2025年7月12日土曜日

12- 特異と補完 参政党の公約(上・下)(しんぶん赤旗)

  参政党は『明治憲法の復活』を掲げている極右政党で、ここにきて議員数を拡大する可能性が語られています。いわば長い雌伏?を経てこの状況に至った背後には、日本会議と旧統一協会による選挙活動への協力があるのでは、という見方も行われています。

 しんぶん赤旗が『特異と補完 参政党の公約』と題する2回の連載記事を出しました。
 選挙時になるとメディアが参政党などの自民党補完勢力を囃し立てるのは、彼らが基本的に米国(CIA)の戦略に沿った存在であるからに他なりません。
 しんぶん赤旗の記事は参政党の特異性と危険性を明らかにしています。

 併せて新潟日報の記事『参政党・神谷代表の発言 目立つトランプ氏寄り』を紹介します。「米国の戦略」に沿った存在であることを想起させる内容になっています。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
特異と補完 参政党の公約(上) 極端な国債依存 命の沙汰も
                       しんぶん赤旗 2025年7月11日
 神谷宗幣代表のジェンダー差別的発言や排外主義的発言で批判を浴びている参政党。その参院選公約などの政策にも、極端で非現実的な主張や自民党と変わらない傾向が表れています。

発行自由化まで
 神谷氏が「一丁目一番地」と語る「減税」。「参政党の政策」では「消費税の段階的廃止」「国民負担率」の35%への縮減を掲げます。その「財源確保」の方法は、社会保障の極端な削減と国債発行です。
 同党の政策は「財政収支の黒字化目標を見直し、積極財政による経済成長」。国の国債残高が1000兆円のもと、予算の政策的経費における国債発行の割合(プライマリーバランス)の低下対策など必要ないと言わんばかりです。「財政法4条の改正」の主張には驚きます。戦前の反省から国の歳出を国債に頼ることを原則禁止した規定を改定し、「国債発行を自由化」します。
 国債は金融商品として売買され、世界的にも各国で財政赤字が拡大するもと、国債価格の下落への不安、金利上昇の圧力が強まっています。金利が上がれば利払い費の拡大が暮らしの予算を圧迫し、企業の資金繰りや住宅ローンにも跳ね返ります。同党の財政論は極めて危険で無責任です。

延命治療は全額
 「終末期における過度な延命治療に高額医療費をかけることは、国全体の医療費を押し上げる要因」だと断じ、「終末期の延命措置医療費の全額自己負担化」「尊厳死法制」まで主張しています。
 人生の最期をどう迎えるかは、本人や家族の生き方に関わる機微な問題であり、政治に強制されるものではありません。お金がなければ早く死ね”と言っているに等しい暴論です。
 「無駄な医療費の削減」として「薬局で購入可能なOTC医薬品(市販薬)で対応可能な疾病は、原則処方しない」ことも公約に掲げています。これは自公維3党が合意し、国民民主も賛意を表明している「OTC類似薬の保険外し」と同じです。受診抑制で重症化すればかえって医療費が高くつくことにもなりかねません。
 「診療報酬は担当する人数(患者数)に応じた定額制」も主張。手術をしても投薬だけですぐ治る病気でも、医療機関が受け取るお金が同じでは、医療の質の低下を招き、国民の命も危うくします。(つづく)


特異と補完 参政党の公約(下) 戦前回帰の「産めよ殖やせよ」
                       しんぶん赤旗 2025年7月12日
 参政党の「少子化対策」の目玉は、0歳から15歳までの子どもがいる家庭への月10万円の「子育て教育給付金」です。「一馬力でしっかり稼げて、女性が望めば、安心して家庭に専念できる『経済』支援」を掲げています。しかし、その考えの中心にあるのは「男性が稼ぎ、女性は子を産み、育てる」という性別役割分業です。同党の政策には、「出産」や「子育て」を女性の役割として推奨する傾向が強く見られます。
 神谷氏は「子どもを産み育てること。すごい社会にとっての価値だし、国家に対する貢献でもある」(4日、山口市)などとも述べています。戦前の「産めよ殖(ふ)やせよ」と同じ発想で国家への「貢献」を押しつけるものです。

「男女しかない」
 また、同党は選択的夫婦別姓や同性婚にも反対しており、自民党内の大勢と変わりありません。神谷氏は「男らしさ女らしさは一切否定しない。性は男と女しかないから」(同)などと述べています。性別にかかわらず個人の尊厳が大切にされ、自分らしく生きられる社会から逆行しています。
 参政党は日米同盟や日本独自の軍事力強化を訴えており、大枠は自民党と変わりません。ただ、具体論を巡る神谷氏の発言は、「プロゲーマーを集めてドローン部隊をつくる」(6日、ニコニコ動画)「(軍拡財源にするため)外国人への生活保護支給を見直す」(2023年5月25日、参院財政金融委員会)など、妄言レベルのものが目立っています。「予備自衛官」の経験を売りにしていますが、底が浅いのが実態です。

核保有も視野
 見過ごせないのは、核保有の可能性を示している点です。参院選公約に「核保有国に核を使わせない抑止力」を掲げています。これが何を意味するのか。参政党が23年5月に公表した「政策カタログ」には、「核戦略」を明記。「SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)保有などの可能性を含め日本の核戦略に関する議論を本格化」するとしています。なぜSLBMなのか。潜水艦に核兵器を配備することで「日本国内に核兵器を置かずに済むメリットもある」としています。
 このほか、自然保護を強調しながら「次世代原子力・核融合・新たな火力」をエネルギーの基本にするとし、「脱・脱炭素」などと温暖化対策にも背を向けています。(おわり)


参政党・神谷代表の発言 目立つトランプ氏寄り
                         新潟日報 2025年7月11日
 参院選で、参政党の神谷幣代表にトランプ米大統領寄りの発言が目立っている。米国の脱炭素政策や多様性・公平性・包括性(DEI)重視から転換を図るトランプ氏を引き合いに日本も倣って見直すべきだ」と主張する。米国による6月下旬のイラン攻撃については、戦闘拡大を抑止したとして「ある程度、好意的に安け止めている」と評価した。
日本人ファースト」を掲げる神谷氏は選挙戦で、「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を唱えるトランプ氏に親近感をにじませ。3日の公示日第一声では「クローバリズムにあらがう政治の流れが世界で生まれている」と指摘。トランプ氏はその潮流にあるとして「課題意識は一緒だ」と強調した。
 2日の日本記者クラブ党首討論会では、石破茂首相に対し「トランプ政権に代わってから足並みが全くそろっていない」と批判を展開。先進7力国(G7)へのロシア再加入の推進やDEI施策の修正を迫った。
 6日のテレビ討論では、トランプ氏が再生可能エネルギーや電気自動車の普及策を見直していると説明し、日本も歩調を合わせるよう訴えた。
 トランプ氏は2期目に入り、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から再離脱すると表明し、気候変動対策に背を向ける。性・人種・障害者など差別撤廃を目指すDEI政策は「過激かつ無駄が多い」として廃止する大統領令に署名し、連邦政府職員の解雇につながった。米政権は、心と体の性が異なるトランスジェンダーの米軍兵士に自主的離職を求める。ハーバード大にはDEIプログラム廃止を突き付けた。
 神谷氏が挙げるトランプ政権の政策は、米国内や国際社会に波紋を広げている。日本政府が進めてきた政策や立場と異なる内容も多く、妥当性の説明が求められそうだ。

     参政党・神谷代表のトランプ 米大統領を巡る主な発言

・グローバリズムにあらがう政治の流れが世界で生まれている。トランプ大統領もこの流れで生まれた。課題意識は一緒だ
      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・(G7に)ロシアを受け入れようとの話があるが、石破首は足並みをそろえようとしない
      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
イランを攻撃したことはある程度、好意的に愛け止めている
      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
トランプ氏は脱炭素政策をやめた。多様性・公平性・包括性DEIもやめると言っているが、日本はやめない