2026年1月26日月曜日

「2026年新春の集い」での講演@越後湯沢 田中淳哉弁護士ブログ

「湯沢平和の輪」の「2026年 新春の集い」(1月18日)でご講演をいただいた田中淳哉弁護士が、ご自身のブログに当日の講演内容について詳しく報告されました。

 当日用いられた多くのパワーポイント図を示しながら要点を丁寧に説明されています。

 下記の青字部分をクリックすると、同弁護士のブログにジャンプします。

 当日「集い」に参加できなかった方は勿論、参加された方も是非ご覧になってください。

       「2026年新春の集い」での講演@越後湯沢

 なお同弁護士による「憲法カフェ」は今回で4回目でした。お詫びして訂正します。

徹底解明 軍事費 4人家族で年100万円負担も GDP比5% 米いいなり大軍拡で

 しんぶん赤旗に掲題の記事が載りました。関連の記事と併せて紹介します。
 日本は戦争を放棄した憲法9条を持ちながら、軍事費を27年までに年額11兆円(GDP比2%)に増大させ、その後はGDP比3・5%に上げることまで米国に約束し、さらにはGDP比5%にまで上げるという雰囲気になっています。
 少なくとも極右の高市政権は米国に言われるがままに軍事費を増大させようとしていて、その理由に「中国の脅威」を挙げているのはご承知の通りです。中国は決して日本を敵視してはいないのに、一方的に台湾有事という「中国の内政問題」に言及してです。
 高市氏には円安・物価高騰・住宅ローンなどの利上げ等々の国民の経済的困窮など全く眼中にありません。そうでなければ、増々国民の懐が寒くなることに直結する「軍事費増大」に奔ることなど考えられません。
 因みに記事中に記載されている通り、4人家族で年間に負担する軍事費の額は
   GDP比2 %   ⇒  36万円(軍事費総額11兆円)
   GDP比3・5% ⇒  69万円(軍事費総額24兆円超)
   GDP比5 %   ⇒ 100万円(軍事費総額30兆円超)
となります。
 無理に危険をでっち上げた上で生活を破壊する軍事費の巨額支出増を強行しようというのは狂気の沙汰です。
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徹底解明 軍事費 4人家族で年100万円負担も GDP比5% 米いいなり大軍拡で
                       しんぶん赤旗 2026年1月25日










 4人家族で負担する軍事費は年間100万円。これは現実に起こりうる問題です

 政府は1976年、軍事費を「国内総生産(GDP)比1%」以内に抑える原則を確立し、これを長く維持してきました。ところが「すべての同盟国は軍事費をGDP比2%以上に上げるべきだ」という米政府の要求に応えるため、2022年の安保3文書で、23~27年度の5年間で、防衛省以外の予算も含めて一気に2倍化=GDP比2%(約11兆円)に拡大すると決定しました
 「11兆円」とはどんな規模か。国民1人当たりでは約8万9500円に上ります。4人家族で年約36万円、月3万円を負担している計算です。防衛省は、20年度の国民1人当たりの軍事費は年約4万円という試算を公表。わずか数年で国民の軍事費負担は2倍以上になっています。
 しかし、米国の要求はこれにとどまりません。米国防総省は昨年、日本に「GDP比3・5%以上」を打診したと報じられています。日本政府はすでに、GDP比2%以上の軍事費増を当然視しており、これに応じる構えです
 GDP比3・5%になればどうなるのか。24年の名目GDP(約609兆円)にあてはめると、21兆円を超える途方もない金額です。国民1人当たりでは年17万3000円。20年度と比べて実に4倍以上です。4人家族で年69万円、月約5万8000円となります。
 さらに米国防総省が23日に公表した「国家防衛戦略」で、すべての同盟国に、軍事費のGDP比5%以上への増額を要求することを掲げました。5%になれば24年の名目GDPで換算すると30兆円を超えます。国民1人当たり年24万8000円、4人家族で年約100万円にも達します。もはや戦時経済、軍事独裁政権のような財政構造になってしまいます。

 米国の理不尽な要求に屈し、これだけの負担を国民に押しつけようとしている。その是非が、総選挙で問われます。


徹底解明 軍事費 「財政の軍事化」進む 異常な伸び 農水の4倍
                       しんぶん赤旗 2026年1月25日
 日本は長年、軍事費を国内総生産(GDP)比1%に抑えてきましたが、安保3文書を境に「軍事費」は様変わりしました。従来、軍事費とは防衛省の当初予算を指しましたが、▽他省庁の軍事関連予算▽補正予算への防衛省予算の計上―が加わり、「財政の軍事化」が進んでいます。軍事費の全体像を見ていきます。

 防衛省予算に計上される軍事費は三つに分類されます。(1)自衛官や防衛省職員の給与や食事に充てる「人件・糧食費」(2)装備品の購入・修理や基地整備、隊員の教育訓練などの「一般物件費」(3)軍事ローンの返済分「歳出化経費」―です
 このうち急増しているのが歳出化経費です。高額兵器の購入や基地整備は単年度では支払いきれずに複数年度に分割払いするため、同経費を毎年計上しています。軍事ローンである「後年度負担」は2026年度予算案で総額17兆9524億円に上り、巨額のツケを将来に回しています(グラフ①)。これに伴い、歳出化経費は4兆6857億円に上り、同省予算の半分超を占めました。安保3文書策定前の22年度と比べると約2・3倍(約2・6兆円増)へと突出して増えました。
 ローンが急増した背景には(1)長射程ミサイルの大量導入などの敵基地攻撃態勢づくり(2)米国製兵器の“爆買い”や、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設、米軍訓練を移転するための馬毛島(鹿児島県西之表市)への基地建設などの異常な「米国奉仕」―があります。

「第2」の軍事費
 法の趣旨をゆがめ補正予算も「第2の軍事費」にしています。本来、補正予算は財政法で「特に緊要となった経費」に限ると定め、大規模災害など当初予算の編成時に予期できなかった事態に対応するために編成すべきものです。
 補正予算への軍事費計上を常態化させたのは12年に発足した第2次安倍晋三政権です。毎年度1000億~4000億円程度盛り込むようになりました。安保3文書以降の23~25年度では8000億円を超え、当初予算と合わせて空前の規模となっています。(グラフ②)
 さらに「総合的な防衛体制の強化」と称して、他省庁の予算も軍事費に組み込んでいます。具体的には、(1)研究開発(文部科学省や経済産業省など9府省)(2)公共インフラ(国土交通省や内閣府)(3)サイバー安全保障(政府全体)(4)「同志国」との国際協力(外務省)の4分野です。これに加えて海上保安庁や国連平和維持活動(PKO)予算などを「関連経費」に算入。関連経費を含めて軍事費のGDP比2%としています。米国の要求に応じてGDP比3・5%になれば、これらも増えることになります。
 日本共産党の赤嶺政賢衆院議員に防衛省が提出した資料によると、関連経費は23年度7748億円、24年度9833億円、25年度1兆2247億円と増加し続けています。特に増えているのは「研究開発」です。26年度は5144億円と3年間で約3倍に増加。政府全体で軍事研究にのめりこんでいます。

“禁じ手”国債も
 こうした大軍拡のために“禁じ手”の「軍事国債」発行も拡大し続けています(グラフ③)。戦時国債の乱発によって侵略戦争に突き進み、経済・国家財政を破綻させた戦前の反省を踏まえ、歴代政権は軍事費を国債でまかなうことを否定してきました。しかし、岸田政権が23年度に戦後初めて、護衛艦などの建造に国債発行を強行。26年度予算案では5973億円を盛り込み、総額で2兆9709億円に達しました。歴史的な円安で物価高が加速する中、将来世代に負担を押しつけています。
 “禁じ手”を重ねた軍拡の結果、防衛省予算は5兆円台で推移していましたが年1兆円規模で積み増し、4年間で約3・6兆円(約1・7倍)増えました。他の予算と比べれば、明らかに異常な伸びです。22~26年度の間では軍事費は突出して増える一方、文教科学振興費は約6500億円増、食料安定供給費は29億円増にとどまり、中小企業対策費は削減されました(グラフ④)。省庁別でみても、26年度予算案で防衛省予算は、国土交通省や文部科学省の約1・5倍、農林水産省の4倍以上になっています。
 現行計画でも財源の不足分(年3・6兆円)を「歳出改革」や増税(法人税、たばこ税、所得税)で確保するとしていますが、恒久的な財源のめどは立っていません。「GDP比3・5%」になれば、追加で10兆円の財源を賄わなければならず、消費税増税や社会保障の削減、国債の乱発などは必至です。トランプ米政権は、さらにGDP比5%という、途方もない金額を全同盟国に要求しています。
 軍拡を推進する勢力は、財源も示しておらず、将来世代に負担を押しつけることについてもまともに説明しません。大軍拡は暮らしを破壊する「亡国の道」であり、許されません。























中道改革連合は日本政治の大変動をもたらすか(孫崎享氏)

 元外交官の孫崎享氏が掲題の記事を出しました。
 27日に公示される衆院選の最大の関心事は、高市政権という最悪の政権を退場させられるかどうかにあります。
「中道改革連合」の綱領や政策には確かに欠点も弱点もありますが、大同団結をするためにはそうせざるを得なかったという側面があったものと思われます。従ってその点だけを批判するのはややピント外れで、先ずは「最悪政権を退場させる」ことが決定的に大事です。
 中道連合の欠点は 高市政権が継続されたときの害悪に比べればはるかに小さいものと言えます。

 ところで「中道改革連合」の出現は自民党の議席を減じる上で非常に大きく作用します。
 小選挙区での自民議員の減少数の予測は日刊ゲンダイ86議席、日本TVが72議席で、獲得議席数は日刊ゲンダイ46議席、日本TV60議席になります。
 朝日新聞は「もし前回衆院選で中道改革連合があったら」として各選挙区で公明党が獲得した比例区票のうち、自民党候補への投票から立憲候補への移転が5割のケース、7割のケース、10割のケースに分けて小選挙区の議席獲得数を算出しました。
 その結果は、5割で 自民89議席、7割で同79議席、10割では同58議席でした。
 孫崎氏は「とりあえず悪は断つ。それが中道改革連合に期待されていることだ」とまとめています。

 併せて金子勝・慶応大学名誉教授の「衆院選で高市政権を信認すれば経済的破綻が起きかねない」を紹介します。
 高市氏は極右政権であるだけでなく、その経済政策は「日本経済を破綻させる方向にしか作用しない」と指摘します。

 そもそも破綻が証明された「アベノミクス」を基本的に踏襲した上で、それに「強い」とか「責任のある」などの形容句をつけてみたところで、「視野狭窄症的経済政策」ではどうにもなりません。
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日本外交と政治の正体 孫崎享
中道改革連合は日本政治の大変動をもたらすか
                          日刊ゲンダイ 2026/1/22
                      (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 1月16日、立憲民主党と公明党が新党「中道改革連合」を設立した。
 高市首相の解散を受けて行われる衆院選(27日公示、2月8日投開票予定)を見込んでの動きである。
 大手新聞は社説で「政界再編への起爆剤となるか」(読売)「政権の対抗軸示せるか」(朝日)、「政策と刷新感が試される」(日経)、「結集軸たり得る政策を」(毎日)などと指摘した。
 この新党の意味合いは極めて明確だ。果たして衆院選でどれほどの旧公明党支持者が旧立憲民主党の候補者の名前を書くのか。その状況次第で日本政治の大変動が起きることになる

 この問題を真正面から取り上げてきたのが
 日刊ゲンダイで、「立憲電撃タッグ公明、自民46人落選危機」「立憲公明新党衝撃データ
       自民86議席減」などと報じてきた。
 一般的に自民党寄りとみられている
 日本テレビも、「公明党支持者が自民党に投票せず、立憲候補に投票したと仮定した場合、
       自民党が小選挙区で勝利した132選挙区のうち、72選挙区で敗北する状況。
       一方立憲は63選挙区で逆転勝利」と報じていた。
 朝日新聞 17日付の記事で、「もし前回衆院選で中道改革連合があったら?」として
       3つの場合分けをしていた。
       各選挙区で公明党が獲得した比例区票のうち、自民党候補への投票から立憲候
       補への移転が起きたケースを5割、7割、10割に分け、小選挙区の獲得数
       算出した。
       その結果は、5割 自民89、中道改革149、7割で同79、同159。
       10割では同58、同176だった。
       現在の小選挙区(289議席)のうち、自民は132議席である。

 つまり、今後の日本の政治の運命を決めるのが公明党員の動向ということだ。
 政治評論家の田崎史郎氏は公明票が自民党に流れる可能性について、「創価学会本部の指令が来ているわけですから。それはちょっと厳しいかもしれない」との見方を示した一方、ネットでは「公明党支持者のアンチ立憲感情は根強い」との声もある。
 中道改革連合が定着するのか。更なる政界再編成の起爆剤になるのか。はたまたその政策がどうなるかは不透明だ。
 だが自民党は自分で裏金問題を処理できない。企業献金の問題も処理できない。消費税減税も処理できない。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との結びつきも処理できない。さらに対米隷属も断てない

 とりあえず悪は断つ。それが中道改革連合に期待されていることだ。


孫崎享 まごさきうける 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。 


金子勝の「天下の逆襲
衆院選で高市政権を信認すれば経済的破綻が起きかねない
                          2026/1/20 日刊ゲンダイ
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 27日に衆院選が公示されるが、高市首相の自己都合解散に批判が噴出。経済失策で円安インフレが続き長期国債の価格は下落するばかりだ。高市政権の「責任ある積極財政」はすでに破綻している
 問題はこの選挙で禊を済ませてしまうとその後4年間は選挙をしなくていい状況になることである。私が最も危惧するのは、このままだと取り返しのつかない経済的破綻が起こりかねない点だ。既に為替市場では一時1ドル=159円に達し、長期金利も2.2%を突破してしまった。
 もし高市政権がこのまま防衛費を増大させれば、円と国債はさらに売り込まれ、インフレは深刻さを増すだろう。実際、15日の日米防衛相会談で日本側が防衛費拡大を約束した。3月に高市氏が訪米した際には、ベネズエラへの軍事介入を批判せず、トランプ大統領の言うがままに防衛費倍増を受け入れ「武器爆買い」の土産を手に朝貢外交を行うのだろう

 しかし、「責任ある積極財政」を掲げながらその実態はほぼ赤字国債依存。インフレ増税で財政赤字の対GDP比を減少させようとしているが、防衛費の財源が確保される見込みはない。復興特別所得税の1%を横流しするのが精いっぱいだが、それで済むような金額ではない。
 なぜなら日本のGDPは2024年時点で609兆円、25年にはインフレで水増しされ630兆円を超えかねない。仮にトランプ氏の要求通りGDP比3.5%まで防衛費を増額するなら22兆円を超えて、財政的なゆとりはない。野党との駆け引きでバラマけば、円安インフレも止まらない。
 インフレになれば、長期金利も上がる。国債の買い手もなくなり、長期金利が2.2%を超えている。2.5%に達すれば国債の利払い費は8兆円から16兆円へと倍増するそれがさらなる円安と日本国債の価格低下、長期金利の上昇を招く悪循環に陥る可能性が高い。

 同時に、高市氏の不用意な台湾有事発言に対して、中国はレアアースの輸出規制に乗り出した。中国は高市政権が防衛費を増加させるたびに、レアアースの輸出規制と経済的圧力を強めていくだろう。
 高市政権は26年に実質GDPが1.3%上昇しインフレも収まるという超楽観的な見通しを立てているが、楽観的な世界銀行でも26年の日本の経済成長率を0.8%と予測する。大和総研によれば、レアアースの輸出規制による実質経済成長率に与える打撃はマイナス1.3%程度だ。単純計算で日本のGDP成長率はマイナス0.5%に陥る。高市政権の防衛費増大政策はスタグフレーションを招く危険性が高いのだ。高市氏に4年間のフリーハンドを与えてはいけない

金子勝 かねこまさる 慶大名誉教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。

26- トランプの平和評議会はイスラエル覇権機関(田中宇氏)

 田中宇氏が掲題の記事を出しました。
 トランプは1月16日、ガザ戦争の停戦策の第2段階として「平和評議会」の創設を発表し、自身が評議会の初代会長(総裁)になりました。この評議会はガザだけでなく世界各地の紛争を解決していくことが目的だと設立要綱に謳い、会長のトランプは評議会決定への拒否権、参加国の除名権など、絶大な権限を持っています。当然事務局はトランプの側近群で占められます
 しかしパレスチナの組織や個人は除外され、英国とEUは参加しません。ロシアは参加の可能性に言及しています。
 トランプは、平和評議会の恒久会員になりたければ10億ドルを拠出しろと世界の各国に言い、特にカナダやブラジルなどイスラエルを非難する英国系や非米系の諸国に対しては10億ドルの拠出を強調しました。反イスラエルの諸国は怒って参加しないので、事実上の反イスラエル諸国の参加を拒否する作戦になっています。
 平和評議会はトランプの私物である感がありますが、田中宇氏は「平和評議会は、トランプがイスラエルのために作った〝イスラエル覇権機関”である」と見ています。そう考えれば全てが納得できる単純な話です。
 なおイスラエルは米諜報界を握っているので、トランプの戦略立案に対する発言権や拒否権を持っています。そうすると「評議会はむしろイスラエルの覇権戦略の道具として使われ、トランプはイスラエルの傀儡だともいえる」という言い方をしています。米国を乗っ取ったイスラエルだけがダントツに強いということです。
 その一方で平和評議会には中国包囲網の意味もあります。中国はトランプから招待されましたが、まだ平和評議会への態度を決めていません。
 なおトランプは平和評議会が国連に代わる国際機関になるかもしれないと言っているということで、世界の帝王になった気持ちなのでしょうか。いずれにしても恐ろしい話です。
 日本にも参加の要請が来ているようで考慮中としていますが、高市氏が飛びつく可能性は大きいと思われます。
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トランプの平和評議会はイスラエル覇権機関
                 田中宇の国際ニュース解説 2026年1月23日
トランプ米大統領が1月16日、ガザ戦争の停戦策の第2段階として「平和評議会」の創設を発表した。評議会の構想は昨年9月からあった。35か国が参加し、1月22日にダボス会議の席上で正式に発足した。
トランプ自身が評議会の初代会長(総裁)になり、中東その他の諸国の国家元首たちを評議会員にして、ガザだけでなく世界各地の紛争を解決していくことが評議会の目的だと設立要綱に書いてある。
会長のトランプは評議会決定への拒否権、参加国の除名権など、絶大な権限を持っている。事務局はトランプの側近群だ。トランプを「世界皇帝」にするための機関にも見える
Full text: Charter of Trump's Board of Peace)(Board of Peace - Wikipedia

トランプは世界の59か国に平和評議会への参加を求める招待状を出した。米国のほか、サウジアラビア、UAE、エジプト、ヨルダン、トルコ、カタール、モロッコ、パキスタン、インドネシア、ベトナム、モンゴル、カザフスタン、ウズベキスタン、ベラルーシ、アゼルバイジャン、アルメニア、ハンガリー、アルゼンチン、パラグアイ、アルバニア、コソボなどが参加を表明している(日本は様子見)。Trump's ‘Board of Peace': Who has joined, who hasn't – and why

イスラエルは当初、ハマスを擁護するトルコとカタールが入っているのでダメだとゴネていたが(目くらまし)、その後に参加を決めた
半面、パレスチナの組織や個人は全く入れてもらっていない設立要綱にも、ガザやパレスチナへの言及が一言もない
ガザの停戦や再建を進めるならパレスチナ勢の参加や言及が不可欠だが、評議会にはそれが全くない。茶番劇(イスラエルへのえこひいき、英欧敵視の偽悪戦略)であるか、トランプの虚栄心を満たすだけか、もしくは真の目的が別のところにある。Is Trump trying to replace the United Nations with his own ‘board of peace'?

英国やフランス、北欧などの欧州諸国は、評議会の茶番性や国連憲章からの乖離を批判して、不参加を表明した。トランプは、フランスから輸入するワインやシャンパンに200%の報復関税をかけると息巻く「偽悪戦略」を展開した。
Trump Threatens 200% Tariffs as France Declines To Join Board of Peace

英欧の不参加を見て、英欧から敵視されてきたロシアが、様子見をやめて参加するかもと言い出している。ロシアの子分であるベラルーシは最初から参加を表明している。
トランプは、平和評議会の恒久会員になりたければ10億ドルを拠出しろと世界各国に言っている(カネが全てだと演出する偽悪戦略)。プーチンは、トランプの偽悪戦略に悪乗りし、米欧が凍結しているロシアの在外資産を返還するなら、そのうち10億ドルを平和評議会に拠出すると表明した。
プーチンはパレスチナ自治政府のアッバース議長をモスクワに招待して会談するなど、実際のパレスチナ支援を担当する策(演技?)を進めており、けっこうやる気だ。
Palestine relations and possibility of contributing to Board of Peace: Putin's statements

トランプは、カナダやブラジルなど、イスラエルを非難する英国系や非米系の諸国にも平和評議会の招待状を出したが、そこでは10億ドルの拠出が強調されており、反イスラエルな諸国の怒りを誘発して事実上参加させない策略になっている。
全体的に、茶番や虚栄心誇示や偽悪があふれるトランプらしい策になっている。マスコミ(崇高を気取るが実は害悪になっているジャーナリズム)やリベラル派は、引っ掛かって怒りを誘発され、トランプ非難を吐露するだけで満足している。
Europe stays out as Putin is ‘in': Trump unveils Board of Peace and warns Iranジャーナリズム要らない

だが、そこからさらに一皮むくと、偽悪戦略で目くらまししたトランプの、平和評議会をめぐる真の意図が見えてくる。
平和評議会は表向きトランプの私物であるかのように見えるが、本質は違う。平和評議会は、トランプがイスラエル(米諜報界を握るリクード系)のために作った「イスラエル覇権機関」である
平和評議会の参加国一覧を見ると、イスラエルとアラブ諸国、イスラム諸国を和解させるトランプ発案の「アブラハム合意」への参加国とかなり重複している。アブラハム合意の発展型が今回の平和評議会になっている。
The Board Of Peace: A Replacement To The UN Or A US-Led Coalition Of The Willing Therein?

2018年に発案されたアブラハム合意は、イスラエルがパレスチナ国家の再建に協力することを条件に、サウジアラビアを盟主とするアラブとイスラムの諸国が、イスラエルと和解して国交正常化する構想だった。
その後イスラエルがパレスチナを再建するどころか逆に破壊する抹消策を進めたので、サウジなど多くの国がアブラハム合意に入らず、構想が難航していた。
More Than Ten Countries Have Signed On To Trump's 'Board Of Peace'

今回の平和評議会は、事前の風評ではガザの停戦と復興というパレスチナ再建を進める機関になっている。だが実際の設立要綱は、パレスチナにもガザにも言及していない。
イスラエルは、お得意の目くらまし作戦で、トランプに勧められて嫌々ながら参加したことになっている(イスラエルはシリアを傀儡化したのに、新政権となかなか和解しない。これも目くらまし)。
実のところ、米諜報界を握るイスラエルは、トランプの世界戦略の立案に発言権や拒否権を持っている。トランプはイスラエルの傀儡だともいえる
平和評議会は、トランプとネタニヤフ(とリクード系の米諜報界=トランプ側近群)が話し合って決めた計画だろう。評議会を独裁するトランプの後ろにイスラエルがいる。Why Israel says joining Trump's Board of Peace was not optional

平和評議会は稼働し始めた今後も、パレスチナのことは口だけで、あまりやらないだろう。評議会はむしろ、イスラエルの覇権戦略の道具として使われる
イスラエルが世界のどこまでに覇権を行使するつもりなのか。中東だけなのか。評議会の参加国は全世界にわたっている。イスラエルは(英国系に代わる)世界覇権を考えているように見える。サウジはまだイスラエルと和解しない

アラブとイスラムの盟主であるサウジアラビアは、アブラハム合意に入らなかったが、平和評議会には最初から参加している。ガザの停戦と復興という建前があるので、トルコなどイスラエルを批判するイスラム諸国も含め、参加しやすかった。
しかし平和評議会の実体は、ガザの復興などやらず、イスラエルの世界覇権に協力する傀儡的な機関である。サウジやトルコは、それでかまわないのか??

それに対する私の考察は、イスラエルが米諜報界を乗っ取って米国並みの覇権力を持ったので、サウジもトルコも事実上イスラエルと張り合うのをやめて軍門にくだった、というものだ。
(覇権力とは、軍事諜報力と、国際政治の謀略力。反政府勢力を動かして政権転覆とか、他国Aを使って他国Bを動かすとか)Gaza's ‘Phase Two': The illusion of transition and the reality of control

もともと中東は、今後の多極型世界において、イスラエル、サウジアラビア、トルコ、イランの「域内4極・4大国体制」が想定されていた。
だが今や、米国を乗っ取ったイスラエルだけがダントツに強い。イランは、ハメネイが亡命に追い込まれてベネズエラみたいにソフト転覆され、米イスラエルの傘下に入りそうだ。
トルコとサウジは、イスラエルに逆らうとイランみたいに転覆されかねない。それなら、ベネズエラの転覆を見た南米コロンビアの自主的な親米化みたいに、自分からイスラエルにすり寄った方が良い。
エルドアンもMbS⇒サウジのムハンマド・ビン・サルマーンも、そう思っているはずだ。それで、トルコやサウジやその他の諸国が、茶番な平和評議会にどんどん参加している。偽悪作戦が成功している。
イスラエルは中東4極体制で満足なのか?

平和評議会には、カザフスタンやモンゴル、ベトナムといった、イスラエルから遠い、中国の隣接諸国も入っている。カンボジアやタイ、韓国、日本、豪州もトランプから招待を受けている(検討中)。
この状況が意味するところは何か。中国包囲網だろう。イスラエルは、世界戦略の一つとして、これまで非米諸国を束ねて覇権を拡大してきた中共に対抗する構えを見せている。
イスラエルは、米英の中国包囲網を継承する。これは、評議会の前身であるアブラハム合意からの流れだ。
中共はトランプから招待されたが、まだ平和評議会への態度を決めていない。
Trump invites Australia, Vietnam, and Thailand to join Gaza peace board

米英が退潮して包囲網がなくなると、中国の隣接諸国は、中国だけが頼りになる。アジアにおける中共の覇権が拡大しすぎる
中共は、プーチンのロシアを子分にして中央アジアから西アジアに影響力を拡大し、BRICSやG77を主導して印度やアフリカや中南米に手を伸ばしてきた。ユーラシアの真ん中で世界の流れをとらえる

イスラエルは、こうした中共の覇権拡大を制限しようとしている。中国の近隣諸国を平和評議会に入れ、米国(トランプ)を通じて影響力を行使し、近隣諸国が中共の言いなりにならず歯向かえるようにする。
イスラエルはすでに、隠然子分にしたトルコを通じてコーカサスや中央アジアで影響力を拡大し、中国の裏庭まできている。
プーチンは、コーカサスのロシア覇権を放棄してトルコイスラエル連合に渡している。
中南米では、アルゼンチンのミレイ大統領が親イスラエルの極右で、反イスラエルな左翼政権のブラジルなどとやり合っている中東への関与を下げたロシア

トランプが返り咲く前、世界は、英国系の米単独覇権が崩れ、中共主導のBRICSなど非米側の覇権が拡大していた。リクード系のトランプが返り咲き、イスラエル(リクード系)が英国系と中共系の覇権争いに割って入った。
それ以来、世界の覇権は、衰退する英国系、割り込むリクード系、抑止される中共系という三つ巴の暗闘になっている。今回、リクード系の世界機関として登場したのが平和評議会だ。

英国は(家来のフランスともども)平和評議会への不参加を正式に表明している。これまでの英国は、米国がどんなに不合理で身勝手な世界戦略を始めても、真っ先にそこに追随し、英国勢が米国の議論の中に入り込み、英国好みのリベラル派グローバリズム覇権の枠内に米国を戻す努力を続けてきた。
しかし今回は違う。平和評議会は政敵のリクード系に完全に固められており、英国は入り込めない。英国系の覇権は根幹が人道主義(という名の政敵潰し)であり、ガザ虐殺の巨大な人道犯罪を容認する平和評議会に入れない。Here are the countries joining Trump's 'Board of Peace' so far

英国人ではブレア元首相が評議会の理事として入っている。これは評議会を英国系のように見せかけるリクードお得意の茶番劇であり、ブレアはピエロとして使われているだけで権限がない。
英仏がいない世界評議会の始動は、英国系の覇権衰退と、リクード系の覇権拡大を物語っている。Europe backs away from Trump's Board of Peace

トランプは、平和評議会が国連に代わる国際機関になるかもしれないと言っている。国連(とくに総会)は冷戦後、英国系と中共系の覇権が戦う場だった。リクード系の平和評議会は、国連の枠外に作られた。
英国系が衰退すると、国連は中共系の機関になる。中共系の(英国系の人道主義の遺志を継いだ)国連と、ガザ虐殺で人道主義を踏みにじったリクード系の国連外の平和評議会が対峙することになる。トランプの発言は、その流れで読み解ける。Trump Unveils His Board Of Peace In Davos: A Replacement To The UN Or A US-Led Coalition Of The Willing?

プーチンのロシアは、中共ともイスラエルとも親しい。ロシアだけでなく、非米側でイスラエルを敵視していない諸国はすべて両属的だ。
これらの諸国が、これから中共とイスラエルのどちらにより強く肩入れするのか。それによって、中共とイスラエルの覇権争いの流れが変わる。
中共は現実主義だ。イスラエルに楯突くと、中共自身が政権転覆されかねない。それならむしろ、イスラエルと争わず、ガザの大虐殺も不問に付して、中共や国連が平和評議会にすり寄る展開もあり得る。

中共がすり寄っても、イスラエルは中国包囲網を解かずに加圧し続け、多極型世界におけるバランスを調整し続ける。
その場合、イスラエルが作る平和評議会の中国包囲網を、右傾化(高市化)した日本がいずれ担当するかもしれない。
イスラエルは、表向き対立しつつ実は子分のトルコに、コーカサスや中央アジアでの覇権拡大を下請けさせている。ならば同様にイスラエルが、中国包囲網な海洋アジアの運営を日本に下請けさせても不思議でない。潜水艦とともに消えた日豪亜同盟

そこに豪州も入れば「日豪亜」になる。一期目のトランプは、安倍晋三に「日豪亜印」の中国包囲網を担当させようとした(安倍は親中を維持して回避した)。高市は安倍の子分だった。日本は、今度は逃げずにやれるかもしれない。

イスラエルが日本に「2度目は失敗しない大東亜共栄圏」をやらせようとしている、ともいえる(リベラル様たちは、2度目も失敗すると言いたがるけど)。

2026年1月24日土曜日

立憲と公明が中道新党結成のサプライズ - 我が意を得たり、だが左派が猛反発

 世に倦む日々氏が掲題の記事を出しました。
 同氏は、3ヵ月ほど前のブログ「~ 立憲と公明は一刻も早く連携して小選挙区で迎撃の準備を」でご自身が主張した通りの「中道政党」が年明けに出来たので、「感動と満足」を表明しています。
 ただ立民に対しては、「立憲のめざす目標は国民民主との合同なので、安保法制や原発再稼働で従来の政策を捨てて玉木の要求に従って左派色を払拭する必要があった。その意味で、新党結成は便利な方法であり好都合の脱皮の機会だった。元々同党は30年近く醜い変身を続けてきた(要旨)」とかなり手厳しい指摘もしています。
 その一方で「公明党の斉藤鉄夫はよくやったと思う。拍手したい」と高く評価しました。
 こちらは26年間自民と連合していた訳で、新綱領で180度方向転換することは出来ないので、当初の理念の平和志向に出来るだけ反さない範囲でまとめたものと思われます。

(いきなり飛んで済みませんが)最終節に、「社民主要打撃論」という言葉が出てきますが、それは「社会主義政党がファッシズム政党に対峙する場合、社民政党の方が主要な対決相手になる」という、スターリンの主張に起源があるようです。
 その前段では、世に倦む日々氏が体験した2014年都知事選のことに簡単に触れられています。
 ブログ担当は都民なので敢えて体験したことを記しますと、ある都知事選で早い段階でいきなり革新系のA候補者に名乗りを上げました。それで民主グループはAを支持したのですが、その後中道派のBが立候補したため彼が「目の敵」にされ、中盤から終盤では「Bこそが倒すべき敵」と見做されて、時ならぬ「2位争い」が展開されました。
 そしてAが次点になったとき、なんと「Bに勝った」と安堵の声が上がりました。自民都政をなくすことが目標だった筈なのにと、いま思い出しても釈然としません。
 併せて植草一秀氏のブログ「中道新党についての考え方」を紹介します。
 同氏も現実的な「考え方」を表明しています。
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立憲と公明が中道新党結成のサプライズ - 我が意を得たり、だが左派が猛反発
                       世に倦む日日 2026年1月20日
次々と政治の激変が起きる。急激すぎて、経過を整理し記録を書き留める時間がない。1/14、立憲と公明が新党結成で合意を発表、1/16 に共同代表となる野田佳彦と斉藤鉄夫が共同会見して新党「中道改革連合」を立ち上げた。先週後半はずっと中道新党の動きが中心の政治報道が続いた。直後は、中道という理念を貶下し、時代遅れだと罵り、若者層にウケないとして無価値化する右翼やマスコミ論者の攻勢が溢れた。1/17 以降は、新党の出現に危機感を持った日本共産党やれいわ新選組の支持者が、すなわち左翼の面々が中道新党の政策を批判する意見を盛り上げ、Xのタイムラインを埋める光景に染まっている。その二つを見ながら憂鬱になりつつも、しかし私自身は、3か月前「立憲と公明は一刻も早く連携して小選挙区で迎撃の準備を」と檄して提案した政治構想が絵に描いたように実現した場面を見て、正直、達成を手にした感動と満足を抑えられない

必ずこの政治(立公同盟)に向かうと確信し、その瞬間の到来を祈念していた。それ以外にないと予想していた。間違いなく、関係者が記事を読んで参考にしたものと想像するし、同感し、この戦略と計画で動こうと即断したのだろう。東京遷都案の投げ文を大久保利通の居宅に夜陰投擲した前島密の気分だ。この構想を採択し実践した者に感謝する。彼らの行動で評価できるのは、潜行を漏らさずマスコミに察知させなかった点だ。立憲民主党という党は、民主党時代から、オープンが取り柄でマスコミが大好きで、個々が何でも喋ってマスコミにネタ提供し、永田町で注目されて悦ぶ習性と悪癖を持っていた。なので、普通ならこの動向がマスコミ記者に漏れ、高市自民側に感づかれてもおかしくかった。今回、よくそこを禁欲し、秘密厳守のままローンチ⇒名乗り出る)の日程まで進められたと思う。マスコミは、最近の立憲が全く無能なため、こうした一挙は起こせないと見て偵察をサボっていたのだろう

二つの党の政策は近く、共闘はきわめて容易だったが、結局そこを突き抜けて新党結成まで運んだ。そこには二党の思惑がある。立憲のめざす目標は国民民主との合同で、そのためには、安保法制や原発再稼働で従来の政策を捨て、右翼マスコミと玉木の要求に従って左派色を払拭する必要があった。リベラル政党の性格を消し、玉木に納得してもらうまで右旋回する必要があった。その意味で、新党結成は便利な方法であり、好都合の脱皮の機会なのだ。この党は何度も名前を変え、理念と綱領を変えてきた。永田町で生き残り、二大政党を確立させ政権交代システムを定着させる目的のため、30年近く醜い変身を続けてきた。面子は昔からほぼ同じで変わってないのに、口にする標語や態度を変え、政党の定義を壊し、理念という日本語を汚して本義を剥奪してきた。信頼できず、期待できない老い錆びた野党である。なので、今回の動きは、政策だけに焦点を当てれば反動だとする見方もあるだろう

公明党の斉藤鉄夫はよくやったと思う。拍手したい。昨年10月の与党離脱劇もカタルシスを覚える一事だった。テレビの前で興奮を覚えた。言葉がよかった。今回もそれに続くドラマで、政治らしい政治を斉藤鉄夫一人がやっている感がする。今の日本で稀有な事例であり、惜しみなく評価できる。会見の席で、選挙で第一党になった場合の首班指名は野田佳彦だと言っていたが、斉藤鉄夫の方を内閣総理大臣に推したい。公明党はここ数回の選挙でジリ貧で、党勢が落ち目で展望がなく、起死回生の一手を打つ必要に迫られていた。小選挙区制の環境下、立憲と組んで政権をめざすのは必然だろう。創価学会を活性化して再興を図るためにもその選択しかない。学会軍団は退路を断った背水の陣になり、負けるわけにはいかず、死にもの狂いの選挙を戦うはずだ。地方での自民党との蜜月関係という前提はあるが、ここで中道新党が負けたら国政で公明党の存在意義はなくなる。最悪、党解散に追い込まれる

1/19 に発表された中道新党の綱領は、1/16 からずっと斉藤鉄夫がテレビ出演して、生放送で唱え続けた内容だった。各番組で説明していたように、今回の立憲との新党結成は、公明党が連立離脱後に定立した「中道改革の軸になる」の方針に立憲が賛同したという形式に即している。なので、公明党が新党の母体になっていて、そこに立憲が被さってボディを構成したという出発点が定礎づけられ、その先に国民民主と自民党左派を取り込んで図体を大きくするという青写真が描かれている。而して、公明党の言葉が綱領の核になり基調になっていて、「私たちの掲げる理念は、『生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義』である」と宣言している。立憲民主党の立憲主義の要素はない。一見して、非常に暫定的で急拵えの印象が強く、選挙後の政界再編の際にまた再び改新することが想定されている内情が察せられる。民主党という政党は理念薄弱で、理念が作文だけの政党で、政権が欲しいだけの政党だった

枝野幸男の立憲民主も、理念が理念として生きていたのは初期の一瞬だけで、すぐ変節を始め、右へ右へ旋回し、何だか分からない保守政党になり果てていた。今回の中道新党の事態はナチュラルな帰結と言え、何も驚いたり悲しんだりする理由はない。むしろ、古い保守政党の一つになりかけ、永田町の生きものとして絶滅危惧種視されていた公明党が、中道、中道と中道の意義を懸命に強調して再生へ立ち上がったことが、私には歓迎すべき出来事に映る。保守よりも中道の方が左に位置する。この点は重要だろう。中道はもともと仏教の概念で、宗教的な哲学の用語だが、公明党の結党以来のアイデンティティを表す言葉だった。日本の政治で政党が理念を言語化するにおいて、日本の伝統思想から範疇を求めるのは不自然とは言えまい。日本人には日本人の思想の宝蔵(たからぐら)がある。西洋思想ばかりではなく、仏教や儒学や武士道からエッセンスを抽出して現代の政治思想や理論を開発してよい。日本は東洋の国だ

中道新党が基本政策で安保法制を合憲だと認めたこと、すなわち違憲とする従来の立憲の立場から転換したことは、きわめて遺憾な現実だ。が、この変節はずっと前から進行していた問題で、今さら特に落胆する禍事でもない。安保法制は違憲に決まっている。違憲なのに日本人はそれを違憲と確定することができなかった。10年の歳月をかけて既成事実化し、常態化し体制化し前提化した。それを違憲だとして反対する者にマスコミが食ってかかった。滅茶苦茶な解釈改憲を定着させた。安保法制も違憲だし、敵基地攻撃ミサイルも違憲だし、日米作戦統合司令部も、何もかも違憲だ。立憲の者たちは、政権政党をめざす上でこの立場を固守することが邪魔だと思ったのだろう。この選挙を機に、政党名を変え、新党という仕掛けを施して立場転換する奸策を選んだ。もし、そうしないまま、仮に立憲が第一党になり政権政党になった場合は、そのときに「安保法制違憲」の立場を放棄しなければいけなくなる。固守をアメリカは許さない

が、しかし、できればもう少し共産党や社民党に配慮し、政策の文言を曖昧に調整してもよかった。小選挙区の選挙で左派の協力を得るため、余地を残す表現を工夫してもよかった。1/19 の中道新党の政策発表の後、私のタイムラインは左派からの猛然たる中道新党叩きのポストフローで埋まる状況となっている。無理もないと言うか、中道新党が高市自民の有力な挑戦者として立ち現われ、野党勢力の選挙の関心と期待を独占し、共産やれいわはすっかり埋没して蚊帳の外の存在感に霞む趨勢になっていて、党中枢や支持者が焦燥したのだろう。そこへ、中道新党の安保法制合憲や原発再稼働の「反動」が出来したものだから、渡りに舟とばかり、特に日本共産党は活気づいて新党叩きの気勢を上げている。彼らの選挙運動の上で絶好の順風と立地を得たと沸いている。私以外の者のタイムラインがどう編集されているか知らないが、共産党系のポストというのは、得票数と比較して妙に人口密度が高いというか、Xでシェアとインフルーエンス⇒影響)の度が高い特徴がある

かくして、選挙戦の構図が、①高市極右、②中道新党、③左派、の三つ巴の戦いに配置づけられてしまった。この新構図は、高市早苗にとって笑いの止まらない吉事の降臨に相違ない。敵が自ら二つに分裂してくれたのだから。危惧されるのは、中道新党の支持者と左派の支持者が上で喧嘩を始め、互いの非難合戦で選挙戦の時間を浪費する愚かな展開である。そうなれば高市と極右の思うツボに嵌ってしまう。②と③が足の引っ張り合いを演じ、相互に傷つけ合い、票を奪い合ってエネルギーを損耗する図は最悪だ。思えば、細川護熙と宇都宮健児が出馬して両陣営が泥仕合を演じた2014年の東京都知事選が、現在の選挙戦と様相が似ていた。12年前の不幸である。あのとき、私は細川陣営の「ネット軍師」として旗を振り、そして臍を噛む残念な結末を拾った。岩上安身から卑劣な妨害を受け、しばき隊からデマと誹謗中傷のリンチを受けた。しばき隊はこの政治で台頭し、日本共産党にとって便利で必要不可欠な手足の存在となり、左翼内で地位を固めた

歴史を遡れば、例の社民主要打撃論と反ファシズム統一戦線があり、その失敗と茶番とナンセンスがある。二度目を繰り返すのは喜劇だとマルクスは言ったが、三度も四度も同じぶざまが繰り返される。左翼の醜い党利党略が社会を悪くする。進歩を阻む。人間は学習しない動物だ。小林節と長谷部恭男が言うとおり「不完全な生きもの」だ。その長谷部恭男といえば、蛇足ながら、最近、たしかTBS報道特集だったと思うけれど、テレビに出て、安保法制の違憲判断については、すでに10年経ち、状況が変わったから、法的認識を変えないといけないという意味の指摘を苦しそうに述べていた。枝野幸男が解説しているところの、相変わらず窮屈でアクロバティックな新解釈は、11年前の夏の安保法制反対デモにも参加した、この権威の所論をベースにしているのだろう。無論、屁理屈は屁理屈で、憲法判断の不当な捻じ曲げであり、前川喜平のストレートな批判の方が当を得ているのだけれど


中道新党についての考え方
                植草一秀の「知られざる真実」2026年1月23日
衆議院が解散されて総選挙が実施される。
どのような結果になるか。問われているのは日本国民の見識。
今回の解散に大義はない。自己都合解散、疑惑隠し解散である。

高市内閣の支持率が高いと言われるが疑わしい。ものごとを深く考える人は高市首相を支持しない。高市首相が生まれた経緯を踏まえれば筋が悪いことがすぐに分かる。
高市首相は自民党の裏金疑惑から誕生した。史上空前の裏金事件で自民党は解党の危機に直面。
「解党的出直し」を謳った党首選で高市氏を選出した。新体制の最優先課題は「政治とカネ」の浄化。

ところが、高市首相は「政治とカネ」問題を闇に葬った。メディアが集中砲火を浴びせるべき局面。
メディアが集中砲火を浴びせていれば高い支持率が生まれる余地はなかった。
ところが、メディアが驚くべき対応を示した。高市内閣を叩くどころか絶賛した。
これが高支持率のカラクリ。人為的に創作された高支持率である。

高市首相は有頂天になって、いま選挙をすれば圧勝できると考えて、突然の解散に踏み切った。
「政治とカネ」、「統一協会」、「中国」、「家族への利益誘導」などで厳しい追及を受ける可能性が高まったことも影響しただろう。
衆議院任期の4分の1を過ぎたばかりの時点での解散・総選挙は権力の濫用。
予算審議も先送りして選挙に突入して、どこが「働いて働いて」だ。
豪雪期の選挙は過大な負担を自治体に強要する。
こうした状況下で日本の主権者が高市自民を勝利させるのなら、それが日本国民の実力ということになる。高市自民が暴走して、どのような犠牲が日本国民に降りかかろうとも「自業自得」ということ。

いろいろと話を聞くと高市自民と参政党が勝利してしまうのではないかと考えている人が驚くほど多い。本当にそうなのかと私は疑問に思う。日本国民がそこまで劣化しているのだろうか。
立民と公明による新党創設はゲームチェンジャーになり得るものではないか。

本当は対米自立、共生の経済政策の勢力が一つにまとまり、三極の一極を占めることが必要だった。これをしつこく提唱してきた。
しかし、これを実現するにはこの勢力が大同団結、連帯することが必要不可欠。
共産、れいわ、社民、立民の一部が連帯して大きな塊を作ることが必要だった。
しかし、その努力は注がれなかった。それぞれがばらばらに動き、全体としての勢力がじり貧推移してきたのが現実だ。このなかで自民との連立から離脱した公明が立民と連携して中道新党を創設したことが持つ意味は大きい。

綱領に問題点は多い。また、日本の政治勢力がともに対米隷属の、「極右」と「利権中道」の二大体制に移行してしまう危険も生じる。
米国は対米隷属の二大政治勢力体制構築を狙っている。この方向に日本の政治体制が誘導される危険は一段と拡大する。
それでも背に腹は代えられない。高市自民を退場に追い込むには、この中道新党に依拠せざるを得ない
「選べるなかでの最善」を進むしかない良心派の日本国民は中道新党に投票を集中させて高市自民を打倒することに、まずは総力を注ぐべきだ。

続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」4317号
「悪より小悪がはるかにまし」 でご高読下さい。
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                 (後 略)