植草一秀氏が掲題の記事(2つ)を載せました。
米国が3日、ベネズエラに軍事侵攻し大統領夫妻を拉致・監禁したことは「法の支配」とは無縁の「力による支配」そのものです。
高市首相は5日の会見で、「我が国は従来から自由・民主主義・法の支配といった基本的価値や原則を尊重してきた。~ G7や地域諸国を含む関係国と緊密に連携しながら、引き続きベネズエラにおける民主主義の回復と情勢安定化に向けた外交努力を進めていく」と述べましたが、米国の行動に対しては一切言及しませんでした。
メディアも首相や米国の批判はタブーとでも思っているのか、首相に対して「法の支配と米国の行為との関係をどう見ているのか」を問うことはしませんでした。
高市首相が「米国の行為について何も論評出来ない」のであれば、一国の宰相として失格ですし、メディアも政権の監視役が務まらないのであれば同様に失格です。
高市首相は中国を激怒させたまま、円安起因のインフレ対策や米価高騰の対策などには何も取り組んでいません。国民の困窮や危機感が共有できていないのでしょう。
そして高市政権に迎合しているだけのメディアからは適正な批判が出されていません。
これでは日本はこの先も「泥沼から脱する」ことはできません。
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無能と見なされる論評ナシ
植草一秀の「知られざる真実」 2026年1月 6日
米国によるとこれに対するメディアの対応は現代社会が欺瞞に満ち溢れていることを鮮明に浮かび上がらせる。
自由、人権、民主主義、法の支配とはよく言ったものだ。
主権国家に対して国際法に違反して軍事侵攻して大量の殺戮を実行し、国家元首を拉致・監禁する行為のどこに「法の支配」があるのだろうか。あるのは「法の支配」ではなく「力による支配」だけだ。武力によって領土・権益を拡張する「帝国主義」に他ならない。
財宝を抱える企業に侵入して経営トップを拉致・監禁し、副代表に銃を突き付けて服従を命じる。副代表が命令に服従すれば強奪犯は正当化されるのか。
メディアは「ベネズエラ 米に協力意向」と伝えるが、生命の危険に晒されて発した意向が正当な意向であるわけがない。主権国家に対する武力の行使、武力による威嚇を肯定する視点でなければこうした報道はできない。
米国の横暴は今に始まったことではない。
第二次世界大戦後の世界で傍若無人の横暴を繰り返してきた突出した悪徳国家が米国である。
中国、ロシアを非難する向きが多いが、主権国家に対する侵略と武力行使で米国に匹敵する存在はない。
「力による現状変更は許されない」と叫んできた人々はいま何をしているのか。
唯一、小野寺政調会長だけが「力による現状変更は許されない」とのメッセージを発した。
高市首相は何も言わない。昨日の会見で述べたのは
「我が国は従来から自由・民主主義・法の支配といった基本的価値や原則を尊重してきた。
日本政府はこうした一貫した我が国の立場に基づいてG7や地域諸国を含む関係国と緊密に連携しながら、引き続きベネズエラにおける民主主義の回復と情勢安定化に向けた外交努力を進めていく」と述べて、米国の行動に対して一切言及しない。
そもそも「法の支配」と米国の行為との関係をどう見ているのか。メディアはなぜこの点を問わない。
一国がどのような政治体制を採るかはその国に委ねられている。
戦後の世界秩序の根幹は「武力の不行使」と「内政不干渉」である。政治体制については「民族自決の原則」が尊重されている。
さまざまな政治体制が存在し、それぞれの個人はそれぞれの理想を描く。しかし、主権国家に対して他国が特定の政治体制を強要することはできない。
中国の周恩来首相とインドのネルー首相が1954年4月29日にチベット問題で協議して両国関係の5原則で合意した。5原則とは
「領土・主権の相互尊重」「相互不可侵」「内政不干渉」「平等互恵」「平和共存」
これらが冷戦下の国際社会において第三世界の連帯の基礎となった。アジア・アフリカ会議(バンドン会議)で採択された「平和十原則」にも影響を与え、現代でも外交の基本原則として尊重されている。
1972年の日中共同声明、1978年の日中平和友好条約にも明記されている。
「平和共存」のための5原則である。
米国の行為は「領土・主権の相互尊重」、「相互不可侵」、「内政不干渉」に明白に反する。
高市首相は「力による現状変更」を認めるということか。
日本政府は「一つの中国」と「台湾の中国帰属」を認めている。
仮に中国が力で台湾の統一を実行する場合には、これを認めるという立場であるのか。
米国の「力による現状変更」は認めるが、中国の「力による現状変更」は認めないというロジックは成り立たない。
高市首相は日本政府を代表して米国の行為に対する見解を表明するべきだ。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4300号
「平和共存から新帝国主義へ」 でご高読下さい。
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(後 略)
米国の侵略論評できない首相
植草一秀の「知られざる真実」 2026年1月 5日
2026年に日本の主権者は自分の頭でものを考える習慣を身に付けるべきだ。
米国がベネズエラに軍事侵攻してベネズエラの大統領夫妻を拘束。身柄を米国のニューヨークに拉致した。
新聞が大きく報じたが取り扱いに大きな落差がある。通常の記事並みの取り扱いをした新聞社は米国の支配下にある社であると言える。
同じことをロシアが実行したらメディアはどう取り扱うか。同じことを中国が実行したらメディアはどう取り扱うか。
高市首相は1月5日の会見で次のように述べた。
「邦人の安全確保を最優先としつつ、関係国と緊密に連携しつつ対応にあたっている」
「ベネズエラについては、これまでも一刻も早くベネズエラにおける民主主義が回復されることの重要性を訴えてきた」
「我が国は従来から自由・民主主義・法の支配といった基本的価値や原則を尊重してきた。
日本政府はこうした一貫した我が国の立場に基づいてG7や地域諸国を含む関係国と緊密に連携しながら、引き続きベネズエラにおける民主主義の回復と情勢安定化に向けた外交努力を進めていく」
米国の行為について何も論評していない。一国の宰相として失格である。
「自由・民主主義・法の支配」を強調するのはいいが、米国の行為は「法の支配」の観点から見てどうなのか。首相としての見解を述べる必要がある。何も語ることができないなら、直ちに首相を辞任すべきだ。
重大な国際問題が発生したときに確固たる見解を持つことができない。見解を堂々と述べることができない。それで首相が務まるわけがない。同種の行為をロシアや中国が実行した場合にも同じ姿勢を貫くのか。この点をはっきりさせるべきだ。
他国に軍事侵攻して国家元首を拉致することを高市首相がどのように評価するのかを明らかにする必要がある。
私たちが気付くべきことは、この状況に対してメディアが高市首相を問い詰めないこと。
「御用」報道しか行わないなら「報道機関」を名乗るのをやめるべきだ。
「御用機関」であることを明らかにすることがせめてもの市民に対する誠意である。
問題は、こうした状況について主権者である国民一人一人が自分の頭でものを考えて、自分独自の判断を持つこと。
高市首相が「台湾有事で存立危機事態」と述べたのは中国による台湾統一の行動に対して日本が米国とともに中国と戦うという方針の表明だった。
その背後にあるのは中国による台湾統一を許さないという判断なのではないのか。
産経新聞は関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)が1月5日に大阪市内で開かれた会合で、台湾有事をめぐる高市早苗首相の国会答弁について
「(大阪・関西)万博中にあのコメントがあったら(と思うと)、私はぞっとした」
と述べたことを報じた。https://x.gd/tPiUl
記事は松本会長について「中国当局に人脈を持つ松本氏は〝知中派〟として知られる。」
と表現。〝媚中派〟という言葉が類推されるように〝知中派〟という言葉を用いたのだと推察される。
記事は次の一文で締めくくられている。
「高市首相は国会で昨年11月7日、中国が武力侵攻する台湾有事をめぐり、集団的自衛権の行使ができる「存立危機事態」に該当する可能性があると表明していた。」
産経新聞の悪質さが鮮明に浮かび上がる。
台湾有事を「中国が武力侵攻する」と定義する不正確さを看過できない。
台湾独立をめぐる中国と台湾の武力衝突等の事態を「台湾有事」と呼ぶのであって、「台湾有事」を「中国が武力侵攻する」と表現するのは不正確な「偏向表現」である。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4299号
「御用報道で洗脳される国民」 でご高読下さい。
(後 略)
湯沢平和の輪
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。
2026年1月8日木曜日
無能と見なされる論評ナシ/米国の侵略論評できない首相
米国がベネズエラを転覆させた真の理由(賀茂川耕助氏)
「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました。
トランプによるベネズエラ攻撃と大統領の拉致の蛮行は、同国の原油利権の強奪が目的といわれています。
それも勿論あるのですが 目下貿易の支払等を「米ドル決済」の代わりに「人民元で決済する方式」が拡大しつつあり、ベネズエラも重油の中国向け輸出の決済を「人民元」で行っています(中国への輸出量は全体の8割)。トランプとしては他のラテンアメリカ諸国がそれに倣うことを牽制する目的でベネズエラを攻撃したと記事は説いています。今度の米国の蛮行は中国を巻き込んだわけで今後中国がどう対応するのか注目されます。
ところで英ポンドが国際通貨としての覇権の地位を失ったのに続いて、いまは米ドルがその方向に向かっているということです。それも含め、世界の多極化がもはや止めようがなくなっているのは周知の事実です。
中国を巻き込んだトランプの今回の蛮行がどんな形で落着するのか興味が持たれます。
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米国がベネズエラを転覆させた真の理由
耕助のブログNo. 2772 2026年1月7日
The Real Reason Why the US Overthrew Venezuela
なぜ全てが2025年11月の中国で始まったのか
The Minority Report
2025年11月、香港で驚くべき出来事が起きたが、ほとんどの人はその事実を見逃した。中国が40億ドル相当の米ドル建て債券を発行したのだ。表向きはごく普通の金融取引である。しかし注文が殺到し、総額は1180億ドルに達した。30倍の応募倍率だ。世界中の投資家が中国国債を買うために、文字通り押し合いへし合いしていたのである。
ここで誰もが注目すべき点は、中国の債券が米国債よりも「低い利回り」で取引を開始したのだ。もう一度いう。世界の投資家が、中国の債務に対して米国債よりも低いリターンを受け入れていた。中国の信用格付けが米国(AA)より低い(A+)にもかかわらず。グローバル金融の階層において、これは大体、チャレンジャーブランドがコカ・コーラを高価格で上回ることに相当する。そんなことは起こらない。それが起きたのだ。
一か月後、米国はベネズエラへの介入の可能性に備え、動員を開始した。これらの出来事が無関係だと思うなら、あなたは我々の世代で最も重要な地政学的な物語を見逃している。これは半世紀にわたり米国の権力を支えてきた構造――ドルの世界の基軸通貨としての役割――が、スローモーションで崩壊しつつある話だ。そしてベネズエラは、ありえないことに、その維持をかけた戦いの最前線となった。
ドルの過剰な特権
何が問題なのかを理解するには、元フランス財務大臣ヴァレリー・ジスカール・デスタンが「過剰な特権」と呼んだ米国の特権を把握する必要がある[^1]。1944年のブレトン・ウッズ協定以来、特に1973年のサウジアラビアとの「ペトロドル」創設合意以降、米ドルは世界の主要準備通貨として機能してきた。この地位は米国に超自然的な経済力を与えている。
石油を購入したり、国際債務を決済したり、世界貿易に参加するためにドルが必要な場合、自動的に米ドルへの需要が生まれる。この需要により、米国政府は他国よりも低い金利で資金を調達できる。世界が使用せざるを得ない通貨を印刷することで、事実上赤字を賄っているのだ。これは世界経済の主要幹線道路すべてに料金所を所有しているようなものだ。議会調査局の推計によれば、この特権により米国政府は年間1000億~2500億ドルの借入コストを節約している[^2]。
より重要なのは、ドルの支配力が米国にとって最強の地政学的武器となったことだ。ドルシステムを掌握すれば、世界経済へのアクセスを支配できる。もしルールを破れば、米国はあなたをSWIFT(国際銀行通信ネットワーク)から締め出し、ドル建て準備金を凍結し、経済的破門に等しい制裁を課すことができる。2014年にロシアがクリミアを併合した際、米国はこの力を決定的に示した。そして長年にわたり、その優位性は揺るぎないように見えた。
しかし帝国も、生物種と同様に、自らの滅亡を予見することは稀だ。
静かなる革命
香港での中国国債発行は、単なる資金調達成功以上の重大な意味を持つ。JPモルガンと世界金協会の分析によれば、これは資金調達目的ではなかった。中国は3兆ドルを超える外貨準備を保有している。これは概念実証(POC)であり、ドルシステムに代わる仕組みが単に可能であるだけでなく、既に存在し機能していることを世界に示したのだ。
仕組みを考えてみよう。中国は債券販売でドルを調達し、そのドルで途上国における一帯一路プロジェクトを資金調達する。しかし肝心なのは、返済はドルではなく人民元(RMB)で設定されている。これは金融柔道であり、相手の力を逆用する手法だ。アルゼンチンを例に取ろう。2023年以降、アルゼンチンは中国との通貨スワップ協定で得た人民元を用いて、国際通貨基金(IMF)への債務の一部を返済している[^4]。ドルは一つの扉から入り、別の扉から出ていく。その間に人民元は静かにその足跡を広げた。
数字は厳しい現実を物語っている。IMFのCOFER(外貨準備通貨構成)データによれば、ドルの世界準備通貨におけるシェアは2016年の65.3%から2024年第3四半期までに59.3%へ低下した。これは1995年のデータ収集開始以来、最も持続的な減少である。[^4]
控えめに聞こえるかもしれないが、準備通貨の世界ではこれは短距離走だ。参考までに、英ポンドが支配的地位から衰退するまでには約40年、1913年から1950年代までかかった。現代の金融インフラ―デジタル決済システム、二国間スワップ協定、中央銀行デジタル通貨―はこのタイムラインを劇的に短縮しうる。
一方、中国のクロスボーダー銀行間決済システム(CIPS)は2024年に1日平均9.6兆元を処理し、前年比65%の成長を示した。[^6] 現在、このシステムは180カ国で1,700以上の金融機関を接続している。これは周辺的なインフラではない。リアルタイムで構築される並行的な金融神経系であり、四半期ごとにその能力を高めている。
ベネズエラ登場:ペトロダラーへの存亡の危機
ここで必然的にベネズエラの話になる。表面的には、米国がこの南米国家に関心を持つ理由は、権威主義や人道危機への懸念からと思われるかもしれない。しかし深く掘り下げれば、より根本的な問題が見えてくる:ベネズエラはペトロダラー体制、ひいては米国のグローバルな権力そのものに対する存亡の危機を象徴している。
ベネズエラは世界最大の確認石油埋蔵量を保有している。3030億バレルで、サウジアラビアの2980億バレルをも上回る。[^7] また2018年以降、ベネズエラは石油輸出の100%を中国に販売しており、取引はドルではなく人民元で決済されている。[^8]さらにベネズエラは2024年、BRICS+の正式なパートナー国となり、同ブロックの代替決済システム、開発資金、外交的保護へのアクセス権を獲得した。
ワシントンの視点から見て特に危険なのは、ベネズエラがドルシステムの外で単に生き延びているだけでなく、機能している点だ。米財務省が「前例のない制裁」と呼ぶものを課す中で、ベネズエラは石油生産を維持し、資金調達を確保し、貿易関係を持続させている。ドルシステムが必須ではなく選択肢であることを示す、生きた広告となっているのだ。
歴史的なパターンは明白である。2000年、イラクは石油取引でユーロのみを受け入れると宣言した。サダム・フセインは3年後に権力から追放された。[^9] リビアのカダフィ大佐は石油取引におけるドル代替として金本位制の汎アフリカ通貨を提案し、2011年にNATOが介入した。[^10] イランは2012年以降ドル以外の通貨で石油を販売しているため、継続的な制裁圧力と繰り返される軍事行動の脅威に直面している。[^11] そのメッセージは明白である。「ペトロダラーを放棄すれば、結果を覚悟せよ」
ベネズエラは単にこのパターンにおける最新の事例に過ぎないが、決定的な違いが一つある。中国による経済的支援とBRICSの制度的支援を得ている点だ。米軍の動員時期は偶然ではない。中国の香港債券がドル代替手段の実行可能性を証明したわずか1か月後である。これは帝国が致死的と認識した病原体に対する免疫システムの反応である。
ドミノ効果:なぜ一国が重要なのか
ワシントンが恐れているのはベネズエラそのものだけではない。前例とそれに続くドミノ効果についてだ。南米最大の経済大国であるブラジルは既にBRICSの正式メンバーであり、中国との貿易の25~30%を現地通貨で決済している[^12]。アルゼンチンは最近の政治的変動にもかかわらず、IMF債務を人民元で返済し続け、北京との間で大規模な通貨スワップ協定を維持している。2025年の中国銀行調査によれば、ASEAN企業の77%が中国との貿易において人民元建て融資を好むようになった。[^13]
もしベネズエラが、米国が伝統的に影響力を行使してきた地域、すなわちモンロー主義下の自国の裏庭においてBRICSパートナーとして成功すれば、他国が同様の選択を阻む心理的・現実的な障壁は崩れ去る。コロンビア、エクアドル、ボリビアなど資源豊富なラテンアメリカ諸国は、ワシントンからの経済的自立を実現するモデルを手に入れることになる。長年米国の独占的領域と見なされてきた西半球は、BRICSの経済構造へと軸足を移す可能性がある。
地政学的に見れば、これは米国の影響力にとって壊滅的である。経済的には、半世紀にわたり米国の権力を支えてきたペトロダラー体制の崩壊を加速させる。ヘンリー・キッシンジャー元国務長官が1973年にサウジアラビアと石油価格をドル建てで取引する合意をまとめた時、彼は軍事力を超えた米国の覇権の基盤を築いていると理解していた。[^14] その基盤は今、亀裂が入っている。そしてベネズエラは最も重要な断層線の一つに位置している。
多極化の瞬間
我々は歴史家が転換点と記すであろう瞬間を目の当たりにしている。一極的なドル支配の世界から、多極的で複数通貨が共存するシステムへの移行だ。BRICSプラス連合は現在、世界人口の45%、購買力平価ベースの世界GDPの35%、世界石油生産量の30%を占める[^15]。これらは周辺的な存在ではない。西側主導の制度に対抗する並行する制度を構築しているのだ。
上海に本部を置く新開発銀行は、320億ドル以上の融資を実行しており、その内訳はドル建てから現地通貨建てへの割合が増加している。[^16] アジアインフラ投資銀行は2026年に香港事務所を開設する計画を発表し、同市のオフショア人民元ハブとしての役割をさらに強化した。[^17] これらの機関は、IMFや世界銀行が長年提供してきたものを発展途上国に提供するが、政治的条件を付けず、ドル依存を減らす通貨オプションを備えている。
おそらく最も示唆的なのは中央銀行の行動だ。新興国の中央銀行は1960年代以来のペースで金を買い増しており、2025年最初の9ヶ月だけで634トンに達した。[^18] 中央銀行がこれほどの速度でドル準備から金を購入して分散投資する時、彼らは実質的に金庫で投票している。ドルが唯一の選択肢ではなく、複数の選択肢の一つとなる世界への備えをしているのである。
今後の選択
中国の債券発行とベネズエラ情勢の悪化は、文字通り表裏一体である。一方はドル覇権に代わる経済的選択肢が実現可能で魅力的であることを示している。もう一方は、米国が軍事力の脅威や行使を通じてドルの支配力を依然として維持できるかどうかを試している。
その結果は、現代を定義する地政学的な問いへの答えを導くだろう。米国は、自国が依然として強大でありながらも支配的ではなくなる多極的な通貨世界を容認できるのだろうか?それとも戦うのか?つまり1945年以来自国に有利に働いた一極体制を維持するために、経済的・政治的、そして場合によっては軍事的な手段で。
歴史は、覇権国がその優位性を容易に譲らないことを示している。大英帝国はポンドの国際的役割を維持するため、二度の世界大戦を戦った。移行は最終的に避けられなかったが、平穏でも円滑でもなかった。今日の移行には固有の危険が伴う。核兵器、相互に結びついたグローバルサプライチェーン、そしてデジタル市場における金融伝染の拡散速度によって、その危険は増幅されている。
しかしここには機会も存在するが、それには米国の政策立案者にとって心理的に困難な思考の転換を必要とする。多極的な通貨システムは、近年加速している金融の「武器化」を減らすことで、むしろ世界の安定を高める可能性がある。経済的排除が生存に関わる脅威でなくなり、代替手段が存在すれば、各国はあらゆる意見の相違を生存をかけた戦いと見なす動機が弱まるのだ。
金の流れを追え
次に米国のベネズエラ外交政策について耳にする時は、民主主義や人権といった表向きの正当化理由を超えてみてほしい。それらは偽りの表看板に過ぎない。代わりに金の流れを追い、石油を追い、その石油の価格を決定する通貨を追い、そして米国が75年間支配してきたシステムに代わる新たな枠組みを構築している国々を追え。
中国の40億ドルの債券は、30倍の応募倍率を記録した。これはドルシステムからの出口が単に開いているだけでなく、大きく開かれ、その先の見通しがますます魅力的であることを世界に示した。ベネズエラはその扉をくぐった。問題は今、米国が力ずくでそれを引き戻そうとするかどうか、そしてその選択が既に分断されつつある世界秩序にどれほどの代償を強いるかである。
帝国の終焉は、轟音とともに訪れるのではない。それは債券の目論見書と、風向きを示す需要超過率によって静かに幕を下ろす。注視せよ。これは歴史の実況中継であり、ベネズエラははるかに大規模なゲームの序章に過ぎないのだ。
Footnotes and Sources
(後 略)
08- ベネズエラが「一転、態度軟化」の意味 国際ジャーナリスト伊藤千尋の眼
「レイバーネット日本2.0」に掲題の記事が載りました。
伊藤千尋氏は、新大統領になったデルシー・ロドリゲスが「米国に協力する」と表明したことで、「ベネズエラが米国の武力に完全に屈服したと考えがちですが、それは違っていてラテンアメリカの政治は想像以上にしたたか」と述べ、
「デルシー・ロドリゲスはチャベス時代の社会改革の正統派であり経済の実情にも詳しく、しかも柔軟、現実的な政治家であり、彼女が政権を握ったことはベネズエラにとってむしろ良かったと思っている」と期待しています。
しばらくは混乱が予想されるものの、ベネズエラの近未来には希望が持てるという内容になっています。
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国際ジャーナリスト伊藤千尋の眼:ベネズエラが「一転、態度軟化」の意味
レイバーネット日本2.0 2026年1月6日
今朝の新聞はいっせいに、ベネズエラの新政権が「米国に協力する」と表明したことを伝えています。これを見てベネズエラが米国の武力に完全に屈服したと考えがちですが、それは違います。ラテンアメリカの政治は想像以上にしたたかです。
副大統領から新大統領になったデルシー・ロドリゲスはチャベス時代の社会改革の正統派であり経済の実情にも詳しく、しかも柔軟、現実的な政治家です。彼女が政権を握ったことは、ベネズエラにとってむしろ良かった、と僕は思っています。マドゥーロは社会主義の精神論を振りかざすだけで、日本風に言えば「大和魂で苦境を乗り切ろう」と叫ぶだけのような面がありました。このためマドゥーロ時代のベネズエラはひたすら下降した。先の投稿で僕がマドゥーロを評価しないと言ったのは、このためです。
ロドリゲス新大統領は3日に「だれの植民地にもならない」と発言し、4日には「米政府と協力する」と言ったため、新聞各紙は「一転して態度を軟化」とか「対米協力を表明」と書きましたが、別に「一転」したわけではありません。彼女は「国民は戦争ではなく平和と対話を必要としている」「国際法の枠組みの下で私たちと協力するように米国政府に要請する」と語っています。協力するとは言っても「米国に従う」とは言ってません。あくまで主権はベネズエラの側にあるという意志の表明で、筋は一貫しています。
マドゥーロがいとも簡単に拘束された背景には、米CIAの周到な準備がありました。マドゥーロの警護隊幹部を多額のカネで買収し「米国での豊かな生活」を保障したことが指摘されています。カネにつられて警護隊がマドゥーロを裏切ったわけで、そうでなければたった2時間ほどで戦闘が終わるわけがありません。言い換えれば、マドゥーロは部下から離反されるような人物だったということです。
それはしかし、カネでつられるようなベネズエラ体制の弱さを露呈したことでもあります。経済危機が続き、マドゥーロの側近でさえ生活困難に陥ったのです。一般国民はもっと苦しかった。この危機をなんとか打開したいという気持ちをとりわけ持っていたのがロドリゲスらチャベス時代からの政治家たちでした。そこに突然、マドゥーロが連れ去られ重しがなくなった。その点はひそかにチャンスだと思ってるかもしれない。
「一転」と言えば、米国もまた態度を一転しました。トランプは「アメリカがベネズエラを運営する」と、占領軍として統治するような発言をしましたが、ルビオ国務長官は「政策を運営するということだ」と修正しました。米国がベネズエラを統治できるわけがない。陸軍を派兵すればゲリラ的な反撃を受けるのは目に見えています。そこでロドリゲスの新政権を操りながら米国の意に沿う政治をさせようという意図です。
しかし、ロドリゲスはマドゥーロの最側近でした。なぜ彼女を協力相手に指名するのか。あの「ノーベル平和賞をトランプに捧げます」と言った野党の指導者マチャードを担げばいいではありませんか。ところがトランプはにべもない。「彼女は国内で支持も尊敬も得られていない」と否定しました。使うだけ使ってもはや無益と見ればポイ捨てする。米国の大企業の労働者対策そのものです。高市首相も気をつけた方がいい。これが米国流のやり方です。
つまり米国もこれまでの反政府派ではベネズエラを統治できないことを認めたのです。ベネズエラが混乱に陥って再び米軍を出動させるのは、トランプにとっても得策ではない。イラクやアフガンの二の舞ですから。ここはロドリゲス新政権になんとか国内をうまく平穏に保ってほしい。そうなるとロドリゲス政権の主張にも配慮しなければならない。ここがロドリゲス政権の強みになります。米国の言うなりにはならないことをそのつど示すでしょう。
今後は一見すると米国に従うように見えながら、実は自国に有利な政策をあの手この手で進める姿が目に浮かびます。これを機にいわば米国をうまく利用して経済危機を打開しようと考えるでしょう。さらに米国を「後ろ盾」に、マチャードらこれまでの反政府派を取り込んでいこうとするかもしれない。「面従腹背」どころか「手玉にとる」ということを狙うでしょう。
トランプが狙うのは石油の利権です。米国の石油メジャーが乗り出していったん国有化された石油を再び米国企業が手に入れる事態も招くでしょう。しかし、マドゥーロの下で疲弊した石油産業の再建には多額の資金が必要で、10年はかかると言われます。それを米国企業にやらせ、やがてはじわじわとベネズエラの利益になるよううまく道筋をつけるやり方を模索し実行するのではないか。かつて石油相をしたロドリゲス新大統領はそれを虎視眈々と狙っているようにも思えます。そういえばマドゥーロはロドリゲスを「虎」に例えていました。
ラテンアメリカは作家ガルシア・マルケスが描いたように何が起きるかわからない世界です。政情の安定からは程遠い。民衆は支配に対して黙って従うのではなく、あの手この手で果敢に抵抗してきました。パッと見た目にふりまわされるのではなく、現に何が行われているのかをもって判断したいものです。政権移行ですから、もちろん簡単ではない。マドゥーロの支持者が騒ぎを起こすことだって当然、考えられます。それ以上に反政府側は主導権を握ろうとする動きを強めるでしょう。しばらくは混乱が予想されます。
2026年1月7日水曜日
高市首相の台湾発言を受け、中国が日本への特定品目の輸出を禁止
「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました。
中国商務省は6日に発表した声明で、日本に対し民生用と軍事用の両方の用途がある「物品」、「サービス」、「技術」に対する広範な制限が即時発効されると述べました。ここでいう「物品」にはレアアース、先進的な電子機器、航空宇宙および航空部品、ドローン、核関連技術などが含まれます。
特にレアアースは、日常の電子機器や車両から、F-35戦闘機のような先進的な武器システムまで幅広い製品に不可欠な材料で、日本経済の重要な柱である自動車産業にも「制限」の程度よっては重大な支障が生じます。
中国商務省の報道官は、「新たな制限は、髙市氏の中国の内政に対する露骨な干渉が『一つの中国の原則』を深刻に侵害するもので、その影響は極めて有害であるから」と明言しています。
「高市ファン」は高市氏が中国を激怒させれば大喜びして賞賛するようですが、そんなものに自信を得て中国の怒りに無頓着であるならば取り返しのつかないことになります。
そもそも隣国と友好関係を結ぶことに無関心な人間に、憲法9条を掲げている国の首相の任は務まりません。
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高市首相の台湾発言を受け、中国が日本への特定品目の輸出を禁止
耕助のブログNo. 2773 2026年1月7日
Japanese PM’s Taiwan comments prompt China to ban certain exports to Japan
By John Liu
香港 — 中国は、日本の首相が台湾に関して最近発言したことを受けて、軍事目的に使用される可能性のある一部の希土類元素やその他の品目の輸出を禁止した。この措置は、両国の緊張関係をさらに悪化させるものだ。
中国商務省は1月6日に発表した声明で
https://www.mofcom.gov.cn/zwgk/zcfb/art/2026/art_8990fedae8fa462eb02cc9bae5034e91.html
デュアルユース物品(民生用と軍事用の両方の用途がある物品、サービス、技術)に対する広範な制限が即時発効されると述べた。商務省は影響を受ける輸出品を具体的に示していないが、同省が発表したデュアルユースカタログには、レアアース、先進的な電子機器、航空宇宙および航空部品、ドローン、核関連技術などが含まれている。
レアアースは日常の電子機器や車両から、F-35戦闘機のような先進的な武器システムまで、幅広い製品に不可欠である。今回の規制が日本に及ぼす影響の程度はまだ明らかではない。
髙市早苗首相が11月に国会で「中国の台湾侵攻は日本の存立危機事態であり、東京からの軍事的対応を引き起こす可能性がある」と発言して以来、両国の関係は急速に悪化している。
中国の共産党は台湾を自国の領土と主張しているが実際に支配したことは一度もない。必要なら武力行使も辞さないとして台湾併合を公言している。
高市の発言以降、北京は日本に発言撤回を迫るため、中国への航空便削減、中国国民への日本渡航・留学警告、日本産水産物輸入停止など一連の経済措置を発動した。
中国商務省の報道官は、新たな制限は髙市の「誤った」発言に対するものであり、「国家の安全と利益を守るため」に課されたとし、「これらの発言は中国の内政に対する露骨な干渉であり、一つの中国の原則を深刻に侵害し、その性質と影響は極めて有害」と1月6日の声明で述べた。
同省は声明で、輸出制限に違反したあらゆる国の組織や個人は法的責任を問われると付け加えた。
CNNは日本の経済産業省にコメントを求めている。
中国はレアアースサプライチェーンにおける世界的な支配力を利用して、トランプ大統領が昨年引き起こした貿易戦争の中でこれらの輸出に対する管理を強化した。この動きは、世界中の産業、特に日本経済の重要な柱である自動車産業に混乱をもたらした。
これは、中国が日本に対してレアアースの輸出を武器化したのは初めてではない。2010年にも、中国は尖閣諸島(中国名:釣魚島)近くでの中国漁船船長の逮捕を引き金に、日本へのそのような出荷を制限した。
https://edition.cnn.com/2026/01/06/business/china-japan-export-controls-intl-hnk
07- 想像以上に酷いトランプ外交政策の狂気
「マスコミに載らない海外記事」に掲題の記事が載りました。
ベネズエラ空爆と同国大統領拉致に代表されるこのところのトランプの外交政策(軍事作戦)は、まさに「想像以上に酷い狂気」と呼ぶしかありません。
同大統領を米国法廷の被告人にした上で、今後はベネズエラの世界一といわれる埋蔵量の重油採掘と精製を「運営」すると公言しているのですから、傲慢を絵に画いた態度です。過去の経緯はあるにしても、です。
要するに麻薬云々というのは世界の目を欺くための口実で、重油利権の獲得こそが狙いだったのですが、それは中露の既得の利権でもあるのでそれを強引に奪えるという保証はありません。
一方、イスラエルのネタニヤフがトランプにイランとの戦争に合意するよう盛んにけしかけているそうですが、トランプはそれには抵抗をしているということです。せめてそれだけでもいいので世界が納得する態度を貫いて欲しいものです。
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想像以上に酷いトランプ外交政策の狂気
マスコミに載らない海外記事 2026年1月 6日
マーティン・ジェイ 2026年1月5日
Strategic Culture Foundation
彼の愚かなお仲間には対ベネズエラ奇策が麻薬密売に関するものだと本気で信じている人がいるのだろうか?
最近ベンヤミン・ネタニヤフ首相がトランプのねぐらを訪問したことで、トランプ就任以来六度目の一対一会談になる。これは様々な意味で示唆に富む事実だ。肝心なのは、アメリカとイスラエルはイランと戦争する必要があるとビビ(⇒ネタニヤフ)がトランプを説得するのに苦戦している点だ。トランプはこの動きに抵抗している。中東における新たな「永遠戦争」にアメリカを引きずり込むシナリオは、世界中で外交政策の失策が裏目に出て、幾度となく窮地に追い込まれているトランプにとって魅力的ではない。ベネズエラを出港した石油タンカーを拿捕するトランプの非道な公海海賊行為を受けて、既に複数戦線で新たな紛争が勃発していると指摘する評論家もいる。
対イラン戦争はアメリカにとって全く意味をなさない。おそらく敗者になるだろう。イラン政策の失敗で任期を終えたジミー・カーター大統領と同じ運命をトランプは辿りたくないのだ。これはまた、昨年6月、イラン核施設爆撃開始が成功したというトランプ自身の妄想的主張の維持にも繋がる。もしイスラエルのイラン攻撃を、たとえ間接的であれ、例えば空中給油といった形で支援するのに彼が同意すれば、メディアの激しい反発は計り知れないものになるだろう。それは、今トランプにとっては最も避けたい事態だ。
興味深いのは、トランプが米軍を中東に派遣したくないことだ。中東は、普段から彼は全く無知で、何とも理解が及ばない分野だ。やや滑稽なことに、これは他の地域で米軍の力を誇示するのを彼が望まないという意味ではない。これは、彼のいわゆる「反戦」姿勢について我々が信じ込まされてきたイメージとは正反対だ。
ベネズエラにおけるトランプ大統領の現在の動きは特に懸念される。中国行きベネズエラ産石油タンカーの拿捕は、火遊び以外何物でもないとしか思えない。これはトランプ大統領にとって、これまでで最も大胆かつ危険な策略と言える。中国が黙って受け入れるはずはなく、昨年の関税脅迫への対応と同様、報復措置に出ても驚くべきではない。アメリカあるいは同盟国のタンカーを中国が拿捕するなど同様報復措置に出ることは容易に想像できる。中国にはそのための手段と技術と軍事装備がある。そうしない理由などあるだろうか?
問題はトランプの脆弱な自尊心だ。以前中国が関税引き上げをちらつかせ、ドル安を加速させ、アメリカによる希土類元素購入を制限した際、譲歩したのは当然の選択だった。だが中国がアメリカの石油タンカーを拿捕すれば、メディアの注目は高まり、トランプが静かに撤退するのは遙かに困難になる。虚栄心と感情次第で一日も経たないうちに変わることもある気まぐれで子供じみた意思決定は、中国との対立では余りに危険すぎる。
トランプは横暴な男だ。インドや、南米諸国などの小国に喧嘩を売るのが好きで、抵抗がほとんどないと思われる場所で影響力を行使する。だが中国は違う。急成長を続ける経済が燃料安全保障にかかっている新興超大国だ。その計画に水を差すのは正気の沙汰ではない。そして彼が有能な人物から助言を受けていないことも露呈している。マルコ・ルビオはホワイトハウス高官の中でも最も無能で滑稽な外交政策のまぬけと言えるだろう。
本当の懸念は、これまで同様、誤算と、それに続くエスカレーションの悪循環で、それは取り返しがつかないものだ。1970年代と80年代には、ニクソンやカーターやレーガンといった大統領でさえ、この地域に経験豊富な外交官を派遣し、衝動的発言をする大統領連中を安全策として支えていた。今日、外交はジャーナリズムより効果が低い場合が多く、最近イギリス政府は、十代の若者をモロッコの新大使に任命した。外交官たちはソーシャルメディアに夢中で、存在感を維持するのに苦労する役人になっている。つい先日、トランプ大統領は自身の政治的見解に沿わない外交官を30人解雇した。これは特使がもはや重要なパイプ役ではなく、単なる取り巻きやイエスマンになっていることを示している。
トランプの問題は、国際外交が彼の救いの手になり得たにもかかわらず「トランプ第一、イスラエル第二、アメリカ第三」という彼の姿勢が注目され始め、悲惨な結果を招いていることだ。例えば、最近日本は米国債の売却を開始した。一般のソーシャルメディア・ユーザーでさえ点と点を結びつけている。トランプのベネズエラ、ナイジェリア、グリーンランド介入は、いずれも石油や鉱物資源が豊富な地域を標的としている。このパターンを見抜くのに天才である必要はない。
ベネズエラでの策略が本当に麻薬密売対策のためだと信じている人などいるだろうか? イランに対してネタニヤフ首相は石油カードを切っているのかもしれないが、ビビがアメリカを戦争に引きずり込むには汚い手を使う必要があるのは明らかだ。おそらくイランにイスラエルを攻撃させて、親イスラエルの闇の国家(⇒ディープステート)がトランプに牙をむくのを傍観する形で。トランプにとっては、ベッドの下にサソリを潜めて寝る方が、彼が好んで主張する偽の勇ましさでロビー団体と対峙するよりもましなのかもしれない。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/01/05/madness-of-trump-foreign-policy-its-worse-than-you-think/