2025年9月15日月曜日

なぜ今 「スパイ防止法」 ~ 戦争準備へ目・耳・口ふさぐ

 しんぶん赤旗に掲題の記事が載りました。
「スパイ防止法(国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案)」は中曽根康弘政権40年まえの1985年に国会に提出しましたが、国民の大反対運動で廃案になりました。法案は議員、メディアなどの言論活動市民の言動を政府が不都合と見なせば「犯罪」とするもので、最高刑を死刑とする重罰規定も盛り込まれました。
 その悪法制定の策動40年前に失敗しその後も制定できなかったのは、憲法と民主主義に反する弾圧法という大問題があり、国民の良識」がそれを許さなかったからでした。

 ところで参政党の神谷宗幣代表と国民民主党の玉木雄一郎代表はどちらもSNSの活用に熱心で大量の読者を獲得しているうえに、女性関係がデタラメという共通点まで持っていますが、神谷氏は7月22日、「スパイ防止法」を秋の臨時国会に提出べく法制局とも相談していると語り、玉木氏は8月26日、「スパイ防止法の立法化に向けて議論している」と発言し、11日には「スパイ防止法等インテリジェンス(情報分析:軍事用語のあり方検討ワーキングチーム」の初会合を開きました。

 荻野富士夫小樽商科大学名誉教授は、「特定秘密保護法、共謀罪法、経済秘密保護法、能動的サイバー防御法など、国民を監視する憲法違反の悪法を次々に制定した上に、スパイ防止法という屋上屋を重ねるのは、戦時中の弾圧法のように、戦争に反対する『危険な思想』をあぶりだして排除するためのテコとして、スパイ防止法を使おうとしているのではないか」と言います。また
 五十嵐仁法政大学名誉教授(政治学)は「スパイ防止法制定自民党が統一協会・勝共連合と一体で進めてきた悲願であり、それが40年前に頓挫しその後も制定できなかったことに対して、極右・排外主義勢力⇒参政党)と補完勢力⇒国民民主党)が自民党におもねる形で、悲願達成に向けて『お手伝いします』と表明したもの」と語ります
 いずれにしても「良識を失った所業」というしかありません。これまで国民の良識によって「反戦平和への道」が守られてきたものを、SNSの扇動力を使って「極右」に奔り、こうした「戦争への道」を開こうとするのは実に恐ろしいことです。
 スパイ防止法をテコとする動ブロック形成の危険な動きは、米国の軍拡要求に従う「戦争する国づくり」を加速する歴史的な暴挙といえます。この悪法を阻止する平和と民主主義、人権を守る国民的共同を広げる時です。
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2025とくほう・特報 なぜ今 「スパイ防止法」 反動の絆 阻止へ共同 戦争準備へ目・耳・口ふさぐ
                       しんぶん赤旗 2025年9月13日
 秋の臨時国会に向けて参政党や国民民主党などが「スパイ防止法」の制定をめざして動き出しています。同法は「スパイ防止」の名目で軍事・外交などの国家機密」を守るために国民の目、耳、□をふさぎ、報道の自由や国民の知る権利、基本的人権を侵害する悪法です。なぜ、今、こうした危険な動きが出ているのか、その狙いは何かを探りました。   (伊藤紀夫)

 参政党の神谷宗幣代表は参院選後の7月22日、秋の臨時国会に向けて準備している法案について「一つはスパイ防止法」とし、「どういう枠組みにするかによっては単独ではできない可能性があるので、今、法制局とも相談しながら、どういった内容にするのかを含めて検討している」と述べました。
 国民民主党の玉木雄一郎代表は8月26日、「スパイ防止法は公約にも掲げた」「立法化に向けて議論している」と発言。同党11日、スパイ防止法等インテリジェンスのあり方検討ワーキングチーム」の初会合を開きました
 自民党は5月27日、高市早苗前経済安全保障相が石破茂首相に「諸外国と同水準のスパイ防止法の導入に向けた検討も推進すべき」とする「提言」(自民党政務調査会)を手渡して要請。参院選中、自民党はXで「スパイ防止法の導入」をアピールしました。
 日本維新の会は5月14日の参院決算委員会で松沢成文氏が「日本はスパイ天国とやゆされ
ている」「日本にも包括的なスパイ防止法をつくるべきだ」「違反者に重罰を科す」と主張。同党の青柳仁士政調会長は「次の国会も法案提出も含めて検討していく」と述べています。

40年前から悲願
 同法は中曽根康弘政権の1985年に自民党が「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」として国会に提出し、国民の大反対運動で廃案になったものです。国防とそれにかかわる外交問題を「国家秘密」とし、政党や国会議員の国政調査、マスコミなどの言論活動、市民の言動をも政府が不都合と見なせば「犯罪」とするもので、最高刑を死刑とする重罰規定も盛り込まれました。
 法政大学名誉教授(政治学)の五十嵐仁さんは「スパイ防止法の制定は自民党が統一協会・勝共連合と一体で進めてきたもので、悲願だったわけです。それが40年前に失敗し、その後も制定できなかったのは、憲法と民主主義に反する弾圧法という大問題があり、国民の反対も強かったからです。今、その悲願達成へ極右・排外主義勢力と補完勢力が自民党におもねる形で、お手伝いしますと表明したということでしょう」と語ります。
 今なぜ再び「スパイ防止法」が浮上しているのか。五十嵐さんは「政府は日本周辺の緊張をあおり、サイバー攻撃を未然に防ぐためとして能動的サイバー防御法を通すなど、戦争準備の動きを着々と進めています。その機運に乗ってスパイ防止法制定を掲げれば保守層の支持が得られると計算しているのでしょう。自公が衆参両院で過半数割れし、極右・排外主義勢力と補完勢力がチャンスとばかりに権への売り込みを図る中、反動ブロックを結びつける絆としてスパイ防止法制定連合のような形になる危険も考えられます」。

あぶりだし排除
 神谷代表は7月14日の街頭演説で、公務員について「極端な思想の人たちは辞めてもらわないといけない。これを洗い出すのがスパイ防止法だ」と述べ、思想選別の意図を示しました。これについて神谷氏は記者会見で「昔、共産主義者がやっていた天皇制の打倒、国体の破壊、そういったことを言って、それを実際に計画したり行動すること、もしくはそういう団体に情報を流すことに問題があるわけで、それをちゃんとチェックするような法律をつくらなければいけない」と主張しました。参院選では「共産主義がはびこらないように治安維持法をつくった」「それは共産主義者にとっては悪法でしょうね」と正当化しています。
 1925年に天皇制権力が制定した治安維持法は、「国体の変革」を目的とする結社の組織と加入を「極悪非道」の犯罪とし、「君主制の廃止」を掲げる日本共産党を弾圧し、特高警察による拷問・虐殺が横行しました。28年には最高刑を死刑とし、「目的遂行罪」を設けて弾圧対象を広げ、宗教者や知識人など
幅広い人たちの言論の自由を奪いました。
 治安維持法に詳しい荻野富士夫小樽商科大学名誉教授(日本近現代史)は「当時、共産党は帝国主義戦争反対、植民地の独立、18歳以上の男女普通選挙権、言論・集会・出版・結社の自由、8時間労働制などを主張しました。これは現在の憲法の中に生きている世界的な普遍的価値です。治安維持法が悪法である本質は社会変革の思想や運動を強権で弾圧するところにあります」と強調します。
「参政党は『新日本憲法(構想案)』前文に天皇中心の『国体』を明記し、国民主権と民主主義、人権を否定する戦前の価値観からスパイ防止法制定に動いています。戦争に駆り立てた『国体』観で思想を取り締まる時代錯誤の発想です」。荻野さんは批判します。
 治安維持法とともに一連の戦時弾圧法制は、国民に「見ざる、聞かざる、言わざる」を強い、無謀な侵略戦争を拡大していきました。37年に中国への全面侵略戦争を開始した直後、1898年制定の「軍機保護法」が改定され、「軍事上の秘密」を外国にもらしたものなどに死刑や無期懲役を科す規定が盛り込まれました。1941年に「国防」にかかわる外交問題も「国家機密」として死刑を含む重罰を設けた「国防保安法」公布の9カ月後、アジア太平洋戦争に突入したのです。
 荻野さんは「特定秘密保護法、共謀罪法、経済秘密保護法、能動的サイバー防御法など、国民を監視する憲法違反の悪法を次々に制定した上に、スパイ防止法という屋上屋を重ねるのはなぜか36年には急に軍機保護法違反の記事が相次いで報道され、今と同じように『日本はスパイ天国』と意図的に強調され、法改定の機運がつくられました。この戦時中の弾圧法のように、戦争に反対する『危険な思想』をあぶりだして排除するための名目、あるいはテコとして、スパイ防止法を使おうとしているのではないか」と言います。
 五十嵐さんは「自公政権は安保3文書に基づいて、ハード面での大軍拡、敵基地攻撃体制整備をどんどん進めています。これと並行してソフト面で国民を監視して取り締まる戦争準備の
法制度を具体化しています。スパイ防止法制定の動きはその一環です。その危険性について声を大にして訴えていく必要があります」と語ります。

 スパイ防止法をテコとする動ブロック形成の危険な動きは、米国の軍拡要求に従う「戦争する国づくり」を加速する歴史的な暴挙といえます。この悪法を阻止する平和と民主主義、人権を守る国民的共同を広げる時です。 

パレスチナ・イスラエル2国家共存 国連総会で宣言採択 142カ国賛成

 しんぶん赤旗に掲題の記事が載りました。
 国連総会は12日、パレスチナの国家承認とイスラエルとの2国家共存を支持する「ニューヨーク宣言」を国連加盟国(193)の7割を超える142カ国の賛成多数で採択しました。イスラエルや米国など10カ国が反対し、12カ国が棄権。日本も賛成しました。

 ガザの子どもたちの生きる権利を守ることを訴えるデモが13日、東京・新宿駅前でありました。アムネスティ・インターナショナルが世界中に呼びかけた行動の一環です。新宿駅前に120人以上、イスラエル大使館で直前まで開かれていたデモには220人以上が参加しました。
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パレスチナ・イスラエル2国家共存 国連総会で宣言採択
                       しんぶん赤旗 2025年9月14日
【ワシントン=柴田菜央】国連総会は12日、パレスチナの国家承認とイスラエルとの2国家共存を支持する「ニューヨーク宣言」を国連加盟国(193)の7割を超える142カ国の賛成多数で採択しました。イスラエルや米国など10カ国が反対し、12カ国が棄権。日本も賛成しました。

加盟国の7割超 142カ国賛成
 宣言は、フランスとサウジアラビアが共催して7月末に国連本部で行った国際会合で発表され、支持が呼び掛けられていたものです。
 宣言は、戦闘の終結と2国家解決の実現は、国際法に従いイスラエル人とパレスチナ人双方の願望を満たす「唯一の道だ」と指摘。2国家共存に向けて「具体的で期限のある不可逆的な措置を講じる」と明記しています。前提となるパレスチナ国家の樹立も求めています。
 また、イスラム組織ハマスによる2023年10月の奇襲を非難し、ガザでの統治終了を要求。イスラエルによるパレスチナ人に対する暴力・扇動の即時停止、入植活動や土地強奪の中止も求めています。
 フランスの代表は、「宣言は2国家解決を実現する単一の行程表を示している」と述べました。
 パレスチナのマンスール国連大使は、ガザでの戦争を終わらせたい、人質を解放してほしい、飢餓を終わらせたい、ガザを再建してほしいなどと願う全ての人に仲間になってほしいと訴え。いまだ戦争と破壊の選択を押し進め、パレスチナ人を抹殺し土地を盗もうとしている勢力に対し、「理性の音を聞け」と呼び掛けました
 各国からは、宣言の採択を歓迎する発言が相次ぎました。
 南アフリカ代表は、宣言は「大変重要で待たれていた」と強調。イスラエルのネタニヤフ首相がパレスチナ国家樹立を否定していることを批判し、「パレスチナの人々に対するイスラエルのジェノサイド(集団殺害)戦争を終わらせる努力から注意をそらすべきではない」と語りました。
 オランダ代表は、宣言がパレスチナ人の自決権を支持した意義などに触れた上で、「われわれはイスラエルに併合へ向かういかなる措置も講じないよう求める」と述べました。
 イスラエルのダノン国連大使は、宣言を「不公平」だと非難。米国の代表は「見当違いで時機を逸した宣伝行為」だと反発しました。


ガザ虐殺 加担しないで 東京・新宿 NGO呼びかけデモ
                       しんぶん赤旗 2025年9月14日
 イスラエルによるパレスチナ自治区ガザでのジェノサイド(集団殺害)が続くなか、ガザの子どもたちの生きる権利を守ることを訴えるデモが13日、東京・新宿駅前でありました。アムネスティ・インターナショナルが世界中に呼びかけた行動の一環。新宿駅前に120人以上イスラエル大使館で直前まで開かれていたデモには220人以上が参加しました。
 国籍や年齢がさまざまな参加者は、ガザに住む子どもたちの名前などの書かれたプラカードなどを持参。「パレスチナ解放」「虐殺やめろ」などと声を上げました
 大学で社会学を学ぶ学生(21)=東京都品川区=は、学童や児童館でアルバイトしています。自身が子どもと関わった後に、SNSでガザの痩せ細った子どもを見ると「この違いは何だろう」と考え込んでしまうといいます。国際社会は虐殺に沈黙するだけでなく加担していると強調。「これでいいはずがない。こうやって運動するのと同時に身近な人にも伝えていきたい」と話しました。
 岩手県滝沢市からの参加者(34)は黄色と赤、青の布を「いきませんマックやスタバ 血のにおい 手を貸さないでジェノサイドに」と縫い付けた自作の黒い布を持参しました。
 「この布を見た人が『何だろう』と思って帰ってから、不買運動について考えてほしい」といいます。東日本大震災後に続いていたガザと東北の子どもたちの交流は、ガザへの攻撃後は止まっているといいます。「ガザの子どもたちが交流できる状況にないんだと思う。私には運動を続けることしかできないけど、絶望はしたくない」

医療機関に空爆続く ガザ市制圧作戦「体系的な集団殺害」

 しんぶん赤旗に掲題の記事が載りました。
 イスラエル軍が進めるガザ地区北部・ガザ市の制圧作戦は、多くの悲劇を生んでいます。
 ガザ地区保健局長のムニール・バルシュ医師は「ガザは世界の面前で燃えている」と訴えました。これまでに医師や看護師、薬剤師ら1671人の医療従事者が犠牲となりました。南部でわずかに稼働する病院も病床占有率は300%に達し、飢餓も深刻です。過去24時間で5人が餓死し、累計404人に上り、そのうち141人は子どもです。

 イスラエルの蛮行はヨルダン川西岸のジエニン難民キャンプでも行われ、8日夜、イスラエル占領軍の銃撃により、難民キャンフに帰宅中の14歳の子ども2人が死亡し、複数の住民が負傷しました。イスラエル軍がジェニン侵攻を開始した1月21日以降、死者はこれで47人に達しました。これまでに600戸以上の住宅が全壊し、約1000戸が部分損壊。住民約2万2000人が住まいを失い、避難を余儀なくされています。

 欧州委員会のフォンデアライエン委員長は10日「人為的な飢饉を戦争の武器としてはならない」、「イスラエルに対する支援を凍結する。イスラエルの市民社会やホロコースト記念館の活動に影響を与えることなく、これらの分野のすべての支払いを停止する」と述べました。アムネスティ・インターナショナルのカラマール事務局長は、同日のへの投稿で、欧州委員長の提案は「恥ずべき遅さだ」、「この23カ月にわたりイスラエルの犯罪を非難してきた多くの抗議者の声を無視できなくなったから」と述べました。

 アムネスティ・インダーナショナルは、イスラエル軍が9日にパレスチナ・ガザ地区北部のガザ市の全住民に発出した退避命令について、「残酷かつ違法であり、攻撃を激化させてジェノサイド(集団殺害)による市民の苦しみを一層深刻にする」として撤回を求めました。国際的な人道・人権団体の警告や、十分な支援と保護を求めた国際司法裁判所の命令を無視するイスラエルの姿勢は「ジェノサイド継続の意図を示す証拠」と非難しました。
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医療機関に空爆続く ガザ市制圧作戦「体系的な集団殺害」
                        しんぶん赤旗 2025年9月12日
【カイロ=米沢博史」イスラエル軍が進めるガザ地区北部・ガザ市の制圧作戦は、多くの悲劇を生んでいます。
 ガザ地区保健局長のムニ-ル・バルシュ医師は10日、本紙の取材に「ガザは世界の面前で燃えている」と訴えました。
 7日にはガザ市の義肢・麻蝉(まひ)リハビリセンターが空爆で破壊され、数千人が治療の場を失いました。バルシュ医師は「病院、診療所、救急車、医療従事者、医薬品倉庫まで標的とする体系的なジェノサイド(集団殺害)という戦争犯罪が公然と行われている」と強調しました。
 9日にはガザ市のシファ病院でボランティア医師として働いていた医学部6年生のヤラ・フサリさんが攻撃で殉職しました。人命救助の志を胸に患者を支え続けましたが、その白衣は死者の白衣へと変わってしまいました。
 またガザ市の自宅が爆撃された2歳児ユーセフ・バクルーンくんはがれきの下から奇跡的に救出されましたが、姉と弟、祖父を失い、母も重傷を負いました。ユーセフくん自身も左脚に重度の損傷を抱え、切断の危機にあります。父親は「子どもたちを失ったうえに、唯一生き残った息子の脚まで奪われるのか」と苦悩しています。
 バルシュ医師によれば、これまでに医師や看護師、薬剤師ら1671人の医療従事者が犠牲となっています。救急車が攻撃されるため重症患者の搬送は不可能で、病院も機能不全に陥っています。南部でわずかに稼働する病院も病床占有率は300%に達し、飢餓も深刻です。過去24時間で5人が餓死し、累計404人に上り、そのうち141人は子どもです。


14歳の2人殺害   西岸ジニン 侵攻後死者47人に
                        しんぶん赤旗 2025年9月12日
【カイロ=米沢博史】パレスチナ・ヨルダン川西岸のジエニン難民キャンプで8日夜、イスラエル占領軍の銃撃により、難民キャンフに帰宅中の14歳の子ども人が死亡し、複数の住民負傷しました。殺害されたのはイスラム・マジャルマさんとムハンマド・マス刀ラさんです。
 パレスチナ通信によると、この2人以外に、17歳の少年が肩を撃たれ、22歳の男性が腹部に銃撃を受けて病貌に搬送されたとパレスチナ赤新月社が報告しています。占領軍に追われた12歳の少女も転倒し手に傷を負いました。さらに占領軍は、住民数人を拘束し、民家に放火したと報じられています。
 イスラエル軍がジニン侵攻を開始した1月21日以降、死者はこれで47人に達しました。これまでに600戸以上の住宅が全壊し、約1000戸が部分損壊。住民約2万2000人が住まいを失い、避難を余儀なくされています。
 イスラエルの平和団体「スタンディング・トゥゲザー」は9日、「ムハンマドさんとイスラムさんはわずか14歳だった。子どもたちの命を使い捨てのように扱い、暴力が安全をもたらすと国民に信じ込ませる政府の政策の直接的な結果だ」と強く非難しました。


イスラエルに制裁を EU委員長、欧州議会に提案
                        しんぶん赤旗 2025年9月12日
 欧州連合(EU)欧州委員会のフォンデアライエン委員長は10日、イスラエルによるガザでの軍事作戦に対し、EUとして制裁を行う考えを示しました。同日の欧州議会での演説で明らかにしました。ロイター通信などが伝えました。
 フォンデアライエン氏は、強硬派閣僚への制裁と貿易協定の一部凍結をEU議会に提案。実施に必要な加盟27カ国の過半数の賛成が得られるかは現時点では不明ですが、欧州委員会の裁量で可能な対イスラエル支援の凍結などは実施する考えを示しました
 フォンデアライエン氏は「人為的な飢饉(ききん)を戦争の武器としてはならない」と表明。「イスラエルに対する支援を凍結する。イスラエルの市民社会やホロコースト記念館の活動に影響を与えることなく、これらの分野のすべての支払いを停止する」と語りました。
 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのカラマール事務局長は、同日の(旧ツイッター)への投稿で、欧州委員長の提案は「恥ずべき遅さだ」と指摘。「この23カ月にわたりイスラエルの犯罪を非難してきた多くの抗議者の声を無視できなくなった」と述べ、特にドイツ、イタリアを名指しし、EUの制裁措置に反対しないよう求めました


ガザ退避命令は残酷 アムネスティが撤回要求
                       しんぶん赤旗 2025年9月14日
【カイロ=米沢博史」国際人権団体アムネスティ・インダーナショナルは10日、イスラエル軍が9日にパレスチナ・ガザ地区北部のガザ市の全住民に発出した退避命令について「残酷かつ違法であり、攻撃を激化させてジェノサイド(集団殺害)による市民の苦しみを一層深刻にする」として撤回を求めました
 アムネスティは、ガザ地区内でのパレスチナ人の強制移動や国外追放は国際人道法違反にあたると繰り返し強調してきたと指摘。国際的な人道・人権団体の警告や、十分な支援と保護を求めた国際司法裁判所(ICJ)の命令を無視するイスラエルの姿勢は「ジェノサイド継続の意図を示す証拠」と非難しました。
 同団体のヘバ・モラエフ中東・北アフリカ地域局長は「イスラエルに影響力を持つ国が武器や外交で支援を続けていることは不道徳」だと批判。「嘆くべきことに、企業や投資家もイスラエルのジェノサイドから利益を得ている。武器供与を続ける国や企業はジェノサイドに加担する危険がある」と警告し、「影響力を持つ全ての者は直ちにジェノサイドを止め、人道支援の確保をイスラエルに迫るべきだ」と訴えました。

チャーリー・カークを暗殺した人物はどこで誰に訓練を受けたのか

 櫻井ジャーナルが掲題の記事を出しました。
 トランプの支持者として知られた政治活動家のチャーリー・カークが10日、ユタバレー大学(UVU)のキャンパスで野外イベント中に射殺されました。演壇から150mとも200mともいわれる建物の屋根から狙撃したと見られていて、容疑者タイラー・ロビンソン(22)は父親の通報で事件の翌日拘束されました。
 ライフル銃の遠射は弾丸が放物線軌道を描くのでそれに応じた照準器の設定が必要で、銃に熟達した人物の指導と実射訓練が不可避ということです。そうなると射撃訓練用のコーチと広い場所を保有している富豪や組織が存在していると考えられますが、そうしたシステムが存在するなら狙撃した人物は処分されてしまうだろうと述べます。
 これに続く殺人が起きないことを祈ります。
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チャーリー・カークを暗殺した人物はどこで誰に訓練を受けたのか
                         櫻井ジャーナル 2025.09.13
 政治活動家のチャーリー・カークが9月10日、ユタ州オレムにあるユタバレー大学(UVU)のキャンパスで野外イベント中に射殺された。監視カメラに映っていた容疑者タイラー・ロビンソンは父親の通報で間もなくして拘束されたと伝えられているが、動機は不明だ。近くの建物の屋根から狙撃したと見られている。
 昨年7月13日、ドナルド・トランプはペンシルベニア州バトラー近郊で野外選挙集会で演説中に狙撃されたが、その際にも狙撃手は近くのビルの屋上から撃っている。トランプ自身は耳を負傷しただけだったが、演説を聞きにきていた聴衆のひとりが死亡、ふたりが重傷を負った。狙撃したと見られるトーマス・クルックスは射殺されている

 ふたりともライフルを使ったようだが、素人が簡単に扱えるような武器ではない。弾丸は引力に逆らうことはできず、放物線軌道を描いて飛んでいく。銃の性能が高ければ放物線の軌道は変わるが、真っ直ぐに飛び続けるということはできない。
 そこでライフルの銃身と標的への視線(LOS)との間の角度を設定する必要がある。「ゼロイング」だ。素人がこの作業をひとりですることは困難で、銃に熟達した人物が必要。言うまでもなく広い敷地も必要である。つまり、カークや・トランプを狙撃した人物は狙撃にベテランでないかぎり、厳しい訓練を受けていたはずだと考えられている。
 訓練したのは誰なのか、そしてどこで訓練したのか。どこで狙撃するかを決めることも簡単ではない。そうした訓練をするコーチと訓練のための場所を保有している富豪や組織が存在していると考えるべきなのかもしれない。もし、こうしたシステムが存在するなら、狙撃した人物は処分されてしまうだろう

 第2次世界大戦の終盤、イギリスとアメリカの情報機関は西部戦線でドイツ軍と戦っていたレジスタンス対策としてゲリラ戦部隊を編成、隊員を訓練している。ジェドバラだ。大戦後、西ヨーロッパでレジスタンの主力であるコミュニストの影響力が強まることを恐れてのことだ。訓練を担当したのはイギリスの特殊部隊であるSOEとアメリカの戦時情報機関OSSの一部門であるSOだった。このジェドバラ人脈は戦後、アメリカの秘密工作を担うことになり、ヨーロッパではNATOの秘密部隊の基盤になる。イタリアのジェドバラはそのひとつに過ぎない。
 アメリカやイギリスはそうした秘密部隊を指揮している国だが、国内にいる目障りな個人や組織を処分する仕組みも作られていそうだ


カーク氏銃撃で 22歳容疑者拘束 周囲に事件関与告白
                       しんぶん赤旗 2025年9月14日
【シリコンバレー=時事】米西部ユタ州で発生した保守活動家チャーリー・カーク氏の銃撃事件で、連邦捜査局(FBI)と地元当局は12日、記者会見し、容疑者(22)を拘束したと発表しました。当局が犯行に使用したと思われるライフル銃と共に回収した薬きょうには、反ファシズム思想などを示唆する文言が刻まれていました。

 地元当局によると、容疑者11日夜に拘束されました。容疑者が周囲に事件に関与したことを告白。地元の保安宿事務所に情報が提供され、特定につながりました。

15- 世界を敵に回すイスラエルの策(田中宇氏)/イスラエル誕生の真実の物語

 田中宇氏が掲題の記事を出しました。
 イスラエルはいまやトランプの意向にも背き、世界中で好き勝手に振る舞っていることが分かります。それにしても資金的にも米国あってのイスラエルでありながら、トランプのいうことは聞かないという意味が分かりません。トランプ個人ではなく他の機関に従属しているということなのでしょうか。

 併せて耕助のブログの記事「イスラエル誕生の真実の物語」を紹介します。
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世界を敵に回すイスラエルの策
                 田中宇の国際ニュース解説 2025年9月11日
9月9日、パレスチナのハマスの在外代表部があるカタールの首都ドーハで、会議中のハマス幹部たちを狙って、イスラエルが10発の精密誘導ミサイルを撃ち込んだ
近隣のトルコ(与党が事実上のムスリム同胞団で、同じ同胞団のハマスと親しい)の軍部はイスラエルの動きを監視しており、攻撃開始を察知してカタールのハマスに伝えた。ハマスの幹部たちは着弾の直前、標的にされたビルから逃げ、多くが無事だった。Hamas leaders survived the attack in Doha thanks to Turkish intelligence

パレスチナの統治者は2008年の選挙(ハマスが勝ったが米国が結果を認めなかった)以来、ガザはイスラム主義のハマス、西岸は元左翼のファタハで分裂統治になっている。米国はハマスと交渉する必要に迫られ、米国の要請で2012年からカタールにハマスの在外代表部が置かれている(カタールはムスリム同胞団と親しかった)。
米国とイスラエルはトランプ当選後の昨秋から、カタールにいるハマス幹部を攻撃しないとカタール政府に何度も約束していた。Israel brazenly bombs Qatar, U.S. 'partner' and host of 10000 American troops)(Doha shocked by American betrayal

イスラエル(リクード系)はトランプの返り咲き以来、米国の軍部を含む諜報界を牛耳っている。かつて諜報界を支配していたライバルの英国系(民主党など)は、911以来の25年間の暗闘を経て、今や諜報界から追い出された。
トランプが返り咲く過程で、イスラエルは米軍など諜報界の世界最高の探査力を乗っ取って活用し、世界中の敵性勢力の居場所を把握し、次々と攻撃してきた。イスラエルは、ヒズボラを潰してレバノンを傀儡化(イスラエルの傀儡である米国の傀儡)し、アサドを追い出してシリアを傀儡化した。イスラエル中東覇権の隠然性

イスラエルは、ガザのハマスの居場所も知っているだろうが、戦争の目的がガザ抹消(民族浄化と市街の徹底破壊)なので、ハマスを放置してガザ戦争を続けている。
イスラエルは、意図的に残虐な人道犯罪をこれ見よがしに続けている。リベラル派や左翼を中心とした世界の人々を怒らせ、リベラル諸国が国民の怒りに流されて反イスラエルになって制裁し始めると、それへの反撃として、米イスラエルが諜報力や政治力を使ってリベラル諸国を潰しにかかる。
イスラエルの最大の目標はパレスチナ抹消(ユダヤの単独台頭を懸念した英国系がイスラエルに課した国土分割の策略であるパレスチナ建国を潰す策)であり、その副産物として、意図的に残虐にやることで敵対構造を醸成し、台頭するイスラエル(ユダヤ人業界)に英国系がすり寄って入り込んでくることを防ぎ、英国系を潰そうとしているCanada 'evaluating' ties with Israel after Qatar strike

これらの流れの一環として、イスラエルの今回のカタール空爆がある。イスラエルは空爆の準備を勝手に進め、トランプに伝えたのは攻撃の直前だった。イスラエルが米諜報界を支配し、その傘下にトランプがいることが見て取れる。トランプは、イスラエルの傀儡だ。

カタールには中東最大の米空軍基地があり、パトリオット迎撃ミサイルも配備されている。だがこの日、イスラエルによる攻撃の直前に、パトリオットのシステムは停止されていた。米軍やトランプ政権の上層部に、多くのイスラエル要員が入り込んでいることがわかる(911事件も同様の構図で起こされた)。
いざという時に同盟諸国が買ったパトリオットのスイッチが切られる懸念は前からあった。トルコは5年ほど前から、パトリオットでなく、ロシアのS400を買っている
Why Did Qatar's Air Defenses Fail During Israel's Attack?

カタール政府は、攻撃されたことを怒り、イスラエルへの報復を検討していると言っている。しかし、カタールは軍事や安保を完全に米国に依存している。その米国が、今やイスラエルのおちゃらけた傀儡であり、米国の親分であるイスラエルがカタールを攻撃した。カタールが反撃や報復としてやれることは、何もない。口頭で怒ってみせる演技だけだ。Qatar Says It Reserves Right To Retaliate Against 'Barbaric' Netanyahu

イスラエルのミサイルは、サウジアラビアの上空を通過してカタールを攻撃した。サウジアラビアが盟主をつとめ、カタールも加盟するGCC(ペルシャ湾岸アラブ協力会議)は、イスラエルを非難し、カタールの報復行動に賛同した。
しかしサウジ自身、軍事や安保全面的に米国に依存している。イスラエルは今回の攻撃直前、米国に攻撃を伝え、米国がカタールとサウジに伝えた。米国もカタールもサウジも、イスラエルに対して何もできないIn striking Qatar without US approval, Netanyahu has once again blown up POTUS DJT's plans for negotiating an end to the Jenocide in Gaza

今回の攻撃後、トランプはカタールに対し、このような攻撃はもうないと約束した。しかし、その前後にイスラエルのネタニヤフは「今回ハマスの幹部を殺せなかったのだから、いずれまたカタールを攻撃し、次は幹部全員を殺す」という趣旨を発言している。トランプは道化師にされている。'We'll get them next time': Israel hints at more attacks on Hamas leaders in Qatar

今回の空爆で、イスラエルとハマスが交渉して停戦する可能性は大幅に低下した。空爆される直前まで、ドーハのハマス幹部たちは、最近トランプが提案してきた停戦案について検討する会議をしていた。
トランプがハマスに和平を提案し、ハマスがそれを検討していたら、そこにイスラエルがミサイルを撃ち込んで殺そうとした。イスラエルは交渉する気がない。米国は馬鹿にされている
今後再び和平案が出てきても、それは演技だけだ。ガザを抹消するまで、殺戮と破壊を続ける。カタールがハマスを駐在させて仲裁役をしてきた構図も、これで多分終わる。Netanyahu to Qatar, other nations: Expel Hamas leaders, or Israel will act again

ガザ抹消が一段落しつつあるので、イスラエルは次の段階として、パレスチナのもう一つの地域であるヨルダン川西岸の80%をイスラエルに併合する策を進めようとしている。併合された土地に住むパレスチナは、ヨルダンへの移住を余儀なくされる。ヨルダンは以前から米イスラエルの傀儡だ
トランプ政権は、西岸併合に反対しない姿勢を表明している。イスラエルはやりたい放題になっている。Huckabee Says the US Won't Tell Israel Not To Annex the Occupied West Bank

トランプは1期目から、イスラエルが西岸とガザでパレスチナ国家正常に機能させたら、サウジなどアラブ諸国がイスラエルと正式に国交正常化するという「アブラハム合意」を提案して仲裁してきた。
しかし今、イスラエルはガザを抹消し、次は西岸を併合してパレスチナ抹消を完遂しようとしている。イスラエルは同時にトランプの米国を牛耳り、米国の傀儡色が強いアラブ諸国はイスラエルに楯突けなくなっている
アブラハム合意は、イスラエルとアラブが対等さが前提だ。今のようにイスラエルが米国より強くなると、イスラエルは米国さえ牛耳っておけばアラブ諸国を服従させられるので、アブラハム合意が必要なくなる

米国は、債券金融システムの巨大なバブルが崩壊すると国際的な政治力や軍事力も失われる。戦争省の巨額の予算も、米金融がバブル崩壊すると維持できなくなる。
トランプは以前、世界に対する米国の軍事支配を減らし、米政府の軍事費を削減すると言っていた。だが、実際に大統領に返り咲いたら全く逆で、前政権から受け継いだ軍事費の急増傾向をそのまま続けている。なぜ翻身したのか。
これも、トランプを擁立したイスラエルが米諜報界を牛耳って強くなったことと関連している。米国の軍事費の多くは、兵器開発のふりをした諜報費用として使われている。カネをかけるほど良い諜報がとれる。
イスラエルは、トランプに軍事費増加の傾向を続けさせ、イスラエルにとって役に立つ諜報をどんどん集め、敵性諸国を軍事的あるいは指導者のスキャンダル掘り起こしなど政治的なやり方で無力化していく。

米国の金融バブルが崩壊して米国債の利回りが上昇し、米政府が財政赤字を増やせなくなって軍事費が減ると、良い諜報がとれなくなってイスラエルの強さも急減する
だからイスラエルは、手段を選ばず、米国の金融バブルを維持し、トランプやその後の政権に軍事費増加を維持させる。
以前は、世界の覇権多極化が進むほど米金融やドルがバブル崩壊すると予測されたが、イスラエルの横入りによってシナリオが書き換えられている観があるIsraeli Military Orders Full Evacuation of Gaza City

イスラエルは最近、今回のドーハ空爆の他に、ガザ市街のビル群の破壊とか、ディモナの核施設で追加の核弾頭をどんどん作っていることが衛星写真でわかるようにするなど、世界から嫌われることを意図的に複数の方面で拡大している。
イスラエルは、すでに述べたようなリベラル諸国(英国系)との敵対を誘発して潰す策を加速しているSatellite Images Show Major Construction At Israel's Nuclear Site

これは、9月下旬の国連総会でイスラエル非難決議を出させ、国連対イスラエルの世界対立を作ろうとしている策にも見える。
イスラエル非難決議が出ても、国連や国際社会は口だけで、イスラエルの強さが揺らがないとなると、イスラエルは国連や世界との戦いに負けず、トランプの米国を牛耳って強さが維持されることになる。
国連や世界との対立を意図的に強めるため、今回のタイミングでドーハ空爆が行われたと考えられる。

まだまだ書くべきことがあるが、それらは改めて書く。
Turkey Is Leading Effort To Suspend Israel From UN General Assembly


イスラエル誕生の真実の物語
                  耕助のブログNo. 2652  2025年9月12日
      TRUE story of the birth of ISRAEL

ジョン・ミアシャイマー教授・ナポリターノ判事

ミアシャイマー:まず一般的な指摘として、シオニズム運動が始まった1900年頃にはパレスチナにユダヤ人はごく少数しかおらず、シオニストはさらに少なかった。 当時「この地は民なき地、民のための地」という格言があった。つまり土地を持たないユダヤ人のための土地という意味が、もちろんそれは全くの嘘だった。その土地には膨大な数のパレスチナ人が住んでいた。これが第一に心に留めておくべき点だ
第二にパレスチナ人が多数住む土地にユダヤ国家を創設することは、パレスチナ人に恐ろしいことをせずには不可能である。重大な犯罪を犯さずにそれはできない。それは彼らの土地を奪うことも含まれる。そして非常に重要なのは、シオニストたちがこの事実を最初から理解していたと言っていることだ。ダヴィド・ベン=グリオン、ウラジーミル・ユリヤヴィッチ・ヤバティンスキーらは皆、これを完全に理解していた。
三つ目に心に留めておくべきは、シオニストたちが最初から人口統計に細心の注意を払っていたことだ。彼らは、パレスチナ人がイスラエルの地にどれだけいるか、それに対してユダヤ人がどれだけいるかを非常に気にしていた。そして80%か85%ユダヤ人というのが彼らの許容範囲だった。もちろん理想は100%ユダヤ人だったが、パレスチナ人の人口が20%を超えることは望まなかった。だから人口統計は重要だった
もう一つ彼らが非常に注意を払ったのは、いわゆる移送(トランスファー)である。今でいう民族浄化(エスニック・クレンジング)だ。彼らは常に民族浄化について語っていた。公の場ではあまり言わなかったが、私的な場ではそうだった。なぜなら、パレスチナ人で満ちた土地にユダヤ人国家を築くためには、移送、つまり民族浄化を行わねばならないと理解していたからだ。最後に覚えておくべき一般的な点は、最初からほぼ全てのシオニスト指導者が国境に関して非常に拡張的な目標を持っていたことだ。彼らは広大な領土を含む大イスラエルを建設したかった。これはほとんどの指導者が公には表明しなかったが、指導者によってその大イスラエルの構想は異なっていた。たえばデビッド・ベン=グリオンは1918年にイディッシュ語で著書を執筆し、グリーンライン・イスラエルと呼ばれる領域、すなわち1948年以降に成立したイスラエル占領地であるヨルダン川西岸地区とガザ地区シリアの一部、レバノンの一部、ヨルダンの一部そしてシナイ半島を含んでいた。シオニストたちの野心が最初からいかに膨大であったかが分かるだろう。彼らは大イスラエルを創りたかった。これが今日イスラエルに正式な国境が存在しない主たる理由の一つである。公式の国境を持たない国は地球上でおそらくイスラエルだけだろう。大イスラエルを創り上げることに固執しているからだ。それがどんな形になろうとも。これが全体像である。

では具体的な話に移る。重要なのは1933年以前、ヨーロッパからパレスチナへ移住したユダヤ人はごく少数だったということだ。もちろん1933年はヒトラーが権力を掌握した年である。そして1880年から1920年の間にヨーロッパを離れたユダヤ人は約400万人いた。400万人のユダヤ人がヨーロッパを離れ、パレスチナへ向かったのはわずか10万人で、多くはアメリカへ渡った。つまりパレスチナの地にユダヤ人がそれほど多くいない状況があった。そしてもちろん第二次世界大戦後には多くのユダヤ人がヨーロッパを離れイスラエルへ向かった。しかしほとんどのユダヤ人は西へ、カナダやアメリカのような場所へ行くことを選んだ。つまり1948年、国家が創設されようとしていた時点で人口の35%がユダヤ人で土地の所有率はわずか7%だった。だから考えてみてほしい。これは1948年、国家が成立した時の状況だ。

ナポリターノ:どうやって国家が成立したんだ?他人の土地を奪って突然、承認された国になるなんてありえるのか?
ミアシャイマー第一次世界大戦まで、オスマン帝国つまり今日のトルコがパレスチナを支配していた。そして第一次世界大戦でオスマン帝国崩壊の結果、イギリスが委任統治領パレスチナと呼ばれる地域の支配権を引き継いだ。つまり第二次世界大戦後、イギリスの植民地支配への大きな抵抗があったのだ。イギリスはインドやパレスチナのような場所で抵抗に対処しようとした。イスラエル人、つまりシオニストはイギリスからの独立を望んだ。イギリスはうんざりするほど嫌気がさしていたので国連はイギリスが主導権を握りながらパレスチナに二つの国家、ユダヤ国家とパレスチナ国家を創設するよう強く推し進めた。それが1947年11月29日だ。そしてもちろん、イスラエルは1948年5月、約6か月後に創設された。これがイスラエルが誕生した経緯だ。国連によって創られたもので、その背後には主にイギリスがいたが、アメリカもこれに同調した。こうして誕生したわけだ。さて、理解すべきは国連が描いた地図がイスラエルにとって全く有利なものではなかったという点だ。まず第一に、パレスチナ内部で彼らが得た領土はごくわずかだった。さらに人口分布はユダヤ人55%パレスチナ人35%という状態だった。シオニストが全く気に入らなかったのは明白だ。そこで1948年、イスラエルが独立する前にイギリスが撤退する中でパレスチナ人とシオニストの間で戦争が勃発し、シオニストは国連案で与えられた以上の領土を奪い取った。そして膨大な数の、おそらく70万から75万人のパレスチナ人を追放した。これが悪名高いナクバだ。

ナポリターノ:どうやって彼らを追い出したのか?
ミアシャイマー:暴力は確かに使ったが、事実は、多くのパレスチナ人はほとんど抵抗せずに去った。シオニストたち、そして後にイスラエル人たちは1948年5月以降パレスチナ人を追い出すのは比較的容易だったのだ。その結果1948年にグリーンライン・イスラエルと呼ばれる国家が誕生した。これは国連計画でユダヤ人に割り当てられたイスラエルよりも広い。さらに、結局のところ、民族浄化により約80%がユダヤ人、20%がパレスチナ人となった。さて、これが最初の大きな出来事だ。第二の大きな出来事は、言うまでもなく極めて重要だが、1967年の戦争、いわゆる六日戦争だ。六日戦争でイスラエルはヨルダン川西岸地区とガザを征服した。これらは占領地だ。ついでに言えば彼らはまたゴラン高原も占領した。ヨルダン川西岸地区とガザを占領する過程で、彼らはさらに20万人のパレスチナ人をヨルダン川西岸からヨルダンへ追いやった。これが第二の大規模な民族浄化だ。最初のものは1948年のナクバで、約70万から75万人のパレスチナ人を追い出し、1967年にはさらに20万人のパレスチナ人と8万人のシリア人を前述の通りゴラン高原から追い出した。さてイスラエルがこれら全領土を征服した後に直面する問題はパレスチナ人と大イスラエルにおけるイスラエル系ユダヤ人の数だ。大イスラエルとは1948年のイスラエルに占領した二つの領土を加えたものだ。これら三つの地域にはおよそ730万人のユダヤ人と730万人のパレスチナ人が存在する。イスラエルが人口統計にどれほど注意を払っていたかは既に述べた。最悪の場合でも80対20を受け入れるだろう。彼らは本当に100対0を望んでいた。だが現実はほぼ50対50だ。人口動態の傾向は時間の経過とともにパレスチナ人がイスラエル系ユダヤ人を上回ると示している。これは重大な問題だ。そして10月7日が来た。この問題を理解した上で10月7日を考える必要がある。イスラエルが望むのはパレスチナ人を排除することだ。率を少なくとも80対20まで引き下げたい。現状は50対50だ。

ナポリターノ:今は50対50ではないだろう?
ミアシャイマー:おそらくまだ50対50に近いだろう。つまり、正確に何人のパレスチナ人が殺されたかは判断が難しいが、仮に10万人のパレスチナ人が殺されたとしよう、よく言われる6万人という数字ではなく。そうすれば730万人から720万人に減る。またかなりの数のイスラエル人が国外に去って戻ってこないと言うことができる。そうなると50/50のどこかに収まるわけだ。でも、たとえパレスチナ人45%、ユダヤ人55%でも、イスラエル人にとって受け入れられない。特に将来の出生率を考えたら。だから10月7日がイスラエル人にとって意味するのは第三の大きな民族浄化の機会となった、ということだ。繰り返すが、強調しておきたいのは、民族浄化、あるいは初期シオニストが移送と呼んだものが最初から彼らの頭にあったのだ。なぜなら多くのパレスチナ人が住む中で単一のユダヤ人国家を作るには民族浄化なしには不可能だからだ。そうだろう?とにかく、ガザで起きているのは民族浄化だ。もう一つ起きていることで今日あまり注目されていないが我々は見失ってはならないポイントがある。イスラエルは南レバノンを占領し、南シリアも占領している。彼らは撤退する意思など全くない。彼らはグリーンラインを越えた大イスラエルの創設に関心があるからだ。つまり1948年のイスラエルにガザとヨルダン川西岸を加えた国家だ。だから10月7日以降の出来事は民族浄化の機会であるだけでなくイスラエルの国境を拡大する機会でもあるのだ。

https://www.youtube.com/watch?v=EFoQBvfoazo