2023年8月28日月曜日

新たな「国家総動員体制」 民生9技術・民間空港・港湾 軍事利用へ

 政府は25日、安保3文書の一環として、(1)民生技術の軍事利用 (2)民間空港・港湾の軍事利用―の推進を目的とした関係閣僚会議の初会合を開催しました
 研究開発では、9分野を「重要技術課題」に指定しました。高出力エネルギーを投射する高出力マイクロ波高出力レーザーは電波兵器・レーザー兵器につながる技術です。ドローンなどの無人兵器や、AI使用の自律兵器も含まれていて、攻撃目標の自動設定など未知の危険をはらんでいます。
「極超音速飛しょう技術」音速の数倍から十数倍で飛行し、射程3000キロ以上とされる極超音速兵器の技術基盤となるもので、長射程の敵基地攻撃兵器の主力兵器になりうるものです。まさに軍事研究最優先の姿勢がありありです。
 また沖縄など南西地域を念頭に、平時からの軍事利用を可能とする「特定重要拠点空港・港湾」を指定し、さらに、軍事利用を促進するために空港の滑走路延長・エプロン整備や港湾の岸壁・航路の整備を行うとしています。しんぶん赤旗が伝えました。
 
 これとは対照的に、国立研究機関が独立法人化してから22年経ちましたが、基礎研究費や研究者数の削減が進む中で日本の研究力は大いに低下しました。科学技術力の衰退は著しく、不安定雇用の増大、大量雇い止めなどの深刻な問題が起きています。
 26日にオンラインで開催された国立試験研究機関全国交流集会で明らかにされました。
 併せてしんぶん赤旗の記事「国立研究機関 独法化22年で集会 科学技術力の衰退 不安定雇用の増大」を紹介します。
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新たな「国家総動員体制」 民生9技術・民間空港・港湾 軍事利用へ枠組み
                       しんぶん赤旗 2023年8月27日
政府関係閣僚会議
 新たな「国家総動員体制」と言える動きが始動しました。政府は25日、安保3文書の一環として、(1)民生技術の軍事利用 (2)民間空港・港湾の軍事利用―の推進を目的とした関係閣僚会議(議長・松野博一官房長官)の初会合を開催。研究開発では、9分野を「重要技術課題」に指定しました。民生分野を大量動員するかまえです。この中には、危険な攻撃的兵器につながる技術も目につきます。
 政府は配布資料で、「民生用と安全保障用の技術の区別は極めて困難となっている」と指摘。関係省庁の民生利用目的の研究の中から9分野(表)を指定し、5~10年以内の装備化=兵器化を目標に掲げました。
 このうち、「エネルギー」分野では高出力エネルギーを投射する高出力マイクロ波、高出力レーザーを列挙。各国が開発を進めているレーザー兵器につながる技術です。
「無人化・自律化」では、ドローンなどの無人兵器や、AI(人工知能)使用の自律兵器が想定されます。AIをめぐっては、攻撃目標の自動設定など未知の危険をはらんでいます。
「機械」分野では「極超音速飛しょう技術」を列挙。音速の数倍から十数倍で飛行し、射程3000キロ以上とされる極超音速兵器の技術基盤となります。長射程の敵基地攻撃兵器の主力兵器になりうるものです。
 空港・港湾の軍事利用をめぐっては、沖縄など南西地域を念頭に、平時からの軍事利用を可能とする「特定重要拠点空港・港湾」を指定。さらに、軍事利用を促進するために空港の滑走路延長・エプロン整備や港湾の岸壁・航路の整備を行うとしています。

民生分野の軍事利用を想定する「特定重要技術」

 (1) エネルギー(高出力マイクロ波・レーザー)
 (2) センシング(高精度の測位・航法)
 (3) コンピューティング(高速・高効率コンピューター)
 (4) 情報処理(人工知能、自衛隊員の認知)
 (5 )情報通信(高速・大容量通信)
 (6) 情報セキュリティ(サイバー)
 (7) マテリアル(耐熱・軽量素材など)
 (8) 無人化・自律化(ドローン、自律兵器)
 (9) 機械(極超音速飛しょう技術)



国立研究機関 独法化22年で集会 科学技術力の衰退 不安定雇用の増大
                       しんぶん赤旗 2023年8月27日
 国立研究腰間の独立行政法人化から22年の検証をテーマに、国立試験研究機関全国交流集会(国研集会)が26日、オンラインで開催されました。様々な分野の研究者や事務職員たちが参加。効率化優先の独法化のもとで進んだ科学技術力の衰退や不安定雇用の増大など、研究現場の深刻な現状やその打開策について話し合いました。 主催は、筑波研究学園都市研究機関労働組合協議会と日本国家公務員労働組合連合会つくる実行委員会。
 公共サービスの民営化問題に詳しい尾林芳匡弁護士が講演しました。独法化について、予算を減らしたり業務を廃止したりするなど「リストラ・合理化を強要する制度」だと批判。国や自治体の病院が独法化されて〝かせぐ病院″をめざすことを強いられ、患者の負担が増え労働環境が悪化したと指摘。国立研究機関が独法化されたもとで日本の研究力低下、基礎研究費や研究者数の削減が進む実情を説明しました。
 尾林氏は、世界では多彩な国民運動によって、民営化で破壊された公共サービスの「再公営化」が進んでいると紹介。研究者に「勇気と希望をもって」と呼ぴかけるとともに、国民のために役割をどう果たしていくのかが状況を打開するカギだと強調しました。
 国立国際医療研究センターと統合されて特殊法人「国立健康危機管理研究機構』(日本版CDC)に改組される予定の国立感染症研究所の労働組合支部メンバーは、患者が少ない希少感染症の研究やワクチンの国家検定など、採算の合わない業務が軽視されて「国民を感染症から守る」という使命が果たせなくなる不安を訴えました。
 理化学研究所の労働組合の代表が、大量雇い止め問題について報告しました。