植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
衆院選では自民党が信じがたい大勝利をおさめました。植草氏は、その背景にはメディアが決して高市政権を批判せずに「高市新体制を絶賛する報道を続けた」これがすべての原点であるとして、この大勝利は2001年発足の小泉内閣と2012年発足の第2次安倍晋三内閣に類似していると述べます。
いずれも「米国傀儡政権」であり、「米国の利益につくす政権」でした。今回、投票日直前の5日、トランプがわざわざ高市政権への支持を表明したことはその顕れでした。
高市氏は3月19日にホワイトハウスでトランプと会談するようですが、あの原子力空母「ジョージ・ワシントン」の甲板上で欣喜雀躍して識者の顰蹙を買った高市氏の異様さが思い出されるばかりです。
今後高市氏によって極右軍国主義政治が行われるであろうことについて、植草氏は「この道を選択したのが日本の主権者であることを銘記する必要がある」と述べます。要するに「政治は人民のレベルに応じて行われる*」ことを銘記すべきであるということです。
注1 *これはリンカーンの言葉として知られているようですが、仏の碩学ジョゼフ・ド・
メーストルの言葉とも、さらに他の人物の言葉であるとする説もあります。
注2 ナチスとの絡みでは、当初ヒトラーがナチス党首として登場した時には「あのぺンキ
屋風情が」と軽蔑されていましたが、その後誇大で煽情的な弁舌と陰謀であそこまでの
し上がったのでした。
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ナチス党躍進に類似の自民大勝
植草一秀の「知られざる真実」2026年2月 9日
2月8日の総選挙で自民が圧勝した。不正選挙の疑いを指摘する向きもあるが、不正選挙というよりもメディアを総動員した投票誘導が激しかったと言える。
昨年10月の高市新体制の発足。この時点で最重要の課題は「政治とカネ」だった。
ところが、高市新体制は「政治とカネ」問題をかなぐり捨てた。
メディアが高市新体制を総攻撃するべき局面だった。ところが、メディアは問題をスルー。
高市新体制を絶賛する報道を続けた。これがすべての原点である。
これまで記述してきたように、類似した状況が過去にも観察されている。
2001年発足の小泉純一郎内閣と2012年12月発足の第2次以降の安倍晋三内閣。
同じようにメディアが礼賛報道を展開し続けて国政選挙での与党勝利がもたらされた。
この国ではメディアの情報誘導によって国民の投票を誘導できるという実証分析が行われていると考えられる。その実証分析通りに高市自民の大勝がもたらされた。
背景は「米国傀儡政権」である。小泉純一郎内閣、第2次以降の安倍晋三内閣、高市早苗内閣の共通点は米国傀儡政権。米国の命令に服従する日本の政権はメディアの全面的な支援を受ける。
小泉純一郎内閣のミッションは「郵政米営化」だった。米国は巨大な郵政マネーに照準を定めた。郵政資産を米国が収奪すること。小泉内閣はこのミッションに全力を注いだ。
また、小泉内閣の任期中にイラク戦争が勃発した。この時期に日本政府は米国国債を3600億ドル買い増しした。日本政府による米国国債購入は一方通行。買ったが最後、帰ってはこない金だ。
保有米国国債を売却することを米国政府は許さない。米国に金を貸して、返してもらえない金は「上納金」=「みかじめ料」である。小泉内閣は約40兆円の金を米国に上納した。
こんな政権を米国は全面的に支援する。
安倍内閣は米国の命令に服従して日本の諸制度を改変した。これが安倍内閣の「成長戦略」である。労働者の実質賃金は減り続け、大資本の利益だけが史上空前の水準に拡大した。
安倍内閣が実行した重大な施策がある。2006年の政治資金規正法改定。この法改定で外国企業による政治献金が合法化された。
日本の証券取引所に5年以上上場する外国企業による政治献金を合法化した。米国の巨大資本はこの制度を通じて政治献金を行い、日本政治を支配している。
外国資金が日本政治を支配する制度を構築した。
高市内閣も米国傀儡であるがゆえにメディアの全面的な支援を受ける。
総選挙の結果、衆議院で自民は単独で3分の2議席を確保した。
参議院で衆議院議決が否決されても衆院で再可決できる。だが、憲法改正発議だけはできない。
高市自民は参議院で3分の2を確保する方策を検討する。自民に維新、国民、参政、保守をかき集めると3分の2に手が届く。この方向に突き進むことが想定される。
衆参両院で3分の2議席を確保して何を行うのか。憲法改定だ。
憲法が書き換えられ、日本は戦前に時計の針を巻き戻されることになる。
この道を選択したのが日本の主権者であることを銘記する必要がある。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4333号
「総選挙後に広がる地獄絵図」 でご高読下さい。
月初のこの機会にメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」ご購読をぜひお願いします。
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(後 略)
湯沢平和の輪
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。
2026年2月9日月曜日
ナチス党躍進に類似の自民大勝(植草一秀氏)
中国が米国との戦争に自信を持っている理由(前編)
海外記事を紹介する「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました
そもそも「台湾有事」という言葉は、2027年には中国のGDPが世界1になるという予想から、その前に口実を設けて中国を叩きたいという米国の戦略から生まれました。
しかしその後米国が対中戦争の机上演習を何度行っても勝てないこともあって、日本を対中戦争の全面に立たせようという構想に変わりました。
そんなことに素直に従う日本のリーダーがいるとすれば、正しく「売国奴」と呼ぶべきです。
それはそれとして中国自身は米国との戦争に自信を持っているということです。
以下はその記事の前半です。
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中国が米国との戦争に自信を持っている理由(前編)
耕助のブログNo. 2804 : 2026年2月7日
Why China is confident about a war with the US (Part 1)
戦争は物理的なもので、中国の物理的能力のほうが優れている by Hua Bin
前回、2026年に戦争が起こる可能性が高まっていると書いた。そのような戦争に勝つことに中国はどれくらい自信を持っているのかと疑問視する声もある。
これは私が1年以上前に書いたテーマである:
https://huabinoliver.substack.com/p/comparing-war-readiness-between-china
中国と米国の戦争が起きるのは中国の海岸(台湾または南シナ海)の近くなので、いくつかの決定的な非対称的優位性を享受しているため、北京は結果はほぼ確実だと考えている。
これらの非対称性には次のものが含まれる:
* 地理
* 意思
* 軍事教義と準備
* 知識と知性
* 身体能力
本稿ではそれぞれの非対称性について触れ、身体能力に焦点を当てる。
簡潔にするために記事を2部に分割し後日後編を公開する。
地理における非対称性
台湾は中国本土から140キロ離れており、南シナ海の地理は説明するまでもない。
米国本土から台湾および中国海までの最短距離は12,200キロメートルだ。
定義上、このような戦争は中国のすぐ近くで戦われ、兵站、持続可能性、そして戦闘意志にあらゆる影響を及ぼす。
中国はこのような戦争において陸上だけでなく海上、空中の戦力も展開できる。米国は海上戦力と空軍力にしか頼れない。
中国が戦闘に投入できる兵器システムは、陸上配備型のDF極超音速・弾道ミサイル・シリーズや世界最重量の第5世代戦闘機J-20など、量は米国より桁違いに多く、火力でははるかに強力である。
中国沿岸付近での長期戦を持続させるための兵站の比較は不公平であり、したがって不必要である。
非常に不完全な類似例としてイエメンの事例が挙げられる。2025年、米国は海軍と空軍の遠征によってイエメンのフーシ派による紅海封鎖を突破できなかったため不名誉な撤退を余儀なくされた。
その過程で、F-18スーパーホーネット3機と多数の高価値の最新型ドローンが失われた。
米海軍が自国の裏庭でフーシ派をうまく打ち負かすことができないのなら、中国の海岸で彼らがどのように対処するかを自分で計算してみるといい。
意志の非対称性
中国沿岸での戦争は国を守る者と国を侵略する者との間の戦争である。
中国は撤退する場所がないので撤退しないだろう。そして米国は、費用と利益の計算で戦う意志が決まる遠征傭兵部隊を派遣しなければならないだろう。これは第二次世界大戦以来最悪の事態となるだろう。
中国にとって台湾は主権の不可欠な一部である。中国内戦の結果、一時的に分断されているかもしれないがいずれは返還される運命にある。
中国の指導者は平和的であろうとなかろうと台湾統一を放棄することはできない。これは存在に関わる問題なのだ。米国にとって、台湾は中国を包囲する第一列島線のノードとなる有用な拠点である。
米国は先進的な半導体のほとんどを台湾から調達しているが、すでにTSMCをアリゾナに移転させるよう強制する動きが加速している。
米国の地政学的、経済的利益にとって台湾は重要だが、米国にとって存在に関わる問題ではなく、自殺的な核エスカレーションの道を進む価値はほとんどない。
米国は台湾の民主主義のために戦うだろうと主張する人たちは、現実を直視すべきである。
中国を最も鋭く見抜いた人物の一人、リー・クアンユーは、「中国は台湾を放棄しない。必要とあらば第二の戦争、第三の戦争も戦うだろう」と有名な言葉を残している。
米国民の意志はどうなっているのだろうか?
実際、トランプや将来の米国政権が債務免除や何らかの経済的・政治的な見返りとして、台湾を中国との取引材料に差し出すことになっても私は驚かないだろう。
軍事教義と準備態勢における非対称性
1996年の第3次台湾海峡危機以来30年間、台湾と中国海に対する北京の軍事戦略は接近阻止領域拒否(A2AD)であった。
中国人民解放軍(PLA)はこの教義に沿って組織されており、それに従って軍事資産、能力、訓練、インフラを開発してきた。
PLAの空母グループ、055型超大型駆逐艦、極超音速ミサイル兵器、ステルス戦闘機、広範囲の無人航空機および水中ドローンは、中国沿岸から第二列島線(グアムなど)およびそれ以降の地域までのA2ADバブルを強化するように設計されている。
A2ADキルウェブのあらゆる要素は綿密に構築され、配備されている。キルウェブは理論ではなく、実際に運用されている。
対照的に、米国は、9/11の偽旗作戦以来、反乱分子、非国家主体、そして弱い第三世界のバナナ共和国と戦いながら軍事力を強化してきた。
そして、その実績はいろいろだ。「人類史上最強の軍隊」とはこんなものなのか。
兵士たちの闘志については米中軍事パレードの対比(上の写真)と、ヘグセス陸軍長官の「プライベート・ライアン」演説について書いた記事がある。
https://huabinoliver.substack.com/p/shaving-private-ryan
友人が、ピート・ヘグセス戦争長官による講演とトランプ王による「スピーチ」のために米軍の最高幹部が集まったクアンティコでの映像をいくつか送ってきた。
米軍が「素晴らしい状態」にあるかどうかという問題を再度検討する必要はほとんどない。
北京の30年にわたるA2AD教義に関して、国防総省の対応は曖昧で示唆に富んでいる。
対抗戦略は、目を引くラベルから別のラベルへ、さらに別のラベルへと進化してきた:
* エアシーバトル(2000年代から2010年代初頭):伝統的な艦船対艦、航空機対航空機の戦闘形態で中国に対抗するという構想。つまり、真の大国同士の正面衝突である。
* 分散型海上作戦(DMO、2010年代後半から2020年代初頭):空母グループのような大規模で脆弱な資産との正面衝突を避け、人員と弾薬をより小規模でより生存性の高いプラットフォーム/基地(太平洋の第二次世界大戦で放棄された飛行場など)に分散させて、集中的な破壊を回避する。
* ヘルスケープ(2020年代):レプリケーター計画で投入される安価な自爆ドローンの群れで中国の上陸部隊を圧倒する。
これは面白い戦略だ。低価格のドローンを使って世界最大のドローン生産国である中国に大差で勝利しようというのだ。中国は世界で生産されるドローンの70%以上を生産しており、完全なサプライチェーンを持つ唯一の国である。
米国政府は最近、モーター、バッテリー、カメラ、および製造工程で使用されるその他の部品(レアアースなど)を生産できないため中国製ドローンを禁止する計画を断念した。
レプリケーター計画が実際の戦略なのか、それとも国防総省の誰かが「地獄の風景」という恐ろしいマーケティングラベルで北京に対抗できると考えているだけなのかは不明である。
* ヤマアラシ戦略(2020年代以降):最新の最善策はゲリラ戦のような市街戦で台湾を「耐え難い苦痛」に陥れるというものだ。米軍要員を危険にさらすのではなく、戦闘と死傷者の大半を台湾に負担させることが目的である。
国防総省が検討している他の案には、中国の商船を攻撃するための「ハイブリッド戦」の実施も含まれており、PLA海軍もこれに必ず応じるだろう。
中国の商船はこのような潜在的な海賊行為に備えて武装を強化している。
https ://www.navalnews.com/naval-news/2025/12/container-ship-turned-missile-battery-spotted-in-china/
https://www.twz.com/sea/chinese-cargo-ship-packed-full-of-modular-missile-launchers-emerges
https://www.twz.com/sea/chinese-cargo-ship-with-electromagnetic-catapult-to-launch-advanced-combat-drones-emerges
こうした方針転換は、ペンタゴンがますます戦況を警戒し、戦闘と死傷者の大半を台湾やその他の属国(つまり、分散している米軍資産のホスト国)に負担させたいと考えていることを明確に物語っている。
戦争は一方で30年間にわたって準備された一貫した戦略を持っているのに対し、もう一方は、臨機応変で「素晴らしいアイデア」に基づく上層部の気まぐれや便宜による戦略である。
結果がどうなるか予想できる。
知識と知性の非対称性
孫子の兵法の重要な教えの一つは「己を知り敵を知れ」である。
北京の米国に関する知識は広範囲に及ぶ。英語教育から、毎年米国で学ぶ30万人の学生、米国への中国人の出国旅行が入国旅行の20倍に上ることまで。
北京には米国研究に重点を置く戦略家や学者が数多くおり、非常に有能である。
一方、中国について何か知っている米国人はほとんどいない。
米国のいわゆる「中国専門家」のほとんどは中国語を話すことも読むこともできず、中国を訪れたこともない人も多く、中国で教育を受けたり生活した経験のある人はほぼ皆無だ。
ワシントンの「中国専門家コミュニティ」は規模が小さく、情報に乏しく、極めてイデオロギー的である。彼らは20年前の硬直した古い思考体系で活動している。
これは一般的にも、また特に軍事分野においても当てはまる。
国防総省の将軍で、中国の軍事戦略文書の原本を読んだことがある者はいないに違いない。
ドメイン知識の非対称性に加えて、インテリジェンスの非対称性も存在する。
私が言う「インテリジェンス」とは、「諜報機関」のような情報収集や秘密活動という意味での「インテリジェンス」ではない。
余談だが、CIAは中国におけるスパイネットワークが2010年代初頭に北京の国家安全保障機関によって壊滅させられたことを公に認めている。
全能のCIAは2024年に中国で活動するためにYouTubeにAI音声生成のスパイ募集広告を掲載するほど堕落した。
私がインテリジェンスの非対称性について語るとき、それは言葉の本来の意味、つまりラテン語のintelligere(理解する)という意味で言っている。
情報を処理し、問題を解決し、賢明な決定を下す認知能力について言及しているのだ。
リチャード・ハーンスタイン、チャールズ・マレー、リチャード・リンによる別の研究によれば、中国人種の平均IQ(107)はコーカサス人種(99)よりも高いことが示されている。
米国はさまざまな人種が混在する多民族国家であるのに対し、中国はほぼ同質の人種であること、また、米軍の人種構成(IQの低い人種に大きく偏っている)を考慮すると、中国軍人の平均知能は米国の軍人より12~20ポイント高いと推測しても間違いではない。
一例は米軍の最高司令官だ。トランプは先週、「医薬品の価格を200%、300%、時には500%も引き下げる」ことで米国内の医療保険制度改革における「勝利」を宣言した。
明らかに彼はある物の価格全体が100%に過ぎないことを全く理解していない。薬価を500%引き下げるということは、薬を買う人に4倍の価格を支払うことを意味する。
彼が、数学的に胴元が勝つようにプログラムされているカジノを含み、6回も企業破産を経験したのは不思議ではない。
最高司令官がこれほど数学の天才なら平均的な兵士の知能がどれほどであるかは容易に想像できるだろう。
トランプの「非常に安定した天才」(彼自身の言葉)は地理、歴史、論理に及ぶ。
グリーンランドを手に入れたい理由について報道陣に話した際、その天才は『もし私たちがグリーンランドを手に入れなければ、ロシアや中国が手に入れることになる。そして、私たちはロシアや中国を隣国に持つことはできない』と言った。
ナポレオンになりたい人は(ロシアの隣に)アラスカと呼ばれる場所があることを知らないし、思い出すこともできないようだ。
トランプは「500年前にデンマークが船を上陸させたからといって、それがグリーンランドをデンマークが所有しているということにはならない」と発言し、デンマークとグリーンランドの関係に鋭く異議を唱えた。
チェロキー族とナバホ族が占領軍ヤンキースに対して同じ論理を適用したとき、この非常に安定した天才はどのような反応を示すのだろうか。
ペンタゴン自身も、米国の17歳から24歳の若者の77%が(1)太りすぎ、(2)薬物乱用、(3)任務にふさわしい知能と教育の不足により、兵役の基本要件を満たしていないことを認めている。
その結果、米陸軍は、採用基準から高等学校卒業資格(GED)の要件を削除することを提案した。
2020年7月12日にサンディエゴで発生したUSSボノム・リシャールの火災がその好例だ。
恨みを抱いた海軍新兵ライアン・セイワー・メイズが船に火を放ったとき、乗船していた100人以上の水兵は消火システムの使い方を知らなかった。
その結果、火災は5日間続き、12億ドルのワスプ級強襲揚陸艦は完全に破壊された。
米海軍は艦艇を修理し再び運用するには25億ドルから32億ドルの費用がかかると見積もった。
さらにこの船を病院船など別の種類の船に改造するには10億ドルの費用がかかると見積もった。
USSボノム・リシャールを最新のアメリカ級(LHA )強襲揚陸艦に置き換えるには、2020年に約41億ドルの費用がかかると推定された。
修理は財政的に無責任と判断されたため、海軍は約3000万ドルを支払って艦艇を退役させ、解体した。
船体は2021年にテキサス州のスクラップ置き場に366万ドルで売却された。
数十億ドルの主力艦の船員がマニュアルを読めず、艦内の消火システムも使用できなかったことから、乗組員のインテリジェンス・レベルがどの程度だったかがわかるだろう。
熱い戦争における中国と米国の間の最も重要な非対称性は、物理的な能力の差に帰着する。
次回の記事ではこれを詳しく取り上げよう。
https://huabinoliver.substack.com/p/why-china-is-confident-about-a-war
09- ウクライナでの戦争を継続させたい勢力が露軍の情報機関GRUの副局長を銃撃
櫻井ジャーナルに掲題の記事が載りました。
日本を含めて西側諸国は、ウクライナ戦争はロシアの一方的な侵攻によって起こされたもので すべてロシアに責任があるということで意思を統一しています。
問題は1991年に「ソ連」が崩壊したことで、元々ロシア領だったクリミヤ半島やドンバス地方がウクライナに統合されたことをベースにして、2014年に米国主導のクーデターでキーウ政権ができると直ぐにドンバス地方への迫害を始めたことで「内戦」になった、というのがそもそもの発端でした。
しかしキーウ軍が不利になると西側は「ミンスク1」、「ミンスク2」という欺瞞の停戦合意を結ばせて 以後約8年を掛けてキーウ政府軍の軍備を拡充させた後、2022年に米国のバイデンが盛んにプーチンを挑発して「特別軍事行動」を起こさせたのでした。
このところのトランプの介入でようやくウクライナ戦争が終戦に向かいつつありますが、西側諸国はウクライナ国での利権を保持するためにそしてゼレンスキーは身の安全のために、本心では終戦に反対しています。
2月6日、ロシア軍参謀本部情報総局アレクセーエフ第一副局長がモスクワの自宅前で背後から狙撃され重体になったテロ事件は、そうした終戦反対勢力によるものと見做されています。
これではトランプの目的も中々果たせません。
併せて「マスコミに載らない海外記事」の関連記事を紹介します。
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ウクライナでの戦争を継続させたい勢力が露軍の情報機関GRUの副局長を銃撃
櫻井ジャーナル 2026.02.08
ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)のウラジーミル・アレクセーエフ第一副局長が2月6日、モスクワの自宅前で背後から狙撃されて数発が背中に命中、病院へ搬送された。重体だとされている。
アラブ首長国連邦のアブ・ダビで行われているロシア、アメリカ、ウクライナの3カ国による会談へ派遣されたロシアの代表団はGRUのイーゴリ・コスチュコフ局長が率いていることから、今回の暗殺未遂はその代表団に対する攻撃と見做す人もいる。
アブ・ダビでの会談はすでに2度開催されているが、その直後、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーは次回会合について、「おそらくアメリカで行われるだろう」と述べたが、これは会談を打ち切りたいという意思表明にほかならない。
また2月5日から6日にかけてOSCE(欧州安全保障協力機構)は事務総長のフェリドゥン・シニルリオグルと議長のイニャツィオ・カシス・スイス外相をモスクワへ派遣、交渉団はロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談した。
この会談ではウクライナ戦争終結に向けての取り組み、公正かつ永続的な平和の実現に貢献するOSCEの潜在的な役割について議論されたと言われているが、この交渉に合わせてアレクセーエフを銃撃したグループが存在するわけだ。ロシアの重要人物を殺して感情的な行動をとらせて戦争を続けさせようとしたのだろう。
ウクライナに対してロシアとの戦争を続けるよう圧力をかけている勢力のひとり、マーク・ルッテNATO事務総長は2月3日、ウクライナ最高会議で演説、ロシアとウクライナの和平協定が締結され次第、直ちにイギリスとフランスで構成されるNATO軍をウクライナへ派遣すると宣言した。ロシアが軍事行動に出た理由はNATOの東方への拡大、つまり新たな「バルバロッサ作戦」を止めるためだ。ルッテはウクライナでの戦争を続けさせようとしている。銃撃はその3日後だ。
ルッテは演説を「ウクライナに栄光あれ!」で締めくくったが、これは第2次世界大戦当時、ファシストが使っていたスローガン。ルッテも和平を望んでいない。
ウクライナの治安機関SBU(ウクライナ保安庁)は以前にも戦争を終えるために行われていた交渉を潰すため、交渉団のメンバーを暗殺したことがある。2022年2月24日にロシア軍がドンバスに対する攻撃をはじめたが、その直後からトルコやイスラエルを仲介役として停戦交渉が始まり、合意に達している。仲介役のひとりだったイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットは交渉の内容を長時間のインタビューで詳しく話している。
ベネットは2022年3月5日にモスクワへ飛んでプーチン大統領と数時間にわたって話し合い、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を殺害しないという約束をとりつけることに成功、その足でベネットはドイツへ向かってオラフ・ショルツ首相と会った。SBUはその3月5日、キエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームで中心的な役割を果たしていたデニス・キリーエフを射殺している。
停戦交渉はトルコ政府の仲介でも行われ、やはり停戦でほぼ合意に達していた。その際に仮調印されているのだが、「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と題する草案をプーチン大統領はアフリカ各国のリーダーで構成される代表団が2023年6月17日にロシアのサンクトペテルブルクを訪問した際に示している。
こうした和平交渉を止めるため、イギリスの首相だったボリス・ジョンソンが2022年4月9日にキエフへ乗り込み、ゼレンスキー大統領に対して戦争継続を命令(ココやココ)、4月30日にはアメリカ下院のナンシー・ペロシ議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めた。
ウクライナでの戦乱は2014年2月にバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使い、暴力的にビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したところから始まる。このクーデターはキエフで実行されたのだが、ヤヌコビッチの支持基盤である東部や南部の住民はクーデター体制を拒否、南部のクリミアは素早くロシアと一体化し、東部のドンバス(ドネツクとルガンスク)では武装抵抗が始まったのだ。その際、ネオ・ナチの集団はオデッサで反クーデターの住民を虐殺している。
ヘンリー・キッシンジャーも説明しているように、ロシアの歴史はキエフで誕生したキエフ・ルーシで始まる。宗教もそこから広がり、ウクライナは何世紀にもわたってロシアの一部だったが、その前から両国の歴史は複雑に絡み合っていた。
東部や南部はソ連時代、住民の意思に関係なくロシアからウクライナへ割譲されたのだが、その当時はソ連という同じ国だったことからロシアとウクライナは行政区画の問題にすぎず、大きな意味はなかった。
1991年1月20日にクリミアではクリミア自治ソビエト社会主義共和国再建の是非を問う住民投票が実施され、94.3%の賛成多数で承認されているが、その半年後、ウクライナの最高会議で独立宣言法が採択されて問題が浮上する。
ウクライナを征服しようとしていた西側諸国はクリミアの住民投票を無視、ウクライナの独立は認めた。こうした動きを潰すためにキエフ政権は特殊部隊を派遣してクリミア大統領だったユーリ・メシュコフを解任、クリミアの支配権を暴力的に取り戻している。
1991年12月8日にはロシアのエリツィン大統領、ゲンナジー・ブルブリス、ウクライナのウクライナのレオニード・クラフチュク大統領、ビトルド・フォキン首相、ベラルーシのソビエト最高会議で議長を務めていたスタニスラフ・シュシケビッチとバツァスラフ・ケビッチ首相がベロベーシの森で秘密会議を開き、国民に諮ることなくソ連からの離脱を決め、ソ連は消滅。ロシアとウクライナは行政区画の問題ではなく、国の問題になった。
日本にも「ウクライナ人」という均一な集団が存在していると考えている人がいるようだが、実態は違う。ロシアとウクライナは人の交流も盛んで、親戚はそうした区域をまたいで広がっている。特に東部や南部ではロシア語を話し、ロシア文化の中で育ち、ロシア正教を信仰、自分たちをロシア人だと考えている人が多いのだが、ウクライナではクーデター後、そうしたロシア文化圏の人びとを粛清する動きが強まり、東部や南部では武装抵抗が激しくなる。
クーデター直後、キエフのクーデター政権の基盤は弱く、ドンバスでの戦闘は反クーデター軍が優勢だった。そこで西側諸国は停戦を持ちかけ、ウクライナ、ドネツク、ルガンスク、ロシアは2014年9月と15年2月に停戦で合意している。いわゆるミンスク1とミンスク2だ。
この合意を利用してNATOはキエフへ兵器を供与、現役の兵士だけでなく青少年に対する軍事訓練を実施、戦力を増強した。ミンスク1とミンスク2が戦力回復のための時間稼ぎだったことはアンゲラ・メルケル元独首相やフランソワ・オランド元仏大統領が認めている。
テロと破壊工作:今や希望を失ったキーウ
マスコミに載らない海外記事 2026年2月 7日
ロレンツォ・マリア・パチーニ 2026年2月6日
Strategic Culture Foundation
ウクライナでの戦争は、資源や兵器や工業力の深刻な不均衡を特徴としている。それはあまりにも激しい肉挽き器となり、ウクライナ国民自身でさえ、もはや自らの指導者への信頼を失っている。アレクセーエフ将軍の暗殺によって情勢を変えようとする必死の試みは、あらゆる常識とバランスを無視した危険な行為だ。
最後の最後まで
ウォロディミル・ゼレンスキーとその犯罪組織がロシアとアメリカ合衆国の和解の試みに対して毅然とした態度を取るだろうと考えていた人は酷く間違っていた。
キーウでは、彼らにはもはや希望はなく、全てを失った時に何をすべきかは明白だ。不可能を追求し、あらゆる外交的解決策を阻止し、残されたものを破壊し、可能であれば事態をエスカレートさせる。それがウクライナを炎上させることであれ、未来を奪われた若者たちを今世紀最悪の戦争の塹壕で死なせることであれ、問題ではない。ゼレンスキーにとって唯一の解決策はロシアに危害を加えることで、彼は決してそれを止めない。
2026年2月6日朝、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)第一副長官ウラジーミル・アレクセーエフ中将が自宅で背中を数発撃たれた。緊急手術後、容体は重体だ。犯人は逃走した。
意図は極めて明確だ。キーウ政府はいかなる状況下でも平和を望んでいない。またしても、またしてもデモを起こし、彼らは平和を望んでいない。兵士が死に、人々が苦しむのを見たいのだ。平和への唯一の可能性を妨害した者として記憶されるのを望んでいるのではなく、平和の貢献者として記憶されることを望んでいるのだ。西側メディアはこの真実を否定し、これからも否定し続けるだろうが事実は変わらない。ウクライナ政府は平和を望んでいないのだ。
ロシア領土への大規模攻撃は、多くの点で極めて深刻な事態だ。ロシアとウクライナのような長期にわたる紛争状況下では、国境を越えたいかなる作戦も、国際交渉の枠組みに取り返しのつかないほどの損害を与え、制御不能なエスカレーションを助長する恐れがある。
外交面では、モスクワがこのテロ作戦を領土主権の更なる侵害とみなすのは全く正当な理由がある。紛争当事者と、その同盟国の対立する立場によって既に停滞し、あるいは大きく影響されている和平交渉は、深刻な後退を余儀なくされる恐れがある。アメリカ、欧州連合、そして他の国際調停機関は、外交過程の正当性を守るために、この行動を公に非難するのか、それともキーウを合意の可能性から更に遠ざけないよう、この行動を軽視し妥協点を探るのかというジレンマに直面することになるだろう。
このシナリオでは、一方では侵略や戦場への圧力に対する正当な対応として提示されている行動が、対話を妨害しようとする意図的試みとして認識される。論理は単純だ。この種の挑発行為は、立場を過激化し、国家主義的言説を強化し、当事者間の合意形成への意欲を減退させる可能性がある。その直接的影響は相互不信の増大で、結果として安全保障措置の強化や、交渉代表団の撤退や、交渉前の条件の厳格化につながる可能性がある。
軍事的に見ても、これは全く意味をなさない。ウクライナ戦争は、資源や兵器や工業力の深刻な不均衡を特徴としている。ウクライナだけでは一ヶ月も持たず、当初から西側諸国に支援を求めざるを得なかった。数十億ドル、数億ユーロもの資金が投入されたにもかかわらず、ウクライナ軍は敗北を続けている。戦争はあまりに熾烈な肉挽き器と化し、ウクライナ国民自身でさえ、もはや自らの指導者を信頼しなくなっている。
アレクセーエフ将軍暗殺によって情勢を変えようとする必死の試みは、あらゆる常識とバランスを欠いた危険な行為だ。調停者の観点からすれば、このような出来事は停戦や制御された緊張緩和を支持する主張を困難にする。なぜなら、いずれかの当事者に懲罰的な条件を与える以外に平和は達成できないという言説を助長するからだ。言い換えれば、キーウはあらゆる手段を尽くして平和を阻止しようとしているのだ。
キーウへの支援と、戦争拡大回避を両立させようと奔走するアメリカ外交は、今や政治的にも戦略的にも不安定な立場に立たされている。挑発的行動が交渉の進展を阻害しないよう、キーウ政府に対し、アメリカはより厳しい条件を突きつける必要に迫られるかもしれない。だが、これはアメリカ国内というより、ゼレンスキー大統領の愚行に辟易しているウクライナ国内の緊張を増大させるだろう。
無駄な不均衡
確かに、不均衡もまた武器となり、国際関係の歴史において、敵に対する勝利は戦場のみで達成されるものではない。外交的不均衡や、戦略的圧力や、標的を絞った不安定化や、制御されたエスカレーションの試みさえ、政治的・戦略的目標を達成するための有効な手段になり得る。外交的不均衡は、一方が他方を国際的に孤立させ、同盟関係や、市場へのアクセスや、戦略物資や、政治的正統性を制限することで発生する。これは、敵の長期的な努力を維持する能力を低下させ、内部の合意を損ない、エリート層間の分裂を助長する。この意味で、外交は戦力増強装置となる。軍事的成果を増幅させたり、地上の困難を補ったりできるのだ。しかし、あらゆる細部を慎重に計算する必要があり、今回、キーウの喜劇役者は冗談を言い過ぎたように思われる。
今、この惨事にアメリカ自身が対処しなければならない。この作戦がアメリカ政府と共謀して仕組まれたとは考えにくく、キーウが危険な選択をして、全てを危険にさらす危険を冒したのは今回が初めてではない。この出来事はウクライナにとって恐ろしいブーメラン効果をもたらし、世論の批判を増大させ、この戦争への支持が最初から間違いだったことをメディアも示唆するだろう。
アメリカ自身も、テロと破壊活動はロシアとウクライナの平和への確実な道ではなく、永遠の眠りへの確実な道であることを、どんな手段を使っても、ゼレンスキー大統領と取り巻き連中に理解させなければならないだろう。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/02/06/terrorism-and-sabotage-kiev-is-now-without-hope/
2026年2月7日土曜日
高市支持の多数派右翼 - イスラエルと同じ価値観と人格へ変質している日本人
「世に倦む日々」氏が掲題の記事を出しました。
折角、彼が待ち望んでいた「中道勢力」が結成されたのに、すぐに選挙に突入したこともあってその初動が極めて不十分であったためその効果が現れず、マスコミは国民の7割が高市政権の賛成者であり、高市自民が単独で300議席以上の圧勝となると予測しています。
同氏も可なりの確率でそうなると見ているようです。
野党がほぼ一致して「食料品消費税率をゼロにする」政策を掲げたことに対しても、マスコミはその財源案に難癖をつけ、頭から不当視して排斥しました。
そしていまや財務省が消費税収減の救済策として出してきた、「2年後に全体の消費税率を12%にアップさせる案」が現実化する勢いになっています。
同氏は、マスコミの予想通り自民党が単独で過半数を大きく超えれば、高市氏は国民から「白紙委任状」を得たとばかりに自分が「国家の経営者」だと自認して、予定していた「日本の極右化(改憲、スパイ防止法、国家情報局設置、徴兵制度実施など)に進む」と見ています。
その悲劇は「かつてのドイツのヒトラーを思い起こさせる」とも述べています。
そうした選挙結果を口実にして高市氏が強行する日本の軍国主義化は、日本の「最大の悲劇」であることは論を俟ちません。
ところで経済活動の本態は自己責任(論)であり、弱肉強食性は資本主義のもつ必然性です。同氏は「若年層を中心に7割の日本人はそうした価値観の所有者になっていて、前述の倫理不全が異常だとする考えは持っていない」と見ていて、その点は「パレスチナ人を平然と虐殺しまくり、子供も女性も容赦なく殺戮しまくっているネタニヤフを支持するイスラエル人の多数派に同じ」だと述べます。
そして「7割の日本人は実は統一教会のシンパであり、テレビなどで口先では統一教会批判をする者も、心中はそうではなく統一教会が高市と自分たちの政治勢力を支えている核心だと知っている。この時期にマスコミが統一教会批判をしないのはその所為だし、また、中立を標榜しつつ無党派右翼に寄り添い、無党派右翼を積極的に持ち上げ、巧妙に高市を評価し擁護する世論工作に勤しんでいる政治学者たちが、テレビ番組で統一教会批判をしないのもその所為だ。彼らは反共主義の統一教会のシンパなのだ」と、絶望しています。
同氏のショックの大きさを思わせます。
8日の投票で、マスコミの予想が大間違いであったことが証明されることを切に願っています。
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高市支持の多数派右翼 - イスラエルと同じ価値観と人格へ変質している日本人
世に倦む日日 2026年2月5日
短い選挙戦はあっと言う間に終盤戦に入り、投票まであと残り数日となった。マスコミの観測記事によると、高市自民が単独で300議席以上の圧勝となり、立憲(中道)の野田佳彦や安住淳や小沢一郎や逢坂誠二など大物幹部も落選の危機にあるという。1/27 に公示された直後、各社からすぐに情勢調査結果と称した議席予測があり、選挙の関心はそちらに引っ張られ、各党の政策や公約についての議論はなくなった。消費税問題はマスコミが設定した争点だったが、党首討論会の幕の一瞬のネタにされただけで、この争点で何か議論が深まったということはない。ほんの一週間程度の命だった。結局のところマスコミに巧く操縦され、刷り込みの絨毯爆撃が続き、財政危機の現状で消費税減税などとんでもないという結論に誘導された。政党は選挙で国民にバラマキばかり言うという批判が正論化され、消費税減税策は悪だという一般認識の定着に持ち込まれた。
食料品消費税率をゼロにすると5兆円が税収不足になる。その減少分の埋め合わせを「財源」と言い、神聖化し、中道など野党の唱える財源案に難癖をつけ、頭から不当視して排斥して行ったのが、序盤戦のマスコミの選挙報道だった。昨年度、補正予算を含めた防衛費は11兆円となり、GDP比2%にする目標を達成している。防衛費は長い間5兆円台の水準を維持し、GDP比1%の枠で推移してきたが、一気に倍増となっていて、その皺寄せは他の歳出に響き、財政健全化を犠牲にする形で行われている。だが、その財政事実についての言及や批判はない。そしてさらに、GDP比3.5%の21兆円にする構想が持ち上がり、高市内閣が秋の防衛3文書改定で踏み込むものと予想されている。現在よりも+10兆円上積みされる。食料品消費税率ゼロの5兆円の2倍相当の巨額だが、こんな膨大な財源を一体どうやって捻出するのか。そういう議論は党首討論会では全くなされなかった。
高市が選挙圧勝後に開く「国民会議」では、おそらく消費税増税の方向性が打ち出される進行になるだろう。マスコミと財務省はそこへ向けて目の色を変えている。ネット上では、早くも税率12%という具体情報が上がり、一部では税率20%という説も出ている。衆院で絶対安定多数を獲得した高市には、あと2年間国政選挙がない。だけでなく、野党第一党で対抗勢力であった立憲の議員が衆院から消えている。選挙を気にすることなく「令和の一体改革」が遂行できる条件を得るわけで、維新に国民を加え、公明も巻き込み、社会保障の削減と消費税の増税を断行するだろう。来年4月には税率12%になり、3年後には15%に引き上げる措置が確定されると想像する。消費税率を5%上げると、国の税収(地方分を除く)は10兆円増える計算になるが、これにより防衛費を10兆円増額する分がファイナンスされる。防衛費をGDP比5%にする上では、消費税率を20%にすると釣り合う。
選挙の争点は、高市政権を信任するか否かという、高市が解散を宣告したときの設定に帰着した。政策論議はすっ飛び、高市への白紙委任を認めるか否かを問う選挙の構図となり、マスコミの情勢調査では高市圧勝、すなわち有権者国民は高市への白紙委任を喜んで選択して投票所に足を運ぶという分析と予想になっている。まさに、ヒトラーのナチス党が選挙勝利で全権掌握した歴史が念頭に浮かび、恐怖で心が凍りつく。高市が口癖にする「私は国家の経営者」という自己定義に注意を促したいが、この「国家経営者」のイメージは、アメリカのトランプであり、麻生太郎が指南する戦前ドイツのヒトラーである。日本国憲法に規定された、抑制的な内閣総理大臣の範疇と権限を越えたところの、最高の国家権力者という想定であり、何より軍事の最高指揮官(統帥権者)という含意が強く示唆されている。国家情報局を作り、自衛隊を日本軍に変え、軍と治安機関を使って存分に放縦に権力を揮うぞという意思表示だ
その高市を多くの国民が支持している。一方、Xのタイムラインでは悲鳴が上がっていて、もう二度と選挙の機会はないという絶望と悲嘆の声が散見されるようになった。徴兵制が施行される悪夢をリアルに懸念する声も多くなった。この二つともずっと私が(言わば前衛的に)指摘していた論点で、同時に、左翼からも「陰謀論」だと謗られ、オオカミ少年の妄想だと切り捨てられていた警告である。高市政権が発足する前、総裁選の時期にこれを金切り声で叫んでいたら、大袈裟で過敏すぎる恐怖症だと冷笑されただろう。が、実際、おそらくもう二度と普通の国政選挙はない。次に来るのは憲法改正の国民投票だろうし、戦時下の情勢に移行し、憲法の人権保障が制限もしくは停止された緊急事態(あるいは半緊急事態)の国家体制に包まれた世界だろう。国政選挙が行われたとしても、従来の立憲民主のような鋭く政権批判する野党はなく、そうした選択肢は消え、事実上の大政翼賛会の中の候補を選ぶ中国方式の選挙に変わる。
Xのタイムラインを見ると、老壮青の3人の女性論者の活躍が顕著で、危機感を震わせた渾身の投稿が影響力を発揮し、左派の言論小世界をリードしている。まさに extremely な言霊の絶唱が並び、次々と agitation が繰り出され、効果的な説得力で波動エネルギーを増幅させている。Xタイムラインは恰も左派リベラルの集会の壇上の如き景観であり、アルゴリズムの編集で選別され表示される諸アカウントの諸ポストは、集会に登壇する著名文化人が発するスピーチの列のようだ。反原発運動が盛り上がった十数年前、何度か大きな集会に参加して頭数の一つになったが、居並ぶ論者を押しのけて瀬戸内寂聴の演説が抜群で、圧巻の迫力だったことを思い出す。会場の聴衆を共鳴させ高揚させて一つの団結力を作り、まさしくウェーバー的な政治家の理念型の姿を見せていた。カリスマの啓示力に感服させられた。今、タイムラインのそうした言霊群と比較すると、一瞥して、男たちの危機感があまりに薄く弱いのに気づき唖然とする。なぜなのか。
私のタイムラインには、高市支持の70%の右翼とは真逆の次元の、反高市の政治世界が反映されていて、それを眺めていると70%の多数派の世界が嘘か幻のように思える。統計的には全体の20%以下の左派の言説がそこに流れている。この社会で70%の多数を構成する右翼の存在。それは現実だ。マスコミも左翼も、その現実を正しく認識せず、真相と正体を正しく表現せず、右翼を保守と呼び、あるいは無党派として毒を抜いて中性表象化し、その存在を実質的に正当化してやっている。右翼を右翼として悪性表象化しない。欺瞞をやっている。そして、左派でありながら「私も保守だ」などと自己欺瞞を言い、対立軸の真実をゴマカしている。保守の語に普遍性と標準色を与えてしまうことで、保守の中心に位置する高市が普遍的正義のシンボル価値を得るイデオロギーのマジックを容認している。政治的陣地を与えて譲歩してしまっている。考えるべきは、その日本の保守の人格だ。
金がない、財政危機だ、消費減税したら通貨危機だと言いながら、簡単に850億円の無駄遣いをして大雪の季節に選挙をしている。自治体職員に無理をさせ、不要な過重労働を負わせ、無駄な選挙をやっている。雪国に住む高齢者が投票の行き帰りの雪道で転倒したら大変なのに、意に介せず短期の選挙を強行している。高市が勝つためであり、白紙委任の権力を得るためであり、統一教会や裏金議員の問題から高市が逃げるためだ。そして、9条改憲を果たし、スパイ防止法(治安維持法)を制定して、中国との戦争に勝利するためだ。日本の有権者の7割は、それを支持し、その政治を正義と認め、高市にその政策を遂行させようとしている。それが日本にとって必要だと思っている。「厳しさを増す安全保障環境」の言説と論理を肯定し、「自由と民主主義の価値観」にコミットし、中国は絶対悪だと断じ、社会主義は排除すべき政治的害毒で、それを殲滅することが人類史的理想の達成だと信じている。
だから、経済思想は自己責任論のネオリベラルなのであり、非正規や格差は問題ではなく、資本主義に必然の自業自得なのだと了解し、その体制に不満を言い批判をする者が愚悪だという認識になるのだ。弱肉強食が善で、いじめを受ける弱者に原因と責任があるという見方になる。アメリカと同じシステムが善で、NISAで稼げばよく、稼いで威張って贅沢した方が勝ちとなるのだ。若年層を中心に7割の日本人はその価値観の人格になっている。その事実を認めないといけないし、かかる倫理不全が異常だと臆せず否定しないといけないだろう。屈折して変質した病的な人格現象だと直言すべきなのだ。引き合いに出したいのは、パレスチナ人を平然と虐殺しまくり、子供も女性も容赦なく殺戮しまくっているネタニヤフを支持するイスラエル人の多数派である。ガザの人々をテロリスト視し、地上から抹殺すべき悪魔だから殺害してよいと正当化している者たちだ。われわれから見て、イスラエル人は異常で狂気で、同じ人間だとは思えない。
だが、顧みたとき、7割の高市支持の日本人は、そのイスラエル人と同じ精神構造の人間類型なのではないか。実際、高市や維新や参政党はイスラエルを支持している。イスラエルのガザ虐殺に何の精神的痛痒も感じていない。そしてよく考えれば、アメリカ政府も同じであり、ヨーロッパの指導者も同じで、イスラエルの非道な蛮行を阻止しようとせず、むしろ虐殺を支援している。そこには、そうさせる判断の根拠があり、正当化する邪悪な理屈があり、イデオロギーを内面化した人格がある。こうして、静かに省察すれば、同じ人間とは思えない冷酷で歪んだ人間が、イスラエルだけでなく世界中にいて、この日本にも7割ほどいる病んだ実情に気づく。大学教授の肩書きの者たちもほとんどがそうだという実態を知る。それに抵抗する自分が(筑紫哲也的な)少数異端だという事実に気づく。7割の高市支持の多数派は、おそらく内心では統一教会を支持している。だから、萩生田光一が出て来ても何も言わない。不興に感じることがないどころか歓迎している
日本の政治は、30年かけてどんどん右翼化して行った。右翼青年を漫画で育て、大人にし、次の右翼の世代を拡大再生産して行った。右翼は雪国の積雪のように固く締まって重たく厚い巨大積層に化けた。マスコミの空間も、学校教育も教科書も、右翼の価値観に準じた内容に変えた。日本の子供たちは右翼思想とネオリベ思想ですくすく育った。選挙権を得て、高市や維新や玉木を支持するのは当然だ。右翼の思想的立場の者には、勝利が続き、正常な方向に日本が流れた30年である。その時間と空間しか知らぬ者には、安倍的高市的な右翼思想以外の価値観はなく、憲法9条など羞恥と厭悪の化石的遺物に他ならない。護憲派など罵倒し唾棄すべき対象だろう。流れはグラデーション的で、デジタルなスイッチの画期ではないが、おおよそ30ー35年前に大きな転換期があり、①ソ連崩壊、②バブル崩壊、③政治改革、④インターネット の四つの激動が同時に重なり、それ以前の戦後民主主義体制の価値観が崩され、右翼思想とネオリベ思想が勝利の地平に進撃する趨勢となった。
大雑把にそのように総括し、日本人の価値観と人格性の変化を、すなわち倫理不全の深刻な病理に陥った変質を仮説化できるはずだ。今、恐ろしいことに、7割の日本人は実は統一教会のシンパなのである。テレビで口先では統一教会批判をする者も、心中はそうではなく、それは表向きの口上と演技で、統一教会が高市と自分たちの政治勢力を支えている核心だと知っている。この時期にマスコミが統一教会批判をしないのはその所為だし、また、中立を標榜しつつ無党派右翼に寄り添い、無党派右翼を積極的に持ち上げ、その論理回路を通じて、巧妙に高市を評価し擁護する世論工作に勤しんでいる政治学者たちが、テレビ番組で統一教会批判をしないのもその所為だ。反共主義の統一教会のシンパなのだ。