ロシアのプーチン大統領が13日、択捉(エトロフ)島に初めて訪れました。日本政府は北方領土は日本固有の領土という認識ですが、逆にロシアは日本がポツダム宣言を受諾したことによってロシア領になったと認識しているわけです。
いわゆる北方4島に返還は、日露平和条約の締結に向けて特に安倍晋三元首相が精力的にプーチンと交渉を重ねましたが、残念ながら解決に至らなかったのでした。
折しもトランプが始めた対イラン攻撃が長期化したことで中東情勢は混迷し、日本のエネルギー不安解消のメドが立たないことから、高市政権は5月下旬に経産省や外務省幹部をモスクワに派遣し、日本が権益を持つ「サハリン2」の取引拡大を目指しているのですが、その先行きが不透明になってきました。
元々プーチンは、対ウクライナ軍事作戦を開始後に日本が直ちに西側諸国と連帯して対ロシア経済制裁を発動したことに不満を持っていました。そんな中で外交的センスがゼロの高市氏がプーチンのエトロフ島訪問を型通り強く抗議するだけでは、「サハリン2」のロシア産原油・LNGの輸入拡大の実現性は危うくなるばかりです。
日刊ゲンダイの下記の2つの記事を紹介します。
・国内外に仲間なし…自業自得だが高市早苗の周りは敵ばかり
・高市ノホホン“夏休み”にプーチン択捉電撃訪問の衝撃と暗雲
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国内外に仲間なし…自業自得だが高市早苗の周りは敵ばかり
日刊ゲンダイ 2026/08/15
(記事集約サイト「阿修羅」より転載)
その求心力の低下と孤立を見透かされたようなプーチンの択捉入り。国内では消費減税を巡り、党内、霞が関、大手メディアも敵ばかり。報復人事でますます敵をつくり、改造人事でもささやかれるのは不仲ばかり。夏休みに外遊をしない首相も前代未聞で、米国との間もすきま風。
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ロシアのプーチン大統領が13日、北方領土・択捉島に初めて足を踏み入れ、日本政府は虚を突かれた。
北方領土は日本固有の領土である。高市首相は「断じて許容できない」と憤ったが、このタイミングについて、長引くウクライナ戦争で不満が高まるロシア国内向けのナショナリズム高揚が狙いなどと解説されている。
だが、それだけじゃないだろう。高市が国内外に仲間なしで孤立状態にあることを見透かされたような訪問だ。
イランと長年の友好関係があったにもかかわらず、米イスラエルの仕掛けたイラン戦争で日本は仲介役はおろか外交的に何のプレゼンスも果たせていない。高市が抱きついたトランプ米大統領とも最近は疎遠。6月のG7サミット後の会見で、トランプは高市を「私の一番のファン」扱いして軽んじた。求心力が低下し、外交的にも無力な高市をプーチンが恐れるはずがない。
国内でも消費減税を巡って、自民党内、霞が関、大手メディアと敵ばかりだ。高市が「私の悲願だ」と2月の衆院選の公約に掲げた「2年間限定の飲食料品の消費税ゼロ」。レジシステムの改修期間を早めるため、税率は1%にしたうえで、1%相当分を低所得者に現金給付する「実質ゼロ」を、政府は来年4月から実施するつもりだが、閣議決定後も自民党内には依然、異論が渦巻く。
13日配信のTBSのユーチューブ番組で、石破茂前首相が秋の臨時国会に向けて反対派議員と連携していく考えを示したと報じられた。来月に税制改正大綱を決定後、政府は臨時国会に関連法案を提出する方針だ。党内はおとなしくまとまるのかどうか。
打算と方便の「錦の御旗」
党税制調査会の「合同会議」での了承は、高市チルドレンを“動員”して乗り切ったが、税調の幹部会議では6割が減税に慎重だった。「全会一致」で党の最終意思決定を担う総務会もメンバー25人中、9人が欠席。そのひとり、財政規律派の「ラスボス」宮沢洋一前税調会長は「財源が赤字国債頼みになる恐れ」と、14日の読売新聞で警告を発していた。中谷元前防衛相、森山裕前幹事長、税調「インナー」を辞任した小渕優子元経産相などなど、反対派のベテラン勢は結構な数に上る。
軽減税率の恩恵を受けている大新聞は、もともと食料品だけの消費減税には反対だ。年5兆円の代替財源が決まっていないことが一番の問題だと指摘してきたが閣議決定時の社説の見出しは「消費税減税の強行は将来に禍根を残す」(日経新聞)、「消費減税と自民 これで責任政党なのか」(朝日新聞)と厳しかった。
円安阻止で協調介入した米国もベッセント財務長官が消費減税に疑問を呈している。世論調査でも、賛成と反対の割合は5対4程度で、国民は財源なき減税をもろ手を挙げて歓迎しているわけではない。高市にとっては、支持率アップ狙いのあてが外れた。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。
「そもそも高市さんは仲間がいない中で、自民党内の打算を利用して首相までのし上がった人。消費減税について『公約を守ることが大事だ』という『錦の御旗』を持っているつもりだろうが、選挙に勝つための方便であって、これが高市さんの政策だと思っている人は誰もいない。で、党内や財務省が財源などに懸念を示すわけですが、それに対して『自分の言うことを聞かない者は人事で飛ばす』と粛清のような姿勢を見せているのが現状です」
「唯我独尊」相談相手も助言者もいない
もちろん財務省が衆院選直後から、水面下で消費減税の実現阻止に動いていたのは間違いない。社会保障国民会議の議論を減税反対や、減税ではなく「給付付き税額控除」の前倒しへ誘導したりもしていた。
そんな財務省を目の敵にした高市は、報復人事を断行。主計局長の事務次官昇進こそのんだものの、国民会議の事務局を取り仕切っていた主計局次長を東京税関長へと事実上“左遷”したのだ。社会保障制度に精通した財務省のエースを飛ばして、消費減税の制度設計ができるのか、参院は少数与党でもあるのに、臨時国会を乗り切れるのか。ムキになる性格の高市は、後先を考えずに動く。
「それで永田町では、秋の臨時国会で消費減税の関連法案を成立させられず、行き詰まって高市首相が政権をブン投げるとか、いや、参院で否決されたら、2005年の小泉郵政解散のように、衆院の解散総選挙を打つ、などという話まで語られています」(野党関係者)
今週も、ほぼ公邸に引きこもる首相は、内閣改造・自民党役員人事を練っているとされるが、これについてもささやかれるのは不仲説ばかり。「高市首相は鈴木幹事長の動きが悪いと嫌がっている」「高市首相は片山財務相に不信感を持っていて交代させたがっている」など、適材適所ではなく、好き嫌いで人事を動かす。これも党内に敵を増やす要因になる。
「当然、人事後は遠心力が働きますよ。萩生田氏を幹事長に引き上げるなどと言われています。旧安倍派を主流派として返り咲かせようという腹づもりだろうが、裏金や旧統一教会組が復権し、やり放題になってきたら、どうなるか。来年の統一地方選やその後のことを考えると、次の総裁選で高市首相の再選はないとなったり、自民党の評判が再び落ちる前に高市政権は潰さなければダメだという雰囲気になってくるのではないか。今度の改造人事はそんな試金石になるでしょう」(角谷浩一氏=前出)
焦燥感が見えたXの5連投
孤立する首相の頼みの綱は米国だけだが、高市はトランプともすきま風。来月、今年2度目の首脳会談を予定する米中が接近すればするほど、高市は孤立する。
外交オンチだからだろう。国会閉会中の夏に外遊を見送る首相は前代未聞だ。政治評論家の野上忠興氏が言う。
「とにかく高市首相は国民の目を徹底的に気にしている。つまり人気取りです。世論の支持が頼りなので、それが細れば焦る。外遊に関して言えば、高市首相がトランプ大統領にバカにされているというのは、欧州やアジア、中南米の国々にもバレてしまっている。外交ができないうえに、外交で得点を稼げない。人気取りにならないので行かない、行けないのでしょう。そこで、国内向けに消費減税で財務省と戦っている姿を見せて人気回復を狙っているわけですが、そんな高市首相の薄っぺらさに世論も気づいてきた。結局、唯我独尊なので、相談相手もいない、助言してくれる人もいない、人の言うことも聞かない。敵ばかりになるのは自業自得ですよ」
そんな孤独な宰相の焦燥感が見えたのが、14日の高市のXだ。おこもり中の公邸で午後2時ごろから、ナント5件連続の投稿。
<高市内閣は、国民の皆様が苦しむ「物価高対策」をないがしろにして、自らの政治的信念の実現を優先しているように見えるとのご意見があるようですが、それは私の認識とは異なります>
としたうえで、「補正予算」や「電気・ガス料金支援」など、いかに高市内閣が家計を支援してきたかの具体例をずらずら並べ、延々と反論しているのだ。
1本ずつの投稿がダラダラと長く、読むだけで一苦労。国民が切望する物価高対策をほったらかして、皇室典範改正や国旗損壊罪など自分が進めたいタカ派政策ばかりに邁進したと批判されていることがよほど悔しいのか。しかし、読み進めるほどに、ひとりよがりの言い訳にしか聞こえない。ますます世論は離れていくんじゃないか。
自己愛が強すぎ、被害妄想に取りつかれているようにも見える。これがこの国の首相……。明らかにヤバい。
高市ノホホン“夏休み”にプーチン択捉電撃訪問の衝撃と暗雲
日刊ゲンダイ 2026/08/14
(記事集約サイト「阿修羅」より転載)
日本政府と右往左往のドタバタだが、こうなることは見えていた。怪しい安倍蜜月外交の検証もないまま、実効支配を許し、情報収集も問題だらけ。
戦争で対ロ関係が冷え込む中、対中関係も悪化し、中ロは結託のプーチン訪問。問われる首相の危機対応。
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歴史を軽んじる者は物事の本質を見誤り、淘汰されるのが世の習いだ。15日は81回目の終戦の日。戦争を知る世代が右旋回を強める高市首相に対する警戒を強める中、あの男が動いた。4年超に及ぶウクライナ侵攻で手いっぱいとみられてきたロシアのプーチン大統領だ。13日、実効支配する北方領土の択捉島を訪問。前日に極東のサハリン州ユジノサハリンスクに入り、日本海などで展開中のロシア海軍太平洋艦隊による軍事演習を視察していて、ちょっと足を延ばしたとでも言わんばかりだった。
プーチンの北方領土初訪問に政府はドタバタと右往左往するばかりだが、予兆はあった。12日に海軍幹部らと開いた会合で、対日関係について詳しく言及していたのだ。第2次大戦の結果、クリル諸島(北方領土と千島列島)がロシア領になったとする立場を改めて強調。「日本はウクライナでの出来事を口実に、紛争原因に深く踏み込まずに制裁を科した」と批判し、G7と足並みをそろえて対ロ制裁を継続する高市政権に矛先を向けた。
そうして、13日正午を過ぎたころ、ロシア国営タス通信の報道を引用し、大手メディアがプーチンの択捉訪問を速報。大騒ぎになった。ところが高市は午前中から公邸にこもり続け、午後3時半に馳せ参じた市川恵一国家安全保障局長や外務省の船越健裕事務次官らと10分ほど面会。2022年5月にロシアが発表した入国禁止対象者リストに入った際は自民党政調会長の立場で、〈上等やないかいっ。招かれても行かんわい!〉とXに威勢よく投稿していたものだが、政府のトップになったところで打つ手なし。ただただ報告を聞いていたのだろう。
関係修復の真っただ中
それから約1時間後。午後4時半過ぎに公邸で応じたぶら下がり取材は3分だけだった。「北方領土は歴史的にも国際法上もわが国固有の領土だ」と強調し、「2024年1月にプーチン大統領が北方領土を必ず訪問する旨を述べて以来、政府として大統領による北方領土訪問が行われないよう累次申し入れてきた」「日本の一貫した立場と相いれず、断じて許容できない」「強く抗議する」などと非難。「日本国内の対ロ感情を一層厳しくし、中長期的な関係回復を困難にした。ロシア側にはこのことの重大さを深刻に受け止めてほしい」と語気を強めてもいたが、プーチンの動きを把握したのは「きょうの午後」と言っていたから、政府の情報収集能力および官邸機能に疑問符がつく事態だ。
その後、茂木外相はロシアのノズドレフ駐日大使を外務省に呼び出し、抗議したというが、コケにされ通しだ。茂木は7月下旬にマニラで開かれたASEAN(東南アジア諸国連合)関連外相会議でラブロフ外相と短時間接触したと明かしたが、クレムリンにすぐさま否定された。そうでなくても、米国のトランプ大統領が突き進んだ対イラン軍事作戦のあおりで中東情勢は混迷し、エネルギー不安解消のメドが立たないことから、高市政権はロシアとの関係修復へ傾斜を強めていたところでもあった。5月下旬に経産省や外務省幹部をモスクワに派遣。日本が権益を持つ資源開発プロジェクト「サハリン2」の取引拡大をもくろむが、不透明になってきた。
「スパイの巣窟」放置が回り回って自業自得
それにしても、内閣支持率の急落に焦る高市にしてみれば、弱り目にたたり目だ。プーチンの択捉訪問は言うまでもなく計算ずくだとして、眼目は何なのか。
北方領土問題の解決に前のめりだった安倍元首相は第2次政権を率いた18年の日ロ首脳会談で、歯舞群島と色丹島の引き渡しが明記された1956年の日ソ共同宣言を基礎に、平和条約交渉加速でプーチンと一致したと喧伝。いわゆるシンガポール合意だ。しかし、プーチンは北方領土を1ミリも譲ろうとしなかった。にもかかわらず、海軍幹部との会合で安倍を引き合いに出し、高市について「立場に違いが見られる」とくさしたという。筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう言う。
「このタイミングでの択捉訪問は国内事情によるところが大きい。第2次大戦の戦果である島上陸によって、戦勝国であったことを誇示し、膠着するウクライナ戦争でも必ずや勝利を収めるとの宣言の意味合いがあります。9月に控える下院選対策の側面はあるものの、対日強硬姿勢を崩さない中国との結束強化の材料にしたいという思惑も透けて見える。8月31日から2日間、キルギスでSCO(上海協力機構)首脳会議が開催予定で、中ロ首脳会議もセットされています。北朝鮮への技術供与のバーターで派兵も燃料供給も頼るほど窮するロシアにとって、中国と並び立つことくらいしか強国アピールの手段がない。その点で言えば、米ニューヨーク・タイムズに〈日本はロシアのスパイの巣窟〉と報じられたのは、高市政権にとって苦々しかったかもしれません。結果、税関の目が厳しくなり、ロシアへの兵器部品の密輸は容易ではなくなった。プーチン氏が嫌がらせする動機には十分になり得ます」
NYタイムズによる7月中旬の報道は衝撃的だった。ウクライナ侵攻直後に西側から追放されたロシアのスパイは、防諜も諜報も弱く、関連法制が整わない日本に移動。継戦に必要な物資を調達し、第三国を介してロシアに密輸していたという。そうした動きを探知したウクライナ当局が日本側に繰り返し情報を提供し、抑え込みを働きかけるも成果がなかったため、リークしたとの指摘もある。
だとすれば、目をつぶってきた政権の自業自得。安倍後継を自称して女性初首相に上り詰めた高市には、安倍とプーチンの怪しい蜜月外交を検証し、対ロ外交を立て直すこともできまい。遠からず、こうなることは目に見えていた。拉致問題で対峙しなければならない北朝鮮は中ロを後ろ盾にし、もはや取り付く島もない。
外交的孤立で米国隷従
お盆のこの時期、時の首相は夏休みを取るのが恒例だが、高市は最大震度7を記録した「令和8年熊本地震」の発生などもあり、休暇を公言しないまま、開店休業状態。ノホホンと過ごしていた“夏休み”に想像だにしない衝撃が走り、垂れ込む暗雲にどう向き合うのか。常套句の「危機管理」がまさに問われる局面だが、期待する方がヤボだろう。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言った。
「戦後40年に際し、西ドイツのワイツゼッカー大統領は〈過去に目を閉ざす者は、現在にも盲目となる〉と演説しました。これがそっくり当てはまるのが高市首相です。戦争加害を明確に認め、反省と謝罪を表明した村山談話をめぐり、〈私自身は当事者とはいえない世代ですから、反省なんかしておりませんし、反省を求められるいわれもない〉と国会で言い切った。30年前、30代だったとはいえ、代議士を務める見識はなく、広島や長崎の平和式典での言動を見る限り、今もって変わっていない。この国の歩みを振り返れば、きちんとした歴史認識を持たなければ、外交で立ち往生するのは当然。とりわけ高市首相の場合は外交的孤立が対米隷従に直結する。米国の言いなりで防衛力強化を急ぎ、放漫財政に由来する円安対処は日米協調介入であたり、日本版CIAの創設に躍起。戦後81年にあって、この国を米国の植民地にしようとしている。そう見えてなりません。こんな人物に国の舵取りを任せていいのか。冷静に見極めるべきです」
15日は全国戦没者追悼式が執り行われる。例年になく厳しい局面にあって、高市はどんな式辞を述べるのだろうか。