2024年11月20日水曜日

新時代情報戦争と兵庫知事選/名古屋市長選広沢氏先行の理由(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 植草氏は、7月の東京都知事選と最近行われた衆院総選挙米大統領選そして県知事選の4つの選挙に3つの共通点を見出すことができるとして、「既存メディアの影響力低下」「SNS等の新規インターネットメディアの影響力拡大」「低年齢層の選挙への影響力拡大」を上げ、結果的に「マスメディアが支配する選挙が崩壊し始めている」と指摘します。
 ただしインターネットメディアの活用は、人々の納得や共感を獲得できれば大きな成果を上げることができるが、「問題は流布される情報が必ず真理とは限らないこと」で、県知事選では斎藤前知事が県民局長(故人)の内部通報に対して取った行動が適切であったのかどうかが最重要の評価対象だったが、同局長のプライバシーに関する情報が拡散されて有権者の行動が誘導された側面が強く、「目的のためには手段を問わない」とのスタンスで選挙戦が展開されたとすれば、選挙が公正な状況で執行されたのかどうかについての検証が必要になると述べています。
 そしていずれにしても「今後の日本政局を左右する最大の分岐点になるのが25年参院選で、参院選に向けて各陣営は選挙戦術を根本から見直さねばならない」と結んでいます。

 併せて同氏によるもう一つの記事「名古屋市長選広沢氏先行の理由」を紹介します。
 ここでは「兵庫県の斎藤氏勝利の要因を探ると、政策提言のなかに示される財政資金の使い方が極めて大きな意味を持つ」として、「新庁舎建設」、「外郭団体縮小」、「県立大学授業料無償化」の中でも、県庁舎建設費用(1000億円)の圧縮を斎藤氏がアピールしたことが勝敗を分ける大きな要素になった点を否定できないと述べます。
 そして、河村たかし前市長から後継指名された広沢一郎候補は市長給与800万円、市民減税継続を公約に掲げるのに対して、この二点に明確な姿勢を示さない大塚耕平氏は主権者の広い支持を集めるのが困難ではないかと考えられると指摘しています。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
新時代情報戦争と兵庫知事選
              植草一秀の「知られざる真実」 2024年11月18日
10月27日の衆院総選挙、11月7日の米国大統領選、11月17日の兵庫県知事選が実施された。
衆院総選挙では国民民主党が議席を4倍増させた。
米大統領選ではトランプ前大統領が圧勝。
県知事選では斎藤前知事が勝利した。
また、7月7日には東京都知事選があり、石丸伸二氏が第2位の票を得た。

四つの選挙に三つの共通点を見出すことができる。
第一は既存メディアの影響力低下。
第二はSNS等の新規インターネットメディアの影響力拡大。
第三は低年齢層の選挙への影響力拡大。
日本の選挙の最大特徴は投票率の低さ。主権者の5割が参政権を放棄してきた。
自治体首長選挙では投票率が3割台も珍しくない。眠れる主権者が大量に存在する。
眠れる主権者の投票を取り込むことができれば選挙結果が激変する。この点に目を付けた陣営が得票を大幅に伸ばした。
インターネットメディアの特徴は情報流布の幅の広さ。マスメディアが否定的に取り扱う情報も拡散できる。

同時に、政治に関心を持たなかった有権者がインターネット上の情報に引き寄せられて選挙に新規参入する現象が広がり始めた。これを誘導する戦術を採用した陣営が得票を大幅に伸ばした。「マスメディアが支配する選挙」が崩壊し始めている

米国大統領選では大半のマスメディアがハリス支援体制を敷いた。
トランプとハリスの最大差異は 戦争・ワクチン・CO2に対するスタンスの相違として捉えることができる。
ハリスは戦争推進、ワクチン推進、CO2対策推進に基本的に全面賛成である。
戦争・ワクチン・CO2は米国を支配する巨大資本が重視する戦略分野。
ハリスはこの路線に異論を差し挟まない。マスメディアは戦争・ワクチン・CO2対策を全面的に支援する。。
トランプは真逆の対応を示した。戦争の早期終結、ワクチン懐疑、CO2起源説懐疑を前面に押し立てた。米国の主権者多数がマスメディアの誘導に従わずにトランプを支持。
マスメディアの人心支配力が低下。米国有権者のメディアリテラシーが格段に向上している

SNSやYOUTUBE情報の特徴は情報発信に対する規制=コードが緩いこと。
ワクチンなどではこの用語を用いただけで「監視対象」に組み入れられるなど、インターネットメディアでも情報統制が存在するが、「ワクチン」を「ちくわ」などの言葉に置き換えて対応すれば規制を免れる道は存在し、利用者の側での創意工夫も観察される。
インターネットメディアを活用して、人々の納得や共感を獲得できれば、大きな成果を上げることができる。

問題は流布される情報が必ず真理とは限らないこと。
事実に反する情報であっても、情報の受け手が納得し、真実だと信じ込めば投票結果などに影響を与えることができる。

兵庫県知事選では、斎藤前知事が亡くなった県民局長の内部通報に対して取った行動が適切であったのかどうかが最重要の評価対象だったが、県民局長のプライバシーに関する情報が拡散されて有権者の行動が誘導された側面が強いと見られる。
「目的のためには手段を問わない」とのスタンスで選挙戦が展開されたとすれば、県民局長が使用していたPCに保存された情報の管理が適切であったのかどうかに関する評価がなされる必要がある。
この意味で、選挙が公正な状況で執行されたのかどうかについての検証が必要になる。
この問題は別途十分な検証が必要だが、選挙における情報戦のあり方が激変し始めている点に注目することが必要だ。

今後の日本政局を左右する最大の分岐点になるのが25年参院選。
参院選に向けて各陣営は選挙戦術を根本から見直さねばならない。

気鋭の政治学者・政治思想家である白井聡氏との共著が好評販売中です。
『沈む日本 4つの大罪 経済、政治、外交、メディアの大嘘にダマされるな!』
(ビジネス社)  https://x.gd/3proI  ぜひご高覧賜りたい。

メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」https://foomii.com/00050
のご購読もよろしくお願いいたします。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」3934号
「兵庫県知事選と25年政治刷新」でご購読下さい。

メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。


名古屋市長選広沢氏先行の理由
              植草一秀の「知られざる真実」 2024年11月19日
裏金事件は政治に対する不信を顕在化させる重要な契機になった。
これ以前にも多くの不祥事が相次いできた。
モリ・カケ・サクラの不祥事は重大問題だったが責任を問われるべき者の責任が追及されなかった。
森友事件で摘発されたのは籠池泰典夫妻だけ。籠池夫妻は真実を明らかにしたために標的にされた。

国家財産を不当な安値で払い下げたのは財務省である。そして、財務省は虚偽公文書作成の犯罪行為に手を染めた。その背後にあるのが安倍晋三氏の意向だった。
国家に巨大な損失を与えた背任の罪でも虚偽公文書作成の罪でも犯罪を指揮した者の責任は問われていない。
加計学園に対する獣医学部新設の許可も極めて不透明である。加計学園理事長は安倍首相等に対して利益供与した疑いが濃厚である。安倍内閣が便宜供与を行った疑いは強い。
桜を見る会前夜祭では選挙区有権者に対して利益供与が行われたと見られている。
しかし、これらの犯罪行為の刑事責任は問われなかった。
日本の検察には巨大で不正な裁量権が付与されている。その裁量権とは「犯罪が存在するのに犯罪者を無罪放免にする裁量権」と「犯罪が存在しないのに無実の市民を犯罪者に仕立て上げる裁量権」である。私は後者の被害者

2022年7月に安倍元首相が殺害されたことを契機に自民党と旧統一協会の癒着に焦点が当てられた。自民党は組織ぐるみで旧統一協会と癒着してきた。政策運営が著しく歪められてきたと言える。
そして2023年秋から問題が表面化したのが裏金問題。
政治資金規正法は、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治資金の収支公開等の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的として制定されたもの。
政治資金の収支公開はすべての基本である。
ところが、自民党は組織ぐるみでこの根幹を意図して破壊した。巨大な組織犯罪を実行した。
しかし、日本の刑事司法当局は巨大犯罪のほんの一部しか摘発しなかった
85人の議員が犯罪行為に手を染めたのに検挙したのはわずか3人だった。

統一協会との癒着も裏金犯罪も問題の核心は旧安倍派だった。
10月27日の衆院総選挙で自民党が議席を激減させたが、最大の議席減に直面したのは旧安倍派である。このことを日本の主権者が歓迎している
旧安倍派と密着してきたフジサンケイグループだけが、このことに反発する姿勢を示している。
10月27日の衆院総選挙では裏金問題を許さない主権者の気持ちが自民議席激減の結果をもたらした。

主権者である国民が自らの判断で投票行動を激変させ始めている。
兵庫県知事選で斎藤元彦前知事が再選された。インターネット上への情報発信を担うスタッフが400人も存在したことが伝えられている。
SNSやYOUTUBEを活用した選挙活動が新たな票の掘り起こしに絶大な力を発揮することが確認されたと言える。

このなかで、斎藤氏勝利の要因を探ると、政策提言のなかに示される「財政資金の使い方」が極めて大きな意味を持つことが浮かび上がる。
とりわけ重要な意味を発揮したのが「新庁舎建設」、「外郭団体縮小」、「県立大学授業料無償化」だった見られる。
斎藤氏が「新庁舎建設」に関して費用圧縮の方向性を示したのに対し、稲村候補は新庁舎建設に1000億円投入との情報が広く流布されたと見られる。
1000億円投入は事実に基づく情報流布ではないと見られるが情報が氾濫して、そのまま有権者に受け取られた可能性がある。
また、「県立大学授業料無償化」は斎藤氏がアピールした政策で、これに否定的なスタンスを示せば市民の批判を浴びる項目だった。
「外郭団体の縮小」は斎藤氏だけでなく稲村氏も提示した政策だったが、県庁舎建設費用の圧縮を斎藤氏がアピールしたことが勝敗を分ける大きな要素になった点を否定できない

24日に名古屋市長選が投票日を迎える。
河村たかし前市長から後継指名された広沢一郎候補は市長給与800万円、市民減税継続を公約に掲げる。この二点に明確な姿勢を示さない大塚耕平氏は主権者の広い支持を集めるのが困難ではないかと考えられる

気鋭の政治学者・政治思想家である白井聡氏との共著が好評販売中です。
沈む日本 4つの大罪 経済、政治、外交、メディアの大嘘にダマされるな!
(ビジネス社)  https://x.gd/3proI  ぜひご高覧賜りたい。

メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」https://foomii.com/00050
のご購読もよろしくお願いいたします。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」3935号
「主権者は何を基準に投票したか」でご購読下さい。
   (後 略)

20- 兵庫県知事選・斎藤圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

 17日の兵庫県知事選で、不信任決議を受けて自動失職した斎藤元彦前知事(47)がまさかの再選を果たしました。パワハラ知事の出戻り県職員らは戦々恐々ということです。
 県議会の百条委員会が実施した県職員のアンケートに、回答者6725人中466人記名で回答しましたが、それは幹部が中心でした。当然、粘着気質の斎藤氏に対する恐怖感は大きいものと思われます。
 知事選を決したものは「百条委員会の追及は虚偽で、それを〝でっち上げ″られた斎藤氏は犠牲者だ」という立花孝志氏の論法が一部の有権者に浸透した結果、立候補者が多数乱立という状況の中で斎藤氏が当選する事態になったものと思われます。
 しかし百条委員会での審議や県職員のアンケート内容などが、どうして虚偽の「でっち上げ」ということで説明できるのか納得できないし、内部告発した元県民局長(故人)の人権を踏みにじる言論が何故勝手気ままに行われたのか、「恐怖」というしかありません。
 日刊ゲンダイの3つの記事を紹介します。

 また百条委員会委員の竹内氏は、SNSで自身や家族が身の危険を感じるほどの中傷を受けたことで18日、「一身上の都合」として 議員辞職願を提出し受理されました
 同委員長の奥谷謙一県議も、選挙期間に中立花氏が自宅前でマイクを握り「出てこい」と声を上げインターホンを押すなどの脅迫行為を受けたため、本人も「大変強い恐怖心を覚え、(家族には)避難してもらった」ということです。
 お二人とその家族に対する恐るべき暴力です。読売新聞が報じましたので併せて紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」
                      日刊ゲンダイ 2024/11/18 10:25
SNSのプラスの面を強く感じた」「県民一人一人の勝利だ」──。神戸市中央区の選挙事務所前に集まった1000人近い支持者を前に堂々の勝利宣言だ。兵庫県知事選は17日の投開票の結果、県議会の不信任決議を受け、自動失職した斎藤元彦前知事(47)がまさかの再選。前尼崎市長の稲村和美氏の圧勝とみられた下馬評を覆し、逆転した格好だ。パワハラやおねだりなど、さまざまな疑惑で県庁を追われた斎藤氏がなぜ逆風をはねのけ、支持を集めたのか。カオスな出直し選を制したキーワードは「同情論」と「陰謀論」だ。
  ◇  ◇  ◇
 9月30日の失職直後から独りぼっちで駅前に立ち始めた斎藤氏に声をかけるのは当初、数人程度だったが、しょんぼりした様子がSNS上の支持者を通じて拡散。日を追うごとに「同情」を誘い、10月31日の告示後は聴衆の輪が広がり、16日に最後の演説会場となった神戸・三宮駅前には3000人が詰めかけた。
「この2週間で聴衆の数は3~4倍に膨らみました」(地元記者)
 目立つのは年配の女性や若者たち。手づくりうちわや陣営のシンボルカラーの青いペンライトを振り“斎藤コール”が沸き上がる熱気は、まるでライブ会場のよう。有権者の関心も高まり、期日前投票数は94万4541人と前回から34万人上回り過去最多を更新。投票率も55.65%と11年ぶりに50%を超えた。
「斎藤氏はたった1人で選挙を戦っているかのような演出でしたが、自主投票となった自民党兵庫県連の一部が支援していた」とは、現地を取材したジャーナリストの横田一氏だ。こう続ける。
「裏金問題で党員資格停止中の西村康稔元経産相の地元・明石市の青年部は、斎藤陣営のビラ配りに加わっていたほど。また、日本維新の会を離党した前参院議員の清水貴之氏が出馬し、反斎藤票が割れたのも勝因のひとつ。その維新の地元議員の一部も斎藤氏を支援。清水氏が伸び悩んだのはそのためです」

 告示前には斎藤氏の告発文書を作成し、百条委員会での証言直前に亡くなった元県民局長の個人情報が流出。それをもとにSNSや街頭演説で「告発者は問題のあった人物。斎藤さんは悪くない」と擁護しまくったのが、N国党党首の立花孝志氏だ。
 立花氏は立候補しながら、「自分には票を入れないで」と訴え、斎藤氏の支持拡大をアシスト。選挙ポスターの掲示板に「元県民局長自殺の真相」と題し、流出した元局長の個人情報に基づく文書まで貼り出した。

■「既得権益者vs改革派」の構図を演出
 こうして既得権益を守る側が大手メディアと手を組み、「改革派知事」を追い出したという陰謀論を大々的に展開したのだ。
故人への冒涜でしかないのですが、『既得権益者vs改革派』の構図をつくり出し、かなり浸透したのも事実。斎藤氏も改革の実績を強調し、便乗しました。しかも、選挙期間中にメディアは県知事選の報道を控えた。否定材料を有権者に与えないから、ますますSNSの陰謀論が信憑性を持って受け取られてしまう。県内市長会の有志22人が稲村氏支持を表明した際、ある市長は『なぜメディアはデマや誹謗中傷に沈黙するのか』と声を荒らげましたが、時すでに遅しでした」(横田一氏)
 斎藤氏のパワハラ疑惑に関する県職員のアンケートでは約4500件の回答のうち約300件が実名で答えていた。民意を味方につけた出戻り知事の“報復”に職員たちは戦々恐々だろう。これでいいのか。

再選の斎藤氏巡り百条委再開
 斎藤氏の疑惑告発文書を巡り、県議会は18日午後に百条委員会を開く25日に問題に関連した総括的な尋問を関係者に行う予定で、対象の選定や今後の進行を協議。斎藤氏への尋問も今後再開される見通しで、知事復帰が決まった斎藤氏の疑惑検証に注目が集まる。
 斎藤氏は19日就任し、再選後としては初登庁する。百条委は、10月下旬に告発文書で挙げられた阪神・オリックス優勝パレード経費を巡る不正疑惑などに関し、県幹部らを非公開で尋問。知事選への影響を配慮して斎藤氏については見送られた。10月分の議事録や録画映像が今後公開される予定だ。
 また県が設置した第三者委員会も今年度中をめどに報告書をまとめる予定で、斎藤氏はこの問題と向き合っていく必要がある。知事選で勝利したとはいえ、県政の混乱がただちに収束するかどうか、現時点では見通せない。


斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々
                      日刊ゲンダイ 2024/11/19 10:40
「民意の負託を得たと、さらにモンスターになって帰ってくるのではないか」──震える兵庫県政関係者の弁だ。
 17日の兵庫県知事選で、不信任決議を受けて自動失職した斎藤元彦前知事(47)がまさかの再選。パワハラ知事の出戻り復帰に県職員らは戦々恐々である。というのも、県議会の百条委員会が実施した県職員のアンケートに6725人が回答し、42%がパワハラを見聞きしたと答えたからだ。6725人中、466人は記名で回答している。
記名したのは幹部が中心で、彼らの中には今、有力OBに身の振り方を相談している人もいるそうです。無記名の人でもアンケートに答えたというだけでヒヤヒヤしています」(別の県政関係者)
 選挙期間中、「パワハラはデマ」という言説があふれ、百条委員会で「職員に不快な思いをさせたことは謝りたい」と厳しい叱責を認めていた斎藤本人も、デマに“便乗”するかのような街頭演説を展開していた。県政に戻り、パワハラについての発言を翻すのだろうか。
 今年7月、疑惑を告発した幹部職員が自死した際、知事に辞職を求めた県職員労組はこう言う。
当選後の会見で、斎藤氏は議会や職員との関係性を正常化すると言っていた。風通しのいい職場にして欲しい」(土取節夫中央執行委員長)

■労組は「直接会いたい」
 実は職員労組のカウンターパートは副知事で、斎藤知事とはこれまで一度も面談したことがないという。
「県民サービスのために、職員が気持ちよく働ける環境づくりのために、直接会いたいです」(土取節夫中央執行委員長)
 百条委は25日に斎藤氏の証人尋問を行うことを18日決めた。疑惑はパワハラだけじゃない。斎藤再選とは切り分けて検証する必要がある。


兵庫県知事選で斎藤元彦氏再選の原動力となった「SNS」が向かう先…橋下徹氏の投稿にも激しく反応
                      日刊ゲンダイ 2024/11/19 06:00
 17日に投開票された兵庫県知事選で、無所属の前職・斎藤元彦氏(47)が111万3911票を獲得し、次点の元尼崎市長、稲村和美氏(52)に約13万7000票差で勝利した。
 パワハラ疑惑の告発文書問題が浮上した斎藤氏。百条委員会を経て、県議会で全会一致の不信任決議を受けて自動失職。紙袋を両手に抱えて県庁を去る際には、見送りに立ち会う「職員ゼロ」の屈辱も味わった。
 独りぼっちで始まった選挙戦で、「稲村氏リード」という序盤の劣勢を跳ね返し、再選を果たした斎藤氏。予想外の展開にTVメディアのコメンテーターらの発言が相次いだ。
 同日のフジテレビ系「Mr.サンデー」では宮根誠司キャスター(61)が選挙結果について「大手メディアの敗北」とコメント。元明石市長の泉房穂氏(61)は同番組の中継で、斎藤氏に「再選おめでとうございます」と切り出しつつも、「加えて、すみません。お詫びです」と発言。泉氏はパワハラ問題発覚当初から、一貫して斎藤氏の政治姿勢に苦言を呈してきたため、異例の謝罪発言になったようだ。

■橋下氏は「僕は引き続き斎藤さんは権力者として不適格であることを主張し続けます」と投稿
《メディア敗北(笑)》《お詫びって、今ごろ遅いんじゃないの》--。SNSでは一夜明けた18日、こうした発言を嘲笑したり、皮肉ったりするコメントであふれているが、とりわけ“口撃”対象となっているのが元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(55)だ。
 橋下氏は17日、自身のX(旧ツイッター)で、兵庫県知事選について投稿。《民意は大変重いものですが、僕は引き続き斎藤さんは権力者として不適格であることを主張し続けます》《斎藤さんは公益通報の結果が出る前に告発者の処分を先にやってしまいました。これは権力の使い方として完全にアウトだし、恐ろし過ぎる》(一部抜粋)などと、今後も厳しい姿勢で臨むことを明かしていた。
 これに対し、ネット上でみられるのが《おまいう》《ブーメラン》といった見方だ。
《橋下さんも首長時代において職員との対立が多く報じられ、強権的な手法で物事を進めた印象が強かったなと思います》
《大阪都構想では住民投票で反対が多かったにもかかわらず、複数回にわたり住民投票を繰り返した。これは「民意を尊重する」という民主主義の原則に逆行しているんじゃないでしょうか?》
《斎藤さんは橋下さんとは違いますよ。あなたの方が権力者として不適格》
 さながら兵庫県知事選が続いているかのよう。果たして斎藤氏を押し上げる原動力となった「SNS」が次に向かう先は……。


兵庫県議会百条委へSNSで中傷、委員長宅前で「出てこい」声上げる動画も…辞職議員「身の危険感じた」
                            読売新聞 2024/11/20
 17日投開票の兵庫県知事選で再選された斎藤元彦知事の内部告発問題を調査する県議会の百条委員会を巡り、SNSで 誹謗 中傷を受けることを懸念する声が県議から上がっている。選挙期間中に委員への攻撃的な投稿が相次ぎ、18日には委員の1人が県議を辞職する事態となった。
あんまり脅しても、奥谷さんが自死されたら困るので、このくらいにしておきますけど」。知事選に立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏のユーチューブチャンネルでは、立花氏が選挙期間中、百条委の委員長を務める奥谷謙一県議の自宅前でマイクを握り、こう呼びかける姿が映っていた。
 告発者の男性職員(7月に死亡)は、公用パソコンに告発とは無関係の私的情報を保存していたとされる。立花氏は、男性職員がその情報が漏れることを恐れて自殺した可能性が高いのに、百条委がそれを隠し、斎藤氏が原因だと思わせたと主張している。
 立花氏は動画で「(奥谷氏は)パソコンの中にある情報を知っていたんでしょ」と発言。「出てこい」と声を上げ、インターホンを押した。動画は37万回以上視聴され、コメント欄には、「知事を陥れ、県民の目を欺いた罪は重い」など約1500件の書き込みがあった。
 奥谷氏は18日に開いた記者会見で「大変強い恐怖心を覚え、(家族にも)避難してもらった。日常とは違う生活をせざるを得なくなり、いろんな業務に支障が出た」と訴えた。
 立花氏は19日、国会内で記者会見し、「単純に選挙運動で事実を述べただけ」と語った。
 百条委のメンバーだった竹内英明前県議は、選挙期間中、百条委の証人尋問で斎藤氏を追及する動画がユーチューブなどで拡散され、SNSでは「斎藤知事失脚の黒幕」などと指摘された。
 竹内氏は18日、「一身上の都合」として議員辞職願を議長に提出し、受理された。関係者によると、知事選を巡ってSNSで中傷を受け、自身や家族が身の危険を感じていたという。
 百条委は6月、内部告発問題の真相を究明するために設置された。斎藤氏への証人尋問は8~9月に2回行われ、奥谷氏らが斎藤氏を問い詰める様子がネット中継された。
 斎藤氏への尋問は今月25日に3回目が予定されているが、斎藤氏には当日、公務が入っており、延期される可能性もある。

 百条委は今後も斎藤氏の疑惑の検証を進め、調査報告書をまとめる方針。ただ、県議からはSNSで中傷を受けることを心配する声が出ている。
 ある中堅県議は「委員会の発言をSNSで意図的に切り取られて投稿される危険もある。質問するのも 萎縮してしまう」と語る。
 法政大の白鳥浩教授(現代政治分析)は「誰でも発信可能なSNSでは、一部の悪意が増幅して深刻な事態につながる可能性がある。百条委の委員に対する中傷は、調査活動の萎縮を招く懸念もある。健全な民主主義のためにも、何らかの対策を考える必要がある」と話す。

2024年11月18日月曜日

戦争・ワクチン・CO2(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 植草氏は、以前から「〝戦争・ワクチン・CO2″が、巨大資本がいま最も重視しているビジネスモデル」であると指摘してきました。
 次期米大統領に当選したトランプは、まさにそれを打破するための人選を進めています。
 特筆される第一の注目人事は厚生長官にロバート・ケネディJrを指名したことで、ケネディはワクチンに対する疑義を表明してきた人物なので、米国の医薬利権複合体に対しての宣戦布告です。
 第二の注目人事はエネルギー長官に気候変動懐疑論者として知られるクリス・ライトを指名したことで、ライトはビジネス向け交流サイトへの投稿で「気候危機は存在しない」と否定し、「炭素汚染という言葉は不適切だ。すべての生命はCO2に支えられているからだ」と主張したことがあります。
 トランプは命を狙われたが怯まずに、断末魔ビジネスモデルを粉砕しようとしていると、高く評価しています。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
戦争・ワクチン・CO2
              植草一秀の「知られざる真実」 2024年11月17日
戦争・ワクチン・CO2。断末魔の叫びを上げる資本主義にとっての収益源としての三大対象。
「断末魔ビジネスモデル(DBM)」の象徴。

『資本主義の断末魔』(ビジネス社) https://x.gd/ZGCwW  に詳述した。 



断末魔の資本主義が収益源として再重視しているのが
WPF  W=war  P=Public  F=Fake
フェイクビジネスの中核がワクチンとCO2。

米国でトランプが大統領に返り咲くことが決まった。
トランプの特徴は巨大資本完全支配下の人物ではないこと。
巨大資本の完全支配下の人物はDBMに異論を唱えない。
戦争・ワクチン・CO2 が巨大資本がいま最も重視しているビジネスモデル。
これに斬り込むのがトランプである。戦争終結を指向する。ワクチンに対する懐疑論に真摯に耳を傾ける。

温暖化のCO2起源説を盾にCO2削減を目指す施策に巨大な財政補助金がばら撒かれる動きに疑いの目を向ける。
2020年にコロナパンデミックが創出された。最大の目的はトランプ再選阻止にあったと思われる。世界の株価は暴落し、コロナ恐慌発生が想定された。
米国のトランプ・パウエルコンビが電光石火のスピードで経済支援政策を実行した。
パウエルFRBはFFレートを一気にゼロ水準に切り下げた。
トランプ大統領は2兆ドル景気対策を瞬時に成立させた。
この政策対応で世界の株価は猛烈な反発を示し、世界経済は急激な回復を遂げた。
このような政策対応が示されなければ世界経済はコロナ恐慌に転落した可能性が高い。

それでも、トランプは再選を逃した。ギリギリの接戦にまで持ち込んだが敗北した。
不正選挙が行われた疑いは存在する。しかし、立証は容易でない。
結果としてトランプは敗北してバイデンが大統領に就任した。
バイデンは巨大資本完全支配下の人物。
戦争・ワクチン・CO2のビジネスモデルを全面的に推進した。

24年大統領選でメディアはハリスを、総力を挙げて支援したが、トランプが勝利した。
米国民の偉大な力が発揮された。米国民はメディア・コントロールを跳ね返したのである。
メディアは戦争・ワクチン・CO2での洗脳を追求した。
しかし、多数の米国主権者がメディアに洗脳されなかった。

大統領に返り咲くことが決まったトランプが新体制の人事を構築している。
特筆される第一の注目人事は厚生長官にロバート・ケネディJrを指名したこと。
ケネディはワクチン懐疑派である。
バイデン政権がワクチン接種を熱烈推進したが、ケネディはワクチンに対する疑義を表明してきた。米国の医薬利権複合体に対しての宣戦布告である

第二の注目人事はエネルギー長官に気候変動懐疑論者として知られるクリス・ライトを指名したこと
ライトはビジネス向け交流サイトへの投稿で「気候危機は存在しない」と否定し、「炭素汚染という言葉は不適切だ。すべての生命は二酸化炭素(CO2)に支えられているからだ」と主張したことがある。
トランプは命を狙われたが怯まない。
断末魔ビジネスモデルを粉砕することが重要だ。

気鋭の政治学者・政治思想家である白井聡氏との共著が好評販売中です。
沈む日本 4つの大罪 経済、政治、外交、メディアの大嘘にダマされるな!
(ビジネス社)  https://x.gd/3proI  ぜひご高覧賜りたい。

メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」https://foomii.com/00050
のご購読もよろしくお願いいたします。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」3933号「画期的なトランプ新政権新布陣」でご購読下さい。

メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。