2025年4月10日木曜日

トランプ金融波乱のゆくえ(植草一秀氏)/WTO違反 撤回求めよ(山添拓氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 植草氏は、貿易収支(経常収支)が赤字の国は海外からお金を借りてたくさんお金を使っている一方、貿易収支が黒字の国は余ったお金を海外に融通しているが、生活水準は稼いだお金よりも少ないつつましい暮らしになっているのが実態と述べ、米国は貿易赤字を計上しているが、不足資金の調達=ファイナンスに困っている状況でないので、「トランプ大統領が貿易赤字を敵対視する理由が十分に明快でない」としています。
 さらに「トランプ大統領の関税率引き上げは国内製造業を繫栄させることを目指しているようだが、果たしてそうなるか」と疑問を呈し、かつてマッキンリー大統領が関税を引き上げた時代は、米国製造業が上り坂の時代であったので その発展に一定の寄与があったと思われるが、二期目に入ると早くも自由主義重視に見解を変えたと指摘します。
 そもそも米国製造業が世界の工場であった時代は終焉したので、それが簡単に復興することはなく「夢よもう一度」は無理な話です。
 そして工業製品に対する関税率の大幅引き上げは米国消費者の実質所得を減少させるので経済全体にプラスの影響を与えない。その一方で米国は新しいハイテク分野で米国は世界の先頭グループを走っているのだから、世界景気の後退リスクを高めるのはやめるべきだとしています。

 早くも金融市場はトランプ関税始動に伴う世界経済の悪化を警戒し、株価は大幅に下落しました。そのためかどうかトランプは9日、突如「相互関税措置を90日間停止」すると発表しました。それを歓迎したニューヨーク株式市場は、ダウ平均株価が前日比2900ドルを超える大幅な上昇(過去最大の上げ幅)となりました。
 これは「トランプ関税」が簡単には意図した効果を生まないことを証明するもので、暫定措置が本当に90日で終るのかどうかが注目されます。

 併せてしんぶん赤旗の記事「WTO違反 撤回求めよ 参院委 トランプ関税巡り山添氏」を紹介します。
 共産党の山添拓議員は8日の参院外交防衛委で、いわゆる「トランプ関税」は国際貿易機関(WTO)協定に明白に違反すると強調しました。
 また、「トランプ氏は対日貿易赤字額を輸入額で割った数値で関税率を決定しているが、グーグルやアマゾンなどの多国籍企業が日本であげた巨額の収益は必ずしも日米間の収支に反映されず、米国に流れている」と指摘しました。そして、「経済主権を脅かし多大な犠牲を強いる自由貿易ルールの行き詰まりがはっきりした」と強調し「経済主権・食料主権に即した公正な貿易ルールを日本が主導し、新たに構築すべきだ」と述べました。
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トランプ金融波乱のゆくえ
               植草一秀の「知られざる真実」 2025年4月 8日
トランプ台風が吹き荒れて世界の金融市場に波乱が生じている。
原因はトランプ大統領が指揮する関税政策。米国との貿易収支で黒字を出している国からの輸入に高率関税をかけるというもの。

トランプ大統領は、貿易赤字はけしからんという判断を有しているように見える。
貿易収支(経常収支)が赤字の国は収支尻の赤字部分を海外からの資金流入で帳尻を合わせる。
海外からお金を借りてたくさんお金を使っているということ。
貿易収支(経常収支)が黒字の国はモノをたくさん売って資金を稼ぐが、余ったお金を海外に融通することになる。

生活水準が何によって決定されるかと言えば消費水準によって決まる。
貿易収支(経常収支)が赤字の国は所得以上の派手な暮らし(消費水準)を謳歌して、足りない資金を海外からの資金流入で賄っている。
貿易収支(経常収支)が黒字の国は国内でお金が余り、余ったお金を海外に融通しているが、生活水準(=消費水準)は稼いだお金よりも少ないつつましい暮らしになる。

アリとキリギリスのような関係だが、海外からの資金流入が途絶えなければ、米国は身の丈以上の派手な暮らしができているわけで悪い話ではない
「アリとキリギリス」の寓話は夏に遊びを謳歌するキリギリスと夏もせっせと働くアリの話で、冬になって何の貯えもないキリギリスは困窮し、アリは冬も豊かに暮らせたというもの。
しかし、現代版の「アリとキリギリス」は冬になって困窮したキリギリスがアリの家にたどり着くと、夏に懸命に働いたアリは倒れて動けなくなっていて、キリギリスがアリの貯えで冬も豊かに暮らすというもの。

米国は貿易赤字を計上しているが、不足資金の調達=ファイナンスに困っている状況でない。
トランプ大統領が貿易赤字を敵対視する理由が十分に明快でない。
海外の米国への輸出に高い関税をかける。関税を負担するのは輸入者である。
関税分を価格に転嫁すれば、輸入品の米国での販売価格は上昇する。このとき、輸入品の価格が上昇し消費者が輸入品から国産品にシフトすれば国内製造業の生産が増大する。
トランプ大統領は関税率引き上げで国内製造業を繫栄させること目指しているようだが、果たしてそうなるか

かつて、マッキンリー大統領が関税を引き上げた時代は、米国製造業が上り坂の時代
世界の工場が英国から米国に移動する時期だったから、米国製造業の発展に一定の寄与があったと思われる。
しかし、マッキンリー大統領も2期目を迎えると判断を変えて、自由主義重視に見解を変えた。
米国製造業が世界の工場であった時代は終焉した。世界の分業体制は時代とともに変化する。

同じ性能の生産物を他国が安価に提供する場合、その財を海外から輸入し、自国は自国が比較優位を持つ産業の生産を増大して海外に供給する。
これが自由貿易のメリットでウィンウィンの関係が構築される。
ただし、国内で保持しなければならない産業もある食料生産産業がその第一だ。
どの国も食料は国民の生存に欠かせない財であるから、国内一次産業を保護して食料の自給体制を確保しようとする。これは正しい対応

しかし、工業製品の立地は変化する。
米国に強い産業ないなら別だが、新しいハイテク分野で米国は世界の先頭グループを走っている。
工業製品に対する関税率の大幅引き上げは米国消費者の実質所得を減少させる効果を発揮して、経済全体にプラスの影響を与えない。
ただ、米国の場合、関税収入を財源に所得減税を行うなら、輸入品の価格上昇による実質所得減少を所得税減税が埋め合わせることになる。
他方、関税率の引き上げが米国に輸出する国の製造業生産額減少をもたらせば、海外景気の悪化が生じる。このことにより、世界経済の成長率が低下することは世界景気の後退リスクを高めることになる。

トランプ関税始動を背景に海外諸国が輸入関税の引き下げに動き、その動きを確認してトランプ大統領が、今回設定した関税率の引き下げを表明することになるかも知れない。
金融市場はトランプ関税始動に伴う世界経済悪化を警戒し、株価下落で反応しているが、今後のトランプ言動によって逆の市場反応が表面化する可能性は低くないと考えられる。
 (後 略)
 
 
WTO違反 撤回求めよ 参院委 トランプ関税巡り山添氏
                        しんぶん赤旗 2025年4月9日
 日本共産党の山添拓議員は8日の参院外交防衛委員会で、各国への関税を一方的に引き上げるトランプ米大統領による措置は国際貿易機関(WTO)協定との整合性がないと追及し、米国に説明を求め、措置を撤回させるべきだと主張しました。

 WTOの主要原則である「最恵国待遇」は関税率を国によって差別してはならないとし、一方的な措置も禁止しています。山添氏が、過去に日本が関税の引き上げによるWTO協定違反を理由に紛争解決の申し立てを行った実績をただしたのに対し、外務省の小林賢一審議官は2021年に中国、19年にインド、00年に米国に対し実施と答弁。山添氏は「トランプ関税」が過去の申し立て事例と比べ対象が広く規模は大きいとして「WTO協定違反は明白だ」と強調しました。
 また、トランプ氏は対日貿易赤字額を輸入額で割った数値で関税率を決定しているが、グーグルやアマゾンなどの多国籍企業が日本であげた巨額の収益は必ずしも日米間の収支に反映されず、米国に流れていると指摘。各国に新自由主義的な国際経済秩序を押しつけながら多国籍展開し、安い労働力で利益をあげ、国内で高収益のIT企業に傾斜した結果、米国内での格差と貧困が広がることになったとして、トランプ氏の主張する貿易赤字は「米国自身の責任だ。それを他国との貿易戦争で解消しようなど言語道断だ」と批判しました。
 石破首相が米国への巨額の投資を理由に他国と同じように扱うことは認められないとして措置の見直しを求めているが、「日本さえよければという姿勢か」と認識をただしました。

 岩屋毅外相は「関税戦争に勝者はいない」としたうえで、「これだけ経済がリンクする国際社会で一国のみが繁栄するなどありえない」と答弁。山添氏は、経済主権を脅かし多大な犠牲を強いる自由貿易ルールの行き詰まりがはっきりしたと強調し「経済主権・食料主権に即した公正な貿易ルールを日本が主導し、新たに構築すべきだ」と述べました。

アメリカ人を貧困に陥れ、世界に害を及ぼすトランプの不条理な貿易政策

 ジェフリー・D・サックスが掲題の記事を出しました。
 サックスは若くして国際貿易論の分野で業績を上げ、29歳でハーバード大学の教授となった俊英で、海外記事を紹介するブログにも頻繁に登場しています。
 記事の結論は「トランプ関税では貿易赤字と財政赤字を解消できず、物価を上昇させ、貿易による利益を浪費することでアメリカと世界を貧しくするだろう。アメリカは自国と世界に与えている損害のせいで世界の敵になるだろう」と明記されており、論理的で理解しやすい文章になっています(「経済」の仕組みに即して正確に理解するには相応の知識を要しますが)。

 国際ニュース解説者の田中宇氏が「高関税策で米覇権を壊す」という記事を出しました。
 田中氏は、トランプの目的は米覇権(その実態は「英国系の情報機関が主流となっている米国のデープステイト」)を壊滅させるのが目的で、米国の単独覇権体制を破壊し多極化するための一環であるとしています。併せて紹介します。
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アメリカ人を貧困に陥れ、世界に害を及ぼすトランプの不条理な貿易政策
                 マスコミに載らない海外記事 2025年4月 7日
                   ジェフリー・D・サックス 2025年4月3日
             The Unz Review
 2025年4月2日水曜日、ホワイトハウスのローズガーデンで行われた「アメリカを再び豊かにする」催しで、ドナルド・トランプ大統領は政権の関税計画に関する大統領令に署名した。
 基本的な経済的間違いで、ドナルド・トランプ大統領は世界貿易体制を批判している。アメリカの貿易赤字は、世界がアメリカを騙したことが原因だと彼は誤って主張し「何十年にもわたり、歴史上どの国も騙されたことのないほど彼らは我々を騙してきた…」などと繰り返し述べている。
 関税を課すことで貿易赤字を解消し、輸入を抑制して貿易収支を回復すること(あるいは他国がアメリカをだますのをやめるように促すこと)をトランプは目指している。だが、トランプ関税は貿易赤字を解消するのではなく、むしろアメリカ人を貧困に陥れ、世界の他の国々に損害を与えるだろう
 
 ある国の貿易赤字(より正確には経常収支赤字)は黒字国の不公平な貿易慣行を示すものではない。全く別のことを示している。経常収支赤字は、赤字国が生産より支出が多いことを意味する。つまり、投資よりも貯蓄が少ないということだ。
 アメリカの貿易赤字は、アメリカ企業支配階級の浪費尺度で、より具体的には、富裕層の減税と無駄な戦争に浪費された数兆ドルが組み合わさった結果生じた慢性的な巨額財政赤字の結果だ。赤字は、アメリカが、カナダやメキシコに売るより多くのものをアメリカに売っているカナダやメキシコや他の国々の不誠実さによるものではない。
 貿易赤字を解消するには、アメリカは財政赤字を解消する必要がある。関税を課せば(自動車などの)価格は上がるが、貿易赤字や財政赤字は解消されない。特にトランプ大統領は関税収入を、富裕層の寄付者に対する大幅減税で相殺する計画だからだ。更に、トランプ大統領が関税を引き上げると、アメリカは対抗関税に直面し、それがアメリカ輸出を直接阻害する。その結果、アメリカと世界の他の国々はどちらも損をすることになる
 
 数字を見てみよう。2024年に、アメリカは48兆ドルの商品とサービスを輸出し、59兆ドルの商品とサービスを輸入し、11兆ドルの経常収支赤字をもたらした。この11兆ドルの赤字は、2024年のアメリカの総支出(301兆ドル)とアメリカの国民所得(290兆ドル)の差だ。アメリカは収入より多くを支出しており、その差額を世界から借りている
 トランプはアメリカの財政赤字の原因を世界のせいにしているが、それは馬鹿げている。アメリカは収入より支出が多いのだ。考えてみよう。あなたが従業員なら、雇用主との経常収支は黒字だが、商品やサービスを購入する企業との経常収支は赤字だ。収入とまったく同じ額を使っているなら、経常収支は赤字だ。買い物三昧でクレジット・カードの借金が増え、収入以上の出費をしているとしよう。すると経常収支は赤字になる。店があなたをだましているのか、それとも、あなたの浪費が借金を生んでいるのか?
 ワシントンを支配する企業買収者や脱税者の無責任な財政が続く限り、関税では貿易赤字を解消できない。例えば、トランプ関税で海外からの自動車や他の商品輸入が大幅に減少したとしよう。すると、アメリカ人はアメリカ製自動車や輸出されるはずだった他の商品を購入することになる。輸入は減少するが、輸出も減少する。更に、トランプ関税に対抗して他国が課す新たな関税は、アメリカ輸出の減少を更に助長する。アメリカの貿易不均衡は残る。
 
 関税によって貿易赤字がなくなるわけではないが、アメリカ国民は外国生産者から、より安価に入手できるはずの高価なアメリカ産品を買わざるを得なくなる。関税は、経済学者が貿易の利益と呼ぶもの、つまり国内外の生産者の比較優位に基づいて商品を購入する能力を浪費することになる。
 関税により自動車価格と自動車労働者の賃金は上がるが、その賃金上昇は国民所得の増加ではなく、経済全体でのアメリカ人の生活水準低下によって支払われることになる。アメリカ労働者を支援する本当の方法は、国民皆保険や労働組合結成の支援やグリーンエネルギーを含む近代的インフラへの予算支援など、トランプが好むものと正反対の連邦政府の措置を通じてであり、これらは全て、最も裕福なアメリカ人と企業部門への減税ではなく増税によって賄われる
 裕福な選挙資金提供者が減税や租税回避(タックスヘイブン経由)や脱税を推進しているため、連邦政府は総支出を税収で賄えない。DOGE政府効率化省IRS⇒米国国税庁監査能力を弱体化させたことを忘れないよう願いたい。現在、予算赤字は約2兆ドルで、アメリカ国民所得の約6%に相当する。予算ギャップが慢性的に高いため、アメリカの貿易収支は慢性的赤字のままだ。
 DOGEを通じて無駄と乱用を削減し、財政赤字を削減するとトランプは述べている。問題は、DOGEが財政浪費の本当の原因を誤って伝えていることだ。財政赤字は、不当に解雇されている公務員給与や、将来の繁栄がかかっている政府の研究開発費によるものではなく、むしろ富裕層の減税や、アメリカの絶え間ない戦争への無謀な支出や、イスラエルの絶え間ない戦争へのアメリカの資金提供や、750の海外アメリカ軍基地、肥大化したCIAや他の諜報機関や、急増する連邦債務への利払いの組み合わせによるものだ。
 最も裕福なアメリカ人に対するさらなる減税に道を開くため、トランプ大統領と共和党議員はメディケイド、つまり最も貧しく弱い立場にあるアメリカ人を標的にしていると報じられている。彼らは近いうちに社会保障とメディケアにも狙いを定めるかもしれない。
 
 トランプ関税は貿易赤字と財政赤字を解消できず、物価を上昇させ、貿易による利益を浪費することでアメリカと世界を貧しくするだろう。アメリカは自国と世界に与えている損害のせいで世界の敵になるだろう
記事原文のurl:https://www.unz.com/article/trumps-absurd-trade-policies-will-impoverish-americans-and-harm-the-world/ 
 
 
高関税策で米覇権を壊す
                  田中宇の国際ニュース解説 2025年4月7日
トランプ米大統領が、世界各国に対して各種の高関税策をかけ始めている。その目的は「米経済覇権体制=グローバリズムの解体・破壊」、別の言い方をすると「世界経済の多極化」だ。米覇権が低下すると、世界は自然と多極化する(すでにしている)。だから、米覇権の破壊と多極化は同じものだ。
1980年代の米英金融自由化(経済の債券化。ビッグバン。プラザ合意)以来、世界は、米国(米英欧)が金融、その他の世界は製造業、という役割分担があり、米金融の利益率が世界の製造業より高い状態が維持され、この要素が米(英)覇権の中心になっていた。US tariffs hit Europe, China harder than expected, recession risks rise: Barclays

この米金融覇権体制は、米国が世界から商品を旺盛に輸入する替わりに、世界は対米輸出で儲けた資金を米金融界に預託(投資)し、米国が資金面で世界を席巻する仕組みだった。
覇権放棄屋(隠れ多極主義者)のトランプは今回、世界から米国への輸入品に高関税をかけ、米金融覇権体制を潰しにかかった。関税を取られる分、世界は対米輸出の儲けが減る。連動して、世界から米国への金融投資も減るので、株高を支えていた構図が崩れ、株価の世界的な暴落になっている。Trump says his tariff policies ‘will never change'

トランプは破壊活動的な高関税策をずっと続けるので、株価は反騰しにくく、下落傾向が長引く。米国債は株式からの資金逃避で上がっているが、これから世界が米国債を買わない傾向を強めると反落(金利上昇)しうる。
フランスのマクロンは、米国に投資するなと財界に要請した。欧米の分断はトランプの目標だ。世界が米国に投資しなくなると、DS⇒デープステート・陰の政府の一部である米金融界が破綻する。マクロンはDS(英傀儡)なのに、ハメられてトランプのDS潰しに加担してしまった。
トランプの高関税策に理解を示すようなことを言っているスターマーの英国の方が巧妙だ。
Macron calls on EU companies to freeze investments in US)(Starmer to announce end of globalization

米覇権が1980年代に金融化して以来、米金融は、世界から投資を集め続けるため、株高や債券高(金利低下)を維持する必要があった。米金融は40年間バブル膨張し続けた。
米金融の最盛期は1985年の金融自由化から2000年のITバブル崩壊あたりまでで、その後はいろんな手段を駆使した延命期に入った2008年のリーマン危機で債券化の延命が限界になり、その後は中央銀行(FRB)のQE(過剰造幣)や、米政府の財政赤字増加による注入といった、当局による不正(異次元)な資金注入での延命策になった。(米連銀がQEやめないので実体経済が破綻してるのに株が上がる)(Europe prepares response to Trump tariffs as global markets plunge

公的な経済統計の算出方法を歪曲して、景気や雇用、物価を粉飾して金融相場の吊り上げを維持する策も横行・拡大した。米金融覇権を維持するため、当局と金融界、マスコミ権威筋が手段を選ばず大ウソをついて株や債券の高値を演出し続けた
これらの不正が万策尽き、高値が維持できなくなったタイミングで、トランプが再登場し、高関税策を発動して米金融覇権の構造を破壊し始め、金融相場の大崩壊が始まった。('Immense consequences': Trump's tariffs ignite worldwide backlash, spiraling uncertaintyひどくなる経済粉飾

トランプの高関税策は、米国の製造業を復活させる経済ナショナリズム策として打ち出されているが、製造業の復活は、成功するとしても何年もかかる。世界各国は、米国に代わる輸出先を開拓せねばならない。
リーマン危機やウクライナ戦争は、米欧系以外の諸国(BRICSなど非米側)に、米欧抜きで結束して発展していく道を歩ませ、世界経済は非米化が進んでいる。70億人以上の巨大市場である非米側が、これから米国に代わる輸出先になる。長期的に、世界経済は今より発展する。だが、それも時間がかかる。(Here's what's really behind Trump's tariffs - and how they may backfire

トランプの高関税策は、世界経済を米国依存のグローバリズム(米覇権体制)・金融主導(金融支配)から解放し、非米化・多極化・実体経済(非金融)中心に引き戻していく起爆剤になる。長期的には、トランプ革命の全体が、世界にとって2度の大戦以来の画期的な出来事・覇権転換だ。これがいわゆる「新世界秩序」「大リセット」の本質でもある。(Trump's new tariffs pave way for new world order, says top EU lawmaker

しかし短期的には、まずリーマン以上の金融危機(リーマン危機で起きるはずの崩壊がQEなどの延命策で先送りされていた事態の終わり)や、世界的な大恐慌がこれからしばらく続く。
その間に、欧州の没落、中東の(イスラエル中心の)再編など、政治面での覇権構造の転換が進行する。(JPMorgan sounds global recession alarm

トランプは、金融危機や大恐慌を引き起こすとわかっていながら高関税策を発動した。マスコミ権威筋(グローバリスト=米覇権運営体=DS=英国系の傀儡)は、トランプは馬鹿だと非難している。
だが実のところトランプは馬鹿でない。彼は、2015年から明言している目標である「DS=米覇権を潰す」を、用意周到かつ大胆に進め、年初の再就任以来、今のところ全戦全勝で成功している。
米覇権運営体(諜報界)には最初(終戦時)から、英国系と隠れ多極派(ロックフェラーとか)の暗闘があり、トランプは隠れ多極派を継承し、ケネディやニクソンやレーガンが道半ばで終わった英国系潰しに成功している。高関税策の目的は英国系(=米覇権)潰しだ。(US trade tariffs flawed, increase recession risk: Invesco's Paul Jackson

「そんな諜報界の身勝手な派閥争いのために、世界が不況にされ、あたしのNISAが大損させられたの??」と非難する人がいそうだ。
長期的・巨視的に見ると、諜報界の暗闘がなくて英国系が米覇権を好き放題に延命すると、米覇権を維持するために、米国のライバルになりうる中露印などBRICS・非米側の諸勢力が次々と政権転覆されたり経済破綻させられ、ほかを潰して米英が延命する事態になる。Trump tells Americans 'it won't be easy'

英国系は、戦後ずっとアフリカ諸国の発展を阻害し、アフリカの人々に貧しい状態を強要し続けた。そういう展開が中露印などに拡大する。中国はアヘン戦争後の混乱に引き戻される。
これは、世界経済や人類の幸福の観点から、阻止すべきことだ。英国系(米覇権)が延命のために他の世界を破壊しないよう、トランプ(隠れ多極派)が英国系を潰している。株の暴落は必要なことだ(あなたの雇用やNISAが犠牲になるのは仕方がない)とトランプが言っている。Futures Tumble As President Trump Delivers "Declaration Of Economic Independence"

戦後の日本は、外務省を筆頭に、ゴリゴリの英国系傀儡だ。英国系が中国やロシアをアフリカみたいな貧しい永久混乱に陥れてくれるなら、傀儡も居心地良い。しかし実際は、英国系が隠れ多極派にしてやられ、中国は発展して米国をしのぐ大国になり、ロシアはウクライナ戦争に勝ってしまい、挙句の果てにトランプが英国系を潰しているColbert Begs The Deep State To Stop Trump

トランプは高関税策を「米国は解放された」と言っている。この言葉の真意は「米国は、英国系に牛耳られて単独覇権体制を強要されていた事態から解放された」である。
そして日本も、喜んで英国の傀儡になっていた事態から解放される。中国の属国・傀儡になるのでなく、日本が独自に非米側との関係網を作っていく必要がある
中国はすでに一帯一路を構築しており、日本よりはるかに進んでいるが。それに、英国系が潰されるのに何も対応しない無能・小役人な日本外務省は、中国の属国になって事足れりとするのだろうが。けっこう絶望的ではある。Futures Tumble As President Trump Delivers "Declaration Of Economic Independence"

これまで英国系は、巧妙にしぶとく延命してきた。トランプに潰されたまま、もう蘇生しないのか。英傀儡である米民主党が復活するとか??。
いやいや。その点も、隠れ多極派(リクード系とか)は、すでに手を打ってある。昨年夏、米大統領選挙戦の本格化直前に、米民主党の上層部で、バイデンに立候補を取り下げさせ、副大統領のカマラ・ハリスを大統領候補に据えるクーデターがあった。
あれは民主党内のリクード系がやったことらしい。ハリスは、関係者ならみんな知っている超無能な人だ。ハリスは昨秋の選挙で惨敗しただけでなく、2028年の次期大統領選に再出馬する意欲を見せている。ハリスは、絶対に勝てない。民主党は、今の支持率20%から挽回できない。Kamala Harris Hints At Future Political Run: 'I'm Not Going Anywhere'

民主党ではバラク・オバマが、勝てる候補を探して立候補させて復権しようと動いている。ハリスは、オバマの動きを阻止する。そして再度の惨敗。オバマは、リクード傀儡のブッシュが破壊した米覇権を立て直そうとしてリクード系に邪魔されて失敗した現職時代から、リクード系に負け続けている。
米国を大恐慌に陥れても、民主党がダメダメなので、二大政党制の米国では、トランプ陣営(バンスが後継者?、もしくはプーチン・メドベージェフ方式か?)が負けない。そのためにハリスが用意された。(無能なハリスを有能と歪曲する

高関税策は、経済でなく国際政治の策だ。これまで「経済分析」と言われてきたものの多くは詭弁だった。この点については、あらためて考える。

10- 大阪万博会場の高濃度メタンガス問題に国や府は安全強調も、識者が疑問符

 6日、大阪・関西万博の会場で、メタンガスが「着火すると爆発するおそれがある」とされる基準値を超えて検出されたことが分かりました。同じ区画では去年、メタンガスが原因の爆発事故が起きていて、博覧会協会は対策を強化するとしていました。
 試験公開で万博会場を訪れていた来場者が検知器を持ち込んで調べたところ、万博会場北西部にある「グリーンワールド」の地下で、メタンガスが基準値を超えているのが分かり消防に通報したということです。
 この問題は以前からしんぶん赤旗などで度々指摘されていました。当局は問い合わせ等に対してその都度「対策を取るから」と回答して来ましたが、開会の直前でもこの有様です。本当に大丈夫なのでしょうか、
 NHK、日刊ゲンダイ、FRIDAYの記事を紹介します。
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大阪・関西万博会場で基準値超えのメタンガス検出 対策を強化
                      NHK NEWS WEB 2025年4月7日
6日に大阪・関西万博の会場で、メタンガスが基準値を超えて検出されたことが分かりました。同じ区画では去年、メタンガスが原因の爆発事故が起きていて、博覧会協会は対策を強化するとしています。
博覧会協会によりますと、4月6日、万博会場北西部にある「グリーンワールド」の地下で、メタンガスの濃度が、着火すると爆発するおそれがあるとされる基準値を超えているのが見つかりました。
試験公開で万博会場を訪れていた来場者が、検知器を持ち込んで調べ、消防に通報したということで、30分ほどの換気でメタンガスは検出されなくなりました。
同じ区画では去年3月、地中から出たメタンガスに工事の火花が引火する爆発事故が起きていて、博覧会協会は、この区画で、
▽建物の地下にファンを設置して強制的にガスを排気するとか
▽屋外の地下空間では、定期的に測定や換気をする
といった再発防止策をとってきました。
ガスが検出された場所も対象になっていて、博覧会協会は、
▽1日1回だった測定を3回に
▽測定場所を2か所から7か所に増やすことにしています。
博覧会協会の高科淳副事務総長は「メタンガスは地下で検出され、地上に出ると霧散して危険性はなくなるので、直ちに危険ではないが、来場者の安全のため、念には念を入れて対策していく」と述べました。
 
林官房長官「一時的な濃度上昇 開幕までに万全期す」
林官房長官は午後の記者会見で「換気を行ったところメタンガスは検出されなくなったことから、一時的に濃度が上昇したものと考えられる。会場全体に広がるような事象ではなく、すでに追加対策を講じたと聞いている。開幕までの間にさらに的確な対応策を講じ万全を期していきたい」と述べました。
 
 
大阪万博会場の“爆発”リスクはやっぱりヤバい…高濃度メタンガス問題に国や府は安全強調も、識者が疑問符
                         日刊ゲンダイ 2025/04/09
 開幕まであと4日の大阪・関西万博。先週末に行われたテストランでは、高濃度のメタンガスが会場内で検知され、消防が出動する事態にまで発展した。
 異変に気付き通報した大阪府守口市の寺本健太市議(共産党)が8日に記者会見を開き、経緯を説明した。元消防士の寺本市議は今月6日のテストランを視察した際、ガス検知器を持参。昨年3月に爆発事故が起きたトイレ付近のマンホールを測定したところ、引火すれば爆発しうる最低濃度(5vol%)を超えるメタンガスが検知されたという。
 開幕直前になってもなお、メタンガス対策の不備が露呈したわけで、寺本市議は「『いのち輝く未来社会のデザイン』と言っておきながら、いのちが吹き飛ぶ危険がある」と、安全管理体制を批判するのだった。
 騒動を受け、大阪府の吉村洋文知事は同日、メディアの取材に応じ「メタンガスは空気より軽いので自然換気すれば対応できる」とコメント。政府も林芳正官房長官が会見で「換気を行ったところメタンガスは検出されなくなったことから、一時的に濃度が上昇したものと考えられる」「会場全体に広がるような事象ではなく、すでに追加対策を講じたと聞いている」などと述べ、安全性の問題を否定した。万博協会は今後の対策として、ガス濃度のモニタリングの頻度を上げるほか、換気を強化するためマンホールのふたを常に開け、人が立ち入らないよう柵を設けるという
 
■対策には限界
 しかし、こんな取ってつけたような処置で、本当に十分な安全対策と言えるのか。以前から万博会場のメタンガス問題について警鐘を鳴らしてきた、建築エコノミストの森山高至氏はこう言う。
「仮に野原など何もないところでは、『自然換気すれば対応できる』という説明は正しいと思います。しかし、万博会場にはさまざまな建造物があり、場所によってはガスが空気中に出ていくのを阻まれてしまう。また、会場は構造上、地下空間が存在するため、やはりどこかでメタンガスが滞留してしまう。確かにマンホールを開けての換気は効果がありますが、それだけでは不十分と言わざるを得ません。すでに工事が完了しているパビリオンも多く、ガス滞留への抜本的な追加対策には、限界があるのではないでしょうか」
 万博の成功しか頭にない府や国が必死に否定しても、爆発のリスクはやはり残るようだ。「空飛ぶクルマ」ならぬ、「空飛ぶマンホール」は見たくない。
 
 
大阪万博はメタンガス、大混雑、熱中症と問題山積みも…テレビ局がネガティブ報道を控える「意外理由」
                              FRIDAY2025/4/8
「いろいろ心配する声もあったが開幕には間に合う」
大阪万博を必死にPRする石破茂首相だが……
大阪・関西万博の開幕まで1週間を切った。
“維新色”が非常に強いが万博は国家事業だ。

4月5日にはテストランに石破茂首相(68)が訪れ、会場内の様子や海外パビリオンの準備状況を視察した。石破首相は視察をしたうえで、
「いろいろ心配する声もあったが開幕には間に合う」
と太鼓判を押した。
盛り上がり具合をニュースでは報道し、“機運醸成はばっちり”と言いたいところだが現状はネガティブ要素が山積みしている。
まず5日のテストランで判明したのは、抽選で選ばれた大阪府民ら計約3万人という限られた人数が来場しただけでも、会場に入るまでに1時間半以上かかったということ。期間中は1日最大22万7000人の来場者を想定している。
「駅から入場口までの距離が短すぎて、逃げ場がない。駅の階段などでパンクを起こし“雑踏事故の危険性があるのではないか”という声が上がったようです。入場口で手荷物検査などがあるため、予約していてもスムーズには入れず、テストランの状態でもパビリオンの予約時間に間に合わなかったケースが発生していましたね」(全国紙記者)
そんなグダグダなテストランをしている真っただ中の6日、爆発する恐れのあるメタンガスが検知されたと万博協会が発表。午後4時ごろ会場の西側「グリーンワールド」工区で、着火すれば爆発の可能性があるとされる濃度の基準値を超えるメタンガスが検知された
SNSで消防隊員が作業に当たっている映像が拡散されたが、警告音のようなブザーが鳴り響いていた。自然換気を行い、約1時間後に基準値を下回ったことを確認し規制を解除したようだ。

◆局内の万博担当から「そろそろネガティブな報道はやめて」
「少し前の3月10日には、万博会場となる目玉の大屋根リングの土台部分の盛り土が海水で浸食されていると発表されました。『つながりの海』と『ウォータープラザ』の護岸あわせて約1100メートルのうち、半分以上の約600メートルの護岸が海水に浸食されてしまったのです」(前出・全国紙記者)
写真を見ても土台のすぐ近くの砂が侵食されている。なぜこのようなことが予測できなかったのか理解に苦しむ。“棒倒し”のように大屋根リングが崩壊しなければいいが。
しかし、在阪のテレビ局スタッフからは
「ネガティブ要素は山ほどあるが、報道しづらくなってきている」
と複雑な心境を明かす
「テレビ局はこれまで万博のニュースを扱ううえで、パビリオンの遅れやチケットの売れ行きが悪いなどネガティブ要素もしっかり報道してきました。しかし来週からは万博本番。実はテレビ各局は万博に協賛・参画しているため、局内に担当の事務局のような部署が存在する。本番になれば、どんどん現場から中継したりロケしたりして盛り上げなければならない。局内の万博担当からは“そろそろネガティブな報道はやめて盛り上げるほうへ切り替えてもらえると助かる”とお願いされていますよ。メタンガスなどはストレートニュースで短めに扱っていますが、大々的には扱いにくい雰囲気ですね」
バラエティーや情報番組などは、キー局から独自のクルーを出して取材する場合もあるが、基本的には関西のニュースは在阪局が取材したものをキー局が全国へ放送する。大阪のテレビ局がネガティブな情報を出さなければ、おのずと全国に向け放送される機会も少なくなる。
大屋根リングの一番上は1周ぐるっと歩けるようになっているのですが、名前に反して“屋根がない”。夏になれば入場口、パビリオンの行列、大屋根リング上などで熱中症が続出するでしょう。おまけにメタンガスがいつ、どこから発生するかわからない。もしルールを守らない人がその辺でタバコに火をつけたら爆発する危険性もあります。万博には大阪府内の小学生などもたくさん招待でやってくる。大きな事故が起こらなければいいのですが……」(同・在阪テレビ局スタッフ)
真実を報じるはずのテレビ局が、協賛しているため、ポジティブな報道を恣意的に報じなければならないとは何とも皮肉なものだ。

2025年4月7日月曜日

兵庫 百条委・第三者委が報告書 斎藤氏知事失格 パワハラ認めるも「告発者捜しは適切」!?

 しんぶん赤旗日曜版に掲題の記事が載りました。
 第3者委員会は「告発文書」は公益通報に当たり、斎藤知事が「告発音探索」を命じるなどしたことは公益通報者保護法違反であり「違法の程度は極めて大きい」と断じ、直ちに処分を取り消すべきだとしたのに対して、知事は「保護法違反の認定についていろいろな考え方がある」「見解が異なるところがある」と拒否し、県の対応は適切であったと主張しています。
 朝日新聞3月29日付社説は知事は、「もはや独善と言っても過言ではない。斎藤氏こそが『知事として失格』と言うほかない」と述べました。
 党兵庫県委員会と党県議団は3月24日、連名で「百条委・第三者委報告を踏まえ、告発者の処分撤回と名誉回復、斎藤知事の辞職を求める」声明を発表しました。
 百条委員を務めた庄本悦子県議団長は「告発者を探索し処分した自身の行動をいまなお正当化する知事の態度は、県職員の権利を認めず、萎縮させ、ひいては県民に不利益を及ぼすもの。直ちに辞職すべきです」と語ります
 百条委や第三者委の結論を無視する斎藤知事の態度は「前代未聞」というべきで、到底「県政を前に進める」態度には見えません。
「斎藤マダム」連が毎回県議会の傍聴席に陣取って、知事の入場時などに「ガンバッテー」と奇声をあげたり拍手したりする在り方も異常そのものです。
 併せて3日付の東京新聞の社説 「斎藤兵庫県知事 自ら進退決するべきだ」を紹介します。

 ところで「第三者」委員会は他に2つあり、報告書は既に上がっているようなのですが、県は不可解な理由を挙げて、その公開は3ヶ月先になるとかということでまさに兵庫県政の異常さを示しています。
 まるこ姫が「兵庫県知事自身が作った3つの第三者委員会の②番目の委員会のヤバさ」とする記事をだしましたので併せて紹介します。
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兵庫 百条委・第三者委が報告書 斎藤知事失格 パワハラ認めるも「告発者捜しは適切」!?
                    しんぶん赤旗日曜版 2025年4月6日号
 兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラや告発者つぷしなどの疑惑を調査してきた県議会百条委員会と第三者調査委員会が3月にそれぞれ知事を厳しく断罪する調査報告書を出しました。県政を続けることが許されるのか知事の責任が改めて厳しく問われる事態となっています。
                               兵庫県・喜田光洋記者
    『告発文書問題』
      元西播磨県民局長が昨年3月にパワハラなど斎藤知事の疑惑の告発文書を報
     機関などに送付。知事らが告発者を探索・特定して知事が会見で「うそ八百」
     「公務員失格」と非難しました。元局長は5月に停職3ヵ月の懲戒処分となり、
     7月に「一死をもって抗議する」とメッセージを残して自死。告発文書と知事ら
     の対応を調査するために県議でつくる百条委員会が6月に、元裁判官などでつく
     る第三者委員会が9月に発足しました。

 3月4日に発表された百条委員会報告書は、斎藤知事のパワハラについて、七つの事例を「パワハラ行為といっても過言ではない」と指摘。告発者捜しや懲戒処分など一連の対応を「公益通報音保護法違反の可能性が高い」「告発者潰(つぶ)しだ」と強く批判しました。
 同19日発表の第三者委員会報告書はさらに踏み込み、▽会場の20手前で公用車を降りた際、迎えた職員を激しく叱責 ▽ドンと机を叩(たた)いて職員を叱責し、隣の部屋まで聞こえた-など10の事例を「パワハラに当たる」と認定しました。
 告発文書は公益通報に当たると認めました。告発された当事者である知事が告発音探索を命じ、発した元局長を事情聴取しパソコンを押収したことなどは通報者探索を禁じた公益通報者保護法違反であり、「違法の程度は極めて大きい」と断じました

 告発を理由とした元局長への懲戒処分も違法で無効と認定。会見で元局長を「うそ八百」などと述べたのはパワハラであり「極めて不適切」としました。
 ところが斎藤知事はこれらの指摘をほとんど受け入れません。
 百条委報告書を「一つの見解」と無視。第三者委報告書に対しては「真摯(しんし)に受け止める」と何度も言いながら、保護法違反の認定について「いろいろな考え方がある」「見解が異なるところがある」と拒否「(告発)文書は誹膀(ひぼう)中傷性が高い」「対応は適切だった」と従来の見解をくり返しました
 パワハラについては「指摘を認めていきたい」と認めざるをえませんでしたが、自身の処分は否定しました
 違法性を認めず、自ら設置した第三者委の認定も認めない知事への批判が拡大しています。昨年9月に不信任決議で失職(知事選で再選)しましたが、再び進退を問う声が大きくなっています
 朝日新聞3月29日付社説は報告書を拒否する姿勢を批判し、「もはや独善と言っても過言ではない。斎藤氏こそが『知事として失格』と言うほかない」と書きました
 さらに、▽知事は公選法違反疑いで捜査中 ▽誹膀中傷を浴びた元百条委員の竹内英明元県議が死去 ▽維新県議が非公開情報を立花孝志氏に渡す-など重大問題が連続発生しています。

共産党「告発者者の名誉回復と知事辞職を」
 日本共産党は疑惑解明をはじめ県政正常化へ重要な役割を果たしてきました。
 ▽党県議団は2024年5月、客観性のある調査へ第三者機関設置を知事に申し入れ、知事は設置 元局長の懲戒処分直後に知事に撤回を申し入れるなど処分撤回、名誉回復を一貫して主張し、百条委報告書に反映 25年2月の衆院総務委員会で辰巳孝太郎議員が引き出した、「(今回のような外部への通報も)事実に関係する者を調査に関与させないことが望ましい」との政府答弁が百条委報告書に掲載-など貢献しています。

 党県委員会と党県議団は3月24日、連名で「百条委・第三者委報告を踏まえ、告発者の処分撤回と名誉回復、斎藤知事の辞職を求める」声明を発表。政党・会派でいち早く知事辞職を要求しました。二つの報告書を受け共産党の追及や主張の正しさが浮き彫りとなっています。
 百条委員を務めた庄本悦子県議団長は「告発者を探索し処分した自身の行動をいまなお正当化する知事の態度は、県職員の権利を認めず、萎縮させ、ひいては県民に不利益を及ぼすもの。直ちに辞職すべきです」と語ります。
 
 
<社説> 斎藤兵庫県知事 自ら進退決するべきだ
                          東京新聞 2025年4月3日
 兵庫県の斎藤元彦知事が内部告発された問題で、県の第三者委員会は知事らの対応を「違法」と認定したが、知事は受け入れない考えを示した。
 自らが設けた第三者委にもかかわらず、結論が意に沿わないからと認定を拒むとは独善すぎる。公人としての資質を疑わざるを得ない。進退を自ら決するべきだ。
 一連の問題で県議会は調査特別委員会(百条委)を設置。これに対して知事は、中立性が高く、元裁判官3人を含む弁護士6人で構成する第三者委を設けた。
 先月19日に公表された第三者委の報告書は、元県民局長(故人)が告発文書を作成、外部に流したことを外部公益通報と認定。
 知事らが告発者を捜し出し、文書の「作成・配布」を理由に元局長を懲戒処分したことは、公益通報者保護法に違反すると指摘し、処分は無効と断じた。
 知事のパワハラ疑惑も、調査した16件中、10件を認定した。先に出された百条委の報告書よりも一段と踏み込んだ内容だ。
 県の懲戒処分指針は職員のパワハラについて停職、減給、戒告などを定める。知事は記者会見でパワハラを認めて謝罪したが、自らの処分への言及は避けた
 元県民局長への対応が違法との指摘も、知事は受け入れを拒み、「見解が違う」「対応は適切」として姿勢を変えなかった。

 判断が不満でも受け入れなければ、第三者の調査は意味を成さない。知事は自らの振る舞いが「法の支配」をも揺るがしかねないとの自覚を欠くのではないか。
 百条委の報告を受け、知事が元県民局長のパソコンに「わいせつな文書」があったと公表した点も第三者委は「人を傷つける発言は慎むべきだ」と戒めた。知事に元局長の処分撤回と謝罪を求める
 知事のかたくなさを支える一因は昨秋の出直し選挙で再選したことだろう。だが、選挙は百条委や第三者委による報告書公表前だ。知事側のPR会社は公選法違反容疑で強制捜査も受けている。
 一連の問題では元県民局長と元百条委委員が自殺とみられる形で亡くなった。自らの振る舞いと関わる形で人命が失われた重みを理解できないなら、県民の代表たる資格があるとは到底言えない
 
 
兵庫県知事自身が作った3つの第三者委員会の②番目の委員会のヤバさ
                        まるこ姫の独り言 2025.04.06
先日、斎藤県知事が設置した3つの委員会の中の1番目、県民局長は公益通報者か否か、斎藤県知事にパワハラがあったのか否かを弁護士と元裁判官が調査した結果を公表していたが、概ね、斎藤県知事のパワハラもあり公益通報者保護法違反であると報告された。

それがこの下の図では1番目にあたる。
真摯で誠実で、ほとんどの人が納得できる報告書だった。
それを否定し続けているのが第三者委員会を設置した当の斎藤県知事で。

今、話題になっている、元県民局長の私的情報漏えい問題が話題になっている「第三者委員会」とはこの図で行くと2番にあたる。Gjqutgyakaardtl

この第三者委員会は、「元県民局長の私的情報とされる内容がネット上に漏えいした問題で、県が第三者委員会を設置する際、報道機関の情報源も調査するよう依頼していたことが分かった」と報道されていた。
「県が第三者委員会を設置する際」という事は、斎藤知事が第三者委員会を設置したわけだから、斎藤知事が報道機関の情報源の調査を指示したという事だろうか。
それとも勝手に県の幹部が暴走して報道機関の情報源も調査しようと判断したのだろうか。

県の幹部が暴走したとしても、斎藤知事にどんな調査をするという報告が行くのではないか?
知事が調査内容を知らないではシャレにもならない。

政治家や芸能人たちの不祥事やスキャンダル発覚はほとんどと言って週刊文春から始まると言って過言ではない。
だからか、県が週刊文春を県の調査対象にしていたという事は。

文春がどのような記事を書くか、情報源は誰かなど、すごく気になっていたのだろうと想像がつくが、肝心なところは答えず秘密裏にしてしまうとか、情報を隠蔽するような県の対応は、さすが斎藤知事が率いる兵庫県だ。

パワハラや、公益通報者保護法違反を平気でやる兵庫県は、どこから県の情報が漏れたのか議会にも内緒で報道機関にまで食指を伸ばして情報源特定までしようとしている。

ここまで必死になる県を見たら、怖くて公益通報しようとは誰も思わなくなる
それが狙いなのかもしれないが。。