中国商務省は6日、軍民両用品目の対日輸出規制強化を発表しました。
新潟日報が8、9日の両日、それぞれ1、3面で取り上げましたので紹介します。
中国は高市首相の「台湾有事発言」の撤回を要求しましたが、高市氏がそれに応じないばかりか首相周囲の人間から「核兵器保有のオフレコ発言」があったことに強い怒りを示し、昨年の段階で下記のような「対日措置」を実行しました。
・首相答弁の撤回要求・国連での批判 ・自衛隊機へのレーダー照射
・水産物の輸入手続き停止 ・日本への渡航・留学の自粛呼びかけ
・日本人公演の中止 ・防衛省元高官への制裁
年明けの6日には「軍民両用品目の対日輸出規制強化」を通告しました。
これに対して木原内閣官房長官は、「わが国のみをターゲットとした今回の措置は国際的な慣行と大きく異なり、決して許容できない」と強調し、中国側への申し入れは外務、経済産業両省、在中国日本大使館がそれぞれ行いました。
しかし「台湾有事は存立危機事態」などと明言した国は他にはいないわけで、高市氏が「台湾有事発言」の取り消しを一貫して拒絶したほか、暮れには与党国会議員30人が大挙して台湾を訪問し「強い連帯を表明」したことなどはあまりに浅慮であって、中国の措置はむしろ当然のことです。
そもそも「台湾は中国の核心的利益」であると明言する中国のクレームを「全く意に介さない」のであれば、いずれ行き着くところに行くのは必然であって、今更それを非難したところでどうなるものでもありません。
その覚悟もないままで自分の面子にだけ拘ったのであれば何をかいわんやです。
高市氏は「対話の窓口は開いている」としていますが、そんなことで責任を回避できるとでも思っているのでしょうか。そもそも交渉のカードは全て中国側にあり、日本の切れるカードなど1枚もありません。
高市氏の舌禍が日本に何兆円の損害を与えるのかはまだ明らかではありませんが、それを避けるためには発言を取り消すしかありません。もしもそれが出来ないのであれば日本のために首相の座を去るしかありません。
追記 日本側のレアアースの在庫量は企業によって異なりますが、大体2ヵ月程度のようです。従ってこれから別の輸入先を探すとか、新しいレアアースを見つける等の対策ではとても間拍子に合いません。
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中国輸出規制 撤回を要求 軍民両用品 リストにレアアース
新潟日報 2026年1月8日
木原稔官房長官は7日の記者会見で、中国が発表した軍民両用(デュアルユース)品目の対日輸出規制強化について、中国側に強く抗議し、措置の撤回を要求したと明らかにした。中国がこれまでに公表している軍民両用品目リストには幅広い工業製品に使用されるレアアース(希土類)が含まれている。どの品目の輸出を止めるかは中国側の運用による。運用次第では日本企業に打撃となる。政府は影響を分析し、過去に同様の措置を受けた米国と協議して対処策を打ち出す方針だ。
輸出規制は、高市早苗首相による台湾有事は存立危機事態になり得るとした国会答弁に対する対抗措置の一環。中国外務省の毛寧報道局長は7日の会見で「日本は問題の根源を直視すべきだ」として、首相答弁の撤回を重ねて求めた。
中国商務省は、軍事用途向けは「全て輸出禁止」の対象にするとした。中国政府は関連条例に基づいて軍民両用品のリストを以前から公表しており、レアアースや化学品、電子機器、航空宇宙問連など900種類以上とされる品目が列記されている。日本への規制はこのリストに基づいて行われるとみられる。
中国メディアは6日、ジスプロシウムなど7種類のレアアースの対日輸出審査を厳格化する可能性を報じた。レアアースにとどまらず、リストに載っている全ての品目の輸出規制が強化されれば、日本の企業活動や防衛産業への影響は避けられない。
日本のエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、2024年レアアース輸入先に占める中国の割合は71・9%に上がる。木原氏は会見で「わが国のみをターゲットとした今回の措置は国際的な慣行と大きく異なり、決して許容できない。極めて遺憾だ」と強調。「内容を精査、分析して必要な対応を検検討する」と述べた。中国側への申し入れは外務、経済産業両省、在中国日本大使館がそれぞれ実施。外務省では6日、金井正彰大洋州局長が在日中国大使館の施泳次席公使に抗議した。
中国は米国による相互税への報復として同様の輸出規制を実施した経緯がある。
輸出規制強化 威圧 中国の胸三寸 日本痛手、打開策乏レく
新潟日報 2026年1月8日
中国による軍民両用(デュアルユース)品目の対日輸出規制強化に対し、新たな経済的威圧ではないかと日本政府に緊張が走った。品目リストにはレアアース(希土類)が含まれており、実際に輸出が止まれば、対中依存度の高い日本にとって痛手となる。中国側に高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁への強い不満があるのは間違いなく、影響回避へ日本の打つ手は乏しい。
「意図は分からないが、政治的思惑を感じざるを得ない」。6日夜に飛び込んできた中国商務省の発表に、首相周辺は顔を曇らせた。外務省幹部は7日朝、「まずはどれぐらい影響が出るのか分析を急ぐ」と語り、足早に自室へ向かった。
日本側が懸念するのは中国からのレアアースの輸出が滞る事態だ。電気自動車(EV)のモーターなどの民生品だけでなく、防衛装備品にも幅広く使われている。日本は経済安全保障の観点から輸入元の多角化を進めているものの、依然として中国が最大の輸入相手国に変わりはない。
日中両国の立場
輸出規制
中国 台湾有事を巡る高市首相答弁を「極めて悪質」と非難し、対抗措置
日本 日本への悪影響に危機感。打開策を模索するも打つ手は乏しい
台湾問題
中国 国家の本質的利益に直結する「核心的利益」と位置付け、譲歩できず
日本 台湾有事を巡り「存立危機事態になり得る」とした首相答弁は撤回せず
対 話
中国 対話再開には首相答弁を撤回して誠意を見せる必要がある
日本 懸念と課題があるからこそ意思疎通が重要。対話にオープン
▽交渉カード
商務省発表には「軍事力の向上に資する輸出は禁止する」とも明記しており、恣意的な拡大解釈の余地が残る。外交筋は「中国の胸三寸で運用が決まり、日本は振り回される」と歯がみした。
中国側は発表で、台湾有事を巡り「存立危機事態になり得る」とした首相答弁に触れ「武力介入を暗示したことは極めて悪質だ」と批判し、報復措置であることをうかがわせた。台湾問題を「核心的利益」と位置付け、譲歩しない立場を改めて誇示した形だ。
高市政権が取り組む防衛力の抜本的な強化も無関係ではないもようだ。中国の識者は、日本旅行の自粛を呼びかけた昨年11月の中国文化観光省の勧告と比較し「今回の商務省の措置は重い」と分析した。
レアアースの圧倒的な生産量を誇る中国は昨年、トランプ米政権との貿易交渉でも規制強化を発表し、米側から譲歩を引き出すカードに使った。今回も日本の経済的な弱点を突くことで、歩み寄りを求める狙いがあるとみられる。
▽リスク分散
首相は5日の年頭記者会見で、「懸案と課題があるからこそ、意思疎通が重要だ。中国との対話にオープンだ」と述べ、関係正常化に意欲を示していた。だが、中国は対話再開には答弁撤回を条件としており、日本側は受け入れていない。
対立の沈静化に向け、超党派の日中友好議員連盟が議員外交で尽力してきた過去もあるが、議連幹部は「こちらが切れるカードはない」と声を落とす。1月に予定していた経団連など経済界の訪中も延期となる中、対話の糸口すらつかめない状況が続いている。
首相は今月中旬に来日する韓国の李在明大統領やイタリアのメローニ首相に日本の立場を伝え、連携を図りたい考えだが、効果は見通せない。政府高官は「レアアースの対中依存を減らして、とにかくリスクを分散するしかない」と言葉少なに語った。 (北京、東京共同)
中国商務省 日本製造の化合物 反ダンピング調査 信越化学など名指し
新潟日報 2026年1月8日
【北京共同】中国商務省は7日、日本から輸入するジクロロシランに対し、反ダンピング(不当廉売)調査を始めたと発表した。半導体製造に使う化合物で、調査期間は原則1年間。高市早苗首相の国会答弁への対抗措置とみられる。
日本からのジクロロシランの輸入が増え、価格が大幅に下がって国内産業が損害を受けたとしている。調査の結果次第では追加関税が課される可能性がある。
商務省は生産・輸出業者として、信越化学工業と日本エア・リキード、三菱ケミカルグループの3社を挙げた。
商務省は報道官談話で「世界貿易機関(WTO)のルールに従って産業界からの申請書の審査を行った結果、反ダンピング調査の条件を満たしていると判断した」とした。
防衛産業困惑「情報ない」 自動車業界も警戒強める
新潟日報 2026年1月8日
中国が打ち出した軍民両用(デュアルユース)品目の対日輸出規制の強化に対し、日本の防衛産業の間では「情報がない」(関係者)と困惑が広がっている。中国側の運用次第では、自動車の部品にも不可欠なレアアース(希土類)が入ってこなくなる可能性があり、車業界も警戒を強めている。
中国は輸出規制の具体的な対象を示していない。防衛関連企業の関係者は「注視するしかない」と話した。中国がサプライチェーン(供給網)上で給む場合は電池やダイオード、磁石などの調達に支障を来す恐れがあると説明した。
防衛装備品では、高性能センサーなどにレアアースが使われるとされる。財路省防衛統計によると、レアアースの中国からの輸人量は6割超を占める。代替の供給国が限られるため、日本企業は神経をとがらせてきた。
三菱重工業の伊藤栄作社長は昨年12月、中国への倍存度が高い現状について「これからの開発で、なるべくそういう材料を使用しないなど設計を考慮したい」と語っていた。
日本自動車工業会(自工会)は7日、共同通信の取材に「情報を収集している。国と連携して、レアアースの安定調達や供給源の確俣に向けた取り組みを進める」と強調した。
中国に進出する日系企業でつくる中国日本商会は6日にコメントを公表。「日本企業の活動に支障が出ている場合は、商務省などに対して申し入れを行っていく」と懸念を表明した。
中国、日本酒の通関遅延 食品も、首相答弁に報復か
【 新潟日報 2026年1月9日
【北京共同】日本が中国に輸出した日本酒を中心に酒類や食品の通関手続きに通常より時間がかかり、貿易に遅延が生じていることが8日、分かった。昨年11月に高市早苗首相が台湾有事は存立危機事態になり得ると国会答弁して以降に起きており、対日報復のー環とみられる。北京の日本大使館に関係企業から相談が相次いでいる。複数の通商筋が明らかにした。
国会答弁後、中国は再開したばかりの日本産水産物の輸入手続きを停止。今月6日には軍民両用品目の対日輸出規制強化を発表し、レアアーース(希土類)輸出の審査厳格化をちらつかせた。貿易で対日圧力を強めており、日本企業関係者は事態の推移を注視している。
農林水産省によると、中国への日本酒の輸出額は2024年に116億円と、国・地域別でトップだった。通商筋によると、中国に酒類が到着後、通関手続きに通常よりも数週間から約1ヵ月時間がかかった。日本酒の遅れが特に目立ち、通常の2倍の時間を要したという情報もある。「日本酒は日本の象徴だから狙われたのではないか」との見方がある。
天津や広東谷深川などさまざまな貿易港で遅延が確認された。手続きが進まず中国の貿易港に留め置かいている酒類がある。一部の加工食品や食材も通関の遅れが確認され、日本大使館に相談が寄せられているが、特定の食品が対象ではないという。
中国税関当局が日本国内での商品の輸送経路を細かく報告するよう求め、手続きに時間がかかるケースが報告されている。東日本大震災後、食品輸入を禁じている福島や本県など10都県を通過していないかどうか詳細な証明を求める例もある。
中国、貿易手続き遅延 振り回される日本企業 引き留め一転対抗措置
新潟日報 2026年1月9日
高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁後、日本から中国に輸出された日本酒や食品の貿易手続きに遅れが生じていたことが判明した。中国は国会答弁後も中国に進出する日本企業を引き留める動きをする一方で、対抗措置をエスカレート。答弁撤回を求めて経済・貿易でも揺さぶりを強めており、日本企業は振り回されている。
「中国での事業活動を安心して続けてほしい」。中国外務省の劉勁松アジア局長は昨年11月遼寧省大連の日系大手メーカーの拠点を突然訪問し、こう伝えたという。
■楽観視
(劉勁松氏は)日本外務省の金井正彰アジア大洋州局長と高市氏の国会答弁を巡る協議で応酬となり、ズボンのポケットに両手を入れたまま対面したのが話題になった人物だ。関係筋によると、メーカー訪問はこの協議の直後だった。
中国の呉江浩駐日大使も11月に経団連の筒井義信会長と面会。日中の経済協力に前向きな姿勢を見せた。日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化に抗議する反日デモで日系企業が襲撃された2012年と異なり「中国は日本との経済協力を続けたいというメッセージを送っている」と、日本企業の間では楽観ムードが漂った。
■裏切り
しかし日中経済協会と経団連、日本商工会議所のトップが率いる経済代表団が今月予定していた中国訪問の受け入れを巡り、中国は昨年末までに明確な回答をせず、訪中は延期を余儀なくされた。呉氏は7日、日中経済協会などが東京都で開いた年頭恒例行事を欠席する異例の対応をし「政治と経済は別」という日本側の期待を裏切った。
不動産不況で景気が減速する中国は「自国経済は打撃を受けないよう対抗措置を選択している」(日中関係筋)。中国企業が必要とする製品の納入は通常通りだが「中国国有企業とのプロジェクトがストップした」「中国とのイベントがキャンセルされた」といった影響が日本企業に広がる。日本酒を標的にしたのは「中国への影響が小さいと判断した上での嫌がらせだろう」と通商関係者は顔をしかめる。
今月6日には軍民両用品目の対日輸出規制強化を発表。リストに掲載された品目はレアアース(希土類)から電子機器まで幅広く、貿易会社には、中国に生産拠点がある日本企業から「商品は日本に輸出できのか」との問い合わせが次々と寄せられている。
「このような状況では中国で安心してビジネスできない」。中国への失望が日本企業関係者から漏れる。 (北京共同)
輸出規制は「軍事限定」 中国商務省
新潟日報 2026年1月9日
【北京共同】中国商務省の何亜東報道官は8日の記者会見で、日本への軍民両用(デュアルユース)品目の輸出規制の対象は軍事用途に限られるため「民生用は影響を受けない。通常の民生品の貿易を行う際に心配する必要はない」と述べた。
商務省は6日、日本の軍事力向上につながる軍民両用品の輸出を禁止すると発表した。軍事用と民生用の線引きは中国側の裁量で決まるため、半導体製造などに使われる民生用のレアアース(希土類)も含まれるとの懸念が日本側には強まっている。
何氏は、今回の措置の背景には高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁に加え、安保関連3文書改定の動きや官邸筋による核保有発言があるとも強調。「日本の再軍備化や核保有の企てを阻止することが目的で、完全に正当かつ合法的だ」と主張した。
中国大使へ抗議 外務次官
新潟日報 2026年1月9日
船越健裕外務事務次官は8日、外務省で中国の呉江浩駐日大使と会談し、中国による軍民両用品目の対日輸出規制強化に強く抗議し、措置の撤回を求めた。在日本中国大使館は呉氏が拒否したと明らかにした。呉氏は今回の措置について「完全に正当であり、合理的で合法だ」と主張した。
両氏は、現在の日中関係について意見交換。船越氏は、台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁で関係が冷え込む中でも「対話にオープン」との日本の立場を伝えたとみられる。
湯沢平和の輪
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。
2026年1月10日土曜日
中国輸出規制 撤回を要求 軍民両用品 リストにレアアース
ベネズエラ支配 成功への道(田中宇氏)
田中宇氏が掲題の記事を載せました。
田中氏は例えばイスラエルの行為について述べる際にも、その蛮行を批判することは殆どしないで、彼らが何を、どういう目的で行おうとしているのか、そしてそれが達成させる可能性はどうか等について淡々と語ります。そしてその帰趨も、大体が田中氏が予想する通りになっています。
そういう点で、書き方に好き嫌いは当然あると思いますが慧眼の持ち主であることは疑いがありません。
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ベネズエラ支配 成功への道
田中宇の国際ニュース 解説2026年1月8日
トランプ政権の米軍が1月3日にベネズエラを襲撃してマドゥロ大統領夫妻を米国に拉致(麻薬取引の容疑で逮捕・送致)し「ベネズエラが安定して発展し始めるまで米国が統治する」とトランプが宣言してから5日が過ぎた。
大統領不在時の憲法規定にのっとり、1月5日にロドリゲス副大統領が暫定大統領に昇格した。憲法規定では、30日以内に選挙を行って正式な大統領を決め、暫定大統領と交代することになっている。
だが「統治者」になったトランプは、30日以内の選挙はやらない、と言っている。(US is not at war with Venezuela, Trump says)
トランプ政権は昨秋、欧州のノーベル委員会を加圧して、ベネズエラの親米右派の野党指導者マチャドにノーベル平和賞をとらせている。トランプは、30日後に大統領選挙をしてマチャドを(不正に)勝たせ、左派のロドリゲスとすげ替える策謀をやっても不思議でない。
しかし、それは行わない。トランプは「マチャドは不人気なので政権をとれない」とも言っている。マチャドへのノーベル授賞の強制は、ノーベル委員会など欧州を支配するリベラル派エリートに嫌な思いをさせつつ、目くらましとして機能するトランプの策略だったようだ。
トランプは、旧来の米共和党エリート(中道右派、リベラル派と並ぶ英国系)が好んだ「民主化」と言いつつ反米左翼を外して右翼の米傀儡政権にすげ替える策略を、やるかのように見せてやらない。トランプは、2大政党のエリートが動かしていた英国系の米覇権体制を壊すために大統領になった。(トランプのベネズエラ攻略)
トランプは、経済政策を担当して割とうまくいっていたロドリゲスを評価し、しばらく(2年ぐらい?)やらせることにしたようだ。
トランプのベネズエラ統治策は18か月の計画で、安定、治安維持、(米企業を入れて儲けさせつつ)経済発展を重視している。旧来の英国系が重視した「民主化」は含まれていない。
トランプは表向き好戦的だが、実際は現実主義だ(契約を経た経済搾取はやりうる)。「米国はベネズエラと戦争してない」とも言っており、イラク戦争みたいに軍事力でベネズエラを政権転覆することもやらない。(Trump explains how he wants to ‘run’ Venezuela)(Rubio Outlines US' Three-Step Plan on Venezuela)
左翼や権威筋の分析者は「トランプはロドリゲスを加圧して、石油などベネズエラの利権をひとしきり奪ったら辞めせる」と予測しているが(今回も)たぶん外れる。
トランプは、ロドリゲスと米石油産業を協力させ、ベネズエラを産油国として立て直していく。米政府は、ベネズエラに進出する米石油業界に資金援助する。
米企業は儲けるが、同時に、破綻していたベネズエラ経済が少しずつ改善し、人々の困窮が減っていく。(Trump putting Venezuela’s interim leader on ‘short leash’)(US May Subsidize Oil Giants To Rebuild Venezuela’s Energy Sector, Trump Says)
トランプは、ベネズエラが備蓄していた5000万バレルの良質な原油を米国に輸出させることにした。ほらみろ、やっぱりトランプはベネズエラの石油利権の収奪が目当てだ !、という声が聞こえる。
私から見ると、こうした声の主は(意図的に)話の半分しか見ていない。ベネズエラが米国に輸出した原油の代金は、ロドリゲスが手掛けるベネズエラ経済の再建に使われる。
米欧に経済制裁されてきたベネズエラは、これまで大っぴらに石油を輸出できなかった。ベネズエラの石油の大半は、制裁にとらわれない非米的な中国が買っていた。米欧に売れないベネズエラを買い叩き、安値で売らせていた可能性が高い。(Venezuela to ‘turn over’ sanctioned oil to US - Trump)
トランプだってベネズエラを脅して安値で買い叩くはずだ !、という声が聞こえる。そうだろうか。トランプは、米国傀儡にしたベネズエラの経済立て直しを成功させたい。
そうすれば、今は反米でトランプを非難しているコロンビアやメキシコなど他の中南米諸国が、トランプと仲良くすると意外に良いかもと考え始め、トランプの米州主義や中南米傀儡化がうまくいく。
中国人は生来の悪質な商売人なので非道に買い叩くが、トランプは米州主義の成功という別の主目的があるので、合理的な価格で買う。(US demands from Venezuela to severe economic ties with Iran, Cuba, China, Russia)
トランプの米国の傘下に入ることで、ベネズエラは経済制裁を受けなくなった。トランプはベネズエラに、中国への石油輸出を止めろと加圧している。
これは自由貿易の原則を踏みにじっているぞ !、という声が聞こえる。確かに踏みにじっている。だが、これまでの英米単独覇権体制(グローバリズム)の終了(覇権の多極化)とともに、世界的な一枚岩の自由貿易体制も終わっている。
多極化とともに、すべての国家が対等で国家主権を持っているという建前も消失している。中南米(やカナダやグリーンランド)は、極の一つである米国の傘下に入った。だからトランプはベネズエラの国家主権を踏みにじってマドゥロを拉致し、ベネズエラを米傀儡化し、中国など他の極との経済関係を縮小させた。
傀儡は「悪」なのか?。そうでもない。日本も欧州も、戦後ずっと英米の傀儡だったが楽しくやってきた。善悪観自体が、覇権勢力による作り物だ。
米国側のマスコミは英国系覇権の終了と多極化を報じないので、人々は世界の転換に気づいておらず、すでに存在しない自由貿易体制や国家主権をトランプが踏みにじったと騒いでいる。
勝手に多極化しても認めないぞ !。という声が聞こえる。人々が認めなくても、世界の流れは変わらない。覇権体制は民主的に決まるものでない(昔から宮廷ユダヤ人とかが決めている)。
日本の高市政権は、トランプに勧められて多極化対応し始めている(日本が中国の傘下に入らず独自の極になるための日中対立とか、核保有の準備とか)。そんなの許さないと叫ぶ人々の政治力の方がどんどん落ちている。(日本も韓国も核武装しそう)
これまでの英国系覇権は、自分たちを善玉、政敵を悪玉に仕立てる善悪の歪曲策に長けていた。覇権運営を担当する米諜報界は911以来の暗闘の結果、主導権をリクード系が握っているが、まだ英国系の要員が存在し、相互に馬鹿し合い、誰がどっちかわからない。
だから、トランプは意図的に「悪い奴」を演じ、イスラエルはガザなどで意図的に極悪な人道犯罪を続けている。こうすることで、自分たちを善玉にしておきたい英国系が入り込めないようにしている。
トランプとイスラエルは、偽悪戦略によって「極悪」になることに成功し、英国系を諜報界から追い出している。だから、米民主党や英国やEU独仏など英国系の勢力は諜報力が大幅に低下し、各方面で超愚策を重ねて自滅している。
トランプは、マドゥロ拉致など、米州主義の戦略もわざと帝国主義的に極悪に進めている。だから、人々はトランプを非難する。
しかし実際は、これまでの英国系覇権も、中南米など世界中の途上諸国を借金漬けにして、借金の見返りに利権収奪の民営化を強要する「ワシントン・コンセンサス」などをやっていた。(トランプ化で激動した2025年)
トランプやイスラエルは軍事偏重だという批判もある。軍事偏重なのは、覇権運営を担当する諜報界が軍事部門の一部だからだ。同じ理由から、英国系覇権の時代(戦後ずっと)も、世界は戦争や内戦が常に誘発されていた。
リーマン危機の再来みたいなドル崩壊(金融バブル崩壊)によって英国系覇権が諜報界ごと自滅して世界が多極型になっていたら、世界的に戦争が大幅に減っていたはずだ(かつてはそういうシナリオだった)。
だが実際は、英国系を追い出したリクード系が、そのまま諜報界を牛耳って居座り、QE再開などでドルのバブルを延命しているので、諜報界は今後も残り、人類の戦争体質がしばらく続く。(Cuba's Security-State Colonization In Americas, Proven By Delta Force Killing 32 Intel Agents Surrounding Maduro)
ベネズエラの話に戻る。これまでベネズエラの左翼政権は、キューバやイラン(レバノンの武装組織ヒズボラ)と協力していたので、ベネズエラの軍部にはキューバやヒズボラの要員が多数入り込んでいた。そこにトランプの米軍がやってきてマドゥロを拉致し、後継のロドリゲスは米国の傀儡になる代わりにベネズエラの国体を守ることにした。
ロドリゲス政権は今後、米国の命令で国内に残存するキューバやヒズボラの要員を逮捕もしくは追放していく。ベネズエラ軍部で、米傀儡になりたくない勢力も取り締まられる。
それは嫌なので、今回の流れに反対する軍部の諸勢力が、ロドリゲスの暫定大統領への就任直後に決起してクーデターを起こそうとしたが、鎮圧された。ベネズエラの内戦化は防がれたと思われる。(Heavy gunfire erupts near presidential palace in Caracas)
1月8日には、ベネズエラ沖の公海上で、米国の沿岸警備隊がロシア船籍のタンカー「マリネラ号」を襲撃して拿捕する事件が起きた。近くにはロシア軍の潜水艦が護衛のために来ており、米露が大西洋で交戦して核戦争になりかねない一触即発になった。
マリネラ号は、イランの革命防衛隊の系列のトルコの会社が保有する船で、イラン傘下のヒズボラとベネズエラが協力して軍事力や資金を増やすためにタンカーで石油を運んでいた。ヒズボラをテロ組織に指定する米当局は、2024年からこの船を制裁対象として追尾してきた。(US, with help of UK, seizes Venezuela-linked oil tanker sailing under Russian flag)
昨年末、マリネラ号はベネズエラに近づいたところを米当局に発見され、米側の拿捕の試みを振り切って逃げていた。イランは、米国のベネズエラ攻撃を批判するロシアに助けを求め、露当局は助け舟を出す目的で、逃げ続けるマリネラ号をそれまでのギアナ船籍からロシア船籍にしてやった。
ロシアの船なら、米国も拿捕しないだろうという読みだった。しかし、米国は露船籍への転換を配慮せず、マリネラ号を襲って拿捕した。露政府は、マリネラ号を拿捕した米政府を非難しているが、軍事行動を起こしていない。(Russia declares solidarity with Venezuela)
ロシアや中国は、トランプのベネズエラ攻略を国家主権の侵害として非難しているが、口だけであり、軍事的な動きをしていない。
ロシアも中国も、世界の多極化によって得をしている。だから露中は、ベネズエラ攻略など米州主義の発露と、ウクライナ戦争などによる英欧自滅を引き起こして世界を多極化してくれるトランプを口で批判するだけで、実はこっそり賛同している。
イランは、米イスラエルに政権転覆を誘発され、追い詰められてロシアにすがっている。拉致される前のマドゥロもロシアや中国ににすがっていた。
ロシアや中国は、イランやマドゥロに対して付き合い程度に助けたが、同時に、中南米の覇権国が米国になり、中東の覇権国がイスラエルになることを非公式に認めている。露中は、トランプのベネズエラ支配を妨害しないし、イスラエル(とその傀儡のトランプ)がイランの力を削いでいくことを妨害しない。(リクード系の覇権拡大)(In 2025, Russia emerged as more than just an ‘alternative for the West’)
露中が多極化に協力しているのと対照的に、英国系の英欧EUは、英国系の覇権が失われてしまう多極化に反対している。EUは、トランプの多極化(米州主義)の果実であるベネズエラの新政権の正当性を認めていない。(EU doesn’t recognize legitimacy of Venezuelan interim president)
トランプは米州主義の発露として、EU加盟のデンマークからグリーンランドを剥奪もしくは買収しようとしており、これも欧米間の対立になっている。
欧州がグリーンランド問題でトランプと対立しすぎると、トランプは報復としてNATOやウクライナへの協力を渋り、欧州の軍事力が低下してロシアへの降伏を余儀なくされる。だから、欧州はトランプに譲歩してグリーンランドを渡さざるを得ない。
欧州は、多極化の流れに気づくのが遅すぎた。というか、いまだにちゃんと気づいていないふしもある。自業自得だ。(US planning to buy Greenland)(US threats over Greenland make NATO pointless)(Trump Warns NATO: Without America There Is No Alliance)
今回の記事はトランプをほめすぎだ !。そういう声が聞こえる。実は、私もそう思う。しかし、世の中(とくにリベラル左翼マスコミなどの英傀儡)はトランプを誹謗中傷しすぎだ。みんなトランプの偽悪戦略を真に受けている。だから多分、ほめすぎぐらいの方がちょうど良い。
私は長年の分析執筆から、世界に関する自分と世の中の見方が対立した時は自分の方が結果的に正しい時が多いと感じている。