2026年5月16日土曜日

検察抗告に余地残す 再審法改定案を閣議決定 共産党など全面禁止案提出

 政府は15日、再審制度を見直す刑事訴訟法改定案を閣議決定し国会に提出しました。しかし同改定案は検察の抗告を禁止ではなく「原則禁止にしたほか、開示された証拠を再審手続き以外の目的で第三者に提供することを罰則付きで禁じる規定を盛り込むなど不十分でものでした。
 日本共産党、中道改革連合、チームみらいの3党は同日、再審開始への検察官の不服申し立て(抗告)を全面禁止とし、証拠の開示も全面に渡ることとして 目録を請求者に直接開示し第三者への提供を禁止しないなどする対案を衆院に提出しました。
 
 しんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
検察抗告に余地残す 再審法改定案を閣議決定 共産党など全面禁止案提出
                       しんぶん赤旗 2026年5月16日
 政府は15日、再審制度を見直す刑事訴訟法改定案を閣議決定しました。同日、国会に提出しましたが、同改定案にはえん罪被害者や法律家からも不十分さを指摘する声が上がっています日本共産党、中道改革連合、チームみらいの3党は同日、再審開始決定に対する検察官の不服申し立て(抗告)を全面禁止とする対案を衆院に提出しました

共産党など全面禁止案提出
 再審法と呼ばれる刑訴法の「第4編 再審」の条文はわずか19条しかなく、再審を開くか審理する再審請求審で、検察に証拠開示させる条文がありません。そのため、担当する裁判官によっては検察に証拠開示を強く促さないなど、審理に格差が生じていました。また、再審決定が出ても、検察の抗告を禁じておらず、再審が行われる前の抗告審に日数が費やされ、救済が遅れてきました。
 こうしたことから、日本弁護士連合会などが、証拠開示と検察官の抗告禁止を柱とした再審法改正を求めてきました
 ところが今回、政府が提出した改定案は、証拠開示の範囲を「再審請求理由に関連」するものに限定し、検察の抗告も「原則禁止」にとどめ、検察が抗告する余地を残しました。また、当事者の意見を聞く前に、基本書類だけで、再審請求を棄却できる「スクリーニング規定」や、証拠を支援者や報道機関に提供すると弁護士が罰せられる規定などが盛り込まれました
 政府提出案は、検察の裁量を残す一方で、裁判所や当事者と支援者らを縛る内容となっており、本来の改正の趣旨に逆行しています。


冤罪 繰り返しかねない 再審法改定案 政府案で小池書記局長が指摘
                       しんぶん赤旗 2026年5月16日
 日本共産党の小池晃書記局長は15日、国会内で記者会見し、同日政府が再審制度見直しのための刑事訴訟法改定案を閣議決定したことについて、「現在の再審制度が長期にわたって冤罪(えんざい)被害者を苦しめてきた事態を解決するため、再審制度を抜本的に見直そうと議論が始まったが、政府案は問題を防ぐどころか繰り返し、むしろ逆行しかねないものだ」と批判しました。

 小池氏は、再審開始決定に対する検察の不服申し立て(抗告)について政府案は「原則禁止」としているが、「再審開始決定が取り消されるべきものと認める十分な根拠がある場合」は抗告できるとしていることに言及。「十分な根拠」を判断するのは検察であり、検察は「十分な根拠がある」といって「今までと同じことが繰り返されることになるのではないか」と指摘しました。
 開示された証拠を、再審手続き以外の目的で第三者に提供することを罰則付きで禁じる規定を盛り込んだことについても、冤罪被害の解決への逆行になりかねないと批判しました。
 再審制度の見直しについては、検察官抗告の禁止全面的な証拠開示など超党派の議員連盟で議論してきた内容が最も適切だと強調。同日、超党派議連案を基にした刑事訴訟法改正案を日本共産党と中道改革連合、チームみらいが共同提出し、れいわ新選組や参院の立憲民主党、公明党なども賛同しているとして「国会審議で実現のために力を尽くす」と表明しました。


再審改正「政府案不十分」抗告全面禁止案を共同提出
                       しんぶん赤旗 2026年5月16日 







(写真)再審法に対する3党案を築山信彦事務総長(中央)に共同で提出する議員。右から4人目は日本共産党の塩川鉄也議員=15日、国会内

 日本共産党、中道改革連合、チームみらいは15日、再審制度見直しに向け、再審開始決定に対する検察の不服申し立て(抗告)の禁止を明記した「刑事訴訟法改正案」を衆院に共同提出しました。同改正案は、昨年国会に提出され1月の衆院解散により廃案となった超党派議員連盟の改正案を基にしたものです。

 同日閣議決定された再審制度見直しのための政府案は、冤罪(えんざい)の救済を遅らせる重大要因となっている検察官抗告を「原則禁止」として例外を設けています。これに対し、共同提出された改正案は、検察官抗告を例外なく全面禁止しています。また、改正案は、再審請求審で裁判所が検察に証拠開示を命じる規定を盛り込んでいます
 改正案提出後に記者会見した中道の西村智奈美議員は「政府案の対案として提出した。国会で並行審議することで論点を可視化し、より良い再審制度にできるよう全力を挙げる」と述べました。
 日本共産党の塩川鉄也議員は「冤罪被害者のすみやかな救済のための再審法改正が必要だ。政府案は極めて不十分で問題がある。検察官不服申し立て(抗告)の全面禁止、証拠開示の実施が必要だ」と強調しました。


きょうの潮流
                       しんぶん赤旗 2026年5月16日

 途方もない年月の重さが改めて迫ってきます。「人生を純粋にやりなおすには余りにも遅過ぎる」「死刑台から私を救済して下さいますようお願いします」
 袴田巌さんが獄中にいたとき、家族にあてた手紙につづりました。無実を訴えながら再審の扉は固く閉ざされ、やがて面会にも応じず手紙も途絶え、精神に変調をきたすように。逮捕から無罪確定まで58年の日々が流れました
 無罪になるまで38年を費やした前川彰司さんは「長期にわたって重い十字架で苦しむことになった。生き地獄」だったと。人殺しと呼ばれ絶望の淵に立たされ続けました。教会に通う今も自分の人生は何だったのだろうと自問しています
 いずれの場合も検察の不服申し立て(抗告)が再審の道を遠ざけました。本人や家族、弁護団の粘り強いたたかいによって捜査機関による証拠隠しや捏造(ねつぞう)も明らかに。誤りを認めない権力のおごった姿勢があらわになっていました
 問題となってきた再審制度のあり方を見直す法改正案を政府が閣議決定しました。しかし、えん罪の当事者や救済にとりくむ市民、超党派議連の改正案に比べて不十分さは拭えません。求めてきた検察抗告の全面禁止や証拠開示に抜け道をつくり、再審請求を門前払いするような規定さえも
 誰にも降りかかる恐れがあるえん罪被害。それは今も後を絶っていません。人生を奪われた巌さんは獄中で叫びました。「事実誤認で人を殺してもよいというのか。国民にとって何のための法か、裁判か―」