2024年10月28日月曜日

福井女子中学生殺害事件再審決定(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 殺人罪死刑が確定し半世紀近くにわたり確定死刑囚等として勾留さていた袴田巌氏2回目の再審で無罪が確定した「袴田事件」に、私たちは「暗黒の司法」の実態をマザマザと見せつけられましたが、今度は1986年に福井市で起きた女子中学生殺害事件をめぐって名古屋高裁金沢支部は23日、殺人罪で有罪とされ懲役刑に服した前川彰司さん(59)が無罪を訴えた第2次再審請求に対し、再審開始を決定しました。

 この事件は86年3月19日夜、福井市の自宅で留守番中の女子生徒が包丁で殺害されたもので、福井県警は翌年、殺人容疑で前川さんを逮捕しました。90年に福井地裁で無罪判決が出されましたが、95年に名古屋高裁金沢支部は懲役7年の逆転有罪判決を出したため、それが確定した97年に服役しました。
 前川さんは2004年に再審請求をし、金沢支部は11年に再審開始を決定しましたが13年の異議審で取り消され、22年10月に再度再審請求をしていました。
 今回の請求をめぐる裁判官、検察官、弁護団による三者協議では、警察が保管していた捜査報告メモなど287点の証拠が新たに開示され、一審と控訴審で証言を変えた関係者への証人尋問が行われ、「証言を変えたら、覚せい剤取引の罪を握りつぶす」という捜査機関との「闇取引」があったことも判明しました。これこそは「検察・警察による証拠の捏造」に他なりません。
 福井県警の現職幹部は再審決定に関する取材に対し、「解決済みの話でふざけるなという思いだ」、「一度裁判で決まったものをびっくり返されても困る」とぶちまけたということですが、まさに自分たちの面子のみを重視した本末転倒の「料簡」です。「99人の真犯人を逃がすとも1人の無辜の犯人を作らない」という司法修習所の教育は、有名無実のものだったのでしょうか。
 被疑者に関わる全ての証拠を集めることが出来るのは検察(と警察)ですが、そのうちから被疑者に有利な証拠は全て排除し(その旨を被疑者側に伝えることもなく)、被疑者に不利なものだけを裁判所に提出するというシステムも、余りにも被疑者の人権を無視したもので「中世の司法」と呼ばれるべきものです。
 また再審実現の困難さが「ラクダを針の目に通すことよりも難しい」と称されることも、判事の面目を守ることだけが重要で、被疑者の人権を無視する司法界の独善性によるものです。

 はじめに事件の概要が分かるしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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    10月14日)証拠を捏造してまで、無実のひとを死刑台に送る国
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
福井中学生殺害再審へ 高裁金沢支部捜査機関が「闇取引」
                      しんぶん赤旗 2024年10月24日
 1986年に福井市で起きた女子中学生殺害事件をめぐって名古屋高裁金沢支部(山田耕司裁判長)は23日、殺人罪で有罪とされ服役した前川彰司さん(59)=福井市=が無罪を訴えた第2次再審請求に対し、再審開始決定を言い渡しました。
 裁判所前に集まった支援者らから歓声が上がり、前川さんは拍手に包まれました。
 同事件は86年3月19日夜に、福井市の市営住宅の自宅で留守番中の女子生徒が包丁で殺害されたもの。県警は翌年、殺人容疑で前川さんを逮捕。90年に福井地裁で無罪判決が出されましたが、95年に金沢支部は懲役7年の逆転有罪判決を出し、97年に確定しました。
 前川さんが2004年に再審請求をし、金沢支部は11年に再審開始を決定しました。しかし、13年の異議審で取り消され、2210月に再度、再審請求をしていました。
 今回の請求をめぐる裁判官、検察官、弁護団による三者協議では、警察が保管していた捜査報告メモなど287点の証拠が新たに開示されました。さらに、一審と控訴審で証言を変えた関係者への証人尋問が行われ、「証言を変えたら、覚せい剤取引の罪を握りつぶす」という捜査機関との「闇取引」があったことも判明しました。
 弁護団は、一日も早く再審が開始され、前川さんが救済されることを求め、検察が異議申し立てすることは許されないとする声明を発表。前川さんは「多くのみなさんのおかげです。深く感謝します」と心境を語りました。があったことも判明しました


福井女子中学生殺害事件再審決定
              植草一秀の「知られざる真実」 2024年10月24日
袴田事件で殺人の罪に問われ死刑が確定した袴田巌氏は47年7ヵ月の期間にわたり確定死刑囚等として勾留された。その袴田氏に再審無罪が言い渡され、無罪が確定した
裁判所は捜査当局の証拠の捏造を認定した。有罪認定の決め手とされた味噌製造工場の味噌タンクから発見されたとされる5着の衣類が捜査当局による捏造と認定された。
一審判決で証拠採用された1通の自白調書も捏造と認定された。
5点の衣類の共布とされた証拠物も捏造と認定された。
警察は証拠を捏造して無実の袴田氏を殺人犯人に仕立て上げたと裁判所は認定した。

10月23日には、38年前に福井市で女子中学生が殺害された事件で殺人の罪で服役した前川彰司氏について、名古屋高等裁判所金沢支部が再審(裁判のやり直し)を認める決定を示した。
この事件では13年前にも再審を認める決定が出された。しかし、検察の異議申し立てを受けて再審開始が取り消された。
前川氏の名誉回復に向けて検察の対応が焦点になる。
再審開始を認めた名古屋高等裁判所金沢支部は、有罪の証拠とされた目撃証言について、新たに検察から開示された証拠などを踏まえ
「捜査に行き詰まった捜査機関が関係者に誘導などの不当な働きかけを行って証言が形成された疑いが払拭できず、信用できない」と判断した。
目撃証言に含まれるテレビの歌番組に関する証言が事実と食い違う点が明らかにされたことが決め手になった。

日本の警察・検察当局の実態の一部が浮かび上がる。
刑事訴訟法第一条に次の条文がある。
第一条 この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。
刑事事件について、
事案の真相を明らかにして刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする
ための法律であることが規定され、その際に
公共の福祉の維持  個人の基本的人権の保障 を全うすることが定められている。

しかし、現実はまったく異なる
証拠を捏造して無実の個人を犯罪者に仕立て上げることのどこに「事案の真相を明らかにする」 「個人の基本的人権の保障を全うする」があるのか。真逆である

日本の警察・検察の実態がどのようなものであるか。市民は認識を改める必要がある。
相次いで冤罪事件に関する重大ニュースが報じられているが、冤罪について三つの重要事項を再確認する必要がある。
第一は、表面化した事案が「氷山の一角」に過ぎないこと。
表面化しない冤罪が無数に存在する。日本の警察・検察の歪んだ体質を踏まえれば、このことを容易に推察できる。

第二は、再審開始、再審無罪が獲得されるためには「明白な証拠」が必要であること。
冤罪であるのに、「明白な証拠」を得ることができずに泣き寝入りを強要される冤罪事案が無数に存在する
再審開始、再審無罪が獲得される事案は、「奇跡的に幸運な事案」であると言える。
有罪認定に合理的な疑いをさしはさむことを示す「明白な証拠」は開示されていない証拠の中に埋もれていることが圧倒的に多い
捜査段階での証拠はすべて開示される必要があり、法改正が必要不可欠だ。
有罪認定に合理的な疑いをさしはさむことを示す証拠は検察が隠蔽する。
このことを容認しているのが現時点の関連法である。

第三は、冤罪が明らかになることは、真犯人が取り逃がされていることを意味する。
警察・検察当局が真犯人を意図的に無罪放免にするために無実の市民を犯人に仕立て上げるケースもあると推察される。
冤罪は最も深刻な人権侵害である。冤罪は「魂の殺人」と表現して差し支えない。
冤罪の根絶こそ刑事司法の根幹に据えられなければならない事象である。

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バイデンはネタニヤフを制御できるか?/イ軍がイランの首都を攻撃 テヘランは平穏で、ミサイルは撃墜

 イスラエル軍は、ガザ地区北部でイスラム組織ハマスの戦闘員を掃討するためとして軍事作戦を行っていて、地元メディアは26日夜日本時間。以下同)から27日にかけて多くの住民が避難している学校などが爆撃を受け、69人が死亡したと伝えています。
 ガザ地区北部の状況について国連のグテーレス事務総長は、27日、声明を発表し「悲惨な死と破壊にショックを受けている。ガザ地区北部に閉じ込められた人々の苦境は耐えがたいものだ」として一刻も早い停戦の実現を求めました。

 イスラエル軍は26日午前8時半ごろ「イランの軍事目標に対する正確な攻撃を実施している」と発表し、26日正午ごろ発表した新たな声明で、イラン国内の複数の地域に空爆を行い、ミサイルの製造施設や地対空ミサイルシステムなどを攻撃し、「任務を達成した」としています。
 イランの国営テレビは26日午前7時半すぎ、首都テヘランの周辺で複数の爆発音が聞こえたと伝えたほか、そのおよそ3時間後にもテヘランの東部や中心部で再び複数の大きな音が聞こえたということです。イラン軍の防空本部は声明で、首都テヘランのほか南西部のフーゼスタン州と西部のイラム州にある軍事施設が標的になったと発表し防空システムによる迎撃が成功したと強調する一方で、いくつかの場所では限定的な被害が出ていて、詳しい状況を調査中だとしています。(以上 NHK WEB版)
 耕助のブログと櫻井ジャーナルの記事を紹介します。
 米国(や西側諸国)が何故イスラエルの暴挙を容認するだけでなく、資金や武器弾薬を供給してそれを支えているのか理解できません。
 この2、3年で彼らの正体の異常さが分かってきました。
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バイデンはネタニヤフを制御できるか?
                 耕助のブログNo. 2311  2024年10月26日
  Can Biden Rein Bibi In?
    イスラエルがイランに照準を合わせる中、米国は核攻撃目標禁止地域を宣言
                               by Seymour Hersh
ワシントン・ポスト紙の報道によると、今週、活動的で積極的なジョー・バイデン大統領はイスラエルが最近ガザ地区、ヨルダン川西岸地区、レバノンに投下した数多くの米国製爆弾についに制限を設けた。ネタニヤフ率いるイスラエル政府は、イランがイスラエルに行ったミサイル攻撃に、いつ、どのように対応するべきかを議論してきた。そして不安を抱く世界は、米国製の武器によって煽られた中東の軍事的狂気がエスカレートし続けるのを注視している。

ワシントン・ポスト紙によると、バイデンはイスラエルに対して「イランの核関連施設に対するイスラエルの攻撃を支持しない」と伝えたという。バイデンとネタニヤフは7週間ぶりに会談し、ネタニヤフはそのメッセージを受け取った。イスラエルの報復はイランの軍事目標に限定し、核施設や石油施設は攻撃しないことに同意した。ワシントン・ポスト紙は、イスラエルの方針転換を「自制の表れ」と表現し、それがより広範囲に広がる戦争を回避できる可能性があると述べた。しかしすでに戦争は広範囲に及んでいる

3週間後に迫った大統領選挙で、ドナルド・トランプを打ち負かすために苦戦しているカマラ・ハリスの能力と戦略的ノウハウを最大限にアピールするのではなく、退任間近のバイデンが注目を集め続けようとしているのはなぜなのか? もしハリスが来月の選挙で勝たなければ、この数週間のバイデンの卑小さと注目を浴びたいという欲求は忘れ去られることはないだろう。ハリスはネタニヤフとの電話会談に同席していたが、この数週間の深刻な外交問題については彼女が主導権を握るべきだった。バイデンは忠実な副大統領を出し抜くことに熱心で、それを米国の主要新聞の一面で実現しようとしているようだ。

悲しいことに、バイデンはウクライナの対ロシア戦争や、ガザ地区でのハマス、レバノンでのヒズボラに対するイスラエルの戦争に数十億ドルもの軍事援助を続けたことで多くの若い米国人の支持を失っている。ネタニヤフは、かねてからイランが核保有国となることを目指していると信じてきた。実際、私が2011年に『ニューヨーカー』誌に報じたように、米国の情報機関は「国家情報評価」として知られる2つの極秘評価で、イランの濃縮核物質が秘密の核兵器プログラムに転用された証拠はないと結論づけている。イランにはそのようなプログラムはないが、同国の核産業では濃縮度60パーセントのウランの生産と貯蔵が継続されている。(その濃縮レベルのウランは医療用にはならず、爆弾には十分な威力を持たないが、一部の核兵器管理の専門家たちはこのレベルのウランを公に貯蔵することは恣意的な選択とは見なされていない。むしろ、敵に対する次のような政治的なメッセージとして理解できる:「イスラエルやその他の敵の挑発に対して兵器級ウランを生産することなくここまでやってきた。しかし、我々はそれを実行する能力がある。」)

米国の大統領が、さらなる空爆を止めるためにできる限りのことをするのではなく、イスラエルとどの目標を攻撃するかについて交渉しているという光景は奇妙である。なぜ米国の大統領が、同盟国であるなしに関わらず、他国の指導者と、どの目標を空軍が次に攻撃するつもりなのかについて交渉しているのだろうか? そして、なぜ大統領とその外交政策顧問たちはそのことをメディアに伝えるのだろうか?
悲劇的な真実は、バイデンと国務長官のアンソニー・ブリンケンや国家安全保障顧問のジェイク・サリバンを筆頭とする外交政策チームが、米国をウクライナと中東での戦争に巻き込んだまま、出口の見えない状況で政権を去ることになるだろうということだ。ロシアはウクライナとの戦争で優勢を保ち、終結の兆しは見えない。そして今、イランは最新鋭の弾道ミサイル発射を追跡できる次世代技術で洗練されたS-300防空ミサイルシステムロシア長距離地対空ミサイルシステムをアップグレードしているところである。

私は20年以上にわたり、イランの疑わしい核兵器開発計画について記事を書いてきた。2011年、イランの上級外交官の一人が私に、イランの政府高官が、いわゆる「デュアルパーパス製品(二つの用途のある製品)」の秘密購入について嘘をついていることに愕然としたと打ち明けた。その製品とは、原子力発電所を稼働させるのに必要な5パーセントレベルの濃縮から、核爆弾の開発に必要な90パーセントレベルの濃縮まで可能なウラン鉱石の濃縮が可能な機械である。
親米派の国王が打倒された後、1979年に政権を握った強硬派のイラン革命政府は、10年後には、イランが核兵器を手に入れるには公開市場では妨害されるだろうと確信していた。また、この政権は、平和利用の原子炉を稼働させるために必要な設備や低純度のウラン鉱石を購入する試みは、公開市場では決して行われないだろうと考えていた。そしてそれは正しかった。この裏表のある行動は原子力の平和利用を全加盟国に遵守させることを任務とする監視機関である国際原子力機関(IAEA)にすぐに知られることとなった。1997年から2009年までIAEAを率いたのは、エジプト出身の外交官モハメド・エルバラダイで、彼はイランが兵器級ウランを入手しようと躍起になっているのではと疑っていた

私は、彼がIAEAを代表してイラン政府首脳部が闇市場での不正行為を認めたと結論づけた後、彼の局長在任中に彼と知り合った。その時点で、イランはIAEAの承認を得て、商業用エネルギー利用のために原子炉1基を稼働させた。米国とイスラエルは依然として懐疑的であったが、テヘランの南東200マイルにあるイランの主要濃縮施設、ナタンズでのイランの核開発計画を厳重に監視し続けた。監視の目的は、部分的に濃縮されたウランが、完全濃縮後に爆弾に使用されることがないようにすることだった。ナタンズやその他のイランの核施設で、濃縮された物質が軍事利用のために転用されたという証拠は、当時も現在も存在していない

2015年10月、長年にわたる厳しい交渉の末、核兵器の管理において大きな進展があった。米国、中国、フランス、ドイツ、ロシア、英国、そして欧州連合(EU)がイランと共同で、イランの核活動のあらゆる側面(濃縮や転用活動の可能性を含む)に制限を課す条約に調印した。この制限は、改ざんや放射線に強いカメラで監視される。その見返りとして署名国は、国際金融システムとの取引や取引を含む、イランに対して課されていた極端な制裁措置の緩和に合意した。1000億ドルがすぐにイランの国庫に流れ込んだ。正式名称を「包括的共同作業計画(JCPOA)」というこの条約は、翌年に大統領に就任したドナルド・トランプから激しい反対を受けた。トランプはより良い条件で交渉すると約束したものの、2018年春にJCPOA協定から離脱した。これは、世界的な軍備管理コミュニティのほとんどの人々を落胆させた。彼は、退任前に交渉を行うことはなかった。

JCPOAの失効により、強硬派のイラン指導部はIAEA加盟国として課せられた核濃縮監視義務を継続すると発表し、一部の人々を驚かせた。ネタニヤフはイランが不正な手段で核兵器開発を進めていると主張し続けた。
JCPOA条約における監視に関する理解が不十分な状態が判明したことで、近年、イランの敵対者の多くが、イランの核当局が核兵器開発を急ぐために不正を行っていると示唆することが可能となった。昨年7月、国家情報局(Office of National Intelligence)の局長であるアヴリル・ヘインズは、イランは「核兵器を製造する能力を向上させる活動を展開しており、その気になれば、核兵器を製造できる状況にある」と議会に報告した。同様に、国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は、今年初めにドバイで開催された国際会議で、イランの核開発計画について「完全な透明性があるとは言えない」と発言し、一部の職員を怒らせた。グロッシはさらに、「私の検査官たちがジグソーパズルを再び組み立てられる能力があるか、懸念している」と述べIAEAの技術専門家たちを苦しませた。

このような発言から受ける印象は、もはやJCPOAの制約を受けないイランが、兵器級ウランを蓄積し、その潜在能力を向上させ、核保有能力を公に認めていないイスラエル以外の中東で唯一の核保有国になる方法を見つけているというものだ。100個以上の核弾頭(実際にはそれよりはるかに多いと思われる)が地下の格納庫に保管されているか、命令があれば発射できる状態で待機していると考えられている。イスラエルが中東における競合する核保有国を懸念するのは当然であるが、核の均衡が実現する可能性は当面ないだろう。

最近のやり取りで、元IAEA高官は、IAEA本部のあるウィーンの幹部たちが、現在のIAEAによるイランの主要な核施設へのカメラによる取材の有効性に公然と疑いを投げかける姿勢に苛立ちを覚えていると私に語った。つまり、JCPOAの破棄により、重要なカメラによる監視の一部が失われたという意味である。しかし、それは事実ではないと彼は私に言った。イラン政府は現在もIAEAから、ナタンツの主要な「濃縮プラント」や国内に点在するその他の濃縮プラントを24時間体制で監視するよう求められている。グロッシ事務局長によると、同事務局にはサイクロン式機械(遠心分離機)に関する報告も寄せられている。遠心分離機は、高速回転により、商業用原子炉用の低濃縮燃料、および90パーセント以上の濃縮度を持つ核兵器用燃料が製造される。

結論から言えば、イランは依然として大量のウランを生産しており、その一部は上述の理由により60パーセントの純度まで濃縮されているが、知られているイランの核研究施設のいずれにおいても、活発な核爆弾開発プログラムの証拠は見つかっていない。米国および同盟国の諜報機関は、ウランガスを高温で回転させ、核爆弾やロケットに搭載可能な固体核コアに加工できる科学者や技術者が多数勤務する地下施設の証拠を懸命に探している。これまでのところ、米国は、地下排気管の発見能力では世界一であるにもかかわらず、イランの地下核兵器施設を発見できていないと聞いている。
つまり、爆発する核兵器にはほど遠い部分的に濃縮された大量のウランがあるにもかかわらず、イランの核爆弾の証拠は何も見つかっていないということだ。このような事実が、イランの核の脅威について常に語っているネタニヤフを止めるだろうか? おそらくそうはならないだろう。ネタニヤフには、彼自身のインスピレーションと悪魔がおり、多くの血が彼の手に付いている

つまり、大量の不完全な濃縮ウランがあるにもかかわらず、ドカンと爆発する核爆弾の製造にはほど遠いというわけだ。 このような事実が、イランの核の脅威についてネタニヤフが常に語っているのを止めるだろうか? おそらくそうはならないだろう。彼には彼自身の女神と悪魔がおり、多くの血が彼の手に付いているからだ。

https://seymourhersh.substack.com/p/can-biden-rein-bibi-in 


イスラエル軍がイランの首都を攻撃したが、テヘランは平穏で、ミサイルは撃墜
                           櫻井ジャーナル 2024.10.26
 イスラエル軍は10月25日にイランの首都テヘランの軍事目標を空爆したいうF-35戦闘機を含む100機以上の航空機が使われたと伝えられているが、テヘランは平穏で、現地で住民が撮影した映像の大半は攻撃を感じさせない。例外的な映像には相当数のミサイルが迎撃されている様子が撮影されている。ロシアの防空システムが使われたと思われ、迎撃ミサイルが発射されただけでなくECM(電子対抗手段)も利用されたのだろう。イランのミサイルを撃墜できなかったイスラエル/アメリカの防空システムとの違いが明確になったようだ。
 イランにしろ、イエメンのアンサール・アッラー(西側では蔑称のフーシ派を使っている)にしろ、レバノンのヒズボラにしろ、イスラエルを攻撃している原因はパレスチナにおける住民虐殺にある。

 イスラエルは1948年5月の「建国」以来、「大イスラエル」の実現を目指して侵略、破壊、略奪、殺戮を繰り返してきた。そうした犯罪的な行為を「国際社会」を自称する西側諸国は受け入れ、現在、アメリカやイギリスは積極的に支援し、虐殺の範囲をパレスチナからレバノンへ広げつつある
 昨年10月からガザで殺された住民は4万5000人を超えたと言われ、その約4割が子どもで、女性を含めると約7割に達するというが、そのほか相当数の遺体が瓦礫の下に埋まっている。
 これだけでも大量殺戮だが、ランセット誌が今年7月に掲載した論文は「間接的な死者は直接的な死者の3倍から15倍に及ぶ」と指摘している。当時報告されていた「死者37,396人に直接的な死者1人につき間接的な死者4人という控えめな推定を当てはめると、ガザにおける戦闘による死者は最大18万6000人、あるいはそれ以上」とした。
 その惨状はテレグラムなどを通じて世界に発信され、イスラエルに対する怒りは高まっている。パレスチナ人虐殺を支援しているアメリカで行われている大統領選挙の候補者、カマラ・ハリスはインタビューの中で「人びとが抱く強い感情を否定するつもりはありません」と言わざるをえなかった。そして「画像を見た人の中で、何が起こったのか強い感情を抱かない人がいるとは思いません」と語っている
 しかし、その後に彼女の本音が現れる。「この問題に関心を持つ多くの人々は食料や雑貨の価格を下げることにも関心がある」うえ、「私たちの民主主義」を気にしていて、「ファシスト」がアメリカ大統領にならないように願っていると主張している。ハリスの周辺が作成したシナリオだけに集中し、イスラエルによる侵略、破壊、略奪、殺戮を気にするなと言っているように聞こえる。

 いわゆる「グローバル・サウス」の人びとはイスラエルの背後にアメリカやイギリスをはじめとする西側諸国が存在していることを熟知している。イスラエルはそうした西側諸国の手先として機能、その役割を利用して自分たちの利益を図ってきた

 その結果、中東で大規模な戦争が勃発する方向へ進んでいる。そうした状況を先日のBRICS首脳会議でもロシアのウラジミール・プーチン大統領が警告していたが、そのロシアはイスラエルに配慮し、積極的に介入することはなかった。2015年にアメリカがシリアへ軍事介入する直前にロシアは介入したが、それも限定的だ。今後、ロシアがイランをどこまで支援するか注目されている。戦争反対、和平実現と叫んでも米英やイスラエルのような国には通用しない。 

26- ガザの状況はトランプ政権下で悪化する。ハリス政権下では更に悪化する。

 ケイトリン・ジョンストンが掲題の記事を出しました。
 体制側につくジャーナリストとそうでないジャーナリストとの差異なども雄弁に語られています。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ガザの状況はトランプ政権下で悪化する。ハリス政権下では更に悪化する。
               マスコミに載らない海外記事 2024年10月27日
 なぜ私がそれを知っているのか? ガザの状況は丸1年にわたり悪化の一途をたどっており、状況を悪化させている国を無条件で支援し続けるとトランプもハリスも誓約しているからだ。    ケイトリン・ジョンストン 2024年10月25日

 トランプが勝利すればガザの状況は悪化すると主張する連中の事実は、厳密に言えば間違っていない。トランプが勝利すればガザの状況は悪化するだが、ハリスが勝利しても状況は悪化する
 なぜ私がそれを知っているのか? ガザの状況は丸1年にわたり悪化の一途をたどっており、状況を悪化させている国を無条件で支援し続けるとトランプもハリスも誓約しているからだ。

狂った人: トランプが勝ったら悪いことが起きるかもしれない!
普通の人:彼の競争相手は、まさに今、大量虐殺を犯している。
狂った人: いや、でも本当に酷いことじゃないぞ!

 先日フロガンという名のイスラム教のストリーミング・メディア投稿者が、米軍は世界における巨大な悪の勢力で、米軍のために働く人々が、その巨大な悪を直接実行しているという非常に正しく明白な観察をして、世界中の欧米リベラル派全員を激怒させた
 彼女の言う通りだ。もしあなたが彼女の言ったことの一部に腹を立てるなら、あなたはおべっか使いの負け犬だ。

 私は公然の社会主義者だが、パレスチナ以外のあらゆる問題で私が同意する左翼のどの人々よりも、ガザ虐殺に反対するアメリカ人自由主義者との共通点が多い。もし、あなたがガザについて正しく理解していれば、たとえ、あなたの他の政治意識がばかげていて、相手の他の政治意識がまともだとしても、間違って理解している連中よりは良い人だ。

 もし民主党が、またしても簡単に勝てる選挙で自滅的なミスで負け、またしても自分たちの敗北を自分以外の人々のせいにしようとしたら、私は民主党に大いに意地悪するつもりだ。私は彼らの一日を台無しにしてやる。良い大人を泣かせてやる。

 イスラエル擁護者は二種類いる。
1. 公然と人種差別的かつ大量虐殺的な「ハハ、全員殺してしまえ」という類の連中。
2. 悪意ある主張をし、自分が間違っていると知りながら信じているふりをする不誠実な連中。
 この二種類だけだ。他にない。イスラエルの大量虐殺的残虐行為を擁護できる方法は、(1) 大量虐殺的残虐行為は良いことだと主張するか、(2) 擁護できない大量虐殺的残虐行為が起きており、直ちに停止する必要がある現実を曖昧にすることの二つしかないからだ。知的誠実さのレベルに関係なく実行できるのは、最初の方法だけだ。

 ガザにおけるアメリカとイスラエルによる大量虐殺に関する広報活動の多くは、人々に常識を捨てさせ、自明の愚かな戯言を信じ込ませることに重点が置かれている。なぜなら、連中にはそれしか方法がないからだ。
 イスラエルが病院を爆撃し、パレスチナの子どもの頭を始終銃撃し、ジャーナリストや医師や文化指導者を暗殺し、民間人で一杯だと知られている地域を意図的に標的にしていることを正当化できないので、批判的思考能力を停止して、それらの人々全員(A)ハマスか(B)ハマスの「人間の盾」のいずれかだと受け入れるよう連中は要求しているのだ。
 イスラエルの歴史と、パレスチナ人の土地を全て奪い取ろうというイスラエル長年の計画について、あなたが知っていることは全て捨て、ガザで行われていることは全て自衛とテロとの戦いだと信じて受け入れるよう連中は本気で要求しているのだ。
 あなたの目の前で丸1年大量虐殺を助長し、その後停戦に向けて懸命に努力しており、飢えた民間人に援助をすぐに届けられると信じるよう、連中はあなたに要求しているのだ。
 自分の大量虐殺残虐行為を正当化しようとして、次から次へと嘘を重ね、それでもなお、ガザのジャーナリストの多くがハマス秘密戦闘員で、ベイルートの病院の地下にはヒズボラの秘密基地が隠されていると連中は主張しようとしているのだ。
 連中の立場はあまりに邪悪で愚かで、いかなる道徳的、合理的な根拠からも全く擁護できないため、連中が使える唯一の手段は、自発的によだれを垂らす愚か者になり、露骨なプロパガンダを嘔吐反射なしで飲み込むよう、あなたに要求することだけだ。
 それが、今世界で起きている最も醜い出来事を正当化するために使われていなければ、可愛いい面白いものだったはずだ。

 欧米主流メディアが、プロパガンダ報道員でなく、本当のジャーナリストで構成されていれば、ガザ地区のアルジャジーラ記者6人がハマスの秘密メンバーだとイスラエルが主張し、彼らを殺害標的に決めたことに対し、大抗議が起きていたはずだ
 欧米メディアを欧米帝国のプロパガンダとみなしているのは私だけではない。彼らは自分をそのようにみなしているのだ。彼らは口には出さないし、考えもしないかもしれないが、帝国を批判するジャーナリストと、帝国の方針に忠実に従う主流メディアの記者の扱いの差を見れば、それが暗黙のうちに認められているとわかる。ウォールストリート・ジャーナル記者エヴァン・ガーシュコヴィッチが逮捕されたり、ワシントン・ポストのコラムニスト、ジャマル・カショギが殺害されたりしたことに対する主流メディアの抗議は、ガザで殺害されたパレスチナ人ジャーナリスト全員や、ジュリアン・アサンジ投獄や、アサ・ウィンスタンリーやジェレミー・ロフレドなどの親パレスチナ・ジャーナリスト迫害など、我々が目にしている、どんなことに対するより桁違いに大きい。
 この不一致は、欧米主要メディアにおける「我々対彼ら」という姿勢が明らかなことを示している。この姿勢は、欧米帝国の情報権益を推進するジャーナリストと、そうでないジャーナリストとの間に明確な線引きをしており、ワシントンと同盟諸国の公式見解に異議を唱えるジャーナリストは、しっかり「彼ら」の範疇に分類される。  既に独立系反体制メディアが報じたニュースを、独立系メディアによる初報道の功績を認めずに、主流メディアが「スクープ」として報じるのを日常的に目にする光景さえ、この「我々と彼ら」という視点を物語っている。ニューヨーク・タイムズやBBCなどの帝国主義メディアで働いていない限り、連中は、ジャーナリストを真のジャーナリストと見なさず、それゆえジャーナリストを尊敬も評価もしない。

 これは、彼らが「ジャーナリスト」という仕事を、単にジャーナリズムを行う人と捉えていないことを示している。彼らにとって真のジャーナリストとは、アメリカ政府や同盟諸国と連携し、その戦争や計画を国民に売り込むのを手伝う人物だ。もしあなたがそうしなければ、あなたは「我々」ではなく「彼ら」の一人で、それに応じた扱いを受ける。そして連中が自分が属していると考えている「我々」とは、職業プロパガンダ集団だ。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/10/25/gaza-will-get-worse-under-trump-itll-also-get-worse-under-harris/

2024年10月26日土曜日

総選挙核心は安倍政治の一掃(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 衆院選投票日まで残り1日となる中で自民党における裏金問題への国民の批判は強く、自公が過半数を維持できるかどうかが最大の焦点です。もしも過半数を割り込めば石破首相は 非公認の元自民議員の追加公認等によって政権を維持することでしょう。
 植草氏は、石破内閣の最大の使命が「安倍政治からの脱却」であるならば、旧安倍派を中心とする議席が大幅減少することで自公の絶対的多数時の暴政が抑制されるのであれば順当な結果と言えるとしています。

 統一協会との癒着の実態もそれなりに軽減することでしょう。総選挙後の国会では、まずは政治資金規正法の抜本改正を実行し、政治家個人の連座制適用も法改正に盛り込む必要があるとしています。
 問題は、自公の頽勢に乗じて野田立民党・玉木国民党・馬場維新などが「与党」に合流することで、そうなれば安倍全盛時代よりも更に悪い結果になってしまうことです。
 自民党の内部には、この際に「やり直し総裁選(石破おろし)」を断行し、ワンポイントリリーフを立てた後、最終的に岸田氏が首相の座に再度就こうとする作戦が大真面目でささやかれているということです。こんな、到底正気とも思えぬ冗談はやめて欲しいものです。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
総選挙核心は安倍政治の一掃
               植草一秀の「知られざる真実」 2024年10月25
衆院総選挙の投票日は10月27日。選挙活動は残り1日になった。
裏金事件に対する風圧がすさまじい。この影響で自公の議席が大幅に減少する見込みであると報じられている。
自公が過半数を割り込めば石破首相に対して責任を問う声が上がる可能性はある。
石破氏は追加公認等の手法により政権維持を目指すと考えられる。
場合によっては連立内閣の対象を広げることも考えられる。ただし、石破氏が簡単に政権を投げ出すことは考えにくい

自公の議席減の最大の原因は裏金事件。巨大な組織犯罪。
警察・検察は厳正な摘発を実行しなかったが、れっきとした重大犯罪行為である。
犯罪が存在するのに無罪放免にする裁量権。その一方で犯罪が存在しないのに無実の市民を犯罪者に仕立て上げて刑罰を科す裁量権が警察・検察に付与されている。
日本の警察・検察には不正で歪んだ巨大すぎる裁量権が付与されている。
国民には1円単位での納税を強要しながら政治家に対しては1000万円単位の脱税を容認する。国民の怒りが爆発している。この組織犯罪の震源地は自民党旧安倍派

自民党旧安倍派の問題は裏金事件にとどまらない。統一協会との癒着の中心も自民党旧安倍派である。
アベノミクスの10年間で日本経済はまったく成長できなかった。
労働者実質賃金は減少し続けた。消費税率は5%から10%へと2倍に引き上げられた。

旧安倍派の問題はこれにとどまらない。
もり・かけ・さくらの犯罪事案はすべて安倍元首相に関わる問題。
警察・検察が権力側の犯罪を厳正に摘発しないから刑事事件として権力側の人間が検挙されなかっただけで、適正捜査が行われていれば重大な犯罪として刑事責任が問われていたはずの事案。こうした問題が積み重なって総選挙での自公大敗という現実がもたらされる

石破内閣の最大の使命が「安倍政治からの脱却」であると考えれば、旧安倍派を中心とする議席の大幅減少は順当である。2009年とは異なり、政権交代の受け皿は整備されていない。
野党は議席を大幅に増大させるが、これは積極的に成果を挙げて手にする得点ではなく、敵失によって棚からぼたもちで手にすることになる得点だ。
野党は乱立しており、政権の枠組みも定まらない。
この意味で自公敗北は混迷政局の開幕をもたらす契機になる公算が高い。
しかしながら、自民党旧安倍派勢力が大幅に縮小し、安倍政治からの脱却が進展することは歓迎するべきこと。改めて「政治とカネ」問題に抜本的に取り組むことが求められる。

同時に、統一協会との関係を根絶するための調査が徹底的に行われることも必要になる。
「政治とカネ」問題では「裏金問題」と並んで重要なのが「政策活動費」。

資本主義の断末魔(ビジネス社) https://x.gd/3proI でもこの問題を大きく取り上げた



政治資金規正法第21条の2の2項を削除する必要がある。
21条の2は政治家個人への寄附を禁止しているが2項で政党が行う寄附を禁止対象から除外している。政党が行う政治家個人への寄附を容認しているのだ。
自民党では幹事長に毎年10億円もの寄附が行われ、この使途が一切明らかにされていない。
維新や国民民主党も政党から政治家個人への巨額の寄附を実行して、その資金が飲食・遊興費等に投下されてきたと見られる。
裏金を根絶するとともに21条の2の2項を削除して「政策活動費」を廃止することが求められる。

通常国会で法改正を断行すべきだったが自公政権はザル法改正しか実行しなかった。
総選挙後の国会でまずは政治資金規正法の抜本改正を実行するべきだ。
政治家個人の連座制適用も法改正に盛り込む必要がある。

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