イスラエルのガザ侵攻から7日で3年になります。ガザ保健局によると死者は累計7万4200人以上、負傷者は17万5000人以上に上っています。これにはがれきに埋もれた行方不明者は含まれていません
昨年10月の停戦後もイスラエル軍は攻撃を続け、死者数は1400人超に達しています。住宅や避難テント、民間車両などへの攻撃を繰り返し、9月だけで100人以上が殺されました。
ヨルダン川西岸では、イスラエル軍の攻撃や入植者による暴力によって1200人以上が殺害され、住宅、土地、耕地や生業の破壊が大規模に進められています。外形的には戦時下ではありませんが、その中で入植者などによる殺人が平然と繰り返されているのは、「恐怖」以外のものではありません。
しんぶん赤旗の下記の3つの記事を紹介します。
・ガザ侵攻3年 停戦下で続く民族浄化
・ガザ侵攻3年 現地専門家4人に聞く 住民追放に抵抗し生きる
・世界で孤立深めるイスラエル
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ガザ侵攻3年 停戦下で続く民族浄化
しんぶん赤旗 2026年10月7日
【カイロ=米沢博史】イスラエルのガザ侵攻から7日で3年になります。ガザ保健局によると死者は累計7万4200人以上、負傷者は17万5000人以上に上っています。これにはがれきに埋もれた行方不明者は含まれておらず、各地で掘り出された遺体の集団埋葬が行われてきました。
昨年10月の停戦後もイスラエル軍は攻撃を続け、死者数は1400人超に達しています。住宅や避難テント、民間車両などへの攻撃を繰り返し、9月だけで100人以上が殺されました。イスラエル軍は、停戦合意が定めたラインを越えて支配区域を拡大し、ガザの約65%を支配。住民の排除が続いています。
停戦合意には、第1段階で十分な人道物資の搬入や避難民の安全な帰還や居住地の確保なども盛り込まれていますが、イスラエルは履行していません。
国連人権理事会のアルバネーゼ特別報告者は、殺害や住居・インフラの破壊、支援物資の搬入制限などを、パレスチナ人を土地から追い出す政策と指摘。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)も、こうした措置が民族浄化につながっているとの懸念を示しています。
イスラエルのネタニヤフ首相は6月、ガザ住民の「自発的移住」を進めていると認め、ベングビール国家治安相は9月、7年間で186万人をガザから移住させる計画を発表しました。
パレスチナ中央統計局によると、この3年間でガザでほぼ全人口に当たる約200万人が強制移動を余儀なくされました。多くはガザ内で幾度も避難を繰り返しています。国外に逃れた人も10万人を超え、そのうち帰還できたのは約7000人にとどまります。
停戦第2段階への移行も進んでいません。イスラム組織ハマスは7月30日、イスラエル軍が段階的撤退を進めることと連動して、武器を1月発足予定のパレスチナ人による行政実務機関「ガザ行政国家委員会」(NCAG)に引き渡すと表明しました。しかしイスラエルはハマスの完全な武装解除を求め、撤退を拒否。NCAGのガザ入りも認めていません。
ガザ住民は避難を繰り返しながら土地にとどまり、懸命に生活を立て直す抵抗を続けています。
ガザ侵攻3年 現地専門家4人に聞く 住民追放に抵抗し生きる
しんぶん赤旗 2026年10月7日
【カイロ=米沢博史】イスラエルによるガザ侵攻から3年を迎える現在、ガザでの武力侵攻、水道・電気・食料・医薬品の遮断、強制移動などを通じたパレスチナ人に対するジェノサイド(集団殺害)は今も続いています。とくにヨルダン川西岸では、イスラエル軍の攻撃や入植者による暴力によって1200人以上が殺害され、住宅、土地、耕地や生業の破壊が大規模に進められています。イスラエルの住民追放政策の実態、そのなかでパレスチナの人々はどのように抵抗しているのか-。現地の4人の専門家に聞きました。
私たちの存在消させぬ
ガザの政治アナリスト ムスタファ・イブラヒム氏
この3年間は単なる戦争ではありません。殺害や破壊、飢餓、貧困、失業、強制移動によって、パレスチナ人を土地から追い出そうとするイスラエルの一貫した政策の一環です。病院や学校、水道など生活基盤の破壊も、人々を土地から離れさせることにつながっています。
これは、1948年のイスラエル建国で70万人以上のパレスチナ人が土地を追われたナクバ(大災厄)と重なります。今回も同じことが繰り返されるのではないかという恐怖があります。
しかし、パレスチナ人は何度避難を強いられても土地に戻り、生活を立て直そうとしています。これ自体が抵抗です。亡くなった人々や破壊された場所を記憶し、歴史を次の世代に伝えることも、私たちの存在を消し去ろうとする動きへの抵抗です。
入植者の土地強奪続く
パレスチナ壁・入植対策委員会中央局長 サラ・ハワジャ氏
この3年間、西岸では土地の収奪と住民の追放が急速に進んでいます。特に北部の難民キャンプでは攻撃が続き、入植者による威嚇も拡大しています。ベドウィン(アラブ遊牧民)集落104ヵ所が追放にさらされ、うち67力所以上が完全な立ち退きを強いられました。
入植者の武装化も進み、現在、西岸では63の入植者グループが活動しています。この3年間で約30万人が武装し、過去4年間には104の入植地と252以上の入植前哨地(入植者が無許可で設置した拠点)が設置・公式承認され、西岸の23%以上を占めるまでに拡大しています。
イスラエル当局は、放棄地や国有地、自然保護区、軍事訓練区域を指定する制度を利用して、土地を奪っています。また土地登記が困難なパレスチナ人に土地の所有権を証明する義務を負わせる一方、その間にも入植前哨地が正式な入植地として承認されるなど、法律や制度自体が土地収奪の道具になっています。
それでも私たちは土地を守り、オリーブを植え、収穫を続けています。土地を守ることは存在そのものを守る闘いです。国際社会には、入植政策を国際刑事裁判所(ICC)のローマ規程上の戦争犯罪として追及し、国際司法裁判所(ICJ)が壁と入植地を違法とした勧告的意見を実施するよう求めます。
壊された医療取り戻す
ガザ保健局長 ムニール・バルシュ氏
イスラエルによる3年間の攻撃と封鎖で、ガザの医療体制は大きな打撃を受けています。医療施設や従事者、医薬品、医療機器が不足し、専門医療も停止しています。それでも医療従事者は限られた設備と物資で治療を続け、命を救おうとしています。
34の病院のうち22病院は部分稼働、12病院は機能を停止しています。国際機関が運営する8病貌を含む12の野戦病院がこれを補っています。医師数は2083人から1363人に34・6%減少し、医療機器も大幅に減りました。MRIや開胸心臓手術、ペースメーカー植え込みなども停止しています。
必須医薬品の44%で在庫が枯渇し、医療用消耗品の54%が不足しています。ガザ域外への医療搬送を待つ患者は約2万I000人に上り、待機中に2027人が死亡。2月1日以降に搬送されたのは2877人で、手続きを終えた患者の約14%にとどまります。
私たちは医療施設と従事者を守り、イスラエルに医薬品や医療物資、燃料をガザに搬入させなければなりません。ガザ域外への医療搬送を拡大し、専門医療と病院機能を取り戻すことが必要です。医療を守ることは、ガザの人々の命と未来を守ることです。
子どもの命と権利守る
人権研究者・ヒマヤ人権センター報道官 イマン・アブオワイメル氏
この3年間で、ガザでは一つの世代が失われつつあります。イスラエル軍の攻撃は子どもの殺害や負傷だけでなく、拘束、強制移動、飢餓、医療・住居・教育の権利の剥奪にも及んでいます。
18歳未満の子ども2万1745人が死亡しました。負傷者は約4万6000人、下肢を切断した子どもは1万1000人に達しています。家族が消息を確認できない子どもが医療、教育、適切な住居など基本的な権利を奪われています。
それでも、私たちは子どもたちの命と権利を守るために活動を続けています。負傷した子どもの域外治療を求め、食料や医薬品を届け、教育と医療へのアクセスを確保しなければなりません。子どもたちの未来を守ることは、パレスチナ社会の未来を守ることです。
子どもは国際人遵法と国際人権法で特別に保護される存在です。違反を行った政治・軍事指導者の責任も問う必要があります。
世界で孤立深めるイスラエル
しんぶん赤旗 2026年10月7日
イスラエルの国際的な孤立は、この1年間でさらに深まりました。9月にニューヨークで行われた国連総会で、イスラエルのネタニヤフ首相が壇上に上がると、数十カ国約100人の外交官が一斉に退場しました。
ネタニヤフ氏は唇をゆがめて、「まだ道徳的臆病者が残っているなら、今すぐ出て行くがいい」と挑発。パレスチナ人に対するジェノサイド(集団殺害)の批判を「今世紀最大のうそ」と言い放ちました。
アイスランドのグンナルスドッティル外相は、「真の道徳的臆病者とは、正義に基づいた永続的な和平を求めて交渉することを拒む者たちのことだ」と反論。人道支援を拒絶し、国際法を繰り返し破り、無視し続ける世界の指導者こそが「臆病者」だ、と述べた演説はSNSで世界を駆け巡り、喝采を浴びました。
パレスチナ国家の承認は2024年のスペイン、アイルランド、ノルウェーに続き、昨年は英、仏、カナダ、オーストラリアなどが条件付きながら国家承認に踏み出しました。一部の国では、イスラエル軍に入隊し戦争に参加した自国民(二重国籍者)への処罰の可能性も議論され、現実を動かす力となっています。
今年9月にμ、英仏など12カ国がユダヤ人入植地との禁輸措置を発表しました。イスラエル本国との:軍事協力や経済関係の停止に踏み出すべきだとの声も強いものの、転換の第一歩となっています。
英国の労働組合全国組織「労働組合会議(TUC)」(530万人)が9月にブライトンで開いた年次大会では、イスラエルとの軍事協力を即時停止し、経済・文化・学術・スポーツの関係断絶などを進める「ボイコット・投資引き揚げ・制裁(BDS)運動」を支持する決議が圧倒的多数で初めて可決されました。
イスラエルの最大の支援国である米国でも、11月の中間選挙に向けて、イスラエルに批判的な若者の支持を集めた米民主的社会主義者てDSA)などの候補者が予備選挙で躍進し、議席獲得へ運動を強めています。 (伊藤寿庸)
湯沢平和の輪
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。
2026年10月12日月曜日
ガザ侵攻3年 停戦下で続く民族浄化
世界はICCを支持 国連・各国 米政権を批判
トランプ米政権は先に国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長を制裁対象に指定したのに引き続き9日、今度は国際刑事裁判所本体を制裁対象に指定すると発表しました。
グテレス国連事務総長は、制裁措置を「非難する」とした声明を発表し、「国際刑事司法の実現を目指す国際社会の取り組みに対する重大な打撃だ」と指摘しました。
しんぶん赤旗の下記の4つの記事を紹介します。
・世界はICCを支持 国連・各国 米政権を批判
・法の支配への攻撃 ICCが声明、制裁非難
・ICC制裁に抵抗を NGO連合 国際社会に訴え
・8カ国外相「強く反対」 米ICC制裁 日本など共同声明
併せて毎日新聞の記事「ICC赤根智子所長 決意の声明全文」を紹介します。赤根智子所長の強い決意を示した格調の高い声明です。
・米国の制裁「断固拒否」ICC赤根智子所長 決意の声明全文
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世界はICCを支持 国連・各国 米政権を批判
しんぶん赤旗 2026年10月11日
【ワシントン=洞口昇幸】トランプ米政権は9日、戦争犯罪などを犯した個人を裁く国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)本体を制裁対象に指定すると発表しました。ICC判事などを歴任したナビ・ピレイ氏のノーベル平和賞受賞決定から数時間後の発表で、「法の支配」を敵視する姿勢を改めて示しました。発表直後から、国連や各国政府は米国の制裁を批判し、「ICCを守ろう」と呼び掛ける声を相次いで上げています。
グテレス国連事務総長は、制裁措置を「非難する」とした声明を発表し、「国際刑事司法の実現を目指す国際社会の取り組みに対する重大な打撃だ」と指摘しました。またICCへの「揺るぎない支持」を表明し、全ての国に対し、国際法を支持するよう訴えました。
ICCの本部があるオランダのベーレンドセン外相は声明で「非常に遺憾な措置だ。われわれは確固としてICCを守る立場に立つ」と表明しました。またX(旧ツイッター)で、赤根所長と電話で協議し「ICCとその職員への支持を続ける」と伝えたことを明らかにしました。
スペイン外務省は声明で、「ICCと不処罰との闘いへのスペインの支持は確固としたものだ」「ICCの擁護は、重大犯罪の犠牲者を守り、責任者を追及し、ルールに基づく多国間秩序を守ることを意味する。スペインはこれらの原則を堅持する」と表明しました。
ロイター通信によると、ドイツのフービッヒ司法相は、米国は戦後の国際刑事法の発展に貢献してきたとし、「その米国が国際刑事法の考えを破壊しようとしていることにはまったく驚かされる」と述べました。
欧州連合(EU)のカラス外交安全保障上級代表(外相)はXで、「ICCは国際刑事司法制度の礎だ」「ICCの擁護はEUの優先課題であり続ける」と表明。米政権の制裁発表の後に赤根氏と協議したことも明らかにしました。
日本、カナダ、デンマーク、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、英国の8カ国外相は共同声明を発表し、制裁について「遺憾に思い、強く反対する」と表明。ICCを引き続き支援していくと表明しました。
法の支配への攻撃 ICCが声明、制裁非難
しんぶん赤旗 2026年10月11日
【ハーグ=時事】国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)は9日、米国がICC本体を制裁対象に指定したことを受けて声明を発表し、「法の支配と国際法秩序の根幹に対する攻撃だ」と強く非難しました。赤根智子所長は「重大犯罪の無数の被害者のため、法と証拠のみに基づき、独立性と公平性を保ちながら、引き続き使命を全面的に果たす」と表明しました。
ICCは声明で、今回の制裁について「裁判所の活動を妨害し、職員や協力者を威嚇することを狙ったものだ」と批判。「歴史がこの瞬間を裁くだろう」と訴え、加盟する125カ国・地域に対し、活動継続に必要な支援を求めました。
その後、赤根氏はビデオメッセージを出し、制裁は「ICCを設立した主権国家に対する攻撃だ」と述べました。長年にわたり加害者の責任追及を待ち続けてきた重大犯罪の被害者にも影響が及ぶと強調しました。
その上で、国際社会は「力が正義となる世界」と「法の支配に基づく未来」のどちらを選ぶのかという岐路に立っていると指摘。加盟国を含め、われわれ全員には国際法秩序を守る法的・道義的義務があるとして、具体的な行動を呼び掛けました。
ICC制裁に抵抗を NGO連合 国際社会に訴え
しんぶん赤旗 2026年10月11日
国際刑事裁判所(ICC)を支持するNGOのネットワーク、ICC連合(CICC)は9日、声明を発表し、米政権によるICC制裁決定を「断固非難」し、それへの「抵抗」を国際社会に呼びかけました。
〝即時撤回を求めよ″
声明は「125の締約国にはICCの独立と機能を確保する集団的な責任がある」「この局面では懸念の表明だけでは不十分だ」と指摘。締約国と地域機構に対し、「ICCおよびICC協力者への制裁を公然と明確に非難し、即時撤回を求めること」を要求しました。
また、制裁措置からICC、その職員、資産、パートナーを守るため、欧州連合(EU)の阻止法などを直ちに発動することや、銀行、決済、保険、IT、デジタルサービスなどへの継続的なアクセスを保証することなどを求めました。
CICCは1995年、アムネスティ・インターナショナルなどの人権団体が創設。現在150カ国超の2500以上のNGOが参加しています。
声明は米国の制裁について、「ICCそのものを標的にすることで、ICCヘの攻撃を前例のないレベルにまで高め、司法の独立、法の支配、より広範な国際司法制度に直接的な打撃を与える。その影響は、ICCにとどまらず、世界で最も重大な犯罪の被害者や生存者の権利、保護、司法ヘのアクセスをより大きな危険にさらす」と批判。締約国への脱退圧力など米国のキャンペーンの目的について「米国民やイスラエルを含む同盟国をICCの捜査や訴追から保護することだ」と指摘しました。
8カ国外相「強く反対」 米ICC制裁 日本など共同声明
しんぶん赤旗 2026年10月11日
日本や英国、フランス、ドイツなど8カ国の外相は9日、米国の国際刑事裁判所(ICC)に対する制裁に「強く反対」する共同声明を発表しました。声明は、ICCは「最も深刻な国際犯罪で訴追された者を裁きにかけ、被害者を支援するために尽力している」として、制裁が実施されればICCの活動や職員、家族に重大な影響を及ぼすと懸念を示しました。
8カ国は「引き続き協力して裁判所の活動を支援し、ルールに基づく国際秩序を守る」と表明。米国などICC非加盟国と建設的かつ包括的な対話に取り組む姿勢を示しました。
制裁に反対する8カ国の共同声明に加わりながら、日本単独では米側に「反対」と表明できない高市首相の対米従属ぶりもあらわになりました。
米国の制裁「断固拒否」ICC赤根智子所長 決意の声明全文
毎日新聞 2026年10月10日
米国による国際刑事裁判所(ICC、本部=オランダ)に対する制裁発表を受けて、ICCの赤根智子所長が9日に発表したビデオ声明の全文(英語で発信)は以下の通り。【訳・石山絵歩】
本日、米国は、歴史上前例のない措置として、ICCそのものに対して制裁を科しました。
これは、正義の実現に尽力している特定の独立した裁判官や検察官に対する一連の指定措置に続くものです。当裁判所は、これらの制裁を断固として拒否します。
私自身、ICCの裁判官として、裁判所が政治的な動機に基づいて行動しているわけではないことを断言します。
我々は独立かつ公平な司法機関であり、その行動は法と証拠のみに基づいて行われています。裁判所が司法上の使命を果たすことを妨害しようとする行為は、決して容認できません。
「国際法秩序に対する攻撃」
これは、当裁判所を設立した主権国家に対する攻撃です。さらに言えば、国際法秩序に対する攻撃でもあります。
(犯罪の)責任者が裁かれるのを何年、時には何十年も待ち続けてきた大量残虐行為の被害者たちに対する攻撃でもあります。当裁判所に対して取られるあらゆる措置は、最終的にはそれらの被害者たちに影響を及ぼします。
当裁判所は、決して各国の司法制度に取って代わることを意図したものではありません。
当裁判所は最終手段としての裁判所であり、国家が真摯(しんし)に捜査や起訴を行う意思がない、あるいはその能力がない場合にのみ行動することができます。その管轄権は、世界中のあらゆる法制度に共通する原則に基づいています。
脅威には「屈しない」決意改めて表明
国家は、自国内で犯された犯罪、あるいは自国民によって犯された犯罪について、加害者を裁判にかけることができます。ICCの締約国は、(ICC設立の根拠となった)ローマ規定に加盟することで、当裁判所を通じて共同でその権限を行使することを選択したのです。
明確にしておきますが、ICCは、国際社会が懸念する最も重大な犯罪を犯した者たちにのみ利益をもたらすような外部からの脅威には屈しません。
本日、私は、被害者のために、独立性と公平性を保ちつつ、その任務を完全に遂行するという当裁判所の揺るぎない決意を改めて表明します。
一つの機関の問題ではない
今回の指定は、当裁判所の活動を妨害し、裁判所で働く人や協力する人を威嚇することを目的としています。ICCは決して屈することはありません。
しかし、ICCは単独では立ち行きません。その運命は今や、ICCを創設した締約国の手にも委ねられています。
ローマ規定は、国際社会全体が関心を寄せる最も重大な犯罪が、決して処罰を免れてはならないという集団的な約束です。その約束を果たせるかどうかは、それを交わした者たちの決意次第であります。
課題はあるかもしれませんが、裁判所は締約国と協力し、その活動の継続性と強じん性を確保するために多大な努力を払ってきました。裁判所は、締約国に対し、裁判所がその業務を継続するために必要な手段を引き続き確保できるよう、具体的な措置を講じ続けるよう呼びかけています。
これは単なる一つの機関を守るということではなく、法の支配に基づく国際秩序を守ることなのです。
「今日下す選択は歴史に評価される」
私たち一人ひとりは今、力こそが正義とされる世界と、被害者が引き続き正義にアクセスできる、法の支配に基づく未来との間で選択を迫られています。こうした攻撃に直面して、私たちは無関心でいるわけにはいきません。
締約国を含む私たち全員が、国際秩序を守り、力ではなく法を支持するという、法的かつ道義的な義務を負っており、今日下す選択は歴史によって評価されることになるでしょう。
私は皆様に誓います。ICCは、正義が必ず勝つという揺るぎない決意をもって、その活動を継続し、抑止力を発揮し続けます。
中国が高市を呼び捨て ー 岩屋訪中で「撤回」を「是正」にハードルを下げた直後
世に倦む日日氏の掲題の記事を紹介します。
記事は第1節において、トランプが習近平との首脳会談の中で「第二次大戦では中国はアメリカの同盟国だった」と発言し、第二次大戦に勝利した連合国同士であるという歴史認識が確認され、世界中を騒然とさせたと記述し、これは予め準備した原稿を読み上げたものであり、トランプのアドリブではないと説明します。
そして11月の深圳APECと12月のマイアミG20でも米中首脳会談が持たれることが明確にされた中で、その機会に中国は今回果たせなかった「米中両国は台湾の独立に反対する」という文言の文書化を達成するべく、外交攻勢をかけて行くだろうと見ています。
トランプのこの発言と認識の下、今後台湾問題を協議し結論を出す上での前提が敷かれたと言えると述べました。
このことは「台湾有事」で米中が一触即発の状態に陥ると見られていたことが、そうではなくなるという点で極めて大きな出来事です。
世に倦む日々氏は、トランプ自身は元々台湾に対して関心が薄く、米国が台湾に軍事関与する必要性を感じておらず、台湾防衛に消極的だという見方をしています。
いずれにしても「台湾有事」で米中が戦火を交える可能性が小さくなったことは日本のために喜ばしいことです。
記事の後半では米国の対中世論に変化が表れていることに触れ、シカゴ・グローバル評議会が9月に発表した調査報告によると、米国人の57%が中国との友好的な協力や接触を支持すると回答し、「中国の領土拡大の野心を米国への重大な脅威と見なす」と答えた割合が、22年の52%から今回の41%へと減少したことを紹介し、「台湾有事」への対応についても、「米軍を投入することに賛成」と答えた割合が、22年の52%から今回の38%に下がるなど、米国人の中国に対する意識が変化し、前向きな関係構築を望む声が多くなっていると述べています。
ただし記事は最後のところで、「私は、台湾有事は7割がたの確率で起きると予想していて、依然としてその見方を変えていない」と前置きして、元々米国は2021年の時点で、2027年には米中の国力(軍事力)が逆転するという予測の下、それまでに「台湾有事」を起こし中国を叩いておきたいと構想したものの、「現状は対イラン戦争で米国の軍備は消耗しているのでそんな余力はない。しかし2030年になれば米中の戦力の逆転は決定的になるので、(トランプは兎も角)米国中枢にとっては容認出来ないことである」と述べます。
そして、日本が勝手に中国と戦争を始めることに懸けるのではないかと最後の望みを託しているのでは、と見ています。
もしも自信過剰の高市氏がその時点で首相の座に居て、憲法の改悪が済んでいれば、「迷わず無謀に、楽観論と全能感のままで戦争に突入するだろう」と述べます。浅慮の高市氏を見ているとその可能性は否定できませんが、実に恐ろしい話です。
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中国が高市を呼び捨て ー 岩屋訪中で「撤回」を「是正」にハードルを下げた直後
世に倦む日日 2026年10月8日
10/5、臨時国会の幕が開けた。長く続いた雨の日々が終わり、天気も秋の晴れた空になった。NHKを筆頭に、マスコミは、この臨時国会の論点を、①簗和生への追及、②食料品消費税減税、③衆院定数削減 の3本柱だと報道し、国民の注目と関心をその地平に寄せ固めている。巧妙で狡猾な操作だ。高市官邸から指令が出て、それに従ってマスコミが情報工作している。実際には、中国との関係をどうするかという国家の重大問題があり、本来はそれこそが国会論議の中心テーマにならないといけないはずだ。9月に行われたトランプと習近平との首脳会談によって、米中は二国間関係の基礎を「第二次大戦の同盟国」という歴史認識で定義し、その上で、難問であり課題である通商問題と台湾問題とを調整し合うフェーズ(⇒段階、場面)に入った。そして、過剰なほどの厚遇演出で習近平を歓待し、内外に蜜月をアピールした。マスコミでも喋喋されているとおり、これは「日本が外された」外交状態であり、立つ瀬がなくなった窮地を意味する。
高市の安保外交政策は、日米同盟を基軸として、中国と毒々しく対決し、中国を孤立化させ、台湾有事に備えて決然と軍備増強を図るというものだった。それは、アメリカがその路線と方針だから、その前提に沿って行う政策だった。2018年のペンス発言以来の基本戦略である、新冷戦とデカップリングのフレームに則った安保外交の国策だった。が、今年9月のDCの外交の図は、そこに衝撃を与え、前提を揺さぶる結果となり、これまで右翼日本がめざしてきた国家目標(台湾有事)が怪しくなる事態を現出させている。特に無視できない変化は、9/30 の中国外交部の会見の折、高市を「高市早苗」と呼び捨てにし、「日本首相」という肩書きを付けなかった事実である。ちょうどこのとき、岩屋毅が訪中し、王毅が会談に応じ、「撤回」を求めていた高市の「台湾有事発言」に対して一段階ハードルを下げた「是正」を求める対応が示され、中国側の対日姿勢が宥和に転じたかと思われた矢先のハプニングだった。
この出来事について、一部の声では、中国はもはや高市を日本の首相として認めておらず、岩屋や石破のような、まともな政治家が首相に就くまでは相手にしないという意味だという解釈が流れている。他方、高市忖度と中国憎悪に徹するほとんどの日本マスコミは、この問題を深刻視せず、いつもの中国の過激表現のブラフだという程度で切り捨て、真剣な外交問題として受け止める必要はないとして、受け流す態度を日本国民に推奨している。マスコミは(キャスターとコメンテーターの学者は)、常にこんな感じで、中国や韓国からの日本への批判や警告に真面目に向き合わない。岩屋訪中という重要な機会に、中国側が示した矛盾する二つの行動について、それが何を意味するかを真剣に考察し、背景や内情を分析するべきなのに、日本のマスコミはそれをしない。中華人民共和国を無価値の悪魔としてしか認識しておらず、排除と打倒の対象としての関係性しかなく、外交する相手国家として認めていない。高市と同じ価値観なのだ。
その理由を深読みすれば、岩屋=高市密使説も一概にデマとは言い切れないだろう。もしも、岩屋が高市の密使であり、内々に「台湾有事発言の撤回」の意思を伝達し、その上で、中国側が高市を呼び捨てにする反応を返したのであれば、事は重大で、もはや中国は高市を完全に切り捨てている真相を意味する。高市を否定している。中国側にはそれが可能な立場的優位性があり、トランプとの蜜月関係に立てば、日本側(高市政権)に妥協する必要はないのだ。すなわち王毅が示した「是正」も、何立峰の言う「経済関係の発展」も、ポスト高市の日本に向けた発信であり、将来の関係改善を呼びかけたメッセージだったと推察できる。「水が流れれば水路ができる」という何立峰の示唆は、「高市が消えれば日中関係の障害がなくなる」という暗喩なのだろう。つまり、高市による謝罪や撤回は求めていないという意味だ。そして、ポスト高市は直接の責任者ではないので、日本政府トップとして「撤回」の必要はなく「是正」の仁義を切ればいいという意味に受け取れる。
中国は、基本的に「元栓を閉めれば水は流れない」戦略で対日関係に臨んでいて、トランプとの交渉に全力を傾注し、アメリカに台湾への干渉と関与を断念させ、台湾有事を蒸発させようとしている。その対米外交の奏功によって、自動的に日本の台湾有事計画を破綻させ、日米同盟による中国封じ込め戦略全般の止揚へ追い込もうとしている。FOIP(自由で開かれたインド太平洋)の構想を挫折させ、東アジアの新冷戦構造を崩壊させ、G2共存の新次元に移行させようとしている。そして、レアアース関連の部品製造力と供給網、AIロボット等の最先端技術開発力、電力生産の基盤と規模、人民元決済貿易圏の拡大などを背景に、超大国アメリカの横槍と圧力を克服する国力と外交に自信を深めている。中国にとって高市を代表とする右翼日本は、きわめて凶暴で危険で要警戒な、悪意を尖らせた攻撃的隣人であると同時に、経済社会的に自滅と自壊と劣化と衰退の道を進むだけの、生産力と発展性のない国だ。アメリカへの従属と番犬化を深めている、佞悪な負け犬の存在だ。
中国側が、訪中した岩屋毅に対して急に宥和的姿勢で接してきた理由の一つに、トランプが習近平との会談において、日本と対話するよう要請したのではないかという観測がある。これはリーズナブルな解読で、納得できる考察と説明と言える。飯田和郎は、王毅が岩屋とすぐに対面して「撤回」を「是正」に変える表明をしたのは、中国側のトランプへのメッセージであり、トランプの要請に迅速に従った行動を示し、トランプの顔を立てた外交だと言っている。当を得た分析だろう。中国にとってトランプとの現在の関係は肝要で、特に東アジアをめぐる問題の対応で歩調を合わせ、齟齬のないよう配慮を示すことは大事な課題だ。中国側としては、「撤回」を「是正」に変えたのは、トランプの要請に従ったことを確認させるアメリカ向けの行動であり、また将来の日本のポスト高市に向けた発信であって、高市に向けた発信ではないのだ。その点を明確にするため、すなわち日本側に誤解させないため、高市を呼び捨てにする外交部の声明を投擲したのだろう。11月深圳での日米首脳会談開催は相当に難しい。
私は、台湾有事は7割がたの確率で起きると予想していて、依然としてその見方を変えていない。10/19 から台湾有事を想定したキーン・ソード演習が始まるが、米軍・自衛隊4万5000人の兵力が動員され、きわめて大規模で実戦的な内容になっている。日米同盟の戦略と態勢においては、従来の方針は変更されておらず、トランプの対中蜜月外交は全く反映されていない。本当に戦争を始めるのでなければ、このような質と量の軍事演習を挙行するはずがないのだ。どれだけ巨費を投じていることか。現在、米軍は攻撃用/防御用ミサイルの在庫不足に直面していて、台湾に十分な量のPAC-3を供給できず、日本に必要な数のトマホークを納品できない。すなわち、戦争の主力兵器である飛び道具を欠き、シナリオどおりの戦争を予定どおりの日程で始められないのが現状だ。それゆえ、台湾有事は2027年中には起きないなどという見通しをアメリカの情報機関が報告書で出し、それをマスコミで撒くに至った。これは米軍の本音の吐露だろうし、イラン戦争が片づかない裡に中国相手に二正面作戦に出るのは厳しい状況なのに違いない。
ただ、考えなければいけないのは、アメリカの国家戦略である台湾有事が5年前の2021年に宣告され、6年後の2027年に目標年が設定された意味である。そこには、その刻限を過ぎるようであれば、中国の軍事力と技術力と経済力はアメリカを凌駕する趨勢となり、最早、アメリカが戦争して勝てる相手ではなくなるという危機的予測が据えられていた。G.アリソンの『米中戦争前夜』にもその趣旨の主張が書かれている。つまり簡単に言えば、早く叩かないと叩けなくなるという観測と判断だ。先延ばししていると、もう戦争という手段が無意味になるのであり、やるなら早い時点で始めるしかない。中国のドローンやヒューマノイドの技術力を正視し、AIや半導体の開発速度を窺う限り、台湾有事(対中戦争)を2030年以降に始めるという構想はナンセンスだろう。遅すぎる。もうアメリカの通常戦力では間に合わない。アメリカの事情と条件を考えると、2028年頃が最も台湾有事が起こる危険性が高く、われわれの観点から要注意の時期だと言える。だが、ここにもう一つの可能性があり、アメリカにとって最も好都合な展開がある。
それは、日本が勝手に中国と戦争を始めることで、日中戦争の勃発で中国に甚大な打撃を与えることだ。日本の武力攻撃(先制攻撃)で中国の海空ロケット軍基地と司令部を壊滅させ、中華人民共和国に深刻な混乱を惹き起こさせることである。新疆、西蔵、内蒙古に反乱蜂起の動きを作り、中国共産党の支配に動揺を与えることだ。その場合、アメリカは日中事変に無責任の立場をとることができ、自衛隊と台湾軍を後方支援しつつ、第三者に扮して途中から調停に割り込む立場を確保できる。ウクライナ戦争でのアメリカのポジションと同様に。これがおそらく、現在のアメリカにとってベストの台湾有事の形であり、もともとのJ.ナイの戦略設計に沿うところの理想的な対中戦争の姿と言えよう。どうやら、今、台湾有事はそのシナリオで動いている気配が強い。このとき、戦争を始める始めない、どこをどう攻撃するかの主導権は高市が握るのであり、高市の野望と采配で台湾有事が始まるのだ。自信満々の(自信過剰の)高市は、憲法改悪が済めば迷わず戦争に突入するだろう。無謀に、楽観論と全能感のまま。
日本を拠点にして活動しているCIA工作軍団と日米同盟の最高幹部衆は、何やら、満州事変を起こす直前の関東軍参謀本部の様相を呈していて、先に独断専行で事を進め、既成事実を作り、そこに強引にホワイトハウスと国防総省を引きずって行くような妖気と梟気に満ちている。最前線に近い出先機関の衆であり、きっと、自分たちがアメリカ帝国の前衛で統率しているような梁山泊的な気分なのだ。