票を獲得した党員・党友票のおかげ。高市は党員獲得数ランキング上位の常連で、昨年はとうとうトップに。総裁選をにらみ、高市シンパをシャカリキに勧誘した成果もあれば、今なお陣営関与の疑いがくすぶるライバル候補の誹謗中傷動画の作成・配信が奏功したのかもしれない。
 進次郎との決選投票で劣勢とみられた高市が獲得した議員票は149票。進次郎の145票を上回り、逆転勝利できたのは直前に麻生副総裁が自派閥の議員に「高市で行け」と大号令をかけたからだ。麻生は決選に残れなかった茂木外相陣営の票も高市に回し、大きな貸しをつくった。
 総裁選終盤、高市本人や陣営幹部らは連日「麻生詣で」を重ね、「高市政権になったら、誰を頼りにするんだ?」という麻生の問いかけに、「もちろん麻生先生です」とヨイショする場面もあったという。今度の改造人事でも、どうりで高市は麻生に頭が上がらないわけだ。
 まさに権力欲ムキ出しで高市は総裁選に挑み、勝つためなら何でもアリだ。それに比して当初は本命視された進次郎以下、他の候補は甘いとしか言いようがないが、あれから1年。高市の危うさは日刊ゲンダイが危惧してきた以上である。

「サナ活」を好意的に伝えたオメデタさ
 総裁選のキャッチテーマに「#変われ自民党」を掲げたクセに、相変わらず「数の力」がモノをいう古い政治体質。自分に甘く他者に厳しい高市の人間性。富める者は富み、貧しき者はますます物価高に喘ぐサナエノミクス。防衛費増額のあからさまな軍拡路線──。
 総裁選の直後から日刊ゲンダイは高市の危険性に警鐘乱打してきた。しかし大メディアのオメデタさは犯罪的と言えるほどだ。
 公明党が高市にソッポを向いて連立を離脱。日本維新の会が助け舟を出して連立合意と、内閣発足までには紆余曲折はあったが、「女性初の総理誕生」というだけでメディアは高市を無批判に持ち上げ、ワイドショー的なノリで報じまくった。
 そのせいで内閣支持率は発足直後から3カ月連続で65%以上と驚異的なスタートダッシュに成功。メディアも人気にあやかり、高市の愛用品を買い漁る「サナ活」現象なる「空虚な熱狂」を好意的に伝えた。
 図に乗った高市は年明けに身勝手な衆院解散・総選挙に打って出ると、地すべり的なバカ勝ち。向かうところ敵ナシ状態で全能感に包まれ、「なんで出なあかんの」と集中審議への出席を渋る「国会嫌い」にも拍車がかかった。権力を履き違え、高市を勘違いさせたのも、大メディアの責任だ。
 当初予算の年度内成立がかなわなかったことを根に持ち、「聖域」とされる参院自民の人事にも手を突っ込み、参院幹事長だった石井準一氏を事実上、更迭させたのがいい例だ。保身と自己愛の首相は「敵」と「味方」を峻別し、ひとたび「敵」とみなせば容赦しない。その歪んだ精神構造は先の衆院選で自身を支援しなかった地元首長の自治体予算を削減したと言い放った簗農相と変わらない。なるほど、暴言大臣を「知恵袋のヤナちゃん」と呼び、ウマが合うのも納得である。

外交も「敵」「味方」を峻別する危うい手法
 自民党支部の懇親会で、オレに逆らう「敵」は痛い目に遭うゾと脅した簗の暴言こそ高市政権の体質そのもの。問題は外交の場でも、ためらいもせず「敵」と「味方」を峻別していることだ。
 就任早々、高市が台湾有事答弁で中国を「敵」認定して以降、対中関係は戦後最悪レベルに。中国のデュアルユース(軍民両用)品目の輸出規制強化により本来、得られたはずの経済利益を失うデメリットが顕在化しても、高市は絶対に自身の非を認めない。
 先の訪米時も高市は国連演説で「旧敵国条項」の削除に言及。高市の強い意向があったとされ、日本の国連への貢献を強調し、高市政権に対し「新型軍国主義」批判を強める中国への意趣返し。わざわざ火に油を注いだのである。
 ところが、直後の米中首脳会談では、高市が「味方」と認定していたトランプ大統領が、これでもかと習近平国家主席との友好関係をアピール。合意事項とした文書には「米中は第2次世界大戦の『同盟国』であり、肩を並べて戦い勝利した」と盛り込まれた。共に戦い勝利した相手はむろん、日本である。
 これじゃあ高市の「旧敵国条項」発言は米中友好のダシに使われたようなもの。一方的に「味方」と思い込み、これまで踊って抱きつき、色目も使って散々媚を売ったトランプにハシゴを外され、高市は大慌てだ。この1年の目を覆うような恥ずかしい振る舞いは、単なる亡国の外交だとハッキリした。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「この1年の高市外交には『昨日の敵は今日の友』ともなり得るようなトランプ流の融通無碍がなく、ひたすら中国憎し。修正を促す官僚を遠ざけ、負けを認めたがらない本人の性格も相まって、米中接近の環境変化に適応できそうにありません。『敵』の脅威をあおり、自身の政治的正当性や国内の結束を強める高市首相の危うい手法は、20世紀のドイツの法学者カール・シュミットが唱えた『友・敵理論』的です。ただ、培養してきた反中の支援者の離脱を恐れるあまり、対中強硬姿勢を貫くほど、高市外交の選択肢は狭まる。もう後戻りできない隘路に自ら進んでいるかのようです」

いつも口先だけの場当たり策で八方ふさがり
 高市が後戻りできないのは、5日に召集される臨時国会の最大焦点である消費税減税も同様だ。「ワタクシの悲願」とは言うものの、衆院選の公約に「食料品の消費税ゼロ」を掲げたのは、しょせん争点潰し。野党がこぞって減税実現を訴えていた手前、党内手続きをすっ飛ばし、議論を形骸化。バカ勝ちした結果、後に引けなくなり、財源の穴埋めもままならない中、意固地になっているだけではないのか。
「10月からの酒税改正でビールは約9円の減税となりましたが、店頭価格は結局、減税の額と同じ分だけ安くはなっていません。原材料費や物流費、人件費などコスト増を理由に価格転嫁しているためです。消費税減税も同じ結果となるのは目に見えています」(経済評論家・斎藤満氏)
 ここ数年のコストプッシュを抑えなければ減税は効果なし。庶民を苦しめる値上げラッシュも収まらないのに、高市はアベコベの経済無策である。
 無責任な放漫財政が市場に嫌気され、長期金利は総裁選前の1.6%台から先月25日には一時3.115%に上昇し、ほぼ倍増。1ドル=140円台半ばだった円相場もこの1年で円安が加速した。為替介入を繰り返し、総額23兆円もの巨額を投じながら160円台目前の安値圏に張り付いたまま。円安物価高に終わりは見えない。
「高市首相は物価高対策を『内閣の最優先課題』と言いながら、いつも口先だけ。過度なインフレ政策を取るリフレ派なのに、財政不安による円安と金利高を米国に責められると『リフレ派ではない』と言い出す始末。常に場当たり的です。金利や為替、財政面でトランプ政権に口を挟まれ、挙げ句に防衛費増額や80兆円もの対米投資をせっつかれる。無理難題を押し付けられて、もはや八方ふさがりです」(斎藤満氏=前出)
 政権発足時の熱狂はとうに落胆と変わり、就任1年で案の定の冷めた現実。「高市総理」という名の悪夢は、いつまで続くのか。


簗農相「予算カット」恫喝発言が飛び火! 信じられない国交省調査で井林大臣は“火ダルマ”必至
                         日刊ゲンダイ 2026/10/07
 こんなことが、偶然に起こるのだろうか。
 簗和生農相が2月の衆院選で自身を応援しなかった首長がいる自治体の道路予算を「大幅にカットした」と発言し、実際に減額されていた問題は、どんどん疑惑が深まっている。
 簗氏は5月、地元・栃木県大田原市で開いた自民党の会合で「那須烏山市と、那珂川町の道路予算は大幅にカットした」と発言。その理由として「首長が自民党の国会議員はいらないという行動を取った」と説明していた。
 実際、簗氏の選挙区(栃木3区)では、首長が簗氏の対立候補を応援した自治体は、軒並み予算をカットされていた。「那須烏山市」は63%減、「那珂川町」は54%減と大幅に減額されていた。
 一方、首長が簗氏を応援した自治体の道路予算は増えていた。「那須町」は34%増、「那須塩原市」は11%増と、増額されていた。

国交省調査「働きかけや圧力なかった」
 減額と増額について、簗氏から「圧力」があったのかどうか、国交省が6日午後5時から会見を開き、省内調査の結果を公表した。
 2026年度予算の配分額が決まる前の今年2月中旬ごろ、簗氏から佐々木紀副大臣と黒田昌義官房長(いずれも当時)に、問い合わせがあったことは認めた。
 しかし、対応した黒田氏は「細かいメモもなく、はっきり覚えていないくらいだから、働きかけや圧力を受けたことはなかったと思う」と説明しているという。
 しかし、これほど奇麗に「選挙支援の有無」と「予算の増減」がピタリと一致するのに、「簗氏から働きかけや圧力はなかった」とする国交省の説明は、本当なのだろうか。
 もし、簗氏からの圧力はなかったのに、予算を半分以下に削ったとしたら、今度は国交省の道路行政について妥当性や公平性が問われることになるのではないか。
「道路予算が前年度から54%も削減されるのは、どう考えても異常です。国交省はどういう基準で予算を決めているのでしょうか。納得する国民は、ほとんどいないはずです」(霞が関関係者)
 野党は、臨時国会でこの問題を徹底的に追及する構えだ。国民民主党の玉木雄一郎代表は6日の会見で、「行政の公平性に関わる。他地域や予算項目でも同様のことが起きていないのか」と話し、全省庁の調査を要求した。

 いまや、簗氏個人の炎上が、霞が関全体に飛び火している。井林辰憲国交相も、激しい追及にさらされるのは間違いない。
「野党内では、より詳細な説明や、さらなる情報開示を国交省に求める声が高まっています。場合によっては、全国の国交行政について追及される可能性がある。答弁で矢面に立たされる井林大臣にとっても、苦しい局面になるでしょう」(野党関係者)
 絶対に中途半端に終わらせてはダメだ。

10- 「首相に倣え」でスットボケ この政権は何から何まで闇の中

 日刊ゲンダイの掲題の記事を紹介します。
「簗農相の辞任は本来秒読みなのだろうが、辞めれば済む話ではなく、予算がカットされた経緯、自民党の利益誘導の実態など、問いただすべきことは山のようにある。しかし都合の悪いことは平然と隠蔽し白を切るのが高市政権なので、首相の答弁拒否に倣えということであろう。こうして政権の劣化と腐敗が進んでいく」・・・記事はこんな風に書き出されます。

 中見出しは、
・今の高市政権では議会政治が崩壊している
・会見嫌い、答弁拒否、説明不足で政権全体が「答えない政治」に
・日本の首相が声高に叫ぶ「知恵袋」が大炎上
と、恐怖の言葉が並びます。

 そして‥‥「鯛は頭から腐る。会見嫌い、答弁拒否、説明不足──の高市に閣僚までも倣えば、政権全体が「答えない政治」に陥る。つまり、何から何まで闇の中。こうして政権の劣化と腐敗が進んでいくのだ」と結びます。

 まさに日本はいま「何から何まで闇の中」の状態です。
 しかし日本のメディアは、日刊ゲンダイなど以外にはそんな指摘をするところはありません。まずはメディアの覚醒を願います。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「首相に倣え」でスットボケ この政権は何から何まで闇の中
                         日刊ゲンダイ 2026/10/06
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 簗農相は辞任秒読みなのだろうが、辞めれば済む話ではない。
 予算がカットされた経緯、自民党の利益誘導の実態など、問いただすべきことは山のようにあるが、都合の悪いことは平然と隠蔽が高市政権。会見嫌い、答弁拒否の首相に倣え、ということだろう。
 こうして政権の劣化と腐敗が進んでいく。
  ◇  ◇  ◇
「首相に倣え」でスットボケ ─。そんな光景が繰り広げられつつある。
 5日に召集された第222回臨時国会。会期は12月12日までの69日間で、焦点は高市首相が成立を目指す飲食料品の消費税減税法案に加え、与党が掲げる衆院議員定数削減だろう。
 与党は参院で過半数を割っており、消費税減税を実現するには野党の協力が欠かせない。定数削減も、すでに野党が強く反発。与党は先の特別国会に比例代表を45議席減らす法案を提出したが、野党の反対で継続審議に。今国会中に与野党で結論を出せるのかどうかは、なお不透明だ。
 5日の所信表明演説で高市は「経世済民」「決断、挑戦、実行」を掲げ、「責任ある積極財政元年の幕開けだ」と大見えを切り、飲食料品の消費税減税については「家計にゆとりを生み出す」と強調していた。減税については赤字国債に頼らず財源を確保すると説明し、「心配には及ばない」と言い切ったが、肝心の「どうやって財源を確保するのか」については触れず。減税を唱えるだけなら誰でもできる。恒久的な社会保障などの財源をどうするのか、税収減をどう補うのか、財政悪化に対する懸念を市場に抱かせないためにはどうするのか。具体策が問われているのはその部分で、すでに「難しい宿題」がいくつも積み上がっているのだが、そんな中、臨時国会直前に新たな火を噴く問題が浮上。簗農相の予算カット発言だ。

今の高市政権では議会政治が崩壊している
 簗は5月に栃木・大田原市で開かれた自民党支部の会合に出席。2月の衆院選で自身を支援しなかった那須烏山市と那珂川町の名前を挙げ、2026年度の道路予算を「大幅にカットした」と仰天発言。この時、那須烏山市は前年比64%減、那珂川町は54%減と語っていた。実際、国の社会資本整備総合交付金の道路部分は、那須烏山市が25年度の約6535万円から26年度は約2426万円に約63%減、那珂川町も約4934万円から約2262万円に約54%減だったから、簗が会合で明かした数字とピタリと合う。
 農水省の27年度当初予算の概算要求額は3兆1377億円。前年度当初予算の1.4倍にあたる規模だ。新たな水田政策など金額を示さない「事項要求」も多く、今後、予算が膨らむ可能性も否定できない。その巨大な予算を所管する農相が「選挙と予算」を結び付け、自分を支持しなかった自治体は「カット」と言い放っているのだから、恐ろしい。
 言わずもがな、国会議員は国民全体の奉仕者であり、一部の人のために働くのではない。にもかかわらず、オレ様に従う自治体にはカネを配るが、歯向かう自治体はカネをやらないとは言語道断。公共事業の予算配分は政治家の選挙活動への「ご褒美」じゃないのだ。
 もはや民主主義の考え方ではなく独裁者の発想で、本来は大臣辞任どころか議員辞職が当然の大暴言と言っていい。
 元参院議員の平野貞夫氏がこう言う。
「今の高市政権では議会政治が崩壊していると言っていい。今年初めの憲法違反とも言える衆院解散で大勝して味を占め、何でもできると勘違いしている。先の国会の皇室典範改正の議論が典型でしょう。高市首相の政治姿勢が独りよがりだから、他の議員も同調する」

会見嫌い、答弁拒否、説明不足で政権全体が「答えない政治」に
 簗がふざけているのは発言の中身だけではない。他人事のような振る舞いを続けていたことだ。2日の会見で「コメントを控えたい」と繰り返した簗は、改めて開いた会見でも「誤解を招いた」と言うばかり。まるで発言を聞いた側の理解不足とでも言いたいような口ぶりで、真摯に丁寧に説明する気など微塵も感じられなかった。質問する記者をにらみつけるように眺め、逆ギレ気味で返答していたから唖然呆然。“誤解”というなら、なぜ、実際の減額幅と同じ数字を自分が「カットした」かのように語ったのか。それを曖昧にしたまま「一議員の時の話」「大臣就任前のこと」「農水省の所管外」で通用するワケがない。
 さらに言えば、問題の核心は「予算が減ったかどうか」だけではない。報道された簗の発言の中には「『自民党は必要だ』というところに、(予算を)多く回すのが当たり前の話」「私が、この選挙区にいなくなったら、完全に予算を切るって言われます。そのためにも、(略)正しい行動をしないといけないと思ってやっています」と断言する場面もあった。
 この言葉を要約すれば「選挙支援の姿勢によって公共事業の配分が変わる。だから自民を支持しろ」と恫喝しているに等しい。今も自民の国会議員が地元予算を「自分の力」として誇示することが常態化し、悪しき利益誘導政治が続いている証左ではないか。

日本の首相が声高に叫ぶ「知恵袋」が大炎上
 簗は5日のぶら下がり会見で、ようやく発言を撤回して謝罪。高市から職務を全うするよう指示されたと明らかにしていたが、与党内からも責任を問う声が出ているから、辞任は秒読みではないか。もちろん、前述した通り、問いただすべきことは山のようにあるから、辞めれば済む話ではないのは言うまでもない。
 高市の任命責任も当然、問われる。簗は自民党派閥の政治資金問題で、政治資金収支報告書に1746万円の不記載が発覚。役職停止6カ月の処分を受けた「裏金議員」だ。そんな問題児にもかかわらず、高市は衆院選の際に簗の地元・栃木3区で応援演説。隣に立って「私の大事なやなちゃん」「私の知恵袋のやなちゃん」と持ち上げていた。そんな「やなちゃん」を農相に抜擢して大炎上。これが日本の首相が声高に叫ぶ「知恵袋」なのだから日本国民として背筋が凍る。

 高市は改造内閣の閣僚起用に当たり、各議員のアンケート用紙に目を通し、「専門知識」「課題意識」「やる気」を吟味した、などと言っていたが、簗のどこを評価したのかサッパリ分からない。
 もっとも都合の悪いことは平然と隠蔽が高市政権の十八番だ。裏金議員をシレッと閣僚に据えた高市は、日米首脳会談の肝心な中身は答えず。先の国会で問題となった陣営のネガキャン動画疑惑でもノラリクラリしていたから、簗のダンマリも答弁拒否の首相に倣え、ということ。なるほど、報じられた自身の発言を「聞いていない」と答えたのも、高市が「有料」を理由に文春報道を「見ていない」とゴマカしていたことと共通する。
 裏金議員を脱税の疑いで刑事告発した「自民党ウラガネ・脱税を許さない会」の藤田高景代表はこう言う。
「高市政権は民主主義政治を根本から踏みにじっている。そもそもが政治とカネ問題について、きちんと向き合わないこと。時間が経てば国民は忘れると思っている。農水大臣発言も適当な対応ではぐらかしていれば国民は忘れると思っているのでしょう。全く許せません」

 鯛は頭から腐る。会見嫌い、答弁拒否、説明不足──の高市に閣僚までも倣えば、政権全体が「答えない政治」に陥る。つまり、何から何まで闇の中。こうして政権の劣化と腐敗が進んでいくのだ。