2026年4月30日木曜日

皆保険揺るがす改悪 衆院 健康保険法改定案が可決

 OTC類似薬の患者負担増などを盛りこんだ健康保険法改定案が28日の衆院本会議で、自民と維新、中道連合、国民民主、参政、みらいなどの賛成多数で可決しました。
 27年3月からOTC類似薬の薬剤費の25%を保険適用外として患者から追加徴収することを狙うもので、現役世代(70歳未満)の場合、薬剤費の負担が約1・5倍になります。対象は抗アレルギー薬や解熱鎮痛剤、保湿剤など77成分1100品目です
 さらに重大なのは、法文上、保険適用外の対象は薬剤にとどまらず診察や処置、手術など医療行為全般にまで拡大できることで疾病や負傷に対する治療を誰もが安心して受けられる国民皆保険制度の根幹を揺るがす改悪です
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皆保険揺るがす改悪 衆院 健康保険法改定案が可決
                       しんぶん赤旗 2026年4月29日
 医師が処方する医療用医薬品のうち市販薬と同等の効能を持つOTC類似薬の患者負担増などを盛りこんだ健康保険法改定案が28日の衆院本会議で、自民党と日本維新の会、中道改革連合、国民民主党、参政党、チームみらいなどの賛成多数で可決しました。日本共産党などは反対しました。
 法案はOTC類似薬を用いた療養費用の一部を保険給付外とする「一部保険外療養」制度の創設を盛りこんでいます。政府は同制度に基づき、2027年3月からOTC類似薬の薬剤費の25%を保険適用外として患者から追加徴収することを狙っています。現役世代(70歳未満)の場合、薬剤費の負担が約1・5倍になります。対象は抗アレルギー薬や解熱鎮痛剤、保湿剤など77成分1100品目
 厚生労働省の試算によると患者負担増による保険料軽減は1カ月33円にすぎず、わずかな保険料軽減と引き換えに窓口負担が増えることで、受診控えによる症状悪化などの恐れもあります。対象薬剤と負担割合の拡大も狙われています。

 さらに重大なのは、法文上、保険適用外の対象は薬剤にとどまらず診察や処置、手術など医療行為全般にまで拡大できることです。疾病や負傷に対する治療を誰もが安心して受けられる国民皆保険制度の根幹を揺るがす改悪です。

 また法案は、▽75歳以上の保険料や窓口負担の算定に株式配当などの金融所得を勘案する仕組みの構築 ▽出産費用無償化に向けて正常分娩(ぶんべん)に全国一律の単価を設け、公的医療保険で賄う制度の新設―などを盛りこんでいます。 

安保3文書 有識者メンバーに「非核三原則」否定論者 メディア幹部も参加

 28日の新潟日報一面トップには〝首相「防衛力を抜本強化」″の大見出しが躍っていました。情報機関の設置法に引き続いて、今度は「防衛力の抜本強化」とは 極右首相の面目躍如ですが、高市氏の岩盤支持層や防衛族議員あるいは軍需産業関係者等は別にして、大部分の県民(国民)は強い違和感を持ったのではないでしょうか。
 食品をはじめとする諸物価の高騰や、ナフサ由来の医療用備品類や住宅用資材の供給途絶の惧れなどを始めとして、政府が緊急に取り組むべき課題は山ほどあるのに、軍備の抜本的強化など戦前回帰の反動政策しか高市首相の頭の中にはないのでしょうか。
 生活防衛の他にも、主要道路の下に埋設されている上下水道の主管が老化していて、いつ破損し道路面が陥没するか分からない個所が無数にあると聞くので、最優先でその交換に着手すべきです。それこそが国土の強靭化です。
 また最近は山火事が頻発していてそれが長引くと住宅までが大量に燃えるケースもあるようです。TVを見ているといつも消火用ヘリコプターの台数が1台かそこらで埒が明かないことが看取されるので、それらに対する抜本的な対策をこそ施すべきです。
 
 いずれにしても大軍拡推進の指針となる安保3文書改定などは全く不要であるし、軍事に要する費用の拡大はその分が民生を圧迫するので認められません。
 しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します(記事の要約は省略させていただきます)。
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安保3文書 有識者メンバーに「非核三原則」否定論者 メディア幹部も参加
                       しんぶん赤旗 2026年4月29日
 政府は27日、大軍拡推進の指針となる安保3文書改定に関する有識者会議の第1回会合を開きました。重大なのは、歴代政権が「国是」としてきた非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)の見直しを提言した山崎幸二・元統合幕僚長がメンバーに含まれたことです。
 高市早苗首相は2024年9月に出版した編著『国力研究』で、非核三原則は日米同盟にとって「邪魔」だとして、安保3文書からの削除を求めたものの、実現しなかった経緯を明らかにしています。今回の改定で3文書から非核三原則に関する記述を削除する狙いから、山崎氏が選任された可能性もあります。
 山崎氏は昨年6月、笹川平和財団がとりまとめた提言の作成に参加しています。提言では米軍の「拡大抑止」(核の傘)を強化するために、(1)非核三原則の「持ち込ませず」を「(日本に対して核兵器を)撃ち込ませず」に変更し、米軍の核持ち込みを容認(2)日米が核兵器を共同運用する「核共有」の推進―などを提案。「核共有」は、日本国内への核兵器の常駐配備を前提にするものです。
 山崎氏は27日の会合後、記者団に「拡大抑止を実効性のあるものにする必要性も検討課題の一つだ」と明言。同日開会した核不拡散条約(NPT)再検討会議に向け、被爆者らが米ニューヨークで核兵器廃絶を訴えるなか、これに逆行する「核の傘」強化を公然と求めました。
 笹川平和財団の提言には、昨年10月から首相補佐官を務めている尾上定正・元空将も参加しています。尾上氏は昨年末、「日本は核保有すべきだ」と発言したとみられ、罷免を求める声が相次ぎましたが、現在も首相補佐官のままです。
 読売新聞グループ本社の山口寿一社長とフジテレビの清水賢治社長というメディア幹部2氏が含まれていることも重大です。
 山口氏は23年1月にも、3文書改定に向けた有識者会議に参加。軍事費の2倍化や違憲の敵基地攻撃能力保有に踏み込んだ岸田文雄首相(当時)を、「防衛力の抜本的強化という歴史的な決断をされた」と称賛しています。戦後の新聞は侵略戦争推進の過ちへの反省から出発しました。再び戦争推進の過ちを繰り返すことは許されません。

総合的な国力から安全保障を考える有識者会議 構成員 ◎=座長
 秋池玲子 ボストン・コンサルティング・グループ日本共同代表
 遠藤典子 早大研究院教授
 大矢光雄 東レ社長
 黒江哲郎 元防衛事務次官
◎佐々江賢一郎 元駐米大使
 清水賢治 フジテレビ社長
 鈴木一人 東大公共政策大学院教授
 橋本和仁 科学技術振興機構理事長
 東野篤子 筑波大教授
 細谷雄一 慶大教授
 松尾 豊 東大教授
 三毛兼承 三菱UFJ銀行特別顧問
 森田隆之 NEC社長
 山口寿一 読売新聞グループ本社社長
 山崎幸二 元統合幕僚長


安保3文書有識者会議 狙うは「国家総動員」
                       しんぶん赤旗 2026年4月29日
 安保3文書の改定を巡り、政府は27日夕、「総合的な国力から安全保障を考える有識者会議」の第1回会合を開きました。今後、月回程度開催し、今秋に提言をまとめます。並行して、防衛省は昨年秋から開催している「防衛力変革推進本部会議」で論点整理を進め、自民・維新も6月に提言をまとめます。政府・与党あげて「戦争国家つくりへ動きを強めています。
                                    (竹下岳)

「3文書改定は国家の命運を左右する重要な取り組みだ」-有識者会議に出席した高市早苗首相はこう訴えました。有識者会議の「総合的な国力」は、高市首相の持論です。①外交力
②防衛力 ③経済力 ④技術力 ⑤情報力 ⑥人材力  現行の安保3文書(国家安全保障戦略)にも、ほぼ同様の項目が列挙されていますが、「防衛力」= 敵基地攻撃能力の保有や「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)の導入、日米共同訓練の強化など、日米同盟・自衛隊の強化に強い焦点が当てられました。
 今回の改定では、極超音速誘導弾など、射程3000キロにおよぶ国産長射程ミサイルの導入や地対艦ミサイル部隊の増強など、すでに定められた計画を着実に推進することに加え、「経済安全保障」や科学技術、アカデミア(学術界の軍事動員、軍需産業の育成・強化、国営工廠(しょう)などによる武器増産体制の確立、インテリジェンス(情報活動)の強化など、より幅広い分野を手がける狙いがすけてみえます。現代版の「国家総動員態勢」と言えます。
 加えて、ロシアのウクライナ侵略、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区侵攻、さらに米・イスラエルによるイラン攻撃などで、ドローン(無人機)をはじめとした無人兵器、人工知能(AI)が戦争の帰趨(きすう)を決めることが明確になりました。「新しい戦い方」に対応した、新たな軍拡が狙われています。

米は軍事費大幅増要求
 最大の難関となるのが、軍事費の増額です。トランプ米政権は、今年1月に公表した「国家防衛戦略」(NDS)で、日本を含むすべての同盟国に、関連経費を含めて国内総生産(GDP)比5%の軍事費を要求。日本の軍事費は現行の安保3文書決定の2022年度には5・4兆円でしたが、25年度までに11兆円と2倍化。これを3・5%にすると24兆円、5%にすると34兆円国民人あたり年間28万円という、途方もない金額になります。
 亡国の大軍拡を許してはなりません。

          安保3文書改定で想定される主要論点
  軍事費の増額 GDP比2%  3.5~5%に
  敵基地攻撃能力のさらなる強化(国産長射程ミサイルの本格導入、弾薬庫整
  日米の司令部機能強化、共同作戦・共同訓練の拡充
  継戦能力」の強化(ミサイル、兵器の増産など)
  ドローン、AI活用の「新しい戦い方」
  米の「核抑止」強化、非核三原則見直しの是非
  経済安全保障  経済の「武器」イヒ
  科学技術・アカデミアの軍事動員
  軍需産業の強化・武器輸出、共同開発の推進
  空港・港湾の軍事利用をさらに拡大
  米主導の宇宙戦争への参加
  インテリジェンス  国民監視の強化
  原子力潜水艦導入の是非

安保3文書改定に向けた政府・与党の動き
  政府有識者会議    今秋に提言 
  防衛省    論点整理意見集約    <年内に改定>
自民党・日本維新の会6月に提言 

追い詰められるトランプ大統領(植草一秀氏)

 植草一秀氏の掲題の記事を紹介します。
 トランプが違法なイラン攻撃を行ったのは、ネタニヤフに「イスラエルの情報機関によれば『いまイランを攻撃すれば体制が転覆するので絶好の機会だ』と唆された」からと言われています。
 「米国では大統領による軍事作戦について、議会が承認しなければ2ヵ月で軍の撤退が義務付けられている」として、その期間が経過したと述べます。
 植草氏は同時に、トランプ大統領がイスラエルによって支配されている背後には、エプスタイン(⇒少女買春行為の主催者)疑惑でイスラエルに弱みを握られている」と見ています。この話も良く聞くところで、一国の大統領がそんな状況にあっては まともな政治など出来ようがありません。
 そして対イラン攻撃でもトランプの敗北は動かし難い状況にあり、米国が海上封鎖を停止してイランのホルムズ海峡開放対応を引き出すしかないのですが、面子にこだわるトランプが優柔不断の対応を続けているために、世界経済が大きな迷惑を蒙っていると述べます(日本には、そんな大統領に媚びへつらい、さらに歓心を得るべく、何十兆円もの血税を投じようとする政治家がいますが、それこそは「正常」の対極にあるものです)。
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追い詰められるトランプ大統領
               植草一秀の「知られざる真実」 2026年4月29日
米国がイランに軍事侵攻を開始して2ヵ月が経過。
米国では大統領による軍事作戦について議会が承認しなければ2ヵ月で軍の撤退が義務付けられている。その期間が経過する。

トランプ大統領は米国の軍事作戦によりイランの体制転換が直ちに生じるとした。
しかし、2ヵ月経過してもイランの体制が転換する兆候はない。イランはホルムズ海峡封鎖に踏み切った。その影響が世界全体に広がる。
米・イラン交渉で一旦はイランがホルムズ海峡開放を宣言したが直ちに取り下げられた。
逆海上封鎖に突き進んだ米国がイランによるホルムズ海峡開放と同時に逆海上封鎖を解かなかった。これではイランが海上封鎖を中止できるわけがない。イランは再びホルムズ海峡を封鎖して現在に至る

現状で窮地に立たされているのはトランプ大統領。米国憲法の規定によりトランプ大統領は米軍を撤収しなければならない。憲法を無視して軍事作戦を継続するか。あるいは議会に軍事作戦の延長を申し出るか。
だが、トランプ大統領を取り巻く環境は厳しい。2月28日以降の米軍によるイラン軍事侵攻を米国民が是認していない。軍事作戦に反対する比率が軍事作戦を肯定する比率を上回る

大統領支持率は下落し、不支持率が大幅上昇している。不支持率と支持率の差はトランプ2.0発足以来の最高水準に更新している。
米国ではガソリン価格が1ガロン=4ドルを突破。世論がイラン戦争反対、トランプ不支持に大きく傾いている。

11月中間選挙でトランプ与党が敗北する可能性が高い下院では多数政党が共和党から民主党に入れ替わる可能性が高い。下院で民主党が過半数を制すると下院がトランプ弾劾の訴追を行う可能性が高い
現状では共和党が上院過半数を維持する可能性が高いと見られるが、下院で共和党が少数に転落すればトランプ大統領のレームダック化が急激に進行する可能性が高い。

米国民は今回のイラン軍事侵攻がイスラエルの意向に沿うものだと捉えている。
トランプ大統領がイスラエルによって支配されているとの受け止め方が強い。その背後にエプスタイン疑惑があるエプスタイン疑惑でトランプ大統領がイスラエルに弱みを握られている
そのために、トランプ大統領はイスラエルに支配されてしまっている。

この見立てが有力になっており、米国のイラン軍事侵攻に対する米国民の支持が低落している。
ホルムズ海峡封鎖が長期化して原油価格が高止まりすれば米国のガソリン価格も高止まりする。
これがトランプ支持率を低下させる主因になっていると見られる。
トランプは窮地に立たされており、事態を打開するために米軍のイランからの撤退を検討せざるを得ない状況に追い込まれている。

イランは米国が海上封鎖を解かなければホルムズ海峡を開放しないとの姿勢を鮮明にしている。
トランプはイランの譲歩を引き出そうとしてイランが米国の要求を呑まなければイランのインフラを壊滅させると豪語したがイランは拒絶。
ところが、トランプ大統領は停戦の延長に進んだ。チキンゲームでトランプ大統領が下りることが読まれている。チキンゲームでは弱気に振れた方が敗北。トランプ敗北は動かし難い状況に移行している

米国が海上封鎖を停止してイランのホルムズ海峡開放対応を引き出すしかないだろう。
しかし、面子にこだわるトランプ大統領が優柔不断の対応を続けている。
トランプ大統領のために世界経済が大きな迷惑を蒙っている。
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                (後 略)

「NHK、国会前デモ放送を直前で差し替え」記事に注目(レイバーネット2.0)

 日本のメディアは大いに劣化しています。
 せめてNHKには公共のメディアとして健闘して欲しかったのですがそんな希望は空しい限りで、第二次安倍政権以降は 政権に対する忖度の度合いが尋常でありません。
 レイバーネット2.0にその具体例が載りましたので紹介します。
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NHK、国会前デモ放送を直前で差し替え」記事に注目
                    レイバーネット2.0 2026年4月27日
<アリの一言>
 「市民集会・デモの軽視甚だしい日本のメディア」と題して先日書きましたが(6日のブログ参照)、そのリアルな実態を伝える注目すべき記事が掲載されました。
 25日付朝日新聞(デジタル版も)の記者コラム「多事奏論」で田玉恵美編集委員が書いた「放送されなかったデモ 議論なきNHKの「自主判断」」(デジタル版のタイトルは「NHK、国会前デモの放送を直前に差し替え 自主的判断というけれど」)です。たいへん重要な記事なので、長くなりますが全文(デジタル版、中見出しも)転記します。

(転記開始)< NHKが国会前デモを放送しない。改憲や戦争に異議を唱え、何度も多くの人たちが集まっているのになぜ?
 そんな声が巷(ちまた)で広がるなか、4月8日夜にまた大きなデモがあった。NHKはどうするのか。総合テレビを注視した。
 「ニュースウオッチ9」もどこも取り上げない。ただ、夜遅くにNHKのウェブサイトに記事が出た。「憲法改正に反対の市民団体など国会周辺で集会〝9条の堅持を〟」との見出しで、主催者発表でのべ3万人が参加したと伝えている。
 翌朝の「おはよう日本」の5時台に「この時間までに入っているニュース」を10本まとめて紹介するコーナーがあり、そこでデモの記事のタイトルは表示されたが、アナウンサーが原稿を読み上げたり、映像を流したりすることはなかった。
 テレビで映像を使って放送しないのはどうしてだろう翌週の定例会見で質問した。報道担当の原聖樹理事は「どのニュースを映像をつけてやるかどうかについては、その当日の編責(編集責任者)を含めて、報道局内で議論した上でオーダー(放送する内容や順番)等を決めている」「個別のニュースについては、そのつど判断しているということに尽きる」と言う。
 取材を進めると、疑問が膨らんだ。

突然のアナウンス
 デモがあった8日の夜、NHKの制作現場はこのニュースを放送しようとしていた。報道局の関係者によると、社会部が現地で取材し、午後11時40分からの全国向けの最終ニュースに採用された。
 5分の枠で、通常はニュース2本と気象情報で埋まる。この日は、米国市場の株価の速報が冒頭に短く入ったが、その後は東大の不祥事で総長が会見をした話題の次にデモのニュースを放送する手はずだった。国会周辺で取材・撮影した映像を編集し、参加者へのインタビューを含む1分あまりのVTRを完成させ、放送開始に備えていたという。
 ところが直前になって、放送内容を変えるというアナウンスがニュースセンター内に流れた。代わりに入ったのは、医療用物資を安定的に確保するため厚生労働省が災害時の情報共有システムを活用する、という話題だった。
 現場に変更する理由は知らされなかったという。「憲法改正への反対意見だけを流すのは一方的だ、と上層部が懸念したのでは」。局内からはそんな推測の声が聞こえる。
 とはいえ、自民党大会が開かれた12日の「ニュース7」では、4分を割いて憲法改正などをめざす同党の意向を伝えていた。登壇したミュージシャンの世良公則さんが「燃えろいい女 燃えろ早苗」と首相を持ち上げて歌う場面には歌詞のテロップまでついた。「早苗」の文字は一回り大きく、色をつけて目立たせている。デモを報じるのが一方的だというなら、これだって一方的だろう
 ともに政治部出身の井上樹彦会長と原理事に「デモを放送しないという判断に、あなたは関与したか」と会見で聞いたとき、2人はそろって否定していた。井上会長は「個別のニュース、これも含めてですね、一つ一つ関与しているわけではありません」と述べている。誰の意向でなぜ放送内容が変わったのか

腑に落ちない回答
 NHK広報局にあらためて質問を送って返答を待っていた19日の日曜に、国会周辺では再びデモがあった。すると午後10時40分からの最終ニュースで、デモの様子や参加者の声が流れた。今度は放送せよとの指示でもあったのだろうか
 その後にNHKから返ってきた回答には「個別の編集判断を含め取材・制作の詳しい過程については、お答えしていません」「ニュースや番組で何をどのように伝えるかについては、報道機関としての自主的な編集判断に基づき、そのつど、総合的に決めています」とあった。
 NHKでは、誰のどんな判断なのかを現場に説明すらしないまま放送内容を直前に差し替えることを「自主的な編集判断」と呼ぶらしい。異様すぎないか。
 かつてNHKは「放送現場には編集権はない」と国会で答弁した。最終的な編集権は会長にあるという考え方だ。仮にそうだとしても、何をどのように放送すべきなのか、制作現場が議論に参加するのは当然の前提のはずだろう。
 公共放送の使命は「豊かで、よい放送」を届けることだ、とNHKは自ら番組基準でうたっている。議論のないニュースセンターにそれが可能だとは私は思わない。>(転記終り)

 NHKの政権忖度=報道機関としての自殺行為に特別な驚きはありません。日常的に行われていることの一コマでしょう。
 感心したのは田玉記者のジャーナリストとしての姿勢です。着眼点、徹底取材・追及、明快な主張。いずれも素晴らしいです(田玉さんは佐渡金山の朝鮮人強制労働問題でもいい仕事をされています)。このような記者、このような記事が増えることを願ってやみません。

中国、イラン、アメリカ:複雑な権力ゲーム

 マスコミに載らない海外記事に掲題の記事が載りました。
 著者は中国・イランに別に好意的ではありませんが、それ以上に米国の姿勢には全く取り柄がないことを認めています。
 そして昨今の米国の狂態は、米国による1極支配が終わりを告げているものと見做しています。
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中国、イラン、アメリカ:複雑な権力ゲーム
                マスコミに載らない海外記事 2026年4月27日
               ロレンツォ・マリア・パチーニ 2026年4月18日
                    Strategic Culture Foundation
 ワシントンの視点からすれば、テヘラン⇒イランの首都)と北京の同盟は戦略的な悪夢だ。

紛争の戦略的状況
 アメリカによる対イラン戦争は、単なる地域危機を遙かに超えたもので、アメリカの世界的覇権に内在する根強い不安定性を明らかに示している。国際法や主権や多国間外交を軽視して、アメリカは強制力を支配手段として正当とみなす姿勢を改めて示している。趙明浩が指摘している通り、ワシントンの武力行使は秩序を回復させるどころか、台頭しつつある世界体制を特徴づける亀裂を悪化させるだけだ。
 2026年2月28日に開始されたアメリカ主導の対イラン軍事作戦は、当初は標的を絞った一連の攻撃として始まったが、今や中東全域、ひいてはそれ以外の地域における地政学的境界線を塗り替える地域紛争へ拡大している。当初はイランの核・ミサイル能力を無力化することを目的とする戦術的動きと思われたものが、世界の勢力均衡を再構築するための本格的な戦略的取り組みに発展したのだ。

 北京にとって、この戦争は国家の中核的利益に対する直接攻撃を意味する。中国は中東においてエネルギー、インフラ、輸送分野で緊密な協力関係のネットワークを構築しており、その多くは重要拠点としてイランに依存している。中国の原油輸入量の約53%はこの地域から供給され、30%以上がホルムズ海峡を経由している。従って、長期にわたる混乱は、中国の経済安定とエネルギー安全保障に対する体系的脅威になる。
 一方、ワシントンの幹部戦略家連中は、今回の作戦を、いわゆる「混沌の枢軸」、つまり、ロシア、イラン、北朝鮮、ベネズエラの非公式連携を打破する機会と捉えている。これらの国々は全て、アメリカの制裁と圧力にさらされており、外交的・経済的保護者として中国への依存度を高めている。アメリカの狙いは明らかだ。中国のグローバル資源供給網を弱体化させ、北京に対外的な影響力を再調整させることにある。
 
台頭する中・イラン枢軸が新段階に達する
 この紛争が世界に及ぼす影響を理解するには、過去10年間で強固な戦略的連携に発展した中・イラン関係を検証する必要がある。2021年、北京とテヘランは25年間の包括的協力協定に署名し、イランのエネルギー、インフラ、技術分野への約4000億ドルに上る中国投資の枠組みを定めた。この協定は、しばしば欧米専門家によって過小評価されてきたが、一帯一路構想(BRI)におけるイランの役割を再定義するものだ。
 ペルシャ湾と中央アジアにまたがるイランの地政学的位置は、一帯一路構想の「西アジア回廊」において不可欠な要素になっている。中国は、テヘラン・マシュハド高速鉄道、チャバハール港拡張、ファーウェイやZTEとのデジタル・インフラ提携といったプロジェクトを通じて、イランを自国の大陸横断物流網に組み込もうとしてきた。同時に、イランを欧米諸国の制裁から守るため、アメリカが支配するSWIFTネットワークの代替として、北京は人民元建ての国際銀行間決済システム(CIPS)を活用して、テヘランの金融準備金を積み立ててきた

 制裁にもかかわらず、両国間貿易は増加している。2025年には二国間貿易額が300億ドルを超え、2026年には更に20%増加すると予測されている。この数字は、中国をイランの主要貿易相手国にし、制裁に苦しむイラン経済の生命線にしている。中国石油化工(Sinopec)や中国石油天然ガス集団(CNPC)などの中国企業は、ヤダバランや南アザデガンといったイランの広大な油田に積極的に出資しており、戦時下でも原油の東方への安定供給を確保している。
 ワシントンにとって、こうした動きは世界的覇権争いの核心を突くものだ。イランと中国の関係は、アメリカ中心の自由主義秩序に代わる多極的選択肢を象徴している。経済統合、技術交流と、アメリカの圧力に対する相互外交支援を融合させたモデルだ。ワシントンはテヘランを標的にして、事実上、北京の長期的なユーラシア戦略に対する代理戦争を仕掛けているのだ。

 エネルギーは、常に中・イラン協力の決定的側面だった。中国はイラン最大の石油購入国であるだけでなく、イランの精製能力と輸送経路への最大投資国でもある。イラン産原油は、制裁を回避するために「マレーシア」や「オマーン」の船積みラベルを偽装して、1日あたり約80万バレルが中国の製油所に送られ続けている。だが、紛争とホルムズ海峡におけるアメリカの海上封鎖は、この繊細なシステムを脅かしている。
 北京の対応は二段階に分かれている。第一に、ホルムズ海峡に代わる陸上経路として、パキスタンのグワーダル港や中国・パキスタン経済回廊(CPEC)への大規模投資など、海上経路の多様化に向けた取り組みを加速させている。第二に、中国の戦略家たちは「軍民両用」インフラという名目で、一帯一路構想における資産の一部を軍事化しようと働きかけ、主要エネルギー輸送経路を強化している。ジブチからコロンボに至るインド洋全域の港湾、パイプライン、輸送拠点は、今や民間・軍事の両目的に利用される可能性がある。
 一方、地域における要としてのイランの役割は依然揺るぎない。テヘランはエネルギー供給だけでなく、情報協力、地域への出入り、技術協力もしている。両国は衛星システム、AIベースの監視プラットフォーム、サイバー・レジリエンスサイバー攻撃被害を最小化し迅速に回復する能力といった分野で共同事業を立ち上げており、これらは全て、アメリカ情報機関がハイブリッド戦争の次のフロンティアと見なしている分野だ。
 
アメリカの戦略的懸念
 ワシントンは、この中・イラン間協力関係が単なる地政学的協力にとどまらず、米ドル体制、強制手段としての制裁や世界の主要貿易拠点における戦略的独占に対する直接的挑戦だと認識している。アメリカ財務省のデータによれば、2025年にはイランの対外貿易の約50%がドル以外の通貨、主に人民元とルーブルで決済された。こうした脱ドル化の取り組みは、実験的ではあるものの、世界の金融構造における根本的変化を示しており、アメリカの経済的影響力を脅かすものだ。
 更に、米軍は中国のペルシャ湾への関与が長期的に及ぼす影響を懸念している。イラン南部沿岸の衛星追跡施設や、ジャースク近郊における人民解放軍海軍整備区域の拡大疑惑など、北京の兵站拠点は、中東における中国の恒久的駐留への道を開くものだ。この海域で揺るぎない支配を享受してきたワシントンにとって、この傾向は自国の海洋覇権の衰退を加速させるものになる。
 アメリカ国内で、トランプ大統領の対イラン戦争は世論を二分する政治危機へと発展した。「アメリカを再び偉大にする」運動内部では不満が高まっており、トランプ大統領の伝統的支持者の多くは、海外での軍事介入再開の決定に裏切られたと感じている。インフレ圧力は急上昇し、連邦準備制度理事会(FRB)の利下げは行き詰まり、原油価格は1バレル130ドルを超えた。戦争の代償は、消費者物価の上昇とエネルギー不安という形で、アメリカの家庭に重くのしかかっている
 国際的には、アメリカ同盟諸国の幻滅が深まっている。フランス、スペイン、そしてイギリスでさえ、戦争の合法性に疑問を呈し、全面的兵站支援を拒否している。大西洋の対岸、ヨーロッパでは、新たな難民の波とエネルギー価格の変動への対応に追われ、湾岸諸国は、ワシントンの予測不可能な外交に益々不満を募らせている。アメリカは益々孤立を深めており、地域的敵対勢力だけでなく、自らの過剰な帝国主義的拡大という認識にも苦慮している。
 
旧来のグローバル体制が直面する戦争問題
 北京の目には、イラン紛争は単にアメリカの介入主義の新たなサイクルを反映しているのではなく、多極化への構造的転換の始まりを示すものと映っている。アメリカがイランに向けて発射するミサイルは全て、西側諸国の衰退という中国の主張を強化し「運命共同体」という中国の呼びかけに重みを与える。だが、この転換自体が多くのリスクを伴う。世界貿易経路の混乱、エネルギー市場の不安定化、核不拡散体制の弱体化は、中東を遙かに超えた連鎖反応を引き起こす可能性がある。
 実際、国際原子力機関(IAEA)のイラン監視能力の低下は危険な前例になる。テヘランが合意の遵守を完全に放棄すれば、平壌からアンカラに至るまで、他の国々も核抑止戦略を追求するようになるだろう。そのようなシナリオでは、中国自身も安全保障上のジレンマに直面することになる。周辺地域に潜在的な「核の森」が出現し、北京は地政学的野心と核拡散の衝撃に対する脆弱性との間で折り合いをつけざるを得なくなる。 この紛争は、戦争の新たな側面も明らかにしている。ワシントンが大手民間企業と協力してAIベースにした標的システムや自律型兵器に依存していることは重大な倫理的懸念を引き起こしている。イランの学校へのミサイル攻撃で160人以上の子どもが犠牲になった事件など、アルゴリズムの誤判断により民間人が犠牲になった報告は、グローバル・サウス諸国で激しい怒りを巻き起こしている。戦争における人間と機械の意思決定の境界線は曖昧になりつつあり、人道的大惨事に道徳的曖昧さが加わっている。

 2026年、アメリカによるイランへの戦争は、国際秩序の断層を露呈させた。ワシントンは威圧により覇権を維持しようとする一方、北京とテヘランは、連結性や主権や欧米諸国による支配への抵抗を基盤とした代替構想を構築している。しかし、権力が拡大するにつれ、不安定性も拡大する。中国とイランの協力関係は、変革をもたらす可能性を秘めてはいるものの、世界体制を対立する陣営に分断し、それぞれが協力ではなく、排除によって安全保障を追求する事態を加速させる可能性もある。
 ワシントンの視点からすれば、テヘランと北京の同盟は戦略上の悪夢だ。制裁を弱体化させ、海洋支配に挑戦し、非対称的な脅威を増大させるからだ。北京にとって、この対立は、アメリカ覇権が依然不安定で、多極化に屈するのを拒んでいることを裏付けるものとなる。そして世界全体にとっては、この対立は一極支配の安穏な時代が終わったことを示している。これから始まるのは、新世紀のルールを定めるための激動の闘争だ。それはアメリカの秩序ではなく、対立や不確実性や益々不安定化する相互依存関係によって特徴づけられる世紀になるだろう。

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