2025年7月14日月曜日

米主導ガザ配給所 798人死亡/イスラエル首相への逮捕状取り下げ要求 米

 しんぶん赤旗に掲題などの3つの記事が載りました。
 ガザに対する食糧の配給が米国系の配給所のみに限定されてから、食料を取りに行くだけで銃殺されるという「死のわな」、「この世の地獄」の状態は全く改善されずに、6週間で少なくとも798人が殺害されました。この事態に対して、米英などの西側諸国からは何のクレームも出ないという「完全な異常事態」も全く改善されていません。

 それとは別に、トランプ米政権がICCに対してイスラエルのネタニヤフ首相らの逮捕状や同国に対する捜査を取り下げるよう求めていたことが明らかになりました。また米政府は9日、パレスチナ人に対するイスラエルの人権侵害や国際法違反を厳しく指摘してきたアルバネーゼ国連特別報告者に制裁を科すと発表しました。これほどに非道なことはありません。

 ガザ地区での集団殺害を告発してきた国連特別報告者のフランチェスカ・アルバネーゼ氏はイタリア出身の国際弁護士です。彼女は11日、米国に対して「マフィアを想起させる手法だ」、「これは強さの表れではない。帝国がいかに弱く、衰退しているかを示すものだ」、「米国は正義にアレルギーを持つ国になっている」、「彼らはガザで進行中のジェノサイドについて真実を語ろうとする人ならだれであろうと脅迫しようとしている」と非難しました。
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米主導ガザ配給所 798人死亡 国連・過去6週間で
                       しんぶん赤旗 2025年7月13日
 国連の人権高等弁務官事務所(OHCHR)は11日、パレスチナ・ガザ地区での「ガザ人道財団」(GHF)の食料配給所で、6週間で少なくとも798人が殺害されたと明らかにしました。ロイター通信が報じました。
 OHCHRのシャムダサーニ報道官はジュネーブでの記者会見で、「(5月27日から)7月7日までに、配絵所付近で615人、配給所への途上とみられる183人を含む798人の殺害を記録している」と述べました。
 GHFは、国連主導の人道支援の枠組みを避け、米国の民間警備会社や運送業者を使い、イスラエル軍の管理地域で食料配布を行っています。
 OHCHRは、ガザの病院、墓地、被害者の遺族、パレスチナの保健当局、NGOや現地のパートナー組織などからの情報に基づく死者数だと指摘。ほとんどの負傷は、配給所付近での銃撃によるけがだったと明らかにしました。「食料など必要不可欠な物資を受け取ろうと行列をつくっている場所で、さらなる残虐犯罪が行われる危険がある」と警告しています。


イスラエル首相への逮捕状取り下げ要求 米代表、ICC加盟国に脅し
                       しんぶん赤旗 2025年7月13日
【ワシントン=肩口昇幸】ニューヨークの国連本部で8日に開かれた国際刑事裁判所(ICC)の締約国会議で発言したトランプ米政権の代表が、ICCに対してイスラエルのネタニヤフ首相らの逮捕状や同国に対する捜査を取り下げるよう求めていたことが明らかになりました。
 米政府は9日にも、パレスチナ人に対するイスラエルの人権侵害や国際法違反を厳しく指摘してきたアルバネーゼ国連特別報告者に制裁を科すと発表しており、イスラエル擁護と国連機関への敵意があらわとなっています。
 仏紙ルモンド(電子版)やネットメディアの報道によると、米国務省のルービンスタイン法律顧問は、締約国会議で「米国と同盟国イスラエルに対するICCの全ての捜査と逮捕状をやめることを期待する」と述べました。米国やイスラエルはICCには未加盟。同顧問はオブザーバーとして出席し、許可を得て発言しました。
 オランダのハーグに本部を置くICCは昨年11月、イスラエルのガザでの軍事攻撃に関連して、ネタニヤフ氏やガラント前国防相に戦争犯罪などの容疑で逮捕状を発出しました。またアフガニスタンでの米兵による戦争犯罪についても捜査を行っています。
 ルービンスタイン氏は、ガザでの戦争犯罪についての現在進行中の捜査や逮捕状を取り下げなければ、「全ての選択肢がテーブルの上にある」「ICCの行き過ぎを阻止するために、適切で効果的な外交的、政治的、法的手段をとる」と威嚇的な発言を行いました。
 同政権はすでにICCのカーン主任検察官や裁判官4人を制裁対象に指定。裁判官4人は、ネタニヤフ氏への逮捕状発出のほかに、米兵の戦争犯罪捜査を巡る決定に関わったために標的とされました。
 ジョージタウン大学法科大学院の人権研究所責任者エリサ・マッシミーノ客員教授は、米メディアに「米国のこのような態度や脅しは裏目に出て米国の影響力をはるかに低下させる可能性が高い」と述べました。 


米の制裁マフィア想起 国連特別報告者「帝国の衰退示す」
                       しんぶん赤旗 2025年7月13日
 イスラエルによるガザ地区でのジェノサイド(集団殺害)を告発してきた国連特別報告者のフランチェスカ・アルネーゼ氏は11日、トランプ米政権が同氏に制裁を科すと発表したことについて「マフィアを想起させる手法だ」と批判し、「これは強さの表れではない。帝国がいかに弱く、衰退しているかを示すものだ」と語りました。イタリアのテレビ局「スカイtg24」のインタビューで語りました。アルネーゼ氏はイタリア出身の国際弁護士です
 アルバネーゼ氏は「米国は正義にアレルギーを持つ国になっている」と非難。
彼らはガザで進行中のジェノサイドについて真実を語ろうとする人ならだれであろうと脅迫しようとしている」と指摘しました
 またイスラエルによるレスチナ人の恣意(しい)的拘束やジェノサイドに関する国連報告書を複数回書いて責任を追及してきたことに触れ、「イスラエルのネタニヤフ首相は国際刑事裁判所で裁かれなければならない」と改めて強調しました。
 米国による制裁の影響については「彼らは成功しないだろう。私は背筋を伸ばして仕事を続ける」「ガザでのジェノサイドの終結を求める無数の人々とともに頭を上げて仕事をしていく」と表明しました。