しんぶん赤旗に掲題の記事が載りました。
自民党総裁選を巡る中傷動画問題では、高市首相は一貫して事務所の関与を否定していますが、それはこれまで積み重なっている具体的な証言や報道などと食い違うものであり、単にキレ気味に「関係はない!」と強弁するだけでは国民の疑惑は解消されません。
甚だしい例では、以前に事務所が出した「回答書」についても、都合が悪いと分かると、「あれは間違っていた(と秘書が言っている)」などと開き直りますが、冷静に考えてそれでは通せないと分かると、こんどは10日になってそれを「取り消す」など、ありとあらゆるデタラメを繰り返しています。これでは首相の座はとても務まりません。
しんぶん赤旗と日刊ゲンダイの記事を2つずつ紹介します。
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中傷動画 疑惑ますます 高市首相 資格問われる
しんぶん赤旗 2026年6月10日
自民党総裁選を巡る中傷動画問題で、高市早苗首相の説明と関係者証言の食い違いが解消されないまま、疑惑が深まっています。関与を否定する首相側の主張に対し、具体的な証言や報道が積み重なっているためです。疑惑が事実なら、高市氏の首相としての資格にかかわる重大な問題です。説明責任が厳しく問われています。
問題となっているのは、2025年の自民党総裁選に関連し、高市首相の秘書から相談を受けたとするIT会社代表の男性が、小泉進次郎防衛相を中傷する動画を人工知能(AI)で作成・投稿したと証言していることです。『週刊文春』に続き、共同通信が報じています。
これに対し、高市首相は8日、首相官邸で記者団の質問に対し、「私はこれまで答弁してきた。それは揺るぎない」と述べ、「他の候補者を誹謗(ひぼう)したり中傷したりということは決してやっていない」と改めて関与を否定しました。事務所が中傷動画の作成を第三者に依頼することはないとも明言しました。
また、男性との関係については「面識はない」と強調。「面識」の意味については、「実際に会って名刺交換をした、相手の所属や氏名を承知している、ということはないということだ」と説明しました。
しかし、共同通信は、男性が首相秘書と携帯電話でメッセージをやりとりし、その電話番号が秘書本人のものであると確認したと報じています。『週刊文春』も、男性と秘書のオンライン会議の様子とされる音声を公開しています。直接会っていないことをもって「面識はない」とする説明は成り立ちません。
秘書と男性をめぐっては、立憲民主党が国会への参考人招致を要求。一方、自民党の鈴木俊一幹事長は同日の記者会見で「現時点で必要はないのではないか」と否定的な認識を示し、党として調査を行う考えもないと表明しました。
高市首相は、他候補を誹謗中傷する行為は「私の流儀ではない」とも述べていますが、こうした主張と相いれない複数の証言や報道が示されているにもかかわらず、それらを具体的に覆す説明は示されていません。民主主義の土台に関わる問題であり、国会での集中審議が求められます。(中野侃)
【レーダー】 ごまかすのはもう限界
しんぶん赤旗 2026年6月10日
昨年秋の自民党総裁選と今年2月の衆院選で、高市早苗首相の陣営が、対立候補を誹諧(ひぼう)中傷する動画の作成やSNSでの拡散に関与していたという疑惑(情報操作疑惑)。共同通信が新たに、総裁選で首相の秘書から相談を受け、中傷動画を作成・投稿したとするIT会社代表の証言を報じましたが、8日のNHK「ニユースウオッチ9」はあいかわらず、高市首相が「中傷は私の流儀ではない」と否定したことを垂れ流すだけでした。
一方、首相が答弁をコロコロと変えているため、テレビの報道番組にも変化がでてきました。
6日の日本系「追跡取材news log」は、「感情あらわ〝揺れる答弁″首相の発言に『変化』も」として、日本共産党の山添拓参院議員ら野党議員の質問をくわしく紹介。
同局の竹内真解説委員は、〝秘書を信じる″というんだったら、この秘書に(公の場に)出てきて〝きちんと説明しなさい″と、こうすれば納得するんじやないか。やましいことがなければ、正々堂々と説明させればいいんじやないかと思う」とのべました。
そのうえで、「この問題は、選挙の際に、もし誹諧中傷が広がってしまうと、有権者の判断をゆがめてしまう可能性があるわけです。となると、民主主義の根幹をなしている選挙にかかわる重大なことになる。だから私たちは、このニュースで取り上げているし、野党も国会で取り上げている」と強調しました。
7日のTBS系「サンデーモーニング」も国会でのやりとりを紹介。司会の膳場貴子さんは、「これ違うのであれば、速やかに確認してハッキリ否定すべきだと思うが」とコメントを求めました。
フォトジャーナリストの安田菜津紀さんは、首相が「秘書に怒られた」とか、「秘書を信じる」という発言を繰り返していることについて、「問題は身内を信じるか否かではない」とバッサリ。ジャーナリストの松原耕二さんは、「高市さんも文香がOKした音声を秘書と一緒に問けば済む問題」と指摘。「選挙の正当性を問うような大事な問題だから、自民党総裁選の投票行動をゆがめかねないような中傷に本当に高市陣営はかかわったのか、もしかかわっていたとしたら、総選挙では公選法に触れる可能性がある。まさに今、SNS規制が議論されているから、高市首相は率先してちゃんと説明すべきだ」とのべました。
「日本を背負って国家運営に取り組んでいる」などと、大げさな言葉でごまかすのはもう限界でしょう。 (藤沢忠明)
「中傷動画」疑惑で高市首相またブチ切れ答弁連発し逃げ切り画策も…露呈した重大な“落とし穴”
日刊ゲンダイ 2026/06/06
昨年の自民党総裁選と今年の衆院選で、高市首相の陣営が対立候補を中傷する動画を作成・配信したとされる週刊文春の報道を巡って、5日の参院予算委員会で質疑が行われた。前日の衆院予算委員会に引き続き、公設秘書が関与していた可能性を問われ、高市首相はブチ切れ答弁を連発。ムキになり過ぎたのか、重大な“落とし穴”が露呈する結果となった。
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中傷動画を巡る焦点は、動画作成を主導したとされる松井健氏と首相秘書の木下剛志氏のやりとりの有無。高市首相は、自身と木下氏は「松井氏と会ったことがない」と答弁していたが、文春オンラインが木下、松井両氏によるウェブ会議の音声を有料会員向けに公開。野党は前日の衆院予算委で音声を基に追及したが、高市首相が「文春オンラインの有料会員になりたくない」「音声を聞いてない」とトンデモ答弁を繰り返したことから、追及の舞台が5日の参院予算委に移ったのだった。
この日、質問に立ったのは立憲民主党の岸真紀子議員。「音声を聞いたか」と確認すると、高市首相は表情をこわばらせ「昨夜遅くに聞いた」と言い、「広く国民の声を聞くにはどうしたらいいかという内容だった。総裁選で他候補を批判する動画に関するものではなかった」と聞かれてもいないことを答弁。ウェブ会議は昨年12月17日のことで、同年10月の総裁選の中傷動画について打ち合わせするわけがない。無関係な話を持ち出して論点をズラしたのは明白だ。
さらに、音声の主が木下氏か否かを問われると「あのような音声で判断するのは難しゅうございます」と発言。「秘書の声ですが、私と会話している時よりもかなり高い声でハキハキとしゃべっていたので違和感があった」と、まるで生成AIで作られたものと言わんばかりだった。
「なぜ危ない答弁を連発させたのか…」
さらに不可解だったのは、現代ビジネス(6月4日配信)の記事内容を否定したことだ。記事では、現代ビジネスがこれまで、暗号資産「サナエトークン」を巡って松井氏と木下氏がやりとりしていた実態を指摘。高市事務所は回答書で、木下氏が昨年12月17日に松井氏とウェブ会議でやりとりしたことを認めている。当会議は文春が公開した音声と同じ日付でもある。
「松井氏と会ったことがない」というこれまでの答弁が崩れているのは明らかで、その点を岸に追及されると、高市首相は「回答書は事実と違うと(木下氏が)申していた」と答弁。高市事務所の回答書の中身が「ウソだった」ということなのか。さすがに、言っていることがメチャクチャだ。
「総理はなぜあんな危ない答弁を連発させたのか。文春の音声の主が木下氏だと証明されたり、現代ビジネスへの回答書を公開されたりしたらどうするのか。ムキになって否定したのだろうが、ツッコミどころが多く、リスクが大きすぎます」(官邸事情通)
攻めどころ満載で“落とし穴だらけ”。いよいよ、本性を現し始めたようだ。
中傷動画疑惑めぐる高市首相「虚偽答弁」の“証拠”出た! 木下剛志秘書の「回答書」公開され万事休す
日刊ゲンダイ 2026/06/08
高市陣営が先の自民党総裁選と衆院選でライバル候補や野党を誹謗中傷する動画を作成・配信したとされる疑惑をめぐって、ブチ切れ答弁を続ける高市首相。公設第1秘書の木下剛志氏と動画作成を主導したとされる松井健氏との接点の有無がひとつの焦点になっているが、「私自身も秘書も面識がない」との高市首相の答弁が「虚偽答弁」である“証拠”が出てきた。
松井氏は物議を醸した暗号資産「サナエトークン」の設計者でもある。この問題を追いかけている「週刊現代」が、木下秘書と松井氏に接点があること、週刊文春が音声を公開した昨年12月17日のオンライン会議が存在したことを、高市事務所からの「回答書」をもとに既に報じているのだ。
5日の参院予算委員会では、野党議員がこの件についても質問したが、驚いたことに高市首相は事務所の回答書について「(秘書が)内容が事実と違うと申しておりました」と答弁。秘書と松井氏の接点も「認めません」と言い切った。
否定できない物証
そこで、週刊現代で一連の取材を続けるジャーナリストの河野嘉誠氏がウェブメディア「現代ビジネス」で7日、木下秘書から週刊現代への回答書を公開した。それによると、高市事務所からの回答書は3月10日から5月20日までの6通があり、3月10日分では《松井氏が総裁選で高市選対のSNS戦略に携わった事実はあるか》という質問に対し、木下秘書はこう回答した。
「松井氏が勝手連で支援していただいていたことは認識していますが、選対として行っていたという事実はありません」
接点はあるとハッキリ答えている。
4月3日分では、「ご質問にいただいた12月17日のオンライン会議は、NoBorder側(松井氏らの側)からの求めに応じて行ったもの」と会議の存在を明確に認めている。
5月20日分では、「これまでの回答に相違はありません」と念押しまでしていた。
改めて河野氏に聞いた。
「(高市事務所が)中傷動画について指示したかどうかは証明が難しい話ですが、木下秘書と松井氏との接点すら認めないのにはびっくりしました。事務所が出した正式な回答を否定するとは、異次元の領域に入ったと思いました。自分で自爆しに行っている。どうも総理に厳しいことを言える人が官邸に誰もおらず、高市首相の感情的な対応だけに危機管理が任せられ、とんでもないことになっています」
サナエトークンとのつながりも…
回答書まで否定したら高市事務所は「嘘をつく」事務所となり信用を失う。高市首相はなぜそんな危うい答弁をしたのか。
河野氏の見立てはこうだ。
「松井氏は複数の投資トラブルが取り沙汰される人物。動画は手段であり、総裁選や衆院選で木下秘書との信頼関係が高まっていった中でサナエトークンの話になっていったとみています。インテリジェンス強化を進めている高市首相の事務所が、そんな怪しげな人物を使えると思って利用しようとし、結局、サナエトークンの宣伝に利用されたという構図を認めたら、説得力がなくなってしまうので、一切を否定するのだと思います」
この先、月内には衆参で予算委の集中審議が予定されている。高市首相が嫌がっても、自民はさすがに実施を拒否できないだろう。高市首相は万事休すだ。
湯沢平和の輪
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。
2026年6月11日木曜日
中傷動画 疑惑ますます 高市首相 資格問われる(しんぶん赤旗)
検察ぐるみの検事正レイプ 真相究明求め女性議員ら立ち上がる(田中龍作ジャーナル)
田中龍作ジャーナルの掲題のブログ記事を紹介します。
ご存知の方も多いと思いますが、上司の検事正からレイプされた部下の女性検事が辞職に追い込まれるという不可解な事件です。
女性検事は検事正を検察内で告発しましたが、検事正側についた副検事(女性)が 女性検事についての事実無根のスキャンダルを垂れ流すなどして埒が明かない中で、女性検事はPTSDを患い辞職に追い込まれました。
検察の組織ぐるみの犯罪を究明する第三者委員会の設置を求める国会議員の会が超党派で発足し、9日に第一回目の会合が開かれました。
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検察ぐるみの検事正レイプ 真相究明求め女性議員ら立ち上がる
田中龍作ジャーナル 2026年6月9日
稲田元防衛相は再審法改正において検察の抗告禁止を訴える急先鋒だった。手前はひかりさん。=9日、衆院会館 撮影:田中龍作=
上司の検事正からレイプされた部下の女性検事が辞職に追い込まれる、という不可解な事件。
検察の組織ぐるみの犯罪を究明する第三者委員会の設置を求める国会議員の会が超党派で発足し、きょう、第一回目の会合が開かれた。
女性検事ひかりさん(仮名)は辞表をすでに提出しているが、退職手続きが終わっていないため、身分はまだ検事である。
ひかりさんは泥酔させられて検事正・北川健太郎の官舎に連れて行かれ性的暴行を受けた。「これでオマエは俺の女だ」と言われながら3時間もレイプされ続けた。北川はバイアグラを服用していたようだ。
検察は北川の犯罪を隠すために、あの手この手で隠ぺい揉み消しを図った。北川と男女関係にあった女性副検事が事実無根のスキャンダルを垂れ流した。ひかりさんはPTSDを患った。
検察から独立した第三者委員会の設置を求めて立ち上がったのは、森雅子元法相、稲田朋美元防衛相ら弁護士資格を持つ議員だ。
彼女たちは再審法の改正で検察の抗告禁止を強く求めた。袴田巌さんのような冤罪被害者を出さないためだ。
きょうの初会合で稲田議員は次のように語った。「再審法と同じ悔しさだ。検察の組織ぐるみの隠ぺいを検証しなければならない…検察が治外法権のようになった。自浄作用がない」と。
求める会会長の森元法相は「我々が何もしなかったら、また犠牲者が出る。また冤罪被害者が出る」。司法の現場を知っているだけに強い危機感を抱く。
二十数年前、検察の裏金を調べていた大阪高検の三井環検事が詐欺の容疑で、検察に逮捕されたことがあった。検察は組織防衛のためだったら、どんな汚い手でも使ってくる。
「求める会」の議員たちが検察の報復を受けるのではないか。心配だ。
森元法相にぶつけると「(検察は)やってくるでしょうね。恐ろしい組織ですから。でも頑張ります」とケレン味なく答えた。腹は座っている。
~終わり~
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ペルシャ湾の海底ケーブルをアメリカとイスラエルに対する切り札に変えるイラン
マスコミに載らない海外記事に掲題の記事が載りました。
相手国とは到底釣り合わない非対称(弱小)の軍事力しか持たなくても、結果的にそれで十二分に戦えることを証明したのが、此度の米国による「対イラン攻撃」でした。
米国はまだまだミサイルの補充が出来ていないし、将来それが出来たとしても「2月以降」の繰り返しになるのではどうにもなりません。
記事は、次の大規模戦争は、石油掘削施設攻撃ではなく、ペルシャ湾海底を走る「光ケーブル」の「静かな遮断」から始まる と述べます。まさに「非対称」の極みです。
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デジタル・ホルムズ:海底ケーブルをアメリカとイスラエルに対する切り札に変えるイラン
マスコミに載らない海外記事 2026年6月10日
ヴィクトル・ミーヒン 2026年6月8日
New Eastern Outlook
世界経済は、中東における最大の軍事秘密をまだ理解していない。次の大規模戦争は、石油掘削施設攻撃ではなく、インターネットの「静かな遮断」から始まることだ。
アメリカ国防総省がミサイル防衛に数十億ドル費やす一方で、イランはアメリカとイスラエルの技術的優位性に対抗する非対称的手段を見出した。その手段はペルシャ湾の海底に隠されており、通常兵器に対して事実上無敵だ。
隠れた動脈:なぜペルシャ湾はウォール街より重要なのか
ホルムズ海峡は世界の石油の20%が通過する狭い隘路だと我々は考えがちだ。だが2024年以降、その認識は時代遅れだ。今や海峡の海底にはデジタル動脈が張り巡らされ、大陸間データと金融取り引きの99%、すなわち約10兆ドル相当が毎秒そこを通ってやり取りされている。
海峡には、AAE-1、FALCON、ガルフ・ブリッジ・インターナショナルといった主要海底ケーブルが敷設されている。物理的には、これらケーブルは石油タンカーより保護が手薄だ。提供された資料は、衝撃的事実を示している。世界中で毎年約200件のケーブル損傷事故が発生しており、そのほとんどは破壊工作ではなく、誤って錨を落としたのが原因だ。だが、まさにその「偶発的」性質が戦時下破壊工作の格好の隠れ蓑になる。
アメリカ・イスラエル同盟は今まさに、この戦争に負けつつある。彼らはミサイル攻撃の準備をする一方、イランは「水中チェス」を繰り広げているからだ。
最後通牒としての地図:イスラム革命防衛隊の行動
2025年4月22日(ソースデータの時系列による)欧米専門家が「デジタル・ハイバル」と呼ぶ出来事が起きた。イスラム革命防衛隊(IRGC)傘下のタスニム通信社は、単なる記事ではなく、軍事宣言を掲載したのだ。「ホルムズ海峡のインターネット・ケーブルから利益を得るための三つの実践的な措置」と題された記事には海底インフラの詳細地図が掲載されていた。
これは破壊への呼びかけではなかった。拒否できない取り引きの申し出だったのだ。「外国通信事業者は、イラン領海にケーブル敷設するには、我々の許可を得て『保護料』を支払わなければならない」とイランは宣言した。テヘランの要求は、独特な地理的事実に基づいている。湾岸諸国(UAE、バーレーン、カタール)のケーブル・インフラは全て、イランの目の前の狭い海峡に集中している。紛争を避けるために、ケーブルはオマーン領海に敷設されたが、実際はイランの高速艇やドローンの射程圏内に留まっている。
修理という人質:大量破壊兵器になり得るアルカテルの「不可抗力」
イランの本当の力は、海底ケーブルを切断した瞬間ではなく、修復時に明らかになる。航行中の船の錨がケーブルを損傷することはあり得るが、ある国が修理手順修復を妨害したり、官僚主義的手段で阻害したりすれば、世界経済を人質に取ることになる。
フランス国営企業アルカテル・サブマリン・ネットワークス(メタ社の2アフリカ・パールズ・プロジェクトの請負業者)の事業に関して示されたデータは、軍事アカデミーで教えられるべき事例研究だ。2025年3月12日、アルカテルはペルシャ湾で「不可抗力」を宣言した。(e-マリン社は湾全体で1隻しか保有していない)専門修理船は、海域への進入許可を得られず、標的になるのを恐れている。
テヘランの論理は単純かつ冷酷だ。「我々の許可なしにケーブルは修理できない。我々が許可を与えなければ、断線は永久に修復できない」。こうして、ごく普通の錨の引っかかりが、長期にわたる海上封鎖に発展するのだ。
紅海は予行演習だった:6ヶ月間のインターネット切断
戦争が起きた場合、ペルシャ湾に何が待ち受けているのか理解するには、2024年から2025年にかけて紅海で起きた出来事を見れば良い。イランの同盟者、フーシ派反乱軍が、意図的に海底ケーブルを切断したわけではない。彼らは船舶を攻撃し、その結果、海底で錨を引きずりながら船舶が漂流したのだ。
この報告書に書いてある結果
- 2024年、三本のケーブルが損傷し、修復に六ヶ月要した。
- 四本の海底ケーブル(アジア・アフリカ・ヨーロッパ1号線、ヨーロッパ・インド・ゲートウェイ、シーコム他)のうち、2025年9月現在、一本は依然機能停止している。
-アジアとヨーロッパ間の交通量の25%が崩壊した。
民間トレーダーや政府通信機関にとって、数ミリ秒の信号遅延はアービトラージ戦略の崩壊やデータ漏洩を意味する。だが、イランは完全断絶が必要なわけではない。彼らに必要なのは不安定さで、それにより保険料率を引き上げて、企業に支払いを強制できる。
イランの海底:スパイ活動の新たな管轄区域
提供された資料で説明されている最も恐ろしいシナリオは、ケーブルの物理的な破壊ではなく、ケーブルがイランの法的支配下に置かれることだ。イランが領海を通過する全ての通信事業者に対し許可制度を課すのに成功すれば(そして海峡は物理的に迂回困難なボトルネックだ)、テヘランは「バックドア」を出入りできることになる。
稼働の遅延を避けるため、通信事業者は厳しい条件を受け入れなければならない。すなわち、秘密裏に通信を傍受するための機器を設置し、暗号鍵を引き渡し、革命防衛隊の要請があれば直ちにデータを遮断しなければならない。
アラブ首長国連邦、バーレーン、サウジアラビア(暗号資産ハブおよび金融センター)のデータがこれら海底ケーブルを経由していることを考えれば、イランは敵国の経済秘密の鍵を手に入れることになる。これは海事法を通じた合法的手段によるスパイ行為だ。
非対称的対応:なぜアメリカは無力なのか?
アメリカとイスラエルは巡航ミサイルとF-35戦闘機を保有している。だが、この脅威に対抗する手段はない。海底ケーブル警備に配備される軍艦自体が、イランの沿岸配備型ミサイルの標的になる。ケーブルは水深100~200メートルに敷設されており、ネットワークのあらゆる場所に武装警備員を配置するのは不可能だ。
しかも「海底」での報復作戦は不可能だ。アメリカ・イスラエル連合軍がイランの港を攻撃すれば、バーレーンとUAEの「電気を切る」だけで、テヘランは両国の資金の流れを遮断できる。一方、イラン自身は、この地域で数十年にわたり厳しい制裁下に置かれ、西側諸国の海底ケーブルなしでやっていける方法を知っている唯一の国だ。イランは独自の国家国境ゲートウェイ支配機構を有しており、2月28日(仮想攻撃後)に通信量は4%にまで減少したが、それでも機能し続けた。
デジタル封鎖が目標:地政学的結論
イランはインターネットを破壊しようとしているわけではない。ケーブル切断は幼稚な戦略だ。イランの狙いはリスクを収益化することにあるのだ。
新規ケーブル・プロジェクト(SeaMeWe-6、Pearls、FIG)は凍結されている。既存システムは容量限界で稼働している。(サウジアラビアとイラク経由の)陸上代替手段は、海底基幹システムがダウンした場合、負荷に対応できない。
湾岸諸国に正念場が訪れたのだ。数十年にわたり、彼らはデータセンターや「主権クラウド」を構築し、国境内でデータを管理することで安全保障が確保されると信じてきた。だが、イランがまさに証明したのだ。データ・アクセス経路が敵の海峡を通っているのなら、領土の支配は無意味なのだ。
実践的に重要な点:三つのエスカレーション・シナリオ
提供された資料の分析に基づけば、イランの行動は段階的エスカレーション過程に沿って予想できる。
シナリオ1:「錨」(グレーゾーン) ? 代理勢力を通じてイランが海峡内の商船を攻撃する。損傷した船舶は電力供給を失い、錨が海底ケーブルを切断する。不可抗力と修理作業員への安全保障上の脅威により修理は不可能になる。結果:3~6ヶ月に及ぶ慢性的停電が発生し、地域から投資が流出する。
シナリオ2:「税金」(最後通牒) ? イラン革命防衛隊(IRGC)が通信事業者に「保護」料として正式に請求書を提示する。拒否すれば即座に稼働停止または信号妨害が行われる。大手プロバイダー(Meta、Googleなど)はインドやヨーロッパへのサービス提供を確保するため支払いを強いられる。これはイランによる支配を正当化することになる。
シナリオ3:「バックドア」(技術的降伏) ? 通信中断を回避できる代わりに、オマーンまたはアラブ首長国連邦の海底ケーブル陸揚げ局に傍受装置を設置するようテヘランが要求する。これにより「ペルシャ湾」は「盗聴の湾」と化し、米軍の通信内容はイランに即座に知られることになる。
「水中チェス」:イランはいかにしてアメリカとイスラエルからデジタル覇権を奪取しつつあるのか
沈黙の敵。今まさに、アメリカ・イスラエル同盟はこの戦争に負けつつある。彼らがミサイル攻撃の準備に追われる一方、イランは「水中チェス」を繰り広げているからだ。テヘランは海底ケーブルを一本切断するか、あるいは修理を妨害するだけで、一発の銃弾も発射せずに、兵士を一人も失わずに、軍事作戦に匹敵する経済的損害を与えられる。
アメリカ指導者たちが原油価格の上限設定を議論している一方、既にイランはデジタル通信に価格設定している。これが中東の新たな現実で、データは地理的制約の人質となり、グローバル・インターネットはイラン最高指導者政権の人質になっている。
海底ケーブルの支配でイランが得るもの
1. 軍事費をかけない経済的影響力の行使。基幹ケーブル(例えばホルムズ海峡や紅海を通るケーブル)が一本でも停止すれば、湾岸諸国とインドにとって一日あたり数十億ドルもの損害が発生する。「安全なデータ伝送」の見返りとして、イランは制裁解除や金銭支払いを要求できる。
2. 新たな非致死性の抑止力。核開発計画と違い、海底ケーブル破壊はNATOの軍事対応を必然的に引き起こすものではない。これはグレーゾーンで、攻撃の立証は困難で、対称的対応も難しい。だが、その効果はタンカー封鎖に匹敵する。
3. 地域インターネット・トラフィックの支配。ヨーロッパとアジア間データの最大90%は、イラン領海付近を通過する海底ケーブルを経由する。テヘランは、主要ノード(例えば、バブ・エル・マンデブ海峡)を損傷して、各国を孤立させ、有料通過料を支払って自国陸上経路を経由させるよう強制できる。
4. 世界の金融ハブに対する政治的脅迫。ドバイ、ドーハ、シンガポールは海底ケーブルに依存している。イランは標的を絞った傍受(あるいはケーブル切断の脅迫)を行う能力を獲得することで、軍隊や代理勢力を用いずに、アラブ首長国連邦とサウジアラビアに対して直接外交的影響力を得ることになる。
5. 秘密の情報収集プラットフォーム。イランは自国領海内の海底ケーブルを支配することで、切断だけでなく、傍受も可能になる。これにより、イラン情報機関は、NSA(アメリカ国家安全保障局)に匹敵する能力で西側諸国の企業通信や軍事行動を入手できる。
6. 修理拒否を戦略として用いる。イランは常にケーブルを切断する必要はない。数週間、修理船の領海への進入を阻止するだけで十分だ。その間に、敵国のデジタル経済は、イランの年間代理戦争予算全体を上回る損失を被るのだ。
湾岸諸国にとって唯一の救済策は、トルコまたは中国を経由する陸路を完全に再構築することだが、それには何年もかかる。一方、イランは今すぐ、ここで条件を決定づけるために必要なものを全て備えており、実際そうしている。一方、ワシントンは、ミサイル発射を待ちながら、空を見上げている。
ヴィクトル・ミーヒンは作家、中東専門家
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/06/08/digital-hormuz-iran-turns-underwater-cables-into-a-trump-card-against-the-us-and-israel/
11- イランを奇襲攻撃して返り討ちにあったトランプ大統領のごまかしも限界
櫻井ジャーナルの掲題の記事を紹介します。
トランプはネタニヤフに唆されて簡単にイランを転覆できると思い込み、2月28日にイランを奇襲攻撃しましたが、その後の展開はご承知の通りです。
トランプは11月の中間選挙を控えていまは一刻も早く「イラン攻撃」から足を洗う必要に迫られているのですが、「戦略的にはイランの勝利」というのが衆目の見方で、SNSの発達した現在終戦に必要な(虚偽の)「赫々たる戦果」など謳いようもありません。
まして別掲の記事が取り上げた「ペルシャ湾海底ケーブル」の遮断に絡むイランの「強み」など、考えたくもないことでしょう。
併せて櫻井ジャーナルの記事:「イスラエルは執拗にベイルートを攻撃、米国とイランを戦わせようとしている」を紹介します。
これは戦争が治まっては困るネタニヤフがレバノンの首都への攻撃を画策しているというもので、米国がそうしたネタニヤフに暴走を阻止できないのは不思議な「現実」です。
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イランを奇襲攻撃して返り討ちにあったトランプ大統領のごまかしも限界
櫻井ジャーナル 2026.06.11
オマーン沖で哨戒飛行だったアメリカ軍のAH-64アパッチ攻撃ヘリコプターが6月9日に撃墜されたものの、乗員2名は救助されたとアメリカ中央軍(CENTCOM)は発表した。ドナルド・トランプ政権は「自衛のため」にイランを攻撃するように命令、ホルムズ海峡のケシュム島になどが攻撃されたと伝えられている。アメリカの大手メディアは「報復攻撃」の標的はレーダー施設だったとしているが、イラン側はシリクにある2つの貯水槽が攻撃されたとしている。
AH-64アパッチ攻撃への攻撃という主張を疑問視する専門家もいる。例えば元CIA分析官のラリー・ジョンソンや退役アメリカ陸軍中佐のダニエル・デイビスだ。ジョンソンは操縦席かメインローターに被弾していたら機体は海に墜落、乗員は死亡していたはずだと指摘。乗員が救助されたという話が成り立つのは、双発エンジンのうち片方が損傷しただけで機能していたか、後部ローターが損傷しただけだった場合だけだとジョンソンは主張している。デイビスは公表された映像が過去のものだとし、またイランのカミカゼ・ドローンが命中したヘリコプターの乗員が生き残るとは考えられないとしている。
アメリカ軍のケシュム島などへの攻撃に対し、イランはバーレーンにある第5艦隊の基地を攻撃、またヨルダンにあるアメリカ軍の標的4カ所にミサイル攻撃を行い、F-35戦闘機の格納庫を破壊したとイラン外務省は発表。そのほかペルシャ湾岸にある標的20カ所以上をイランは攻撃したとも言われている。
本ブログでも繰り返し書いてきたように、アメリカとイスラエルがイランを奇襲攻撃して始まった戦争を終結させることは不可能に近い。戦争で事実上勝利したイランは戦争終結の条件として、イランの同盟勢力に対する軍事行動を停止することのほか、ホルムズ海峡の通行をイランが管理し、西アジア地域からのアメリカ軍撤退、イランの役割を明記したホルムズ海峡における安全保障協定の策定、イランが被った損害に対する全額補償、すべての制裁および国際決議を撤廃、凍結されたイランの資産を返還、そしてこれらの条件を拘束力のある国連安全保障理事会決議として正式に承認することを示し、これに対してアメリカはイランに「降伏」を要求している。トランプ大統領は敗北を認めるわけにはいかない。
イランは戦争終結につながる有効な合意が可能であり、レバノンとガザの安全も確保できると信じている勢力が政府内にいるようだ。それに対し、アメリカ側が流している「ヘリコプター撃墜話」は交渉を頓挫させることが目的だろうとジョンソンは推測している。イスラエルが戦争終結も認めるとは思えず、必然的にトランプ大統領も認めない。
これも繰り返しになるが、イスラエルは基本的にイギリスによって作られた国であり、その背景にはエリザベス1世の時代、支配層の内部に現れた「ブリティッシュ・イスラエル主義」がある。アングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だと彼らは信じ、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配すると予言されているという妄想が広まったのだ。
その流れの中で19世紀に出現したパーマストン子爵(ヘンリー・ジョン・テンプル)はロシアをイギリスにとって最大のライバルとみなし、「ウクライナ人はわれわれが反ロシア蜂起のストーブに投げ込む薪だ」と語っている。そのパーマストンはビクトリア女王にアヘン戦争を指示したことでも知られている。
パーマストン子爵は中国におけるイギリスの権益を守るためにチャールズ・エリオットを1836年に広東へ派遣、東インド艦隊の軍事行動の規制を緩めて清(中国)への軍事的な圧力を強化、1840年にはアヘン戦争を仕掛けたのだ。彼の政策はセシル・ローズ、ナサニエル・ロスチャイルド、アルフレッド・ミルナー、ウィンストン・チャーチルらが引き継いだ。
言うまでもなく、アヘン戦争でイギリス軍は勝利したものの、内陸部を制圧できなかった。陸軍の力が圧倒的に小さかったからだ。そこで目をつけられたのが日本であり、イギリスの戦略が明治維新に繋がったと言えるだろう。その時に作られた支配構造は現在も生きている。
1972年9月に田中角栄首相が中国を訪問、周恩来と共同声明に調印、友好関係を結ぶことに成功した。日本と中国が手を組むことはアメリカ政府にとって好ましくなかったが、日本経済にとっては有益だった。その関係を破壊したのは菅直人政権だ。
菅政権は2010年6月の閣議決定で尖閣諸島周辺の中国漁船を海上保安庁が取り締まれることにして「日中漁業協定」を否定、そして2010年9月に石垣海上保安部は中国の漁船を尖閣諸島の付近で取り締まった。菅政権は田中角栄と周恩来が決めた尖閣諸島の領土問題を棚上げにするという取り決めを壊したのだ。
1995年から入って日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれ、中国との戦争に備える政策を推進していたが、菅政権の動きはその一環にほかならない。
同政権は2010年6月の閣議決定で尖閣諸島周辺の中国漁船を海上保安庁が取り締まれることに決め、2000年6月に発効した「日中漁業協定」を否定、そして2010年9月、石垣海上保安部は中国の漁船を尖閣諸島の付近で取り締まったのである。それ以降、日本政府は中国との関係を壊そうとしてきた。
高市早苗首相は2025年11月7日、衆院予算委員会で「台湾有事」について問われ、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言、日中関係は一気に緊迫化した。
歴代の日本政府と同じように高市首相も「ひとつの中国」を受け入れているので、彼女の発言は中国で内戦が始まった場合、日本は中国に対して宣戦布告するという意味になる。干渉戦争だ。これを「失言」で片付けようとする人もいるが、質疑の流れから考えても確信犯であり、台湾での動きと連動しているだろう。1995年に始まった日本をアメリカの戦争マシーンに組み込む政策の一環だ。言論統制を強化、治安維持法を彷彿とさせる政策を推進、ゲシュタポを連想させる組織を創設する動きも進められている。そうした政策を進めるように指示している勢力が海の彼方に存在しているはずだ。
高市政権は今年3月31日の閣議で「緊急事態を想定した避難施設の確保に関する基本方針」を決定したが、これも1995年から進めてきた戦争準備の一環だと言えるだろう。大深度地下を掘り進めているリニア中央新幹線も「地下要塞」と解釈することができる。
イスラエルは執拗にベイルートを攻撃、米国とイランを戦わせようとしている
櫻井ジャーナル 2026.06.09
イスラエルはイランの警告を無視して6月7日にベイルート郊外のダヒヤを攻撃、6月8日にはイランのマフシャフルにあるカルーン石油化学工場を空爆。それに対し、IRGC(イラン革命防衛隊)は6月7日にイスラエルの占領地北部にあるラマト・ダビデ空軍基地をミサイル攻撃、8日にはネバティム空軍基地とテルノフ空軍基地を攻撃した。イエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)もイスラエルに向けてミサイルを発射、展開によってはイスラエルとイランの戦闘が激しくなり、ホルムズ海峡だけでなく、アデン湾から紅海への通り道であるバブ・エル・マンデブ海峡も閉鎖される可能性があった。
しかしその後、ハタム・アル・アンビヤ中央司令部はイスラエルに対する軍事作戦の停止を発表。アメリカのドナルド・トランプ大統領はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に電話をかけ、和平協定の締結を目指しているのだからイランへの報復をしないように伝え、イスラエルが攻撃に踏み切った場合、アメリカはイスラエルを支援しないとも通告したというが、イスラエルはイランをミサイルで攻撃した。
イスラエルがベイルート攻撃を決断した目的はイランにイスラエルへ報復攻撃させ、アメリカを戦争へ復帰させて和平協定を潰すことにあったと元CIA分析官のラリー・ジョンソンは推測している。この推測が正しいなら、ハタム・アル・アンビヤ中央司令部がイスラエルに対する軍事作戦の停止を発表したことでイスラエルの目論見は外れたと言えるだろう。
イスラエルとアメリカの間に不協和音が生じさせたのではないかと思われる話が伝わっている。イランのマスード・ペゼシュキアン大統領はパキスタンのシャバーズ・シャリフ首相と非機密回線を使った電話会談を実施、その中でペゼシュキアン大統領はアメリカの攻撃が続く場合、核和平交渉からの即時撤退、将来の核条約枠組みの完全放棄、イラン領土内での核爆発という3段階の「最後通牒」を伝えたというのだ。アメリカとイスラエルに傍受させるため、非機密回線を使ったと考えられている。同じ内容の話をマルコ・ルビオ国務長官はパキスタンのイシャク・ダル外相から電話で伝えられたという。
アメリカ軍とイスラエル軍が2月28日にイランを奇襲攻撃、最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺害する前、イランは核兵器の開発をしていなかった可能性が高い。
イランがすでに核兵器を保有しているとするならば、「友好国」から入手したということになるだろう。入手先として考えられるのはパキスタン、ロシア、中国、そして朝鮮。中国やロシアは核以外でイランを支援していることは明確だ。
1992年2月に世界征服プロジェクトを作成したネオコン、そのネオコンを含むシオニストはイランを殲滅して「大イスラエル構想」を実現しようとしている。シオニストを産んだイギリスの支配層は権謀術数をめぐらせ、ロシア、中国、そして西アジアを支配しようとしてきた。
こうした長期戦略を彼らが放棄するとは考え難いのだが、アメリカが動かないと前に進まない。日本やドイツにアメリカの代わりはできないだろう。すでに一度、失敗している。イスラエルはイランに対する攻撃を中断してもレバノンへの攻撃は継続し、ガザへの物資搬入は妨害している。イランに反撃させ、アメリカを戦争へ引き摺り込むしか道はないのかもしれない。