「マスコミに載らない海外記事」に掲載されたケイトリン・ジョンストンの2つの記事を紹介します。もう一つの記事は「帝国はひとまず後退した」です。
イスラエル批判の記事では、ケイトリン・ジョンストンの右に出る人はなかなかいないのではないでしょうか。いつの場合も実に歯切れがよく、辛辣で、心の底からの怒りが伝わってきます。
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平和かイスラエルかの、どちらかしか世界は選べない。両方はあり得ない。
マスコミに載らない海外記事 2026年4月10日
イスラエルは、中東において、絶え間ない暴力と虐待という戦略を前提としたジェノサイドを行うアパルトヘイト国家だ。この国家が現状のまま存続する限り、平和は決して実現しない。
ケイトリン・ジョンストン 2026年4月9日
イランが合意した停戦条件の下では攻撃が明確に禁止されているレバノンで多数の民間人を虐殺することにより、イスラエルは、トランプ政権がイランと結んだ2週間の停戦を既に積極的に妨害している。
アメリカとイスラエルは、レバノンは停戦合意の対象外だと主張しようとしているが、アメリカが仲介役として任命したパキスタンは、これは誤りだと言っている。イスラエル攻撃後に方針転換するまで、ホワイトハウスが停戦条件にレバノンを明確に含めたパキスタンの公式メッセージに関与していたとニューヨーク・タイムズは報じている。
報道によると、イランはこれらの違反行為に対し、ホルムズ海峡の航行を再び停止することで対応した。
これは、世界は平和かイスラエルかのどちらかしか選べず、両方を同時に持つことはできないことを改めて想起させる。イスラエルは、中東における絶え間ない暴力と虐待という戦略を基盤とするジェノサイドを行うアパルトヘイト国家だ。この国家が現状のまま存続する限り、平和は決して実現しない。
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もしあなたの会社が、同僚と喧嘩ばかりして、原因は同僚が自分に対して人種差別をしているからだと主張する男を雇ったとしたら、あなたは一週間くらいは彼の言うことを信じてしまうかもしれない。
一か月後には、あなたは疑念を抱くだろう。
二か月もすれば、彼はただの嫌な奴だと気づくだろう。
イスラエルはこれを80年続けているのだ。
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下院と上院の民主党議員は、ついに、アメリカ大統領がイランと戦争するのを阻止するための戦争権限法案の成立に向けて動き出した。遅ればせながらだが、何もしないよりましだと言いたいところだが、今となっては、それもほとんど当てはまらない。
現在チャック・シューマーやクリス・マーフィーなどの民主党議員は、イランでの恐ろしい大量虐殺ではなく、ホルムズ海峡の支配権を失ったことや、イランの通常ミサイル計画の完全武装解除といった目標を実現できなかったことを理由に大統領を非難している。
以前にも私が述べた通り、トランプのイランに対する好戦的姿勢に民主党が反対しなかった理由は、彼ら自身もそれを支持していたからなのは明らかだ。
2024年の民主党の公式綱領は、トランプが1期目にイランとの戦争に踏み切らなかったことを「無能で弱腰」だと非難した。カマラ・ハリスはイランをアメリカ第一番の敵と位置づけた。 2024年の討論会で、トランプがアメリカの敵に対して甘すぎるとハリスは繰り返し批判し、「特にイランや、イランと代理勢力がイスラエルに及ぼすあらゆる脅威に関し、イスラエルが自衛する能力を常に保障する」と主張した。
イランにおけるトランプの非道な行為は、全員が民主党を支持すべき証拠だと主張する人をたくさん見てきたが、民主党は、単に同じ邪悪な権力構造の、より礼儀正しい顔に過ぎないのは明らかだ。
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BBCの奇妙な記事についてThe Grayzoneのワイアット・リードが記事を書いている。記事は、匿名イラン人の発言を引用し、アメリカとイスラエルが「エネルギー・インフラを攻撃したり、原子爆弾を使用したり、イランを壊滅させたりするのを支持する」とそのイラン人が述べたと報じていた。世論の強い反発を受けて、その引用は削除され、全く別の言葉に差し替えられた。当初、編集者による注釈は一切なかった。
この報道の背後にいるBBC記者ゴンチェ・ハビビアザドが、ロンドン在住のイラン王政支持者で、アメリカ政府のプロパガンダ機関、ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティを含む組織と協力し、母国に対する政権転覆戦争を扇動してきた長い経歴を持っていることをリードは明らかにしている。
先月、タイムズ紙は「イラン人の中には爆弾よりも悪いものが一つあると言う人がいる。爆弾がないことだと」という題名の記事を掲載した。帝国主義の標的となった国の人々が爆弾を落とされるのを望んでいるという明らかに誤った主張を西側諸国は常に積極的に押し付けている。これは奴隷制度擁護者連中が、神が彼らの本性を奉仕するよう定めたので、アフリカ人は奴隷としている時が最も幸せだと主張したのと良く似ている。
以前にも言ったが、もう一度言う。欧米の報道機関に対する軽蔑は、いくら抱いても足りない。
(後 略)
記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2026/04/09/the-world-can-have-peace-or-israel-but-not-both/
帝国はひとまず後退した
マスコミに載らない海外記事 2026年4月10日
「現状を見る限り、これが帝国にとって屈辱的敗北なのは確実だ。」
ケイトリン・ジョンストン 2026年4月8日
以前、イランの「文明全体を滅ぼす」とトランプ大統領は脅迫していたが、今回の譲歩の理由として「イランの10項目提案」を挙げて、イランとの二週間停戦を発表した。
トランプ大統領と郎党は、これをアメリカにとっての大勝利だと歪曲し、テヘランの10項目計画は、大統領の脅迫に対する重大な屈服と位置づけている。だが、イランが数週間前から同じ条件を提示していたことを一部の記者は指摘しており、これは実際は、ホワイトハウスが譲歩していることを意味する。
大統領発表の数時間前、Drop Siteのライアン・グリムはTikTokに動画を投稿し、トランプ大統領はイランの10項目和平案を受け入れ、まるでイランが最近提示したばかりの新提案であるかのように振る舞い、終末論的脅迫を撤回しつつ面目を保てると主張した。西側メディアが、これまでずっとイランが提示した停戦条件を完全に無視してきたため、トランプ大統領はこのようなことをしても許されるとグリムは論じている。
興味深いことに、トランプ大統領はまさにそのように行動したようだ。以前はイランの提案を「不十分だ」と拒否していた大統領が、一転して、イラン提案を、政権がイランに課した圧力に対する全く新しい対応策として位置づけたのだ。
3月28日、Drop Siteは次のように報じていた。
「イランが戦争を恒久的に終結させるための条件には、アメリカとイスラエルがイランを二度と攻撃しないという長期的保証、停戦がレバノン、イラク、パレスチナにも適用されること、戦争中にイランが被った損害に対する賠償、制裁の解除と、イランがホルムズ海峡の支配権を維持することなどが含まれる。」
これらは、イランが今日アメリカに受け入れるよう圧力をかけたと主張する条件と同じだ。イラン国営メディア、Press TVは、イラン最高国家安全保障会議の発言を引用して、「イランは犯罪国家アメリカに10項目計画を受け入れさせて歴史的勝利を収めた。アメリカはホルムズ海峡の支配権、ウラン濃縮権、全ての制裁解除をイランに認めた」と報じた。
ニューヨーク・タイムズは次のように報じている。
機密性の高い交渉について匿名を条件にイラン高官二人が語ったところによると、提案にはイランが二度と攻撃されない保証、レバノンのヒズボラに対するイスラエル攻撃の停止と、全ての制裁解除が含まれているという。
「見返りとして、ホルムズ海峡を通る主要航路に対する事実上の封鎖をイランは解除する。また、イランは船舶1隻あたり約200万ドルの通行料を課し、その金額を海峡対岸に位置するオマーンと折半する。計画によると、イランは直接賠償を要求するのではなく、その収益の自国分をアメリカとイスラエル攻撃により破壊されたインフラ再建に充てるという。」
現状を見る限り、これは明らかに帝国にとって屈辱的敗北と言える。イランは、ホルムズ海峡の通行料徴収権や、長年イラン経済を苦しめてきたアメリカ制裁からの解放など、戦争前には持っていなかった多くのものを手に入れる一方、帝国は高額な料金を支払って船舶輸送を再開し、核保有国となったイランから世界を救ったとでも言いたげな態度をとるのだ。
先月まで「イランとの取り引きは無条件降伏以外あり得ない!」と主張していたホワイトハウスの姿勢からすると、まさに大転換だ。
イランに対する西側諸国の好戦的姿勢について常に優れた洞察力を持つクインシー研究所のトリタ・パルシは、次のように書いている。
「これはいくら強調してもしすぎることはない。アメリカとイランがイスラマバードで会談し、イランの10項目計画に基づく最終合意を交渉する際、新たな力学が働くだろう。トランプ政権の失敗に終わった戦争により、アメリカ・イラン外交におけるアメリカの軍事的脅威の効力は失われた。アメリカは依然脅迫を行うことはできるが、それがもはや大きな影響力を持たないことを全員認識している。つまり、イランとの戦争が試みられ、失敗に終わったのだ。その結果、交渉はどちらか一方の強制ではなく、双方の真の妥協に基づかなければならない。」
もちろん悲観的になる理由は山ほどある。アメリカとイスラエルは、交渉中にイランを何度も攻撃してきた。たとえアメリカが合意内容を守ったとしても、イスラエルが侵略行為で合意を妨害する可能性は常にある。イランは今や、イスラエルから身を守る唯一の方法は、イスラエルの侵略行為に対する代償を西側世界全体に課すことだと理解しているはずだ。西側諸国がイスラエルを抑え込む方法を見つけられなければ、イランは我々全員にゴミを燃やして家を暖め、裏庭でニンジンを栽培するような事態を招くだろう。
参考までに言うと、シオニストのツイッター界隈は今まさに大混乱に陥っており、ローラ・ルーマー、イヴ・バーロウ、エリ・デイヴィッドといった悪名高いイスラエル擁護者連中が、イランがこのような立場になって、殺戮が終わったことに憤慨して、嘆き悲しんでいる。この停戦には私も誰よりも懐疑的だが、世界最悪の連中が今まさにこの件で大混乱に陥っている事実は、かすかな希望の光を与えてくれる。
そのうちわかる。
記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2026/04/08/the-empire-backs-down-for-now/
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。