2026年8月17日月曜日

冷房設置の避難所はわずか2割/「支援金最大300万円」 全然不足倍増へ

 熊本地震から2週間が経ちましたが、いまだに断水は3万戸超で避難所の8割はクーラーなしの有様で、災害関連死が懸念されます。
 高市首相は先にごく短時間現地を訪問しご丁寧に短いPR動画を発表して何しに被災地に行ったのかと大炎上しました。
 NHKなど無批判偽善報道ばかりのなか日刊ゲンダイが健闘しています。
 同紙の下記の2つの記事を紹介します。
・冷房設置の避難所はわずか2割…熊本地震で高市首相はPR動画以外に何をしたのか
・熊本地震から2週間…被災者生活再建「支援金最大300万円」では全然足りない、

注)1番目の記事の中で、避難所から宿泊施設などへの2次避難行うことの問題点について ジャーナリストの鈴木哲夫氏が指摘しています。
 それらの指摘は尤もですが、ザコ寝状態の避難所から宿泊施設などへの2次避難』は当面の関連死を防止するために不可欠であり「緊急避難的対応」です。
 従ってその後の生活再建のための勤務や農業従事などへの利便性に対応した「第3次避難」を別途に考える必要があるという指摘であると理解します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
冷房設置の避難所はわずか2割…熊本地震で高市首相はPR動画以外に何をしたのか
                          日刊ゲンダイ 2026/08/13
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 熊本地震から2週間がたったが、いまだに断水3万戸超、避難所の8割はクーラーなし。災害関連死が懸念されるが、この内閣はこれまでの反省を生かしているのか。
 やらせのようなPR動画だけが話題になり、NHKも無批判、偽善報道ばかり。問われているのは首相の資質
  ◇  ◇  ◇
「被災地の経済再生に向け、観光需要の回復や風評被害の払拭が重要だ」
 最大震度7を記録した熊本地震の発生から2週間が経過 ─。高市首相は12日、非常災害対策本部会議でこう話し、対策の検討を加速するよう指示を出した。熊本県内では、地震発生に伴う宿泊キャンセルなどによる被害が計約60億円にも上るとみられており、夏休み期間中の観光業界にとって大打撃。風評被害の払拭も重要な課題ではある。
 ただ、一方で、今この瞬間も猛暑の中、クーラーがなく、水も不足する厳しい環境下で避難生活を強いられている被災者が大勢いる。観光需要回復、風評被害払拭も大事だが、まずは苦しむ被災者一人一人に寄り添う対策を何よりも優先すべきではないか。
 避難者は発災当初から減りつつあるとはいえ、11日時点でまだ3700人超。断水は3万戸以上に上る。
 大震災が起きるたびに問題視されるが、段ボールベッドや仕切りのない避難所もあり、いまだに床に敷いた毛布の上で雑魚寝を強いられている人もいる。
 そんな状況に加え、猛暑が被災地に追い打ちをかけている。
 熊本県で避難所に指定された小中学校の空調設置率は20.9%で、8割に冷房が未設置。車中泊をしていた70代女性が熱中症の疑いで亡くなったことも分かり、「災害関連死」とみられている。
 10年前の熊本地震では直接死50人に対し、災害関連死は、4倍以上の228人。今後、重視すべきは災害関連死をいかに食い止めるか、という点だ。

見当外れな「2次避難」推進
 しかし、高市の対応はどうも見当が外れている。3日、視察先の熊本県氷川町の中学校で被災者と面会した際、避難所から宿泊施設などへの「2次避難」を進める考えを伝達。「町外のホテルや旅館を借り上げ、順次移ってもらえる対応をしている」と説明したそうだ。確かに、避難所からホテルや旅館に移動すれば、劣悪な環境からは解放されるだろう。しかし、そこには重要な視点が抜けている。
「シン・防災論」の著者で、ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。
2024年の能登半島地震では、2次避難によって高齢者が慣れない土地で孤立し、ストレスで既往症を悪化させたり、コミュニティーが崩壊したりする問題が多発。結果的に、災害関連死につながったケースも見られました。また、現役世代でも仕事を持つ人は地元を離れるのは難しい。能登半島地震の時に被災者に取材すると、多くの人がホテルなどに2次避難するよりも、最寄りの避難所の設備を充実させてほしいと言っていました。そのためには、段ボールベッドや間仕切りといった防災グッズを各避難所に行き渡らせることが重要ですが、そうはなっていない。いまだに国の防災対策は縦割りなため、一元的で機動的な意思決定ができない。結果、満足な避難所を整えることが出来ていないのです」
 加えて今回、高市政権は初動から対応を誤っていたフシもある。
10年前の熊本地震では、政府と県が一体となった『K9(ケー・ナイン)』という対策本部を現地に設置し、うまく機能した成功事例がありました。これは、現場に『小さな政府』をつくるようなもので、意思決定を迅速にし素早い災害対応を実現したのです。能登半島地震でも活用されたのですが、今回、発災当初に高市政権はこうした組織を立ち上げなかった。過去の成功体験を生かせなかったわけです。加えて、現地入りのタイミングも早すぎた。総理が現地に入るだけで県警の警察官数百人が警備に動員され、多くの県庁職員もその対応に追われます。結果として、ただでさえ人手不足の現場のリソースを奪うことになった。現地入りするにしても、発災から2~3週間はあけるべきだったと思います」(同前)

撮影のための視察か
 その視察だって、一体何をしにいったというのか。はなはだ疑問だ。
 3日の熊本県氷川町の氷川中学校での視察は小1時間。現地で取材したジャーナリストの田中龍作氏によれば、高市は校長室で被災者と意見交換などを行ったが、避難所になっている教室の視察はわずか3分程度だったという。
 そもそも、高市が視察した氷川中は、意見交換した校長室と避難所の教室はクーラーが設置されていた。教室には段ボールベッドも用意されていて、環境が整った避難所である。
 ところが、車で5分程度しか離れていない鏡小学校で避難所となっていた体育館には、クーラーも段ボールベッドも間仕切りも当時、設置されていなかった。
 本来、被災地の実態を知るために、高市はより過酷な環境を見るべきではなかったか。田中氏によれば、地元住民からは「なんで厳しい環境の鏡小を視察しないのか」といった声が上がったという。わざわざ、環境が整った避難所に向かったのは「マスコミに劣悪な環境を見せれば、防災対応の失敗を全国にさらすことになる。だから、あえて鏡小を避け、氷川中を視察したのではないか」(田中氏)。こんな見方が出てきても不思議ではあるまい。
 一方、政権寄りのNHKは「地元の理容店が避難所で散髪のボランティア」「無料で使える洗濯機設置」なんて美談ばかり報じているが、これじゃあ現実を伝えない偽善報道ではないか

高市首相ならやりかねない
 内閣支持率の下落傾向を気にしたのかは知らないが、こんなPR動画は被災地の政治利用に他ならない。高市は首相の資質自体を問われてしかるべきだ。
 法大名誉教授で政治学者の五十嵐仁氏はこう言う。
被災地の政治利用でPR動画を作成・配信するなど普通では考えられませんが、高市首相ならやりかねない。なぜなら、彼女はネットやメディアのコントロールによる情報操作に、これまでも強い関心を示してきたからです。総務相時代には、政治的公平性を欠く放送を繰り返した放送局への『電波停止』に言及。先の国会では、昨年の自民党総裁選や今年の衆院選で、高市陣営が対立候補を誹謗中傷する動画の作成・配信にかかわった疑いも浮上しました。政権が掲げてきたインテリジェンス機能の強化と国家情報局の創設だって、市民とメディアへの監視を目的としたものとみられている。被災地対応の後手後手もさることながら、自己PRに利用しようという姿勢は看過できない。資質そのものを疑わざるを得ません」
 自己PRにばかり注力する高市に、この事態を乗り切れるとは思えない


熊本地震から2週間…被災者生活再建「支援金最大300万円」では全然足りない、倍増へ待ったなし
                         日刊ゲンダイ 2026/08/14




倒壊した自宅を見つめる男性=熊本県氷川町(C)共同通信社





 最大震度7を観測した熊本地震から2週間が経過した。県災害対策本部によれば、住宅被害は11日時点で約2万3000棟全壊、半壊ともに1000棟を超えており、3700人以上が避難を余儀なくされている。被災者の生活支援拡充は待ったなしだ。
 政府は10日、「被災者生活再建支援法」を県全域に適用すると発表。再建支援法は、住宅の被害程度に応じて支払われる「基礎支援金」と、住宅の再建方法に基づく「加算支援金」の2つからなる制度だ。例えば、自宅が「全壊」して「建設・購入」せざるを得なくなった場合、基礎支援金100万円と加算支援金200万円の最大300万円が支払われる
 しかし、世帯人数が1人の場合、支給額は4分の3に減る。自宅の損害割合が30%台の「中規模半壊」では、基礎支援金はゼロ。再建方法が「賃借(公営住宅除く)」なら、加算支援金は25万円に過ぎない。そもそも最大300万円支給のハードルが高いうえに、1人世帯は20万円足らずの支援にとどまる恐れがある。

立国維で改正案を共同提出
 問題は、支給上限額が20年以上も変わっていないこと。能登半島地震が発生した2024年1月、立憲民主党・国民民主党・日本維新の会が支援額倍増を求めて国会に提出した改正案は、継続審議の末に今年1月の衆院解散によって廃案となった。法案の筆頭提出者である中道改革連合の近藤和也衆院議員が言う。
「当時、岸田政権は法改正の代わりに臨時特例交付金制度を新設し、石川県6市町を対象に予備費から61億円を支出しました。対象地域や対象者が限定されるなど不完全でしたが、結果的に被災者の一部は再建支援金に加えて300万円が支給されることになりました。しかし、根本である再建支援法の支給上限額を見直す必要があることに変わりはない。現行は国と都道府県が支援金を半分ずつ負担していますが、国の負担を4分の3に引き上げれば、自治体の負担は現状のまま、支援金額を最大300万円から600万円に倍増できます。今後の国会で与野党一緒に整理していきたいと考えています」
 維新は高市自民と連立政権を組んでいるが、倍増に賛同していたのだから反対する理由はない。国民民主もしかりだ。
 今回の熊本地震でも、少なくとも臨時交付金のような支援拡充はマストだ。高市首相は「できることは、すべてやる」と言った以上、被災者置き去りなんて許されまい