静岡県の川勝平太・前知事は、リニア中央新幹線が大井川の川底の下方を通過することで地下水が坑内に流れ込み水資源が減少することなどを理由にリニアの静岡工区着工を認めませんでした。ところが、静岡県の鈴木康友新知事は7月7日の県議会でリニア静岡工区着工容認を表明しました。
植草一秀氏がこれを「大誤断である」としてその理由を次のように述べました。
まず当初挙げられていたリニア着工の三つ理由
1.東海道新幹線の輸送力不足 2.老朽化・東海地震への代替ルート 3.時間短縮
について、1.は人口減少に伴い新幹線需要そのものが頭打ちになっていて消滅したとし、2.は東海道新幹線が損壊する災害の際にリニアが被災しない可能性はむしろ小さく、代替ルートでは北陸新幹線の全線開通の方がはるかに効果は大きいと見ます。そして3.は「品川での乗り換えに時間がかかる」のと「名古屋も在来線までのアクセスに時間を要する」ことから「短縮幅は小さい」と見ます。
建設費用についてはJR東海は当初5・5兆円としましたが、すでに11兆円に修正されているものの、近年の建設費用高騰を加味すれば「さらに上方に修正されることは間違いない」と見ます。
問題はこの工事ではすでに巨額を投じてきたことであり、それが全部無駄になってもいいのかですが、植草氏は、今後の事業継続の判断に当たり、過去に投じた費用を考慮するのは「間違いの元」だとして、この事業が採算が採れるのかや工事が安全確実に出来るのかは、「過去に投じた費用とは無関係」と冒頭のところで断言します。
目からウロコです。どうぞお読みください。
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静岡県知事が世紀の大誤断
植草一秀の「知られざる真実」 2026年7月11日
リニアとMRJとコンコルド。
「失敗するものが一時的に良くなるように見える場合でも、そのまま失敗した方がダメージは小さい」「失敗する可能性のあるものは必ず失敗する」
リニアに投下した費用は戻らない。これをサンクコスト(埋没費用)と呼ぶ。
事業継続の判断にサンクコストが影響するが、これが間違いの元。
現在から未来の事業可否に過去費用は影響しない。
採算の取れない事業は1秒でも早く中止することが損失を最小にする唯一の方法になる。
静岡県の川勝平太知事がリニアの静岡工区着工を認めなかった。
リニアの工事遅延は静岡に原因があるものではない。他の工区の工事自体が遅れている。
しかし、静岡の工事未着工には大きな意味があった。これを材料にリニア工事全体の中止を決断する「チャンス」が付与されていたこと。
すでに巨額の費用が投下されてしまった。この修復できない費用投下に引きずられて判断を下すと致命傷になる。冷静な判断が必要だ。
ところが、静岡県の鈴木康友知事は7月7日の県議会でリニア中央新幹線静岡工区着工容認を表明してしまった。
リニア着工の理由が三つ挙げられてきた。
1.東海道新幹線の輸送力不足
2.老朽化・東海地震への代替ルート
3.時間短縮
しかし、1は消滅した。人口減少に伴い、新幹線需要そのものが頭打ちになっている。
時間短縮が提示されるが東京-名古屋開通でも時間短縮効果は小さい。品川での乗り換えに時間がかかる。名古屋も在来線までのアクセスに時間を要する。
代替ルートについては東海道新幹線が損壊する災害の際にリニアが被災しない可能性はむしろ小さい。代替ルートでは北陸新幹線の全線開通の方がはるかに効果は大きい。
リニアは経路の9割がトンネル。景観を眺望できないだけでなく地震の際にトンネルは重大なリスクをはらむ。
また、地下に建設されるリニアが地上に損害を与える。すでに多くの工事箇所で地上に問題が生じている。この問題に対してJR東海は適正な対応を示していない。
また、大深度法適用の工事においても重大な問題が生じることが予想される。
静岡工区では南アルプスをリニアが貫通するが、破砕帯の工事が重大な問題を引き起こすことも予想される。完成後の運行中に巨大地震が発生した際、避難経路が確実に確保されるか疑わしい。
これらの問題が山積するが、それ以前に根本問題が存在する。
JR東海はリニア料金を現行の新幹線料金に少額を上乗せした料金設定を検討している。
仮に差額が小さい場合には、現行の新幹線利用者がリニア利用にシフトする可能性がある。そうなると、リニアと在来新幹線を合算した事業において収入が費用を下回る可能性が高い。JR東海の財務基盤を破壊する可能性が高い。
リニア建設の根拠とされた三項目の第一項が成立しない状況が生まれている。
JR東海自体が第一項を現在は提示していない。
事業として新幹線事業が巨額赤字に転落する恐れが高いのである。
リニア建設費用をJR東海は当初5・5兆円としたが、すでに11兆円に上方修正されている。
これも近年の建設費用高騰の影響を受けてさらに上方修正されることは間違いない。
失敗が判明していることを強行すれば取り返しのつかない事態に陥ることは明白である。
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