米野党民主党の下院議員47人は22日、トランプ大統領に連名書簡を送り、パレスチナ・ガザ地区での停戦合意(10月10日発効)をイスラエルに順守させるために「最大限の外交的圧力」をかけるよう求めました。書簡は、イスラエル軍が「ほぼ毎日」停戦合意に違反していると批判しています。イスラエルは空爆や砲撃、射撃などで700回以上も合意に違反していると指摘しました。
パレスチナ・ガザ地区広報局は22日、報道声明を出し、停戦発効後73日間に、イスラエルの攻撃で少なくとも民間人411人が殺害され、1112人が負傷し、停戦合意違反は875回に上ると発表しました。停戦合意で1日600台とされた支援トラックの搬入は、平均244台にとどまっていると指摘しています。食料、水、医薬品、燃料が深刻に不足し、医療機関や水道・衛生施設は、ほぼ機能停止状態に陥っていると訴えています。
また力イロに本拠を置く人権NGOのアラブ人権機構(AOHR)は同日、ガザ地区が飢きん(壊滅的飢餓)を脱したとする19日の国連・統合食料安全保障フェーズ分類(IPC)報告について、現状を過小評価し、誤った印象を与えるとして批判する声明を発表しました。
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停戦順守イスラエルに迫れ 米47議員が大統領に要求
しんぶん赤旗 2025年12月24日
【ワシントン=洞口昇幸】米野党民主党の下院議員47人は22日、トランプ大統領に連名書簡を送り、パレスチナ・ガザ地区での停戦合意(10月10日発効)をイスラエルに順守させるために「最大限の外交的圧力」をかけるよう求めました。書簡は、イスラエル軍が「ほぼ毎日」停戦合意に違反していると批判しています。
書簡に名を違ねた議員の大半は、民主党主流派のリベラル・穏健派です
書簡は、イスラム組織ハマスも民間人やイスラエル兵の殺害など停戦合意に違反しているとしながら、「ハマスの違反に対するイスラエルの対応は過度・不均衡であり、結果として甚大な犠牲が生じていることに深い懸念を抱いている」と述べています。
停戦合意では軍事作戦停止が明確に定められているにもかかわらず、イスラエルは空爆や砲撃、射撃などで700回以上も合意に違反していると指摘。1500棟以上の建物を破壊したとする報道を取り上げ、国際人道法違反の可能性を指摘しています。
また、イスラエル側がガザヘの人道支援物資の十分な搬入を認めず、検問所で大幅な遅延が発生しているとし、「すでに極めて深刻になっているガザの人道状況をさらに悪化させるだけだ」と強調しました。
書簡は、「ほぼ毎日みられる停戦合意違反は、地域を全面戦争へと引き戻す危険をはらんでいる」と強調。イスラエルヘの外交的圧力の行使で、合意違反を終わらせることが不可欠だと訴えています。
ガザ停戦下411人殺害 イスラエルが攻撃・支援妨害
しんぶん赤旗 2025年12月24日
【カイロ=米沢博史】パレスチナ・ガザ地区広報局は22日、報道声明を出し、停戦発効後73日間に、イスラエルの攻撃で少なくとも民間人411人が殺害され、1112人が負傷し、停戦合意違反は875回に上ると発表しました。停戦合意で1日600台とされた支援トラックの搬入は、平均244台にとどまっていると指摘。食料、水、医薬品、燃料が深刻に不足し、医療機関や水道・衛生施設は、ほぼ機能停止状態に陥っていると訴えています。
検問所を掌握するイスラエルの妨害により、テントや仮設住宅の資材搬入は滞り、悪天候の中で、12万5000以上のテントと、攻撃で損傷した住宅46棟が倒壊し、死傷者が増えています。ガザ当局は、冬の寒さによる死者のさらなる増加を警告し、国際社会と停戦の仲介国に対し、イスラエルに停戦合意を守らせる法的・道義的責任を果たすよう訴えています。
こうした状況を受け、力イロに本拠を置く人権NGOのアラブ人権機構(AOHR)は同日、ガザ地区が飢きん(壊滅的飢餓)を脱したとする19日の国連・統合食料安全保障フェーズ分類(IPC)報告について、現状を過小評価し、誤った印象を与えるとして批判する声明を発表しました。同報告書が10~11月の調査で「ガザ地区の5人に1人、約50万人が飢きんの危機に直面している」と評価しながら、ガザ全域を飢きん指定から外した点を問題視しています。イスラエルが支援の妨害を続け、住民の生計活動を阻止し、避難民を軍事攻撃し、ジェノサイド(集団殺害)を継続していると強調しています。
ガザ地区に拠占を置くアルメザン人権センターも同日、停戦合意後も民間人への攻撃が続いているとして、ジェノサイドの停止を国際社会に訴える声明を発表しました。停戦発効以降も避難民が身を寄せる学校やテントが繰り返し攻撃されていると訴えました。