国会議員の中では高市氏がトップに位置するであろう日本の極右に関して、腑に落ちないのは彼らが日本の自立(真の独立)には一切関心がなく、ひたすら対米従属を是とする中で軍備拡張を叫ぶ点です。先般のトランプ来日時の高市氏の振る舞いはそれを示して余りがありました。
米国の戦略に沿って「無思考的」に隣国である中国やロシアを敵視することについても同じです。仮に中国と「絶交」状態になれば、日本は「糧道を断たれる」ことになって国家を維持できなくなります。こうした明らかな事態をどう考えているのでしょうか。
しんぶん赤旗に掲題の記事が載りました。
共産党の田村委員長は11日の衆院予算委で、高市首相が7日の同委で「(台湾有事は)存立危機事態になりうる」と答弁したことを撤回するよう求め、首相がやるべきは「危機をあおることではなく戦争のリスクを取り除くための外交努力だ」と主張しました。
別掲の記事でも触れていますが、日本が進むべき道は平和憲法に謳われている「近隣国家との友好関係」以外にはありません。高市氏が人気を維持しよう?として極右を気取るのは日本の滅亡に繋がります。
米国に迎合して軍事費に年間11兆円を やがては21兆円もの国費を投じるなどは、亡国の道であり「狂気の沙汰」です。
田村委員長が指摘する通り、「日本が行うべきは主体的な外交努力」であり、「米国に付き従って軍事力強化に突き進むこと」ではありません。
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危機取り除く外交努力を 高市首相の「存立危機事態」答弁 田村委員長が撤回要求 衆院予算委
しんぶん赤旗2025年11月12日
日本共産党の田村智子委員長は11日の衆院予算委員会で、高市早苗首相が7日の同委で「(台湾有事は)存立危機事態になりうる」と答弁したことを撤回するよう求め、首相がやるべきは「危機をあおることではなく戦争のリスクを取り除くための外交努力だ」と主張しました。
首相は7日の同委で、台湾有事を巡り「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、存立危機事態になりうるケースだ」などと発言。10日の同委では、特定のケースを想定したことについて「この場で明言することは慎もうと思う」と弁明しました。
田村氏は「一国の総理大臣が国会の場で、台湾という地域をあげ、有事の具体例を想定し発言すること自体が軍事的危機をあおることになる」と指摘。7日の答弁を撤回すべきだと求めましたが、首相は「政府の従来の立場を超えて答弁したかのように受け止められたこと」を反省しているだけだとして「撤回の必要はない」と拒否しました。
政府が「存立危機事態」と判断すれば、日本は攻撃も侵略も受けていないのに、海外での自衛隊の武力行使が可能になります。田村氏は、外交努力の重要性を指摘し、日本共産党は戦争の心配のない東アジアをつくるための「東アジア平和提言」を提唱していると強調。中国にも、2008年の日中首脳会談での「互いに脅威とならない」との合意に基づき、双方が緊張と対立を悪化させないよう自制すべきだとした上で、台湾の問題についても ▽台湾住民の民意を尊重する ▽中国による台湾への武力行使や武力による威嚇に反対する ▽日米は軍事的に関与すべきではない―ということを繰り返し伝えていると説明。「軍事的緊張を高める言動ではなく、戦争のリスクを取り除くための外交こそ必要だ」と主張しました。
しかし、日本では、北東アジアの軍事的緊張を高める大軍拡が進み、外国の領土を攻撃できる長射程ミサイルの配備計画が進んでいます。田村氏は、日本初の配備地とされる熊本県では、住民が不安を抱き、世論調査でも反対が多数だと強調。にもかかわらず「防衛省は住民説明会すら開いていない」と追及しました。
首相は「(説明会は)防衛大臣の判断に任せたい」と述べ、小泉進次郎防衛相は「県知事と市長には説明し、九州防衛局に問い合わせ窓口を設置している。説明会の実施予定はない」などと答弁。田村氏は「説明すればするほど(住民が)不安になるからできないということだ」と指摘しました。首相は加えて、日本のミサイル配備は「全然足りない」と述べ、さらにミサイル配備を加速する考えを示しました。
高市政権は、軍事費の国内総生産(GDP)比2%への引き上げを今年度内に補正予算で行うと表明しています。田村氏は予算額の内訳をただしましたが、首相も防衛相も具体的な数字を示しませんでした。田村氏は「(2%の)数字ありきだ」と批判し、2%の目標達成を急ぐ根源には米側の要求があると指摘。トランプ政権によるGDP比3・5%への軍事費増額要求を拒否するよう迫りましたが、首相は「ニーズがあるものにしっかり予算をつけていくのは当たり前」などと述べ、3・5%への増額を否定しませんでした。
論戦ハイライト 田村委員長 衆院予算委
しんぶん赤旗 2025年11月12日
日本共産党の田村智子委員長は11日の衆院予算委員会で、「台湾有事は存立危機事態」という答弁で緊張をあおり、大軍拡を進める高市政権の姿勢をただしました。
台湾有事は「存立危機事態」か
田村 発言そのものを撤回せよ 共産党は平和提言で尽力
田村氏は、高市早苗首相が7日の衆院予算委員会で、台湾有事になれば米軍の戦争に自衛隊が参戦する「存立危機事態」に該当するとの危険な発言を行った問題を取り上げ厳しく追及しました。
高市首相は、台湾を支配下に置くための中国・北京政府の行為として海上封鎖、偽情報、サイバー空間を利用したプロパガンダ(政治宣伝)など具体例をあげたうえで「戦艦を使って、武力行使も伴うものであれば、これはどう考えても『存立危機事態』になりうるケースだ」と明言していました。
田村氏は「一国の首相が国会の場で地域をあげて有事の具体例を想定し発言すること自体、軍事的緊張をあおることになる」と指摘し、次のように迫りました。
田村 10日の同委で首相が「反省し、今後は特定のケースへの明言は慎む」と述べた。ならば、台湾有事は「存立危機事態」に該当するとの発言そのものを撤回すべきだ。
首相 撤回の必要はない。台湾海峡をめぐる情勢に関し、さまざまな想定を議論した結果、従来の政府の立場を超えて答弁したかのように受け止められたことが反省点だ。
田村 首相は問題の重大さをわかっていない。集団的自衛権の行使は、日本が攻撃や侵略も受けていないのに、自衛隊の海外での武力行使を可能にするという重大な問題だ。だから撤回を求めている。
ごまかし、繰り返し撤回を拒否する首相に対し田村氏は「首相がやるべきことは危機をあおることではない。危機を取り除くための外交努力だ」と指摘。日本共産党は、台湾への武力の行使や威嚇に反対し、同時に日米による軍事介入にも反対だと繰り返し中国側に伝えていると説明。「言うべきことを言い、同時に日中両国の関係を前向きに打開し、紛争を絶対に武力衝突や戦争にはさせないために努力を尽くしている」と強調しました。
そのうえで、「日中双方は互いに脅威とならない」とする2008年の日中首脳共同声明を今後の日中関係の基本に据えるべきだと提唱。「軍事的緊張を高める行為を互いに自制する方向に、北東アジアを持っていかなければならない」と訴えました。
ミサイル列島化の実態
田村 当然の住民不安に応えよ
首相 もっと「抑止力」強くする
田村氏は、外国の領土を攻撃できる長射程ミサイルが今年度中に国内初配備されるなど、日本のミサイル列島化の実態を、パネルを用いて告発しました。
政府は、射程1000キロの「12式地対艦誘導弾能力向上型」を今年度に熊本市の中心市街地にある陸上自衛隊健軍駐屯地に初配備するのを皮切りに2027年度には空自百里基地(茨城県)、海自横須賀基地(神奈川県)、陸自富士駐屯地(静岡県)に配備します。
音速を超えるスピードで複雑な軌道で滑空するミサイル「高速滑空弾」も今年度中に富士駐屯地、来年度には陸自上富良野駐屯地(北海道)、陸自えびの駐屯地(宮崎県)に配備されます。高速滑空弾は今後、射程2000~3000キロに「改良」されると言われています。また、米国製長距離巡航ミサイル・トマホークが今年度中に配備される「ちょうかい」(長崎県・海自佐世保基地所属)を皮切りに計8隻のイージス艦に搭載される計画です。
田村氏は、ミサイルを貯蔵するため北海道から沖縄まで全国各地で弾薬庫の新増設計画が「目白押しだ。まさに日本全域をミサイル列島にする計画が進んでいる」と告発しました。
健軍駐屯地への長射程ミサイル配備反対は、熊本日日新聞の世論調査で全体の約6割、女性では76%超を占めます。田村氏は、先月自ら実施した健軍駐屯地などの視察をふまえ、同駐屯地が住宅地の中にあり、道路を隔てて市民病院があり、半径2キロ圏内に、小中学校20校、盲学校、ろう学校、高校8校が存在し、保育施設も多数あることを示しました。
田村氏は「こんな住宅地のど真ん中にどうして長射程ミサイル配備なのか」「相手からターゲットにされるのではないか」「司令部を地下化する工事も同時に行われる。攻撃に備えてのことではないのか。市民はどうなるのか」という市民の声は「当然の不安だ」と強調しました。
しかし、防衛省は住民説明会すら開かず、木原稔官房長官は地元紙のインタビューで「実施する予定はない」と断言しています。
田村 あまりにもひどい対応ではないか。
小泉防衛相 熊本県や市に丁寧な説明をしている。問い合わせ窓口も設置している。住民説明会を実施する予定はない。
田村氏は「そうであるなら、この場で住民の疑問に答えてほしい」と述べ、▽国は健軍駐屯地に配備されるのは移動式の発射台だとしているが、同駐屯地から発射することは絶対ないと断言できるか ▽同駐屯地には弾薬庫が新設されるが、ここに長射程ミサイルを貯蔵するのか―を問いました。これに対して小泉氏は「予断を持って答えることはできない」と回答を拒みました。
田村氏は、「住民の不安には応えない。住民の不安に応える説明もできないということではないか」と厳しく批判しました。
健軍駐屯地への配備計画撤回や住民説明会の開催を求め市民ら1200人が熊本市の健軍商店街のアーケードを埋め尽くした集会・パレード(9日)に触れ、「まず説明会を」が立場を超えた参加者の総意になっていると指摘しました。
田村 総理は総裁選での地元紙の問いに「住民説明会は絶対大事」と答えた。ただちに住民説明会を行うよう防衛相に指示すべきだ。
首相 住民説明会を開く開かないは、防衛大臣の判断に任せたい。(スタンド・オフ・ミサイル=長射程ミサイルは)全然足りない。もっともっとこの抑止力を強くしていかなければいけない。
田村 今後(長射程ミサイルが)大量に配備される。(今回は)第1段階だ。「抑止力」だと言うが、まさに戦争準備だ。
田村氏は、日本が攻撃・侵略されていなくても、「存立危機事態」で長射程ミサイル使用があり得るとした23年の岸田文雄首相(当時)の国会答弁を示し、「事実上の先制攻撃の危険性さえある」と指摘。軍事対軍事の緊張が高まれば、武力衝突が生じかねず「専守防衛さえ投げ捨てる、憲法違反の長射程ミサイル配備計画は撤回すべきだ」と要求しました。
米国言いなり軍事費増
田村 GDP3.5%要求は拒否を
首相 ニーズに予算は当たり前
田村氏は、高市首相が日米首脳会談の直前に軍事費の国内総生産(GDP)比2%への増額を2年前倒しで達成すると表明したのは、トランプ米政権によるGDP比3・5%への増額要求に応えるためだと告発し、増額要求を拒むよう求めました。
田村氏は、GDP比2%=11兆円を今年度中に達成するには補正予算で1・1兆円の軍事費を盛り込む必要があると指摘し、計上額をただしました。高市首相は人的基盤の強化、ドローン対処機材の整備などが見込まれるとしか答えられず。田村氏は、防衛省も内訳はこれから検討すると回答したことを明らかにした上で「まさに数字ありきだ」と厳しく批判しました。
なぜ2%目標の達成を急ぐのか―。田村氏は、そもそもGDP比2%の震源地は、2020年9月、1期目のトランプ政権で当時のエスパー国防長官が日本を含む同盟国に「少なくとも2%に」増やすよう要求したことが始まりだったと強調。「産経」(今年10月24日付)が、22年5月の日米首脳会談で、岸田文雄首相がバイデン大統領にGDP比2%を目標に防衛費を増額する方針を伝えていたと報じていると指摘しました。高市首相は「そのような事実はない」と報道を否定。田村氏は、2%目標という根幹に関わる問題だとして会談記録の提出を求め、さらに追及しました。
田村 第2次トランプ政権の発足以降、米国が日本に対してGDP比3・5%の軍事費を要求しているとの認識があるか。
首相 直接、私に申し入れのないことは承知していない。いずれにしても、具体的に必要なものを現実的に積み上げていく。これがGDP比2%規模になる。それぐらいの必要額は当たり前だという判断だ。
3・5%との米国からの要求という周知の事実について答えない一方、軍事費2%は当然との認識を示した高市首相。田村氏は、英紙フィナンシャル・タイムズが、コルビー米国防次官が日本にGDP比3・5%への軍事費増額を要求したと報じたことや、トランプ大統領から軍事費増額を迫られた北大西洋条約機構(NATO)が、35年までにGDP比5%にする目標を決定していることを突きつけました。
田村 こういうもとで日米首脳会談の直前に軍事費増額の前倒しを表明すれば、客観的には日本がアメリカの要求を受け入れたということになる。そうでないというのなら、GDP比3・5%というアメリカからの要求は受け入れないと表明していただきたい。
首相 ロシアとウクライナの戦争の状況を見ても戦い方が変わっている。ニーズがあるものにしっかりと予算をつけていく。当たり前ではないか。
田村 戦争の準備が当たり前という答弁だ。
高市首相は、3・5%への増額を否定せず、必要であれば、さらに増額する構えを示しました。
田村氏は、22年の「安保3文書」策定前は関連経費含めて約6兆円だった軍事費が、GDP比3・5%では21兆円に跳ね上がり、医療・介護・生活保護の予算18兆円をも上回る、ありえない規模になるとし「国民を守るどころか、くらしも財政も破壊する、まさに亡国の道を歩むことになる」と厳しく批判。「日本が行うべきは主体的な外交努力だ。アメリカに付き従って、軍事力強化に突き進むことではない」と強調しました。