世に倦む日々氏が掲題の記事を出しました。
衆院予算委初日の7日、高市首相が立民党の岡田克也議員に対して「(中国が台湾周辺で)戦艦を使った武力行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得る」と答弁したのは、歴代の内閣が踏襲してきた「〝台湾有事 即 存立危機事態″を明言しない」立場を逸脱したものでした。当日は異例の午前3時に高市氏が公邸に入り、官僚を隣室に待機させて質問通告書に基く予算委・答弁書案をチェックした日でした。
世に倦む日々氏は、高市氏がそんな異例のタイムスケジュールにしたのは、既に前例を踏み越える答弁をすることを決めていて、外務省官僚の異議を抑え込むための時間的余裕を持たせるためにそうしたのだと推理しています。納得が行くものでいつもながらの洞察力です。
とは言え、実際に官僚を説得できる筈がないので高市氏は最終的に首相の権限を振りかざして押し切ったものと思われます。いずれにせよ従来の日本政府の立場と整合しないこの高市答弁は全く不要であり、百害あって一利もないものでした。
もしもそれが自分の支持者らの歓心を得るためであったのであれば、余りにも低次元であって言葉を失います。ある識者は「高市氏には教養がない」とズバリと指摘しています。
中国は大阪総領事館が8日に激烈なXを出した以外はしばらく静観していました(その間に高市氏が取消発言をすることを期待していたと思われます)。しかし高市氏が10日の予算委でも大串博志議員(立民)の質問に対して「存立危機事態発言」の取り消しを拒否したため、中国は「怒り」を露わにし 取り敢えず国民に訪日の自粛を促しました。
18日に訪中した外務省の金井局長には、相手官僚からポケットに手を突っ込んだままで対応されるなどの冷遇を受けました。この先 日本への嫌がらせが何処まで拡大するのか予想もつかないし、それによって日本経済に与えられるマイナスの影響は莫大です。そして中国に進出している日本の工場や商店に与えられる被害も大きいことと苦難のほどがしのばれます。
10月の新米価格は過去最高を記録しましたが、石破政権とは対照的に高市政権は米価引き下げへの対応は何もしていません。高市政権は目立つことはやりたがりますが、基本的に国民生活の苦しさへの配慮を持っていません。そのことは「(いずれ)軍事は年額21兆円にする」と二つ返事でトランプに約束するという一事からも明瞭です。
もしも高市氏に愛国心があるなら即刻辞任すべきです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
高市早苗の「台湾有事=日本有事」の発言と中国の怒涛の反発 - 高市の奸計と失敗
世に倦む日日 2025年11月18日
11/7、国会で台湾有事について質問した岡田克也に対し、「(中国が台湾周辺で)戦艦を使った武力行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得る」と高市早苗が答弁。これに対して中国側が猛反発し、一週間以上経った現在、日中関係が最悪の紛争状態になっている。この政治について分析を試みたい。まず最初に確認しなければいけないのは、この 11/7 が衆院予算委の初日で、例の、午前3時に高市が公邸に入り、官僚を集めて答弁の勉強会を行った日だという事実だ。この勉強会について高市は、私は官僚からレクを受けることはないと言っていた。この点が重要で、確かに高市はレクを受けたのではない。逆に官僚にレクを施していたのである。午前3時に公邸に入ったのは、「働いて働いて」のパフォーマンスと宣伝演出のためでもあったが、それ以上にディスカッションのためであり、外務・防衛官僚を説得する時間が必要だったからだ。
岡田克也からの質問内容は事前に届いていて、高市早苗が総裁選での発言で、歴代内閣の見解を踏み越え、台湾有事を存立危機事態に認定しているようだったので、その問題点を質すべく、野党のトップバッターとして立ったのだった。高市早苗はその意図を察し、カウンターを返し、逆に堂々と歴代内閣の見解を踏み越え、国会答弁で既成事実を作るべく、台湾有事は存立危機事態だと返答、台湾有事に自衛隊を出すと明言したのである。それは、歴代内閣が踏襲した立場を逸脱し、政府の認識を更改するものであったから、テレビの前で野党に言う前に、官僚たちに訓諭して念押しする必要があったのだ。未明の公邸で官僚たちは驚き、総理、それは中国を刺激しませんか、大丈夫ですかと顔面蒼白になったに違いないが、高市が、やかましい、台湾有事は日本有事じゃ、安倍さんの路線で行くんじゃと一喝し、議論が延々続くため、予め午前3時という開始時刻が必要だったのだろう。
だから、高市早苗の 11/7 の答弁は、本人にとっては失言でも迂闊でもなく、ミスでも勇み足でもなく、計画的で作為的で戦略的な政治だった。その後に中国から反発が起きることも計算づくだった。それが真相だ。安倍晋三と同じように中国を挑発したのであり、「台湾有事=日本有事」という安倍晋三の安保戦略をこの機に標準国策に固めようとしたのだ。予算委冒頭の岡田克也の質疑を好機と捉え、逆に狡猾に利用し、「台湾有事=日本有事」の命題を日本政府の公式的な立場と方針に据えようと策謀したのである。おそらく、危機感で震えた外務官僚の誰かが当該の件を密かに立憲民主に注進し、11/10の大串博志の予算委質疑の進行になったのだろう。「総理、本当に今ここで撤回しなくていいんですか。軌道修正された方がいいと思うがいかがでしょうか」と何度も高市に迫った場面がテレビで流れたが、大串の表情と口調に確かな自信が窺えた。その自信には根拠があったのである。
つまり、大串博志の質疑は、高市早苗の暴走に歯止めをかけようとした外務官僚の手引きがあり、外務官僚の代弁だったと推察できる。結局、高市は撤回せず、大串博志と外務官僚が懸念し予想したとおりの日中紛争の炎上となった。誰も本質を看破しないが、高市の答弁はこの機を狙った戦略的一手であり、文字どおり政府の見解と立場を一歩進め、転換させ、台湾有事に自衛隊を出動させる軍事政策を宣告したものだ。高市はこの認識と方針を改定する安保3文書に入れ込む思惑であり、自衛隊の作戦要綱も大枠準備する計画なのに違いない。アメリカから集団的自衛権の発動要請が来た場合、どう台湾有事に対応するか、部隊の編制と運用と補給を決めて構える肚だろう。実際には、すでにシミュレーションだけでなく日米共同演習が念入りに行われていて、空自の戦闘機が台湾海峡上の中国海軍の輸送船をミサイル攻撃する演習を実践している。本番でもこの作戦が指令され遂行されるだろう。
中国の反発は激越で、過去に見たこともない露骨で攻撃的な反論を返している。しかも小手先ではなく、国務院外交部と人民解放軍がストレートに、日本に対して本格的で全面的な反撃攻勢をかけている。国家の総力を挙げて反発し、中国の本気度を示し、台湾に軍事的に手を出すなと日本にメッセージしてきた。高市早苗に対して正面から発言の撤回を迫っている。国家(政府と軍)がこれほど激怒し、エキセントリックな表現を乱発するのを見たのは初めてだ。驚かされる。また、いかにも習近平らしい未熟で乱暴な話法に不快と脱力を覚えるのも事実だ。読者の皆様は知るとおり、私はこの、文革期や北朝鮮のモードを彷彿させる習近平の嗜好と文化様式が苦手で、それへの批判を幾度も書いてきた。大阪総領事の薛剣は、本来は汚い罵詈を言う人物ではないのだろう。だが、習近平のコードとプロトコルに準拠して国家意思を端的に示せば、この悪態になる。知性派の王毅も徐々にこの仕様に染まった。
習近平の指導と命令に服し従わなければ、中国では粛清され抹殺されてしまう。その習近平は、国家のリーダーとして十分な知性と教養を携えておらず、国際政治で説得的で論理的な説明や対話ができる能力を備えていない。昔の毛沢東の英雄像を倒錯的に追慕し、その価値観と文化性しか頭にない、スターリン型の貧相で愚鈍な独裁者だ。残念ながら、近代的な国際外交のセンスやレベルの前提がない。それが現実だが、無能な指導者ばかり民主的方法で選び担いでいる日本人も、中国の政治的内実に文句は言えまい。下には王毅や毛寧のような優秀な人物も多くいる。が、トップは、あのような野蛮で凶暴な言辞を「中国独自の社会主義」と考える個性だ。そうして中国の国家が回っている。秩序が維持されて経済が回っている。まさに、小林節や長谷部恭男が言う「人間は不完全な存在」の真理に項垂れるしかない。胡錦涛が国家主席を続けていたら、中国はこんな不面目な外交史を残すことはなかっただろう。
が、いずれにせよ、この外交衝突の原因を作ったのは高市早苗であり、中国を悪辣に挑発した高市発言が禍の根本であって、事態の責任は全面的に高市政権に帰する。高市は発言を撤回しなければならず、台湾有事で集団的自衛権を行使するとした強硬な姿勢を取り止め、日本政府の従来の見解の位置に引き戻す必要がある。中国の反発と報復はエスカレートし、11/14 には渡航自粛を呼びかけ、11/16 には日本留学を慎重に検討するよう呼びかけた。人の往来を止め、インバウンド需要を抑える経済制裁だ。報道では、次はレアアース禁輸が待ち構えていると言われ、さらにそれでも高市が突っ張って撤回しなかった場合、次の段階として軍事的圧力をかけて来るだろうという予想が出ている。11/16 のバンキシャの中で、日テレの北京特派員がそう説明していた。野村総研の木内登英は、中国人の訪日自粛の経済的影響を試算し、GDPが0.3%押し下げられ、経済損失はマイナス2.2兆円に上ると発表した。
この数字は単にインバウンド消費だけの規模だが、今後、中国市場での日本製品の買い控えや販売自粛にも波及すると予想され、その影響も大きくなるだろう。中国政府の怒りの熱量は、2012年の尖閣国有化のときよりも甚だしく巨大だ。そしてまた、中国市場における日本製品一般のブランド力と競争力も13年前と比較して大きく後退している現状があり、中国で事業する日本企業には損害が大きいと悲観する。レアアース禁輸が決定された場合、日本の製造業への打撃がどうなるか、現時点でシンクタンクの観測は出てないが、株価の下落も含めて巨大な影響を受けるに違いない。何と言っても、あれほど居丈高に関税政策を振り回して世界をひれ伏させていたトランプが、たった一つ、中国がレアアースのカードを切った途端、虎が猫になったように態度が萎縮した。中国に妥協し忖度して「G2」時代を言うようになった。中国のレアアース恐るべし。当然、この「産業のビタミン」砲を今回も中国は応用するだろう。
私の見方として、今回の中国の変化で重要なのは、中国軍全体が自衛隊との戦争に備えて態勢を準備し始めたと思われる点である。これまでは、防衛の正面主力は米軍であり、米軍の空母打撃群、ミサイル戦力、宇宙サイバー戦力、等々の捕捉と警戒と攻略計画を中心に動き、戦略を立てていたのだろうが、今後はそこに日本自衛隊が大きく入り、フォーカスされて作戦立案されるだろう。自衛隊がどう動いた場合にどう叩くというプランが、かなり先制的で集中的な性格と想定で組まれ、リソースが配置されるに違いない。これまでは中国の国家安保戦略の主敵はアメリカであり、日本はアメリカの従属変数で、できればアメリカと離間させて中国寄りに取り込みたいペリフェラル(⇒周辺機器)だったのが、一気に正面の敵となり、台湾に手を出した場合は全軍を壊滅させる代償を与えるべき対象となった。日本は嘗て中国で無辜の民を2000万人も虐殺した国だ。中国は賠償を放棄して国交正常化したのに、友好の誓約を日本に裏切られた立場である。士気は上がるだろう。
レアース禁輸が実施され、それでも高市が撤回を拒み、「台湾有事=日本有事=自衛隊出動」の構想に固執した場合、軍事的圧力のフェーズに移行し、尖閣沖に海軍の艦隊を並べて示威するとか、過去にない威嚇に出て緊張を高めるだろう。サイバー攻撃の演習(威力実験)も行われ、中国軍のハイテク技術の実力を日本政府と自衛隊に思い知らせるという恐怖の事態も発生するだろう。それに対して日本側がどう対抗措置を講ずるか、私にはあまりアイディアがない。想像が浮かばない。すべてアメリカ頼りであり、アメリカの指示に従って奉仕するだけで、米軍のプログラムの補助役だけだろう。米軍は半分腰を引きながら自衛隊を指揮している。トランプ政権になって、その無責任で中途半端な傾向が顕著になった。軍事衝突を覚悟した挑発を中国軍相手にどこまで敢行できるか、大いに疑問だ。日本は無自覚的に、為政者がどこまでも無責任に、日中戦争のトゥキディデスの罠に嵌って行く気配を感じる。責任を日米が押し付け合い逃げ合っているうちに、開戦しているのではないか。
今回、この問題についてXでポストすると、通常より多く反響が返って来る。私は台湾有事についてずっとブログで言論を続け、誰よりも強い危機感で警鐘を鳴らしてきたと自負する立場であり、この問題への関心から離れられず、刻一刻の推移をネットで見守っている。正直、已矣哉(⇒慨嘆・絶望)の気分であり、憤慨と激情を抑えられない。左翼リベラルがもう少し緊張感を持ってこの問題に対峙し、アメリカのアジア戦略を正確に把握して真剣に警戒していれば、ここまで事態が切迫することはなかったと思う。台湾有事がアメリカの国家戦略であり、本気で中国と戦争する(=日本を中国と軍事衝突させる)計画と工程で動いているという、当たり前の客観的事実を、内田樹や田岡俊次や升味佐江子は頑として認めず、虚構であり陽動であり演出であるとして否定、一蹴してきた。彼らの言説を日本の左翼は安易に信じ、台湾有事に向けての日米同盟の策動を止める動きを起こさなかった。3年前、敵基地攻撃能力の閣議決定が無風で通過したときは愕然とした。
政局にもならず、デモも起きなかった。テレビの政治番組で喧々諤々の議論にもならなかった。中国と戦争するということがどういうことなのか、真摯に戦争のリアルな図を、開戦に至るプロセスをイマジネーションする者がなく、日米同盟(CIA)の政治の裏側を考察し解読する者がなかった。日本がどうなるのか、国民生活がどう変わるのかをシミュレーションして提示する者がいなかった。左翼論者は台湾有事を論壇商売のネタとしてしか扱わず、左翼市場のオーディエンス(⇒聴衆・観客)の浅薄な興味に供じる床屋政談の材料にしかしなかった。今でもまだ冗談半分に捉えて冷笑的に傍観している者が多い。丸山真男の『戦争責任論の盲点』ではないが、もし本当に戦争に突入したら、ここ数年間の左翼幹部陣や論壇系重鎮の不明と不作為の責任は、後々糾弾されなければいけない問題だろう。「後々」という機会が、すなわち「戦後」がある保証はどこにもないけれど。
湯沢平和の輪
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。
2025年11月20日木曜日
高市の「台湾有事=日本有事」の発言と中国の怒涛の反発-高市の奸計と失敗(世に倦む日々)
中国、レアアース、そして我々が知っている世界の終わり
海外記事を紹介する「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました。
レアアース問題は米国の泣き所で、対中トランプ関税はその1点で頓挫しました。レアアース問題は今や世界周知の事柄で、それが潤沢に供給されないと何よりも米国の軍需産業がなり立ちません。それはド素人の我々にとってはまことに意外な話でした。
では米国はその克服?!に向かっているのかですが、半年毎にそれを検証しているGodfree Robertsによればそうはなっていません。
レアアースの精製工場には一般に数千億ドル(1千億ドルは約15兆5千億円)を要します。
その他に、原材料の入手にはそれぞれにそれなりの鉱山/鉱床とそれを採掘する鉱業設備が必要です。
(例外的に)ガリウムについてはアルミナから抽出されます。中国は年間146トンのガリウムを2000万トンのアルミナから抽出していますが、それにはまず膨大な電力を用いる1500億ドルの電解アルミニウム工場によって電解アルミニウム化する必要があり、これらの工場は24時間365日稼働し5万人の熟練労働者を要するのですが、米国にはその人材が不足しています。
かつては金満国家だった米国も今ではそんな余力は全くないので、ガリウムについてもいつになったら生産できるのか見当もつかないのが実態のようです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
中国、レアアース、そして我々が知っている世界の終わり。
耕助のブログNo 2718 2025年11月17日
China, Rare Earths and the End of the World as We Know It.
米国軍需産業は中間選挙の前に休止状態になるだろう by Godfree Roberts
半年に一度のレアアース問題の検証へようこそ。昨年6月の記事「中国、レアアース、そして知的財産」で、私は20年間にわたる揺るぎない政治的支援、多数の科学者、何百万人もの労働者、そして数千億ドルの支出を必要とする工場の建設を正確には誰が保証するのか問うた。そして、日本の15年間にわたる数十億ドルの取り組みのように、もしそれが商業的な利益も実用的な製品も生み出さなかった場合はどうなるのだろうか?今月の質問はより差し迫ったものだ。4月25日に中国が導入したデュアルユース鉱物の輸出禁止措置が、釜山会議後も引き続き有効なので {1}、米国の防衛産業は崩壊するのだろうか?来年11月の米国大統領選挙までに、米国の先進兵器システムの生産が終了した場合、我々はどうすればよいのだろうか?責任の所在は数多くある。
信じられないことに、米国国防備蓄局(NDS)が防衛需要のために備蓄しているレアアースはわずか3ヶ月分しかない {2}。ロッキード・マーティン、RTX、ボーイングなどの武器メーカーも同様である。議会やホワイトハウスがこの事態を予見していなかったわけではない。2009年、WTOが、環境保護はレアアースの輸出割当を正当化するものではないという米国の主張を認めた後、中国は輸出割当を部分的にしか解除しなかった。そして 2012年、オバマ大統領は「アメリカの製造業者は中国が供給するレアアースを必要としているが、中国の政策がそれを妨げ、中国が順守することに合意した規則そのものに反している」{3}と不満を述べた。スティーブン・チェンは、中国が消極的な理由は単純で「国内需要はすでに供給を上回っている。輸出規制は積極的な地政学的手段ではなく、合理的な産業政策だ」と説明する。
中国がレアアースの精製を支配する理由
最近のインタビューで、スコット・ベッセント財務長官は、米国が24ヶ月以内にレアアースの代替供給源を確保できると予測したが、これは非現実的だ。アルノー・ベルトランは、希少ではないが禁止されているガリウムの入手は混乱を招くだろうと述べている:
中国は、年間146トンのガリウムを2000万トンのアルミナから抽出している。このために1500億ドルの投資が必要な工場を建設し、2000万トンのアルミナを生産する必要がある。このアルミナ工場はさらに1000億キロワット時の電力を必要とする2000億ドルの電解アルミニウム工場から供給される。この電解アルミニウム工場の建設には、さらに1000億ドルの投資が必要である。
これらの工場は24時間365日稼働し、5万人の熟練労働者を必要とするが、米国にはその人材が不足している。さらに販売市場も必要だが、中国が既に独占している。ガリウムの抽出・精製技術は確立されているとはいえ、ワシントンが146トンのガリウム(重レアアース金属の抽出に比べれば容易な作業)のために、これほど巨額で赤字の投資を行うだろうか?
アメリカは屈服するだろう
もし私の見立てが正しければ、我々は米国が中国の従属国へと転落する過程を目撃している。下記『ニューヨーク・タイムズ』の見出しは、悪い知らせを伝える第一歩に過ぎない:世界は「パックス・シニカ」の瀬戸際にある。
百戦百勝は兵の至高ではない。戦わずして敵を屈服させることこそが兵の至高である。– 孫子
注記:
{1} 先週の釜山でトランプ大統領は、中国が非戦略的レアアースを1年間供給する一方、スカンジウム、サマリウム、ガドリニウム、ルテチウム、イットリウム、ジスプロシウム、テルビウムといったデュアルユース(⇒軍需・民需両用)鉱物、ならびにガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、グラファイト、レアアース加工技術・機械設備の供給は引き続き禁止されることを知らされた。
{2} 国防総省の10~20億ドル規模の調達計画(2025~2027年)は備蓄構築を目的とするが、現行水準では「基本ケース」緊急シナリオにおける不足分の約6%しか賄えない。以下に示す推定値は防衛用途限定であり、産業全体の消費量はこれより多い。USGS 2025年、DLA調達公募、コロンビア大学エネルギー政策センター(2025年)による。
{3} 批評家たちは、オバマの発言が米国のウランや暗号化技術に対する輸出規制、あるいは国内採掘禁止(例えばNEPA環境規制に基づくもの)を無視している点で偽善的だと指摘した。これは選択的な自由貿易推進を示唆するものであり、価格高騰は希土類の不足よりもむしろドル安に起因するとみられた。
https://herecomeschina.substack.com/p/peace-just-broke-out-did-nobody-notice
20- 高市を助ける習近平(田中宇氏)
フリーの国際情勢解説者・田中宇氏が掲題の記事を出しました。
一見ふざけたタイトルのように思われますが、内容は大真面目なもので納得できるものです。
それは結果的に「日本を助ける?」という関係になっているということで、7日及び10日の高市首相の国会答弁で面子をつぶされた習近平氏が、高市首相を助ける意図を持っているという意味ではありません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
高市を助ける習近平
田中宇の国際ニュース解説 2025年11月16日
高市首相が11月7日、中国軍が武力行使で台湾を海上封鎖したら日本も中国と戦争せざるを得ないかも(存立危機事態になり得る)という趣旨を国会で表明した。これに対し、過激な発言で知られる中国の駐大阪総領事がインターネットで、高市を殺害する(首を斬ってやるしかない)と発信した。日本と中国の間で対立が激化した。
中国外務省は11月14日、対立激化などによって中国人が日本にいると危険な状態になっているので、中国人は日本に行くべきでないという渡航自粛の注意喚起を発した。(中国政府は、今年に入って日本で中国人が襲われる犯罪が相次いでいることも日本に行くべきでない理由として挙げたが、そんな事実はない)
中国政府の渡航自粛の勧めを受け、中国の航空各社は、日本に行こうとしていた中国人の航空券を手数料なしで払い戻す手続きを開始した。(Multiple Chinese major airlines announce free change and refund policy for flights involving Japan after travel reminder)
高市は、以前から台湾支持の姿勢をとっており、中共との関係改善を急ぐ感じでない。日中間の対立は今後しばらく続く。対立が続く限り、中国人は日本に行くべきでないという中国政府の自粛要請が続く。独裁者の要請に逆らって来日する中国人は減る。
今の習近平の独裁体制の中国は、極度の監視社会になっている。中共の意に反する行動をする人民への締めつけが厳しい。漢民族(や漢化した少数民族を含む中国人全般)は自分勝手な気質が強いので、中共が独裁的な秩序維持を希求するほど、人民に対する監視を強めざるを得ない。(China Warns Citizens Against Travel To Japan Amid Serious Taiwan-Related Dust Up)
トウ小平が決めた胡錦涛までの政権は、米英から敵視されぬようリベラルな非独裁を気取る集団指導体制をとっており、社会の監視を甘くし、中国人は特に経済面(金儲け)の無秩序を謳歌していた。
2013年からの習近平政権はそれを脱し、独裁強化と秩序維持を重視して監視体制を構築した。新型コロナ対策を口実に、極度の監視社会になった。中国は息苦しい社会になり、東南アジアや日本など、監視がゆるい外国の諸都市に移住する裕福層が急増した(「潤日」など)。
日本では、東京やリゾート地などの不動産が投機的に中国人に買われて高騰した。東京の分譲マンションは、ふつうの日本人が買えない超高値になっている。
中国の金持ちは、中国国内に資産を置いておくと、共産党から目をつけられて課税や没収(犯罪検挙)されかねない。だから、資産の何割かを国外に置きたがる。日本の不動産を高値買いし、あとで値崩れして損を出すリスクより、中国国内に置いて没収されるリスクの方が大きい。そもそも「商人」である漢民族は、投機で値段を釣り上げて儲けるのが民俗芸能だ。(The number of billionaires in China is at an all-time high)
東京などでは、リベラルを気取る区役所や市役所が「外国人に優しい行政」を目指し、保育や教育、医療などの面で、公金を使って外国人を厚遇している。守銭奴な民族性を持つ中国人が、このおいしい状態に注目しないはずがない。日本に定住し、子育てする潤日の中国人が急増している。
日本人の若者は恋愛も結婚もしない人が増え、保育や教育の公金は日本人に対して使われない。代わりに中国人が使ってくれている。日本人の自業自得。ざまみろ。文句ないだろ。
いやいや。文句ある。日本人は、しだいにリベラルな政策が嫌いになり、中国人やその他の外国人を偏向的に厚遇する(外国人に政策を悪用されている)既存の日本のリベラル(中道系、左翼系)の政治家や役人、マスコミを敵視し、外人嫌いな右派や極右の政党を支持する傾向になっている。
その流れの末に、極右系の諸政党の人気急増、リベラルな石破政権の終わりと極右な高市政権の成立、左翼的な公明党の連立離脱などが起きている。
極右な高市は、以前から台湾支持だったので、国会で問われて「中国が台湾を攻撃したら、日本も中国と戦争する(かもしれない)」と答えた。
この当然の表明に対し、当然のごとく中共は「高市を殺してやる」と表明した。大阪総領事は、個人的見解でなく中共中央(習近平)から指示されて高市の日本に喧嘩を売った。今後しばらく日中は対立する。ここまでは自然な流れだ。
私が意外に思ったのは、この対立を受けて中共が人民に「日本は危ないから行くな」と言い出したことだ。
潤日は日本人を困らせている。中国の金持ちたちが大挙して日本に移住して不動産投機して日本人が家を買えなくなるのは、日本に対する中共の嫌がらせ策になる。
私の見立てでは、中国が文化大革命だった1960年ぐらいまでに生まれた世代は、中国人より日本人の方が優秀だが、日本がゆとり教育(米国を抜かないよう官僚機構が日本人の頭を悪くした対米従属策)をやり出す1980年以降に生まれた世代は、日本人より中国人が優秀だ。
すでにリベラルを気取る日本の大学教員の分野では、日本人より優秀な中国人が教授などの職位をどんどん占領している。潤日の中国人が産んだ子供たちは、日本人より優秀なので、日本の企業幹部も中国人に占領される。
潤日は、監視社会を嫌う中国人の自然な流れでなく、この自然な流れを使って中共が日本を乗っ取ろうとする意図的な策略だという見方もある。そのうち5000万人の中国人が日本に住んで、日本の上層部の大半が中国人になる、とか。
潤日が中共の謀略でないとしても、中国人の方が優秀だと直観している最近の(マスコミ軽信なリベラル派以外の)日本人は、中国人の流入を止めねばならないと思っている。だから高市政権ができた。多くの日本人が高市首相に、中国人(を筆頭とする外国人たち)の日本流入を止めてほしいと願っている。
しかし、流入を止めるのは難しい。もともと日本政府が外国人の入国を簡単にしたのは、2015年あたりから、G7など米英の傀儡諸国が、移民や難民の積極受け入れを集団的(半強制的)に決めたからだ。
西欧は中東から、米国は中南米からの移民が急増した。今ではもともと住んでいた国民が、移民による犯罪増加や福祉依存による負担増に苦しみ、移民受け入れを続けるリベラルエリート政党に愛想を尽かし、移民に反対する極右政党やトランプへの支持が急増した。
日本政府は、移民や難民を受け入れたくない。しかし、米英の要請(命令)に従わねばならない。そこで日本だけ、永住する移民や難民でなく、時限的な旅行者や留学生、研修生として入国させる外国人を増やすことにした。インバウンドの観光収入が日本経済を救う。そんな標語(英国系の傀儡である日本外務省やマスコミのプロパガンダ)が喧伝された。
実のところ、移民や難民の積極受け入れ策は、米覇権を運営する諜報界を牛耳った隠れ多極派(リクード系)が、既存の英国系の単独覇権体制を自滅させるため、英国系の傀儡諸国に「人道主義」などの名目で強要した政策だった。
移民を積極的に受け入れ続けた英独仏は自滅し、エリート勢力の政権党は、支持が減って政権喪失の危機に陥る中、最近になって移民受け入れを止めると言い出したが、時すでに遅しという感じだ。
旅行者としての受け入れだけでも、経済効果のプラスより、交通機関の混雑などのマイナスが大きく、多くの日本人が右傾化してリベラル敵視になり、高市政権を後押ししている。
これはリベラルが批判するところの外国人差別でない。日欧米の極右たちは、これ以上われわれの社会を壊さないでくれ、と言ってるだけだ。外国人でなくリベラル派の犯罪だ。
(リベラルも、リクード系に騙されて自滅させられた被害者ではあるが、いまだに騙されたことに気づかないのは間抜けすぎて未必の故意)(リベラル世界体制の終わり)
米国は、違法移民を野放図に受け入れた民主党が弱体化し、たぶん二度と政権につけない(現時点で想像できないほど変身しない限り)。米国は、違法移民の強制送還を進める共和党極右のトランプ政権になった。
極右な高市は、自主的なトランプ傀儡政権でもある。米国がトランプ化、極右化したのだから、対米従属の日本がトランプ傀儡の極右政権になるのは当然だ。しかし、日本の外務省やマスコミ権威筋のほとんどは、いまだに英国系の傀儡だ。うまく転換できない小役人気質に陥っている。(ジャーナリズム要らない)
米諜報界はリクード系になり、英国系が自滅したのだから、もう移民や旅行者を受け入れる必要はなくなった。しかし、高市が外国人の流入を止めたくても、外務省や権威筋など英傀儡の残滓があれこれ妨害して転換を阻止する。
外国人が来なくなると日本経済が破綻するというマスコミの歪曲報道も騒がしい。守銭奴な中国人の喧嘩腰の値引き要求を受け、インバウンド担当の日本人の店員たちは疲弊している。人道問題なのにマスコミは無視している。
為替を円高にすれば外国人が来なくなるが、米国(英国系からトランプまで)が望む株高のために円売りドル買いして資金供給せねばならないので無理だ。
早々と万策尽きたところに、意外な助っ人が現れた。それが習近平の中共だった。中共は今回、日本乗っ取り策の基盤となっている中国人の日本への移動を「危ないから行くな」と言って止め始めた。日本の流入する外国人の多く(最も有害な部分)を占める中国人が来なくなる。
習近平の中共は表向き、高市の日本と敵対し始めたが、実際は、中共が中国人の日本流入を止めてくれて、高市を助けている。中共は、高市を殺すぞと言いつつ、実は支援している。表と裏が真逆な中国外交。孫子の兵法。元寇以来の逆神風。
この展開はもしかすると、トランプが習近平に頼んでくれたのかもしれない。トランプと習近平が、日本外務省の抵抗を乗り越えて高市を救っている。とか。
中共は、実は日本の右傾化を歓迎しているのか??。そんなわけない、とみんな思うだろう。だが、日本が、人道主義を振りかざして中国包囲網を維持する英国系の傀儡国から、こっそり中露と親しい隠れ多極派であるトランプの傀儡国に転換するなら、それは習近平にとって望むところであるとも言える。
中共にとって、G7や英国系が日本の再台頭を防いでくれる「びんのふた」でなかったのか。日本が右傾化するほど、戦前の大東亜共栄圏みたいな思考がよみがえり、日本が中国の脅威になる。左翼リベラルの教員やマスコミに教育(洗脳)された日本人(私自身とか)も、そう思ってきた。
しかし実は、日米が中共を敵視する冷戦構造も、英国系の産物だった。日本は右傾化しても米国(トランプ)に従属している。今の日本人は、ゆとり教育で覇気を抜かれ、大東亜共栄圏の蘇生など考えもしない。対米従属以外に何もない日本でなく、一帯一路や上海機構など中共の国際戦略の方が、大東亜共栄圏に近い。
英国系の覇権運営を潰したいと考えてきた点で、習近平の中共と、トランプや高市といった極右(リクード系)は「同志」ですらある。(トランプとアジア)
豪州は、台湾有事に派兵することをトランプに求められたが拒否した。台湾有事に派兵するかもと表明した高市の日本とは正反対だ。ほらみろ。日本は危険だよ・・・。
だがよく見ると豪州はまだ英国系かもしれない(豪州はトランプ対策として曖昧化している)。英国系は反トランプなので、トランプの中国敵視に同調できないと言ってるだけだ。英国系の本質は、冷戦構造=中国包囲網だ。英国系は、弱体化したので現実的な策として一時的に中国敵視を弱めただけだ。本家の英国でリベラル派が完全に潰れるまで、豪州はリベラルの残滓がある。
高市の日本はトランプ傀儡なので反英系に転じている(国内に日本外務省とかマスコミなど英国系の残党はいるが)。
習近平は国内政治的にも、英国系の覇権を許容したトウ小平が作ったリベラル派を好まない。トウ小平の策は、中国が弱かった時代の話だ。今は違う。中国は、米国並みかそれ以上に強い。
石破までの従来の自民党や、バイデンまでの米国は、中共内部のトウ小平派と結託しかねないリベラル派だった。それなら、表向き好戦的で中共敵視だけど実際は反英系で習近平と組める極右のトランプや高市の方が良い。(中東への関与を下げたロシア)
英国系から覇権運営権を強奪したリクード系が、中国包囲網を居抜きで継承することはないのか。右傾化した米露印日イスラエルで新たな中国包囲網とか。
考えてみると、それはない。中国包囲網は、中共が民主主義や人権を侵害していると非難する人道主義の外交戦略が基盤だ。リクード系のイスラエルは、ガザで何十万人も殺す巨大な人道犯罪を意図的にやってしまった。リクード系は人権外交を継承できない。
2025年11月18日火曜日
日中友好を破壊する高市首相(植草一秀氏)
植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
当ブログでは既に同氏の15日付ブログ*を紹介しましたが、1972年の日中共同声明では、「台湾の中国帰属」が中国の「核心的利益」であることに同意するとともに、「中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言 第八項に基づく立場を堅持する。」と明記され、第八項(領土条項)は「カイロ宣言ノ条項ハ履行セラルべク」と規定し、同宣言が台湾、膨湖諸島は中華民国(当時)に返還することが、対日戦争の目的の一つであると明記していることを明らかにしました。
*(11月17日)波紋広がる高市台湾有事発言(植草一秀氏)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日中友好を破壊する高市首相
植草一秀の「知られざる真実」 2025年11月17日
高市首相が台湾有事は日本の存立危機事態になり得ると国会で発言した問題が拡大している。
高市首相は11月7日の衆院予算委員会質疑でこう述べた。
「(中国が)戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても『存立危機事態』になり得るケースだと私は考える。」
中国は国家として強い憤りの姿勢を示している。中国の薛剣(せつけん)駐大阪総領事はXで
「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」と投稿した。
日本では薛剣の強い表現に対する批判が大きく取り上げられているが、その批判を正当化するには、まずは高市発言の妥当性を検証することが必要になる。
日中間には過去の外交の積み上げがある。
その歴史事実に照らして高市発言が正当なものであるのかについて公正な判断が必要だ。
結論から示せば高市発言に非があると判断される。このことは高市内閣の対応を見ても明らかだ。
外務省の金井正彰アジア大洋州局長が11月17日に訪中した。
中国関係者と協議する。日本に非がないなら日本の外務省局長が中国に出向いて説明する必要はない。中国高官を日本に呼びつけて説明させる対応を示さなければおかしい。
日本では薛剣駐大阪総領事に対して 日本政府が「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として国外退去処分にすべきとの強硬論が提示されているが、高市内閣が外務省局長をのこのこ北京に訪問させて「ご説明にお伺いする」対応を示していることからして、中国外交官に対して「ペルソナ・ノン・グラータ」を宣言して国外退去処分にすることなど「夢のまた夢」との状況が鮮明である。
1972年の日中共同声明に日本政府がどのような文章を明記したのかを確認することがまずは先決。
日中共同声明には次のように記述されている。
二 日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。
三 中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ね
て表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツ
ダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。
中国が確認を求めた二つの事項がある。これが中国の「核心的利益」
第一は「中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であること」
第二は「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であること」
第一が「一つの中国」と呼ばれるものであり、第二が「台湾の中国帰属」である。
日本は「一つの中国」を承認した。
同時に、「台湾の中国帰属」について、「中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」と明記した。
「台湾の中国帰属」についての共同声明の表現がやや分かりにくいが、解説すれば次のようになる。
日本政府が降伏に際して受諾したポツダム宣言(1945年7月26日付で米・英・中華民国三国首脳により発出された日本の降伏条件を規定した宣言)は、第八項 (領土条項)において、「カイロ宣言ノ条項ハ履行セラルべク」と規定している。
ポツダム宣言と同じ三国の首脳が1943年11月に発出したカイロ宣言は、台湾、膨湖諸島は中華民国(当時)に返還することが対日戦争の目的の一つであると明記している。
「一つの中国」の立場により、中華人民共和国政府が中国を代表する唯一の正統政府と認めるなら、カイロ宣言にいう「中華民国」とは中華人民共和国が継承した中国である。
したがって、カイロ宣言の履行を謳うポツダム宣言第八項に基づく立場とは、
「中国すなわち中華人民共和国への台湾の帰属を認めるとする立場」を意味することになる。
UIチャンネル第600回記念放送「混迷する日本政治と活路」https://x.gd/DafTc
のご高覧・拡散もお願いします。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4252号
「高市首相の発言撤回必須」 でご高読下さい。
この機会にメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」ご購読をぜひお願いします。
https://foomii.com/00050
『ザイム真理教』(森永卓郎著)の神髄を深堀り、最重要政策争点財務省・消費税問題を徹底解説する新著を上梓しました。
『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』(ビジネス社)https://x.gd/LM7XK
ご高読、ならびにアマゾンレビュー、ぜひぜひ、お願いします。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。