2025年11月13日木曜日

危機取り除く外交努力を 首相の「存立危機事態」答弁 田村委員長が撤回要求

 国会議員の中では高市氏がトップに位置するであろう日本の極右に関して、腑に落ちないのは彼らが日本の自立(真の独立)には一切関心がなく、ひたすら対米従属を是とする中で軍備拡張を叫ぶ点です。先般のトランプ来日時の高市氏の振る舞いはそれを示して余りがありました。
 米国の戦略に沿って「無思考的」に隣国である中国やロシアを敵視することについても同じです。仮に中国と「絶交」状態になれば、日本は「糧道を断たれる」ことになって国家を維持できなくなります。こうした明らかな事態をどう考えているのでしょうか。
 しんぶん赤旗に掲題の記事が載りました。
 共産党の田村委員長は11日の衆院予算委で、高市首相が7日の同委で「(台湾有事は)存立危機事態になりうる」と答弁したことを撤回するよう求め、首相がやるべきは「危機をあおることではなく戦争のリスクを取り除くための外交努力だ」と主張しました。
 別掲の記事でも触れていますが、日本が進むべき道は平和憲法に謳われている「近隣国家との友好関係」以外にはありません。高市氏が人気を維持しよう?として極右を気取るのは日本の滅亡に繋がります。
 米国に迎合して軍事費に年間11兆円を やがては21兆円もの国費を投じるなどは、亡国の道であり「狂気の沙汰」です。
 田村委員長が指摘する通り、「日本が行うべきは主体的な外交努力」であり、「米国に付き従って軍事力強化に突き進むこと」ではありません。
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危機取り除く外交努力を 高市首相の「存立危機事態」答弁 田村委員長が撤回要求 衆院予算委
                        しんぶん赤旗2025年11月12日
 日本共産党の田村智子委員長は11日の衆院予算委員会で、高市早苗首相が7日の同委で「(台湾有事は)存立危機事態になりうる」と答弁したことを撤回するよう求め、首相がやるべきは「危機をあおることではなく戦争のリスクを取り除くための外交努力だ」と主張しました。
 首相は7日の同委で、台湾有事を巡り「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、存立危機事態になりうるケースだ」などと発言。10日の同委では、特定のケースを想定したことについて「この場で明言することは慎もうと思う」と弁明しました。
 田村氏は「一国の総理大臣が国会の場で、台湾という地域をあげ、有事の具体例を想定し発言すること自体が軍事的危機をあおることになる」と指摘。7日の答弁を撤回すべきだと求めましたが、首相は「政府の従来の立場を超えて答弁したかのように受け止められたこと」を反省しているだけだとして「撤回の必要はない」と拒否しました。
 政府が「存立危機事態」と判断すれば、日本は攻撃も侵略も受けていないのに、海外での自衛隊の武力行使が可能になります。田村氏は、外交努力の重要性を指摘し、日本共産党は戦争の心配のない東アジアをつくるための「東アジア平和提言」を提唱していると強調。中国にも、2008年の日中首脳会談での「互いに脅威とならない」との合意に基づき、双方が緊張と対立を悪化させないよう自制すべきだとした上で、台湾の問題についても ▽台湾住民の民意を尊重する ▽中国による台湾への武力行使や武力による威嚇に反対する ▽日米は軍事的に関与すべきではない―ということを繰り返し伝えていると説明。「軍事的緊張を高める言動ではなく、戦争のリスクを取り除くための外交こそ必要だ」と主張しました。
 しかし、日本では、北東アジアの軍事的緊張を高める大軍拡が進み、外国の領土を攻撃できる長射程ミサイルの配備計画が進んでいます。田村氏は、日本初の配備地とされる熊本県では、住民が不安を抱き、世論調査でも反対が多数だと強調。にもかかわらず「防衛省は住民説明会すら開いていない」と追及しました。
 首相は「(説明会は)防衛大臣の判断に任せたい」と述べ、小泉進次郎防衛相は「県知事と市長には説明し、九州防衛局に問い合わせ窓口を設置している。説明会の実施予定はない」などと答弁。田村氏は「説明すればするほど(住民が)不安になるからできないということだ」と指摘しました。首相は加えて、日本のミサイル配備は「全然足りない」と述べ、さらにミサイル配備を加速する考えを示しました。
 高市政権は、軍事費の国内総生産(GDP)比2%への引き上げを今年度内に補正予算で行うと表明しています。田村氏は予算額の内訳をただしましたが、首相も防衛相も具体的な数字を示しませんでした。田村氏は「(2%の)数字ありきだ」と批判し、2%の目標達成を急ぐ根源には米側の要求があると指摘。トランプ政権によるGDP比3・5%への軍事費増額要求を拒否するよう迫りましたが、首相は「ニーズがあるものにしっかり予算をつけていくのは当たり前」などと述べ、3・5%への増額を否定しませんでした


論戦ハイライト 田村委員長 衆院予算委
                    しんぶん赤旗 2025年11月12日
 日本共産党の田村智子委員長は11日の衆院予算委員会で、「台湾有事は存立危機事態」という答弁で緊張をあおり、大軍拡を進める高市政権の姿勢をただしました。

台湾有事は「存立危機事態」か
田村 発言そのものを撤回せよ 共産党は平和提言で尽力

 田村氏は、高市早苗首相が7日の衆院予算委員会で、台湾有事になれば米軍の戦争に自衛隊が参戦する「存立危機事態」に該当するとの危険な発言を行った問題を取り上げ厳しく追及しました。
 高市首相は、台湾を支配下に置くための中国・北京政府の行為として海上封鎖、偽情報、サイバー空間を利用したプロパガンダ(政治宣伝)など具体例をあげたうえで「戦艦を使って、武力行使も伴うものであれば、これはどう考えても『存立危機事態』になりうるケースだ」と明言していました。
 田村氏は「一国の首相が国会の場で地域をあげて有事の具体例を想定し発言すること自体、軍事的緊張をあおることになる」と指摘し、次のように迫りました。

 田村 10日の同委で首相が「反省し、今後は特定のケースへの明言は慎む」と述べた。ならば、台湾有事は「存立危機事態」に該当するとの発言そのものを撤回すべきだ。
 首相 撤回の必要はない。台湾海峡をめぐる情勢に関し、さまざまな想定を議論した結果、従来の政府の立場を超えて答弁したかのように受け止められたことが反省点だ。
 田村 首相は問題の重大さをわかっていない。集団的自衛権の行使は、日本が攻撃や侵略も受けていないのに、自衛隊の海外での武力行使を可能にするという重大な問題だ。だから撤回を求めている。

 ごまかし、繰り返し撤回を拒否する首相に対し田村氏は「首相がやるべきことは危機をあおることではない。危機を取り除くための外交努力だ」と指摘。日本共産党は、台湾への武力の行使や威嚇に反対し、同時に日米による軍事介入にも反対だと繰り返し中国側に伝えていると説明。「言うべきことを言い、同時に日中両国の関係を前向きに打開し、紛争を絶対に武力衝突や戦争にはさせないために努力を尽くしている」と強調しました。
 そのうえで、「日中双方は互いに脅威とならない」とする2008年の日中首脳共同声明を今後の日中関係の基本に据えるべきだと提唱。「軍事的緊張を高める行為を互いに自制する方向に、北東アジアを持っていかなければならない」と訴えました。

ミサイル列島化の実態
田村 当然の住民不安に応えよ
首相 もっと「抑止力」強くする 


















 田村氏は、外国の領土を攻撃できる長射程ミサイルが今年度中に国内初配備されるなど、日本のミサイル列島化の実態を、パネルを用いて告発しました。
 政府は、射程1000キロの「12式地対艦誘導弾能力向上型」を今年度に熊本市の中心市街地にある陸上自衛隊健軍駐屯地に初配備するのを皮切りに2027年度には空自百里基地(茨城県)、海自横須賀基地(神奈川県)、陸自富士駐屯地(静岡県)に配備します。
 音速を超えるスピードで複雑な軌道で滑空するミサイル「高速滑空弾」も今年度中に富士駐屯地、来年度には陸自上富良野駐屯地(北海道)、陸自えびの駐屯地(宮崎県)に配備されます。高速滑空弾は今後、射程2000~3000キロに「改良」されると言われています。また、米国製長距離巡航ミサイル・トマホークが今年度中に配備される「ちょうかい」(長崎県・海自佐世保基地所属)を皮切りに計8隻のイージス艦に搭載される計画です。
 田村氏は、ミサイルを貯蔵するため北海道から沖縄まで全国各地で弾薬庫の新増設計画が「目白押しだ。まさに日本全域をミサイル列島にする計画が進んでいる」と告発しました。
 健軍駐屯地への長射程ミサイル配備反対は、熊本日日新聞の世論調査で全体の約6割、女性では76%超を占めます。田村氏は、先月自ら実施した健軍駐屯地などの視察をふまえ、同駐屯地が住宅地の中にあり、道路を隔てて市民病院があり、半径2キロ圏内に、小中学校20校、盲学校、ろう学校、高校8校が存在し、保育施設も多数あることを示しました。
 田村氏は「こんな住宅地のど真ん中にどうして長射程ミサイル配備なのか」「相手からターゲットにされるのではないか」「司令部を地下化する工事も同時に行われる。攻撃に備えてのことではないのか。市民はどうなるのか」という市民の声は「当然の不安だ」と強調しました。
 しかし、防衛省は住民説明会すら開かず、木原稔官房長官は地元紙のインタビューで「実施する予定はない」と断言しています。

 田村 あまりにもひどい対応ではないか。
 小泉防衛相 熊本県や市に丁寧な説明をしている。問い合わせ窓口も設置している。住民説明会を実施する予定はない。

 田村氏は「そうであるなら、この場で住民の疑問に答えてほしい」と述べ、▽国は健軍駐屯地に配備されるのは移動式の発射台だとしているが、同駐屯地から発射することは絶対ないと断言できるか ▽同駐屯地には弾薬庫が新設されるが、ここに長射程ミサイルを貯蔵するのか―を問いました。これに対して小泉氏は「予断を持って答えることはできない」と回答を拒みました。
 田村氏は、「住民の不安には応えない。住民の不安に応える説明もできないということではないか」と厳しく批判しました。
 健軍駐屯地への配備計画撤回や住民説明会の開催を求め市民ら1200人が熊本市の健軍商店街のアーケードを埋め尽くした集会・パレード(9日)に触れ、「まず説明会を」が立場を超えた参加者の総意になっていると指摘しました。

 田村 総理は総裁選での地元紙の問いに「住民説明会は絶対大事」と答えた。ただちに住民説明会を行うよう防衛相に指示すべきだ。
 首相 住民説明会を開く開かないは、防衛大臣の判断に任せたい。(スタンド・オフ・ミサイル=長射程ミサイルは)全然足りない。もっともっとこの抑止力を強くしていかなければいけない。
 田村 今後(長射程ミサイルが)大量に配備される。(今回は)第1段階だ。「抑止力」だと言うが、まさに戦争準備だ

 田村氏は、日本が攻撃・侵略されていなくても、「存立危機事態」で長射程ミサイル使用があり得るとした23年の岸田文雄首相(当時)の国会答弁を示し、「事実上の先制攻撃の危険性さえある」と指摘。軍事対軍事の緊張が高まれば、武力衝突が生じかねず「専守防衛さえ投げ捨てる、憲法違反の長射程ミサイル配備計画は撤回すべきだ」と要求しました。

米国言いなり軍事費増
田村 GDP3.5%要求は拒否を
首相 ニーズに予算は当たり前





























 田村氏は、高市首相が日米首脳会談の直前に軍事費の国内総生産(GDP)比2%への増額を2年前倒しで達成すると表明したのは、トランプ米政権によるGDP比3・5%への増額要求に応えるためだと告発し、増額要求を拒むよう求めました。
 田村氏は、GDP比2%=11兆円を今年度中に達成するには補正予算で1・1兆円の軍事費を盛り込む必要があると指摘し、計上額をただしました。高市首相は人的基盤の強化、ドローン対処機材の整備などが見込まれるとしか答えられず。田村氏は、防衛省も内訳はこれから検討すると回答したことを明らかにした上で「まさに数字ありきだ」と厳しく批判しました。
 なぜ2%目標の達成を急ぐのか―。田村氏は、そもそもGDP比2%の震源地は、2020年9月、1期目のトランプ政権で当時のエスパー国防長官が日本を含む同盟国に「少なくとも2%に」増やすよう要求したことが始まりだったと強調。「産経」(今年10月24日付)が、22年5月の日米首脳会談で、岸田文雄首相がバイデン大統領にGDP比2%を目標に防衛費を増額する方針を伝えていたと報じていると指摘しました。高市首相は「そのような事実はない」と報道を否定。田村氏は、2%目標という根幹に関わる問題だとして会談記録の提出を求め、さらに追及しました。

 田村 第2次トランプ政権の発足以降、米国が日本に対してGDP比3・5%の軍事費を要求しているとの認識があるか。
 首相 直接、私に申し入れのないことは承知していない。いずれにしても、具体的に必要なものを現実的に積み上げていく。これがGDP比2%規模になる。それぐらいの必要額は当たり前だという判断だ。

 3・5%との米国からの要求という周知の事実について答えない一方、軍事費2%は当然との認識を示した高市首相。田村氏は、英紙フィナンシャル・タイムズが、コルビー米国防次官が日本にGDP比3・5%への軍事費増額を要求したと報じたことや、トランプ大統領から軍事費増額を迫られた北大西洋条約機構(NATO)が、35年までにGDP比5%にする目標を決定していることを突きつけました。

 田村 こういうもとで日米首脳会談の直前に軍事費増額の前倒しを表明すれば、客観的には日本がアメリカの要求を受け入れたということになる。そうでないというのなら、GDP比3・5%というアメリカからの要求は受け入れないと表明していただきたい
 首相 ロシアとウクライナの戦争の状況を見ても戦い方が変わっている。ニーズがあるものにしっかりと予算をつけていく。当たり前ではないか。
 田村 戦争の準備が当たり前という答弁だ。

 高市首相は、3・5%への増額を否定せず、必要であれば、さらに増額する構えを示しました。
 田村氏は、22年の「安保3文書」策定前は関連経費含めて約6兆円だった軍事費が、GDP比3・5%では21兆円に跳ね上がり、医療・介護・生活保護の予算18兆円をも上回る、ありえない規模になるとし「国民を守るどころか、くらしも財政も破壊する、まさに亡国の道を歩むことになる」と厳しく批判。「日本が行うべきは主体的な外交努力だ。アメリカに付き従って、軍事力強化に突き進むことではない」と強調しました

国を誤る大政翼賛の扇動/鳩山元総理台湾有事指摘は適正(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 高市首相は国会で「〝台湾有事″で中国が戦艦出動させれば〝存立危機事態″(日本が参戦)になり得る」と答弁しました。「台湾有事」は対中戦争を意図している米国が恰好の口実にしようとして生まれた発想です(今どき戦艦の出る幕はありません)。

 それを確実に起きる事態と見るかのようにして、日本の軍事費を27年までにGDPの2%にアップさせると米国に約束したのが自民党政府であり、その最右翼が高市首相です。百歩ゆずって台湾の独立運動を機に台湾有事が勃発したとしても、それは中国の内政問題であり日本が手出しできる問題ではありません。
 集団的自衛権の行使が可能という憲法違反の政府見解を出した安倍政権が、その一つの口実になるとしたのが「存立危機事態」でした。そして安倍政権こそが「際限がない」ことが明らかな軍拡競争のスタートを切ったのでした。
 そして国民の安寧や福祉を顧みずに、その路線を加速させようとしているのが高市政権に他なりません。
 いずれにせよ「台湾有事」を信じそれを恰好の口実にしようとしているのは余りにも無知であり、国民を不幸に陥れ米軍需産業の利益のために邁進するのは余りにも不誠実です。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
国を誤る大政翼賛の扇動
               植草一秀の「知られざる真実」 2025年11月12日
歴史を振り返ると正論は少数派であったことが多い。
日本が無謀な戦争に突き進んだときに異を唱えた人は存在した。
しかし正しい主張は「反日・非国民」として弾圧された。
日本が欧米に対抗して大陸進出を推進したときに真逆の「小日本主義」を唱えた石橋湛山は完全なる少数勢力だった。数の論理で真実を見極めるのは正しくない。
真実は少数の主張、少数の指摘のなかに宿っていることが少なくない

日本は中国に隣接している。そもそも日本の文化・文明の多くは中国大陸から伝来したものが多い。日本の淵源、日本の心のふるさとは中国にあると言って過言でない。
本来、日本が中国と近隣友好関係を構築するべきことは論を俟たない。しかし、近年、反中国の空気が蔓延している。

また、外国人に対する差別的感情が扇動されている。
しかし、一口に外国人と言っても千差万別。
外国人差別、外国人排斥の主張が示されるとき、アングロサクソンの白人が含まれていることは少ない。肯定しないが排外主義を主張するならアングロサクソンの白人を含めなければダブルスタンダードだ。

私たちが取るべき対応は歴史の真実に基づくこと。真実に基づかない主張は弱い。
真実に基づく主張に太刀打ちできない。真実に基づかない暴論をかざしても最終的には負ける。
だから、真実に即した考察、議論を行うことが重要だ。
国会質疑で台湾有事で存立危機事態になるのかの質問に対して高市首相が存立危機事態になり得ると答弁して議論が沸騰している

多くは高市首相の主張は正しいと主張する。しかし、その精緻な論理構成の上に組み立てられている言説を見ない。観念的、情緒的な主張が大半だ。
インターネットのニュース・ポータルサイトに掲載される言説の圧倒的多数は高市氏を擁護して高市氏批判を批判するものになっている。

商業メディアが提供する論説記事の背後に資本投下がある。「金の力」で言論空間が特定方向に誘導されている。
「存立危機事態」とは日本が集団的自衛権を行使する事由として設定されたもの。
本来、日本国憲法は集団的自衛権行使を認めないものとして解釈されてきた。
政府が公式見解として「集団的自衛権の行使は認められない」としてきた。1972年10月に政府見解が明文化されて示された。

50年以上にわたり、この政府見解が憲法の一部を成してきた。
その憲法解釈を2014年に安倍内閣が勝手に変えた。その上で、「安保法制」なるものが制定された。
そのなかで、集団的自衛権を行使できる条件として提示されたのが「存立危機事態」である。
「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合に集団的自衛権行使が必要最小限度認められるとした。

解釈改憲は許されるものでなく、その許されない解釈改憲に基づく立法も許されない。
これが正当な見解であろう。
この論議を横に置いて「存立危機事態」を考察するときに、台湾で武力衝突が生じた場合、とりわけ、米国と中国が交戦状態に陥る場合に、日本の「存立危機事態」と言えるのかどうか。
台湾海峡が封鎖されても船舶は台湾海峡を避けて航行できる。したがって、台湾有事が日本の「存立危機事態」になるとは考えられない。

それにもかかわらず、高市氏は台湾での武力衝突の事態は日本の存立危機事態に十分なり得るとの見解を述べた。この発言は極めて重大である。
集団的自衛権の行使とは中国に対する宣戦布告そのものであるからだ。中国が猛烈な反応を示すのは順当。
中国に肩入れする、日本に肩入れする、といった偏向した視点から考察するのではなく、客観的、中立、公平な立場から考察することが何よりも大切だ。

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鳩山元総理台湾有事指摘は適正
              植草一秀の「知られざる真実」 2025年11月11日
民主主義が機能するために必須の条件は良質な情報空間の存在。
正確な情報が広く行き渡ることが必要。

情報を流布する上で大きな役割を果たすのがメディア。
さまざまなメディがある。従来のメディアに対して新しいメディアの比重が上昇している。
人心を誘導しようとする者にとってはメディアを活用することがカギになる。
メディアをコントロールするのに最大の武器は資本力。
資本力があるとメディアを支配することが可能になり、その結果として人心を誘導できる。

このトラップに嵌っているのが日本。人々が時事問題に関する情報をどのように入手するのかがポイントになる。
新聞、テレビ、雑誌のオールドメディア。その大半が大資本の支配下にある。
NHKは実態として国営放送であり、国家権力の報道機関=大本営と化している。

ネット上のメディアが情報伝達の一翼を担うがネットのポータルサイトは大資本支配下にある
SNSがもう一つの柱で一部で棲み分けが行われるが、全体としての情報拡散力は投下資本量に比例する面が強い。メディア情報を支配する者が人心誘導を制する。この状況が強まっている。

高市早苗首相が台湾有事は日本の存立危機事態になり得ると発言して物議を醸している。
このことについて鳩山友紀夫元総理が
「(高市首相は)危機を煽り、だから軍事力増強と言いたいのだろうが、日本は台湾は中国の一部であることを尊重しているのだあくまで台湾は中国の内政問題であり、日本が関わってはならない」と指摘した。鳩山元総理の指摘は完全に正しい

しかし、ネットメディアは鳩山元総理の指摘を攻撃する記事を拡散している。間違った指摘でも拡散されれば影響が生じる。これがメディアコントロールの弊害だ。
ネットメディアが取り上げる発言者に著しい偏りがある。特殊な人物の特殊な発言しか取り上げない。そうなると人心は特殊な方向に引き寄せられる。

かねてより提案しているのは時事問題についての反対側(私たちの側)のポータルサイトを構築すること
ヤフー、グーグル、MSNだけでは情報が著しく偏る人心は完全に洗脳されてしまう

そこで時事問題にアクセスする、こちら側の入口サイトがどうしても必要。
一つ紹介しておきたいのが
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時事問題を網羅することはできていないが大手ポータルサイトとは異なる視点から情報が提供されている。
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偏向メディアからは得ることのできない真実の情報が満載だ。
出版業界が厳しい状況に置かれるなか、同誌も例外ではないという。
読者が購読で支えなければ媒体そのものが消滅してしまう。
年間12冊送料無料で7700円での定期購読を同誌が求めているのでぜひご検討賜りたい。
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最新号では巻頭論文「自民・維新金権腐敗政権」をインタビュー寄稿させていただいた。
ご高読賜れればありがたく思う。

鳩山元総理の指摘がなぜ正しいのか。正確な理由を知らない人も多いと思う。
私たちに必要なことは正確で良質な情報=インテリジェンスを確保することである。

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                 (後 略)

13- 食糧もエネルギーも放棄して中国との戦争へ突き進まされている日本の悲喜劇

 櫻井ジャーナルが掲題の記事を出しました。
 米国にとって、対中戦争に邁進しようとしている高市政権ほど便利な政権はありません。
 高市首相は国会で「戦艦」を口にしましたが、戦艦が重要視されたのは第2次世界大戦の開始前までのことで、すでに急速に進化していた雷撃機で次々に撃沈されました。
 航空母艦も同様で、現在では対艦ミサイルで簡単に撃沈されるので、いまでは海軍は潜水艦が主力になっているということです。
 生半可な知識で軍備拡張を叫ぶのはもう止めるべきです。
 そもそも「軍拡競争には際限がない」という厳然たる事実を良く認識し、「ではどうすべきなのか」を考えるのが知識人というものです。そんなことは「知識人」という以前に小学生でも理解できることです。
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食糧もエネルギーも放棄して中国との戦争へ突き進まされている日本の悲喜劇
                          櫻井ジャーナル 2025.11.11
 危機的な状態に陥った人びとを救うために大活躍する「高市」を主人公とするNetflix映画「新幹線大爆破」がヒットしたようだ。主人公で車掌の高市和也を演じたのは草彅剛、高市と並ぶ作品の中心的な存在である運転士の松本千花をのん(能年玲奈)が演じた。この作品の宣伝などで「高市」という名前を嫌というほど聞かされた印象がある。
 ところで、同じ高市という苗字の人物が今年10月21日から日本の総理大臣を務めている。右翼キャラの人物で、好戦的なパフォーマンスをしてきた。その高市は10月7日に衆院予算委員会において、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言した。
 これを聞いて驚いた人は少なくないだろう。最も大きな軍艦で、強力な艦砲が装備された「戦艦」だが、すでに時代遅れで、運用している国はないとされている。軍艦の中でまだ使われている航空母艦も時代遅れで、相手国を威圧する程度のことしかできない。戦闘になれば、対艦ミサイルで簡単に撃沈されてしまう。イージス・システムを搭載した駆逐艦は使われているが、これも対艦ミサイルには脆弱。すでに海軍は潜水艦が主力になっている。高市首相のイメージは第2次世界大戦で止まっているのか、あるいは「宇宙戦艦ヤマト」が刷り込まれているかもしれない。

 中国が台湾に対する軍事行動を起こすとするならば、最も可能性が高いケースはアメリカ軍が中国への攻撃を念頭に基地を建設し、軍隊を入れる場合だろう。台湾は中国を攻撃するための「不沈空母」だと考える人もいる。
 中曽根康弘は総理大臣に就任して間もない1983年1月にアメリカを訪問、その際にワシントン・ポスト紙の編集者や記者たちと朝食をとっている。その際に彼はソ連のバックファイア爆撃機の侵入を防ぐため、日本は「不沈空母」になるべきだと語ったと報道された。
 中曽根はそれをすぐに否定するが、インタビューは録音されていた。そこで、「不沈空母」ではなくロシア機を阻止する「大きな空母」だと言い換えたが、このふたつの表現に本質的な差はない。日本列島はアメリカ軍がロシア軍を攻撃するための軍事拠点だと中曽根は認めたのである。
 中曽根は首脳会談で日本周辺の「4海峡を完全にコントロールし、有事にソ連の潜水艦を日本海に閉じ込める」、また「ソ連のバックファイアー(爆撃機)の日本列島浸透を許さない」と発言した。「シーレーン確保」も口にしたが、要するに制海権の確保だ。

 国外に出たことから口が軽くなったのかもしれないが、当時、アメリカとソ連との間で軍事的な緊張が高まっていたことは事実だ。例えば、1983年4月から5月にかけてアメリカ軍はカムチャツカから千島列島の沖で大規模な艦隊演習を実施、アメリカ海軍の3空母、つまりエンタープライズ、ミッドウェー、コーラル・シーを中心とする機動部隊群が参加している。この演習を日本のマスコミは無視した。
 この演習では空母を飛び立った艦載機がエトロフ島に仮想攻撃をしかけ、志発島の上空に侵入して対地攻撃訓練を繰り返し、米ソ両軍は一触即発の状態になったのだ。(田中賀朗著『大韓航空007便事件の真相』三一書房、1997年)

 徳川体制を倒して成立した明治政権は1872年に琉球を併合、1874年に台湾へ派兵、1875年に江華島へ軍艦を派遣、1894年の日清戦争、そして1904年の日露戦争へと続く。その背後でイギリスやアメリカの外交官が暗躍、日本にアジアを侵略するように煽っていた。自覚していたかどうかはともかく、明治体制はアメリカやイギリスの手先として動いていたと言える。
                 (中 略)
 ソ連が1991年12月に消滅した直後、92年2月にアメリカの国防総省内でDPG(国防計画指針)の草案が作成された。作成の中心は国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツだったことから、この文書は「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。
 ソ連の消滅でアメリカは唯一の超大国になったとネオコンは確信、世界制覇戦争を始めようというわけだが、そのドクトリンにはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設すると書かれている。要するに、ドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということだ。
 また、旧ソ連の領土内であろうとなかろうと、かつてソ連がもたらした脅威と同程度の脅威をもたらす新たなライバルが再び出現するのを防ぐことが彼らの目的だともしている。西ヨーロッパ、東アジア、そしてエネルギー資源のある西南アジアが成長することを許さないということだが、東アジアには中国だけでなく日本も含まれている。
 1993年8月に成立した細川護煕政権は国連中心主義を打ち出して抵抗するが、94年4月に崩壊。1994年6月から自民党、社会党、さきがけの連立政権で戦ったが、押し切られている。
 日本側の動きをネオコンのマイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベル国防次官補(当時)に報告、1995年2月になると、ジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表してアメリカの政策に従うように命令した。そのレポートには10万人規模の駐留アメリカ軍を維持し、在日米軍基地の機能を強化、その使用制限は緩和/撤廃されることが謳われている。
 沖縄ではこの報告に対する人びとの怒りのエネルギーが高まるが、そうした中、3人のアメリカ兵による少女レイプ事件が引き起こされ、怒りは爆発する。日米政府はこの怒りを鎮めようと必死になったようだ。
 こうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された(地下鉄サリン事件)。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次に交代、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃された。1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載された。
 この旅客機が墜ちる前、大島上空を飛行していたアメリカ軍の輸送機C130の乗組員だったマイケル・アントヌッチの証言に基づく記事で、自衛隊の責任を示唆している。この1995年以降、日本はアメリカの戦争マシーンへ急ピッチで組み込まれていく。

 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された後、ウォルフォウィッツ・ドクトンに従ってアメリカは世界制覇戦争に乗り出すのだが、日本もそれ追随している。 

2025年11月10日月曜日

カザ医療危機深刻 停戦1カ月攻撃続発で死傷者840人(しんぶん赤旗)

 ガザ地区での停戦合意が発効してから10日でカ月なりますが、イスラエル軍はこの間も断続的に攻撃を繰り返し、停戦発効後のパレスチナ人の死者は240人以上、負傷者は600人以上に上ります
 停戦発効以降にイスラエル占領軍が搬入を許可した医療物資はトラック60台分にすぎず、需要にまったく追いついていません。医療用品の不足率は70%に達し、「危機的な水準」と警告しています。医薬品も必要量のわずか10%しか届きません。
 先月10日以降、同地区に入った食料等の支援トラックは1日平均171台で、合意した600台を大きく下回りました。
 イスラエルは、特に卵、肉、魚、乳製品、野菜など栄養価の高い基本食品の搬入を阻止し菓子など栄養価の低い商品は比較的搬入を許しています。しかし、価格が戦争開始前の15倍に高騰し、収入のない多くの人々には手が届きません。住民は冬が迫るもと、最低限必要な食料や医療品、生活用品すら確保できず、飢えと寒さに苦しんでいます。

 イスラエルの占頷下にあるヨルダン川西岸地区で10月、イスラエル人入植者によるパレスチナ人への攻撃が、少なくとも264件に達しました。月間の数として2006年以降最多です。
 いうまでもなくイスラエル人の西岸地区への入植は国際法違反です。
 西岸地区死傷者と物的損害をもたらした攻撃が1日平均8件に上り2006年以来の攻撃は9600件を記録。今年だけで約1500件で、パレスチナ人の子ども42人が殺されました。ヨルダン川西岸にはパレスチナ人約270万人が住んでいます。
 しんぶん赤旗が報じました。
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カザ医療危機深刻 停戦1カ月攻撃続発で死傷者840人
                       しんぶん赤旗 2025年11月9日
【カイロ=米沢博史」パレスチナ・ガザ地区でのイスラエルとハマスによる停戦合意が発効してから10日でカ月となります。イスラエル軍はこの間も断続的に攻撃を繰り返し、ガザ保健当局が7日までに発表した停戦発効後の死者は240人以上、負傷者は600人以上に上ります。負傷者の増加にもかかわらず、イスラエルは医療用品や医薬品のガザ地区への搬入を
極度に制限しています。

イスラエルが医療物資搬入制限
 ガザ保健局長を務めるムニール・バルシュ医師が7日、本紙に語ったところによると、停戦発効以降にイスラエル占領軍が搬入を許可した医療物資はトラック60台分にすぎず、需要にまったく追いついていません。医療用品の不足率は70%に達し、「危機的な水準」と警告しています。医薬品も必要量のわずか10%しか届かず、特に鎮痛剤や抗生物質が著しく不足しており、増える負傷者を十分に治療できません。
 この2年間の侵攻により薬局860軒が破壊され、残った薬局に届く薬の量も限られ、価格が高騰しています。バルシュ氏は「停戦後も軍事攻撃や封鎖による医療危機で死者は増え続けている。停戦とは攻撃停止ではなく、攻撃の角度を変えているだけではないか」と憤ります。
 一方、北部ガザ市にあるシファ病院のムハンマド・サルミヤ院長は6日、本紙に「ガザにはMRIや心臓カテーテル、乳がん検診装置が全くない」と述べ、医療体制の再建には医療物資機器の大規模な搬入が不可欠と訴えました。
 また、イスラエル軍による院の破壊と機器の搬入阻止にり、がん手術などの大規模な術が実施できず、医師たちはられた設備の中で、生存の可能性が高い患者を優先して治療ているといいます。骨の再建術ができず、やむを得ず切断に踏み切るケースも少なくありせん。
 院長は先日、29歳の子宮がん患者に摘出手術を行ったものの、放射線治療を受けられず再発の危険があると明かしまた。さらに、腫瘍の種類を特できる数少ない専門医2人が攻撃で殺害され、診断や治療に深刻な支障をきたしていると述べました。


入植者による攻撃最多 ヨルダン川西岸10月264件
                       しんぶん赤旗 2025年11月9日
 イスラエルの占頷下にあるヨルダン川西岸地区で10月、イスラエル入植者によるパレスチナ人への攻撃、少なくとも264件達しました。国連人道問題調整事務所(OCHA)が7日、発表しました。これはOCHAが2006年に記録を取り始めて以来、月間の数として最多です。
 OCHAによれば、死傷者と物的損害をもたらした攻撃が1日平均8件に上ります。
 2006年以来の攻撃は9600件を記録。今年だけで約1500件です。ヨルダン川西岸にはパレスチナ人約270万人、イスラエル入植者50万人以上が住んでいます。歴代のイスラエル政府が入植地を広げてきました。国連、パレスチナ、ほとんどの国は、入植地について国際法上、違法であるとみなしています。
 なお、OCHAが5日までに確認したデータによると、イスラエル軍は今年、西岸でパレスチナ子ども42人を殺しました。これは、イスラエル軍が今年、西岸で殺したパレスチナ人の51人が子どもだったことを意味します。  (ロイター)

1遺体返還
【カイロ=時事イスラエル首相府は7日、パレスチナ自治区ガザで人質となった人の遺体を赤十字国際委員会(ICRC)を通じて受け取ったと発表しました。身元が確認されれば、ガザに残された人質の遺体は残り5体となります。

アブラハム合意 カザフ参加発表 対イスラエル関係
【ワシントン=時事トランプ米大統領は6日、イスラエルとイスラム諸国の関係を正常化する「アブラハム合意」に中央アジアのカザフスタンが参加すると発表しました。カザフのトカエフ大統領がトランプ氏とホワイトハウスで会談し、表明しました。
 イスラム教徒が多く暮らすカザフは、イスラエルと1992年に外交関係を樹立。その後、イスラエルと安定した関係を維持してきました。両国関係が大きく変ることはなさそうです。
 トランプ氏とトカエフ氏は署名に先立ち、イスラエルのネタニヤフ首相と電話会談し、合意を確認しました。合意にはこれまでにアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンなどが署名しています。


支援物資行き届かず ガザヘのトラック数 合意の3割以下
                        しんぶん赤旗 2025年11月8日
【カイロ=米沢博史】パレスチナ・ガザ地区当局は6日、ハマスとイスラエルの停戦合意が発効した先月10日以降、同地区に入った支援トラックは1日平均71台で、合意した600台を大きく下回り、3割に満たないと発表しました。
 ガザ当局によると、イスラエルは、特に卵、肉、魚、乳製品、野菜など栄養価の高い基本食品の搬入を阻止しています。菓子など栄養価の低い商品は比較的搬入を許しています。しかし、価格が戦争開始前の15倍に高騰し、収入のない多くの人々には手が届きません。住民は冬が迫るもと、最低限必要な食料や医療品、生活用品すら確保できず、飢えと寒さに苦しんでいま
す。
 ガザ地区中部ヌセイラト難民キャンプで避難生活を送るアジザ・アラルールさん(32)は6日、2人の幼い子どもと高齢の両親と過ごす厳しい日々を本紙に語りました。
 アラルールさんは数学教師でしたが、イスラエルの侵攻で家も職も兄弟も失い、「無力感は言葉にできません」と話します。プログラマーだった夫も、仕事道具のパソコンと兄弟を同時に失いました。
 停戦発効後も食料はわずかな寄付に頼るしかありません。アラルールさんは「寄付が無ければ餓死していた」と話します。
 生後8ヵ月の次男オマルちやんには粉ミルクがなく、おむつは布やビ-ルで代用。柔らかな肌が傷つき、かぶれに苦しんでいます。衣服も不足し、生後7ヵ月のめいは寒さで命を落としました。
 長男アフマドちゃん(2)も満足に食事をとれず、空腹のまま眠る日々。「笑顔を見せるのは猫と遊ぶときだけ」といいます。慢性疾患を抱える高齢の両親も医療を受けられず、「何もしてあげられない」と苦しみながら介護しています。
 アラルールさんは訴えす。「ガザの人々すべてに公平に援助が届き、再び働いて自立できる環境を取り戻したい。戦争を完全に終わりにし、平和の中で新しい人生を始める権利は、子どもたちにも私たちにもあるはずだ」

「戦争終わっていない」 UNRWA局長 支援継続訴え
 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の清田明宏保健局長は6日、パレスチナ自治区ガザの現状について、子どもたちの栄養失調が続いているなどとして「戦争は終わっていない」と強調しました。東京都内の日本記者クラブで記者会見しました。
 清田氏によれば、ガザでは約100ヵ所の避難所に7万500人が避難。物資は「価格が高く、一般人には買えない」水準で、清潔な水や燃料、医薬品が「到底足りない」ままだといいます。
 イスラエルでは、UNRWAの活動を禁止する律が成立し、清田氏ら国際職員は今年1月からガザに入ることができなくなりました。物資搬入も提携先に頼らざるを得ず、隣国ヨルダンには多量の支援品が積まれたままになっているとして「悔しい思いをしている」と語りました。
 こうした状況に対し、国際司法裁判所(ICJ)が10月、イスラエルはUNRWAなど国際機関の救援活動を妨げてはならないとの勧告的意見を出したことについては「ほっとした」と述べました。日本政府には資金拠出の継続を訴えました。(時事)


人質の遺体返還  ガザに残り6人 イスラエル首相府
【カイロ=時事】イスラエル首相府は6日、パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスが5日に赤十字国際委員会(ICRC)を通じて返還した人質の遺体に関し、タンザニア人男性だったと発表しました。報道によると、男性はガザから近いキブツ(集団農場)で、インターンシップに参加し農業を学んでいました。
 ガザに残る人質の遺体は6体となり、この中には、タイ人1人と2014年に殺害されたイスラエル兵も含まれています。

 一方、現地からの報道によると、イスラエル軍は6日、中心都市ガザ市の東部に空爆を加えました。ガザでは停戦後も散発的なイスラエル軍の攻撃が続き、ガザ保健当局によると240人以上が死亡。遺体収簑進められ、2023年10月のイスラエル軍の軍事作戦開始以降のガザでの死者に6万8800人を超えました。