植草一秀氏が掲題の2つの記事を載せました。
現行の政治資金規正法は、(公職の候補者の政治活動に関する寄附の禁止)において、
「第二十一条の二 何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く)に関して寄附(金銭等によるものに限るものとし、政治団体に対するものを除く)をしてはならない。
2 前項の規定は、政党がする寄附については、適用しない。」と定めています。
下線部分が悪名高い「政治資金規正法第二十一条の二の2」であり、「政治家個人への寄附は禁止する」が「政党がする寄附については適用しない」としているので、この「抜け穴条項」によってこれまで多くの政党は議員個人に巨額の寄附を行ってきました。
しかし国民の間でそれを批判する声が強くなったので、昨年ようやく「二の2項」が削除される「法改正」が実現し、改正法施行は26年1月1日と定められました。
この「現在はまだ削除されていない」という「間隙」をぬって、高市氏が支部長をしている奈良県第2選挙支部が315名の衆議院議員に対して当選祝いに3万円のカタログギフトを贈呈しましたが その熨斗には「高市早苗」の個人名が記載されていました。これは個人からのものではないという言い訳に反するし、公私混同でもあります。
そもそもまだ禁止の時期に達していないから… というのは、「正しくないことを承知の上で不正を実行することに当たるので、首相たるものがすべきことではありません。
植草氏が2度にわたりその不正を指摘しました。
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超高所得議員にギフト不要
植草一秀の「知られざる真実」 2026年2月26日
政治資金規正法改正で21条の2の2が削除された。21条の2は政治家個人への寄附を禁止する条文。21条の2の2で政党および政党が行う寄附を例外としている。これが悪名高い「政策活動費」の根拠法規。
政党が政治家個人に寄附を行う。流れた資金の使途はブラックボックスになる。自民党では毎年約10億円の政治資金が幹事長に寄附されてきた。この10億円の使途が開示されない。
政治資金規正法は政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治資金の収支の公開並びに(中略)政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、
政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的として制定された。
「政治資金の収支の公開」は「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」に義務付けられている。
ところが、年間10億円もの政治資金が何に使われたか明らかにされないかたちで政治家個人に流れるなら、この法律は有名無実ということになる。
「政策活動費」を悪用していたのは自民党だけでない。維新や国民民主も多額の政治資金を「政策活動費」等の名目で政治家個人に寄附。巨大な「使途不明金」の圧倒的大部分は飲み食い費用だと見られている。
政治腐敗を排除するために21条の2の2削除が求められてきた。2の2は政党および政党支部が政治家個人に対して行う寄附を禁止の対象から除外してきた。
私も本ブログ、メルマガ、さらに著書で21条の2の2削除を強く訴えてきた。
この運動が実り、法改正が実現した。改正法施行は26年1月1日。現在はまだ削除されていない。
この間隙を縫って高市首相は衆院選で当選した315名の自民党衆議院議員に一人3万円のカタログギフトを贈呈した。
熨斗には高市早苗の名が入れられていた。寄附行為者は奈良県第2選挙区支部。
政党支部から議員個人への寄附は26年1月1日からは違法だが、現在は合法。しかし、政治浄化のために法改正を行ったのだから、施行前にこの条文を活用して行う寄附は適正と言えない。
高市氏は奈良県の謎の宗教団体「神奈我良(かむながら)」から違法な献金を受けたと報じられた。このことについて高市氏は第2選挙支部への献金は高市早苗個人への献金でないと説明してきた。
しかし、第2選挙支部が315名の衆議院議員に対して贈呈したカタログギフトの熨斗には高市早苗の個人名が記載されている。「公私混同」そのものである。
第2選挙支部の収入源は寄附が主体だが、政党交付金を原資とする資金も党本部から第2選挙支部に入っているはず。お金に色が付いていないが、国民の税金が当選した315名の国会議員へのカタログギフト購入費に充当されたと理解できる。
政治の浄化のために何が必要か。透明性を高めるために21条の2の2が削除された。
政治資金の資金使途が明らかにされる必要があるからだ。
今回明らかになったことは国民の税金が投入されている政治資金で議員へのカタログギフトが購入されたということ。使途を明らかにするのは、政治資金の使い方として適正なものと適正でないものを明らかにして、適正でない支出を排除することが主たる目的だ。
税金も投入される政治資金で3万円のカタログギフトを贈呈することが正しい政治資金の使用方法と思われない。高市氏が当選した315名の議員に祝意を表すなら、高市氏のポケットマネーでカタログギフトを購入するべきだ。
企業団体献金を禁止しない理由は「政治に金がかかる」とされる。
しかし、その根拠がこんな贅沢三昧であるなら、主権者である国民はこんな人物を首相から排除することを考えるべきだ。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4350号
「カタログギフトの中身は壺隠し」 でご高読下さい。
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(後 略)
決定的に重要な寄附行為者の名前
植草一秀の「知られざる真実」 2026年2月27日
現在の政治資金規正法の条文は以下のとおり。
(公職の候補者の政治活動に関する寄附の禁止)
第二十一条の二 何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く。)に関して寄附(金銭等によるものに限るものとし、政治団体に対するものを除く。)をしてはならない。
2 前項の規定は、政党がする寄附については、適用しない。
これが悪名高い「政治資金規正法第二十一条の二の2」。
政治家個人への寄附を禁止するが、「政党がする寄附については適用しない」としている。
この「抜け穴条項」によって政党が議員個人に巨額の寄附を行ってきた。
寄附された資金の使途は一切明らかにされない。
自民党では毎年、党から幹事長に約10億円の政治資金が寄附されてきた。その10億円の政治資金が何にどう使われているのかまったく不明。飲み食いにも巨額な金が使われてきたと見られる。
自民党だけでない。国民民主党や維新も億円単位のお金を党から政治家個人に寄附して使途不明金としてきた。橋下徹氏が「維新の飲み食い政治」と批判してきたもの。
維新の元議員である丸山穂高氏はこれを「アジャース」と表現してきた。
「アジャース」とは「ありがとうございまーす」を略したもの。力士の「ごっつあんです」と同じ。これがいわゆる「政策活動費」。
自民党は「二十一条の二の2」削除に抵抗し続けたが、ついに削除された。法改正が成立した。新しい法律の条文は次のもの。
(公職の候補者の政治活動に関する寄附の禁止)
第二十一条の二 何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く。)に関して寄附(金銭等によるものに限るものとし、政治団体に対するものを除く。)をしてはならない。
これだけだ。
何が変わったのかというと「2」が削除された。「第二十一条の二の2」が全文削除された。
問題はその施行日。改正法は令和9年1月1日 施行。2027年1月1日に施行される。
高市氏によるカタログギフトの寄附行為者は自民党奈良県第2選挙区支部とされているが事実関係に重大な食い違いがある。寄附を受けた者は315名の自民党衆議院議員。
政党支部による寄附であったとしても27年1月1日に施行される法律では違法行為。
改正法が施行されていないから、現時点では違法行為にならないとしている。
しかし、カタログギフトの熨斗には「高市早苗」という個人名が送り主として記載されている。この表記は寄附行為者が「高市早苗」氏であることを意味すると理解される。
寄附行為者が高市早苗氏であれば二十一条の二に反する。明白な違法行為だ。寄附行為者の名前は極めて重要。
2009年3月3日に小沢一郎氏の公設第一秘書の大久保隆規氏が突然逮捕された。
史上空前の冤罪事件である「西松事件」。この事件は完全な冤罪事案であったと理解される。
検察が提示した被疑事実は「虚偽記載」だった。西松建設関連の政治団体からの寄附についての収支報告書記載が「虚偽」だとして大久保氏を突然逮捕した。
この事件を踏まえると、「高市早苗」名でのカタログギフト寄附は政治資金規正法第二十一条の二に違反する違法行為であると見るべきだ。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4351号
「高市早苗熨斗の寄附は犯罪行為」 でご高読下さい。
(後 略)
湯沢平和の輪
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。
2026年2月28日土曜日
超高所得議員にギフト不要/決定的に重要な寄附行為者の名前(植草一秀氏)
28- 世界がアメリカへの信頼を失った瞬間(Cyrus Janssen)
海外記事を紹介する「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました。
15日の週に開かれた、115カ国以上が参加し60人以上の国家元首、30人の国防相40の国際機関が名を連ねた年次開催の「ミュンヘン安全保障会議」(於 ドイツ)のハイライトは、米国国務長官のマルコ・ルビオの演説でした。それはスタンディングオベーションを受け、多くの人々に世界の将来について楽観的な気持ちを抱かせるものでした。.
しかし記事の原著者であるサイラス・ヤンセンは、「演説で語られたすべてが完全な見せかけだった」と全否定します。記事の後半は「マルコ・ルビオ演説の検証」で占められ、誤った主張であることが克明に語られています。
演説の空虚さは、そのまま ひたすら美辞麗句を駆使して空虚な内容を国民に語ることに終始する某国の女性首相を思わせるものです。(太字強調個所は原文に拠っています)
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世界がアメリカへの信頼を失った瞬間
耕助のブログ No. 28252026/2月28日
The Moment the World Lost Trust in America Cyrus Janssen
先週、世界の指導者たちがドイツに集結した。年次開催のミュンヘン安全保障会議は世界秩序の安定性を測るバロメーターとしての役割をますます強めている。今年の会議には115カ国以上が参加し60人以上の国家元首、30人の国防相40の国際機関が名を連ねた。そしてこの会議の開催時期はこれ以上ないほど重大だった。2026年が始まって間もないが米国は公然とグリーンランド併合を脅している。米国政府がベネズエラへの軍事侵攻を開始し、現在、トランプはイランに対する脅威を強めている。トランプは、昨年8つの戦争を停止したと国民に信じさせたいが、実際には、これまでどの米国大統領も見せたことのない最も攻撃的な外交政策の1つを強化するにつれて、米国政府は不安定さと混乱を増大させている。
しかし興味深いことに、この会議のハイライトとなったのは米国国務長官のマルコ・ルビオだった。スタンディングオベーションを受け、多くの人々に世界の将来について楽観的な気持ちを抱かせた。しかし、ルビオの演説で語られたすべてが完全な見せかけだったと私が言ったら、どうだろう。ルビオは米国が勝利していると世界に納得させようとしたが、実際にはまったく逆のことが起こっている。
今日の動画では、ルビオがスピーチの中で述べた重要な言葉を分析し、なぜ西側諸国が総力を挙げて世界の大国間の力関係を完全に変えてしまうような最大の罠に陥っているのかを説明する。
まず、米国上院議員マーク・ケリーのこのツイートを見てほしい:https://x.com/SenMarkKelly/status/2023112797903839604
「世界大戦と 80 年をかけて、この世界がこれまでに見たことのない最強の同盟が築かれた。それを事実上破壊するのに 1 年もかからなかった。ルビオ国務長官がミュンヘンでの演説で、世界秩序は死んだと述べたのは正しい。ドナルド・トランプがそれを破壊したからだ。彼は、これが何らかの形で我々に利益をもたらすと考えている。彼は間違っている。同盟国はもはや我々を信頼していない。それは私が大統領、首相、国防大臣、外務大臣らと行った十数回の会談で明らかだった。デンマークでは中国が米国よりも人気がある。ポーランドでは、米国の人気は以前より 21% 低下している。これはこれらの国々が、貿易と安全保障を他の国々に求めることを意味し、その結果、米国は貧しくなり、安全性は低下する。ミュンヘン安全保障会議の終わりに祝賀会があったことは知っている。残念ながら、シャンパンの栓が飛んだのは北京とモスクワだった。」
さて、ケリー上院議員が何を指しているかを正確に理解するには、このグラフをみるだけでよい。
https://yougov.co.uk/politics/articles/54045-where-do-western-europeans-stand-on-europes-relationship-with-the-usa
これを見れば、信じがたい傾向がわかる。英国からデンマーク、フランスからドイツ、イタリア、スペインに至るまで、米国の評判は欧州の同盟国全体で史上最低まで急落している。そして米国の評判が下がる時、それは通常中国の評判が上がっていることを意味する。フィンランドの大統領が次に何が起きるかを説明する発言を聞いてみるといい:「結局ヨーロッパが取る行動はリスクヘッジとリスク軽減だろう。だからこそ、EUとメキシコとの貿易協定が急ぎ成立したのだ。インドとの貿易協定も見られるだろう。長期的には中国との投資協定もあり得ないとは言えない。こうした動きは他の国々からも現れ始めるだろう。だから関税や多極化世界、報復に依存する代わりに人々はこう言い始めるだろう。「よし、かつて存在したルールに戻ろう。それらははるかに安定していたから」 そしてこれは、小国にも大国にも当てはまると思う。」
ここ数週間で、過去最多の貿易協定が発効した。これらは全て、各国が気づいた結果である。関税や制裁、米国政府の攻撃的な外交政策は世界の最善の利益にならないと。このクリップの最も重要な部分を聞いてほしい。
フィンランド大統領「長期的には中国との投資協定もあり得ないとは言えない。」
欧州は今、中国との長期投資協定を検討している。そして2026年の最初の6週間の出来事を追っていたなら、フランス、アイルランド、韓国、フィンランド、カナダ、そして英国など6カ国以上の米国と最も親密な同盟国がそれぞれの指導者を北京に派遣し中国政府と新たな貿易協定に署名したことをご存じだろう。
この変化は数週間前、スイスのダボスで始まった。カナダのマーク・カーニー首相が世界に向けて、米国の覇権と既存の世界秩序の終焉を発表したのだ。彼は、中堅国、英国やカナダのような国々は超大国ではないかもしれないが、それでも世界経済に不可欠であり、もはや古い同盟関係だけに頼ることはなく、代わりに新たな貿易パートナーシップと長期的な安定を他の場所に求めなければならないと述べた。カナダは現在、EUと 12 カ国のインド太平洋ブロック間の世界最大の経済同盟の一つを形成する新たな協定を主導している。この協定は、トランプ関税を回避するために特別に設計されたものである。このパートナーシップは15 億人以上、カナダ、シンガポール、メキシコ、日本、ベトナム、マレーシア、オーストラリアのサプライチェーンをEUと直接結びつけるものである。
トランプはアメリカファーストを公約に掲げて選挙運動を行った。しかし、彼の政権は、アメリカ第一主義はアメリカ単独主義であることを急速に認識しつつある。そして、米国がどうしてこのような状況に陥ったのか、そしてそれが世界の将来にとって何を意味するのかを正確に示すためにマルコ・ルビオの演説を検証してみよう。誤解しないでほしい。マルコのスピーチは力強く、落ち着きと情熱に満ちておりトランプの支持者たちに深く共鳴した。彼らはグローバル化は米国にとって失敗だったと信じている。マルコ・ルビオはスピーチで特に中国を標的にし、西側の衰退を中国の台頭のせいにすることをためらわなかった。
ルビオ「そして、その代償は米国にとって非常に大きなものとなった。この妄想の中で、米国は自由で制限のない貿易という独断的なビジョンを受け入れた。一部の国々が自国の経済を保護し、自国の企業に補助金を支給して体系的に我々の企業を弱体化させているのに、米国の工場を閉鎖した。その結果、我々の社会の大部分が脱工業化され、何百万もの労働者や中産階級が海外に流出させ、重要なサプライチェーンの支配権を敵対国やライバル国に渡してしまった。」
ルビオは中国が米国における製造業の雇用喪失の原因であるという古典的な枠組みでスピーチをした。彼は中国政府がファーウェイのような政府補助金を受けている企業に不当な優遇措置を与えていると言った。しかしこの事実を単純に確認すれば、これはまさに米国政府も行っていることだとわかるだろう。米国の石油会社は毎年 310 億ドル以上の政府資金を受けている。そしてアメリカで最も有名な起業家イーロン・マスクは数十億ドルの資金援助を受けており、これはテスラの存続に不可欠だった。ここで少し立ち止まり、単純な疑問を投げかけよう。誰が米国の製造業を中国に移転させた決定をしたのか?中国が米国のCEOを脅迫し、アップルのような企業に自社製品の中国製造を強制したのか?それとも別の理由があるのか?ルビオのような政治家が根拠のない主張を口にするのを聞く代わりに、トップに直接話を聞きに行こう。アップル社のCEOが、米国企業が中国に進出する本当の理由を明らかにしている。
アップルCEO:「一般的な認識では企業が中国に進出するのは人件費が安いからだが、実際のところ中国は何年も前から低人件費国ではなくなった。その理由は技術力、一箇所に集中した技術者の数、そしてその技術の種類にある。例えば我々の製品には高度なツールと精密加工が不可欠だ。ツールの精度や扱う素材への対応は最先端技術であり、ツール技術は非常に深い。米国ではツール技術者の会議を開いても会場を埋められるか疑わしい。中国なら複数のサッカー場を埋め尽くせる。つまり職業的専門性が非常に深い。」
驚くべきことにこの点を理解していない者が多い。中国は安価な製造国ではない。世紀の変わり目以降、中国の賃金は大幅に上昇し中国労働者の収入はアジアの他の発展途上国を常に上回っている。だがルビオが次に演説で非難する内容を聞いてほしい:
ルビオ「米国は主権を国際機関に委ね、一方で国家の福祉に投資し、自国防衛能力の維持を犠牲にした。ある国が人類史上最も急速な軍事増強に投資し、自らの利益追求のためにハードパワーを躊躇なく行使する中でのことだ。」
この発言は明らかに中国を標的にしている。ルビオは中国の軍事支出が世界の安定に対する増大する脅威だと信じさせたい。中国の軍事費は増大する世界的安定への脅威だと。ところがつい先月、トランプは米国の軍事費を2027年までに約1.5兆ドルまで引き上げることを提案した。これは近代史上最大の増加だ。そして中国がハードパワーを用いて自国の利益を追求していると主張する。本当に?ほんの数週間前、米国はベネズエラで軍事作戦を実施し、その後ワシントンは同国の石油輸出を管理・統制する動きを公然と進めた。実際、米当局者は米軍の監視下で押収された石油が現在中国に直接販売されている事実を認めている。これは介入の目的が中国の購入を完全に阻止することだったという主張を完全に否定する。問題はベネズエラ産石油を購入できるか否かではなく、収益とそれを取り巻くシステムを誰が支配するかだった。これはホワイトハウスのダブルスタンダードと完全な偽善である。
ルビオ「それだけではない。気候変動カルトをなだめるために米国はネルギー政策を課し、国民を貧困化させている。競合国が石油や石炭、天然ガス、その他あらゆる資源を単に自国経済を動かすためだけでなく米国に対する圧力手段として利用しているまさにその時にだ。」
ルビオはまたしても中国が石油などの天然資源を、米国を傷つけるために利用しているという虚偽の主張をしている。しかし南米で石油を目的として軍事侵攻を仕掛けたのは中国ではなく米国だ。気候変動と再生可能エネルギーへの投資に関しては、ルビオはこれをカルト的で長期投資に値しないと考えるかもしれないが、再生可能エネルギー分野で成功した最良の例は中国以外にない。中国は今や再生可能エネルギーにおいて誰もが認める世界のリーダーである。風力タービンから水力ダム太陽光パネルに至るまで、中国はあらゆる分野で世界をリードしている。これがなぜ重要か理解するには、中国が米国や他の全ての国々に対して築いた電力生産における圧倒的な優位性を検証すれば十分だ。2024年、中国の電力生産量は米国、欧州、インドの合計を上回った。そして、どの国がAI競争に勝つか疑問に思うなら、どの国が未来を動かすのに最適な立場にあるかを見ればよい。しかし、ここでマルコ・ルビオの「世界に対するルビオのビジョン」という演説は、非常に示唆に富む展開を見せる。
ルビオは、西側諸国が世界中に広がった時代を振り返り、第二次世界大戦後、コロンブスの時代以来初めて西側諸国が縮小を余儀なくされたことを嘆いた。ルビオは、ヨーロッパ帝国の崩壊を共産主義革命と反植民地蜂起によって引き起こされた終末的な衰退とさえ表現した。しかし、彼が衰退と呼ぶものは、世界の多くの地域にとっては「独立」だった。
1945年から1980年の間に、80カ国以上が、主にアフリカとアジアで植民地支配から脱却し、独立を勝ち取った。1945年当時、人類のほぼ3分の1が英国、フランス、米国の帝国支配下に置かれていた。しかしわずか一世代のうちにそれらの形式的な植民地体制はほぼ消滅した。グローバルサウスにとって、これは崩壊ではなかった。解放だったのだ。だがルビオの考えでは、国々が独立を獲得することは悪いことだった。それは西洋が世界中で力と影響力を失っていることを意味したからだ。そしてこれがこの演説の真のメッセージ、西洋が支配力を復活させるべきだという呼びかけへとつながる。ルビオは欧州の同輩たちに、自らの遺産を誇りに思い、文明を守れと指示したのだ。このメッセージは文化的・移民政策の両面でのシグナルだ。ルビオはさらに欧州に対し、人類史上最も偉大な文明の再生を支援するよう促した。つまりルビオの演説はミュンヘン安全保障会議の主テーマである安全保障とはほとんど関係がなく、新たな使命に欧州が米国と共に行動するよう求めることに尽きる。つまり、ルビオの演説は極めて挑発的で協力的な未来を描いているのではない。階層制への回帰を描いていた。西洋の力が再びグローバル・サウスの軌道を導く世界だ。しかしルビオがこの演説で犯した最大の過ちは世界人口の88%以上が今やグローバル・サウスに居住しているという現実を認識できなかった点だ。そしてトランプが世界秩序を破壊した後、発展途上国には選択肢が生まれた。
例えばラテンアメリカを見よ。彼らは過去25年間で米国や欧州から距離を置き戦略的に主要貿易相手国として中国に接近してきた。もしラテンアメリカ諸国がなぜ中国に接近するのか理解できないなら、米国と中国がアフリカ大陸で最大かつ最重要の経済圏である南アフリカをどう扱っているか、その外交政策の違いを見ればよい。トランプが南アフリカに30%の関税を課した時、これはアフリカ諸国の中で最高税率だった。一方中国は新たな協力協定の下で、南アフリカにゼロ関税の市場アクセスを認めた。これが国家間のビジネスを前進させる方法だ。これが発展途上国が繁栄し、国民の生活を向上させる方法だ。より多くの協力と、より多くの貿易だ。
改めてフィンランド大統領の賢明な言葉を聞こう。彼が説明する通りグローバル・サウスは我々の世界の未来を決定する強力な立場にあるのだ。
フィンランド大統領「人口動態上の理由から、経済的理由から、地政学的理由から、次の世界秩序を決めるのはグローバル・サウスだ。そして今まさに、人々の心と意識を争う戦いが起きている。ある程度中国もそれをやっており、米国もそれをやっている。だからヨーロッパ人として、私は尊厳ある外交政策を推進すべきだと思う。つまり中堅国に働きかけ、インドと貿易協定を結び、メルコスール(南米南部共同市場)と貿易協定を結び、市場を開放する。そういう意味で、異なるアプローチを取るべきだ。外交経験から言えば、尊厳ある態度で行動すれば、より多くの成果が得られるからだ。」
なんと斬新な発想だろう。他者を敬意と尊厳をもって扱うことで長期的にはより多くの利益を得られる。フィンランド大統領の意見に全く同感だ。トランプはグリーンランド併合をほのめかした。主権を貶めカナダを「第51州」と呼ぶことで全てのカナダ人を侮辱した。トランプの行動は尊厳とは程遠いものだ。そしてルビオの演説が米国と欧州以外で誰からも歓迎されなかった理由を理解したいなら経済学者ジャクソン・ヒンクルの言葉を聞いてほしい。
彼はこう述べている:「ルビオの演説と欧州支配層がそれを温かく受け入れた点で最も嫌悪すべきは西洋文明に対する彼らの唯一のビジョンが終わりのない帝国主義的暴力の未来であることだ。暴力の未来しか描いていない。彼らは自国民にも世界にも他に何も提供できない。社会・生態系の危機に対処する構想も人々の生活を向上させる構想も人類の進歩を導く構想も偉大さへの他の構想も暴力と略奪以外に存在しない。これは文明の対極にある野蛮そのものだ。」
我々は地政学史上最も不安定な時代の一つに突入している。トランプが支持基盤にMAGA運動が勝利しアメリカ第一主義が世界の未来に最適だと説得しようとも、シンプルな真実はこうだ。世界の南半球と発展途上国こそが未来を握っている。もしアメリカが他国と協力し全人類のためのより良い未来を築く策を追求しなければ、間もなく外から眺めるだけの存在となるだろう。
2026年2月26日木曜日
高市圧勝の ー ①中国という敵から高市を守り、②株価を上げるため高市を推し
世に倦む日々氏による掲題の記事を紹介します。
やや分かりにくいタイトルなので簡単に説明します。
同氏は、高市圧勝を社会学的なアプローチで肯定するのは間違っているとして、「ウソをつきまくって他責で開き直る高市の性格の悪さは尋常ではなく、人物の面で高市がプラス評価を受ける資質的理由は微塵もない」と痛烈に酷評し、「高市圧勝の政治を有意味な社会現象として捉える見方に反対する」と述べます。
そして「では、今回の有権者の投票行動と結果の真相は何だったのか」というと、「その答えは簡単で、中国に対する反発と逆襲である。中国から攻撃されている高市を守って助けようという行動であり、中国への敵意に動機づけられた対抗反撃行動に他ならない」と明言します。
因みに同氏は「日本は反共のイデオロギー・バイアスが著しい国であり、それへの容赦がなく酌量の余地がない社会である。~ これほど反中・反共が同調圧力のコードとして強力に前提化され、言論上の拘束力と禁忌性の高い国は他にないだろう」と評します。
以上がタイトル①の内容です。
そしてもう一つの要因は、「高市の経済政策には安倍のような吸引力はなく、コンセプトの内容もなく、電通的な標語レベルとしても説得力がないので、ひたすら円安を招く」ことを前提にして、岸田政権のときに新NISAを制度化して『貯蓄から投資へ』の流れを作って2年経ったことで、「米国株での資産運用で(帳簿上の)資産増を得ていて、株依存症の経済人生を送っている人口が増えている。彼らにとっては、円の価値が下落し株が騰がれば騰がるほど儲かり小金持ちになる」という関係になっているので、「円安を推進する高市経済政策」を大歓迎しているというものです。
世に倦む日々氏は「これが高市圧勝の第二の真実であり、マスコミが言う『高市人気』の裏側の秘密だろう。無産で物価高に喘いでいるはずの日本の労働者が、共産党やれいわに投票せず、高市自民を支持しているカラクリの一端はこの『投資』ブームの問題にあると言える」と述べます。
どちらも他のコメンテータなどが着眼しなかった点であり、卓見です。
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高市圧勝の ー ①中国という敵から高市を守り、②株価を上げるため高市を推し
世に倦む日日 2026年2月24日
衆院選の結果が出て2週間が経った。その間、マスコミから今回の民意を分析し総括する記事が大量に溢れている。その多くに共通しているのは、高市の勝利を奉祝し高市人気を合理化する言葉の数々だ。高市圧勝を肯定的な社会現象として受け止め、この投票行動をした有権者の心理を内在的な視角から評価し、この政治的事実を有意義化する学者たちの言説が乱発されている。「推し活」をキーワードにした中北浩爾の浮薄な評論がその典型だし、大澤真幸によるところの、高市が「見捨てられているとの不満を抱く人々に『癒やし』を与えて支持を得た」と憶測する奇論もそうだろう。大澤真幸は社会学者だから当然こうした論理と見解になるのだが、彼らの特徴は、社会学的なアプローチで高市圧勝を整理し表現する論法だ。社会で起きている現実を肯定し、批判的に接しない。それがどれほどファシズムと同質で類似の危険な現象でも、有意味な言葉を与えて意味づけする。
そうした学者たちの言説が撒かれることで、高市圧勝という政治は社会的に肯定的な事象に化け、マスコミによって正当化され、国民全体が前向きな判断で正しい結論を出したように総括される。その物語を国民全体が納得して共有する(させられる)進行になる。選挙に投票に行った有権者は全体の56%だ。44%は棄権した傍観者である。マスコミと学者たちの言説は、約半数の棄権者も含んだ全体の民意として物語化され、日本国民の政治的選択として妥当な図に描かれて確定される。恐ろしいことだ。私は、高市圧勝の政治を有意味な社会現象として捉える見方に反対する。「推し活」などの空疎な語で大衆的ムーブメントとして表象化し、この投票結果に内在的な根拠を与え受容する認識は根本的に間違っていると思う。特に政治学者なら、政治学が研究してきたファシズムの概念とモデルを用いて批判的に分析し、危機感を示すのが当然だろう。それが常識的な議論というものだ。
それでは、今回の有権者の投票行動と結果の真相は何だったのか。有権者はどういう判断をしたのか。「推し活」などの擬態語で欺瞞的に説明された政治の裏側に何があったのか。その答えは簡単だ。中国に対する反発と逆襲である。高市に対する「推し」なる行動は、実は中国から攻撃されている高市を守って助けようという行動であり、中国への敵意に動機づけられた対抗反撃行動に他ならない。高市そのものに何か韓流アイドルのスターのようなカリスマ性があって、その価値と魅力に大衆が惹き寄せられているわけではない。高市の磁力は、中国への憎悪のエネルギーが吸収され反射された実体であり、今回の高市祭りは反中国の民意を結集させ燃焼させたフェスだったのだ。昨年 11/7 に高市が台湾有事への干渉を国会答弁して以降、マスコミはずっと高市を擁護し、国論を高市擁護で固め、中国による経済制裁を批判してきたが、今回の選挙はまさにその国論が民意となった政治だった。
実際のところ、年末から正月にかけての時期、高市は中国問題で追い詰められていた。レアアース禁輸の深刻な懸念が浮上し、日経までが高市に対して辛辣な論調に転じ、通常国会で高市が糾弾されて立往生する幕が見えていた。台湾有事に自衛隊を派遣するとコミットして突っ張り続けた発言は、自身の口から撤回せざるを得ない崖っぷちの状況になっていた。それを避けるためには、国民に選挙で自分を勝たせてもらうしかなく、現実に世論調査を重ねた情勢データでは勝利確実の予測だったので、不意打ち解散の賭けに出たのである。他にも統一教会の醜聞禍が口を開けて待っていて、解散せずに国会に突入したら火達磨の炎上となり、支持率激落の目は確実だった。選挙後の言説での表層のイメージでは、国民が高市を積極的に支持した物語になっていて、高市の「積極財政」に国民が期待を寄せた図に仕立てられている。だが、内実はそうではなく、「積極財政」など何も争点ではなかった。
党首討論会でも高市の「積極財政」が議論になった場面はない。高市の政策が野党勢の批判を抑えて評価を受けたという観察はあり得ない。高市の「個人人気」なるものも、保守系マスコミでは頻繁に喋々され、高支持率を背景に神話化されてきたけれど、左派系が多くフローする私のXタイムラインでは真逆の評価であり、特に女性から激越に嫌悪され唾棄されている実情がある。具体的に一瞥したとき、高市に特に visual value (⇒視覚的価値)の具備が認められるわけではない。無論、野田と比較して競争となれば、顕著な優位性があったのは事実で、女性という属性も利点として効果があっただろう。だからこそ、中道は吉田をぶつけるべきだった。外見の点はその程度としても、ウソをつきまくって他責で開き直る高市の性格の悪さは尋常ではなく、人物の面で高市がプラス評価を受ける資質的理由は微塵もない。過去の経緯含めてキャラクターを客観視したとき、嫌われる要素ばかりであり、人気者になれる条件はどこにもない。
なので、高市を人気者のキャラクター扱いし、期待感が躍動するブームを巻き起こしたカリスマに擬して称揚するマスコミの説明は、明らかに創作であり、政治的なトリックである。悪質な虚構の公論化に他ならない。実際には、有権者は中国を敵として騒めき立ったのであり、選挙を中国と戦う政治の場としたのであり、中国と喧嘩する高市を応援して一票を入れたのだ。暴支膺懲の感情を選挙の民意にしたのである。あのとき、11/18、もし習近平指導部が外交部の局長に北京でポケットに手を突っ込ませず、横柄で傲慢で無礼な態度で金井正彰をあしらう挑発の絵を見せていなければ、このような最悪の選挙結果には至らなかっただろう。11/18 の事件を機に、保守マスコミが攻勢をかけて 11/7 の高市の失態と暴走は意味が逆転し、日本の世論は右翼方向に、高市支持へと固まって行った。中国に対する保守派日本人の憤懣と鬱屈は、短期間の生成物ではなく、数十年間の”教育”の所産であり、幾層にも堆積されセメント化されたものだ。
その反中の精神性は、反共の思想性でもあり、社会主義・共産主義へのネガティブネスは、おそらく日本は世界一の先鋭度と支配度を持った国だろう。デフォルト(⇒基本)で中国は悪であり、脊髄反射的に社会主義・共産主義は悪だと断定される。そこに近ければ近いほど政治的に悪のフラグを立てられる。日本は反共のイデオロギー・バイアスが著しい国であり、それへの容赦がなく酌量の余地がない社会である。そのため、アメリカのようにマムダニ的契機が発生しない。私は数年前から日本は右翼大国だと言っているが、これほど反中・反共が同調圧力のコードとして強力に前提化され、言論上の拘束力と禁忌性の高い国は他にないだろう。その思想性もまた数十年かけて構築された建造物であり、昨日今日出来上がったものではない。そして、若年層になればなるほど固い信念と化していて、世代交代が進むほど日本社会の反中・反共の傾向と性格は強くなる。選挙をやればやるほど、日本は戦後民主主義から離れ、対極にある右翼的地平へ移行する。
今回の衆院選は、高市を守って中国を叩く政治的な機会と祭典だった。それが第一の真実である。マスコミは社会学的な装いを凝らした空説で物語を加工しているが、それは本質を隠すカムフラージュであり、選挙はあくまで政治的選択が行われた場であった。勝利した有権者の最大の争点は、中国から非難されている高市を擁護することであり、高市(とその仲間の右翼政党)に一票を投じて高市の”正義”を証明することだった。反中反共のシンボルである高市に勝利の凱歌を上げさせ、対中の右翼路線で結束した日本政治を実現することだった。高市が圧勝する結果を得たことで、台湾有事を存立危機事態認定して自衛隊を出すとした発言は〝正義″となり、国民が認めてお墨付きを与える〝正しい”方向性となった。安倍晋三が主導し扇動した「台湾有事=日本有事」の命題は、高市圧勝によって国策の位置に定礎された。今後の日本の安保政策は「台湾有事=日本有事」の基本方針に沿って立案され策定される。すなわち、中国との戦争を睨んだ国策の遂行となる。
高市にカリスマがありプラスの磁力があったから票を集めたのではなく、中国という敵を拒否し排撃しようとするエネルギーが票を高市に向かわせたのだ。マスコミがその政治的真実を語らず、捻じ曲げた社会学的な言説で上塗りするのは、反中反共の右翼日本というイデオロギー的事実を客観的に認めたくなく、そこに生臭さと疚しさを感じるからで、お茶濁しで逃げて自己欺瞞したい衝動からだろう。誰もが自分自身の醜い姿は見たくない。本当の言葉を当てたくない。なぜなら、自我の断裂と混乱を招来し、平和憲法否定の右翼思想が普遍的で絶対正義の立場だと自信を持てないからだ。そもそも、高市が取った票は2000万票で、小泉や安倍と比べて大差なく、カリスマ性を美化するほどの数には当たらない。経済政策での大衆の吸引力と操縦力は、小泉や安倍の方がずっと大きかった。高市が得た議席数が突出しているのは、中道の選挙戦略が極端に失敗だったからであり、敵失によって法外な議席数に恵まれた点を看過できない。「高市人気」は中身のない空論だ。
第二の真実の仮説を試みよう。中国敵対とは別の次元で高市支持の大衆的真因が発見できそうだ。それは何かというと、円安株高の高市トレードである。上の段で、私は高市の経済政策には小泉や安倍のような吸引力はないと述べた。その指摘に同意していただける読者は多いだろう。高市の「積極財政」には安倍の「アベノミクス」のような魔術的な訴求力はない。コンセプトの内容もなく、電通的な政策コピーの標語レベルとしても説得力がない。だが、そう考えるのは、私や読者の多くが株式投資(投機)とは縁のない経済的存在だからである。岸田政権のときに新NISAを制度化して「貯蓄から投資へ」の流れを作って2年経った。それが始まった頃、円資産がドル資産に流出する問題がエコノミストに指摘され、円安が加速して国益を損なう一方だという警告が発せられていた。要するに、日本人がNISAを媒介に円資金をオルカンやS&Pに移し、米国株での資産運用で(帳簿上の)資産増を得ていて、株依存症の経済人生を送っている現実がある。その人口が増えている。
彼らにとっては、円の価値が下落すればするほど得で、株が騰がれば騰がるほど儲かるのだ。豊かな小金持ちになるのだ。高市トレードは円安を推進する経済政策である。金融市場のプレイヤーである資本家に対して、円の金融緩和継続を保障し、「積極財政」による財政毀損(円の信認低下)を意識づけ、円安トレンドの心性を導引させ続ける政策だ。アベノミクスと同じ。俄か投資家の彼らにおいては、円安によって物価は上がっても、それを上回る円換算の資産増が(現在進行形で)口座に計上され達成されているため、円安は大歓迎なのであり、高市トレードを永続して欲しいのである。つまり、彼らのマインドが資本家になっていて、金融資産を保有運用していない多数の日本国民がどれほど輸入インフレの物価高禍に喘いでも、他人の不幸は自分の幸福で、意に介することがなくなっている。高市自民に投票した2000万人の中には、そうした、本来は無産の労働者であり、所得的には賃金労働者なのに、NISAで素人投資家に化けた俄か資本家が多くいる。彼らにとっては高市は稼ぎの神なのだ。
これが高市圧勝の第二の真実であり、マスコミが言う「高市人気」の裏側の秘密だろう。無産で物価高に喘いでいるはずの日本の労働者が、共産党やれいわに投票せず、高市自民を支持しているカラクリの一端はこの「投資」ブームの問題にあると言える。若い世代になればなるほど、日本の労働者はNISAに依拠し信奉する者が多くなり、資本主義(新自由主義)を正面から肯定する態度になる。高市自民や維新や玉木国民や安野みらいを支持する政治的主体になる。すなわち、小ブルジョワ(Petite bourgeoisie)。マルクスは「存在が意識を規定する」と言った。まさしく、彼らが生きる土台の論理と運動が彼らの志向と選択を決定づけている。経済的生き方が政治的価値観を決めている。日本人の存在と意識の誤った変容が、政治を誤った方向に導いている。以上、①中国への敵対反発の民意 と ②高市トレードへの支持と、高市圧勝の真実を2点指摘した。