2025年12月6日土曜日

金利上昇主因はインフレ懸念(植草一秀氏)

 経済学者の植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 植草氏は「財政悪化懸念⇒長期金利上昇」は財務省が流布している「フェイクニュース」であり、それは社会保障支出を切り消費税率を引き上げる「悪だくみ」のためであると指摘します。
 そして日本の財政政策運営は直近5年間で平均約10兆円の赤字削減財政が執行されるという、超緊縮(文中で定義)で推移してきたことをまず表で示します。
 今回、高市内閣が11月28日に総額18・3兆円の補正予算案を閣議決定したことで、「超緊縮財政政策」が「小幅積極財政」に転換することになりこの政策修正は妥当であるが、問題は中身であり、1回限りの措置では大きな支えにも大きな安心感にもつながらないとします。
 そして18兆円の施策を打つなら消費税率を10%から5%に引き下げることができるので、このような透明、公正、大胆な施策を打つことが必要であり、「マクロで緊縮財政の修正は正しいがミクロの対応はまったくの旧態依然である」と批判します。
 記事では細かい説明を省略しているので編集子のような素人には殆ど理解できませんが。

 植草氏は東大経済学部卒後、野村総合研究所に入社し、旧大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学助教授、スタンフォード大学フーバー研究所客員フェローなどを歴任後、小泉・竹中政権の経済政策を批判し、その過程で竹中平蔵を徹底的に論駁したために、最終的に「官憲に陥れられ」ましたが、それまでは早稲田大学や大阪経済大学で教授を務めた人で、経済学者としても定評のある人です。
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金利上昇主因はインフレ懸念
             植草一秀の「知られざる真実」 2025年12月 5日
つい先日まで日本の長期金利上昇は財政政策が原因だとしてきたメディアが一転して説明を変えた。
12月5日付日本経済新聞は「物価高予想、金利押し上げ」 https://x.gd/9HOc0
の見出しを付して報じた。

私はかねて「インフレ心理悪化が長期金利を上昇させている」と指摘してきた。
日経新聞はこれまで、日本の長期金利上昇主因を高市内閣の積極財政政策による「財政危機不安」だとしてきた
11月17日には「長期金利が1.73%に上昇、財政悪化懸念で17年半ぶり高水準https://x.gd/vAWZH  の見出しで日本の長期金利上昇を報じていた。
記事は「17日の国内債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは一時前週末比0.025%高い1.73%に上昇(債券価格は下落)した。高市早苗政権が掲げる経済政策が財政悪化につながるとの警戒感から、債券に売りが強まった。」と伝えていた。

「財政悪化懸念=長期金利上昇」は財務省が流布している「フェイクニュース」である。
財務省は社会保障支出を切り、消費税率を引き上げる「悪だくみ」を有する。
この「悪だくみ」を実現するために「財政政策発動=日本長期金利上昇・日本円下落」という「フェイクニュース」を流布している。

日本の財政政策運営は直近5年間、超緊縮で推移してきた。
財政政策が「積極」か「抑制」かを判定する基準は「財政赤字の増減」である。
財政赤字増加=積極財政  財政赤字減少=緊縮財政
厳密に言えば財政赤字増減には「事前」と「事後」があり、不況は財政赤字を増やし、好況は財政赤字を減らす効果を持つ。
この部分を考慮する必要があるが議論が複雑になるのでここでは捨象する

一般会計の「歳出-税収」を「財政赤字」と定義し、その「財政赤字」の前年差の数値を見ると、2021年度から25年度まで「超緊縮」の財政運営が続いてきたことがわかる(単位:兆円)。

財政赤字減少は年平均9.9兆円。平均約10兆円の赤字削減財政が執行されてきた。
財政政策運営が「超緊縮」であり続けたことを意味する。
この政策運営が25年度に修正される。
高市内閣は11月28日に総額18.3兆円の補正予算案を閣議決定。
一般会計歳出が18.3兆円増額され、税収見積もりが2.9兆円上方修正された。
これを加味すると2025年度の財政赤字増減は5.2兆円の財政赤字増加になる。

「超緊縮財政政策」が「小幅積極財政」に転換する。
この政策修正は妥当。問題は中身である。
歳出追加18.3兆円の内訳は
生活の安全保障・物価高への対応 8.9兆円
危機管理投資・成長投資による強い経済の実現 6.4兆円
防衛力と外交力の強化 1.7兆円    である。

だが、「生活の安全保障・物価高への対応」のなかの「足元の物価高への対応」は2.9兆円でしかなく、このなかに、「子育て応援手当」3677億円、「食料品の物価高騰に対する特別加算」4000億円などが含まれるが、いずれも1回限りの措置だ。
恒久措置で政策を実施しなければ大きな支えにも大きな安心感にもつながらない

18兆円の施策を打つなら消費税率を10%から5%に引き下げることができる。
このような透明、公正、大胆な施策を打つことが必要。
マクロで緊縮財政の修正は正しいがミクロの対応はまったくの旧態依然である。

続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」4271号
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日本の地政学的ジレンマ(賀茂川耕助氏)

 海外記事を紹介する「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました。
 これは高市政権は勿論、(石破政権を除く)歴代の自民党政権が「米国政権」こそが至高の権力であると見做して、それにひれ伏してさえいれば日本は将来を含めて安泰であると思って対応してきたことについて、それは間違っていると批判する記事です。
 短い記事ですが要点が端的に述べられています。

 いまや米国政権が斜陽の政権であることをいい加減悟るべきで、取り分け現高市政権にはそれが望まれます。
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日本の地政学的ジレンマ
                   耕助のブログNo. 2739 2025年12月5日
           Corrie@OopsGuess

日本の現在の地政学的ジレンマは一言で言い表せる:パトロンの衰退はライバルの台頭よりもはるかに致命的だ

何十年もの間、米国は日本に「第一列島線(東アジアの戦略的な防衛ライン)の中核」だと信じさせてきた。
しかし現実は、ロイターが率直に指摘したように:ワシントンにとって日本はゴールではない。ツールだ。交渉材料なのだ
この真実は、トランプと高市との気まずい場面に如実に表れていた:米国が重視しているのは米中関係だ。

日本は、両国の間で生き残れるかどうかを気にしている。
ここに真の危険が潜んでいる:
中国の台頭は構造的なものだ。
米国の衰退は構造的なものだ。
日本の賭けは幻想だ。

日本はこう信じ続けている:日本が従順に振る舞い、反中の声を十分に上げていれば、米国は永遠に守ってくれるだろう。
しかし米国がアフガニスタンを見捨てた方法は全てを物語っている:米国が撤退する時、相手が古くからの恋人か新しい恋人かなど問わない。計算するのはコストだけだ。コストだけ

米国なき日本とは何か?
― 真の軍隊を持たない国。
― 外国人が書いた憲法に縛られた国。
― 経済的生命線がワシントンと北京の間に挟まれている国。
― 国際政治において独自の座標を持たない国。

言い換えると:日本の「強硬姿勢」は借り物の勇気に過ぎない。そして貸し手が弱まれば、借り物の勇気も消える。
皮肉なことに、日本が恐れているのは中国の強さではなく、アジアの未来がもはや日本や米国ではなく中国を中心に回るという事実だ。
だから今日本は焦っている:これは「安全保障の防衛」ではない。世紀への抵抗なのだ。

つまり現状はこうだ:日本は米国が自分を守ってくれると賭けている。
だが真の問題はこうだ:もし米国が手を引くことを決めたら、日本は何をもって世界に訴えかけるのか?
歴史? ない。
軍事力? ない。
資源? ない。
主権? それすらもない。

日本が最も恐れているのは、口にすることすら拒むこの事実だ:米国は永遠に日本を守れず、中国の台頭は止められない
そして日本が最も恐れる真実はこれだ:過去と未来の狭間で、逃げ道は尽きているのに、いまだに戦時中の幻想で自分を慰めようとしている

世界は変わった。
日本は変わっていない。

06- 通信平和の輪 第239号 のPDF版を掲示します

 本号のタイトルは
高市政権発足1ヵ月余 「戦争国会」づくりへ暴走さらに
です。

 中見出しは
・非核三原則の見直し検討?
です。

12月の例会は1214日(日)です。
   13:30~15:15 湯沢町公民館 1階 「研修室1」で行われます。

 2、3面には「11月例会報告」が掲載されています。

「通信平和の輪」PDF版は、下のURLをクリックすると開きます。
 1面は81%に縮小表示(2,3面は原寸です)されているので、次の操作で適当に拡大してからお読みください。
 画面を大きくしたい場合にはPDF画面下端の(+)マークを小さくしたい場合は(ー)マークを必要回数クリックして下さい。

(通信 平和の輪 第239(1面~3面))
https://drive.google.com/file/d/1qe1fyquv2vXVKENbv0-nkGIVBw9kR-Ju/view?usp=sharing
(下記は過去1年分です)
(通信 平和の輪 第238(1面~3面))
https://drive.google.com/file/d/1qe1fyquv2vXVKENbv0-nkGIVBw9kR-Ju/view?usp=sharing
(通信 平和の輪 第237(1面~3面))
https://drive.google.com/file/d/1SAemAfRcud9gTY-q96WhkVf3JD7dM3BQ/view?usp=sharing
(通信 平和の輪 第236(1面~3面))
https://drive.google.com/file/d/1G5oE-T4uxqgo2oXPQ8VRI2Txem9e6THg/view?usp=sharing 
(通信 平和の輪 第235(1面~3面))
https://drive.google.com/file/d/1mzobV85S9k8fh3In__Nfjbei4dreejEA/view?usp=sharing  
(通信 平和の輪 第234(1面~3面))
https://drive.google.com/file/d/1KzH1dNaER7ZY6BbXefeSrcPJdylQTocH/view?usp=sharing
(通信 平和の輪 第233(1面))
https://drive.google.com/file/d/1MKFneLr_GhflN3UcX6sgXhxE-XhZFrnX/view?usp=sharing 
(通信 平和の輪 第232(1面~2面
https://drive.google.com/file/d/1MKFneLr_GhflN3UcX6sgXhxE-XhZFrnX/view?usp=sharing
(通信 平和の輪 第231(1面3面
https://drive.google.com/file/d/16Pb2ymHolkyUNj1kOvNsiMEQ-km_niZG/view?usp=sharing 
(通信 平和の輪 第230号 (1面3面
https://drive.google.com/file/d/1YhNlHJMKGwAo6gy-_FafEbHZVwefQCPA/view?usp=sharing 
(通信 平和の輪 第229号 (1面3面
https://drive.google.com/file/d/1cOh-YHJm_dbNx8vKcl8g2_1Ni483Zewz/view?usp=sharing 
(通信 平和の輪 第228号 (1面3面
https://drive.google.com/file/d/1N_EACWBjSQOezQL-3_utSntoDP0nxhMx/view?usp=sharing  
(通信 平和の輪 第227号 (1面3面
https://drive.google.com/file/d/1llnTMvDD2MYHKaVNveErLrjFka6FIshG/view?usp=sharing 

2025年12月4日木曜日

高市首相台湾発言 解決には撤回しかない 中国側にも3点で理性的対応を提起 志位議長が主張(しんぶん赤旗) 

 共産党の志位和夫議長は2日、香港フェニックステレビのインタビューに応じ、「台湾有事は存立危機事態」と述べた高市早苗首相の答弁と、日中関係の打開について見解を述べました

 志位氏は、「高市発言は日中共同声明を踏みにじるもので、日中両国関係正常化の土台を壊す発言」で、2008年の日中首脳共同声明で「互いに脅威とならないと合意している点にも反している」と述べました。
 そして、「この対立と緊張を解決するには 発言をきっぱりと撤回するしかなく、それ以外の道はありません」と明言しました。
 限られた時間の中ですが、必要な論点について簡潔に要点をまとめた発言になっています。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
高市首相台湾発言 解決には撤回しかない 中国側にも3点で理性的対応を提起
志位議長が主張 
                       しんぶん赤旗 2025年12月3日
 日本共産党の志位和夫議長は2日、香港フェニックステレビのインタビューに応じ、「台湾有事は存立危機事態」と述べた高市早苗首相の答弁と、日中関係の打開について見解を述べました。

香港フェニックステレビインタビュー

特定の国を名指しして戦争がありうると宣言
 まず、高市首相の「台湾発言」について問われました。志位氏は、「最大の問題は、特定の国を名指しして、戦争を行うことがありうると公言したことであり、こんな発言をした首相は戦後の歴史でも高市氏が初めてです」と指摘。「台湾海峡での米中の武力衝突が、『どう考えても存立危機事態になりうる』という答弁は、日本に対する武力攻撃がなくても、米軍を守るために自衛隊が中国に対する武力行使を行う――戦争を行うことがありうると宣言したことになります。戦争放棄をうたった日本国憲法を蹂躙(じゅうりん)し、日中両国民に甚大な被害をもたらす惨禍につながる危険きわまりない発言で、絶対に許されるものではありません」と述べました。

日中両国関係正常化の土台を壊す発言
 続いて日中国交正常化に伴う1972年の日中共同声明との矛盾について問われました。志位氏は、高市発言は日中両国が国交正常化以降確認してきた一連の重要な合意に背くものだと批判。「72年の日中共同声明では、中国政府が『台湾が中国の領土の不可分の一部』だと表明したことに対して、日本政府は『十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第8項を堅持する』としたことで国交正常化が実現しました。高市首相が、台湾問題への軍事的介入の可能性を公言したことは、中国側の立場を『十分理解し、尊重する』という共同声明を乱暴に踏みにじるもので、日中両国関係正常化の土台を壊す発言といわなければなりません」と主張しました。

 さらに志位氏は、日中両国は2008年の日中首脳共同声明で、「(日中)双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」と合意している点をあげ、「高市発言は、中国に対する軍事的威嚇の発言であり、08年の共同声明に反する発言であることも明瞭です」と主張。「いま起こっている日中の対立と緊張は、高市首相が、日本と中国の平和と友好を根本から損ない、日中両国の合意に根本から反する誤った発言をしたことをきっかけにして生まれているものです。この対立と緊張を解決するには、発言をきっぱりと撤回するしかありません。それ以外の道はありません」と訴えました。

ごく一部の右翼的潮流と日本国民を区別した対応を
 旅行警告や輸入規制などといった中国側の対抗措置についても問われました。志位氏は、「中国政府が、日中両国の基本的合意に照らして高市発言を批判し、撤回を求めていることは当然のことです」とした上で、「同時に、中国政府が、次の諸点をふまえて対応することが、問題の理性的解決にとって重要だということを、率直に指摘し、求めたい」として中国側に3点を提起しました。

 第1は、「高市発言に現れたようなごく一部の右翼的潮流と、日本国民を区別した対応が重要」だということです。志位氏は、「中国は、これまで歴史問題に対しても、日本軍国主義を進めた勢力と、日本国民を区別した対応をとってきました。今回もそうした対応が必要です。日本国民の多数は、日中の友好関係の発展を願っており、戦争でなく平和を願っています」と指摘し、「そうした日本国民の理解と共感を得る対応を行う」ことを求めました。

人的交流、文化交流、経済関係にリンクさせない
 第2は、「この問題を、両国の人的交流、文化交流、貿易や投資など経済関係にリンクさせない」ということです。
 志位氏は、「政治的な対立は、あくまでも政治問題として解決すべきです。人的交流や経済関係にリンクさせれば両国の国民が苦しみ、両国の経済が打撃を受け、両国国民間の対立と亀裂をいっそう深刻なものとします。こうした対応は避けなければなりません」と述べました。

事実に基づかない言動、対立をことさらあおる言動はつつしむ
 第3は、「事実に基づかない言動、対立をことさらあおるような言動はつつしむべきだ」ということです。志位氏は、「そのような言動によって日中両国の緊張と対立がエスカレートすることは、問題の道理ある解決の妨げになるだけだということを率直に指摘したい」と述べ、冷静で理性的な対応を求めました。

 その上で、志位氏は、「高市発言に対する日本共産党としての基本的批判点と中国側に対する3点の要請は、すでに、しかるべき形で中国の政府・党に伝えた」ことを明らかにしました。

小手先のゴマカシで解決できる生易しい問題ではない
 11月26日の党首討論で、高市早苗首相が「台湾発言」を、「事実上撤回している」との一部評価に対して、志位氏が、「撤回していない」と断言している点について問われました。志位氏は、「党首討論で、高市氏が『従来の見解を繰り返しただけ』だと答弁したことをもって撤回にはなりません。従来の見解をも踏み越えた誤った発言を行ったことを認め、撤回を明言しなければ撤回となりません。この発言は、日中両国関係の土台をゆるがす深刻な発言であり、小手先のゴマカシで解決できるような生易しい問題ではありません」と述べました。

最優先で撤回を、一連の重要な合意を再確認し、友好関係の再構築を
 最後に、現状改善のために日本政府が最優先でとりくむべき課題と、今後の日中関係の見通しを問われました。志位氏は、「まずは高市発言の撤回が最優先です。これなくしては先に進む土台がないということになります」と述べ、発言の撤回を重ねて求めました。
 志位氏は、「そのうえで、今後の日中関係を展望した場合、1972年の国交正常化以来、双方が交わしてきた一連の重要な合意を再確認し、その土台のうえに友好関係を再構築していく努力が必要になります」と強調しました。

「三つの共通の土台」を重視し、両国関係の前向きの打開を
 志位氏は、その大前提の問題として、「1972年の日中共同声明における合意を日本側が厳格に順守することを明確にする」ことをあげた上で、日中両政府間に存在する「三つの共通の土台」を重視して、それを生かして両国関係の前向きの打開をはかり、平和と友好を確かなものにしていく外交的努力を提起しました。

 第1は、2008年の日中共同声明に明記された「互いに脅威とならない」という点です。双方が緊張と対立を悪化させる行動を自制する。日本は敵基地攻撃能力の強化と大軍拡をやめる。中国は、東シナ海などでの力を背景にした現状変更の動きをやめる―などです。
 第2は、尖閣諸島の問題について、14年の日中合意で、「尖閣周辺等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていること」について、日中が「異なる見解を有している」と認識し、「対話と協議」をつうじて問題を解決していくと確認していることです。志位氏は、この合意の具体化として、「危機管理メカニズム」を強化するとともに、「南シナ海行動宣言」(DOC)のような、紛争を激化させる行動を互いに自制するルールを日中間で取り決めることを、日本共産党として提案していることを述べました。

北東アジアでブロック対立でなく、包摂的な平和の枠組みの構築を
 第3は、東南アジア諸国連合(ASEAN)が提唱している「ASEANインド太平洋構想」(AOIP)を、日中両国政府がいずれも支持しているという事実です。志位氏は、「北東アジアで、日米韓、中ロ朝の二つのブロックが形成され、対立がエスカレートする危険が強まっていることを強く憂慮しています」と述べ、「ブロック対立でなく、包摂的な平和の枠組みを構築する努力をすべきです。日米中もふくめ、地域のすべての国を包摂する東アジアサミットという枠組みが現に存在しています。ASEANと協力してこの枠組みを発展させ、AOIPを成功させるために、日中両国政府が協力していく方向を目指すべきです」と提起しました。

ごまかし 居直り すり替え 高市三原則(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 高市三原則は「ごまかし、居直り、すり替え」で、それが高市氏の常套手段であるとして「台湾有事発言」でもこの原則がいかんなく適用されていると指摘します。
 高市氏は第2次安倍内閣時代に総務相に就きました。退任後 立民の小西洋之議員から過去の経緯に関する総務省内部文書を国会で提示されたとき、高市氏はそれを「ねつ造文書」だとして「ねつ造でなければ議員辞職する」と述べました。しかし当該文書が総務省の正規の内部文書であったことが後に明らかにされましたが 彼女は議員辞職をせずに居直りました。人間性が疑われる話です。
「台湾有事発言」以降、高市氏に対しては 元文科省事務次官の前川喜平氏は「教養がない」と、元経産省官僚の古賀茂明氏は「頭が悪い」と、また京都精華大の白井聡氏は「無能だ」とそれぞれ動画で批判しています。これだけ批判が集中するのは珍しいと言えます。
 それでもメディアがひたすら持ち上げていることから 高市内閣は高支持率を維持していますが、年額11兆円の軍事費を確定し、更には21兆円も辞さないという軍国主義的政権では民生の安定など期しようがありません。
 メディアも高市支持層も 早く正気に戻るべきです。
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ごまかし居直りすり替え 高市三原則
               植草一秀の「知られざる真実」 2025年12月 3日
高市三原則は ごまかし、居直り、すり替え
台湾有事発言でもこの原則がいかんなく適用されている。
高市首相は台湾有事に関する国会質疑において
前段では「そのときに生じた事態について、いかなる事態が生じたということの情報を総合的に判断しなければならない」と述べた。
しかし、後段で「台湾を中国北京政府の支配下に置くような場合に、それが戦艦を使って、武力の行使をともなうものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースだ」と述べた

発言が問題になってから高市首相は「歴代内閣の立場と一致している」「政府としての統一見解とするつもりはない」と述べたが、これは「ごまかし」だ。
前段の発言を貫いていれば「歴代内閣の立場と一致している」の説明で問題はない。
問題発言は後段部分であって前段部分ではない。
後段部分は「歴代内閣の立場と一致して」いない。
一致していないから「政府としての統一見解」にはできない。
「統一見解としない」のではなく「統一見解にできない」というのが実情。
だからごまかしなのである。高市氏の常套手段。

放送法の「政治的公平」の解釈変更を目論みた過去の経緯に関する総務省内部文書を高市氏は「ねつ造文書」だと述べて、「ねつ造でなければ議員辞職する」としたが、当該文書が総務省の正規の内部文書であったことが明らかになったのに納得のゆく説明をしていない。
これも「ごまかし」のひとつ。強く批判を受けると居直る。
今回の高市発言はこれまでの日中政府が積み重ねてきた外交文書の合意事項を踏みにじる部分を含む。
撤回が必要だが「撤回しない」と居直っている。その結果、日本経済に深刻な影響が広がり始めている。

「すり替え」に関する代表事例は「政治とカネ」の「議員定数」へのすり替え。
24年総選挙、25年参院選で自民党は歴史的大敗を喫した。
最大の要因は「政治とカネ」。史上空前の裏金不正事件が発覚した。
不正な裏金を1000万円以上不記載にした国会議員は21名に及ぶ。
少なくともこの21名は刑事責任を問われる必要があったが警察、検察が腐敗しているために巨大事件は矮小化された

それでも主権者である国民は自民党の「政治とカネ」問題への不誠実な対応を断罪した。
それを表出したのが選挙結果。自民党は「解党的出直し」を宣言して党首を差し替えた。
その結果として登場したのが高市内閣。ところが、高市内閣は「政治とカネ」問題への対応を放り投げて、問題を「議員定数」にすり替えた。
「政治とカネ」問題に真摯に取り組む姿勢をまったく示していない。

内閣支持率が高いのは巨大資本に支配されたマスメディアが高市絶賛報道を繰り広げているからだ。
しかし、やり過ぎると裏が透けて見えてくる。流行語大賞などは噴飯もの。
高市内閣がすり替えた「議員定数」。「身を切る改革」というなら「議員定数」ではなく「議員報酬」である
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」4269号
「議員定数でなく議員報酬削減」 でご高読下さい。
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