植草一秀氏の掲題の2つの記事を紹介します。
(1番目の記事)
中国商務省の何亜東報道官は最近の記者会見で、「日本が日中関係悪化の根源を直視し、正常な交流の条件を整えるよう求める」「両国関係の深刻な困難の根源は高市首相による誤った言動にある」と述べました。
1972年の日中国交正常化に際して出された「日中共同声明」では、「『台湾は中国の一部である』という中国の主張を、『日本は十分理解し、尊重する』」でまとめようとしましたが、それでは中国が納得しなかったため「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」を書き加えて決着しました。明文上「台湾は中国の一部」という文言はありませんが、「ポツダム宣言の遵守」を謳うことでそれに替えたのでした。
それに対して「台湾有事があれば日本は参戦」するとほのめかした高市氏の国会発言は、日中国交正常化での「共同声明」を蔑ろにするものなので 非は高市氏の側にあり、「中国が容認できないのは当然である」と植草氏は述べます。
(2番目の記事)
植草氏は「2月8日総選挙で自民が多数議席を獲得したが、比例代表選での自民得票率は37%なので、この比率で議席を配分すると自民議席は171。自民が316議席を獲得した主因は『小選挙区マジック』でしかない」と述べます。
そして「現状は国会勢力の大半が『よ党』と『ゆ党』に占有され」ていて、「真の野党勢力の結集が必要」であるが、その「たしかな野党勢力結集の最重要の柱は『対米自立』である」と述べます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日中関係の深刻な困難の根源
植草一秀の「知られざる真実」 2026年5月29日
品格ある国家として日本は、是を是とし、非を非とする真摯な姿勢を示すべきだ。
共同通信が、中国商務省の何亜東報道官は5月28日の記者会見で、
「(日本が日中関係悪化の)根源を直視し、正常な交流の条件を整えるよう求める」
と述べたと伝えた。 https://x.gd/KiHR1
5月22、23日に江蘇省で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合に際して赤沢亮正経済産業相が王文濤商務相との正式な会談を求めたが中国側は応じなかった。
会合では赤沢経産相が王商務相に歩み寄って短時間の立ち話をしたが、中国は正式な会談に応じなかった。
中国商務省の何報道官は「両国関係の深刻な困難の根源は高市早苗首相による誤った言動にある」と改めて主張したと報じられた。
問題の根源は昨年11月7日の衆議院予算委員会での高市首相答弁。これまで指摘しているように、誤りを正すべきは高市首相の側である。中国の肩を持っているのではない。中立公正の視点から発言内容を検証して指摘している。この指摘に対する説得力のある反論は示されていない。
日本のメディアも問題の根源を精査して掘り下げる報道をしていない。これでは国が亡びる。
是は是、非は非である。対外関係においては、この原則を揺るがしてはならない。
中国に非があるなら堂々と主張すればよい。しかし、日本に非があるなら率直に非を認めて謝罪する。これが品格ある国家の対応だ。
高市首相は11月7日の国会答弁で次のように述べた。
「(台湾有事が)戦艦を使ってですね、そして、武力の行使もともなうものであれば、ま、これは、あのー、どう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます。」
ここで高市氏は米軍の関与に触れていない。
しかし、「集団的自衛権の行使」にかかる文脈であるから、高市氏が前段で述べた「例えば海上封鎖を解くために米軍が来援をする、それを防ぐために何らかの他の武力行使が行われる。
まあ、こういった事態も想定されることでございます」
を踏まえて、台湾有事で米軍が来援したとの前提での発言だったと下駄をはかせておく。
高市首相は、「台湾有事で米軍が来援した際に、戦艦を使い、武力の行使をともなうなら、どう考えても存立危機事態になり得るケースと考える」と述べた。
存立危機事態は集団的自衛権行使の要件。存立危機事態を認定すれば集団的自衛権を行使できることになり、この場合は米軍の後方支援をする、あるいは、米軍とともに中国と戦争する、ということになる。
問題は、日本が中国との間で、台湾問題についてどのような取り決めをしてきたのかである。
最重要の取り決めは1972年の日中共同声明。
中国が核心的利益の核心としてこだわったのが台湾の中国帰属問題。
「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である」とする中国の立場を、日本は「十分理解し、尊重する」で声明文をまとめようとしたが、中国が拒絶。
この表現のあとに、「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」を書き加えて決着した。
その意味は、日本政府が台湾の中華人民共和国への返還を認めるということ。
これ以降、日本政府は、台湾と中華人民共和国との間の問題を「中国の国内問題」としてきた。
高市発言は、この取り決めを否定するものになっており、中国が容認できないのは当然である。
(お願い)
情報拡散を推進するために「人気ブログランキング」クリックをぜひお願いします。
「残念だが非は高市首相にある」 でご高読下さい。
この機会にメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」ご購読をぜひぜひぜひお願いします。 https://foomii.com/00050
『ザイム真理教』(森永卓郎著)の神髄を深堀り、最重要政策争点財務省・消費税問題を徹底解説する新著を上梓しました。
『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』(ビジネス社)https://x.gd/LM7XK
ご高読、ならびにアマゾンレビュー、ぜひぜひ、お願いします。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。
最新版よ党・ゆ党・や党分類
植草一秀の「知られざる真実」 2026年5月30日
5月16日(土)に開催した『ガーベラの風』イベント
戦争と壊憲の危機にどう立ち向かうか-「対米自立」「平和と共生」の政治実現に向けて-
https://x.gd/DRjcg、 https://x.gd/kuYcm
「ガーベラの風」としては「対米自立」「平和と共生」の政治勢力結集を求めている。
高市自民が2月8日総選挙で多数議席を獲得したことを背景に、横暴な政権運営を強めている。
その結果生み出されているのが「戦争と壊憲の危機」である。
国家情報会議、国家情報局を創設する法律制定を強行した。「令和版特高警察創設法」である。
財政運営では利権補助金バラマキを拡大しているが高額療養費制度大改悪を強行し、
OTC類似薬の本人負担大幅引き上げを強行する。
財政運営での基本は 1.社会保障を切り 2.利権補助金バラマキを拡大する というもの。
「戦争と弱肉強食」の政治が推進されている。
2月8日総選挙で自民が多数議席を獲得したが、比例代表選での自民得票率は37%。
この比率で議席を配分すると自民議席は171。
自民が316議席を獲得した主因は「小選挙区マジック」でしかない。
全有権者を分母とすると比例代表で自民に投票したのは全体の20%。5人に1人しか自民に投票していない。その高市自民が独裁政治を行うことは正当でない。
ところが、メディアが高市内閣を擁護する。背景は何か。米国である。
高市内閣が対米隷属だからメディアが高市内閣を批判せずに擁護する。
孫崎享氏が強調したのは、高市壊憲推進政策の本質。高市壊憲政策の本質は、米国が自衛隊を意のままに支配することにある。この点を孫崎氏が強調された。
日本政治刷新が求められるが、何よりも重要なことは「対米自立」を中心に据えること。
鳩山元総理は1996年に民主党を創設した経緯に触れてこう述べた。
「新しい流れを作るためには政策の柱を立て、その柱のもとに一人一人が政党を抜け出し、「苦しいけれども新しい旗を一緒に立てよう」という「この指とまれ」方式でやらなければ無理だ。」「新しい政治の流れをつくる時には、国民の皆さんに『この政党ならしっかりやるだろう』という期待を持たせるような位置づけをしない限り、支持を得るのは難しい。」
その通りだと思う。
イベント後半で立民前衆院議員の平岡秀夫氏、川内博史氏、共産参院議員の小池晃氏が討論した。
真の野党勢力の結集が必要であるとの議論のなかで小池氏が強調したのは次の点だ。
「米国に対する向き合い方をはっきりさせることが必要」これが、今回イベントのメインテーマである。
国会勢力の大半が「よ党」と「ゆ党」に占有されている。
いまこそ、「たしかな野党」が必要である。その野党勢力結集の最重要の柱が「対米自立」である。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4431号
「根幹は米国への向き合い方」 でご高読下さい。
(後 略)