2025年7月14日月曜日

米主導ガザ配給所 798人死亡/イスラエル首相への逮捕状取り下げ要求 米

 しんぶん赤旗に掲題などの3つの記事が載りました。
 ガザに対する食糧の配給が米国系の配給所のみに限定されてから、食料を取りに行くだけで銃殺されるという「死のわな」、「この世の地獄」の状態は全く改善されずに、6週間で少なくとも798人が殺害されました。この事態に対して、米英などの西側諸国からは何のクレームも出ないという「完全な異常事態」も全く改善されていません。

 それとは別に、トランプ米政権がICCに対してイスラエルのネタニヤフ首相らの逮捕状や同国に対する捜査を取り下げるよう求めていたことが明らかになりました。また米政府は9日、パレスチナ人に対するイスラエルの人権侵害や国際法違反を厳しく指摘してきたアルバネーゼ国連特別報告者に制裁を科すと発表しました。これほどに非道なことはありません。

 ガザ地区での集団殺害を告発してきた国連特別報告者のフランチェスカ・アルバネーゼ氏はイタリア出身の国際弁護士です。彼女は11日、米国に対して「マフィアを想起させる手法だ」、「これは強さの表れではない。帝国がいかに弱く、衰退しているかを示すものだ」、「米国は正義にアレルギーを持つ国になっている」、「彼らはガザで進行中のジェノサイドについて真実を語ろうとする人ならだれであろうと脅迫しようとしている」と非難しました。
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米主導ガザ配給所 798人死亡 国連・過去6週間で
                       しんぶん赤旗 2025年7月13日
 国連の人権高等弁務官事務所(OHCHR)は11日、パレスチナ・ガザ地区での「ガザ人道財団」(GHF)の食料配給所で、6週間で少なくとも798人が殺害されたと明らかにしました。ロイター通信が報じました。
 OHCHRのシャムダサーニ報道官はジュネーブでの記者会見で、「(5月27日から)7月7日までに、配絵所付近で615人、配給所への途上とみられる183人を含む798人の殺害を記録している」と述べました。
 GHFは、国連主導の人道支援の枠組みを避け、米国の民間警備会社や運送業者を使い、イスラエル軍の管理地域で食料配布を行っています。
 OHCHRは、ガザの病院、墓地、被害者の遺族、パレスチナの保健当局、NGOや現地のパートナー組織などからの情報に基づく死者数だと指摘。ほとんどの負傷は、配給所付近での銃撃によるけがだったと明らかにしました。「食料など必要不可欠な物資を受け取ろうと行列をつくっている場所で、さらなる残虐犯罪が行われる危険がある」と警告しています。


イスラエル首相への逮捕状取り下げ要求 米代表、ICC加盟国に脅し
                       しんぶん赤旗 2025年7月13日
【ワシントン=肩口昇幸】ニューヨークの国連本部で8日に開かれた国際刑事裁判所(ICC)の締約国会議で発言したトランプ米政権の代表が、ICCに対してイスラエルのネタニヤフ首相らの逮捕状や同国に対する捜査を取り下げるよう求めていたことが明らかになりました。
 米政府は9日にも、パレスチナ人に対するイスラエルの人権侵害や国際法違反を厳しく指摘してきたアルバネーゼ国連特別報告者に制裁を科すと発表しており、イスラエル擁護と国連機関への敵意があらわとなっています。
 仏紙ルモンド(電子版)やネットメディアの報道によると、米国務省のルービンスタイン法律顧問は、締約国会議で「米国と同盟国イスラエルに対するICCの全ての捜査と逮捕状をやめることを期待する」と述べました。米国やイスラエルはICCには未加盟。同顧問はオブザーバーとして出席し、許可を得て発言しました。
 オランダのハーグに本部を置くICCは昨年11月、イスラエルのガザでの軍事攻撃に関連して、ネタニヤフ氏やガラント前国防相に戦争犯罪などの容疑で逮捕状を発出しました。またアフガニスタンでの米兵による戦争犯罪についても捜査を行っています。
 ルービンスタイン氏は、ガザでの戦争犯罪についての現在進行中の捜査や逮捕状を取り下げなければ、「全ての選択肢がテーブルの上にある」「ICCの行き過ぎを阻止するために、適切で効果的な外交的、政治的、法的手段をとる」と威嚇的な発言を行いました。
 同政権はすでにICCのカーン主任検察官や裁判官4人を制裁対象に指定。裁判官4人は、ネタニヤフ氏への逮捕状発出のほかに、米兵の戦争犯罪捜査を巡る決定に関わったために標的とされました。
 ジョージタウン大学法科大学院の人権研究所責任者エリサ・マッシミーノ客員教授は、米メディアに「米国のこのような態度や脅しは裏目に出て米国の影響力をはるかに低下させる可能性が高い」と述べました。 


米の制裁マフィア想起 国連特別報告者「帝国の衰退示す」
                       しんぶん赤旗 2025年7月13日
 イスラエルによるガザ地区でのジェノサイド(集団殺害)を告発してきた国連特別報告者のフランチェスカ・アルネーゼ氏は11日、トランプ米政権が同氏に制裁を科すと発表したことについて「マフィアを想起させる手法だ」と批判し、「これは強さの表れではない。帝国がいかに弱く、衰退しているかを示すものだ」と語りました。イタリアのテレビ局「スカイtg24」のインタビューで語りました。アルネーゼ氏はイタリア出身の国際弁護士です
 アルバネーゼ氏は「米国は正義にアレルギーを持つ国になっている」と非難。
彼らはガザで進行中のジェノサイドについて真実を語ろうとする人ならだれであろうと脅迫しようとしている」と指摘しました
 またイスラエルによるレスチナ人の恣意(しい)的拘束やジェノサイドに関する国連報告書を複数回書いて責任を追及してきたことに触れ、「イスラエルのネタニヤフ首相は国際刑事裁判所で裁かれなければならない」と改めて強調しました。
 米国による制裁の影響については「彼らは成功しないだろう。私は背筋を伸ばして仕事を続ける」「ガザでのジェノサイドの終結を求める無数の人々とともに頭を上げて仕事をしていく」と表明しました。

トランプ関税の戦略的正体 - 交渉継続しても合意はない、関税率を上げられるだけ

 世に倦む日々氏が掲題の記事を載せました。
 記事はタイトルの通り、「トランプ関税の戦略的正体」を明らかにしていて、「トランプ関税」は「トランプ減税」と表裏一体をなすもので、「トランプ関税」が恒久的なものであることを明らかにしています。
 その概要は下記の通りです。
 トランプは7月4日に「トランプ減税」を成立させました。それは24年の大統領選挙で公約したもので、トランプ政権1期目に実施された個人所得税の減税措置を恒久化するものです。
 減税の対象は、チップや残業代への課税免除、法人税率の引下げ、児童税額控除の拡充や、相続税・贈与税の基礎控除の引き上げなど多岐に渡るもので、その減税額のトータルは10年間で約3兆4000億ドル(日本円で490兆円余り)財政赤字が拡大するという試算を米議会予算局が公表しています。
 トランプ減税」は、個人消費が刺激され経済成長を加速させるという真っ当なものではあるのですが、一方で財政赤字が拡大するので 世に倦む日々氏はその穴埋めを「トランプ関税」による海外からの収奪で行おうとするものなので「恒久的なものになる」と断言します。極めて明快な論理です。
 では日本はどう対処すべきかについてですが、世に倦む日々氏は「中国がレアアースという切り札を使って有効に反撃し逆襲したように、日本も切り札を使って拒絶の意思を示すことだろう。他の国と違って日本は威力ある武器を所有している。日本が韓国と一体になって拒否の姿勢を貫けば、他の国も倣うだろうし、トランプ関税は挫折するだろう。勇気を出せるかどうかという問題だ」と述べます。しかし何故かその「切り札」が何であるかについては明記していません。
 因みに日本の米国債保有高は世界一で1兆1308億ドル(約165兆円)に上ります。従ってそれである可能性は高いのですが・・・
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トランプ関税の戦略的正体 - 交渉継続しても合意はない、関税率を上げられるだけ
                       世に倦む日日 2025年7月10日
7/8、トランプが日本への相互関税を25%にすると発表。8/1 から実施され、現在10%の関税が15%上乗せされる。元々は 7/9 が期限だったので交渉期間が3週間ほど延びた形になったが、一方的で恐喝的で独善的な通告であり、日本側がめざす「パッケージでの合意」とは程遠い不当な仕打ちだ。赤沢亮正が4月から7回も訪米してベッセントやラトニックと協議してきたにもかかわらず、交渉は全く大筋合意に近づいておらず、歩み寄りしていなかった。トランプによる威圧的で制裁的な措置の押しつけばかりであり、日本は侮辱され嘲弄されている。マスコミ報道を見ると、「予想以上に日本が粘り腰で譲歩しないのでトランプ政権も焦っている」とか、「アメリカ側の姿勢が変わるまで安易に妥協せず交渉を続けるべし」という論評が多い。石破政権の現在の交渉手法を評価し、時間が経てば状況が好転して双方が一致できるだろうという甘い見方を示している

私の認識は違う。トランプ関税の政策は、一見すると、場当たり的で非常識で一貫性がなく、通商政策としての論理性と合理性を欠き、経済政策として矛盾しているため、強行すると破綻しやすいもののように見受けられる。表象としては確かにそう見えるし、そう断定していいかもしれない。だがひょっとして、トランプ関税には、別の恐ろしい戦略が布石され遂行されているのではないか。それは何かと言うと、前嶋和弘も触れているニューノーマル⇒新しい常態)である。具体的に述べよう。まず、すでに日本には10%の関税がかけられている。4月に賦課が開始されて3か月経った。アメリカ市場への依存度が高い輸出企業においては、すでに少なからずインパクトが出ていて、NHKのニュースで製造業の中小企業が紹介され、経営者が先行きへの不安を深刻に語る場面が頻出している。設備投資ができない、雇用を増やせない、賃上げに慎重にならざるを得ない、等々の悲観論が拾われてきた

現状、日本企業は10%の関税率上昇の打撃と障害を企業努力で吸収し、円安の恩恵もあって大きな悪影響を出さずに凌いでいる。が、この経営的事実は、別角度から見れば、日本企業がアメリカの過剰収奪に耐えて経営を持続する耐性を涵養している姿であり、領主の苛斂誅求を貧苦の閾値で耐える封建農奴と同じだ。トランプはこの図をニューノーマルにする戦略で動いている可能性があり、つまり、日本側が粘り腰で交渉期限を延ばすに連れ、関税率を10%から15%に、20%に引き上げて行き、日本企業の耐性を高めさせ、乾いた雑巾を絞り上げる体質を強めさせ、ニューノーマルに慣れさせる思惑かもしれない。日本政府は、アメリカと交渉して納得できる合意をめざしているつもりでも、企業の方が渋々と自らトランプ関税をインプリメント⇒実行)し、それを恰も「特別法人税」の如く前提的に企業会計の損益決算に織り込み、乾いた雑巾を絞って生き抜く経営にシフトするかもしれない

以上が、懸念される日本にとってリスクの一点だが、もう一点ある。それは、7/8 に関税率を提示されたアジア諸国が、ベトナムのようにアメリカと先に合意してしまう展開だ。今回、マレーシア25%、インドネシア32%、タイ36%、カンボジア36%、ラオス40%、ミャンマー40%、バングラデシュ36%と各国の関税率が発表された。ベトナムは、アメリカ製品の輸入は0%で、ベトナム製品の輸出は20%という不平等な条件で 7/2 に合意してしまっている。時間をかけたくなかったのと、20%なら国益を守れるという見込みが立ったのだろう。中国の対米交渉を睨んだ上での妥協にも窺える。東南アジアの国々は、基本的にベトナムと似た経済構造と水準であり、アメリカに対して弱い立場という事情も同じで、トランプ関税への対処も同じ選択をしておかしくない。もしこれらの国々が次々とアメリカと妥結を急ぐ進行となった場合、日本だけが取り残される不利な形勢となる

自由な交渉の余地がなくなる最悪の事態になりかねない。それが第二のリスクである。今回、大国である中国インドは独立不羈の姿勢を見せ、トランプ関税に屈服せず勇敢に抵抗する構えに出た。だが、弱小でアメリカ市場に頼る国々はそうはいかない。東南アジア諸国は、日本の対米交渉の行方を注視しつつベトナム方式(損切りの抜け駆け)の準備を進めるだろう。今回、薄々見えて来たのは、トランプ関税の戦略的正体である。仮説を立てれば、トランプ関税の真の狙いはシンプルに金銭(money)のアマウント⇒取引金額)であり、日本に米国製自動車の輸入を拡大させるとか、コメ輸入を自由化させるとか、造船技術を提供させるとか、LNGの開発と輸入とか、そうした言わば定性的な通商項目ではないのだ。個々の国々との通商関係の再構築をめざしておらず、それを成果や目標として想定していない。シンプルに make money であり、金銭をぶん捕ること、諸国からみかじめ料をふんだくる仕組みを作ることだ

トランプ関税の本質は、最初から言われているとおり、やくざのカツアゲであり、弱者を暴力で脅して金銭を巻き上げることだ。各国に示した関税率はみかじめ料の料率である。そうして集めた関税のアマウントを国内のトランプ減税政策の財源に充てるのであり、トランプ減税の柱であるところの個人の所得減税の恒久化を実現する財源に振り向けるのである。恒久化措置だから、この先ずっと穴埋め財源が必要であり、国内で調達できないゆえに、海外に徴税して税収を得ようとするのだ。それがトランプ関税の真相であり、トランプ関税とトランプ減税は表裏一体の関係にある。報道によると、今回成立したトランプ減税法案によって、10年間で約3兆4000億ドル、日本円で490兆円余り、財政赤字が拡大するという試算をアメリカ議会予算局が公表している。すなわち毎年50兆円の財源が必要なのであり、トランプ関税はその歳入を充たす海外徴税なのだ。トランプは、アメリカに税金を払えと諸国に言っているのであり、車を買えとかコメを買えというのは本質的な要求ではない

国内のマスコミ論者は、第一のリスクも第二のリスクも指摘せず、ただ粘り強く交渉を続けろと言うだけだけれど、戦略もなく、胆力もなく交渉を続けても、トランプ側の戦略の術中に嵌って時間を無駄にするだけではないか。日本のマスコミは、7/20 から始まる政局とトランプ関税との関係についても正直に解説しない。今回の参院選が自民党大勝という結果に終わるはずがなく、仮に自公が50議席を維持できたとしても確実に政局の騒動が勃発する。石破おろしの動きが始まる。7/21 から 8/1 までは11日しかない。国内が政局で混乱すれば、対米交渉する主権行使の責任主体は蒸発し、自動的に25%の税率賦課となってしまう。トランプの戦略目的を考えれば、ひとまず15%とか20%にして交渉継続の形にするだろう。企業は、アメリカでの現地生産に変えるとか、国内工場をリストラするとかの決断を強いられ、一気に景気は真っ暗になるはずだ

トランプ関税の政策というのは、対等な国と国との貿易交渉や関税協定の形態ではなく、通商政策の実体ではない。強請⇒ゆすり)であり帝国主義の侵略である。したがって「パッケージでの合意」などはない。関税率の押しつけだけがあり、脅しながら、翻弄しながら、言いがかりをつけながら、じわじわと恐喝徴税(みかじめ料)をつり上げて行くだけだ。弱者である相手を恐怖で支配して理不尽な要求を通すのであり、学校でのいじめと同じだ。これに対処するには、中国がレアアースという切り札を使って有効に反撃し逆襲したように、日本も切り札を使って拒絶の意思を示すことだろう。他の国と違って日本は威力ある武器を所有している。日本が韓国と一体になって拒否の姿勢を貫けば、他の国も倣うだろうし、トランプ関税は挫折するだろう。勇気を出せるかどうかという問題だ。本来なら、選挙など悠長にやっている場合ではなく、与野党が協調して一時休戦し、トランプ関税に対する対抗策を一致結束して緊急に纏めるべきなのだ

製造業を守る決意をしなくてはならず、今のまま交渉を継続しても打開の道はない。トランプの目的はストレートに金銭(money)であり、国内の個人所得減税(富裕層減税)の財源作りである。帝国主義の戦略の強制的徴税なのだから、「パッケージの提案」だの言っても無駄なのだ。逆に、現在の交渉を継続すればするだけ日本はトランプの術中に嵌る。罠にからめとられて餌食にされる。イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」に迷い込んだ客と同じ運命になる。7/9 昼、石破茂は「なめられてたまるか」と反発し、25%関税の無礼な一方的通告に対して怒りの態度を見せた。日本を格下の属国扱いし、日本首相をポチ犬と見ているトランプは、この事実を見逃さないだろう。参院選を機に、石破失脚工作の怒涛の攻勢に出るのは必至で、石破茂も、その襲撃を見越した上で反逆と憤激の言葉を発したに違いない。政治家として覚悟を決めたのなら、全力で闘争しないといけない。窮鼠猫を噛む局面を作って流れを変えないといけない。

日本人の矜持と底力を世界に証明しないといけない。

成らぬは石破の為さぬなりけり(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 別掲の「世に倦む日々」のブログでは、米国は「トランプ減税」の実施に伴って財源の補填が必要になるために「トランプ関税」に踏み出した旨を明らかにしました。
 しかし本ブログでは、「消費税を5%に下げ」てもそれに見合う財源はすでに実績において自然増税収17兆円/年が得られているので、全く問題にならないことを明らかにしています。
 そして石破首相が主張する「消費税減税には1年かかる」というのは虚偽なので、単に首相が「1ヶ月で実施する」と決めれば済む問題と述べています。これで「消費税を5%に下げる」ことには何の問題もないことが明らかにされました。あるとすれば財務省が面子の上で困るということだけで、それこそはまさに何の正当性もない「歪んだ省益」に他なりません。
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成らぬは石破の為さぬなりけり
              植草一秀の「知られざる真実」 2025年7月12日
石破首相が消費税減税について「1年かかる」として反対している
内閣総理大臣として失格。「かかる」と発言するのは「傍観者」。
行政権はどこに属するか。日本国憲法第65条 行政権は内閣に属する 消費税減税を実施する場合に1年で実施するか、1ヵ月で実施するか。決定するのは行政権を持つ内閣。
「1年かかる」ではなく「1年かける」が正しい表現。
たかが消費税減税を実施するのに1年も時間をかけるのかということ。

行政の事務についての表現を「かかる」とするのは、財務省にお伺いを立てていることを意味する。あるいは、財務省から命令されているということ。
内閣総理大臣の判断で「1ヵ月でやる」と決めればよいだけのことである。
「為せば成る 為さねば成らぬ なにごとも成らぬは 人の為さぬなりけり」
消費税減税を迅速に実施するかしないかを決めるのは内閣。内閣総理大臣が決める。
「1年かかる」の言葉は自分が主体的に決める姿勢から出てこない。
この発言で石破氏は首相失格だ。

日経新聞も劣悪。財務省広報誌に堕している。財政健全性を判断する指標に政府債務GDP比を用いる。債務GDP比は財政健全性を示さない。
債務と資産のバランスを見る必要があることは初歩の初歩。
債務から資産を差し引いた「純債務」のGDP比を見ることが必要。
日本政府の資産負債バランスは2023年末時点で259兆円の資産超過。














負債は1442兆円でGDPの2倍を超えているが資産が1701兆円あり、資産が負債を259兆円上回っている。259兆円の資産超過である日本財政は世界のなかの優等生である
日本経済新聞は財務省の指令に従い、政府債務GDP比の国際比較グラフを紙面に掲載して財政政策発動阻止に「協力」。

トランプ大統領が減税法を制定した。減税規模は34兆ドル。10年で490兆円の減税。
関税率引き上げで国民負担が増大する。その関税収入を完全に減税で還元する。
日本では2020年度から24年度までの4年間に税収が年額で167兆円増加(定額減税23兆円を含む)。
年額17兆円増税が実施されていることになる10年で170兆円増税。
この実質増税分を国民に還元しなければ財政が景気を抑圧する。
170兆円減税を実施して財政は経済に「中立」になる。

だからいま、消費税率5%への引き下げ即時実施が求められる。消費税5%への引き下げは年額15兆円減税。一人2万円の給付を1回限り実施しても26兆円の施策にしかならない。
消費税率5%への減税を実施するのが当然の対応。
参院選を前に消費税減税問題を徹底議論する必要がある。

詳しくは『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』(ビジネス社)をぜひご高覧賜りたい。
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万博経費でカジノ用地掘削 事業者20億円超の利益 維新府・市政内部でも“違法”の指摘

 しんぶん赤旗が掲題の記事を出しました。
 大阪維新が、カジノ誘致を「大阪・関西の成長の起爆剤」として、万博を名目にしてカジノのためのインフラ整備などを進めてきたことは良く知られていますが、、また新たなカジノ業者の優遇が発覚しました。
 大阪市は18年末にカジノ用地のレベルを外周道路のレベルまで盛土をして欲しいというカジノ業者の希望に沿って、19年9月から盛土工事を行っていたのですが、その後カジノ事業者が検討を進めるなかで施設建設に伴い大量の残土が発生することが判明したため、今度は逆に地面を掘り下げて欲しいと要求されたため、20年5月に盛土工事を中止し21年3月から掘削工事に転じました。
 問題はそれに要した費用ですが、一旦「盛土」した地面を逆に「掘削」することにしたのですから、盛土した分が丸々無駄になったばかりか逆に盛土の分掘削量を増大させたわけで、そのムダは莫大です(添付説明図参照)。
 工事費の内訳書によると、掘削土を使った万博用地の盛り土は約10・6億円(消費税抜き)でした。掘削中の鳥類保全対策など本来は不要だった追加費用を含めると約12億円(同、うち約10億円を万博経費として支出)でした。盛り土の費用は大阪市が負担しました。
 掘削した土の量は約80・2万立方メートル(100万トン超)で、掘削・運搬などの費用はしんぶん赤旗が把握しただけで約10億円です。一方カジノ業者が負担するはずだった残土処分費はこの掘削によって少なくとも15・8億円減り、処分先への運搬なども含めると20億円超の便宜供与になるということです。そしてこれらを議会にも報告せず万博用地の造成工事に含め、万博経費として府・市が折半しました。
 まことに不明朗な話です。
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2025とくほう・特報
万博経費でカジノ用地掘削 事業者20億円超の利益 維新府・市政内部でも“違法”の指摘
                       しんぶん赤旗 2025年7月10日

 大阪府・市が万博経費を使って、隣接するカジノ用地を掘削工事していたことが本紙の調べで明らかになりました。この工事によって、今年4月に着工したカジノリゾート(IR)本体工事の残土処分費や運搬費などカジノ業者の負担が20億円超も軽減されることになります。府・市が法律相談した弁護士は、公費でカジノ業者に利益を与える工事を行えば「住民訴訟で敗訴する可能性がある」と指摘していました。(本田祐典)

 


 万博用地とカジノ用地は、市が造成した大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま=大阪市此花区)内で隣接しています。大阪維新はカジノ誘致を「大阪・関西の成長の起爆剤」とし、万博を名目にしてカジノのためのインフラ整備などを進めてきました。
 新たに発覚したカジノ業者優遇は、2019年2月に市が発注した万博用地造成工事(夢洲2区土地造成工事)のなかに隠されていました発注後の21年3月に契約変更してカジノ用地の掘削工事を追加し、その土を万博用地へと運んでいたのです。
 掘削した土の量は約80・2万立方メートル(重さ100万トン超)と膨大でした。掘削・運搬などの費用は本紙が把握しただけで約10億円です。これらを議会にも報告せず万博用地の造成工事に含め、府・市でほぼ半分ずつ負担しました。
 掘削の目的は、その後にカジノ業者が行うIR本体工事の残土量を減らすことです。「IR事業者が検討を進めるなかで施設建設に伴い大量の残土が発生することが判明した」(20年9月の府・市作成文書)といいます。カジノ用地を周辺よりも低く掘り下げておくことで、カジノ業者が本体工事の残土を用地内で処分できるようにしたのです。

 カジノ業者が負担するはずだった残土処分費はこの掘削によって少なくとも15・8億円(夢洲内に残土を埋める場合の市の引き取り単価1800円/立方メートルと消費税)も減る計算です。処分先への運搬なども含めると20億円超の便宜供与です。
 工事を担当した大阪港湾局は、営利企業への便宜供与で違法行為となる可能性を事前に認識。同局が相談した法律事務所は「住民訴訟のリスクは高い」「合理的な説明ができなければ敗訴する可能性がある」(同文書)と指摘していました。
 府・市は最終的に、違法性を否定して掘削を強行。カジノ用地の土を使うと最も安く万博用地を造成できると理由付けし、カジノ業者が利益を得ても違法ではないとしました。
 しかし、本紙が府・市の主張や実際の工事費を検証したところ、カジノ用地掘削でむしろ万博経費が増加したことがわかりました。違法性を否定した根拠が揺らいでいます。

無料で掘削 カジノ“闇支援”法律事務所「住民訴訟敗訴も」
   「最安」のはずが万博経費増大
「疑問がようやく解けた。掘削工事はカジノ業者の要望だったのか」。大阪維新の夢洲開発を監視してきた中山直和さん(カジノに反対する大阪連絡会事務局次長)は、万博経費を使ったカジノ用地掘削を目撃していました。
 中山さんは当時、奇妙な工事だと感じたといいます。カジノ用地では2019年9月から、地盤をかさ上げする盛り土工事をしていたからです。「せっかく盛った土を掘り返した。なぜ、無駄な工事をするのか理解できなかった





 “無駄”が生じたのは、カジノ業者が要求を途中で変えたからです。盛り土を希望したはずが、途中で土を減らすよう求めました。カジノ業者に振り回されて工事した経緯は公文書にも記録されています。
 (1)盛り土を開始(19年9月)=「(カジノ業者が)盛土した上での引渡しを希望」「購入土による盛土が必要」(18年12月、当時の吉村洋文市長に対する説明資料)。
 (2)盛り土を中止(20年5月)=「IR事業者(カジノ業者)が検討を進めるなかで施設建設に伴い大量の残土が発生することが判明したため、工事期間を1年に短縮し、盛土高を変更」(20年9月、副知事・副市長に対する説明資料)
 (3)掘削を開始(21年3月)=「万博区域の盛土時期(令和3年度)にあわせてIR区域を掘削し盛土材として活用」「残土発生量の抑制にも寄与」(同資料)

 盛り土の費用は市が負担し、掘削はごく一部を除いて万博経費として府・市が折半しました。カジノ業者の負担はゼロです
 工事担当の大阪港湾局は、カジノ業者が掘削費用を負担すべきだという法律事務所の見解を府・市内部で報告していました。
「結果として、IR事業者が利益を得ることになるのであれば、住民訴訟のリスクは高い(合理的な説明ができなければ敗訴する可能性がある)」「本来、IR事業者が負担すべきものについては、負担を求めることが望ましい」(20年9月2日、副市長・副知事への説明資料)
 “敗訴する可能性”という強い表現で違法性を指摘していたのです。
 ところが、府・市は万博経費で掘削を強行。その最大の根拠は、カジノ用地から土を運べば万博用地の盛り土が最も安くなるという「経済合理性」でした。
 「最も安価な方法となるIR区域の掘削土の使用を選択するのが基本的な考え方」「IR事業者にとって負担軽減という事実上のメリットがあったとしても…特定の営利企業への便宜供与であることを理由として、違法・不当になるとまではいえない」(同資料)
 カジノ業者が受ける利益を否定できず、万博経費削減という理由を“あと付け”したのです。

揺らぐ根拠
 本当にカジノ用地の掘削が「最も安価」だったのか―。府・市がまとめた事業費比較では、カジノ用地掘削土を使った万博用地盛り土の事業費は7億円。もともと予定した関東地方の残土を使った場合の10億円を下回るとしました。
 問題は、この事業費比較で示した「7億円」が著しく安い見積もりだったことです。実際の工事費は関東の残土の事業費より1・2倍も高額だったと本紙の調べでわかりました。
 工事費の内訳書によると、掘削土を使った万博用地の盛り土は7億円ではなく約10・6億円(消費税抜き)でした。掘削中の鳥類保全対策など本来は不要だった追加費用を含めると約12億円(同、うち約10億円を万博経費として支出)でした。
 違法性を否定した根拠が揺らぐ重大問題です。
 大阪港湾局は本紙の取材に、カジノ用地の掘削が当初の見込みより高額だったと認めたうえで「事業費比較のあとで関東残土を選択肢から外したので、どちらが本当に安いか最終的な比較はしていない。関東残土のサンプルを見たら土の性状がよくなかったと当時の担当者から聞いている」(開発調整課)と説明します。
 しかし、関東残土を確認した際の記録を求めたところ「記録は何も残していない」としています。

優遇連発
 カジノ用地では今回明らかになった万博経費による掘削のほかにも、維新府政・市政が“カジノ優遇”工事を連発しています。
 掘削工事後の23年12月から始まった土地改良工事は、市が公費で負担(上限788億円)します。公費負担は当時の市長で日本維新の会代表だった松井一郎氏が方針を決め、22年3月の市議会で維新、公明が賛成しました。
 この土地改良工事をめぐっては▽施工業者の選定をカジノ業者・MGM大阪(旧大阪IR)が行い、自身に出資するゼネコン3社に発注▽競争入札なしで通常の公共工事より高額にする府・市とカジノ業者の「密約」―など、さらなる優遇が明らかになっています。(「しんぶん赤旗」24年12月14日付)
 カジノ用地以外の夢洲内の土地は、埋め立て終了(竣工=しゅんこう)時の状態で市が追加工事せず売却してきました。カジノ用地で竣工後に行った盛り土、掘削、土地改良などの公費負担はすべてカジノ業者の意向に沿った特別対応です。

カジノ止める共産党
 清水ただし・日本共産党参院大阪選挙区候補の話 
 維新府政・市政は、カジノのために税金を使わないと宣伝・約束していたにもかかわらずこれまで土地改良工事に788億円(上限)の公金投入を決めるなどしてきました。今回、訴訟リスクを認識しながらもカジノ業者に20億円超の便宜をはかる万博経費での「闇支援」が発覚したことは重大です。カジノのための万博だと、私たちが批判してきた通りの実態です。カジノストップの議席がいよいよ必要です。私も全力でがんばります。

14- 不条理の頂点に至った「テロリズム」に関する帝国の偽善

 ケイトリン・ジョンストンが掲題の記事を出しました。
 米英などの旧列強?によるテロリズム乃至テロリストの定義が如何に出鱈目なものであるのかが皮肉られています。
 彼らはかつて「ならず者国家」という言葉を生み出しましたが、今のイスラエルや米・英の行動を見ると、そのまま自称すべきであると思うしかありません。
 その点日本の俚諺「昨日の敵は今日の友」には、風雪に耐えてきた重みと深遠性があります。まさに彼らとは無縁な。
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不条理の頂点に至った「テロリズム」に関する帝国の偽善
                 マスコミに載らない海外記事 2025年7月11日
   「テロリスト」とは「帝国に何らかの迷惑をかける者」という意味だ。本当に
   それだけだ。          ケイトリン・ジョンストン 2025年7月8日
 イギリスが非暴力活動家集団「パレスチナ・アクション」を自国の禁止テロ組織リストに追加してから数日後、アメリカはシリアのアルカイダ系列組織を指定テロ組織リストから削除した
 欧米諸国が、今後自国の「テロ」指定について更に偽善的で滑稽な方法を見つけ出すのは確実だが、現時点では、それがどうやって実現されるのか想像するのは困難だ。
 Antiwarのデイブ・デキャンプは下記のように書いている。
「月曜日、トランプ政権が2024年12月にダマスカスで政権を掌握したアルカイダ分派、ハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS)の外国テロ組織(FTO)指定を取り消すとマルコ・ルビオ国務長官が発表した。」
 HTSは、シリアにおけるアルカイダの公式関連組織であるアル・ヌスラ戦線として発足した。同組織の指導者で、現在シリアの事実上の大統領を務めるアフメド・アル・シャラーが改名したものだ。2016年、当時アブ・モハメド・アル・ジョラニとして知られていたシャラーは、アルカイダとの関係を断つと発表し「関係を断つ必要性を理解してくれたアルカイダ司令官たち」に感謝の意を表した。
 シャラーは2017年に自身の組織名をHTSと改名し、昨年末シリア前大統領バッシャール・アル・アサドを追放する攻撃を指揮していた時まで、シリア北西部イドリブ県を支配していた。イラクで米軍と戦闘を繰り広げたアルカイダの過去にもかかわらず、アメリカは、このシリア新指導者を歓迎している。

 この動きは、シャラーがアメリカやイギリス当局と友好的会談を行い、イスラエルとの国交正常化交渉を行っているさなかに起きたもので、帝国の目にとって「テロリスト」であることをやめるためには、帝国の利益に同調し始めればよいことを示している
 それが月曜日の出来事だった。その前の土曜日、パレスチナ・アクションという団体が、 2000年テロリズム法に基づくイギリスの禁止テロリスト集団に追加され、同団体への関与はISISへの関与と同様に厳しく罰せられることになった。
 問題となっている「テロリズム」とは一体何か? ガザでのホロコーストへのイギリスによる支援に抗議して、イギリス戦闘機二機に赤ペンキをスプレーしたことだ。帝国の大量虐殺的残虐行為に抗議し、帝国の軍事機構に向けられた軽微な破壊行為は、自動車爆弾による民間人の大量虐殺と同じ範疇に分類されるのだ。
 イギリス法では、パレスチナ・アクションへの支持表明さえ違法で、週末に活動家が同団体への連帯を表明したことで多数の逮捕者が出た。ピンク・フロイドのイギリス人メンバー、ロジャー・ウォーターズは「パレスチナ・アクションを支持する。素晴らしい組織だ。彼らは非暴力主義だ。いかなる意味でもテロリストではない」と公の場で発言したのを受け、イギリス・イスラエル弁護士会はウォーターズをイギリス対テロ警察に正式に通報した。

 そこで要約だ。
 欧米帝国が支援する大量虐殺やテロリズムに対する非暴力抗議は禁止だ。これを支持することは誰にも許されない。
 実際、文字通りアルカイダでありながら、欧米帝国の利益に同調するのはテロではない。オーケーだ。これでいいのだ。
 帝国のこうした偽善と矛盾は、自ら主張する立場を帝国が崩していることを如実に示しているので注目に値する。何十年間も中東やアフリカに欧米諸国の爆弾が空から落ちるのは阻止すべきテロリストがいるからだと言われてきたが「テロリズム」とは、帝国がその時々の場所で望むままに解釈する単なる無意味なレッテルに過ぎないと分かった。
 イランのIRGCは、イラン軍がアメリカ帝国と連携していないため、テロ組織とみなされているイスラエルIDF(イスラエル国防軍)は、政治目的を達成するため民間人に絶えず暴力を振るっているにもかかわらず、テロ組織とみなされていないパレスチナ・アクションは、帝国の大量虐殺的残虐行為に反対しているためテロ組織とみなされているシリアのアルカイダは、イスラエルと親しく、帝国が望むことをしているため、もはやテロ組織ではない
 「テロリスト」とは「帝国に何らかの迷惑をかける者」という意味だ。本当にそれだけだ。
               (中 略)
記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/07/08/imperial-hypocrisy-about-terrorism-hits-its-most-absurd-point-yet/