2025年12月11日木曜日

中国軍機によるレーダー照射ー沈静化させると言いつつ遂に軍事的緊張まで

 世に倦む日々氏が掲題の記事を出しました。
 この記事の特徴は、日中戦争が起きればどうなるかを考察した点でしょう。
 それは通常のTV解説者や軍事専門家は決して行わないことです。彼らは日中戦争には至らないと思っているのかも知れませんが、もしも日中戦争が勃発したときの日本国民の悲惨さには想到しないか、あるいは想到していても国民には隠そうとしているのであれば極めて無責任です。
 世に倦む日々氏は、12/7のサンデーモーニングでのコメンテーターの畠山澄子氏と斎藤幸平氏の発言内容が、日中戦争の危機に対して「あきれるほど呑気で鈍感」であったとして、二人とも学力試験は成績抜群であろうに「中国と戦争が始まったらどうなるかを想像できていない。中国と戦争になる心配を本気でしていない」ことに先ず意外感を表明し、「優秀な若い二人があまりに緊張感がないので、私は疲労し脱力する」と述べます。
 そして「日中戦争はイデオロギー戦争の性格を明確に持ち、国家を構成する全成員が敵となる戦争なので、残忍で徹底した殲滅戦の様相を帯びてしまう。犠牲者数がきわめて多くなる」と述べ、「高市が発言を撤回せず、中国との緊張を高めて攻勢をかけられている図は、停戦講和による早期収拾という判断ができず、一撃挽回の機会を狙い続け、祈祷で皇祖皇宗の霊力にすがり、無益な時間稼ぎをして犠牲と損失を大きくした、過去の戦争の昭和天皇と軍部を想起させる」、「この緊張と対立を本当に沈静化させたいのなら、高市が発言を撤回することだ。そうでなければ、戦争への間違った道を進み続ける。破局に至る」と断じます。
 これこそは高市氏の依怙地にして無責任、そして幼稚な発想の対極にあるものです。
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中国軍機によるレーダー照射 - 沈静化させると言いつつ遂に軍事的緊張まで
                       世に倦む日日 2025年12月9日
12/6 午後、沖縄本島南東の公海上で中国軍機が自衛隊機にレーダー照射する事件が発生した。小泉進次郎が 12/7 未明に会見して発表、高市早苗も同日午後に視察先からマスコミの前で中国を非難、今週(12/7-13)はこの問題で沸騰する様相となっている。高市発言が 11/7 に飛び出した後、マスコミは高市に対する擁護と支持でほぼ一色に染まり、何度も世論調査を打って高市発言の「正当性」をセメント化してきた。この政治を既成事実化してきた。と同時に、この問題への対策として「時間をかけて沈静化させるべき」と言ってきた。高市発言の問題が勃発して1か月になるが、マスコミ論者はずっとそう言い続けた。それを見ながら私は、ずいぶん都合のいいことを言っているなとテレビの前で苛立った。テレビは一方通行の媒体なので、反論の声はスタジオのマイクに届かない。相手がいる問題なのに「時間をかけて沈静化」の収束法がどうして通用するのだろう

自分勝手な絵に描いた餅だ。11/18 に上げた記事で、高市早苗が撤回を拒み続けた場合は「軍事的圧力のフェーズに移行」するだろうと私は見通しを述べていた。「尖閣沖に海軍の艦隊を並べて示威する」と例を挙げ、緊張を高めるだろうと予想した。その前に、遼寧に接近した空自戦闘機へのロックオンという、いわば前段的な軍事威嚇の局面が到来した。中国軍側からすれば、軽いジャブ的な対抗措置の発動であり、自衛隊と日本政府への最初のメッセージの発信だろう。中国国防部は 11/14 に報道官談話を発表し、「日本が台湾海峡の情勢に武力介入すれば、中国人民解放軍の堅固な防備の前に頭を割られて血を流し、無残な代価を払うことになる」と強い言葉で抗議していた。いきなり尖閣沖に海軍艦隻が出現する進行にならなかったのは、11/24 にトランプが習近平に電話し、緊張の拡大を諫める外交に出たからだ。しかし、高市は発言を撤回せず、日本は高市発言の正当化で固まっている

七割がた戦争になる。戦争へ一歩ずつ近づいている。高市政権はまさしく安倍政権のコピーであり、近隣諸国との関係を破壊し、軍事衝突する方向へ政治を進めていく。前回、韓国海軍の駆逐艦から空自の哨戒機がレーダー照射を受けたのは、2018年12月の出来事で、第2次安倍政権下の事件だった。同年10月末に元徴用工の問題で韓国大法院が判決を出し、日韓で紛争が勃発したが、そのとき、全て解決済みだとして賠償和解を拒否する日本側を領導したのが安倍晋三で、今回同様、マスコミが安倍政権の応援団となって韓国叩きの熱狂を扇動していた。韓国が左派の文在寅政権であった点も重なり、安倍晋三と右翼の韓国憎悪は激越で、それがまた韓国世論を刺激して日本批判の空気を加熱させ、その延長線上にレーダー照射事件が発生した。翌19年になっても沈静化せず、安倍政権は元徴用工問題への対抗措置として半導体材料の輸出規制を実施、韓国では日本製品不買運動が猛然と展開された

7年前と同じパターンだ。前回の安倍晋三を元凶とする日韓の紛争は、アメリカが緩和修復に動いたのと、20年初めから世界を覆ったコロナ禍の影響で水入りになって自然消滅を迎えた。今回は仲介に動く第三国がいない。また、台湾という爆弾の存在がある。同じレーダー照射の軍事的インシデント⇒大事故一歩手前の事態)だが、危機の深刻度は7年前よりもはるかに大きい。前回はたしか、海自重鎮の香田洋二が知己の韓国海軍幹部に直接電話をかけ、対話してエスカレートを防いだとマスコミで内幕を語っていた。韓国軍と自衛隊とはその意思疎通のチャネルがあった。中国軍と自衛隊の間にそれを期待するのは無理だろう高市は発言を撤回しない。突っ張れば突っ張るほどマスコミが持ち上げて支持率が上がる。その構図が日本国内にできていて、高市は自衛隊に「毅然と対応」を指示している。両国の上層部で妥協と調整がないまま、現場が中国軍に対して「毅然と対応」すれば、それは自動的に摩擦を増進させる行動の選択となる

高市早苗はマスコミの扇動と大衆の支持に浮かれ、戦争のリスクを顧慮せず猛進している。「時間をかけて沈静化させる」という路線と展望は、マスコミで常套句となって流布されてきた問題解決策だけれど、高市の頭の中も同じなのだ。高市は、発言を撤回せず粘り腰で時間稼ぎしていれば、中国も手をこまねいて対抗措置の行使を諦める、いずれどこかで妥協してくると、そう安易に踏んでいる。それは客観的に甘すぎる認識であり、見通しとして誤った判断に違いない。だが、高市と周辺はそう思っていない。過去の安倍晋三の中国や韓国とのトラブル史を踏まえた上での経験法則であり、安倍晋三と同じ強気で突破できると確信しているのだ。おそらく、杉山晋輔や市川恵一や谷内正太郎や兼原信克がそう指南し、高市を輔弼しているのだろう。この「沈静化」の収拾案は、マスコミが撒き、右翼化した国民が思い描く空虚な幻想であると同時に、高市官邸の基本方針なのである。嘗ての日米開戦前の日本指導部を彷彿とさせる

毅然と開き直っていれば冷却化する、マスコミの神輿に乗っていれば大丈夫、反対する左翼は少数異端で無力、共産中国などいずれ崩壊の運命、アメリカの抑止力があるから中国は簡単に軍事行動できない、等々。そういう高を括った認識の下で高市官邸は動いている。これこそトゥキディデスの罠に嵌った主観的錯覚だろう。陥穽に落ちた進路のゴールには、開戦と全面戦争と総力戦の結末がある。七割がた戦争になるという予測は、決して悲観的すぎる見方とは思わない。高市早苗は「台湾有事=日本有事」を信念化しているし、そもそも台湾有事はアメリカの国家戦略で、そのためにクアッドが構築推進されてきた。FOIPの「理念」が成功する絵とは、台湾が国連に復帰し、共産中国が崩壊するアジア世界の実現に他ならない。それと何より、日本国内に戦争を止める力がない。「七割がた」という悲観論に俯く理由の第一はその点にある。高市発言から1か月の政治過程を見たが、憔悴するしかない。90年前は、弾圧されつつ反戦派が生きていた

気骨ある日本人が生きていて、治安維持法で逮捕されながら、迫害と暴力禍の中で戦争反対の運動に身を挺していた。今はまだ治安維持法(スパイ防止法)が制定されてもいないのに、言論の自由が保障された社会環境なのに、強い反戦の声が上がらず響きが湧き起こらない。声が小さい。渾身の抵抗と絶叫がない。それが不思議だ。12/7 のサンモニでの畠山澄子と斎藤幸平のコメントを聞いたが、あきれるほど呑気で漫然とした鈍感な反応と意見だった。中国と戦争が始まる恐怖に怯えていない。中国と戦争が始まったらどうなるかを想像できていない。中国と戦争になる心配を本気でしていない。想像力の欠如なのか、知識の不足なのか、そこらのネットの若者と同レベルで止まっている。広島・長崎の犠牲者の実態とか、ガザで虐殺される人々の地獄とか、そうした戦争の悲惨については精神を内在させ、正確に認識し、言葉として表現されるのに、中国との戦争のリアルがイメージされていない。その戦争の現実と真剣に向き合っていない。観念的抽象的に捉えている

他人事的だ。畠山澄子と斎藤幸平が語る台湾有事は、庶民に襲いかかる戦争(徴兵・戦死・飢餓・空襲・地上戦・原爆)の恐怖と繋がるものではなく、呼ばれたテレビ番組でそれらしい解説を上げてコメンテーターの役割を果たす、日常の政治空間の言説と論点の一つでしかないようだ。ガザの地獄が明日の日本の現実になるという発想の契機が、論理的な思考回路が、畠山澄子と斎藤幸平の内側にはないのだ。ガザの地獄と台湾有事とは無関係の問題で、二つは遮断されているのである。二人とも学力試験は成績抜群で、私などよりはるかに知能優秀なエリートなのに、何故、ガザの地獄と台湾有事が結びつかず、危機感と焦燥感に媒介された感想が発言されないのだろう。本来、戦争の悲劇と邪悪に対して最も敏感な感受性を持ち、それを説得的な言霊にして全身で訴えて、聞く者に感銘を与えるのが畠山澄子の資質と魅力だった。それが視聴者の期待であり、視聴率の中身となる価値(使用価値)であるはずだ。優秀な若い二人があまりに緊張感がなく等閑なので、私は疲労し脱力する

中国の経済力と軍事力は巨大で、最先端技術でもアメリカに比肩する実力を持ち、「世界の工場」たる製造業と開発力を有している。日本もGDP世界第4位の先進国で、自衛隊の近年の武装高度化充実度は著しい。軍事費に年11兆円も注いでいる国は、アメリカ・中国を除けば他にないだろう。中国と日本が軍事衝突した場合、力の差を考えても戦争が長引くことは間違いなく、一方が他方を圧倒できる力関係にない。そしてアメリカが、中国との間で核弾頭搭載ICBMを撃ち合う第三次世界大戦の破滅を恐れ、同盟国日本への後方支援から徐々に手を引く推移になれば、力の均衡は中国優勢となり、現在のロシアとウクライナのような関係になって戦局が進むだろう。ここで考察のポイントに挙げなくてはいけないのは、中国と日本との戦争はイデオロギー戦争の性格を明確に持つことであり、長谷部恭男がルソーの『戦争法原理』を引いて述べたように、相手国家の根本的な価値観の打倒を目的とする点である。国家体制の崩壊が狙われ、したがって無条件降伏が目標となる。妥協が容易でない

イデオロギーの戦争は、国家を構成する全成員が敵となる戦争で、すなわち残忍で徹底した殲滅戦の様相を帯びてしまう。犠牲者数がきわめて多くなる。独ソ戦がそうだったし、朝鮮戦争とベトナム戦争がそうだったし、イラン・イラク戦争もそうだった。共匪討滅戦が主目的の日中戦争もそうだった。現在の日本人の中国共産党への憎悪は凄まじく、また、日本人の主観としての「共産主義に支配された愚かな、公共道徳心がなく金銭と私欲だけの価値観の中国人」への差別と侮蔑も甚だしい。リスペクトがない。そこから考えると、一旦戦争に突入してしまえば、戦況が悪化しても、生活が極貧になっても、徴兵と戦死で家族を失っても、日本人は国家と右翼に付き従い、ずるずる最後まで止めることができないのではないか。中国軍優勢の戦況が固まっ場合、戦争だから当然、日本側がやめたくても簡単にはやめられない。中国側の求める講和条件を吞まなくてはいけない。敗戦となれば、戦争を始めた政治家や煽った論者は責任をとらされる

だからこそ、指導部とその周囲の軍国支配者は最後まで、神風が吹く一縷の望みにすがって(ゼレンスキー的に)戦争を継続するのであり、最後の最後の土壇場でアメリカに脱出するのである。その負け戦の図が、今のマスコミや国民の中でどれだけ想定できているのだろうか。高市が発言を撤回せず、中国との緊張を高めて攻勢をかけられている図は、停戦講和による早期収拾という判断ができず、一撃挽回の機会を狙い続け、祈祷で皇祖皇宗の霊力にすがり、無益な時間稼ぎをして犠牲と損失を大きくした、過去の戦争の昭和天皇と軍部を想起させる。二重写しで重なる。この緊張と対立を本当に沈静化させたいのなら、高市が発言を撤回することだ。そうでなければ、戦争への間違った道を進み続ける。破局に至る

高市首相のごまかしすり替え居直り(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題のブログを出しました。
 84年前に日米開戦にいたった12月8日、「村山談話を継承し発展させる会」が参議院議員会館講堂で緊急記者会見を開催しました。
 会見のテーマは、「高市発言を撤回せよ!台湾有事を口実に日本を中国への先制攻撃・侵略戦争に駆り立てるな!-台湾問題は中国の内政問題だ-」で、植草氏も説明者側として記者会見に出席されました。
 会見の概要は「弁護士ドットコムニュース」や「東京新聞」が報じているとしてそのURLを紹介したうえで、要点をブログで説明しました。文中で「なぜか、東京新聞掲載の写真には私が消えている」と記述しています(はじめの写真の左端の人物が植草氏です)。
 東京新聞がそうした理由は不明ですが、小泉・竹中政権時代に官憲から「植草氏の追い落とし」のための事件を不当にデッチ上られ、結果的にTV界から無視されるに至った事案が思い起こされます。
 併せて次の2つのブログを紹介します。
・「高市首相が東アジアに火をつけたことを受け、中露が軍事的な連携をアピール」(櫻井ジャーナル)
・「日本は火遊びをしている:台湾問題で一線を越えれば痛い代償を払うことになるだろう」(耕助のブログ)
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高市首相のごまかしすり替え居直り
               植草一秀の「知られざる真実」 2025年12月 9日
84年前に日本が真珠湾に奇襲攻撃を実行した日付である12月8日に重要な記者会見が開かれた。
「村山談話を継承し発展させる会」が参議院議員会館講堂で緊急記者会見を開催した。
会見テーマは「高市発言を撤回せよ!台湾有事を口実に日本を中国への先制攻撃・侵略戦争に駆り立てるな!-台湾問題は中国の内政問題だ-

11月7日の衆議院予算委員会での高市首相発言が重大問題に発展している。
「発言を撤回せよ」との声が存在する一方で「発言を撤回すべきでない」の声も存在する。
メディアは「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」(放送法第四条)を求められるが、日本のメディアでは高市発言擁護の主張ばかりを大きく取り上げている
11月30日付ブログ記事「NHK登場藪中三十二の正体」https://x.gd/5KpWW
メルマガ記事「保存版「高市大政翼賛メディア」」https://foomii.com/00050に詳述した。

このなかで12月8日の緊急会見をいくつかのメディアが取り上げて報道している。
弁護士ドットコムニュース「高市首相の台湾有事発言は「極めて危険」「憲法にも反する」、

有識者らが撤回求める緊急声明https://www.bengo4.com/c_16/n_19724/ 








東京新聞「高市首相の台湾有事発言は「宣戦布告」「対話成り立たない」答弁の撤回を求める元外交官と学者の危機感https://www.tokyo-np.co.jp/article/454626














両記事に写真が掲載されているが、なぜか、東京新聞掲載の写真には私が消えている
それはさておき、高市首相の重大発言については日本国内において賛否両論がある。
発言撤回を求める主張は明確な論拠を示している。
したがって、メディアは両論を適正に紹介し、市民が適正な判断を下せるための情報を提供すべきである。
会見では私も意見を陳述した。発言の趣旨は以下のもの。
日中友好、日本経済への影響考慮、日本の品格の視点から高市首相は「是を是とし、非を非とする対応」を示すべきだ。

問題の発言は11月7日の衆議院予算委員会質疑で出た。
高市首相はその後、「歴代内閣の立場と一致している」としながら、「政府としての統一見解とするつもりはない」と矛盾する発言を示している。
矛盾の主因は「ごまかし」と「すり替え」があると思われる。「ごまかし」、「すり替え」は日本の国益を損なう。

高市首相の11月7日国会答弁は前段部分と後段部分に分かれる。
前段部分で高市首相は台湾有事と呼ばれる状況が発生した場合の対応について、
「そのときに生じた事態について、いかなる事態が生じたということの情報を総合的に判断しなければならない」と述べた。
発言がこれにとどまっていれば問題は発生していない。この部分は「歴代内閣の立場と一致している」と言ってよいだろう。
問題は後段部分である。
高市首相は台湾有事について再度問われ、「台湾を統一、中国北京政府の支配下に置くような」場合に、「それが戦艦を使って、武力の行使もともなうものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースであると考える」と述べた。
この発言は重大なもので発言撤回が求められる。

続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」4274号
「高市発言撤回求める緊急会見」 でご高読下さい。
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高市首相が東アジアに火をつけたことを受け、中露が軍事的な連携をアピール
                         櫻井ジャーナル 2025.12.11
 自衛隊隊によると、ロシアのTu-95爆撃機と中国のH-6爆撃機が12月9日、宮古島と沖縄島の間を通過して太平洋へ入り、四国沖まで飛行したという。途中、沖縄島と宮古島の間で中国のJ-16戦闘機も合流、日本海ではロシアのA-50早期警戒管制機とSu-30戦闘機が飛行していた。それに対して自衛隊は戦闘機を緊急発進させたという。アメリカ国防総省の計画に従って自衛隊がミサイル発射施設を建設中の地域を中露の軍用機が飛行して日本側の反応を見たのだろう。


















 バラク・オバマ政権がウクライナでクーデターを実行、香港でアメリカのCIAやイギリスのMI6が「佔領行動(雨傘運動)」なる反中国運動を展開した2014年頃から中国は欧米諸国の敵対的な姿勢を認識、すでに攻撃を受けていたロシアに接近し始めた。両国は経済的な繋がりだけでなく軍事的な協力関係も強化している。高市早苗首相の言動はそうした動きを加速させることになった。
 そうした中、ロシアのセルゲイ・ショイグ安全保障会議議長はアジア太平洋地域に出現しつつある「NATOの萌芽」について語り、日本の急速な軍備拡張と防衛予算の増加は地域の情勢が変化していることを示しているとしている。

 ウクライナでは崩壊したクーデター体制軍を保管するため、イギリスやフランスをはじめとするNATO軍の将兵が入り、ロシア軍と戦っていたが、ここにきてロシア軍はそうしたNATO軍に対する攻撃を強めている。これまでも劣勢にあったウクライナ軍だが、ここにきて総崩れになりつつある。アメリカのドナルド・トランプ大統領が戦争を終結させようと焦っているのはそのためだ
 終結が遅れればその分ロシアに攻め込まれてしまうからだが、EUを動かしている人びとは戦争の終結を嫌っている。1990年代から旧ソ連圏を支配するために多額の資金を投入している巨大資本、あるいは米英の情報機関は戦争を止められない。ウクライナで暗躍している金融機関はブラックロックやJPモルガンなど。故ジェイコブ・ロスチャイルド、その息子であるナット・ロスチャイルド、ロスチャイルド金融資本と関係の深いジョージ・ソロスなどの名前も出てくる。

 ガザでの虐殺を容認、ウクライナでの戦争を推進しているドイツのフリードリヒ・メルツ首相はブラックロックで監査役を務め、エマニュエル・マクロン仏大統領はロスチャイルド銀行で働いていた人物。イギリスのキア・スターマー首相はシオニスト、つまり親イスラエルであることを公言している。
 ウクライナの魅力として資源が喧伝されてきたが、穀倉地帯が広がっていることでも有名。その穀倉地帯の約4分の1を外国企業が所有している。2022年には約3分の1をカーギル、デュポン、モンサントの3社が所有、この3社は効率性を高めるため、コンソーシアム⇒共同事業体)として契約を締結して事業を開始した。
 このコンソーシアムは事実上、ウクライナの土地の半分以上を支配しているのだが、カーギル、デュポン、モンサントには黒幕が存在する。3社の主要株主には巨大金融機関のブラックロック、バンガード、ブラックストーンが名を連ね、ウォロディミル・ゼレンスキーはブラックロックのほかJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスと協力関係にあるのだ。ブラックロックは2022年後半からウクライナ政府のコンサルタントを務め、ブラックロック傘下の企業はウクライナの戦略的資産の大部分を支配するようになったと報道されている。

 ロシア政府はウクライナの非軍事化、非ナチ化、中立化、西側諸国が凍結したロシア資産の返還、そして領土の「現実」を求めているが、ロシア政府はその目的を軍事的に達成するしかないと考えている。軍の進撃を止めるにはロシア側の要求を呑むしかないとトランプ大統領は考えているようだが、EUの「エリート」たちはそれができない。ウクライナへ流入した資金がどこへ流れたかを明らかにできないという事情もあるだろう。
 ヨーロッパには「停戦」で戦力を立て直す時間を稼ぎ、何年か後に再びロシアを攻めようと目論んでいる勢力もいるようだが、当然、ロシアはそれを認識している。だからこそ軍事的に解決すると決断したのだ。

 日本にはいまだにロシア軍が兵器や予算が欠乏しているというような御伽話を語っている人もいるようだが、2022年以降、ロシアは兵器の生産能力が大幅に向上、生産量は消費量を上回っている。新しく開発された高性能兵器の生産も本格化しているようだが、それほど使われていないのはNATO軍との全面戦争に備えているからだと見られている。
 こうしたウクライナでの展開を受け、軍事的な緊張が急速に高まったのがカリブ海と東アジアだ。
 東アジアでアメリカは同じアングロ・サクソン系国のイギリスやオーストラリアとAUKUSを創設、アメリカ、オーストラリア、インド、日本はクワドなるグループを編成、軍事的な連携を強化してきたが、インドはロシアや中国に接近、アメリカと距離を置いている。

 NATO(北大西洋条約機構)の事務総長だったイェンス・ストルテンベルグは2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーとするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言しているが、こうした目論見をロシアは警戒してきた。ロシアのニコライ・パトロシェフ大統領補佐官はAUKUSが中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」だと批判している
 本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、日本は1995年にアメリカの戦争マシーンに組み込まれた。


日本は火遊びをしている:台湾問題で一線を越えれば「痛い代償」を払うことになるだろう
                耕助のブログNo. 2744  2025年12月10日
   Japan Is Playing With Fire:Will Pay ‘PAINFUL PRICE’ If It Steps Out of
    Line over Taiwan     James Wood

日本政府は台湾からわずか110キロの距離にある与那国島に中距離ミサイル配備を開始するのはよい考えだと決定した。与那国島は実質的には中国の玄関口である。
これは日本の首相が、台湾における中国のいかなる行動も日本の軍事的対応を引き起こす可能性があると公然と示唆した後のことだ
つまり日本は、アジアで最もセンシティブな問題の一つに自ら介入しようとしている。

北京の答えは?
極めて明確である:
もし日本が半歩でもレッドラインを越えれば「痛い代償を払うことになるだろう」
中国はまた、日本が「地域の安定」のヒーローを演じる時に都合よく忘れがちな事実を指摘した:
日本は1895年から1945年まで台湾を植民地として支配していた。北京に説教するには道徳的に最も強い立場とは言えないだろう。

一方、台北では地方政府が今後8年間で防衛費にさらに4000億ドルを投じるとし、中国は台湾周辺での定期的な軍事パトロールを続けている。各方面からのメッセージングはますます鋭く、大きく、頑なになっている。

ほとんどの西側コメンテーターが見落としている結論はこうだ:
・中国は台湾を内政問題とみなしており、交渉の議題ではない。
・日本が軍事的に介入することは重大な地域へ挑発である
・北京と東京の関係はすでにここ数年で最低の状態にある
・そしてアジアの二大国が衝突することで、ワシントンは密かに利益を得る
台湾にこれほど接近したミサイル配備は「抑止力」ではない。
それはエスカレーションであり、アジアの構図を一夜にして変える類のものだ。
日本は慎重に進める必要がある。

https://x.com/commiepommie/status/1994243076806856947

謝ったら死ぬ病の高市 「戦艦」間違いではないと閣議決定(まるこ姫)

 まるこ姫の掲題の記事他3つの記事を紹介します。
 文中の青字・太字強調個所は原文に拠っています。
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謝ったら死ぬ病の高市「戦艦」間違いではないと閣議決定
                        まるこ姫の独り言 2025/12/04
変なメンツやプライドしか持たない高市は、自分の放った「戦艦」に対して多くの人から指摘されているのに、言い間違いではないと閣議決定までしている
意固地にもほどがある。

そして「閣議決定」が錦の御旗になっている。
それは安倍政権時代にも強く感じたことだが、さすが師弟関係だけのことはある高市政権の閣議決定。

反論を封じるための閣議決定だとしたら、なおさらたちが悪い。
高市首相「戦艦」言及、間違い否定 政府答弁書
                        12/2(火) 14:06配信 時事通信
政府は2日、高市早苗首相が台湾有事を巡る国会答弁の中で触れた「戦艦」という言葉について、言い間違いではないとの答弁書を閣議決定した
戦艦は、軍艦の中でも強力な主砲を備えた大型艦を指す場合が多い。現在、主要国では運用されていないとして、SNS上で疑問の声が出ていた。立憲民主党の辻元清美参院議員の質問主意書に答えた

国益を害するような総理のチッポケなプライドより、国益の方が大事だと思うが、高市一人の失言や舌禍に、この国は振り回されている。

政治(高市答弁)の暴走で、中国と関係のある業者は、大きな減収になっているのが現状だ。
高市の舌禍は、今までの総理の5倍や10倍程度になるのではと思うほど、就任から2カ月ですごい数になっている。

台湾有事の発言だって、高市が先走って官僚の文章にないアドリブで発したものだとしたら、それが今までの政府見解と違っていたらそのように訂正するなり撤回するなりすればここまでの大問題にはならなかった。
撤回したことで何が困るのか。

高市支持者や支援者が怒る程度のことだと私は思っているが、高市は支持者や支援者の顔しか見ていないのではないか。

私たち多くの国民の方を本当に見ていての撤回拒否だとしたら、異様でしかない。
謝るところは謝り、撤回するところは撤回することは、別に恥ではない。
のに、いつまでたっても強情に自分が正しいと言い張る高市。
どうしてここまで意固地なのか。

高市は自分の支持者の意向より、真の国益は何かと考えたことがあるのだろうか。
この国は高市の発言で多くの対外的な益を失ってきた。
これからも高市の舌禍の傾向は続くと思う。

戦艦でも軍艦でもいいから、指摘されたことは撤回すればいいのに、まだ意地を張って「閣議決定」で自分の発言は間違っていなかったと言い募る高市。

高市にとって「謝ったら死ぬ病」が今まで通用したので高を括っている。
さすがにプライドやメンツで飯は食えないという事くらい分かれよ!


鈴木農相「政府はコメ価格に不介入」なのに「期限付きお米券配布」はあ?
                        まるこ姫の独り言 2025/12/06
鈴木農水相は、就任してずーっとJAの方から見た話をしていた。
コメ価格は市場が決めることとして、この国の主食の米に対しての責任感がまったく無かった。

主食の米をぞんざいに扱うなら別に農水省も農水大臣もいらないだろうに。
と思っていたら、この人「お米券」に命を懸けているのかと思うほど「お米券」にこだわっている。

しょっちゅう、メディアに出てきては「お米券・お米券・お米券・・・・」これしか言わない。
しかも、あまりに高くて新米が売れ残っていると言われている今、「期限付きお米券配布」とまで言い出してきた。

なに?これ?
コメ価格は市場で決まるとか、政府は介入しないとか、やたら国民に厳しい事ばっかり言ってきた農水大臣は、新米の売れ行きがまったく悪い事から「期限付きお米券配布
勝手に期限付きだと言い出す鈴木。
はあ?しっかり政府が介入しているじゃないか。

これは高すぎて売れない新米をお米券で下支えする気満々で、この方策で行けば、これからは国民は目の玉が飛び出るほどの金を出さないと主食のコメを食べることもできなくなるという事じゃないか。

減反して高い米価格を維持すれば、国民はもう主食の米すら食べられなくなり、必然的に米農家は廃業せざるを得なくなる。。

という事は将来的には米国産の米を「日本人の主食」にするのだろうか。
4000億円もお米券に予算が付くなら、農家に個別保障をすれば、農家も喜び、国民も今まで通り安い米を食べることができるのに農水相との役職を貰いながら、そこには全く目が行っていない。

しかも物価高対策のためと言う「お米券」だが、どうも1人当たり3000円程度だとも言われている。
  動 画 https://youtu.be/ew8CJFdgaCs

単独所帯だとお米券6枚しかもらえない。
4人家族でも1万円チョイの物価高騰対策。
しかも一人所帯ではわびしいお米券6枚だが、使える中身は440円×6だから2640円。
何とショボい物価高対策か。

これだけ高市総理の舌禍から円安が異常に進行しているのに、物価高対策がたったの1人2640円。
これだったら、石破政権の1人2万円の方がどれだけよかったか・・・
就任してから鈴木農水大臣はすべてが既得権益側の代弁者と化してきたが、こんな報道がされている。

なるほど、そういうことか・・・・
鈴木農相、地元JAから借入金 おこめ券巡り利益誘導との批判も
                       12/5(金) 17:00配信 毎日新聞
農林水産省が5日公開した鈴木憲和農相の資産に、「JA山形おきたま」からの借入金として497万円が盛り込まれていた
JAと金銭的な利害関係がある状態は、巨額の公費を投じる政策の正当性に誤解を生む恐れもある


維新「連立離脱しても知らんで」毎度毎度の脅し
                       まるこ姫の独り言 2025/12/08
あのゴロツキ維新が自民党に脅しをかけている
本来の政治改革なら、維新も公約に掲げていた「企業団体献金禁止」の方向へ向かうはずが、なんだか知らない間に維新は「議員定数削減」にすり替え、見事連立入り。。

そのゴロツキ維新が、これも外交音痴・経済音痴の高市と連立を組んだ時点で、日本は良からぬ方向へ進んでいくのではとの思いが・・・
とうとう維新の地が出たという事だ。

維新が議員定数削減関連法案を巡り「1年以内に結論が出ない場合の「自動削減条項」を盛り込めと言って来たが、自民党が消極的な事から、「連立離脱しても知らんで」と脅しのような号令を党内に掛けていたそう。
「連立離脱しても知らんで」 維新、自民に定数削減法案巡り通告 
               毎日新聞2025/12/5 18:00(最終更新 12/5 22:15)
日本維新の会が衆院議員定数削減の関連法案を巡り、1年以内に結論が出ない場合の「自動削減条項」を盛り込むことに否定的な自民党に対し、連立離脱の可能性を突きつけ再考を促していたことが、与党関係者への取材でわかった。
>両党が21日の実務者協議で定数1割削減を目標とする内容で大筋合意した際、維新は「実効性の担保が必要だ」として自動削減条項の明記を求めた。衆院各会派による選挙制度協議会で1年以内に結論が出なかった場合、「比例定数50を削減する」との条項を主張していた

これは一見よさそうに見えるが危険な条項だ
議論をする前からゴールが決まっているような規定はものすごく不自然で、1年以内に結論がでなければ自動的に削減ってすごい発想だ。

強権的なものを感じる維新案。
まとまらなければ強制的に削減と言うのは、あまりにも短絡的すぎる。
自民党内でも異論続出らしいし、与野党間での合意形成は必要だろうに、なぜにそこまで強引なのか。

自民党の弱みに付け込んで無茶苦茶な論理を振りかざす維新の会
そもそも維新は、議員定数削減で「人口減少が進む地方の声が国政に届きにくくなる、女性や若者ら新規参入のチャンスが狭まる」という弊害が出てくるであろうと言われているのに、それに対して何の関心もないのだろうか。

それにしても「政権離脱しても知らんで」と言う維新の強圧的な対応は酷すぎてみていられない。
さすが反社集団であり、不祥事のてんこ盛り政党だけのことはある。
見る人が見れば、今まで自民党のブレーキ役だった「公明党」と打って変わった壊れたブレーキの「維新」と連立を組む時点で狂気の沙汰だと思っているのに、その維新から恫喝を受ける自民党。

安易に連立を組んだために、品性のかけらもない維新の手の平で転がされている。
それもこれも高市が公明党に対して失礼な態度を取り、公明党から逃げられた所以だと思うが、中国に不用意な発言でケンカを売った手法とよく似ている。

高市は高を括って公明党を下に見ていたのだろうが、維新よりよほど品もあるし礼節も心得ている。
やはり他国や公党には、特に節度を持った対応をする必要があると思う。


「野党6党派、定数削減の審議入り認めず」それでこそ野党
                        まるこ姫の独り言 2025/12/09
自民党と維新の横暴にも困ったものだ
昨日の記事にも書いたが、突如降ってわいたような「議員定数削減」を2党で前のめりになっていて、1年以内に結論が出ない場合の「自動削減条項」を盛り込むとか盛り込まないとか、勝手に突っ走っている。

そもそも維新は公約に「議員団体献金禁止」を掲げていたのに、それを言えば自民党と連立を組めないからか、急に「議員定数削減」を言い出し、自維だけで盛り上がっている。

が、そんな暴走が許されるわけもなく、野党が反撃に出ているのが救いだが。
野党6党派、定数削減の審議入り認めず 献金見直し法案の採決を優先
                     12/8(月) 11:14配信 朝日新聞
>野党6党派の国会対策委員長らは8日午前、国会内で会談し、与党が提出した「衆院議員の定数1割削減」の法案よりも、企業・団体献金の見直しに関する法案の採決を優先させることで一致した。与党内では日本維新の会が定数削減の法案成立を強く求めており、17日の会期末を控えた与野党の攻防が激しくなっている

維新は本当にろくでもない政党だ。
本丸は自分たちの公約にも書いていたような「企業団体献金禁止」なのに、急に「議員定数削減」の話にすり替えている。

そりゃあそうだろう。
維新は政権に入りたくて入りたくてウズウズしている政党で。

一方、自民党も「企業団体献金禁止」は自分たちのメリットがまったく無くなる。