2026年2月19日木曜日

ガザ停戦後 死者600人超 イスラエル軍、避難テント空爆(しんぶん赤旗)

 しんぶん赤旗が掲題の記事の他に、4つのイスラエル批判の記事を載せましたので紹介します。

 ガザ保健当局は15日、昨年10月の停戦発効後、イスラエル軍の攻撃での死者数が600人を超えたと発表しました(同日、イスラエルの空爆で少なくとも11人が殺されました)。
 イスラエルは軍の撤退が停戦合意に含まれているにもかかわらず、一方的にイエローラインをさらにガザ地区の深くに移動させています。

 ガザ地区南部とエジプトを結ぶラファ検問所の限定的な通行が2日に再開されてから、16日で2週間がたちましたが、地区外での治療が必要約2万人患者に対し、出域者の総数は13日時点で273人、帰還者は213人にとどまっています。重病・重傷患者でさえ承認が得られないケースが多発し、通行の際には長時間の待機や拘束、屈辱的な身体検査が強いられている実態も報告されています。

 ガザ政治評論家ムスタファ・イブラヒムさんは、ラファ検問所で起きていることは、通過人数をできるだけ減らすために、厳しい尋問、手錠や目隠し、所持品の没収、心理的圧力、金銭取引や条件の強要が繰り返され、住民統制の装置に変質しており、強制移住と人口管理の政策を体現していると述べます。

 それとは別にイスラエルのネタニヤフ政権は15日、占領地ヨルダン川西岸の土地に関して、「国有地」としてイスラエル当局に登記する手続きの開始を承認しました。登記開始はイスラエルが1967年の第3次中東戦争でヨルダン川西岸を占領してから初めてで、パレスチナ自治政府は「事実上の併合」と非難。国連やアラブ諸国をはじめ国際社会から「国際法違反」だと批判が相次いでいます。

 イスラエル軍兵士を名乗る男性が「われわれは女性や子どもを殺すだけでなく、強姦(ごうかん)もする」、米国のユーチューバーとの1日のライブ配信で発言し、パレスチナ・ガサ地区での残虐な犯罪行為を公言しました。中東メディアのアルジャジーラは15日、「兵士の告白と現地の国際機関による記録が恐ろしいほど一致している」と指摘。性的暴行や身体的虐待の実態を明らかにするため、独立かつ透明性のある国際調査の必要性が高まっていると報じました。

 以下に紹介します。
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ガザ停戦後 死者600人超 イスラエル軍、避難テント空爆
                       しんぶん赤旗 2026年2月17日
 ガザ保健当局は15日、昨年10月の停戦発効後、イスラエル軍の攻撃での死者数が600人を超えたと発表しました。同日、イスラエルの空爆で少なくとも11人が殺されました。ロイター通信などが報じました
 医療従事者によると空爆で避難テントにいた少なくとも4人が死亡、また保健当局によると南部ハンユニスへの別の空爆で5人、北部で銃撃により1人が殺されました。
 ハマスのハゼム・カッサム報道官は、イスラエルが避難したパレスチナ人を新たに「大虐殺」していると非難。深刻な停戦合意違反だと訴えました。
 イスラエル軍は、空爆は国際法に明確に合致しており、ハマスは停戦合意違反を繰り返していると主張。兵士がイエローライン(停戦計画で合意された境界線)のイスラエル側のトンネルから出てきたと述べています。
 イスラエルは軍の撤退が停戦合意に含まれているにもかかわらず、一方的にイエローラインをさらにガザ地区の深くに移動させています。ハマスは武装解除の要求を拒否しており、イスラエルは、ハマスが応じなければ強制的に武装解除をする必要があるとしています。
 23年10月7日以降、ガザ保健当局によれば7万2000人以上がガザで殺され、イスラエル当局によると1200人以上のイスラエル人が殺されました。イスラエルは、停戦発効後に4人の兵士が殺されたとしています。


ラファ検問所「再開」2週間 住民統制の装置に変質 民間人保護や人権後回し
                       しんぶん赤旗 2026年2月17日
【カイロ=米沢博史】パレスチナ・ガザ地区南部とエジプトを結ぶラファ検問所の限定的な通行が2日に再開されてから、16日で2週間がたちました。現地の人権団体によると、地区外での治療が必要とする約2万人患者に対し、出者の総数は13時点で273人、帰還者は213人にとどまっています
 通過にはイスラエルの事前承認が必要ですが、選別基準は不透明で、重病・重傷患者でさえ承認が得られないケースが多発しています。さらに、通行の際には長時間の待機や拘束、屈辱的な身体検査が強いられている実態も報告されています。医療品や燃料、仮設住宅資材、重機など人道支援物資の搬入妨害も続いています。
 ガザ在住の著名な政治評論家ムスタファ・イブラヒム氏に13日、現状の問題点について問きました。

ガザ政治評論家 ムスタファ・イブラヒムさん
 ラファ検問所で起きていることは、行政上の不手際や一時的措置ではありません。通過人数をできるだけ減らす制限、厳しい尋問、手錠や目隠し、所持品の没収、心理的圧力、金銭取引や条件の強要が繰り返されています。検問所は、自発的移動ではなく、誰が出て誰が戻るのか、誰がイスラエルヘの協力を強いられるのかを選別する住民統制の装置に変質しており、強制移住と人口管理の政策を体現しています
 停戦の保証人を自任するトランプ米大統領や平和評議会のムラデフノ実務責任者がこの実態に沈黙していることは、国連安保理決議2803に基づく停戦の確立、人道支援の搬入、暫定的な文民統治の実施に重大な疑問を投げかけます。民間人保護や基本的人権の保障を後回しにし、イスラム組織ハマスの武装解除による統治移行ばかり語るのは、平和の保証人というよりも、現実を再構成し管理する当事者のように映ります。
 安保理決議2803は、民間人の保護、国際人遵法の尊重、人道アクセスの保証、強制移住の禁止を確認しています。移動に不当な圧力が加わるなら、ジュネーブ諸条約が禁じる強制的人口移送に抵触します
 問われているのは、パレスチナ人の安全かつ無条件の帰還権が守られるのか、圧力による人口再編が進められるのかです。法と正義が求めているのは、人々が安全と尊厳をもって帰還できることにほかなりません。


「国有地」登記を承認 国際法違反と批判相次ぐ イスラエル占領地ヨルダン川西岸
                       しんぶん赤旗 2026年2月18日
 イスラエルのネタニヤフ政権は15日、占領地ヨルダン川西岸の土地に関して、「国有地」としてイスラエル当局に登記する手続きの開始を承認しました。パレスチナ自治政府は「事実上の併合」と非難。国連やアラブ諸国をはじめ国際社会から「国際法違反」だと批判が相次いでいます。

 欧米メディアによると、登記開始はイスラエルが967年の第3次中東戦争でヨルダン川西岸を占領してから初めてです。ロイター通信は「イスラエルの支配を強め、入植者の土地購入をより容易にする措置」だと指摘しています。
 ヨルダン川西岸は、1993年のオスロ合意に基づき、A、B、Cの三つの地区に分けられています。今回の措置は、イスラエルが行政権と警察権を掌握するC地区が対象です。イスラエルの人権団体によると、C地区には見積もりで18~30万人のパレスチナ人が住んでいます。
 イスラエルのレビン法相は「イスラエルはわれわれの土地のあらゆる部分の掌握を強化する。この決定はその取り組みを体現するものだ」と表明しました。
 パレスチナ自治政府は「占領地の事実上の併合だ。違法な入植活動による占領強化を狙った併合計画の開始宣言だ」と批判しました。
 国連のグテレス事務総長16日、声明を出し、今回の措置はパレスチナ入の追放につながり、2国家解決を遠ざけると指摘。「違法な措置だ」と述べ、即時撤回を要求しました
 ヨルダン外務省は、声明で「国際法にあからさまに違反し、パレスチナ入の自決権を奪っている」と指摘。エジプト、カタールの政府も同様に批判しました。
 欧州連合(EU)も声明で、「パレスチナの領土に対するイスラエルの支配を拡大することを狙った措置だ」「併合は国際法違反だ。イスラエルに対し措置の撤回を要求する」と表明しま


「殺すだけでなく強姦も」 イスラエル兵が公言か
                       しんぶん赤旗 2026年2月18日
【カイロ=米沢博史「われわれは女性や子どもを殺すだけでなく、強姦(ごうかん)もする」。イスラエル軍兵士を名乗る男性が、米国のユーチューバーであるジェフ・デイビッドソンとの日のライブ配信でこう発言し、パレスチナ・ガサ地区での残虐な犯罪行為を公言しました。動画投稿アプリTikTok(ティックトック)で行われたこの配信は、SNS上で急速に拡散し、内外で大きな衝撃と非難を呼んでいます。
 配信の中で男性は、自らの所属をイスラエル軍だと明かし、ガザ内部から中継していると説明しました。カメラを周囲に向け、「ここには家はない。全部平らだ」と語り、広範囲にわたる破壊状況を示しました。「あなた方が平らにしたのか」と破壊の責任を問われると、ためらいなく肯定しました。
 男性は、爆撃された家で見つけたとされる銃を持つ子どもの写真を示し、子どもを標的にする行為を正当化しようとしました。これに対しデイビッドソン氏は、侵攻軍に対して自衛する子どもがいたとしても殺害は正当化されず、現状の責任は占領側にあると反論しました。
 男性はさらに、「われわれは女性や子どもも殺すが、ご心配なく、強姦もする」と平然と発言しました
 中東メディアのアルジャジーラ15日、「兵士の告白と現地の国際機関による記録が恐ろしいほど一致している」と指摘。性的暴行や身体的虐待の実態を明らかにするため、独立かつ透明性のある国際調査の必要性が高まっていると報じました。

 人権団体は映像を国際法廷での告発資料として活用することを検討しており、関与者の責任追及とイスラエルに対する免責の終結を求めています

<政治考>「高市旋風」の中身は 不満のマグマ「期待」に(しんぶん赤旗)

「赤旗」政治部長・中祖寅一氏による<政治考>がしんぶん赤旗に掲載されました。
 総選挙で高市自民党が圧勝したのは、「30年にわたって経済成長が止まり、賃金が上がらず、少子化が止まらず、そこを襲った物価高に手を打てない自民党政治への深い失望と怒りのマグマが国民の中にたまっている」中で、高市氏が自身の高支持率のタイミングを周到に選び、国会での予算審議を飛ばした「奇襲・超短期・論戦回避という、野党による批判も、国民に考える時間も与えない卑劣なクーデター的選挙手法」で、年代や性別を超えて「高市氏なら何か変えてくれるかもしれない」という「漠然とした期待」を膨らませることに成功した結果であると述べます。

 選挙演説では確かに高市氏は歯切れよく断定的な言い方をして国民を欺きました。
 一例を挙げると、「日本の食糧自給率を100%にする」とか、「海底からの泥の回収に成功したのでレアアース問題はすぐにでも解決する」かのように話しました。
 しかし現状30%台の食糧自給率100%にするには、「全ての水田をサツマイモ畑に変えないと必要な総カロリーが維持できない」ということで、それではとても国民の健康は維持できません。
 レアアースも泥中の成分を分析するだけで2年掛かるし、そこから各種のレアアースを分別して精製する設備(やその過程で生じる廃液の処理設備)の工業化には多大な年月を要します。
 要するに威勢のいいことを口にしてもそれらが実現する可能性はないか、仮にあったとしても10年以上も先の話でとても間拍子に合いません。
 高市氏が意識的に虚偽を口にしたのでなければ基礎知識の欠落であり、どちらにしても首相として失格です。

 また「責任ある積極財政」を「売り」にしていますが、その実態は国債の発行に依存した無責任な放漫財政論であり、円安を加速し金利上昇を招き、現実に基礎的な経済指標が乱高下を続けています。
 そんな中で高市首相はトランプが要求する通り、先行き年額20兆円~30兆円超の軍事費を飲み込むつもりのようですが、余りにもバランスを失していて正気の沙汰ではありません。
 そもそも経済問題を疎かにして憲法改悪や諜報・防諜機関の設置などの極右政策に奔ろうとしても、国民はそんな要求は持っていないし、具体的に物価高や生活苦をどうしてくれるのかを見ています。いずれ「政治家としての行動倫理の欠如」も明らかにされることでしょう。

 早晩、国民の支持は失望に変わり 急速に高市政権が支持を失うのは明らかです。
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政治考> 「高市旋風」の中身は 不満のマグマ「期待」に
                       しんぶん赤旗 2026年2月16日
 総選挙で圧勝した高市自民党。「高市旋風」といわれる高市早苗首相への強烈な支持の流れがありました。世論の動きと共に、奇襲解散、超短期決戦、論戦回避など、国民に考える余裕を与えない卑劣なクーデター的手法と高市政権が抱える矛盾について考えます。

漠然と膨らむ
「高市フィーバーだ。市井の男女、市民が首相を見ようと走っている」
 選挙運動最終日の夕方、編集に最終盤情勢の知らせが入りました。
 東京JR阿佐ケ谷駅南口の演説会。駅前口タリーは群衆で埋め尽くされ、駅のホームにまで人があふれて身動きのとれない状態の中で高市首相の演説に耳を傾ける人々の姿がありました。首相の選挙演説への人の集まりは最終盤に向かって急速に拡大。屋内ではOOO人収容の会場が1200、1300人とあふれ、地方の街頭でも5000人、首都圏では万単位の人が押し寄せていました。最終的にすさまじい突風として現れました。自民党の比例得票は昨年参院選の1280万票から2100万票超へ800万票も拡大しました。
 旋風の中身は何か。新聞やテレビが、投票日翌日の報道で「高市さんなら何か変えてくれるかもしれない」という期待の拡大を共通して指摘しました。9日夜のテレビ朝日系「報道ステーション」は、高市首相を支持した人の声を紹介-「発信力がある。その言葉に期待している」(19歳・学生)、「実行力がある。日本を変えてくれそうな期待感」(20代・医療従事言、「生活が楽になるような政策をすぐ実行してくれそう」(38歳・シングルマザー)、「はっきりしていて割と好感が持てる」(45歳・男性)など。年代や性別を超えた「漠然とした期待」の膨らみが浮き彫りです。

自民政治失望
 こうした「漠然とした期待」が旋風のように広がった背景に何かあったのか-。自民党閣僚経験者の人は言います。
「国民の中に不満、不安のマグマがたまっている。石破前首相は慎重で、マグマを捉えられなかった。高市首相は消費税減税や『責任ある積極財政』というスローガンと語りかけで、マグマを期待に変えた」
 国民の中にたまるマグマとは何か。それは、30年にわたって経済成長が止まり、賃金が上がらず、少子化止まらず、そこを襲った物価に手を打てない自民党政治への深い失望と怒りです。その怒りは依然として国民の中にマグマのようにたまっているのです。それを「期待」に変え、自民党を押し上げる旋風となったというのです。
 メディア関係者の人は「男女差別は歴然の中で、ガラスの天井を破った初の女性首相という人気はもちろんだが、高市氏は経済対策を積極的に打ち出した。消費税減税を自民党が政権公約に入れたのは制度導入以降初めて。自民党としてはルビコンを渡った」と強調します。

高市旋風の矛盾 変わらぬ米言いなり大軍拡
新自由主義継続なら期待霧蒜散
 同時に見逃せないのは、期待の広がりを逆手に取った高市氏のクーデター的選挙手法です。自身の高支持率のタイミングを周到に選び、国会での予算審議を飛ばした奇襲・超短期・論戦回避という、野党による批判も、国民に考える時間も与えない卑劣な手法で、「摸然とした期待」を広げながら一気に逃げ切るやり方でした。
 メディア関係者の一人は「中身は希薄だが、期待の流れが最終盤に急速に広がった」と指摘。「しかし、超短期の選挙戦の中で、首相は論戦から逃げた。SNSでのサナエ推しの風は、円安容認の『ホクホク発言』も、消費税減税公約を巡る党総裁と首相の立場の使い分けなど国民を欺隔するやり方への批判も、統一協会との関係への疑念もかき消した」と述べます。
 与党入りした日本維新の会はもちろん、国民民主党、参政党など他の多くの党が「積極財政」や消費減税の財源論などで自民党への対抗軸を示せず、改憲や外国人問題で右へ右への流れを強める結果となりました。野党第1党だった立憲民主党は解党し、自民党との連立に反省のない公明党に吸収されました。

消費税減税は
 一方、高市旋風は高市政権自身を脅かすジレンマも抱えます。一つは、国民の不満と怒りのもととなった新自由主義政策を強行せざるを得ず、自らへの期待を吹き飛ばしかねないからです
 国会が始まれば、自民・維新連立合意にも明記されているOTC類似薬の保険外しや、高額療養費制度の改悪、医療費4兆円削減に着手しなければなりません
 一方では、高市早苗首相は、消費税の2年間の食料品非課税を実現できなければ大きな失望を買うことになります。前出の自民党元閣僚は「やらざるを得ない」と指摘しますが、高市首相は9日の会見でも「国民会議での検討加速」にとどまり「実現」を口にしませんでした。
 日本共産党の小池晃書記局長11日の都内での演説で、首相が9日の会見で「『国民会議で検討して夏前までには中間とりまとめを行う」としたことに対し、「なぜ『夏前』なのか。消費税を本気で減税しようというなら、来週(18日)始まる国会に法案を出してその財源などを徹底論議し、一刻も早く実行すべきではないか」と即座に批判しました。
 また前出の元閣僚は「トランプ米大統領は『タカイチはもはや何でもできる』と防衛費増額や装備の購入拡大を追ってくる。高市首相はNOとはいえないトランプチルドレン。防衛増税も考えなければならなくなる。経済で失政を深めれば改憲も防衛費増も難しくなる」と話します。
 首相の「積極財政」論の実態は、国債発行に依存した無責任な放漫財政論であり、財源の不明確な消費税減税論と相まって、円安を加速し、金利上昇を招き、基礎的な経済指標が乱高下を続けています。円安の進行は物価高で国民生活へのダメージをさらに深めます。円安・ドル高是正へ協調した対応(レートチェック)をとっている日米当局の動きにも水を差しかねません。矛盾だらけです。

問われる内実
 元閣僚は「今後の政権運営は簡単ではない」と指摘。「高市首相は憲法やインテリジェンス(諜報・防諜機関の設置)をやりたいのだろうが、国民はそんなことには関心は薄い。具体的に生活、経済対策で何をしてくれるかを見ている。300超の議席を取った以上、これからは野党の責任にもできない。消費税減税を進められるか、スピード感も内実も注視されている」と強調しました。

 しかしその一方で高市首相は、9日の会見で「憲法改正に対する挑戦」を明言。「改正案を発議し、少しでも早く憲法改正の賛否を問う国民投票が行われる環境をつくっていけるように、私も粘り強く取り組んでいく」と視線を鋭くしました。
 前出のメディア関係者の人は「前門の虎、後門の狼というべき状況だ。膨らんだ期待は必ず縮む」とも指摘。高市首相は、新自由主義政治の転換に踏み出せなければ、国民の期待を裏切り、喝采は激しい批判へと一気に転化しかねない深いジレンマを抱え込みました。
 さらに多くのメディア関係者が不安定要因として指摘するのが、NHK討論のキャンセルなど政治家としての行動倫理がずさんであること、裏金問題や統一協会問題での説明責任を果たさない姿勢です。
 自民党政治の深い行き詰まりは根本のところで変わってはいません。高市圧勝の旋風は高市政権を脅かすことになります。       (中祖寅ー)

ドローン入札 イスラエル製 不参加 市民運動の成果 防衛省前 市民ら抗議行動

 しんぶん赤旗に掲題の記事が載りました。
 防衛装備庁は17日、陸上自衛隊に配備する小型攻撃用ドローンの一般競争入札を行いました。イスラエル社製は入札に参加せず オーストラリア製が落札されました。これはイスラエルからのドローン導入が発覚して約2年間、多くの市民が抗議行動や署名運動に取り組み、声を上げた成果です。
 今回、落札されたのは近距離攻撃用の「Ⅰ型」です。防衛省は2026年度に「Ⅱ型」、「Ⅲ型」の導入を狙っています。
関連記事
2月16日)イスラエル製武器購入 裏に周到な政界工作 超党派訪問団はイスラエル政府丸抱え
 併せてレイバーネット2.0の記事を紹介します。
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ドローン入札 イスラエル製 不参加 市民運動の成果 共産党も追及
防衛省前 市民ら抗議行動
                       しんぶん赤旗 2026年2月18日
 防衛装備庁は17日、陸上自衛隊に配備する小型攻撃用ドローンの一般競争入札を行い、パレスチナ・ガザ地区でのジェノサイド(集団殺害)に使われたイスラエル製ではなくオーストラリア製が落札されました。実証試験を行ったドローン4種中2種がイスラエル製で有力な候補に挙がっていましたが、イスラエル社製は入札に参加しませんでした。ドローン導入が発覚して約2年間、多くの市民が抗議行動や署名運動に取り組み、声を上げた成果です




入札当日に防衛省前で「イスラエルのドローン買うな」と抗議する参加者=17日、東京・市谷




豪州製落札

 落札されたのは豪州ディフェンド・テックス社の「ドローン40」約310機です。落札金額は36億8016万円。同社資料によると携帯式の発射装置を用い、空中で四つのローターを展開し飛行。射程は最大約20キロで、通常の発射装置の射程が数百メートルなので攻撃範囲が格段に広がります。
 今回、落札されたのは近距離攻撃用の「Ⅰ型」です。防衛省は2026年度に「Ⅱ型」、「Ⅲ型」の導入を狙っています
 イスラエルを巡っては、ガザ地区でジェノサイドをしていると、25年9月に国連人権理事会の独立調査委員会が認定。国連のパレスチナ人権特別報告者であるフランチェスカ・アルバネーゼ氏は、イスラエル軍需企業はジェノサイドで利益を得ており、各国はイスラエル製兵器の購入をやめ、殺害に加担すべきでないと訴えていました

 日本でも、市民が防衛省や輸入代理店への抗議を全国各地で実施。入札が行われた17日も防衛省前に市民が集まり、「イスラエルのドローン入札やめろ」「ジェノサイドに税金使うな」などと声を上げました。「ジェノサイドに抗する防衛大学校卒業生の会」の平山貴盛さんは2月、防衛省前で11日間のハンガーストライキを決行しました。
 武器取引反対ネットワーク(NAJAT)の杉原浩司代表は「全国の仲間が力を合わせ、防衛省を追い込んだ。有望視されていたイスラエル製を採用させなかったことは事実上制裁として機能するので国際的にも意味がある。これに自信を深め、来年度以降も採用させないよう頑張りたい」と語りました。
 日本共産党の国会議員も何度も国会質疑でとりあげ、国際法違反を繰り返すイスラエルの武器購入をやめるよう追及してきました。


【速報】〈大拡散を!〉 イスラエル製ドローンは選定されず。BDS運動の歴史的勝利!
                    レイバーネット2.0 2026年2月18日


















<杉原浩司> 
2月17日午前、防衛省は初の攻撃型ドローン(小型攻撃用UAVⅠ型)の入札で、イスラエル製ではなく豪州製を選定しました。
入札には豪州のディフェンド・テックス(Defend Tex)社の「Drone40」のみが参加し、そのまま選定されたとのこと。イスラエルIAI社製の2機種(「Point Blank」「ROTEM L」)の輸入代理店となっていた海外物産は入札にすら参加できませんでした。
これは、2年にわたって粘り強く続けられてきた市民によるBDS(ボイコット、投資引き揚げ、制裁)運動の歴史的勝利です。
3万筆を超える署名、防衛省との5~6回(?)に及ぶ交渉、輸入代理店企業に対するボイコット(不買)呼びかけや申し入れなどの取り組み、さらには最終局面での平山貴盛さん(ジェノサイドに抗する防衛大学校卒業生の会)による11日間に及んだハンガーストライキ、全国各地での連帯アクションや一人ひとりのメール、FAXなどでの働きかけなど、様々な努力が確かな力となって、実を結んだのだと思います。
伊藤忠商事などによるエルビット・システムズとの協力覚書を破棄させたこと、愛知県によるイスラエルとの連携事業を終了させたことに次ぐ大きな成果だと受け止めています。
また、今まで日本政府は何一つイスラエルに制裁をしてきませんでしたが、今回の措置は事実上の制裁に値するとも考えます。 海外物産は、取得に向けた実証試験にわずか1円で入札し、契約を勝ち取るために手段を選ばない姿勢でしたが、本入札に参加すら出来ず、結果的に税金は1円×2=2円しか流れませんでした。
ただ、来年度は小型攻撃用UAVのⅡ型、Ⅲ型、再来年度はより大型の選定が控えています。既に240億円以上のイスラエル製武器を購入していることも見逃せません。また、攻撃型ドローン自体も、米軍と自衛隊による「台湾有事」を想定しての対中国戦争における運用(琉球弧を舞台に)が想定されており、豪州製だから良かったというものではありません。この点は、今回の運動参加者の間で幅はあるものの、議論を深め、可能な取り組みを模索する必要があります。
国会(共産、社民などは例外)やマスメディア(東京新聞やしんぶん赤旗、ハフポストなどは例外)の多くが冷淡な中、主権者である市民主導の取り組みによって最悪の事態は回避することができました。この成果に自信を持って、引き続きの取り組みを進めていきます。(杉原浩司さんのブログより)

19- ウクライナにおける露国との代理戦争で敗北した欧州諸国は軍事予算増大を目指す

 櫻井ジャーナルに掲題の記事が載りました。
 内容はいわゆるウクライナ戦争「前史」と呼ぶべきもので、櫻井ジャーナルはこの種の記事をこれまでも数回載せてきました(当ブログでもほぼ毎回紹介して来ました)。
 記事の趣旨は、「西側が、『ウクライナ戦争は22年月24日にロシアが侵攻を始めたことが発端』とする姿勢を貫いているのは正しくない」と指摘することにあると思われます。
 ウクライナでは2014年2月に米国の主導でクーデターが起こされました。通常、クーデターは時の政権を打倒することを目的としますが、不思議なことにクーデター政権軍部は体制を整えると、直ちにロシア文化圏の東部(ドンバス地方)に向かったため内戦になりました。内戦には旧ウクラナイナ軍の多くが装備(兵器)を持ったままドンバス地方住民側に加わったため、クーデター軍よりも住民側が優勢のまま推移しました。
 それでNATO側は一旦ミンスク停戦合意を結ばせ、約7年間余を掛けて政府軍を増強し。地下基地を構築した後に22年にドンバス地方に侵攻すべく、境界近くに政府軍を集結させた段階で、ロシア軍がドンバスの住民を保護するための「特別軍事作戦」に踏み切った、という経緯でした。
 NATO側は当初の目論見に反して劣勢に陥っているのですが、ウクライナには多大な利権があるために終戦に反対し、ゼレンスキーも保身のために終戦に反対しているために、いまやウクライナ兵士とロシア兵士が、いたずらに命を散らしているという状況にあるわけです。
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ウクライナにおける露国との代理戦争で敗北した欧州諸国は軍事予算増大を目指す
                          櫻井ジャーナル2026.02.17
 ヨーロッパの主要国はウクライナでの戦争を継続しようと必死だ。特にイギリス、フランス、ドイツの政治家や軍人がロシアとの戦争に積極的な姿勢を見せているイギリスのリチャード・ナイトン参謀総長とドイツのカーステン・ブロイアー連邦軍総監はミュンヘンでの会議後、軍事予算の大幅な増額を国民に理解させる義務があると述べた

 イギリスで実施された世論調査では、軍事費増額のための増税や歳出削減を支持する人は少数派。ドイツやフランスでは軍事予算の増額を支持する人の比率は昨年より低下している。ウクライナでの戦争でNATOはロシアに敗北、ヨーロッパ諸国の経済は破綻、社会が崩壊していることを一般の人びとは理解しているのだ。

 ウクライナでの戦争はイギリスが19世紀に始めたロシア征服戦略の一環である。本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、その基本はドイツとロシア/ソ連を戦わせることにある。第1次世界大戦、第2次世界大戦、そして冷戦はひとつの舞台の場面にすぎない。
 1991年12月にソ連が消滅した時、西側諸国の少なからぬ人は冷戦でアメリカが勝ったと認識、ネオコンはアメリカが唯一の超大国になったと考えた。1992年2月に作成されたアメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」もそうした考え方に基づいている。
 このドクトリンによると、最優先事項は新たなライバルの出現を防ぐこと。またドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということが謳われている。ソ連が消滅してロシアはアメリカの属国になり、中国は新自由主義にどっぷり浸かっているという前提に基づくドクトリンだ。

 しかし、21世紀に入ってロシアが再独立に成功、状況は大きく変化する。そこでネオコンをはじめとする好戦派は再びロシアを属国にしようとした。バラク・オバマ政権が2014年2月にキエフでネオ・ナチを使ったクーデターを実施、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した理由もそこにある。
 1941年6月にも似た状況があった。約300万人のドイツ軍がウクライナやベラルーシを通ってソ連は軍事侵攻したのだ。バルバロッサ作戦である。その時、西部戦線に残ったドイツ軍は90万人にすぎなかった。この兵力配分はアドルフ・ヒトラーが決めたのだが、まるで西から攻めてこないことを知っていたかのようだ。1990年代からのNATO拡大はロシアから見ると新たなバルバロッサ作戦にほかならない
 2014年のクーデターによってロシアは非常に危険な状態になったわけだが、ロシア政府は動かない。クーデター直後、西側の大手メディアはロシア軍がウクライナへ軍事侵攻したと宣伝していた。おそらくアメリカ政府のそのように推測、メディアへそのようにレクチャーしていたのだろうが、ロシアは動かなかった。
 ヤヌコビッチの支持基盤でロシア文化圏の東部や南部では住民がクーデターを拒否、南部のクリミアはロシアと一体化する道を選び、東部のドンバス(ドネツクとルガンスク)では武装抵抗が始まり、内戦になった。キエフが送り込んだ部隊は占領軍にすぎず、しかもクーデター後に軍や治安部隊のメンバーが合流していた反クーデター軍は優勢だった。そこでNATOはクーデター政権の戦力を増強するための時間を稼がねばならなかった2014年9月と15年2月の停戦合意、いわゆるミンスク1とミンスク2はそのために締結されたわけだ。

 2022年に入るとキエフはドンバスに対する攻撃を激化、大規模な軍事侵攻が噂されていた。そこでドンバスから子どもや女性を中心にロシアへ疎開しているのだが、それを西側諸国は誘拐だと主張した。
 2022年2月24日にロシア軍はドンバス周辺に終結していたウクライナ軍や軍事基地、あるいは生物兵器の研究開発施設を攻撃しはじめたロシア外務省によると、その時にロシア軍が回収したウクライナ側の機密文書にはウクライナ国家親衛隊のニコライ・バラン司令官が署名した秘密命令が含まれていた
 ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ少将によると、「この文書は、国家親衛隊第4作戦旅団大隊戦術集団の組織と人員構成、包括的支援の組織、そしてウクライナ第80独立空挺旅団への再配置を承認するもの」で、この部隊は2016年からアメリカとイギリスの教官によって訓練を受けていたという。
 NATO側は8年かけ、兵器の供与や兵士を育成するだけでなく、マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を結ぶ要塞線をドンバスに築いていた。ウクライナの軍や親衛隊はドンバスへ軍事侵攻して住民を虐殺、ロシア軍を誘い出して要塞線の内側に封じ込め、その間に別働隊でクリミアを攻撃するという計画だったのではないかと推測されている。

 グレイゾーンによると、イギリス国防省の監督下、「代々続く海賊や海賊の血筋」だと自認するチャーリー・スティックランド中将が2022年2月26日に「プロジェクト・アルケミー(錬金術計画)」なる対ロシア計画を遂行するためのグループを組織した
 そして同年4月9日、イギリスの首相だったボリス・ジョンソンがキエフへ乗り込み、ロシアとの停戦交渉を止めるように命令 ココ  ココ )する。イギリスを含む西側諸国はロシアを過小評価していた
 2023年にウクライナは「反転攻勢」で戦況を逆転させると宣伝されていたが、この計画を策定したのはアメリカの国防総省だったと言われている。その計画はロシア軍に打ち砕かれた。その軍事的な敗北をヨーロッパの支配層は理解できていなかったという。
 しかし、ウクライナ軍が壊滅状態にある現在、イギリスやフランスは特殊部隊だけでなく一般の部隊もウクライナへ派兵、少なからぬ死傷者が出ている。戦死者の中には将軍も含まれていると伝えられている。

 戦争を仕掛けた西側諸国は「劣等なスラブ民族」を簡単に打ち破れると考え、短期間に資源や穀倉地帯を奪えると計算していたのだろうが、ロシアの勝利は確定的。これまで戦争を継続するために偽情報を広めただけでなく、生物兵器の研究開発、マネーロンダリング、人身売買、臓器取引なども行ってきた。戦争に勝利すれば隠蔽できただろうが、敗北が決定した場合、こうしたことを表面化する可能性が高い。そうしたことからも、西側諸国は戦争をやめることができない。戦争が長引けばロシア軍はそれだけ厳しく対応する。

 ヨーロッパ諸国の支配層は自分たちを優秀な人間であり、ロシア人は劣っていると信じ、破滅へ向かうことになった。同じように日本では自分たちは優秀であり、中国人は劣等であると信じ、戦争になれば簡単位勝てると思っている人もいるようだ。明治維新以降、日本人はそのように刷り込まれてきた。アメリカの思惑通り、日本と中国が戦争になれば日本は軍事的にも経済的にもヨーロッパより酷いことになりそうだ。
 日本の現状を考えるためには米英金融資本との関係のほか、明治維新について理解しなければならない。また日本の歴代天皇がイギリスのガーター勲章を授与されている意味も考えるべきだろう。

2026年2月16日月曜日

伊藤千尋 ~今の世界は選挙でなく市民運動で変わる/~ 選挙結果にめげているときではない

 伊藤千尋氏の直近2つの記事を紹介します。

 多分、記事の主張に惹かれた方は伊藤千尋氏についても知りたくなると思うので、ウィキペディアの記事を末尾に転載しました。とても短いので全文を掲載しました。
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伊藤千尋:正道を歩もう、今の世界は選挙でなく市民運動で変わる
                  レイバーネット日本2.0  2026年2月11日
 今回の選挙結果にショックを受けていませんか。当選議員が自民党だらけになった日本列島の政治地図を見て、ため息をつく人は多いでしょう。なぜこうなったのか。第1に、高い支持率を背景に「今なら勝てる」と抜き打ち解散した高市早苗首相の計算が図に当たったこと。第2に、「強く明るいサナエ」イメージを拡散した高市陣営ネット戦略の成功、第3に、いやこれが最大の理由かもしれませんが、安保や原発の党是を捨て野党共闘を放棄し存在意義すら失った立憲民主党のていたらく。対抗勢力が消えれば与党が勝つのは小選挙区制では当然です。第4に、国民の生活感覚から遊離し親近感を得られなかった左派の姿勢(米国の民主党の失敗そっくり)。このような点が挙げられます。

 昨日(2/9)は広島で平和憲法の講演をしました。聴かれたみなさん、最初は選挙結果を受けてがっかりした表情でしたが、講演が終わると元気になりました。理由は二つ。まず、政治は選挙でなく市民運動で変わるのが今の世界だと知ったこと。次に、平和憲法の力をあらためて強く認識したこと、さらに、今どうすればいいのかのヒントをつかんだことです。
 政治が変動するとき、これからどうなるのかという声をよく聞きますが、どうなるかと悩んでいる場合ではありません。圧倒的な力を握った高市首相は改憲を目指し、矢継ぎ早な改革を進めるでしょう。問題はこの機に私たちがどうする、です。戦後80年を超えて、日本の平和はまさに正念場を迎えました。
 怪物のような政治家が国をメチャクチャにするのは、すでに先例が進行中です。トランプ米大統領はグリーンランドまで手に入れると豪語し、国連に代わって世界の平和を主導する組織として「平和評議会」を創りました。世界の帝王になろうとしています。高市首相の何倍も大掛かりな嵐が、米国でこの1年吹き荒れ、これから3年も続きます。
 戦後この方、世界は理念や理性を基盤に据えてきました。国連憲章は国の規模の大小にかかわらず1国1票の公平性をうたいます。それをただ力が強い者が勝ちカネがすべての世界に根本から変えようとするのがトランプ流です。人間性を破壊し暴力ですべてを支配する考え方です。ハリウッド映画に出てくる「悪の帝国」そのもの。これに追従するのが高市首相の基本姿勢です。このまま進めば世界も日本も、軍事と経済で強い者が支配することになります。どうしたらいいのか、と悩む前に私たちの基本的な立ち位置をしっかり見据えることが重要です。
 国連憲章が冒頭で掲げるのは、国際紛争を「平和的手段によって、かつ正義及び国際法の原則に従って実現すること」です。キーワードは「正義」です。社会正義、国際正義に基づかない身勝手な行動は許さない。それをすべての国、すべての人々が基本に据えることが平和な世界を構築することにつながります。
 私たちはあくまで正道を歩もうではありませんか。私たちだけではない。カナダのカーニー首相も「ポピュリズムと民族ナショナリズムが台頭する時代にあって、カナダは多様性が弱みではなく強みになり得ることを示すことができる。進歩と正義へと向かう余地は、なお残されている」と述べました。米国でもニューヨークに民主的社会主義を掲げるマムダニ氏が元旦、市長に就任しました。トランプ大統領の支持率は急速に低下しています。秋に行われる米国の中間選挙では共和党の敗北が予想されます
 私たちはどうすればいいのか、端的に言いましょう。私たちの立ち位置「正義」の基本を譲らないことです。本当の強さはそこにあります。9条を今まで以上に高く掲げましょう。混迷した世界を救うのにどうしたらいいか。答えは出ています。世界に9条を広めることです。今の世界でそれができるのは、日本で9条を守ってきた私たちです。


伊藤千尋:市民運動こそが日本を変える〜選挙結果にめげているときではない
                  レイバーネット日本2.0 2026年2月13日
 選挙結果について書いたら多くの方から反応をいただきました。今日(2/11)は都内で「今こそ平和憲法を広げよう」と講演をし、先ほど帰宅したところです。さて、昨日の続きです。今の危うい状況を変えるにはどうしたらいいのか。まず知ってほしいのは、今の世界の政治は選挙でなく市民運動によって変わることです。
 ちょうど40年前の1986年2月、フィリピンで100万人の市民が首都の大通りを埋めて独裁政権に抗議し、独裁者マルコスはアメリカに逃亡しました。民衆の力、「ピープルパワー」と呼ばれます。
 そこで就任したのが女性のアキノ大統領です。その4日後、今のウクライナのチェルノブイリで原発事故が起きました。発足したばかりのアキノ政権は前年にできたばかりのフィリピンのバターン原発を一度も使わないまま廃炉にしたのです。市民が生んだ政権だからこその選択です。
 廃炉になったこの原発を訪れたのは、福島原発事故の翌2012年でした。原発をなくしてエネルギーはどうしてるのか問うと、地熱発電で賄っていると言います。首都から車で4時間かけて山奥の地熱発電所を見に行きました。大規模な発電所のあちこちに赤いスリーダイヤが見えます。日本の三菱製でした。主任技師は「今や我が国はアメリカに次いで世界第2の地熱発電大国です」と胸を張ります。
 だったら三菱は日本でも地熱発電をやれよ、と言いたくなるではありませんか。帰国して大分県にある日本最大の地熱発電所を見に行くと、三菱製です。でも、とっても小規模です。なんでフィリピンであれだけ大規模にやれて当の日本ではちっぽけなのか。
 調べてみると当時、世界の地熱発電のタービンの7割が日本製でした。日本は世界でも断トツの地熱発電の技術があるのです。なのになぜやらないかを聞くと、景観を壊すとか温泉が出なくなるとかいろいろ理由を言われました。でも、同じ大分県で名高い別府温泉の杉乃井ホテルは自前の地熱発電で電力を賄っていました。やれるのです。
 今日の講演でも言いましたが、実は日本で地熱発電をきちんと開発すると原発20基分の電力がとれるのです。当時、経済産業省の研究機関がそうHPに書いていましたのを見て驚き、経産省に確認もしました。日本の技術はすばらしい。官僚もちゃんと調べている。でも、政治がそれを捻じ曲げて「日本には自然エネルギーはない」と国民をだましているのです。
 地熱発電の威力を始めて認識したのは福島の原発事故の1年前、2010年でした。北欧のアイスランドを訪れて「世界最大の露天風呂」を見たのがきっかけです。サッカー場より広い5000平方mの巨大な露天風呂を見て「どうしてこんなものを作ったのですか」と質問しました。露天風呂の向こうで煙をもくもくと吐いていたのが地熱発電所です。発電する過程で地中から出てくる水蒸気が出てお湯となって地面に溜まった。それを露天風呂に活用しているのです。
 そこで考えました。地熱発電所を作って露天風呂ができるのなら、露天風呂がたくさんある日本ならもっと地熱発電が出来そうだ、と。帰国して調べた結果が「原発20基分」の電力がとれるという経済産業省のHPです。

 アイスランドと言えば1975年、ジェンダー平等を求めて女性の9割が参加したストライキ「女性の休日」をご存知でしょう。映画にもなりました。この運動がきっかけで男女平等が進み、今やこの国は16年連続でジェンダー平等世界一を続けています。平和度指数も17年連続で世界一です。アイスランドだって男性優位の社会でした。それを女性自らが変えたのです。今は大統領も首相も女性です。選挙でなく市民動が政治を変えたのです。
 原発と言えば台湾は昨年、アジアで最初の脱原発を達成しました。6機あった原発全てが稼働をやめたのです。それを招いたのは市民、中でも若い女性の市民運動でした。「原発監視ママ連盟」の提唱で2013年に5万人がデモをし、ついに原発を停止に追い込んだのです。
 もっとすごいのがお隣の韓国です。2年前に当時の大統領が戒厳令を出したとき、市民が立ち上がりました。若い女性が兵士から銃をもぎ取りました。大統領は今や犯罪人として裁かれています。
 この国ではたびたび100万人規模で市民がデモを行い、政権に対して異議を唱えて来ました。2008年には危険な牛肉をアメリカから輸入することに反対して市民はロウソクを手にデモをした。そのとき、デモの人々が歌ったのが「大韓民国憲法第1条」という歌です。「大韓民国は民主共和国である。主権は国民にあり、すべての権力は国民から生じる」という第1条にメロディーをつけて歌った。米国に従うのでなく韓国の主権を発揮せよ、という主張です。高市首相に聴かせてやりたい
 2016年10月には当時のパク・クネ大統領に抗議し、首都の広場を3万人が埋めました。翌週は30万人、その翌週は100万人、最終的には首都だけで170万人に膨れ上がり、パク大統領をついに退陣に至らせた選挙ではなく市民の行動が政治を変えたのです。
 僕は主催者に「どうしてこんなにたくさんの人を集めることができたのですか」と聞きました。いろんな理由が挙げられました。その一つに「前年の日本に学んだのも大きな理由の一つです」と言います。2015年に安保法制に反対して10万人以上が国会を包囲した市民行動のことです。「あのおとなしい日本人でさえ立ち上がった。我々は何をしているのか、と発奮したのです」と言います。

 みなさん、日本の市民運動も捨てたものではありません。お隣の韓国に影響して100万人デモを生むきっかけになったのです。あのとき、国会前に参加した人もいるでしょう。あなたの行動が韓国の政治を変えたのです。私たちには力がある。
 僕はさらに問いました。「日本ではとても100万人は集まらない。どうして韓国はできるのですか」と。答えは、こうです。「我々、韓国の市民は軍事独裁政権の時代に市民が何度も血を流しながら闘い、ついに民主主義を勝ち取りました。だから自信を持っています。日本の歴史の中で市民が立ち上がって政権を勝ち取ったことが一度でもありましたか」と。そう、繰り返す市民運動が市民自身に自信をつけ、自信を持った市民がまた立ち上がるのです。体験しなければ自信は生まれない。だったら、今から私たちが自ら体験すればいい。
 今や韓国の軍事政権の時代に似たようなことを高市政権はやろうとしています。今こそ、私たちは日本に歴史を作ろうではありませんか。選挙結果にめげているときではない。これをきっかけに、より良い未来、私たちの子や孫に誇れる日本を、私たちの手で創り出そうではありませんか。


伊藤 千尋ウィキペディア)
(いとう ちひろ、1949年9月15日 - )は、日本のジャーナリスト。

来歴
山口県下関市生まれ。山口県立下関西高等学校を経て、1973年、東京大学法学部卒業。大学4年の夏休みに朝日新聞社から内定を得るが、産経新聞社が進めていた冒険企画に応募。スペイン語とルーマニア語の知識があったことから「東大ジプシー調査探検隊」(顧問・直野敦)を結成して東欧に飛ぶ。東欧では「日本のジプシー」を名乗り、現地のジプシーと交わって暮らし、日本初のジプシー語辞書を作り、帰国後は新聞にルポを連載した。

ジプシー調査でジャーナリズムの醍醐味を知り、1974年、再度入社試験を受けて朝日新聞社に入社。長崎支局、筑紫支局、西部本社社会部、東京本社外報部を経て1984年から1987年までサンパウロ支局長。日本に帰国してから社会部に入り、『AERA』編集部員の後、1991年から1993年までバルセロナ支局長。その後、川崎 支局長、フォーラム事務局幹事。2001年、ロサンゼルス支局長。『論座』編集部を経て『be』編集部員。2009年に定年を迎えるが再雇用で『be』編集部に勤務し続ける。「コスタリカ平和の会」共同代表