2025年1月6日月曜日

半植民地からの脱却を目指す(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。

 21世紀に入ってから四半世紀が過ぎた今年は敗戦から80年経ちますが、日本は今なお米国の半植民地状態にあります。
 また今年は自民党創設から70年になります。自民政治は一貫して「米国による日本支配」を是認し、米国はこの体制を支援して来ました。しかしここにきて自民政治への国民の支持が揺らぎ出すと、米国は一歩進めて、自民が野党に転落しても「米国による日本支配」を維持するために、「対米隷属」の「チームB」に日本政治を担わすことを検討している、と述べています。
「維新」と「国民民主」は明らかに「対米隷属」の勢力で「第二自公」ですが、問題は「立憲民主」で、2022年から始動した野田佳彦氏を持ち上げる動きの中で 彼が昨年立民党の党首になってからは、完全に「第二自公」勢力に転じつつあります。
 そして「では 維新、国民民主、立憲民主 が主導する勢力が政権を奪取して日本が変わるのかといえば恐らく何も変わらずに、日本を『戦争をする国』に改変し、原発を推進し、消費税増税を推進することになるだろう。これでは日本は永遠に米国の半植民地。このことを広く日本国民が認識し、方向転換を図る必要があるのではないか」と指摘しています。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
半植民地からの脱却を目指す
                植草一秀の「知られざる真実」 2025年1月 2日
2025年。2000年を迎えてから四半世紀が過ぎた。節目の年
敗戦から80年。自民党創設から70年。123便墜落から40年。阪神淡路大震災から30年。東日本大震災からは14年、能登半島地震から1年だ。

敗戦から80年経つが、いまだに米軍が日本に駐留を続けている。
日本は米国の半植民地。戦後の体制が発足したのは1952年。
日米行政協定・日米安保・サンフランシスコ講和の体制が発足した。
この体制の基本は、日本が米国に軍隊駐留継続をお願いし、米国が恩恵を施すかたちで日本駐留を継続したというもの。日本は米国に軍隊駐留をお願いし、治外法権を献上した。
この戦後体制構築を主導したのは昭和天皇である。昭和天皇がマッカーサーに要請し、その結果として1952年体制が構築されたと言える。この1952年体制が現在も維持されている

この1952年体制を今後も維持し続けるのか。検討が求められる。
米国が支配する日本を請け負ったのが自由民主党。創設から70年の時間が経過する。
自民政治の基本は「米国による日本支配」。「米国による日本支配」を維持する限り、米国はこの体制を支援する。
米国は一歩進めて、自民が野党に転落しても「米国による日本支配」を維持するための体制を構築しようとしている。「対米隷属」の「チームB」に日本政治を担わすことを検討している。
条件は言うまでもない。「対米隷属の継続」だ。

米国が支配する三つの勢力が存在する。
一つは「対米隷属の政治勢力」。自公に加えて「対米隷属」の「チームB」の育成に努めている。
第二は「官僚機構」。米国は「官僚機構」を「日米合同委員会」を通じて支配している。
第三は「大資本」。「大資本」を米国資本の傘下に組み込んでいる。

日本は永遠に米国の植民地の地位に甘んじるのか。ここから脱却すべきだが、現実は逆に、米国植民地の構造を半永遠のものにしようとしているように見える。
それが政党分化に如実に表れている。
「維新」と「国民民主」は鮮明に「対米隷属」の勢力。「第二自公」である。

問題は「立憲民主」この勢力が「日本政治刷新」を追求する勢力から「対米隷属」勢力に急激な変化を示している。野田佳彦氏を持ち上げる動きが2022年から始動した。この人物を持ち上げて立憲民主党党首に押し上げた。この結果、立憲民主が完全に「第二自公」勢力に転じつつある
「維新」、「国民民主」、「立憲民主」が主導する勢力が政権を奪取して日本が変わるのか。
恐らく何も変わらない。
日本を「戦争をする国」に改変し、原発を推進し、消費税増税を推進することになるだろう。
この方向に日本は進んでいる。
これでは日本は永遠に米国の半植民地。
このことを広く日本国民が認識し、方向転換を図る必要があるのではないか。

気鋭の政治学者・政治思想家である白井聡氏との共著が好評販売中です。
沈む日本 4つの大罪 経済、政治、外交、メディアの大嘘にダマされるな
(ビジネス社)  https://x.gd/3proI  ぜひご高覧賜りたい。

メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」https://foomii.com/00050
のご購読もよろしくお願いいたします。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」3971号
「墜落40年目の真相解明」でご購読下さい。

メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。

道徳が崩壊した西側(賀茂川耕助氏)

 海外の記事を紹介する「耕助のブログ」に掲題の記事が出ました。

 24年1月に、国際司法裁判所はイスラエルがガザ地区でジェノサイドを行っている可能性が高いとの判断を示し、24年11月には、国際刑事裁判所は人道に対する罪および戦争犯罪の容疑で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアブ・ガラント前イスラエル国防相の逮捕状を発布しました。
 そして24年12月5日、アムネスティ・インターナショナルは、ガザ地区におけるイスラエルのジェノサイドについて詳細に述べた296ページにわたる報告書を発行しました。

 ガザ住民を虐殺し続けるイスラエルを支持する米国、英国、ドイツに代表される西側は、正に「道徳が崩壊している」というしかありません。
 記事は「歴史は、彼らを寛大に扱うことは決してないだろう」と結んでいます。西側は恥を知るべきです。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
道徳が崩壊した西側
                   耕助のブログNo. 2382 2025年1月4日
  The Moral Bankruptcy of the West   by John J Mearsheimer
2024年12月5日、アムネスティ・インターナショナルは、ガザ地区におけるイスラエルのジェノサイドについて詳細に述べた296ページにわたる報告書を発行した。

2024年11月21日、国際刑事裁判所は、人道に対する罪および戦争犯罪の容疑で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアブ・ガラント前イスラエル国防相の逮捕状を発布した。

2024年1月26日、国際司法裁判所は、イスラエルがガザ地区でジェノサイドを行っている可能性が高いとの判断を示した。

西側諸国が人権、特にジェノサイドの防止に尽力していると思われるなら、米国、英国、ドイツなどの国々がイスラエルのジェノサイドを阻止することを期待するだろう。
しかし、そうではなく、これら3か国の政府、特に米国は、あらゆる場面でガザ地区における想像を絶するイスラエルの行動を支援してきた。実際これら3か国は、このジェノサイドに加担している

さらに、これらの国々の人権擁護派のほぼ全員、そして一般的に西側諸国は、イスラエルがジェノサイドを行うのを黙認している。主流メディアは、イスラエルがパレスチナ人に対して行っていることを暴露し、それを問いただす努力をほとんどしていない。実際、一部の主要メディアは、イスラエルの行動を頑なに支持している

イスラエルのジェノサイドを支持したり、沈黙を守ったりしている西側の人々は、自分たちの行動を正当化して夜眠るために、自分自身に何を言い聞かせているのだろうか。

歴史は、彼らを寛大に扱うことは決してないだろう

https://mearsheimer.substack.com/p/the-moral-bankruptcy-of-the-west 

06- NATOとキーウ政権のヨーロッパへのメッセージ:おめでた連中よ、新年おめでとう!

 フィニアン・カニンガムが掲題の記事を出しました。大いにひねったタイトルになっていますが、筆者がゼレンスキーの本音を代弁したものです。
 2022年に、ドイツに通じるバルト海底のノルドストリーム・パイプラインが米国によって爆破されたことで、欧州へのロシア天然ガスの供給が絶たれました。唯一残されていたウクライナ経由の陸上輸送パイプラインも、新年を期してゼレンスキーによって「遮断」されました。
 これによって欧州はエネルギー費用の急騰と経済の更なる悪化という悲惨な状況に陥ることになりました。対露経済封鎖の煽りを受けてドイツを筆頭にNATO諸国は経済的困難に苦しんでいる中でもウクライナへの支援を優先させてきましたが、ゼレンスキーはその欧州に対してこういう仕打ちをした訳です。
 記事の後半ではウクライナ政権の汚職体質が述べられています。
 スロバキアのフィツォ首相とハンガリーのビクトル・オルバーン首相は、彼らの詐欺行為⇒ゼレンスキーは戦争開始早々の段階で数百億円を蓄財)を正しく認識し、それを非難している唯一の有能なヨーロッパ指導者で、両国はウクライナへの軍事援助を拒否しており、ウクライナのNATO加盟という狂った話に強く反対しています。そして二人はヨーロッパ経済と社会の破壊を防ぐため真剣に和平交渉を模索しているということです
 間もなく米大統領に就くトランプはウクライナの停戦を実現できるのでしょうか。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
NATOとキーウ政権のヨーロッパへのメッセージ:おめでた連中よ、新年おめでとう
                  マスコミに載らない海外記事 2025年1月 4日
                   フィニアン・カニンガム 2024年12月31日
                       Strategic Culture Foundation
 キーウ政権の犯罪行為には際限がない。気が遠くなるほどだ。だが、その酷い現実は欧米メディアにより隠蔽され、「ロシア侵略から高貴なウクライナがヨーロッパを守る」という幻想に耽らさている。
 新年を迎えるにあたり、ヨーロッパ人はエネルギー費用急騰と経済の更なる悪化という悲惨な状況を覚悟しなければならない。この全て欧州のエリート指導者連中が絶え間な援助の優先事項とみなしているウクライナ・ネオナチ政権のせいだ。
 「平和で繁栄を」という伝統的挨拶は、もはやこれまで。
 NATOのウクライナ傀儡指導者ウラジミール・ゼレンスキーは、EU首脳会議のたびに特別席に座る汗まみれTシャツ男だが、大晦日にヨーロッパへのロシア・ガス最後の供給経路を遮断する
 この妨害行為は、ロシア嫌いと欧米帝国主義の傲慢さで酷く狂った欧州「指導者」連中の支援を受けて、公然かつ厚かましく行われており、対ロシア「戦争努力」のため、欧州市民がそれを耐えることを連中は期待しているのだ。

 12月19日にブリュッセルで行われた前回のEU首脳会議で、ロシア天然ガスをヨーロッパ諸国に送る契約は今年末の12月31日までで以後延長しないと、我慢がならないほど金に執着するゼレンスキー大統領が発表した。
 2022年に、ドイツに通じるバルト海底のノルドストリーム・パイプラインをアメリカが爆破破壊したことで、既にヨーロッパはロシア天然ガス供給を絶たれている。今度は、何十年も前に建設されたウクライナの陸上輸送パイプラインも遮断されることになる。ウクライナ戦争の背後にあるものの全体像を知る必要があるとすれば、この二つの動きが、その説明になるはずだ。
 これは、ヨーロッパ諸国が 代替となるより高価なガス供給源を急いで探す中、エネルギー費用が更に高騰することを意味する。大きな利益が見込めることにアメリカのガス輸出業者は大喜びしている。
 ロシアと大陸とのエネルギー貿易を全て停止できることをロシア嫌いのウルズラ・フォン・デア・ライエンやカヤ・カラスなどの欧州連合指導者や第三帝国と協力関係にあるバルト諸国も喜んでいる。

 なんとも無礼な行為だ。EU非加盟国のウクライナが、ヨーロッパ人の暖房と照明を止める権限を自らに与えているのだ。全て対ロシアNATO代理戦争で戦うネオナチ政権を支援するためだ。
 だが名誉のために言っておくと、詐欺としか言いようのないものに一部の欧州指導者は激しく反対している
 前回のEU首脳会議で、欧州市民に対する無謀な無視をスロバキアのロベルト・フィツォ首相が非難した。「スロバキア共和国領へのガス輸送を阻止しようとする者、欧州領でのガス価格上昇を引き起こす者、欧州連合に莫大な経済的損害を与える者、それはゼレンスキー大統領だ」とフィツォ首相は述べた。
 ゼレンスキーは正当な大統領ですらない。今年初めに選挙を中止したため、大統領職を継続する資格はないのだ。

 だが、このような民主主義上の違法行為は、キーウのナチス崇拝政権の支援者にとっては大した問題ではない。アメリカとEUは、ロシアに対する代理戦争を仕掛けるため、国民の税金を3000億ドルも、この政権に注ぎ込んでいる。この詐欺は3年近く順調に機能しており、ゼレンスキーと取り巻きが数十億ドル横領する一方、欧米諸国の軍事企業や他の大企業はウクライナ戦争から利益を貪っている。

 ジョー・バイデン大統領は最後の数十億ドルを必死に戦争詐欺につぎ込んでいる。おそらく、ドナルド・トランプ次期大統領は、それが第三次世界大戦につながることを懸念して、1月20日の就任時に、この詐欺行為を中止するだろう。
 スロバキアのフィツォ首相とハンガリーのビクトル・オルバーン首相は、詐欺行為を正しく認識し、それを非難している唯一の有能なヨーロッパ指導者だ。両国はウクライナへの軍事援助を拒否しており、ウクライナのNATO圏加盟という狂った話に強く反対しており、二人はヨーロッパ経済と社会の破壊を防ぐため真剣に和平交渉を模索している

 ゼレンスキー政権下のウクライナは腐敗の巣窟になっている。ロシアに戦略的敗北を強いる欧米帝国主義の利益のため戦われた無益な戦争で、100万人ものウクライナ兵士が殺されたが、戦争は見事に負けている。ゼレンスキーと取り巻き連中は、ウクライナ兵が砲弾の餌食になることなど気にしない。どれだけ多くの命が失われようと、どれだけ多くのヨーロッパ人が大惨事に巻き込まれようと、戦争での金儲けができるだけ長く続くことだけを連中は望んでいる。

 ロシアからヨーロッパへの天然ガス供給を遮断することで、ロシア国営ガスプロム社が毎年支払っている約10億ドルの輸送料金をウクライナは失うことになる。ウクライナは他のヨーロッパ諸国と同様、より高価な天然ガスをアメリカから調達しなければならない。だがゼレンスキー政権は気にしていない。国境を越える帝国主義詐欺実行に加担し、十分報酬を得ている
 ゼレンスキーがスロバキアのフィツォ首相に賄賂を渡して、政策変更と、ウクライナのNATO加盟支持を取り付けようとしたことは、ゼレンスキーの腐敗ぶりを示している。フィツォによれば、この汗まみれのTシャツ男は、5億ドル申し出たという。
 キーウ政権、何と卑劣な政権だろう。全員、金で買収されており、他の人々も同様に買収できると期待するのが、この政権にとって当然なのだ。
 ゼレンスキー大統領とNATOの取り巻き連中は、ウクライナを欧米諸国の資本が餌食にできる破綻国家に変えてしまった。
 この破綻国家は詐欺電話ネットワークの世界的中心地になっている。この政権は犯罪組織を武器として利用し、世界中の人々から金銭を詐取している。特にロシア国民が、ウクライナを拠点とする電話詐欺師の標的となっている。
 キーウ政権の犯罪行為には際限がない。気が遠くなるほどだ。だが、その酷い現実は欧米メディアが隠蔽し、「ロシア侵略から高貴なウクライナがヨーロッパを守る」という幻想に耽らせている。

 アゼルバイジャン旅客機をロシアが撃墜したと欧米メディアは騒々しく報じている。だが、同じメディアは、キーウ政権の関与は報じない。先週のアゼルバイジャン旅客機の致命的墜落は、J2-8243便が着陸しようとしていたロシアの都市グロズヌイへのウクライナ・ドローン攻撃により引き起こされた。このタイミングは偶然ではなかった。この旅客機はNATOが支援する政権によって、意図的に危険に晒されたのだ。
 2014年に、ロシアを中傷するための挑発行為としてキーウ政権にマレーシア航空機MH-17が利用されたのと類似点がある。
 この事件と同様、アゼルバイジャン旅客機は紛争地帯に送り込まれ、無辜の人々の命が奪われるのを承知で、ウクライナ政権に利用されたのだ。
 重要なのは、今回の墜落事故で、アゼルバイジャン・ロシア関係に害が及ぶと予想され、ウクライナによるロシア・ガス供給停止を回避するためのヨーロッパへのガス供給契約が頓挫する可能性があることだ。

 ウクライナは汚職と犯罪の巣窟で、詐欺のブラックホールだ。NATO武器取り引きによる数十億ドル規模のマネーロンダリングから、電話詐欺、ガスを遮断しヨーロッパを人質に取ることから、二心ある狙いのための旅客機撃墜まで。何でもありだ。ネオナチ「スラヴァ・ウクラインスキー(ウクライナ人に栄光あれ)」NATO領には、あらゆるものがある。
 この犯罪組織のトップはウラジミール・ゼレンスキーで、ワシントンとブリュッセルのエリート主義で腐敗したロシア嫌い政治家連中に支援されているが、彼ら自身も欧米帝国主義の操り人形に過ぎない。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/31/nato-and-kiev-regime-message-europe-happy-new-year-suckers/

2025年1月4日土曜日

「注目の人 直撃インタビュー」 袴田巌さんの姉 ひで子さんに聞く

「死刑囚」から再審によって一転無罪を確定(2024年)した袴田巌さんの姉 ひで子さんに、日刊ゲンダイがインタビューしました。どうぞお読みください。

 袴田巌さんは逮捕されてから死刑が確定したのち2014年の再審開始で仮釈放されるまで、48年間収監されていました。その間の筆舌に尽くしがたい精神的苦難は如何ばかりだったでしょうか。
 検察(と警察)及び一審・高裁・最高裁の判事らの不明は大いに愧じるべきです(一審を担当した判事三人のうち無罪を主張した一人は、後に判事を辞めました)
 また巌さんが逮捕された当時 静岡県警には紅林某という刑事がおり、犯人検挙で何度も表彰されましたが、その実態は過酷な拷問による不実の自白でした(紅林は後に「冤罪王」「昭和の拷問王」と呼ばれました。巌氏の取り調べには関与しなかったものの、同様な拷問手法は既に内部で伝わっていたようです)。

 日本における再審の道は余りにも細過ぎ、被告に有利な証拠は検察が隠匿でき、人質司法は全く改まらず…という「中世の司法」状態はいつになったら改善されるのでしょうか。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
注目の人 直撃インタビュー 袴田巌さんの姉ひで子さんに聞く
58年間“見えない敵”と闘い続けた不屈の精神の源泉は「ガムシャラ」
                         日刊ゲンダイ 2024/12/28

袴田ひで子さん(袴田巌さんの姉)
「私も巌も運命だと思っています。無罪が確定して、今は大変喜んでいます」──。袴田巌さん(88)の姉ひで子さん(91)は、謝罪に訪れた静岡地検の山田英夫検事正に対し恨み言は一切口にしなかった。逮捕から58年、死刑確定から44年あまりが経過した今年9月26日、静岡地裁は捜査機関の証拠捏造を認定し、「無罪判決」を言い渡した。あまりにも長かった国家権力との闘い。つらく苦しかった過去と、自由を取り戻した今の気持ちを聞いた。
                ◇  ◇  ◇
──91歳とは思えないタフさと若々しさですね。

 毎朝30分間、ストレッチをしています。52歳で始め、以来40年間一日も欠かしていません。拘置所に面会に行くでしょう。足腰が弱っちゃいかんと思って、それで始めました。続けてやることで効果がある。おかげさまでシャキシャキしていますよ。

──希望の光が見えたのはいつですか。

 2014年に静岡地裁が再審開始を認める決定をした時です。地裁は<これ以上、拘置を継続することは耐え難いほど正義に反する>として死刑判決は誤りだったと認めました。検察庁が何を言おうが、屁でもなかった。無罪になると思って闘ってきましたから。

──謝罪に来た静岡県警本部長や検事正に、文句ひとつ言いませんでした。

 当事者でもいればまた話は別ですが、今さら昔のことを言ったって何も始まりません。「そんなことをグダグダ言っても再審開始にならん」「あえて苦情は言うまい」とずっと思ってやってきました。運命だと思っています。そう思わないとしょうがなかった。

決して後ろは振り返らなかった

──それにしても長かったですね。

 今でこそ長いって言うけど、当時は長いなんて思わなかった。見えない権力と闘っていましたから、前に進まないとしょうがなく、決して後ろは振り返らなかった。

──巌さんが釈放された時、「もう怯えなくていいんだよ」と声を掛けました。

 死刑囚だったから、ものすごく死を恐ろしがっていた。だから「もう安心だよ」「何も怖いものはないよ」「あんた、勝ったんだよ」って。(長期収容による精神障害の)拘禁症状っていうのは妄想の世界に入り、人の言うことを聞かず、自分の考えで進んでいきます。収監されていた48年間、想像を絶するつらい思いをしてきた。自由にしてあげれば自然に治ると思っています。だから大いに自由を味わってほしい。巌に効く薬は自由しかない。だから放し飼いにしているんです。

──4人の殺人犯の姉という目で見られ、風当たりも強かった。

 隠したって皆、知っているから、開き直って生きてきました。同窓会にも行かないし、人が集まるところには顔を出さず、世間とは距離を置いて生活してきた。町で知り合いに会っても、向こうが挨拶しないのにこっちがすることはない。挨拶されたくないんだろうから、知らん顔をして気取った顔して歩いていました。「犯人だと思いたきゃ、思わせておけばいい」ってねそんなことより巌の再審に向かって進む方が大事だった。

──アルコールに溺れたことも。

 初めの10年ぐらいは支援者がおらず、家族で支えてました。両親が続けて亡くなり、後を引き継ぐことになった。寝ていても夜中に目が覚め、巌のことしか頭に浮かばない。「どうしてこんなことになっちゃったんだろう」と思うと眠れなくなって。次の日の仕事に差し支えるからウイスキーをガブ飲みして寝てました。目が覚めるたびに飲んでいた。そんな酒浸りの生活が3年ほど続き、酔っぱらったまま支援者からの電話に出たんです。その時、「私、何をやっているんだろ。皆、親身になってやってくれているのに、こんなことを続けていたら巌を助けるどころじゃない」と思い、酒を断った。40代の頃です。朝、顔を洗っていたら、肌が荒壁みたいに荒れていました。

毎月の面会は「見捨てていない」というメッセージ

──59歳で借金を背負い、マンションを建てたのはどうしてですか。

 巌のことで希望が持てず、私の人生、このままじゃつまらない。自分で何かをしなきゃ、生きる希望をつくらなきゃと思い、将来、家賃収入で生活する計画を立てた。会社の倉庫の2階に住み込んで働き、18年でローンを完済。マンションに入居できたのは79歳の時、巌が帰ってくる2年前のことです。当時は巌が拘置所から出てくるなんて思ってもいなかった。気を紛らわせる意味もありました

──1980年、最高裁で上告が棄却され、死刑が確定した際には仲間が敵に見えたと。

 なんだか理由は分からなかったけど、弁護士や支援者といった味方も全てが敵に見えた。それぐらい残念だった。拘置所に行って巌に「こうなったら何でもやろう」と伝え、そこで開き直った。逆境に追い込まれると強くなる。つらくても負けることはありません。「何クソ、負けるもんか」って歯向かいます無実だから絶対負けない、それが当たり前だと思って闘ってきました。

──弱音を吐くことはなかったのですか。

 性格的に泣き言を言うのは嫌いなの。恨めしいとか、悲しいとか、一切言うまいと思ってガムシャラに生きてきた。言ったってしょうがないでしょう。話を聞いてくれた方が困っちゃう。負担になるのが嫌なのよ。相手に負担をかけるよりも自分が我慢する。こういう状況に置かれてからなおさら、そう考えるようになりました。

──親孝行だと思って巌さんを支えたそうですね。

 母親は「巌はダメかいねえ」「巌はダメかいねえ」と、うわ言のように繰り返し、死刑判決の2カ月後、68歳で亡くなりました。私たちはきょうだいだから我慢できるけど、巌を産んだ母親はどんな思いだったのか。私はロクに親孝行をせなんだ。母親のつらさ、悲しさ、苦労を見ていたから「ここらでひとつ、親孝行するか」って乗りかかったの。ほとんどの裁判に行っていた母親が、ある時、「ひで子、今日、裁判所で知らないおじさんが『この裁判はおかしいね』って声を掛けてくれたの」ってうれしそうに電話をしてきた。その言葉が今も耳に残っています

──心が折れそうになったことは。

 一切ありません。こんな理不尽なことがあるか、と思っていたから。いつかどこかで分かってくれる人がいると信じていた。初めの頃は「なんで、うちだけこんな酷い目に遭うんだろう」って思ったこともあった。昔は警察に取り調べられると、それが息子であっても縁を切るとか、「あんなもん、うちの息子じゃない」と言って見捨てちゃうの。真実も分からないうちに切り離して見捨てちゃう。だから冤罪が増える。でも、うちの場合は「そうはいくか」ってね。

──どれくらい拘置所に面会に訪れたのですか。

 初めの10年間は半年に1回、その後の30年間は毎月行っていた。そのうち拘禁症状がひどくなり、本人が面会を拒否するようになった死刑確定から約7年の間に会えたのは1回きりで、それも時間は1分間ほど。でも行かなきゃ、本人と連絡取れません。手紙出しても読むわけじゃない。「姉さんが来たよ」って伝えてもらっても、「姉さんいない」って拒否する。完全におかしくなったわけじゃないから、どこかで私だって分かってくれるはず。そう思って、「家族は見捨ててないよ」っていうメッセージを送るために、会えなくても何度でも通いました

──いつも笑顔で明るく、前向きですね。

 意識はしてません。巌が拘置所にいた頃はおっかない顔をしていました。集会に行ってもニコリともせずに言いたいことを言っていた。それまでの30年間は精神的にも外に出て笑うどころじゃなかった。10年前、巌が拘置所から出てきて変わった。巌と生活するには明るくしないと。暗い顔をしていたら巌の病気も治りゃせん。つまらないこと考えたって何も解決しないのよ。それより、ニコニコしてりゃあ、いいことが舞い込んできます。

──残りの人生をどう楽しみますか。

 2人とも余命いくばくもないんだけど、巌もせっかくシャバに出てきたんだから、もう10年ぐらいは頑張って生きてもらわないと。欲をかいてもしょうがないけど、私もやりたいこと、やることはまだいくらでもあります。性格的にジッとしているのが好きじゃないので、再審法の改正や冤罪被害者の救済にも極力協力していくつもりです。まだ終わりじゃない。まだまだこれからですよ
             (聞き手=滝口豊/日刊ゲンダイ)

袴田ひで子(はかまた・ひでこ) 1933年、静岡県生まれ。6人きょうだいの下から2番目。中学卒業後、地元の税務署に就職。13年勤務ののち民間の税理士事務所に転職。事件後は食品会社で経理を担当し、その後、弁護団の法律事務所で81歳まで現役で勤務を続けた。

残念な国になった日本/日本民主主義の力が問われる(植草一秀氏)

 植草一秀氏が、
 12月31日付で「残念な国になった日本」を、
 そして
 1月1日付で「日本民主主義の力が問われる」を載せました。
 時系列順に紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
残念な国になった日本
              植草一秀の「知られざる真実」 2024年12月31日
2024年が幕を閉じようとしている。元旦の午後4時10分、能登半島でマグニチュード76の巨大地震が発生した。石川県志賀町で震度7の揺れを観測した。
地震の揺れの激しさを示す地震加速度最大値は石川県志賀町で観測された。数値は2828ガル。2011年3月11日の東日本大震災で観測された地震加速度は2933ガルだったから、東日本大震災並みの強い揺れが発生したことになる。
石川県志賀町に北陸電力志賀原子力発電所がある。原発稼働中の地震であったならフクシマ事故が再現された可能性がある
また、激しい揺れに見舞われた能登半島先端の珠洲市にはかつて原発建設計画があった。
ここに原発が建造されていればどのような事態が生じたのか。想像を絶するものがある。

震災発生から1年の時間が経過するが、奥能登地方ではいまなお水道が復旧していない。
水道メーターまでの復旧が完了してもメーターから内側の住宅内部の配管工事が完了しなければ水道を利用することができない。いまなお自宅で風呂に入ることもできない生活が強要されている。現地の人々は怒り心頭に発しているが、もはや行政に期待することも諦めているとの心情を吐露されている

日本政府にお金や人力がないわけではない。あぶく銭のように巨大な血税が散財されている。
2020年度から23年度の4年間に補正予算に計上された歳出予算は154兆円そのすべては国債発行で賄われた。豆腐を買う感覚で1兆、2兆の血税が散財されてきた。
ロケットを上げる補助金には1兆円のお金がばら撒かれる。
半導体の工場を作る補助金には3兆円のお金がばら撒かれる。
コロナの病床確保の名目で国公立病院には6兆円ものお金がばら撒かれた。

「百害あって一利なし」と言われるワクチンに47兆円もの血税がばら撒かれた。
しかし、能登の復興に注ぐ公費はない。能登半島は本年夏に大水害にも襲われた。
土砂の撤去作業には人力が必要だが、政府は「ボランティアが足りない」と叫ぶ。
ボランティアは「自発的」に行われる善意の産物。国が「強要」するものでない。
国が責任をもって人々の最低限度の生活を保障することは憲法が規定する国家の責任ではないか。

私たちが暮らす日本とは、このような寒々しい国である。
巨大な資金を税金で巻き上げておきながら、国民のためにその血税を使わない。国民から巻き上げた血税は一部の人々が自分たちのお金にしてしまっている。
言語道断の放漫財政を実行しておきながら、「お金が足りない」と言っては国民全般に対する財政支出を切り込み、庶民に増税の負担を押し付ける。3年間で国民税負担が113兆円も増えたのに、税負担を減らす話になると減った分の穴埋めを求める
財務省の本性が露わになっている。この財務省にひれ伏す「ザイム真理教政治」が横行している。

2025年、日本は敗戦から80年の節目を迎える。この節目に際して一番大切なことは「平和憲法を守ること」。
そして、国民全体を苦しめる政治を排除して、国民のための政治、国民のための政府を打ち立てることだ。
1947年、新しい憲法が制定された。制定の経緯を踏まえて、自分たちの手で憲法を作り直すという主張が示された時期もあったが、誰が制定に関与しようが、「良い憲法は良い憲法」であるし、「悪い憲法は悪い憲法」だ。日本人が主導して制定したら「良い憲法」にならなかった可能性が高い
せっかく「良い憲法」が制定されたのだから、「良い憲法」は守る必要がある。
「良い憲法」を守り、「悪い政府」を作り変える。
これが敗戦から80年を迎える2025年の大きな課題になる。

気鋭の政治学者・政治思想家である白井聡氏との共著が好評販売中です。
沈む日本 4つの大罪 経済、政治、外交、メディアの大嘘にダマされるな!
(ビジネス社) https://x.gd/3proI  ぜひご高覧賜りたい。

メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 https://foomii.com/00050 
のご購読もよろしくお願いいたします。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第3969号
「「非現実的な夢想家」が世界を変える」でご購読下さい。

メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。


日本民主主義の力が問われる
                植草一秀の「知られざる真実」 2025年1月 1日
みなさま新年あけましておめでとうございます。2025年があけました。
本年がみなさまにとって最良の一年になりますようお祈り申し上げます。
本ブログ、メルマガをご高読くださいましてありがとうございます。
みなさまとともに本年もさまざまな事象を考えて参りたく思います。
なにとぞご指導ご鞭撻を賜りますよう謹んでお願い申し上げます。

一年の幕開けに際して「和顔愛語」という言葉をお贈りしたいと思います。和やかな顔、優しい言葉。世の中を少しでも明るくするために「和顔愛語」を心がけてゆきたいと思います。
経済の停滞が長く続くのに、政府は私たちに対する給付を切り刻み、私たちの負担を増大させることばかりに執心しています。

しかし、本来、政府は私たちの意思で、私たちのために創設されるものです。
これが十分に機能しているなら、私たちの意思に沿う、私たちの幸福を実現するための政府が創設されているはずです。
それが、そのようになっていないこと。この現実を認識して、どうすれば、本来の姿に創り変えることができるのか。このことをよく考えて、その実現に向けて力を注いでゆくことが大事だと思います。
微力ですが、みなさまと共に、より良い明日をつくるため、力を尽くして参りたく思います。
本年もなにとぞよろしくお願い申し上げます。

米国では主権者が選択してドナルド・トランプ氏を新しい大統領に選出した。
バイデン大統領が大統領選への出馬を辞退して、公認候補がカマラ・ハリス氏に切り替えられた。民主党の大統領候補選出の際にはカマラ・ハリス氏に対して低い評価しか示さなかったメディアが手のひらを返してカマラ・ハリス氏を絶賛する報道を展開した。
トランプ元大統領に対しては多くの訴訟が提起されていたこともあり、犯罪者呼ばわりする報道が圧倒的に多かった。
日本の報道でもテレビ朝日「報道ステーション」司会の大越健介氏などはトランプ氏を貶める発言に終始していた。

ところが、米国民は新しい大統領にトランプ氏を選出した。
トランプ氏が完ぺきな人間であるとは思われないが、米国民はメディアの情報誘導に流されずにトランプ氏を新しい大統領に選出した。その力は特筆に値する

お隣の韓国では尹錫悦大統領に対する弾劾決議が議会で可決された。
尹錫悦大統領が12月3日夜に、突然、非常戒厳を宣布したことが弾劾の理由。
議会における弾劾決議を促したのは韓国民衆の強い抗議行動だった。
韓国でも主権者である民衆が政治の変革を実現する強い力を発揮している。

これに対して日本では、主権者である民衆が自らの力で政権を刷新したことが僅かにしか存在しない。1955年に自民党が創設され、自民党が長期にわたり日本政治を支配し続けてきた。
わずかに1993年に野党が結束して政権を樹立。自民が野党に転落した。
また、2009年には鳩山由紀夫民主党が総選挙に大勝して政権刷新を実現した。
1955年から本年で70年の時間が流れるが、この70年間に、たった2度しか政権の刷新は実現していない。

2024年は政治刷新の兆しが見えた年だった。
自公の政権与党が衆議院で過半数を大幅に割り込んだ。野党が結束すれば新しい内閣を樹立することは可能だった。
しかし、野党の結束は実現しなかった
この日本で政治の刷新を実現できるのか。主権者である国民の幸福を追求する政権を樹立し、国民本位の政治を実現することができるのか。
日本政治の真価が問われる一年になる。
そのための方策を考察してゆきたいと思う。

気鋭の政治学者・政治思想家である白井聡氏との共著が好評販売中です。
沈む日本 4つの大罪 経済、政治、外交、メディアの大嘘にダマされるな!
(ビジネス社) https://x.gd/3proI  ぜひご高覧賜りたい。

メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」https://foomii.com/00050
のご購読もよろしくお願いいたします。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」3970号
2025年日本政治の課題」でご購読下さい。

メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。