2023年8月30日水曜日

30- 共同声明:東京都は「慰霊の公園」での死者への冒涜を阻止してください

 100年前の関東大震災の直後に、全く根拠のない「デマ」によって6千人とも言われる朝鮮人が自警団等によって大量虐殺されるという、真に忌まわしく日本人として心から恥ずべき事件が起きました。
 毎年9月1日に朝鮮人犠牲者に対する追悼式横網町公園で行われて来ました。別掲の記事で述べた通り、小池都知事になってから突然追悼文が出なくなりました。これは慰安婦問題や関東大震災朝鮮人虐殺を否定している「日本女性の会 そよ風」の主張に、小池氏が同調しているからと言われています。
  ⇒ (21.9.2) 小池百合子が関東大震災の朝鮮人追悼式典に5年連続で追悼文拒否
 それ以後毎年、横綱町公園での追悼式場に隣接する場所で「そよ風」などのヘイト(民族差別)団体が並行して集会を開き、大音声のスピーカーで「朝鮮人虐殺はなかった」などと叫んで式を妨害するようになりました。
 朝鮮人犠牲者は余りにも多数で正確な数は不明ですが「朝鮮人虐殺」がなかったというような主張はあり得ません。何よりも内閣府中央防災会議の専門調査会報告が、「自然災害がこれほどの規模で人為的な殺傷行為を誘発した例は日本の災害史上、他に確認できず、大規模災害時に発生した最悪の事態として、今後の防災活動においても念頭に置く必要がある」と指摘しています。それに加えて東京都も2020年に「そよ風」の横網町公園での集会の言動をヘイトスピーチとして認定しました。

 8月29日、学者・文化人ら約60名が掲題の「共同声明」を出しました。
「東京都は、慰霊の公園での死者への嘲笑と冒涜を許さないでください」、「ヘイトクライムの犠牲者を悼む場でのヘイトスピーチ集会を認めないでください」という趣旨のものです。
「レイバーネット日本」の記事を紹介します
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東京都は「慰霊の公園」での死者への冒涜を阻止してください
   ――朝鮮人犠牲者追悼碑前でのヘイト集会に「利用制限」適用を
                      レイバーネット日本 2023-08-29

共同声明 東京都は「慰霊の公園」での死者への冒涜を阻止してください

 今年は1923年9月1日に起きた関東大震災から100年です。この震災は、約10万5000人の死者・行方不明者を出すという歴史に残る大惨事になりました。
 震災直後には、「朝鮮人が放火をしている」「井戸に毒を入れている」といった流言を信じた民衆と軍隊が朝鮮人を虐殺しました。警察もまた流言を拡散しました。
 内閣府中央防災会議の専門調査会報告「1923関東大震災【第2編】」は、これについて「自然災害がこれほどの規模で人為的な殺傷行為を誘発した例は日本の災害史上、他に確認できず、大規模災害時に発生した最悪の事態として、今後の防災活動においても念頭に置く必要がある」と指摘し、その背景に民族差別があったことを指摘しています。つまりこの事件は、日本近現代史上最悪のヘイトクライム⇒民族差別犯罪だったのです。
 震災後、東京市は震災の死者を悼む場として横網町公園を開園しました。この公園は、戦後は東京大空襲の死者をも悼む場となりました。同公園のホームページが「慰霊と継承の公園」と定義しているとおり、中央にある慰霊堂の周辺に、いくつもの追悼・鎮魂のモニュメントが置かれています。その中には、虐殺された朝鮮人を悼む「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑」もあります。
 震災100年となる今年の9月1日は、横網町公園にとって例年にも増して特別な日です。慰霊堂では都主催の法要が行われ、関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑の前では、午前には日本の市民が主体となった朝鮮人犠牲者追悼式典が、午後には在日朝鮮人主体の同胞追悼会が行なわれます。

 ところが今年、差別主義団体「そよ風」が、同日の夕方4時半から「真実はここにある! 関東大震災朝鮮人犠牲者慰霊祭」と称する集会を、しかも朝鮮人犠牲者追悼碑の前で行うことを宣言しました。私たちは、これは許しがたい最悪の死者への冒涜であり、行動そのものが民族差別であると考えます。
 彼らは2017年以降、毎年9月1日に、この追悼碑から30メートルほど離れた場所で「関東大震災石原町犠牲者慰霊祭」と称する集会を開いています。そこでは、朝鮮人が暴動・放火・強姦を行ったという当時の流言を「事実だ」とする虚偽の主張を唱え、「犯人は不逞朝鮮人」「自衛行動や制圧行動(虐殺のこと)は正当な行為」といった発言を繰り返し、ときには巨大な拡声器を外に向け、こうした発言を公園内に響かせたりしてきました。
 この集会には、ヒトラーを崇拝するネオナチ活動家、現場責任者として関与したデモの参加者の発言が朝鮮人の殺害を煽動したなどとして東京都によって繰り返しヘイトスピーチと認定されているレイシスト活動家、ヘイト街宣によって裁判所から対象周辺での街宣禁止の仮処分を受けた人物たちが参加してきました。

そよ風」は、在特会(在日特権を許さない市民の会)に近い団体として2009年に結成されました。そのブログには、朝鮮人に対する露骨な差別表現が散見されます。
 東京都は、2020年に、「そよ風」の横網町公園での集会の言動をヘイトスピーチとして認定しています。この認定には、東京都が「適切な措置」をとるべきという人権審査会の「意見」も盛り込まれました
 関東大震災時に「不逞朝鮮人」が暴動・放火・強姦を行ったのだ、自警団の虐殺は「正当な行為」だったのだと主張する団体が、朝鮮人の殺害を煽動するような人々も集めて、「朝鮮人を慰霊する」と嘯いて集会を開く。しかも「慰霊の日」である9月1日に、「慰霊の公園」の中で、さらに彼ら自身が撤去を要求している朝鮮人犠牲者追悼碑の前で――。

 これはヘイトクライムの犠牲となった死者たちに対する、あからさまな嘲笑であり、冒涜です。集会自体が「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」(オリンピック条例)が定めるヘイトスピーチ=「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」に相当すると、私たちは考えます。「言動」とは「言葉と行い」を指すからです。
 同条例では、ヘイトスピーチが行われる蓋然性が高く、それに起因して施設の安全な管理に支障をきたす蓋然性が高い場合に、施設の「利用制限」ができると定めています
「慰霊の公園」で公然と死者を冒涜すること自体が、横網町公園の「慰霊」という機能に支障をきたし、慰霊のために公園を訪れる人々に対する精神的暴力となります。私たちは、施設管理者たる東京都建設局公園緑地部が「利用制限」の判断を下すべき時だと考えます。少なくとも、条例に基づいて人権審査会に諮問し、その意見を聴取すべきです。

 東京都は、「慰霊の公園」での死者への嘲笑と冒涜を許さないでください。
 ヘイトクライムの犠牲者を悼む場でのヘイトスピーチ集会を認めないでください。
                              2023年8月29日
                      呼びかけ人
                        加藤直樹(ノンフィクション作家)
                        坂手洋二(劇作家、演出家)
                        中沢けい(小説家、法政大学教授)
                      賛同人
                        (学者・文化人など全56人 省略)

                   声明についての連絡先 seimei1923@gmail.com
*参考サイト
「『死者への冒涜』と抗議 加害正当化団体の集会に」(共同通信デジタル版、8月28日)
https://news.line.me/detail/oa-rp70841/v65kr0dycajm?mediadetail=1&utm_source=line&utm_medium=share&utm_campaign=none&fbclid=IwAR2HnZ6kpcE3DSLkWJVNCiq2MUCqlOYPe-RD07TZQvuI1x4fxiub_-crSyc 
「関東大震災の朝鮮人追悼碑前でヘイト集会 差別団体が計画」(神奈川新聞デジタル版「カナコロ」、8月19日)
https://www.kanaloco.jp/news/social/article-1013262.html?fbclid=IwAR2DY8BxAG09ceB2J_fnSEqIUGxxaVVVRutCc6juXh27AINwvjtr0l8XkMk 
「そよ風」集会での発言を「ヘイトスピーチ」と認定した東京都総務局人権部の発表(2020年8月3日)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/08/03/12.html 
関東大震災朝鮮人被害者の追悼式典にオリバー・ストーン監督が反ヘイトのメッセージ! 一方、小池百合子知事はヘイト団体を後押し(LITERA、20年9月3日)
https://lite-ra.com/2020/09/post-5615_2.html 

 

2023年8月28日月曜日

新たな「国家総動員体制」 民生9技術・民間空港・港湾 軍事利用へ

 政府は25日、安保3文書の一環として、(1)民生技術の軍事利用 (2)民間空港・港湾の軍事利用―の推進を目的とした関係閣僚会議の初会合を開催しました
 研究開発では、9分野を「重要技術課題」に指定しました。高出力エネルギーを投射する高出力マイクロ波高出力レーザーは電波兵器・レーザー兵器につながる技術です。ドローンなどの無人兵器や、AI使用の自律兵器も含まれていて、攻撃目標の自動設定など未知の危険をはらんでいます。
「極超音速飛しょう技術」音速の数倍から十数倍で飛行し、射程3000キロ以上とされる極超音速兵器の技術基盤となるもので、長射程の敵基地攻撃兵器の主力兵器になりうるものです。まさに軍事研究最優先の姿勢がありありです。
 また沖縄など南西地域を念頭に、平時からの軍事利用を可能とする「特定重要拠点空港・港湾」を指定し、さらに、軍事利用を促進するために空港の滑走路延長・エプロン整備や港湾の岸壁・航路の整備を行うとしています。しんぶん赤旗が伝えました。
 
 これとは対照的に、国立研究機関が独立法人化してから22年経ちましたが、基礎研究費や研究者数の削減が進む中で日本の研究力は大いに低下しました。科学技術力の衰退は著しく、不安定雇用の増大、大量雇い止めなどの深刻な問題が起きています。
 26日にオンラインで開催された国立試験研究機関全国交流集会で明らかにされました。
 併せてしんぶん赤旗の記事「国立研究機関 独法化22年で集会 科学技術力の衰退 不安定雇用の増大」を紹介します。
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新たな「国家総動員体制」 民生9技術・民間空港・港湾 軍事利用へ枠組み
                       しんぶん赤旗 2023年8月27日
政府関係閣僚会議
 新たな「国家総動員体制」と言える動きが始動しました。政府は25日、安保3文書の一環として、(1)民生技術の軍事利用 (2)民間空港・港湾の軍事利用―の推進を目的とした関係閣僚会議(議長・松野博一官房長官)の初会合を開催。研究開発では、9分野を「重要技術課題」に指定しました。民生分野を大量動員するかまえです。この中には、危険な攻撃的兵器につながる技術も目につきます。
 政府は配布資料で、「民生用と安全保障用の技術の区別は極めて困難となっている」と指摘。関係省庁の民生利用目的の研究の中から9分野(表)を指定し、5~10年以内の装備化=兵器化を目標に掲げました。
 このうち、「エネルギー」分野では高出力エネルギーを投射する高出力マイクロ波、高出力レーザーを列挙。各国が開発を進めているレーザー兵器につながる技術です。
「無人化・自律化」では、ドローンなどの無人兵器や、AI(人工知能)使用の自律兵器が想定されます。AIをめぐっては、攻撃目標の自動設定など未知の危険をはらんでいます。
「機械」分野では「極超音速飛しょう技術」を列挙。音速の数倍から十数倍で飛行し、射程3000キロ以上とされる極超音速兵器の技術基盤となります。長射程の敵基地攻撃兵器の主力兵器になりうるものです。
 空港・港湾の軍事利用をめぐっては、沖縄など南西地域を念頭に、平時からの軍事利用を可能とする「特定重要拠点空港・港湾」を指定。さらに、軍事利用を促進するために空港の滑走路延長・エプロン整備や港湾の岸壁・航路の整備を行うとしています。

民生分野の軍事利用を想定する「特定重要技術」

 (1) エネルギー(高出力マイクロ波・レーザー)
 (2) センシング(高精度の測位・航法)
 (3) コンピューティング(高速・高効率コンピューター)
 (4) 情報処理(人工知能、自衛隊員の認知)
 (5 )情報通信(高速・大容量通信)
 (6) 情報セキュリティ(サイバー)
 (7) マテリアル(耐熱・軽量素材など)
 (8) 無人化・自律化(ドローン、自律兵器)
 (9) 機械(極超音速飛しょう技術)



国立研究機関 独法化22年で集会 科学技術力の衰退 不安定雇用の増大
                       しんぶん赤旗 2023年8月27日
 国立研究腰間の独立行政法人化から22年の検証をテーマに、国立試験研究機関全国交流集会(国研集会)が26日、オンラインで開催されました。様々な分野の研究者や事務職員たちが参加。効率化優先の独法化のもとで進んだ科学技術力の衰退や不安定雇用の増大など、研究現場の深刻な現状やその打開策について話し合いました。 主催は、筑波研究学園都市研究機関労働組合協議会と日本国家公務員労働組合連合会つくる実行委員会。
 公共サービスの民営化問題に詳しい尾林芳匡弁護士が講演しました。独法化について、予算を減らしたり業務を廃止したりするなど「リストラ・合理化を強要する制度」だと批判。国や自治体の病院が独法化されて〝かせぐ病院″をめざすことを強いられ、患者の負担が増え労働環境が悪化したと指摘。国立研究機関が独法化されたもとで日本の研究力低下、基礎研究費や研究者数の削減が進む実情を説明しました。
 尾林氏は、世界では多彩な国民運動によって、民営化で破壊された公共サービスの「再公営化」が進んでいると紹介。研究者に「勇気と希望をもって」と呼ぴかけるとともに、国民のために役割をどう果たしていくのかが状況を打開するカギだと強調しました。
 国立国際医療研究センターと統合されて特殊法人「国立健康危機管理研究機構』(日本版CDC)に改組される予定の国立感染症研究所の労働組合支部メンバーは、患者が少ない希少感染症の研究やワクチンの国家検定など、採算の合わない業務が軽視されて「国民を感染症から守る」という使命が果たせなくなる不安を訴えました。
 理化学研究所の労働組合の代表が、大量雇い止め問題について報告しました。

沖縄「辺野古不承認」技術的・法律的にも正しい デニー知事

 最高裁は24日、沖縄県の敗訴を意味する不当な判断を行いました。政治的案件では司法が常に政権側につくことは今や衆知の事実となりました。
 デニー沖縄県知事は、新基地建設で国が承認を求める設計変更について、「慎重な審査の結果不承認判断を行った。技術的にも法律的にも判断は正しいと主張したい」と強調し、「新基地建設に反対する思いはいささかも変わらない」と述べました。

 新基地完成まで12年余を要する上に完工後も(不等)沈下が防ぎ得ないのですから、県が設計変更を承認しなかったのは当然です。
 またデニー知事は、防衛局が行政不服審査制度を悪用し、国土交通相に不承認を取り消させるなどの「違法な国の関与」が行われたと指摘しました。この国と自治体は対等であるべきとする地方自治に反した国の関与のあり方について、「全国の自治体に必ず影響する」と述べ、全国知事会を通じて見直しを国に求めていると語りました
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技術的・法律的にも正しい デニー知事が最高裁対応を批判
  沖縄「辺野古不承認」「新基地ノー いささかも変わらない」
                       しんぶん赤旗 2023年8月26日
 沖縄県の玉城デニー知事は25日の定例会見で、県が名護市辺野古の新基地建設阻止を訴え国と争う二つの裁判をめぐり、最高裁が前日に県の敗訴を意味する不当な判断を行ったことに対し、見解を述べました。デニー知事は、新基地建設で国が承認を求める設計変更について、「慎重な審査の結果、(不承認)判断を行った。技術的にも法律的にも判断は正しいと主張してまいりたい」と強調。「新基地建設に反対する思いはいささかも変わらない」と表明しました

 設計変更を不承認とした理由についてデニー知事は、国が新基地建設の口実とする米軍普天間基地(同県宜野湾市)の危険性除去にはつながらないと改めて指摘。「新基地完成の見通しまで12年余を要することからも明らかです。普天間の一日も早い危険性除去、閉鎖・返還が図られずに、ただ工事が続けられている」と訴えました。
 国が設計変更で示す新基地工事の内容についても「技術的に確立されたものではない」と説明。大浦湾の埋め立てに必要な最深90メートルまでの海底軟弱地盤の改良工事を行える機材が国内にはなく、90メートルの工事実績もないことを紹介しました。
 デニー知事は「何度も防衛省沖縄防衛局に、説明できるのかと問いかけてきましたが、丁寧に正確な答えは得られていない。われわれは技術的にも法律的にも正しい判断のもとに主張を行っている」と述べました。
 またデニー知事は、防衛局が行政不服審査制度を悪用し、国土交通相に不承認を取り消させるなどの「違法な国の関与」が行われたと指摘。国と自治体は対等であるべきとする地方自治に反した国の関与のあり方について「沖縄県だけの問題ではなく、全国の自治体に必ず影響する」と述べ、全国知事会を通じて見直しを国に求めていると語りました

徹底追及 統一協会 研修施設拠点に訪問販売 若手2世を“実践教育”

 しんぶん赤旗のシリーズ「徹底追及 統一協会」に新しい記事が載りました(不定期)。
 茨城県土浦市に統一協会の「土浦研修センター」があり、2005年以降そこに滞在したことがある信者2世の体験談が語られています。
 そこを拠点にして『万物復帰』と呼ばれる訪問販売をしたのですが、協会は、世の中の財物をサタンから神に取り返すと信者を洗脳し、訪問販売に駆り立てました。それは年8回の頻度行われ、1回の期間は3~4週間。1週間のスケジュールで見ると、火曜日から日曜日までの6日間が訪問販売などの訓練をし、7日目は「調整日」として礼拝をするという過酷な内容でした。

 いま統一協会は東京都多摩市で約6300平方敷地に400人が宿泊できる研修施設を建設しようとしていますが、前出の信者2世は、「やはり研修施設ができると、そこを拠点に万物復帰や伝道が盛んになるのではないかと懸念しています。
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徹底追及 統一協会
研修施設拠点に訪問販売 若手2世を“実践教育”
                       しんぶん赤旗 2023年8月27日
 統一協会(世界平和統一家庭連合)が協会の研修施設で、1年にわたり“実践教育”として若い2世信者を訪問販売や伝道に従事させていた― 。本紙が入手した協会の内部資料や信者2世らの証言から、そんな実態が明らかになりました。(統一協会取材班)

 本紙が入手したのは『新成和青年のための進路ガイドブック 2022』です。協会の未来人材局が、信者2世の青年向けに出した2022年度の進路資料です。
 ガイドブックでは、茨城県土浦市にある「土浦研修センター」で研修する2世を募集しています。協会はここで2003年から「STF(スペシャル・タスク・フォース=特別任務部隊)プログラム」と称する実践教育を開始。高卒以上の信者2世を対象に1年間、共同生活をします。目的は開祖文鮮明、韓鶴子夫妻の教えを学び実践することです。

特別信仰的訓練
 教育の中心に据えられているのは、「特別信仰的訓練」です。一体どんな訓練なのか― 
 2005年以降に土浦研修センターに滞在したことがある信者2世は、「センターを拠点に『万物復帰(ばんぶつふっき)』と呼ばれる訪問販売をした」と証言します。万物復帰とは、活動資金稼ぎの物販のことです。協会は、世の中の財物をサタンから神に取り返すと信者を洗脳し、訪問販売に駆り立てます
 この2世は「集団で車に乗って移動し、訪問販売をした。布巾3枚を2000円とかで売っていた。ボランティアで売り上げは寄付するなど、うそを言って売り歩いた。実際には協会の活動費だった」と振り返ります。
 ガイドブックは、特別信仰的訓練を集中して行う期間を「路程」と呼んでいます。路程は年8回で、1回の期間は3~4週間。1週間のスケジュールで見ると、火曜日から日曜日までの6日間は訪問販売などの訓練をし、7日目は「調整日」として礼拝をするという過酷な内容です。
 ほかにもSTFでは、伝道を2週間行う内容もあります。
 ある統一協会関係者は、STFについて、こう説明します。「内的な動機付けは、信仰訓練として実施するものの、対社会的には、一会社の社員として、うそ偽りのないビジネスとして訪問販売を行った」。だますような訪問販売は2世教育にとって逆効果になるので「純粋なビジネス」としたというのです。
 ただガイドブックには、会社員として訪問販売することを記していません。「訓練に集中できる環境がある」「共に歩む兄弟姉妹との強い絆」などと、信仰強化の場であることを全面に出しています。統一協会の実践教育の一環という正体を隠した“ビジネス”というのが実態です。

多摩施設に懸念
 現在、統一協会は東京都多摩市で約6300平方メートルの敷地に400人が宿泊できる研修施設を建設しようとしています。地域住民からは、この施設を拠点に伝道が行われるのではないかと懸念する声が上がっています。

 前出の信者2世は、こう指摘します。「千葉市にある研修施設での研修では、駅前で伝道をしています。やはり研修施設ができると、そこを拠点に万物復帰や伝道が盛んになるのではないかと懸念している」

28- シリーズ「 戦争と人権」 (1)~(2) (しんぶん赤旗)

 しんぶん赤旗に「シリーズ 戦争と人権」が掲載されました。
 1回目は、「ナチスは良いこともした」といった一見「公平」で「客観的」に見える「ソフトな歴史修正主義」が広がってきていることについて、それを認めると、「戦争はいけない」「差別は許されない」といった民主主義社会の根幹をなす価値観ですら、「偏っている」「9条信仰」だとみなされてしまうことになるという警告です
 2回目は、ロシアのウクライナ侵攻を直ちに「台湾有事」の脅威に結びつけるなど、無関係なものごとを安全保障の問題にむすびつける「安全保障化」の問題です。外国人参政権は日本の「脅威」などと煽る論法は自作自演の「安全保障化」であると指摘します。
 いずれも「専門家に聞いて」解説記事にまとめるという手法ですが、大いに学ばされます。
(タイトルの (1)、 (2) 等の附番は事務局が便宜上行ったもので原記事にはありません)
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シリーズ 戦争と人権 (1)
ナチス、良いことも」は 民主主義掘り崩す危険
      甲南大学教授 (歴史社会学・ドイツ現代史) 田野大輔さんに聞く
                      しんぶん赤旗 2023年8月24日
 戦争は、多くの市民の命を奪うだけでなく、人権を踏みにじり、日常を破壊するものです。本シリーズでは、戦争をめぐって起こる人権侵害について、さまざまな角度から識者が語ります。「ナチス良いこともした」という歴史修正主義や人権侵害を助長するような発言、SNS上でまかり通っている問題について、ナチズム研究が専門の田野大輔・里吊大学教授に聞きました。

 SNSを見ていると、「ホロコーストはなかった」というような「ハードな歴史修正主義」ではなく、「ナチスは良いこともした」といった一見「公平」で「客観的」に見える「ソフトな歴史修正主義」が広がってきている様子がうかがえます。ソフトな歴史修正主義は「無害」に見えるので、多くの人に受け入れられやすい。ところが、この種の歴史修正主義は私たちの社会を支える根幹である「ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)」を弱め、民主主義社会の基盤を掘り崩している面があります。

ナチスの正体は
「ナチスは良いこともした」という人は、ナチスの政策を良い面と悪い面に切り分けて評価しています。しかし、ドイツの経済を急速に回復させたナチスの経済政策はいずれも軍備拡張に結び付いていましたし、その原資も巨額の負債や無法な略奪によるものでした。
 つまり、経済の回復だけを取り出して「良いこと」とするのは偏った見方です。また、「ホロコースや戦争は悪いことだけれど、良い面もあった」という主張にも問題があります。それは悪い意味での「価値相対主義」で、「物事には必ず良い面と悪い面があるから、それぞれ評価しよう」という姿勢のことです。
 こうした姿勢が行き過ぎると、例えば「戦争はいけない」「差別は許されない」といった民主主義社会の根幹をなす価値観ですら、「偏っている」「9条信仰」だとみなされてしまう
 良い面・悪い面を「是々非々」で考えることで、「戦争はいけないという意見も分かるし、戦争にメリットがあるという意見も分かる」といった価値相対主義に陥り、結果的にポリティカル・コレクトネスまでもが相対化されてしまうのです。

専門家が否定を
「民意」を背景に「左派的」な言説・態度への忌避感が強まる中、ポリティカル・コレクトネスに反発を抱く人が目立つようになってきています。その反発を利用する形で、マイノリティーを排除していく風潮も強くなっているように思います。
 性的マイノリティーや障害者排除の言説、生活保護バッシングといった「マジリティー(多数者)の民意」を背景にした差別的な言動が、SNS上などでまかり通っています。この状況は危険であり、看過できません。
 今、ポリテ才カル・コレクトネスヘの反発から生じる危険な言動に歯止めをかけることが求められています。「逆張り」の主張に「それもそうだな」となびいてしまう人を減らすには、各分野の専門家が「これは違います」とはづきり否定しなければなりません。正確な知識を提供することによって「逆張り」言説を抑えることが出来る筈です。 
                              (聞き手 島田勇登)

シリーズ 戦争と人権 (2)
外国人排外主義巡る 安全保障神話と現実
         早稲田大教授(社会学) 樋口直人気に聞く
                      しんぶん赤旗 2023年8月26日
 「外国人参政権を認めれば町が乗っ取られる」ー。排外主義による根拠のない外国人への人権侵害と安全保障の関係について早稲田大学の機□直人教授に聞きました。

 ロシアのウクライナ侵略以降、「台湾有事」が強調されるようになりました。ウクライナ戦争を受けて今度は台湾だというように、全く関係がないにもかかわらず安全保障の問題として対応することを「安全保障化」といいます。この「安全保障化」の□実に使われたのが南西諸島、とくに与那国などの八重山地方でした。

極右の自作自演
 極右政治家やネット右翼などの排外主義者たちは外国人参政権の反対キャンペーンを行った際、国境の町も反対していると根拠の一つにしました。国境は脅威にさらされていると主張したのです。
 与那国町議会では、外国人参政権反対の決議を採択していますが、極右団体「日本会議」が当時、与那国町議員だった糸数健一町長ら関係議員に、参政権に反対する意見書を採択しろと出した号令に従って行われた背景があります。い自作自演で安全保障の問題がつくられていったのです。
 外国人排斥を正当化する究極の論理は安全保障です。歴史を振り返れば敵性国」への処遇をめぐって多くの悲劇が引き起こされた史実からも明らかです。

根拠のない主張
 戦争による人権侵害を考える上で、本来主題としなければならない問題は、在日コリアンをめぐる差別がいまなお続いていることです。在日コリアンたちは、戦後補償の一環として外国人参政権を求めてぎました。          
 かつては、自民党の政治家でも戦争責任の文脈を無視できないとある程理解を示していました。しかし、民主党政権下で外国人参政権付与法案が提出されたとき、野党だった自民党は安全保障を持ち出し、外国人参政権は「脅威」になると主張し始めました。
 国境に隣接する与那国島は、牧畜と漁業、観光などの限られた産業しかなく人口は縮小する方でした。130票とれれぱ町議会議員になれるから、参政権が実現したら外国人が大量に移住し、島の政治を握らて国境の島を乗っ取れるというのです。
 この時に念頭に置かれたのは、在日コリアンではなくて基本的に中国籍の人です。政府が語る「脅威」は中国人民解放軍との関係ですが安全保障化}の中では「脅威」として日本に住む中国人が浮上してきたのです。
 安全保障と日本に住む外国人を結ぴつける根拠はありません。安全保障上の脅威などとして持ち出すこと自体が排外的な動きを促進します。要するに安全保障ゲームの中で人権をもてあそんでいるわけです。

 安倍政権以降極右の新興勢力が政権内部にいる中で必要以上に影響を持ち、外国人政策をゆがんだ方向に進めています。その勢力がいる限り、安全保障に関する神話のような主張がなくなることはないでしょう。ただ、長期的な視点で見れば、今国会で既立した改定入管法をめぐって、外国人政策を市民が監視し、一定の影響力を持つ前となった点で大きな意味があります。人権を掲げた市民運動が大きな力を持ったことに、私はかすかな希望を持っています。 (聞き手 田中智己)げた市民運動が大きな力を持ったことに、私はかすかな希望を持っています。 (聞き手 田中智己)