2026年6月18日木曜日

米・イラン戦闘終結合意 両国覚書に署名 ホルムズ通航60日無料

 米政府高官は15日、記者団に対し、トランプ大統領とバンス副大統領、イランのガリバフ国会議長が戦闘終結の覚書に署名したと明らかにしました。米高官はまた、対イラン制裁の緩和に応じるかどうかは核放棄に向けた「行動次第だ」と語り、イラン再建に向け、3000億ドル/(約48兆円)規模の基金創設を議論していると明らかにしました

 戦闘終結に向けた合意を受け、米国内で無法な先制攻撃で始めたイラン攻撃は、「必要のなかった大失敗」、「勝利にはみえない。2月28日時点と比べれば、ひどい失敗だ」、「合意内容はトランプ氏が戦闘を開始した時点の状態に戻したにすぎない」、「原油価格の高騰、米国の膨大な戦費、中東全域に広範な苦しみをもたらした」、「長く続いた戦争という悪夢からの遅すぎる救いであり、いったい何のための戦争だったのか」などとトランプ米政権の責任を厳しく問う声が相次いでいます。
 全米イラン系アメリカ人評議会のジャマル・アブディ会長は、「事実に基づかず正当な理由もなく開始したイラン攻撃によって数千の無実の人々が悲惨極まる形で殺害され、文明そのものを破壊しかねない惨禍が続いた」と批判しました。

 しんぶん赤旗の5つの記事を紹介します。
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・イラン戦闘終結合意 両国覚書に署名 ホルムズ通航60無料
                       しんぶん赤旗 2026年6月17日
【ワシントン、エビアン=時事】米政府高官は15日、記者団に対し、トランプ大統領とバンス副大統領、イランのガリバフ国会議長が戦闘終結の覚書に署名したと明らかにしました。また、今週後半にも、イランの核問題などを話し合う「技術的協議」を開き、バンス氏が交渉に当たると説明しました。
 米高官は覚書で、イランが事実上封鎖する原油輸送の要衝ホルムズ海峡の通航料を60日間は無料とすることも合意したと表明。同海峡での機雷除去の作業に時間を要するものの、「30日以内には正常化する」との見通しを示しました。
 イランのタスニム通信も15日、同国側が船舶への料金徴収を60日間免除する方針だと報道。海峡は19日の署名式後に開放すると伝えています。
 米高官はまた、覚書署名に伴う見返りとして、イランの在外資産の凍結解除などには一切応じなかったと強調。対イラン制裁の緩和に応じるかどうかは核放棄に向けた「行動次第だ」と語りました。イラン再建に向け、3000ドル/(約48兆円)規模の基金創設を議論していると明らかにしました。
 トランプ氏は15日、訪問先のフランス東部エビアンで記者団に対し、「イランは核兵器を保有しないと全面的に同意した」と強調。スイスで19日に開かれる正式な署名式にバンス氏が出席するほか、覚書の内容を近く公表する考えを示しました。


EU委員長
                       しんぶん赤旗 2026年6月17日
【エビアン(フランス)=吉本博美米国とイラが戦闘終結への合意を成立させたことについて欧州合(EU)のフンデアライエン委員長は15日、意を歓迎し、中東地域の安と世界経済のために、ホルムズ海峡の通航料なしの即時開放が重要だと指摘しました。
 フォンデアライエン氏は、今回の戦争の教訓は「エネルギーの(対外)依存が武器として利用されたことだ」と述べ、今後は欧州として原油調達やエネルギー供給網を多様化する必要があると表明しました。
 さらに「レバノンが戦禍にある中で、中東地域の平和は当然りえない」と述べ、「欧州として全ての関係国がレバノンの主権と領土保全を尊重し、真の停戦を実行するよう呼びかける」と訴えました。


開戦必要なかった 米国内の識者・平和団体から トランプ氏の責任問う声噴出
                       しんぶん赤旗 2026年6月17日
【ワシントン=洞口昇幸」15日の米国とイランによる戦闘終結に向けた合意を受け、無法な先制攻撃で始めたイラン攻撃は「必要のなかった大失敗」だとトランプ米政権の責任を厳しく問う声が米国内で相次いでいます
勝利にはみえない。トランプ氏がこの戦争を始めた2月28日時点と比べれば、ひどい失敗だ」と評したのは元米労働長官の経済学者ロバー・ライシュ氏。同氏は15日付のメールニュースで、戦闘停止やホルムズ海峡の開放を定めた米イランの合意内容について、「トランプ氏が戦闘を開始した時点の状態に戻したにすぎない」と指摘。原油価格の高騰、米国の膨大な戦費、「中東全域に広範な苦しみをもたらした」ことなどを列挙し、むしろ状況を悪化させたと厳しく非難しました。
 全米イラン系アメリカ人評議会(NIAC)のジマル・アブディ会長15日の声明で、合意は「歓迎すべき」としながら、「長く続いた戦争という悪夢からの遅すぎる救いであり、同時にいったい何のための戦争だったのかと問わざるを得ない」と述べました。
 アブディ氏は、事実に基づかず正当な理由もなく開始したイラン攻撃によって「数千の無実の人々が悲惨極まる形で殺害され、文明そのものを破壊しかねない惨禍が続いた」と批判。合意の発表は「戦争終結にとどまらず、外交と説明責任、そして平和こそ唯一の前進の道であるという明白な真実に根ざした、米国の新たなアプローチの出発点となければならない」と訴えました。
 女性平和団体「コードピンク」共同設立者のメディア・ベンジミン氏はX一(旧ツイッター)に投稿し動画で、今回の合意は「外交こそが最初から笞えだっことを証明するだろう」と強調。「いま世界がすべきことは、このかすかな突破口を守り、終わりなき戦争で利益を得る者たちが再び私たちを奈落へ引き戻そうとするのを阻むことだ」と呼びかけました。


関係国など歓迎 中東各国・地域機構
                       しんぶん赤旗 2026年6月17日
【カイロ=米沢博史】米国とイランが戦闘終結に向けた覚書に合意したこと受け、中東各国および地域機構は15日、一斉に声明発表し、合意を歓迎しまた。
 イスラエルに南部を侵攻されているレバノンのアウン大統領は、合意が「国家主権と国民の権利を守るより幅広い道の始まり」となり、国民が復興と日常生活の回復に専念できるようになることを願っていると述べました。
 イラク外務省は、地域紛争や戦争で大きな被害を受けてきた国として、緊張激化の防止と新たな対立の回避に向けた外交努力の重要性を認識していると述べました。
 サウジアラビア外務省は、最終合意は地域諸国の安全保障を考慮し、他国の内政不干渉の原則を順守するものでなければならないと強調しました。
 エジプト外務省は、対話と交渉による平和的解決は国際法と国連憲章に基づき平和と安定を実現する基本的手段であると強調しました。
 イスラム協力機構(OIC)、アラブ連盟、湾岸協力会議(GCC)もそれれ地域の安定回復への期待を表明しました。


レバノン南部占領続行表明 イスラエル首相国内からも批判
                       しんぶん赤旗 2026年6月17日
【カイロ=米沢博史】米国とイランによる戦闘終結に向けた合意覚書にレバノンを含むすべての戦線での戦闘停止が盛り込まれたことに対し、イスラエルのネタニヤフ首相は15日の記者会見で、覚書に「われわれは縛られない」と述べ、「自衛のための行動の自由がある」と主張しました。レバノン、シリア、パレスチナ・ガザ地区で「緩衝地帯を確立した」とし、「国家を守るのに必要な限りそこにとどまる」と述べ、国際法違反の占領を継続する構えを示しました。
 イスラエルは15日、覚書合意の発表後もレバノン南部で軍事攻撃を続け、車両を攻撃して運転手を殺害、ジャーナリストが負傷するなど民間人の死傷者が出ています。
 イスラエル国内では、立与党の強硬派が、合意に一斉に反発。ベングビール国家安全保障相は、イスラエルは米国の従属国でも合意の当事者でもないため、合意は縛られないと主張。カッツ国防相も、レバノン、シリア、パレスチナヘの軍駐留を無期限に継続すると表明。スモトリッチ財務相は合意を「イスラエルと自由世界にとっての悪」と非難しました。
 野党・民主党のゴラン党首は、合意がネタニヤフ政権による「長年の失策の帰結」と批判。トランプ米大統領に対してネタニヤフ氏は無力であり、政権交代は「安全保障上の責務」だと訴えました。
 他方、左翼連合「平和と平等民主戦線」(ハダシューのオーデ、カシフ両国会員は、「戦闘終結は人々命を守ることにつながる」と歓迎を表明。「なによも大事なのはイスラエル人とパレスチナ人との合意」だとして、パレスチナ国樹立を含む公正な和平の現を訴えました。

有害無益の逆ギレ外交 ほか(植草一秀氏)

 植草一秀氏の掲題の記事を紹介します。
 フランスで15~17日に開かれたG7サミットに臨んだ高市氏は、終了後の記者会見で自分の3つの提案が成果文書に盛り込まれたと喜色満面で強調しました。
 しかし実際は他国の首脳との会話が成立せずに孤立していたというのが真相で、海外での経験が豊富な東大教授と京大教授は対談の中で 今回も高市氏の奇矯な行動が目立ったと批判しています。
 さらに高市氏は 中国によるレアアースの対日輸出制限を批判しましたが、このところ中国の信用度は国際的に高まる一方なので、同調する発言はなかったということです。
 元々 日中関係崩壊の主因は昨年11月7日の高市発言であり、高市発言に非がありました。従ってその発言を撤回して謝罪することが問題解決の唯一の方法なのですが、高市氏は自分の発言については「絶対に謝らない」ことを至上の原理にしているので、未解決のままで現在に至りました。
 植草氏は、「(高市氏は)自分の面子のためなら国がどうなろうと、国民がどうなろうと構わない。これが高市首相の基本スタンス。こんな首相は1秒でも早く首相の座から引きずり下ろす必要がある」と批判します。
 併せて植草氏のもう一つのブログ「サナエトークン提案 藤井聡氏」を紹介します。
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有害無益の逆ギレ外交
               植草一秀の「知られざる真実」 2026年6月18日
国会での虚偽答弁が明白になり窮地に立たされる高市首相。G7の晴れ舞台に臨んでも他国首脳と会話が成り立たず孤立。いとかたはらいたし。
米国議会立法調査官なる肩書はほぼ虚偽である。米国議員事務所にインターン生として所属させてもらっただけに過ぎない。

英語を使えないなら使えないことを明示して通訳を入れて対応するしかない。
英語を理解できないのに理解できる素振りで対応することは非礼。通訳が横に張り付くが通訳してよいのかどうか躊躇している。これでは日本の国益を守れない。

そのG7で高市首相が中国を名指しで批判した。高市首相はG7会合2日目の討議に出席。中国による重要鉱物などの対日輸出規制について「G7や同志国のサプライチェーン(供給網)に深刻な影響を与えかねない。深刻に懸念している」と述べた。

G7各国は中国との関係を重視している。トランプ大統領も訪中して米中融和を確認したばかり。日本が中国をやり玉に挙げても同調する国はない。
逆に高市首相の言動は中国への「逆ギレ」でしかない。

高市首相が正論をかざすなら国民は支援する。しかし、高市首相に正当性がない。
高市首相が日中関係を破壊して深刻な影響が日本経済に広がりつつある。
中国のレアアース供給が細り、日本経済に甚大な影響が広がる。
観光産業においては中国・香港からの来訪者激減が甚大な影響を与えている。
もはや日本のGDP規模が中国の5分の1の水準にまで縮小し、格差が広がっている

中国のGDPは購買力平価換算ですでに米国を上回っている。
日中関係崩壊は中国にとって大事ではないが、日本にとっては死活問題だ。
日中関係崩壊の主因は昨年11月7日の高市発言。高市発言に非がある。
発言を撤回して謝罪することが問題解決の唯一の方法。
その状況下で高市首相はあえて中国を名指しで批判。性格の歪みのなせる業としか考えられない。このことによって被害を蒙るのは日本の主権者国民である。

11月7日発言は、「台湾有事で米軍が来援し、戦艦が使われ、武力の行使を伴うなら、どう考えても存立危機事態」というもの。
「存立危機事態」は日本が集団的自衛権を行使する要件。「台湾有事で米軍が来援したら日本は米軍とともに中国と戦う」と言ったに等しい

日本は台湾の中国帰属を認めている。また、日中のすべての問題を平和的手段で解決することも確認している。
高市発言が「妄言」であるとの中国の主張が正しい。妄言は撤回して謝罪するしかない。
それをせず、逆に中国を名指しで批判。中国が一層態度を硬化させることは明白だ。
自分の面子のためなら国がどうなろうと、国民がどうなろうと構わない。これが高市首相の基本スタンス。

こんな首相は1秒でも早く首相の座から引きずり下ろす必要がある。
幸い、「サナエトークン」、「虚偽答弁」、「誹謗中傷動画」でその日が急速に接近している。

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続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」4447号
「孤立する恥ずかしい総理」 でご高読下さい。
                  (後 略)


サナエトークン提案 藤井聡氏
              植草一秀の「知られざる真実」 2026年6月17日
「サナエトークン」についての金融庁の対応が不透明だ。
国に登録せずに暗号資産の販売や媒介を行うと資金決済法や金融商品取引法違反に問われる。日本国内で暗号資産の売買や交換、それらの媒介・代理を業として行うには、金融庁・財務局への「暗号資産交換業者」としての登録が必須。
無登録で事前販売を行うと資金決済法違反に該当する。

暗号資産の取引規制は金融商品取引法の枠組みへの移行が進んでおり、発行者の情報開示義務やインサイダー取引規制などが整備され、法規制がより厳格化されている。
罰則法令違反に対する罰則は、無登録で販売した場合、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科される。

さらに、この現行の罰則規定を強化する方針がすでに示されている。
現行の「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(またはその両方)」が「10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金(またはその両方)」に引き上げられる方針がすでに示されている。

「サナエトークン」の発行事業者は資金決済法上の「暗号資産交換業者」としての登録をしていなかったと伝えられている。これは明らかに資金決済法違反である。
さらに発行体は事前販売をしていたと見られている。

「サナエトークン」の情報が一般に開示されたのは2月25日
「なんか、すげぇトークン出すらしいじゃん!」これは、2月25日に公開されたYouTubeチャンネル「REAL VALUE」の動画のひとこま。この発言で「サナエトークン」を話題にしたのは堀江貴文氏。
溝口勇児氏が運営する「NoBorder」によるプロジェクト「Japan is Back」の一環として、同日に発行された「サナエトークン」の宣伝が番組で行われた。
「サナエトークン」は同日発行された暗号資産=仮想通貨である。

Japan is Back」公式サイトによると、同プロジェクトは、DAO(=ブロックチェーン技術)とAIなどのテクノロジーを掛け合わせた、“民主主義をアップデートする試み”。
NoBorder」のアプリでユーザーから寄せられた声を集積し、それを政策立案者に届けるという。そして、ユーザーの貢献量に対するインセンティブとして、高市首相の名前を用いた「サナエトークン」が発行される仕組みとのこと。

堀江氏が「サナエトークン」の話題を振ると溝口氏は「実は高市さんサイドとはコミュニケーションを取らせていただいている」と「サナエトークン」と高市首相サイドとのつながりを強調した。さらに、高市氏を「REAL VALUE」関連の会合に呼ぶ段取りをつけていると述べた。

さらに、高市氏の事務所後援会が運営するXアカウント「【公認】チームサナエが日本を変える」が、この2月25日に《民主主義をアップデートし、最先端テクノロジーで国民の声を政治へ届ける挑戦です。コミュニティ提案により実現した『SANAE TOKEN』という新たなインセンティブ設計も注目されています》と宣伝をしていた。

また、2月25日に公開されたYouTubeチャンネル「REAL VALUE」には京都大学教授の藤井聡氏が出演して次のように述べた。
「(プロジェクトは)民主主義をより開かれた形にアップデートする。この空気が動いている今、構想を形にすることに意味があると判断し、トークン発行チームもスピード感を持って動いてくれたみたい。これを社会実験としてやってみたらどうかと、溝口さんにも提案させていただいた。」
藤井氏が「サナエトークン」について、社会実験としてやってみたらどうかと溝口氏に提案したと明言している。

2月25日の動画公開を契機に「サナエトークン」の価格は初値から30倍に急騰。
直後に急落した。あらかじめ保有していた投資者が動画公開によって価格が急騰した局面で売り抜けた可能性が高い
その後、3月2日に高市首相サイドが関与を否定するXを投稿して価格は暴落した。
動画で釣られて資金を投下した投資者は巨額損失に直面した。

まずは、金融庁がサナエトークンの無認可販売等について厳正な対応を示し、刑事告発することが急務だ。

続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」4446号
「サナエトークンの売買手口」 でご高読下さい。
                 (後 略)

米国の終わりのない戦争:6つの問い

 耕助のブログに掲題の記事が載りました。
 米国のジミー・カーター元大統領は2018年、米国では242年前に独立して以来、226年間が戦争の時代であり、平和だったのはわずか16年間に過ぎないと述べました。
「米国は終わることのない戦争国家」ということです。
 その意味では2期目のトランプは、その正当な後継者と言えるのかも知れませんが、従来と大いに変わったのはNATO加盟のEUの主要国のリーダーたちが、流石にトランプには見切りをつけて〝中国詣で″の姿勢を明らかにしたことです。
「背に腹は代えられない」からと言えばそれまでですが、そろそろ愚かな従属からは脱皮すべきです。
  関連記事
 (15.2.28)アメリカは建国後合計222年間=93%の年間 戦争をしてきた(改訂版)
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米国の終わりのない戦争:6つの問い
                耕助のブログNo2935 2026年6月16日
         America’s Perpetual War: Six Questions
             米国の戦争の受益者は誰か?
                   by Professor Joseph H Chung
米国のジミー・カーター元大統領は2018年、米国では242年前に独立して以来、226年間が戦争の時代であり、平和だったのはわずか16年間に過ぎないと述べた。

第二次世界大戦以降、米国は数十カ国を巻き込んだ32件の軍事紛争に関与してきた。これらの軍事紛争の中には、20年以上も続いたものや現在もなお続いているものもある。
言い換えれば、米国は終わりのない戦争の国だ。戦争は極めて破壊的な人間の活動である。何百万人もの人命が犠牲となってきた。米国の軍事攻撃の標的となった国々では、住宅、学校、工場、病院、その他のインフラ施設が、総額数兆ドル相当に上る規模で破壊されてきた。
終わりのない戦争は、自由と民主主義という基盤そのものを破壊し、世界の健全かつ公平な経済発展を阻害し、人権侵害を招き、多くの国の伝統的な価値観を崩壊させ、そして何よりも人々に長きにわたる苦しみをもたらしてきた
米国による数兆ドル規模の終わりのない戦争は、何百万人もの米国民から、まともな収入、適切な住居、必要な食料、不可欠な医療、街頭での安全、信頼できるインフラ施設、不可欠な教育、そしてまともな生活に必要なその他の財やサービスを拒否し、奪ってきた。
話を進める前に、ドワイト・アイゼンハワー大統領の歴史的な発言を引用する。
製造されるすべての銃、進水するすべての軍艦、発射されるすべてのロケットは、究極的には、飢えていても食べ物を与えられず、寒さに震えていても衣服を与えられない人々からの略奪を意味する。この軍備に溺れた世界は、単に金銭を費やしているだけではない。労働者の汗、科学者の才能、そして子供たちの希望をも費やしているのだ。――ドワイト・アイゼンハワー大統領、北米新聞編集者協会への演説(1953年4月16日)

本稿では、以下の6つの問いかけをする。
  ・第二次世界大戦以降、米国はいくつの戦争を行ってきたのか?
  ・米国の戦争はどのように組織されているのか?
  ・米国の戦争の目的は何なのか?
  ・米国の戦争の恩恵を受けるのは誰なのか?
  ・米国の戦争がもたらす悪影響とは何か?
  ・米国の戦争は今後も続くのか?

第二次世界大戦以降、米国はいくつの戦争を行ってきたのか?
戦争の定義には複数の方法がある。本稿では、戦争を米国の軍事介入という観点から定義する。この定義では第二次世界大戦以降、米国が行った戦争は32件に上る。
私はこれらの戦争を以下のカテゴリーに分類した。
  侵略23件)
  ・内戦7件)
  ・多目標戦争2件)
これによると第二次世界大戦以降、いわゆる「戦後時代」に起こった戦争は32となる。
191カ国に点在する1,000の基地に展開する戦争請負業者や特殊作戦部隊によって、依然として多くの非公式な軍事介入が行われていると推測される根拠がある。以下に、アメリカの戦争の一覧を示す。

侵略
 ・朝鮮戦争(1950年~1953年)、
 ・ベトナム戦争(1955年~1975年)
 ・キューバン、『ピッグス湾事件』(1961年)
 ・レバノン(1982年~1984年)
 ・グレナダ(1983年)
 ・リビア爆撃(1984年)、
 ・タンカー戦争 – ペルシャ湾(1984年~1987年)
 ・パナマ(1989年~1990年)、
 ・湾岸戦争(1989年~1991年)、
 ・イラク戦争(1991年~1993年)
 ・ボスニア戦争(1992年~1995年)、
 ・ハイチ(1994年~1999年)
 ・コソボ(1998年~1999年)、
 ・アフガニスタン(2001年~2021年)
 ・イエメン(2002年~現在)
 ・イラク(2003年~2011年)
 ・パキスタン(2004年~2018年)
 ・ソマリア(2007年~現在)
 ・リビア(2011年)
 ・ニジェール(2013年~現在)
 ・イラク(2014年~2021年)
 ・シリア(2014年~現在)
 ・リビア(2015年~2019年)。
 ・【ウクライナ、分類未定】

内戦
インドシナ(1959年~1975年)、
インドネシア(1958年~1961年)
レバノン(1958年)、
ドミニカ共和国(1968年~1966年)、
韓国非武装地帯(1966年~1969年)、
カンボジア(1967年~1975年) 、
ソマリア(1991年~現在)。

多目標戦争
オーシャンシールド作戦:場所、インド洋(2008年~2016年)、
オブザーバントコンパス作戦:場所、ウガンダおよび中央アフリカ(2011年~2017年)。

米国の戦争はどのように組織されているのか?
米国における終わりのない戦争の性質と影響を理解するためには、アメリカ戦争支持コミュニティ(APWC)という概念を紹介する必要がある。
文学やメディアでは、米国が繰り広げる終わりのない戦争の巨大なシステムを説明するために、軍産複合体(MICという概念が用いられる。しかし実際には、永続的な戦争のシステムには、MICよりもはるかに多くの個人や組織が関わっている
APWCは、一般の米国民の福祉や標的国の国民の利益を犠牲にして、自らの利益を追求する緊密なコミュニティである。その組織力と根強い影響力は、事実上解体不可能と言えるほど強大だ。
AWPCの中核グループは、軍需企業と、国防総省、議会、上院、その他の政府機関を中心とする連邦政府で構成されている。
支援グループは2つあり、あらゆる種類の機関や組織で構成されている。
戦争物資やサービスの供給を支援するグループがある。
そして、戦争物資やサービスの需要創出を支援するグループもある。
戦争物資やサービスの生産・販売システム全体の効率性は、中核グループと支援グループがいかに調和して協力し、戦争の目的、すなわち利益の最大化とAPWC内での利益分配を達成できるかにかかっている。

戦争物資およびサービスの供給
軍需物資やサービスの供給は、武器を製造する軍需企業、あらゆる種類の建物を建設・管理する建設業者、米兵に食事や飲み物を提供する給食サービス会社、戦争に必要な情報を提供する情報企業、さらにはアイデアや技術を提供する学者たちによって担われている。
米国では、40の大手軍需企業が年間約6000億ドルの売上高を上げている。

以下の表は、米国における主要な5つの軍需企業の重要性を示している







1. 主要な戦争関連企業5社:2022年の年間売上高(10億ドル)と成長率(近年:%)
注:LM(ロッキード・マーティン)、NG(ノースロップ・グラマン)、GD(ジェネラル・ダイナミクス)出典:

2022年の主要5社の年間売上高合計は2418億ドルに達し、そのうち1833億ドルは軍事関連製品およびサービスの販売によるもので、総売上高の75.8%を占めた。
軍需物資およびサービスの供給は、原材料および中間製品の国内外の供給業者を含む広範な生産チェーンに依存している。さらに、学術機関や情報企業は、兵器生産に必要な情報、技術、その他のサービスを提供している。

以下は、米国の戦争に深く関わっている著名な大学のリストであす。これらの大学はそれぞれ、軍需産業向けに様々な軍需品やサービスを提供している。
本稿では、各学術機関の代表的な製品またはサービスを1つだけ取り上げる。
大学の研究プロジェクトの70%はペンタゴンから資金提供を受けている。

 ・ボストンカレッジは空軍を支援している
 ・マサチューセッツ大学ローウェル校は陸軍向けにモノテクノロジーを開発している。
 ・タフツ大学は兵士の認知能力と身体能力を改善している
 ・MITは非常に多くの軍需物資やサービスを生産しているため「軍需企業」として知られている。
 ・コロンビア大学とブラウン大学は、DARPA(国防高等研究計画局)向けに神経工学システムを開発する。
 ・プリンストン大学は、オープンソース集積回路の設計および検証のためのハードウェ
  アを製造している。
 ・ダートマス大学が機械学習を販売
 ・ペンシルベニア大学が人工知能を開発
 ・スタンフォード大学は化学兵器技術をはじめ、その他多くの軍需物資やサービスを開
発しており、軍需企業と提携していると見なされている。
 ・ハーバード大学は戦争のための教育教材を開発しており、軍需産業に人材を供給する
  主要な機関である。ちなみに、朝鮮戦争やベトナム戦争などで広く使用されたナパー
  ム弾も同大学が製造した。
 ・ジョンズ・ホプキンス大学は、空、海、サイバー空間での戦闘に必要な代替攻撃能力
の評価に必要なツールを開発している。

悲しいことに米国の大学は戦時資金に過度に依存しているため、本来の使命を見失いつつある
クリスチャン・ソレンセン(『戦争産業を理解する』、クラリティ・プレス、2022年)はこの問題について意見を述べている。彼は、大学が真理を生み出し広めるという本来の使命を怠っていると考えているようだ。
しかし、陸軍省との複雑な繋がりは、この大学の真の姿、すなわち学問の崇高さよりも政府資金への依存を露呈している。(ソレンソン:221ページ)
ところで、ソレンセンの著書には多くの有益な情報、データ、アイデアが詰まっており、終わりのない戦争に関する批評文献に間違いなく重要な貢献をしていると言える。
情報技術企業もまた、米国の戦争に積極的に関与している。実際、アマゾン、マイクロソフト、グーグルは、軍向けにクラウドコンピューティングを提供しており、戦争における人的・物的コストの削減に貢献している。

戦争関連製品およびサービスの需要
戦時経済平時経済を区別する驚くべき点は、供給が需要を生み出すという点にある。
米国の戦時経済においては、軍需物資および軍需サービスの最終需要は、ペンタゴンと一部の外国によって決定される。
しかしペンタゴンは戦争需要を推定するために必要な情報をすべて持っているわけではないため、軍需企業から提供される情報に頼らざるを得ない。
したがって、戦争物資やサービスを供給する軍需企業は、需要を決定するという驚くべき役割を担っている
このように、軍需物資・サービスの市場においては供給が需要を決定する
これが米国の戦争が永続的な性質を持ち、APWCに利益が流れ込む原因となっている。
戦争を起こすには、敵が必要だ。しかし、軍需企業には、真の敵を見つけたり、架空の敵を作り出したりする研究能力がない。敵を見つけたり作り出したりする役割は、軍需企業から多額の資金援助を受けているシンクタンクが担っている
シンクタンクが敵を見つけたり作り出したりすれば、新たな戦争や古い戦争の継続が正当化される。

一方、圧力団体は、シンクタンクが生み出した敵の正体を認めるよう、立法者や政策立案者に圧力をかけている。これはロビー活動(賄賂の贈与)を通じて行われる。
メディアの役割は、米国民の心と魂を、終わりのない戦争がもたらす破壊的な結果を認識させることなく、途方もない国防予算を受け入れるように仕向けることにある。
言うまでもなく、圧力団体もメディアも、戦争関連企業から資金提供を受けている。
こうした戦争を支持する個人や組織によって生み出された軍需品やサービスへの需要は、米国の年間国防予算に反映され、2023年には8860億ドルにも達した。
想像してみてほしい。ワシントンの2023年の国防予算は韓国の2023年のGDPである1兆8000億ドルの50%に相当する。また米国の国防予算は、世界の国防予算2兆2000億ドルの40%にあたる。

大手5社は(ロッキード・マーティン、レイセオン・テクノロジーズ、ボーイング、ノースロップ・グラマン、ジェネラル・ダイナミクス)国防予算から最大1500億ドル⇒約24兆円)もの資金を受け取っている。
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