米政府高官は15日、記者団に対し、トランプ大統領とバンス副大統領、イランのガリバフ国会議長が戦闘終結の覚書に署名したと明らかにしました。米高官はまた、対イラン制裁の緩和に応じるかどうかは核放棄に向けた「行動次第だ」と語り、イラン再建に向け、3000億ドル/(約48兆円)規模の基金創設を議論していると明らかにしました。
戦闘終結に向けた合意を受け、米国内で無法な先制攻撃で始めたイラン攻撃は、「必要のなかった大失敗」、「勝利にはみえない。2月28日時点と比べれば、ひどい失敗だ」、「合意内容はトランプ氏が戦闘を開始した時点の状態に戻したにすぎない」、「原油価格の高騰、米国の膨大な戦費、中東全域に広範な苦しみをもたらした」、「長く続いた戦争という悪夢からの遅すぎる救いであり、いったい何のための戦争だったのか」などとトランプ米政権の責任を厳しく問う声が相次いでいます。
全米イラン系アメリカ人評議会のジャマル・アブディ会長は、「事実に基づかず正当な理由もなく開始したイラン攻撃によって数千の無実の人々が悲惨極まる形で殺害され、文明そのものを破壊しかねない惨禍が続いた」と批判しました。
しんぶん赤旗の5つの記事を紹介します。
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米・イラン戦闘終結合意 両国覚書に署名 ホルムズ通航60日無料
しんぶん赤旗 2026年6月17日
【ワシントン、エビアン=時事】米政府高官は15日、記者団に対し、トランプ大統領とバンス副大統領、イランのガリバフ国会議長が戦闘終結の覚書に署名したと明らかにしました。また、今週後半にも、イランの核問題などを話し合う「技術的協議」を開き、バンス氏が交渉に当たると説明しました。
米高官は覚書で、イランが事実上封鎖する原油輸送の要衝ホルムズ海峡の通航料を60日間は無料とすることも合意したと表明。同海峡での機雷除去の作業に時間を要するものの、「30日以内には正常化する」との見通しを示しました。
イランのタスニム通信も15日、同国側が船舶への料金徴収を60日間免除する方針だと報道。海峡は19日の署名式後に開放すると伝えています。
米高官はまた、覚書署名に伴う見返りとして、イランの在外資産の凍結解除などには一切応じなかったと強調。対イラン制裁の緩和に応じるかどうかは核放棄に向けた「行動次第だ」と語りました。イラン再建に向け、3000億ドル/(約48兆円)規模の基金創設を議論していると明らかにしました。
トランプ氏は15日、訪問先のフランス東部エビアンで記者団に対し、「イランは核兵器を保有しないと全面的に同意した」と強調。スイスで19日に開かれる正式な署名式にバンス氏が出席するほか、覚書の内容を近く公表する考えを示しました。
EU委員長
しんぶん赤旗 2026年6月17日
【エビアン(フランス)=吉本博美】米国とイランが戦闘終結への合意を成立させたことについて欧州連合(EU)のフォンデアライエン委員長は15日、合意を歓迎し、中東地域の安定と世界経済のために、ホルムズ海峡の通航料なしの即時開放が重要だと指摘しました。
フォンデアライエン氏は、今回の戦争の教訓は「エネルギーの(対外)依存が武器として利用されたことだ」と述べ、今後は欧州として原油調達やエネルギー供給網を多様化する必要があると表明しました。
さらに「レバノンが戦禍にある中で、中東地域の平和は当然ありえない」と述べ、「欧州として全ての関係国がレバノンの主権と領土保全を尊重し、真の停戦を実行するよう呼びかける」と訴えました。
開戦必要なかった 米国内の識者・平和団体から トランプ氏の責任問う声噴出
しんぶん赤旗 2026年6月17日
【ワシントン=洞口昇幸」15日の米国とイランによる戦闘終結に向けた合意を受け、無法な先制攻撃で始めたイラン攻撃は「必要のなかった大失敗」だとトランプ米政権の責任を厳しく問う声が米国内で相次いでいます。
「勝利にはみえない。トランプ氏がこの戦争を始めた2月28日時点と比べれば、ひどい失敗だ」と評したのは元米労働長官の経済学者ロバー・ライシュ氏。同氏は15日付のメールニュースで、戦闘停止やホルムズ海峡の開放を定めた米イランの合意内容について、「トランプ氏が戦闘を開始した時点の状態に戻したにすぎない」と指摘。原油価格の高騰、米国の膨大な戦費、「中東全域に広範な苦しみをもたらした」ことなどを列挙し、むしろ状況を悪化させたと厳しく非難しました。
全米イラン系アメリカ人評議会(NIAC)のジャマル・アブディ会長も15日の声明で、合意は「歓迎すべき」としながら、「長く続いた戦争という悪夢からの遅すぎる救いであり、同時にいったい何のための戦争だったのかと問わざるを得ない」と述べました。
アブディ氏は、事実に基づかず正当な理由もなく開始したイラン攻撃によって「数千の無実の人々が悲惨極まる形で殺害され、文明そのものを破壊しかねない惨禍が続いた」と批判。合意の発表は「戦争終結にとどまらず、外交と説明責任、そして平和こそ唯一の前進の道であるという明白な真実に根ざした、米国の新たなアプローチの出発点としなければならない」と訴えました。
女性平和団体「コードピンク」共同設立者のメディア・ベンジミン氏はX一(旧ツイッター)に投稿した動画で、今回の合意は「外交こそが最初から笞えだったことを証明するだろう」と強調。「いま世界がすべきことは、このかすかな突破口を守り、終わりなき戦争で利益を得る者たちが再び私たちを奈落へ引き戻そうとするのを阻むことだ」と呼びかけました。
関係国など歓迎 中東各国・地域機構
しんぶん赤旗 2026年6月17日
【カイロ=米沢博史】米国とイランが戦闘終結に向けた覚書に合意したことを受け、中東各国および地域機構は15日、一斉に声明を発表し、合意を歓迎しました。
イスラエルに南部を侵攻されているレバノンのアウン大統領は、合意が「国家主権と国民の権利を守るより幅広い道の始まり」となり、国民が復興と日常生活の回復に専念できるようになることを願っていると述べました。
イラク外務省は、地域紛争や戦争で大きな被害を受けてきた国として、緊張激化の防止と新たな対立の回避に向けた外交努力の重要性を認識していると述べました。
サウジアラビア外務省は、最終合意は地域諸国の安全保障を考慮し、他国の内政不干渉の原則を順守するものでなければならないと強調しました。
エジプト外務省は、対話と交渉による平和的解決は国際法と国連憲章に基づき平和と安定を実現する基本的手段であると強調しました。
イスラム協力機構(OIC)、アラブ連盟、湾岸協力会議(GCC)もそれぞれ地域の安定回復への期待を表明しました。
レバノン南部占領続行表明 イスラエル首相国内からも批判
しんぶん赤旗 2026年6月17日
【カイロ=米沢博史】米国とイランによる戦闘終結に向けた合意覚書にレバノンを含むすべての戦線での戦闘停止が盛り込まれたことに対し、イスラエルのネタニヤフ首相は15日の記者会見で、覚書に「われわれは縛られない」と述べ、「自衛のための行動の自由がある」と主張しました。レバノン、シリア、パレスチナ・ガザ地区で「緩衝地帯を確立した」とし、「国家を守るのに必要な限りそこにとどまる」と述べ、国際法違反の占領を継続する構えを示しました。
イスラエルは15日、覚書合意の発表後もレバノン南部で軍事攻撃を続け、車両を攻撃して運転手を殺害、ジャーナリストが負傷するなど民間人の死傷者が出ています。
イスラエル国内では、連立与党の強硬派が、合意に一斉に反発。ベングビール国家安全保障相は、イスラエルは米国の従属国でも合意の当事者でもないため、合意には縛られないと主張。カッツ国防相も、レバノン、シリア、パレスチナヘの軍駐留を無期限に継続すると表明。スモトリッチ財務相は合意を「イスラエルと自由世界にとっての悪」と非難しました。
野党・民主党のゴラン党首は、合意がネタニヤフ政権による「長年の失策の帰結」と批判。トランプ米大統領に対してネタニヤフ氏は無力であり、政権交代は「安全保障上の責務」だと訴えました。
他方、左翼連合「平和と平等民主戦線」(ハダシューのオーデ、カシフ両国会員は、「戦闘終結は人々の命を守ることにつながる」と歓迎を表明。「なによりも大事なのはイスラエル人とパレスチナ人との合意」だとして、パレスチナ国家樹立を含む公正な和平の実現を訴えました。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。