2026年2月16日月曜日

熱狂が引いて寒々しさ 焼け野原の永田町に吹き抜けるファシズムの風

 日刊ゲンダイが掲題の記事を載せました。
 なぜ高市自民はここまでの大勝を収めるに至ったのかについて、井田正道・明大教授は
国際社会を見回すとトランプ、習近平、プーチンら強烈なリーダーがいるので『日本にも強いリーダーが必要だ』と感じた国民が高市首相を支持したのでは」と述べています。
 五野井郁夫高千穂大教授は、「高市首相は“努力してる感”の演出が目につき『見せ方』はうまいものの『中身は何もなく』極めて詐欺的なやり方」と酷評します。
 深刻なのは、中道の惨敗でこの国から野党の勢力あらかた消え、熟議もなくなり、国会が形骸化してしまうことです。その結果 高市の暴走に歯止めがきかなくなり、大企業・富裕層優遇政策に拍車がかかる恐れがあることです。
 彼女は条件さえ整えば直ぐにも憲法9条の改定や「緊急事態条項」の創設に奔るし、現行の憲法のままでも軍事費をトランプが要求する通りにGDPの3・5%や5%に増やし、その結果 国民が塗炭の苦しみを味わうことに対しては殆ど関心がなさそうです。
 なぜ多くの人たちがそんな高市氏に期待を寄せたのか、あまりにも甘い考えだったのではないでしょうか。

 併せて日刊ゲンダイの2つの記事
「私たちは程なく、選挙のツケを骨の髄まで知ることになる」
「衆院選の争点になっていない〝おこめ券″に鈴木農相『評価いただいた』発言で大炎上!」を紹介します。
 ここまで国民生活に全く関心を持たない政権はかつてありませんでした(如何に自民党政治といえども)。
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熱狂が引いて寒々しさ 焼け野原の永田町に吹き抜けるファシズムの風
                          日刊ゲンダイ 2026/2/10
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 極端な選挙結果に、有権者は「これでよかった」と心底思っているのか、大いに疑問だ。なんでも自分で決める首相の下、自民単独で3分の2を制した恐さ、危うさ。この国から野党が消え、熟議もなくなる国会の形骸化、民主主義を失った今、有権者たちの呆然自失。
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 有権者は「これでよかった」と、心底思っているだろうか8日投開票された衆院選の結果についてだ。
 高市自民が単独で衆院の3分の2を超える316議席を獲得し、日本維新の会と合わせて352議席。歴史的な大勝だった。高市首相は9日の会見で「国民から政策転換を何としてもやり抜いていけと力強い形で背中を押していただいた」と誇ってみせたが、衆院で3分の2を与えてしまったことに、今後、多くの国民が後悔することになるのではないか
 衆院で3分の2の議席があれば、あらゆる法案が少数与党の参院で否決されても、衆院で再可決することができる。“ウルトラ右翼”と評される高市は白紙委任状を得たも同然で、今後、どんな危険な法案を出してくるか分かったものではない。何でも自分で決めてしまう首相の下で、怖さ、危うさが漂っている。
 一体、なぜ高市自民はここまでの大勝を収めるに至ったのか。
 有権者の動向に詳しい明大教授の井田正道氏(計量政治学)はこう言う。
「有権者は、これまでの政権の実績よりも、高市首相への期待感から自民党を支持する傾向にありました。昨秋の政権発足以降、高市首相がアクティブに外交の舞台を駆ける様子がテレビなどで何度も報じられ、明るいイメージがついた。『高市首相なら何かやってくれそう』という期待感が高まったのだと思います。また、国際社会を見回すと、トランプ米大統領や中国の習国家主席、ロシアのプーチン大統領ら強烈なリーダーシップを持ったトップたちが良くも悪くも存在感を示している。彼らの姿を見て『日本にも強いリーダーが必要だ』と感じた国民が高市首相を支持したのでしょう。一方、対抗する野党『中道改革連合』の野田佳彦、斉藤鉄夫両共同代表が優しさや柔和さを打ち出した点に頼りなさを感じた国民が多かったように思います」
 要するに、高市自民への支持は期待感だけで中身を伴わないフワッとしたものだったわけだ。

「見せ方」重視の詐欺的手法
「高市自民の勝因は『見せ方』だと思います」と言うのは、高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)だ。
「安倍元首相は“やってる感”の演出が得意でしたが、高市首相は“努力してる感”の演出が目につきます。昨秋の自民党総裁選での勝利後に『働いて、働いて……』と宣言したのに始まり、夜中の3時から公邸で秘書官らと打ち合わせし、夫の介護に従事するエピソードを披露。加えて、公邸への引っ越しの際はラフな雪駄姿で移動する様子をさらし、時には関西弁でおちゃらけたり、得意のドラムを叩く姿まで見せ、親しみやすさまで演出しました。一方、中道の顔はいわゆる古い政治家。彼らのボソボソとした発言は国民には受け入れられなかった。ただ、『見せ方』はうまかった高市自民ですが、中身は何もありません。その点を覆い隠して支持を得るのは、極めて詐欺的なやり方だと思います」
 あの、何とも言えない高市のつくり笑顔も「上手な見せ方」の一環ということか。「サナ活」に精を出している国民は、すっかりだまされてしまっているのかもしれない。

失われた「監視・チェック機能」
 それにしても、何でも自分の判断で決めてしまう高市の下、自民が単独で衆院の3分の2を制した危うさは計り知れない。深刻なのは、中道の惨敗でこの国から野党が消え、熟議もなくなり、国会が形骸化してしまうことだ。政府を監視・チェックする機能を持つ国会が形だけになってしまえば、高市の暴走に歯止めがきかなくなってもおかしくない。
「壊滅的だ」と肩を落とすのは、今回の選挙で立憲民主党から中道に合流したものの、落選した元議員だ。
「今回の結果を受け、地元の中堅企業の幹部から『我々労働者の声を政府に届ける機能が大きく損なわれてしまった』と言われ、本当にガックリきてしまいました。今回、落選した議員の中には、労働者の立場に立って政府と対峙できる人がたくさんいた。今後、一体誰が高市政権と厳しく向き合うのか。国民民主党にそれができるのか。情けない限りですが、今後、国会がどうなるのか見通せません」
 労働者の声が届きづらくなれば、高市は労働政策をないがしろにし、自民党の“太客”である大企業・富裕層優遇策ばかりを打ち出してきてもおかしくない。足元でも高市が防衛費拡大を進めていることで、防衛関連企業は文字通り「ホクホク」状態だ。こうした企業から自民党は献金を受領している。このままだと、大企業・富裕層優遇に拍車がかかる恐れがあるわけだ。

「改憲」に「挑戦」という軽さ、危うさ
 恐ろしいのは、高市独裁が盤石となり、日本が危うい方向に行きかねないことである。
「現代の治安維持法」と称されるスパイ防止法や国旗損壊罪の制定に早々と手をつけてくるだろう。きのうの会見では、日本版CIAの「国家情報局」を設置するための法案を次期国会に提出する考えを明かしていた。また、「自らの国を、自らの手で守る覚悟がない国を誰も助けてはくれない」と言い、安保関連3文書の前倒し改定を改めて強調。いわゆる、大軍拡を粛々と進める腹積もりである。
 さらに、「国の理想の姿を物語るのは憲法だ。憲法改正に向けた挑戦も進めていく」と発言。衆院で改憲発議が可能となる3分の2を獲得したことを念頭に置いたのは間違いない。いよいよ、平和憲法に手をかけようというわけだ。改憲するには、最終的に国民投票によって過半数の賛成を得なければならないわけだが、そんな重いプロセスに「挑戦」するとは一体どういう了見なのか。国のあり方を変える改憲には慎重であるべきだが、「挑戦」という言葉を使うところに、高市の危険性が垣間見える
 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「中国との軋轢を生んだ『台湾有事』発言に真意が表れていましたが、高市首相が日本を『戦争できる国』につくり変えようとしているのは明白です。スパイ防止法や国旗損壊罪の制定は戦争に反対する市民の活動を監視する目的でしょう。大軍拡に非核三原則の見直し、武器輸出などは明らかな戦争準備です。そして、最終的には憲法9条の平和主義を取り払わなければならないと考えている。これらを進めるために、抜き打ちの解散総選挙で圧勝し、独裁体制をつくったわけです。野党が崩壊した現状では歯止めがききません。メディアはキチンとウオッチすべきですし、最後は国民が目を覚ますしかないでしょう」
 一時的な熱狂が生んだのは、野党崩壊という極端な選挙結果だった。民主主義を失った今、有権者は呆然自失かもしれない。「勝たせ過ぎた」と思うなら、いま一度、冷静になるべきだろう。焼け野原の永田町に、ファシズムの風が吹き抜けている


私たちは程なく、選挙のツケを骨の髄まで知ることになる 二極化・格差社会の真相
                          日刊ゲンダイ 2026/2/10
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 衆議院選挙は自民党の圧勝で終わった。いかにも彼ららしいと言うべきか、安倍晋三時代にも増して汚らしい選挙だった。
 通常国会冒頭での唐突かつ大義のない解散に始まり、争点潰しや“余計なことは言わないリスクマネジメント”とやらばかりがまかり通った。高市首相はNHKの討論番組をドタキャンして統一教会や裏金問題の追及から逃げたばかりか、遊説先でも党公約の柱であるはずの安保3文書の改定や外国人政策、限定的な消費税減税等々についても、ほとんど語らなかった(朝日新聞4日付朝刊)。
 それでいて大見えだけは切りまくった。「高市が総理大臣でよいのかどうか、国民の皆さんに決めていただく」「国論を二分するような大胆な政策、改革にも、批判を恐れることなく果敢に挑戦していきたい」うんぬん。
 具体的な内容への言及は皆無に等しい。要は有権者に判断材料を与えず、ムードだけを盛り上げて、物事をまともに考えたくない人々の“白紙委任”を取り付けようとし、それは果たされた
 一方で左派やリベラル系の軒並み惨敗もむべなるかな。創価学会票欲しさで最近までの与党にすり寄り、戦争法制や原発で変節した旧立憲民主党の無節操は論外。彼らには近年の、“共生”とか“多様性”といった、賢しげで、生活実感とかけ離れた観念論を振りかざしては支持者を失った醜態への反省もまるでない。今こそ格差社会や、その元凶たる新自由主義イデオロギーからの克服を、丁寧に力説しなくて、どうする気だったのか
 選挙戦中からあちこちで指摘されていた、目新しくもない分析モドキ。結果が出た後で重ねてみても詮ないことだ。ともあれ、これが現代日本の“選挙”なのである。

 恐ろしいのは今後、高市の言う「国論を二分する政策、改革」がどんな姿で現れてくるのか、だ。スパイ防止法の制定や憲法“改正”だけでなく、核武装への道筋も大いにあり得よう。
 そうなった場合、自民党支持者の大方の期待とは裏腹に、日本は名実ともにトランプ以降の政権に「運営(run)」される対象ないし米軍の鉄砲玉&戦場に成り下がる。幾度も書いてきた悪夢だから、今さらくどく繰り返したくもないけれど。
 米国とは帝国主義の権化以外の何物でもない。抽象論では断じてない実態は、正月早々のベネズエラの一件でご案内の通り。投票とは面白半分でやるものではない真理を、私たちは骨の髄まで思い知らされることになる

斎藤貴男 さいとうたかお ジャーナリスト
1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「戦争経済大国」(河出書房新社)、「日本が壊れていく」(ちくま新書)、「『明治礼賛』の正体」(岩波ブックレット)など著書多数。


衆院選の争点になっていない「おこめ券」に鈴木農相「評価いただいた」発言で大炎上!
                          日刊ゲンダイ 2026/2/14
 衆院選の大勝で気のゆるみが懸念される高市内閣に、早くも選挙後の炎上第1号が飛び出した。
 鈴木憲和農相が10日の記者会見で、自身が肝いり政策として打ち出した「おこめ券」配布などの食料品高騰対策について、衆院選で有権者から支持されたか問われ、こう答えたのだ。
「さまざまなご意見をいただいているところだが、クーポンやおこめ券が届いた自治体の消費者からよかったというような話をたくさんいただいている。基本的には評価をいただいたと思っている」
 これにはSNS上で〈争点になってない〉〈勘違いも甚だしい〉などとツッコミが相次ぎ、ブーイングの嵐が巻き起こっている。
 高市政権は昨年12月に成立した補正予算で、自治体が使途を決められる「重点支援地方交付金」を拡充。食料品高騰対策としての使い道に、おこめ券を推奨した。しかし、発券には印刷費や輸送コストがかかり、「経費ロスが大きい」との批判が続出。結局、商品券や現金給付を採用する自治体が相次いだ
「衆院選では高市首相が争点を明確にしなかったこともあり、おこめ券どころかコメ政策さえも主要な争点になっていませんでした。それに、自民が大勝したのはあくまで“高市人気”によるところが大きい。大幅に議席を増やしたからといって、なんでもかんでも信を得たと考えるのは無理があるでしょう」(農水省担当記者)

霞が関では「コメ値下がり6月説」
 肝心の米価高騰対策についても、効果的な措置を打ち出せていないままだ。13日の農水省の発表によると、全国のスーパーで8日までの1週間に販売されたコメ平均価格は、4204円(5キロ・税込み)だった。前週より10円値上がりし、依然として4000円台の高値が続いている。
 2025年産米の生産量が大幅増となったため、昨年末からコメ市場関係者の間では先安観が強まっていた。しかし、それでもなかなか米価が下落せず、霞が関の役人も首をかしげているという。
「農水官僚からは『値下がりの動きが鈍い』との声が聞かれます。最近では、彼らの間で『新米が出回るギリギリの時期、5~6月くらいまで本格的な値下がりは起きないかもしれない』とさえ、ささやかれています」(前出の農水省担当記者)
 勘違い大臣がいる限り、国民が期待する農政は行われそうにない。