2024年8月28日水曜日

日本の食糧危機はすぐそこ 輸入に依存し国内農家潰したツケ

 長周新聞が掲題の記事を出しました。
 過剰といわれてきたコメが突如「足りない」と騒ぎになっています。6月末時点の民間在庫量は前年に比べて41万トン少ない156万トンと過去最低水準を記録しており、商品棚がほぼ空になったまま「いつ入荷するかわからない」というスーパーも出ています。
 当然コメの価格は大幅に上昇しました。
 政府は「昨夏の猛暑による不作」を理由にしていますが、根本的な要因は田んぼを潰し続け、農家の赤字を放置してきた結果、高齢化で離農が加速していることにあります。それなのに政府は「需要は減少する」として来年度も生産量を増やさない姿勢です。そして「コメはひっ迫していない」として、膨大な「政府備蓄米」を放出しようとはしません。
 何故こんなに国民生活の実態と乖離した感覚になれるのでしょうか。
 それどころか政府は昨年も「田んぼを潰せば手切れ金を出す」(1回限り)という政策を打ち出し、それに750億円を計上しました。
 そして国産米の不足に乗じてカリフォルニア米への置き換えを進め、農家に打撃を与えようとしています。

 岸田政権は、米国にいわれるままに「経済安保政策」を進めてきました。数々の対中輸出禁止品目を定め中国敵視政策を隠しません。友好を旨とすべき隣国であり且つ最大の貿易相手国である中国を、敵国と見做すとは一体どういうことなのでしょうか。
 もしも「対中戦争」が始まり 中国近辺のシーレーンが閉じられれば、たちまち食糧に窮し飢饉状態に陥るのは日本です。そもそも主食のコメこそは「食料安全保障の要」です。そこを見落として43兆円で無用有害の米兵器を整えてみても日本の安全など決して保障されません。
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店に行ってもコメが買えない! 日本の食糧危機はすぐそこ 気づいたときには後の祭り 輸入に依存し国内農家潰したツケ到来
                          長周新聞 2024年8月22日
 過剰、過剰といわれてきたコメが突如、「足りない」と騒ぎになっている。今年の新米がほぼ出そろう10月までまだ2カ月近くあるが、6月末時点の民間在庫量は前年に比べて41万トン少ない156万トンと過去最低水準を記録しており、商品棚がほぼ空になったまま「いつ入荷するかわからない」というスーパーも出ている。流通関係者らはコメ確保に奔走しているが、「まったくない」という。品薄にともなって価格も上昇中だ。政府は「昨夏の猛暑による不作」を理由にしているが、根本的な要因は田んぼを潰し続け、農家の赤字を放置してきた結果、高齢化で離農が加速していることにある。さらに各地で毎年起こる災害がそれに拍車をかけている。だが、現状を踏まえてなお政府は、「需要は減少する」として来年度も生産量を増やさない姿勢を示している。「今年がもし不作なら来年はコメ騒動だ」という現場の危機感とは乖離した悠長さだ。

いびつな食料輸入依存体質への警告
 西日本のある大手ディスカウントストアでは、コメの商品棚がほぼ空の状態が続いている。「現在、お米の原料不足により新米まで原料が保てない商品がございます」として、ほとんどの商品で「1家族1点まで」と販売制限をかけている。それでも5キロ袋から2キロ袋にいたるまで、ほとんどが売り切れ状態だ。1キロ700円近くする商品や、無洗米など少し高めの2キロ袋がわずかにあるだけ。この店舗では週に2回入荷する予定だが、入荷日に本当に商品が入ってくるかどうかは不明だという。
 別の大手ディスカウントストアでは、入荷の見通しがなく、コメの販売はほぼなくなっている。コメのコーナーには、白米の2キロ袋が数袋残っているだけで、もち米や玄米などの売り場になっている。西日本で大手のスーパーの店頭でも並んでいる商品はごくわずか。空いた商品棚にパックご飯をずらりと並べていた。ある消費者は、コメを購入したくて店員に入荷時期を尋ねると、「注文しても入荷しない状態で、いつ回復するかわからない」という返答だったと話していた。このスーパーでは10キロ袋は取扱いが中止になっているという。
 日頃の取引状況もあるのか、チェーンによっては西日本産米の5キロ袋が入荷されているところもあり、ばらつきはあるものの多くの店頭で品薄状態になっている。「お米の原料不足のため、供給がひっ迫しております」「欠品・品薄が発生しております」「供給状態が不安定なため、商品が入荷しない場合があります」など、各店舗のコメ売り場にはポップが並び、消費者にコメ不足を訴えている。
 小・中学校はまだ夏休みで、家に子どもたちがいる分、いつも以上に食料が必要な時期。「今日はコメを買って帰ろうと思っていたが、2キロを買ってもすぐになくなるし、どうしようか…」とわずかに残った商品の前で悩む家族連れや、「コメがない!!」と驚いてしばし立ち止まる家族連れの姿も見られる。
 価格も上昇している。スーパーでいつも同じ銘柄を購入しているという女性によれば、以前は5キロ1980円ほどだったものが2080円になり、2800円まで上がっていたという。別の男性も「いつも買う5キロ袋は1500円くらいだったのが、2700円になっている。“政治改革”などといっているが、まずみんなの生活を何とかしてほしい」と怒りを込めた。
新米の価格高騰は必至 流通業界も戦々恐々
 コメ不足がニュースになり始めたのは5月以降だが、コメ流通業界では、今年に入ったころから不足が騒がれ始めていたという。
 業界関係者は「すべての銘柄でコメがない。コシヒカリの新米が本格的に出始めるのがあと1カ月後くらいで、ヒノヒカリになると11月頃になる。コメがひっ迫しているから売上を上げるチャンスだが、売る物がない。主要なお得意さんの食堂やホテル、施設、病院などに納品する在庫を切らしてしまうと、取引を打ち切られてしまうので、スーパーや米穀店からの注文を半分くらい断り、新米が出そろって品不足が解消されるまでは在庫を温存するようにしている」と話した。
 「今、在庫を持っている農家があれば業者は言い値で買いとる」というほど、現場では不足感が増している。しかしコメ不足を報じるニュースの最後には必ず政府の「ひっ迫していない」というコメントがついている。「ひっ迫していないから政府備蓄米は放出しない」という意味だ。あまりにも乖離した感覚に、現場からは「その情報はどこから得たのか?」「ということは、価格引き上げのためにだれかが持っているということなのか?」との声も上がっている。
 こうしたなかで農家の元には「コメがないか」という問い合わせがあいついでいる。ある農家は「ここ最近、知人から連絡が入ってくるのは、すべて“コメはないか”という話ばかりだ。合計すると50袋(1袋30キロ)近くになる。直売をしているので保管している量は決まっている。この時期になるとないものはない。これでまた、緊急輸入のような話にならないかと心配だ」と話した。
 全国で最初に出回る宮崎県産の新米が盆前に出始めたが、その時点で1俵(60キロ8000円値上がりしていたという。宮崎県産の新米は1俵2万4000~2万5000円で取引されており、山口県産の新米も1俵2万円をこえると見込まれている。
 業界関係者の一人は、「新米がすべて出そろう10月になれば物がない状態は一応解消されるが、新米は10キロ当り1000円以上上がる見込みだ。これからはスーパーの店頭でも10キロ5000円が当たり前の世界になって、特売で2980円などはなくなると見ている」と話した。
 米穀店の店主も「銘柄などにこだわっていないので、今のところなんとか注文分は入荷しているが、宮崎の新米は高すぎて仕入れていない。新米は2万円前後の取引になりそうだという。コメ屋としては新米が出てきた後が怖い。値上げするしかないが、お客さんにどれだけ価格転嫁できるだろうかと不安だ」と話した。

米国産米への置換えも 増産せず輸入増やす政府
 この状況にあっても政府には生産強化に舵を切る姿勢も、政府備蓄を強化する姿勢もみられない。
 それどころか昨年度の補正予算では「田んぼを潰せば手切れ金を出す」(1回限り)という政策を打ち出し、それに750億円を計上している。まだまだ田んぼを潰すつもりだ。そのなかで見逃せない動きとして指摘されているのが、国産米の不足に乗じてカリフォルニア米への置き換えが進んでいることだ。
 コメ流通関係者は「大手の総菜企業がカリフォルニア米を使い始めたということだ。円安なので価格はあまり変わらないが、味自体は悪くない。大手が使い始めれば追随してそちらに流れていく企業も出てくるのではないか」と指摘した。米菓(あられ・せんべい)の原料不足で業界団体がMA(ミニマム・アクセス)米を低価格で安定的に供給するよう要望する動きもあり、米国産うるち米の成約状況は、23年4~6月の103トンから、24年4~6月は2839トンへと28倍も拡大している。相当量がMA米に切り替わっていることを示している。
 それはすでにスーパーの店頭にも流入している。70代の女性は「先日、コメを探して数店舗回ったが、国産は5キロ3000円をこえる物ばかりなので手が出ず、あるスーパーでカリフォルニア米が4キロ1680円で売っているのを見つけて2袋買った」と話した。4キロ1680円ということは、5キロに換算すると2100円。国産米が5キロ3000円前後の水準になっているなかで割安だ。近年、米国産米の輸入価格は国産米より高値になっている。それが国産より低価格で販売されているのはなぜか? である。
 農業関係者の一人は、「これまで買い叩かれてきた国産米の価格水準が上がることは、赤字で農業を続けてきた農家にとって喜ぶべきことだが、もし輸入米がそれにとってかわれば、ますます国内農業が疲弊していく」と警戒感を語っていた。
 そもそも、「日本人のコメ離れ」「過剰在庫」を騒いで国内の作付け面積を減らしながら、MA米77万トン(玄米換算)を毎年輸入し続けてきたのが日本政府だ。本来は低関税を適用して、輸出機会を保障するというだけの約束であり、他国は全量買い入れなどしていないが、アメリカの要求に従って日本政府だけが「最低輸入義務」だといい張って全量買い続けている。そして、入札にかけてもだれも買わないので飼料用に回し、差損を埋めるために毎年税金を700億円も投入してきた。
 1993年の凶作を契機に、国内増産に向かうのではなく輸入が自由化されていった経験を踏まえて、この動きへの警戒感は高まっている。

農業経営体20年で半減 コメ不足の要因とは
稲刈りをする農家。農機具から肥料まで生産資材が高騰しても価格転嫁できず、高齢化も加わって各地で稲作農家の戸数は減少している。
 今回のコメ不足の原因として、昨夏の猛暑でコメどころの新潟や福島をはじめ東北・北陸地方で高温障害が発生し、小粒になるなど収量・品質が低下したことがあげられている。
 業界関係者によると、とくに業務用に回る価格帯の安い「中米」の量が少なかったという。その一方でコロナ禍が明けて訪日外国人が押し寄せており、東京や大阪などの都市部の外食産業でインバウンド需要が増大したこと、すべての食品が値上がりするなかで比較的上昇幅が緩やかだったコメを食べる人が日本国内で増えていることも要因の一つとされている。令和5年産だけを見れば、主食用生産量661万トンに対して需要量は702万トン41万トン足りなかったことになる。
 しかし、一番の原因は減反を続けてきて、もともとの作付けが少ないことであり、加えて農家の高齢化で年々、生産者が減少していること、というのはコメにかかわる人たちの共通認識だ。
 今になって「不作だった」と猛暑のせいにしているが、令和5(2023)年産米の作況指数は101で平年並みだった。猛暑の影響があったにせよ、とりたてて不作だったわけではない。ただ、農水省が人口減少などを理由に、主食用米から飼料用米などに作付け転換を進めており、そのせいで23年産の主食用米の収穫量が過去最低レベルだったのは確かだ。生産縮小策に加え高齢化で生産量が急減していくなかで、わずかな需要の増加、というよりコロナ以前の規模に需要が戻ったことで混乱が生じたといえる。
 70年代から「コメが過剰だ」「米価を安定させるためだ」といって減反政策を続け、2018年に減反政策を終了した後も、主食用米から他の作物への転作を推進し続けており、水稲の作付け面積は1961年の約313万ヘクタールから、2023年には約153万ヘクタールと、60年前と比べると2分の1まで減少している【グラフ①参照】。













 農業従事者の平均年齢はすでに68・7歳(2023年)。農業経営体数は2005年の約200万経営体から、2024年には約88万経営体へと半分以下にまで減少【グラフ②参照】しており、生産基盤崩壊のスピードが加速している。
 主食のコメは食料安全保障の要であり、戦後すぐには、食管法の下で政府が農家から生産費に見合う価格で買い上げ、消費者には安い価格で販売するという仕組みをとっていた。その当時を知る農家に聞くと「1俵1万8000円から2万円だった」という。
 しかし、93年の「冷夏による凶作」を理由にした韓国やタイからの緊急輸入、同年のガット・ウルグアイラウンドでのコメ輸入自由化をへて95年に食管法を廃止し、米価に市場原理を導入した結果、米価の下落が続き、ひどいときには1俵8000円程度という年も発生し、そのたびに農家が廃業していった。
 「農業は手厚く保護され過ぎている」という言説とともに、長年にわたる農家の苦境が放置され続けてきたところに、コロナ禍やウクライナ戦争という世界的な状況の変化が襲い、農業の実態はいよいよ厳しくなっている。電気代、肥料・農薬、運賃などすべてが値上がりしており、稲作でみると、2020年では稲作農家が1年働いて手元に残る所得は1戸平均で17・9万円、時給は181円だった。それが2021年、22年は所得は1万円、時給10円というところまで来ている。国民の命の根幹を支える主食でありながら、政府による価格保障もないなかで、多くの農家は赤字状態でも代々受け継がれてきた農地を荒らさないために、なんとか踏ん張っている状態だ。
 今年、コメの作付けをやめた高齢農家も多く、「地域内で元気な農家が一手に引き受けているが、それも70~80代。1人で請け負うには限界の面積だ。あと1人でもやめたら山に返すほかない」「今、地域内の農家数を考えると、あと五年もすれば数人しか残らないのが目に見えている。コメの自給率を維持し続けることができるとは思えない」といった声が各地で語られている。
 それに追い打ちをかけているのが、毎年起こる豪雨や台風、地震による災害だ。農地の災害復旧は、あくまで私有財産ということで、補助は出るが自己負担が発生するため、「今からお金をかけてまで農業を続けられない」と高齢農家が農業をやめていく契機になっている。災害復旧に時間がかかり過ぎ、1年後にようやく本格的な復旧工事が始まるという状態のなかで諦める農家も出ている。
 ある農家は、「毎年どこかで災害が起こるが、復旧にお金と時間がかかる問題はどこも同じではないか。もともと農業は赤字で、最近は肥料や農薬が値上がりし、食管法の時代と比べると感覚的に倍近くになっていると思う。それなのにコメ代は1俵1万2000~1万3000円と昔より低い。そんな状態で続けてきた高齢農家が今から資金を投じてまで復旧できない。今年はコメどころの山形県などが被災しているが、こうして全国で農家がやめていくのを放置すれば、いざというとき本当に食べる物がない日本になるのではないか」と語っている。
 世界的には食料危機が現実的なものになっている。中国などは有事に備えて政府備蓄を増大すべく世界の穀物を買い占めている。この深刻な状況のなかで、農家への支援策は出さずに潰れるに任せ、有事には罰則付きで強制的に増産させるとしているが、そのころには生産する農家がいないのが現実だ。
 今回のコメ不足は、現在の日本がわずかな変化で食料の供給が滞る危うい状態にあることを改めて浮き彫りにするものとなっている。
関連記事
「世界で最初に飢えるのは日本――食の安全保障をどう守るか」 東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授・鈴木宣弘氏が下関市で講演
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/31383 

岸田政権立ち腐れてお色直し 統一教会も裏金もケジメなく総裁選

 長周新聞に掲題の座談会記事が載りました。

 岸田政権の様々な問題点が多角的に論じられています。
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【記者座談会】岸田政権立ち腐れてお色直し 統一教会も裏金もケジメなく総裁選 現状突き破る勢力の台頭を
                         長周新聞 2024年8月26日
 自民党総裁の任期満了にともなって、9月12日告示、27日投開票で自民党総裁選がおこなわれようとしている。民主党野田政権の自爆解散ともいえる大政奉還によって自民党安倍政権が返り咲きを果たし、そこから長期にわたって私物化政治をくり広げた後、菅義偉、岸田文雄と政権のバトンをつないで12年。支持率低迷のもとで解散を打つこともできず、現役総理大臣が行き詰まって再出馬の道を断たれたもとで、一方では何を思ったのか「今がチャンス」「我も我も」と権勢欲をこらえきれない面々による後釜争いが勃発している有様である。岸田政権の立ち腐れ状態とともに、近年の日本の政治状況について記者たちで振り返ってみた。

ワンポイントリリーフ終了 米国の番頭役
  盆休み最中の14日、岸田が唐突に記者会見で「自民党が変わることを示す最もわかりやすい最初の一歩は、私が身を引くことだ」と退任表明した。昨年から解散総選挙をいつ打つのかタイミングを伺っていた節はあって、全国的に選挙区再編地域などでは自民党候補者の公認を巡って大慌てで調整などもしていたが、結局のところ岸田政権の延命はならず、総裁任期3年を満了しての退任に追い込まれた。
 岸田本人からすると、もっと総理大臣ポストに酔いしれたかっただろうし忸怩(じくじ)たるものがあるのだろうが、如何せん支持率が低すぎて、このまま突っ込んだときには次の総選挙で相当に反動をくらうであろうことは一目瞭然。自民党としては何とかトップの顔をすげ替えて、イメージ刷新で乗り切ろうということなのだろう。しかし、自称総裁候補とやらの11人もまたパッとするのがおらず、メディアが「脱派閥のはじめての総裁選!」とか煽ったところで、「誰がやっても一緒じゃないか…」と世間は冷めている。そんな空気感が支配的ではないか? しらけている。
  さながら「毒にも薬にもならない男」の退場といったところだろうか。「総裁任期3年のワンポイントリリーフが終わりました」とアナウンスされているような光景だ。「ワンポイントリリーフ」――まさにそれ以上でも以下でもない。つつがなく経団連や大企業、アメリカに忖度した政治をこなしてお役御免。そして、「次はボクに!」「次はわたしに!」と順番待ちのなりたがりたちがはしゃいでいるのだ。
 総裁選に11人も色気を見せているというのは前代未聞で、本当にこれといったタマがいないことを感じさせるものでもある。誰でも彼でも感が漂っているというか、アメリカと経済界の使い走りくらい安倍晋三でも麻生太郎でもできたし、「ボク」や「わたし」でもできると思っているかのような光景だ。
 この国の総理大臣は対米従属の鎖につながれた植民地の番頭にほかならないし、大企業に奉仕するのを生業とする。その際に多少の私物化をやっても、安倍晋三みたく無罪放免でなんら処罰されることもない。それは、この12年で露骨に見せられてきたことではないか。民主党の変節も含めてどの政党の誰が総理大臣になろうと、誰に尽くしているのか考えたら構造は変わってなどいないのだろう。
  誰が総理大臣になっても実行される政治が同じなら、失礼な話が日本の総理大臣なんて猿がやっても同じなのではないかとすら思う。いたらない私物化をしない分、まだ害が少ない。最高意思決定機関である日米合同委員会で決められたことを官僚機構を通じて実行し、アメリカから突きつけられる年次改革要望書を粛々と実行することを常とし、その後もアーミテージ&ナイ・レポートだかで指示されるままの政策を実行するのが政府というなら、そのトップが誰であろうと大差ない。むしろ、何も深く考えずに突っ走る者の方が番頭役としては好まれるのだろう。安倍晋三が最長政権などともてはやされていたが、要するにそういうことだ。
  岸田政権3年のみを振り返っても仕方ないように思うが、この3年で起こった出来事といえば、安倍晋三が統一教会に恨みを持つ信者二世に銃殺されて、そこから統一教会の政界汚染問題が明るみになったり、自民党清和会(安倍派)を中心とした裏金問題が暴露されたり、政治の腐り果てた実態をこれでもかと見せつけてきた。しかし、統一教会問題も裏金問題もなんのその。騙して誤魔化して、結局のところ何一つ清算もされぬまま首のすげ替えで次の総選挙に挑もうというのだ。
 裏金議員たちもそのまま公認をもらうのだろう。統一教会に世話になっている壺議員たちもそのまま出てくるのだろう。国会議員の秘書として100人をこえる信者を送り込んでいるというが、まったく真相解明もされぬまま今日に至っている。すべてはうやむやだ。統一教会との関係にせよ、裏金問題にせよ、槍玉に挙がったのは主に安倍派・清和会ではあるが、自民党としてケジメをつけるわけでもなく、波風立てずにやり過ごす対応に終始した。
 とくに安倍晋三の再登板以後に顕著だが、政治家の私物化とか腐敗、疑惑について、そのたびに世間を巻き込んで大騒ぎになるが、結局のところやり過ごしていくというのが常態化している。以前なら議員辞職に追い込まれてもおかしくない案件でも、黙って逃げ回って、そのうち世間は次の関心に飛びついていくというのを待っている。統一教会問題や裏金問題でも、自民党最大派閥だった清和会の影響力が削がれたというだけで、それ以上でも以下でもない。統一教会なんていまだに解散すらしていないではないか。もともとが水面下でこっそり手を握っていたわけで、「今後一切関係を断ち切りました」といったところで誰が信じるのかだ。信者でもあるまいし。

対中軍事包囲網強化に注力 国内では「防衛増税」
  岸田自身は3年前の総裁選で、「所得倍増」とか「新しい資本主義」を叫び、「国民の声を聞き政策に反映」「聞く力」「岸田ノート」とかいって出てきたが、なんのことはない。資本主義は資本主義で、「新しい」も「古い」もない。そのままだ。そうして、歴代政権が否定してきた敵基地攻撃能力の保有や防衛増税を決定したり、原発についても次世代型原発への立て替えや運転期間60年超への延長を盛り込んだ「最大限活用」に舵を切ったり、マイナンバーカードへの誘導であるとか、粛々とアメリカ及び大企業の番頭として政策を実行してきたに過ぎない。
 これは岸田政権の3年に限った話ではなく、安倍政権やそれ以前からの継続でもあるのだが、とりわけ軍事的には米中の覇権争いがたけなわになるなかで、中国包囲網の一翼としてアジアにおける鉄砲玉にされる体制が強まってきた。自衛隊は米軍の二軍として指揮下に入れられ、九州地方や西日本、南西諸島ではミサイル基地配備などが一気呵成で進められてきた。対中国で日本列島が不沈空母として鉄砲玉にされる体制だ。
 基地問題を名護の辺野古だけに釘付けにしておきながら、岩国基地などは極東最大の米軍基地になったし、南西諸島や九州地方でも自衛隊配備や基地増強、弾薬庫配備などがあちこちで進められてきた。佐賀のオスプレイ配備でもそうだが、きわめて強権的に防衛省がごり押ししているところだ。東日本ではあまり実感がないかも知れないが、九州地方や西日本に暮らして、そうした軍事施設整備を目の当たりにしている者にとってはひしひしと実感するものがある。
  安倍晋三のときの安保関連法案のごり押しからこの方、国是であった非戦の誓いを投げ捨てて「戦争のできる国」にして、その戦争とはアメリカの引き起こす戦争に巻き込まれるだけというバカみたいな構造でもあるわけだが、そのような体制作りが真顔で進められてきた。「日本人の生命と安全を守る」とは真逆の方向だ。安保すなわち安全保障といいながら、むしろ安全が保障されない方向に事態は突き進んでいる。台湾有事などというが、何かことあればウクライナ同様、緩衝国家としてアメリカの代理で中国と軍事衝突させられかねない危険性がある。米中の矛盾のなかに入り込んで、米国に与してミサイルを向けるということは、同時に標的としてミサイルを向けられることも意味するわけで、これのどこが安全保障なのかだ。物騒極まりない。
  そうした軍事的脅威をことのほか煽ったうえでの防衛増税であり軍備増強だ。防衛増税についても、要は米軍需産業から大量の武器を売りつけられる関係にほかならない。日本の国家財政がカモにされて、戦争をし続けないと経済が回らない国・アメリカ、軍産複合体に貢がされるのだ。ウクライナで大量の武器・弾薬を消費し、イスラエルによるパレスチナ攻撃でも大量の武器弾薬を使い、軍需産業は発狂乱舞している。バイデンも大統領退任後はブタ箱に放り込まれるのではないかという米政界の動きもあるが、傍らで小銭稼ぎをする政治家もいる。
 こうして人々が血を流すことでドルを稼ぐ連中が、平和ではなく戦争を欲し、それがまたビジネスになっている。戦争でも今時は正規軍以上にブラック・ウォーターとかの民間傭兵企業の存在感が増しているほどだ。プロの戦闘員を擁するこうした軍事作戦請負企業がイラク戦争にせよウクライナにせよ乗り込んで、荒稼ぎする構造にもなっている。戦争や紛争がないと稼げないし、平和とか平穏であっては困る人たちというのがいる。「戦争狂い」と表現しても問題ないと思う。
  20年くらい前は拉致問題とも絡めて「北朝鮮が攻めてくる!」みたいなことを真顔でメディアが煽って、「だから防衛費を上げなければ」とやっていたが、近年はもっぱら中国の脅威を煽っている。最近では北朝鮮がミサイルを発射しても慣れっこというか、「また撃ったんだね」的な反応が多いように感じるが、それよりもなによりも中国の脅威の方が強調されている。ただ、「台湾有事」といっても日本は当事者でもないし、それは中国の国内問題だ。これに武力参戦などしようものなら、国際的にもたいへんな問題になる。しかし、「台湾有事は日本有事」などと政治家が発言し、思考が「中国と闘って台湾を守る日本」になりきっている。あくまで台湾と中国の問題であって部外者なのにどうかしている。
 そもそも冷静に考えてみて、中国と日本は隣国でありながら、なぜミサイルを向け合う関係にならなければいけないのか? だ。いまや経済的にも中国は輸出入ともに依存度が高く、日本経済にとってなくてはならない相手なはずだ。経済的にはアメリカ以上にアジア圏の依存度が高いし、近隣諸国との友好平和がなにより大切なものだ。それなのに、アメリカの尻馬に乗ってやたら中国に噛みつく。これは好き嫌いではなく、落ち着いて考えてみてバカげている
 戦争するというが、中国からの物流が止まったら食料はどうするのか? とか、細々考えてみたらいかに非現実的であるかは誰でも想像がつくことだ。コロナ禍一つ見てもわかるように、中国からの物流が止まればマスク一つ手に入らないのが日本社会の現実だ。中国からのコンテナ便を競うように奪い合っていたではないか。そのように相互依存の関係にあるわけで、常に友好平和な関係を築いて、何か問題が起これば外交によって解決するほかないのだ。
  米中の覇権争奪が激化しているなかで、どのような立ち位置で関わるのかが日本社会の行方とも関わって重要な分岐点になっているのではないか。第二次大戦でスクラップ&ビルドをやったものの、資本主義の相対的安定期は早くに終わって、その後は新自由主義で無茶苦茶してきたが、G7をはじめとした資本主義体制が一周回った国々の没落が始まっている。アメリカにしても国内はガタガタで、いまや「世界の警察官」どころではない。いつになるかは不明としてもドル覇権すなわちパクスアメリカーナの終了が近づいている。そのもとでもがき苦しんでいる関係だ。
 一方で、皮肉にも資本主義の次男坊ともいうべきかつての社会主義国・中国が共産党一党独裁のもとで資本主義を導入し、影響力を広げている。およそ15億人の人口を擁し、市場としてもきわめて大きい。新興国のインドも加えて、まだまだ資本主義の未開の地・フロンティアを秘めている地域を開発していく一帯一路が動き、「アジアの世紀」が到来しようとしている。必然的に世界覇権の座は移行していくし、そうなるほかない。資本主義の不均衡発展の法則とでもいうのか、このタイムラグはどうしようもないものだ。西側諸国としては、資本主義が没落・消滅に向かう過程で、次なる社会の展望が求められているところで、これはこれで問われている。
 このなかで、没落するアメリカに抱きつき心中みたくひきずり込まれ、なんならアジアのなかのイスラエルみたく孤立していくのか、それとも独自外交を展開して近隣諸国と友好平和な関係を築き、豊かな未来をつかみとりにいくのかだ。武器を抱えて「武士は食わねど高楊枝」でにらみ合うよりも、「アジアの世紀」のなかに身を投じて役割を果たす方がはるかに日本の国益にかなっているはずだ。ミサイルを撃ち合って日本列島が焦土と化すなど日本の国益から考えてもあり得ないし、どこの売国奴がそんな道を選択するのかだ。

宙に浮く「安全保障」 未曾有の災害でも国動かず
  とはいえ、現実には自民党政権のもとで対米従属一辺倒の売国奴の選択をしている。安倍晋三からこの方、一して進められてきたのはこういうことだ。アベノミクスなどといって異次元緩和をやりまくったが、社会全体には行き渡らず、金融市場で外資をはじめとした金融資本にテラ銭を供給したというだけだ。円キャリートレードで金利の低い円で資金を調達して、世界を股にかけてカネもうけできるのだから、投機資本からしたら安倍晋三様々なのだ。
 しかし、これとて少し日銀・植田が利上げをほのめかしただけで株価は暴落するなど、いつまでもそのままなわけではない。市場最高値までいったが最後、いつ暴落してもおかしくないのが現実だ。何が新NISAかだ。リーマン・ショックと同じように「ミセス・ワタナベ」がカモにされるだけなのだ。
  世界的にはウクライナ戦争やイスラエルによるパレスチナ攻撃などが起き、円安と物価高で国民生活の窮乏化はたいへんなことになっている。ガソリン代も高騰、電気代も高騰、食料も軒並み高騰、コメもスーパーの棚から消えて、見つけても5㌔㌘2500円とかの高値だ。そして税金も上がるばかり。世界のなかでも「貧しい日本」化が進み、安いからインバウンドで外国人が押し寄せるが、だからといって日本人の暮らしが上向くわけでもない。
 そして能登半島がそうであるように、地震に見舞われたり、豪雨災害でひどい目にあっても棄民が平然とやられ、政府というのは「国民の生命と安全を守る」ために機能しなければならないという当たり前の営みが放棄されている能登半島の実情については今週末から本紙も取材に入って、現地の実情を生々しく報道していくことにしているが、れいわ新選組の山本太郎が8月初旬に現地入りして発信している内容を見るだけでも、まるで放置されていることがわかる。なにが「安保」かだ。国民の安全を保障するなど、これっぽっちも考えていないことが災害対応一つとっても如実に浮き彫りになっている。
  自民党総裁選で何かが変わるわけではなく、それは総選挙前のお色直しみたいなものだ。パッとしない11人のなかから、果たして誰が最終的に立候補して誰が総裁になるのかだが、「誰がなっても同じ」なのは変わらず、そのもとで総選挙を迎えることになる。ただパッとしないのは野党も同じで、立憲民主党の党首選で大政奉還の張本人である野田に出馬要請する動きなどを見ていると、ちょっと苦笑してしまう。いわゆる野党とか革新などと標榜する連中のなかにもまがい物やインチキがいて、これらが支配の枠のなかで支柱になっているという側面もある。総じて茶番なのだ。そうして、野党にも信頼が乏しいからこその自民党支配が続いてきた
 しかし、さすがにここまできて限界を迎えているというか、とくに直近の各種選挙で露呈しているのは、保守層こそが自民党離れを起こし始めていることで、何も相談したわけでもないのに共通現象となってそうした特徴があらわれている。それで「岸田ではもたない…」となっているのが新総裁、新総理大臣の誕生でもつのかだが、小泉劇場の如くメディアがプロパガンダを仕掛けるにしても超ウルトラC級の「自民党をぶっ壊す!」みたいなのはおらず、この没落を食い止めるのは無理なのだろう。
 そこで誰がカネを出しているのか、維新とかの第二自民党勢力が補完勢力として用意され、目くらましをしつつ、なんとか連立で頭数だけはどうにかする体制になっているようにも見える。それも含めた自民党のお色直しが粛々と進行中といったところなのだろう。得体の知れない政党が唐突にSNSを利用しながら台頭したり、近年の選挙は「だれがカネを出しているのだろう?」と思うような勢力が降って湧いたり奇々怪々だ。
 権力者にとってもっとも台頭して欲しくないのは山本太郎率いるれいわ新選組であることは疑いないが、次の総選挙を経て「国会議員20人」を目指すという挑戦がどこまで現実のものになるかは注目だ。地道に全国で街頭行脚を展開し、有権者と語り合って政治活動を展開しているが、政治不信がすさまじいなかで、選挙に行かない5割にリーチをかけることができるかが要になる。何度選挙しようがその課題は同じで、何度も何度も跳ね返されながら、しかし何かの拍子でドーンと爆発的に飛躍するというのはスポーツとかトレーニングでもままあることだ。「挑戦なき者に成功なし」というし、ジワジワと国会議員を増やしつつある今、飛躍の選挙になるのではないか。
  政治は誰のために、何のために存在し、何をしなければならないのか。こうした矜持など持ち合わせていない政治家が溢れ、やれ反日カルトに物心両面で支援を受けていたり、裏金をせっせとポケットに入れていたり、どうしようもない腐敗堕落が眼前に広がっている。余計にでも政治不信を増大させて、選挙に行かない人を増やしているのかと思うほどだ。
 こうして選挙に行かない5割が6割になり、残りの限られた人々のなかで組織票を固めて一等賞をとれば権力にありつけるというものだ。だからこそ、政治不信をぶち破る政党、政治家の台頭が切実に求められている。国民の暮らしのために粉骨砕身する政治家など一度として見たこともないが、そんな政治家なり政治勢力があらわれないことにはどうにもならないのではないか。政治的には先ほどから論議してきたように、対米従属一辺倒からの脱却がきわめて大きな現実的テーマになっている

自民党議員も怯えている ポエム進次郎は本気で「自分はやれる」と思っているのか

 次期自民党総裁には小泉進次郎が就く可能性が大きいようです。
 しかし党内で枢要とされる地位についた経験もなく、それなりの知性や能力を有しているわけでもないのに なぜ彼なのでしょうか。それは「進次郎なら選挙の顔」になるからです。
 まさに「国にとってそれが良い」からではなく「自分にとって都合が良い」から総裁を選ぶという、議員たちの「利己主義」に拠るものです。
 でも経験、力量、資質のどれをとっても評価できない人間が首相になったらひどいことになるのは明らかなので、ボロが出る前に「一気呵成」に総選挙に入ると見られています。
 問題はその後です。真っ先に海外の元首たちに彼の力量を見抜かれることになります。彼が外交の場でどんな風に対応し、何を演じようとするのか想像もつきません。
 内政について同様です。何の構想も持っている訳ではないので、「これから勉強します」とでもいうのでしょうか
 日刊ゲンダイは「自民党議員も怯えている」と書いています。
 恐ろしいことになりそうです。
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自民党議員も怯えている ポエム進次郎は本気で「自分はやれる」と思っているのか
                           日刊ゲンダイ 2024/8/26
                        (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 下馬評では小泉進次郎が一歩抜けているが、この事態に肝を冷やしているのは他ならぬ自民党だ。人気にすがって、祭り上げているものの、乏しい経験で総理が務まるわけがない。国より自分の選挙のために軽い神輿を担ぐ無責任と身勝手な大博打。もちろん大マスコミも同罪だ。
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 自民党総裁選が世にもおぞましい展開になってきた。何がおぞましいかというと、ここにきて、「本当に進次郎になっちゃうのか」と皆がビビりだしてきたのである。もちろん、小泉の経験、能力に疑問符がつくからだが、恐ろしいのはそれでも「大本命」の流れが変わらないことだ。
 疑問符がつく候補者であれば、投票しなければいい。別の候補者を選べばいい。単純な話なのに、そうならないのは、「進次郎なら選挙の顔」になるからだ。
 次の選挙での生き残りを考えたら、無能だろうが、経験が浅かろうが、国民的人気がある進次郎を担いだ方がいい。とまあ、こんな調子で、「しょうがねえか」みたいなムードになりつつあるという。だから、早期解散論が出回る。ボロが出る前に「やっちまえ」ということだ。
「私も党内のそうした空気を聞きました。自民党議員の多くは本当に小泉進次郎総裁、首相が現実になったら、岸田政権以上にひどいことになると思っている。経験、力量、資質とどれをとっても裏付けるものがないからです。でも、そこはみんな目をつむり、馬脚を現さないうちに選挙になだれ込めばいいと思っている。中身は空っぽでもイメージで“刷新感”を出せればいいんですよ。つまり、小泉氏は選挙の道具でしかない。こんなことで国を動かす首相を選んでいいのか。長く政治記者をやってきましたが、自民党の惨状は末期症状というしかありません」(政治評論家・野上忠興氏)
 今度の総裁選が前代未聞なのは立候補者の数だけではない。その醜悪さと刹那さこそが前代未聞なのである。

短命だと思われるとますます孤立化
 それにしても、ここで素朴な疑問が浮かんでくる。小泉進次郎自身は本気で首相をやりたいのか、ということだ。まだまだ先の話と思っていたのではないか。それが担ぎ出され、「引くに引けない」展開になったように見える。彼自身にも「誤算」なのではないか。そんな疑問だ。
 周囲は無責任に「人寄せパンダ」を担ごうとしているが、担がれる方にも覚悟がいる。まして、首相の重責たるや、経験者しかわからないものだ。前出の野上氏は「小林鷹之氏がいち早く出馬表明したことで、小泉氏にしてみれば、ここで出なければ埋没するという危機感があったのだろう。本命視されて、いまはその気になってきたのではないか、単純な男だから」と言った上で、「しかし、政治はそんな甘いもんじゃない」とこう付け加えた。
「あの安倍晋三元首相ですら、権力の座を上るときは不安になり謙虚でした。覚えているのは小泉政権で幹事長になった2003年。閣僚経験もないのに、いきなり幹事長に抜擢されたときです。しみじみ、“俺でいいのだろうか”と言っていました。小泉氏は党三役も重要閣僚も経験していない。いきなり、総裁、総理は荷が重すぎますよ」
 首相補佐官を経験した政治家にも「小泉に首相が務まるか」を聞いてみた。
「経験不足で厳しいでしょうね。首相官邸には毎日、毎日、各省庁から報告が上がってくるんです。それに対するイエス、ノーのジャッジを求められる。各省庁出身の秘書官、補佐官などの官邸スタッフが10人近くいても、彼らは責任を取らないので、自分に都合のいいことしか言わない。結局、最後の判断は首相に任されるのです。孤独だし、とてつもない重圧です。老獪な官僚相手に渡り合える経験や胆力が必要なのは言うまでもありません。小泉さんにはそうした経験が少ない。だから、胆力にも不安がある。加えて、周囲に選挙までの短命政権だと思われたら、ますます、孤立を深めていくと思います」
 進次郎にマトモな神経があるなら、今回は出ない方がいいんじゃないか。それが本紙の老婆心だ。

修羅場をくぐり抜けてきたのが父親、純一郎
 進次郎の場合、父親の純一郎元首相が「50歳までは総裁選に出るな」と諭していたとされる。これも一理ある話だ。元国会議員で政治史研究家の中島政希氏はこう言った。
「何も年を取っていればいいというものではありませんが、マックス・ウェーバーの言葉に、『政治家は権力という悪魔と手を結ばなければならない。ファウストの悪魔も年をとっていく』というのがある。悪魔と渡り合うには経験に基づく胆力や見識が必要なのです。また、この胆力は権力闘争によって培われるので、もともと2世議員は弱い。やはり、豊富な閣僚経験による見識や党役員経験に基づく人間関係、それによって培われる人脈や胆力が必要最小条件だと思いますね」
 父親の純一郎はああ見えて、首相になる前に厚生相や郵政相、森派の会長などを歴任、野党との人脈も誇っていた。宮沢内閣の時は閣僚を辞任して、退陣を迫ったし、「加藤の乱」のときはYKKといわれた仲間の加藤紘一、山崎拓を潰して、森元首相を守った。いわば、修羅場をくぐり抜けての首相就任だったのだが、一方の進次郎は何もない。党務は筆頭副幹事長くらいだし、閣僚経験は環境大臣(原子力防災担当兼任)だけだ。
 で、自民党の間では菅前首相がバックについて、自身が官房長官や首相をやったときの官僚などを側近につけ、ドリームチームで進次郎を支えるプランなどが飛び交っている。中には菅自身が官房長官として復帰するなんて、絵空事まで囁かれている。

自民党は与党としての矜持を失っている
 進次郎では頼りないから、みんなで支えてゴマカしていく。軽~い進次郎は神輿に乗っかっているだけでよい。そんなシナリオを真顔で語る自民党関係者もいるのだから、ビックリだ。
 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「だったら、総裁選なんてやる必要はない。誰でもいいわけですからね。もともと、この総裁選は次の首相を選ぶのでもなければ、次の総裁を選ぶ選挙でもない。次の選挙の看板を選ぶだけの投票でしょう。そんな総裁選なのに、さも、“次のリーダーは誰か”みたいな演出がなされ、大メディアがそれに乗っかっている。国民をバカにした話です。自民党は次の選挙で負ける。その負けを少しでも減らしたい。そのための看板は誰にすればいいのか。藁にもすがる議員たちがその藁を探している。それだけの選挙じゃないですか。中身、能力、資質は問わず、刷新感だけ。藁はちょっとだけ浮いていればいい。だから、小泉進次郎氏が本命になるわけでしょう? 自民党は政権与党としての矜持を失ったように見えます」

 進次郎はまだ立候補の表明もしていないし、何をやりたいのかも語っていない。とはいえ、世論調査でも人気は断トツ、本人もその気、議員たちも刹那の生き残りに右往左往。異様なムードになりつつある。
「岸田首相が総裁選に出ない理由は裏金問題のケジメでした。だとしたら、新しい総裁は裏金問題や統一教会への対応で選ぶのが最低限のルールでしょう。推薦人に裏金議員がいれば論外、政治資金の疑惑がある人も駄目、統一教会に関わった人もアウト。そのうえで政治とカネの改革にどれだけ厳しく踏み込めるのか。そこを見極めなければいけません」(五十嵐仁氏=前出)
 もちろん、踏み込めば議員票は離れていく。だから、軽い神輿が重宝がられる。この総裁選は自民党、最後の宴に見えてくる。

28- ウクライナ戦争の永続(田中宇氏)

 田中宇氏が掲題の記事を出しました。
 田中氏は、ロシアのプーチンはウクライナ戦争を今のテンポで5年以上続けるようとしているのではないかと述べています。その間にプーチンは、BRICSや上海機構、G77+などとして結束し 米国に依存しない非米・多極型の世界システムの構築を、着実に且つ有利に進めることが出来ると考えているのだと見ています。
 要するに米国の単独?覇権主義は簡単には退場しないだけでなく、それなりに「非米組織」の成長を妨害しようとするので、ウクライナ戦争を継続しつつ徐々にその道を整備しようとしているということです。
 ウクライナにとってこれほど迷惑な話はありませんが、元々 米国と歩調を合わせてドンバス地区へのロシア侵攻を煽った責任はウクライナにもあります。
 ウクライナ戦争を引き起こした米国の本心が一体何であるのかをもう一度考えて、ウクライナは今後の針路を判断すべきでしょう。
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ウクライナ戦争の永続
                  田中宇の国際ニュース解説 2024年8月27日
最近、ウクライナ戦争がずっと続くのでないかと思い始めている。「ずっと」とは、5-25年とか。
これまでは、トランプが米大統領に返り咲いたら和平交渉を仲裁して停戦和解を実現するとか、ゼレンスキーが習近平に頼んで和平交渉が始まるとか、ロシア軍がオデッサなどに進軍・占領してウクライナが分割されて戦争当事者がいなくなって終わるとか、いろんな戦争終結への道が予想されていた。
NATOとロシアの直接交戦に発展して、核戦争の第三次世界大戦になる説もありえた。
Kursk Attack Derailed Partial Ceasefire Deal習近平がウクライナの停戦を仲裁しそう

しかし、露軍がドンバスからオデッサの方に占領を拡大していかない現状や、8月6日からのウクライナ軍のクルスク侵攻へのロシアの対応を見ていると、プーチンのロシアはウクライナ戦争を膠着したままできるだけ長期化したいのだろうと感じられる。Ukraine Sends One Of Largest Ever Drone Attacks On Russian Capitalノボロシア建国がウクライナでの露の目標?

2022年春のウクライナ開戦は、米欧(米国側。G7やNATO)が、ロシアやその仲間たちを徹底的に経済制裁し、世界を、露敵視の米国側と、露敵視に乗らない中国などBRICS・非米側とに決定的に分裂させた。
それまでの世界は、経済も政治も、英米がこの200年間で作ったシステムで動いていた。米国側のシステムが世界を席巻・支配しており、新興諸国や途上国は米欧にピンハネされっぱなしだった。米露の国際経済システム間の長い対決になる

米国が理不尽な侵攻や政権転覆を乱発した2001年以降のテロ戦争や、米国中心の金融システムが崩壊(ゾンビ化)したリーマン危機以降、中露など非米側は、米覇権の衰退や不合理化を感じ取り、対策として、BRICSや上海機構、G77+などとして結束し、米国に依存しない非米・多極型の世界システムの構築を目指した
だが、既存の米国側のシステムに依存し続けた方が便利であり、非米側の独自システムはなかなか構築されなかった。

ウクライナ開戦は、こうした非米側の行き詰まりを吹き飛ばした。米覇権・米国側は衰退期に入っており、中露や非米側がウクライナ開戦後の新事態を利用して非米的な独自の世界システムを構築して移行しない限り、いずれロシアだけでなく中国など他の諸大国も、米覇権を延命させるために米国側から制裁されて弱体化されてしまう。
中露BRICSは、団結して非米的な新しい世界システムの構築と利用開始を急ぐことにした。原始的なものであるが非ドル決済体制が作られ、BRICSの拡大も実現した。
今年のBRICSサミットは10月にロシアで開かれる予定で、BRICS諸国の通貨を使った非ドル決済体制が発表されると予測されている。

ウクライナ開戦直後、露中などBRICSは、金地金や石油ガスなどの価値に依拠した「金資源本位制」の通貨体制を模索していると言われていた。世界的に、資源類の利権や保有量は、米国側から非米側に移りつつある。
だが、金地金や石油ガスの価格は、米英が管理(支配)する市場で相場が決定されている。非米側は価格決定権を奪えない。米英は、非米側の通貨体制を破壊するため、金資源類の相場を抑止ないし乱高下させる。ドルや債券の究極のライバルである金地金の価格は、ずっと前から米英当局によって抑止され続けてきた
そんな感じで、非米側のシステム構築は難問が山積しており、当初に考えられていたよりも長い時間がかかる。新システム構築の内情が漏れると米国側に対策をとられるので、非米側はシステム構築について何も語らなくなった。構築の進捗度も不明になった
BRICS共通通貨の遅延

ウクライナ戦争の態勢(米国側の露敵視)が続く限り、非米側は米国側から隔絶されたまま、独自の世界システムの構築や改善を継続できる。
逆に、和解交渉と停戦によってウクライナ戦争の態勢が終わると、非米側が米国側の世界システムを再び使えるようになる。まだ非米側より米国側のシステムの方が便利なので、非米側の一部が米国側のシステムに戻り、結束が崩れかねない

米国側システムは便利だが、非米側からピンハネする体制であり、米国が気に入らない非米諸国を勝手に経済制裁できる体制でもある。非米側の長期的な発展のためには、米国側との再統合を避け、非米側の独自システムの構築を完遂した方が良い。
だが、ウクライナ戦争が早めに終わったら、そうした理想よりも、日々の利便性が優先されて非米システムが放棄されかねない。ほとぼりが冷めたら、ロシアは再び制裁される。
それを防ぐため、プーチンはウクライナ戦争を犠牲の少ない膠着状態で永続させることを考え続けている。これは、ロシアを発展させる策でもある。
ウクライナ戦争で米・非米分裂を長引かせる

米国側は、ロシアを敵視するほど、ロシアと非米側を強化し、米国側を自滅させてしまう。米国は、この構図を知らずにロシアを敵視しているのか??。そうではない。米覇権を運営する諜報界は、この構図を熟知した上で、意図的に自滅策を続けている。
なぜか。いつもの説明になるが、米中枢(諜報界)の覇権運営勢力は、当初から、他の大国の台頭を許さない単独覇権主義者(勝利と支配が大好きなアングロサクソン・英国系)と、世界経済の発展を極大化するため諸大国が並び立つ多極型世界になった方が良いと考える多極主義(ロックフェラーとか資本家)の勢力がいて暗闘している。多極主義者は単独覇権主義者の裏をかくため、単独覇権戦略を稚拙に過激にやって意図的に失敗させる策を繰り返してきた。

暗闘の中心は、露中と米国との関係をめぐるものだ。米国(多極派)は、2度の大戦に協力する見返りとして英国から覇権を譲渡された時、国際連合を作って覇権を機関化し、国連の最上部に、露中と米英が並び立つ多極型の安保理常任理事国(P5)を置いた。
英国系は、この体制を壊すため冷戦を起こし、露中と米英を恒久対立させた。多極派は40年かけて冷戦を終わらせ、ソ連が崩壊したが、英国系は冷戦後のロシアを延々と混乱・弱体化させ、敵視し続けた。中国も天安門事件を誘発され、トウ小平は対米自立を30年先送りした。
英国系は世界が多極型に転換するのを阻止し続けた。多極派は、新たな対策が必要になった。

英国系は、冷戦後の米国覇権を金融主導に転換し、多極派はそれを甘受して10年待った後、覇権の金融化で冷や飯を食わされていた米軍産複合体を誘って自作自演の911テロ事件をクーデター的に起こし、軍産が傀儡組織のアルカイダISに各地でテロをやらせ、稚拙で過激なイラク戦争など覇権浪費の政権転覆を続発した。
2008年には、金融覇権のバブル崩壊であるリーマン危機も起きた。米国の凶暴化と覇権自滅を尻目に、露中は結束して上海機構やBRICSを作り、多極化の準備を進めた

単独覇権派のふりをして過激に稚拙にやって自滅させる多極派が米諜報界を握る傾向が強まり、米欧自滅が隠れた目的である地球温暖化対策(石油ガス禁止。非米側への利権移動)や新型コロナの超愚策(都市閉鎖で経済自滅。中国は独裁強化)、欧米のリベラル全体主義化などが連発された。
そして極めつけが、ロシアを陥れて潰すはずが強化し、非米側を結束させ、欧州やNATOを自滅させていく隠れ多極化策のウクライナ戦争だった。

ウクライナ戦争は、米国側を握る隠れ多極派と、プーチンのロシアの両方が永続化を画策している。戦争構造が長期化するほど、露中・非米側が台頭し、米国側の自滅が加速し、世界が米覇権から多極型に転換する。
ウクライナ自体は、ロシアとの勝てない戦争を延々とやらされて潰れていく捨て駒だ。ゼレンスキーが習近平やトランプに和平仲裁を頼みたいと考えていたのは事実だろう。ハンガリーのオルバンは、ゼレンスキーに頼まれて世界を回った。
だが、ウクライナを傀儡化して戦争させている米諜報界の隠れ多極派は、停戦でなく戦争永続を画策している。彼らは、ゼレンスキーを迂回してウクライナ軍を動かしてロシア側のクルスクに侵攻させ、和平の機運を潰した
West risking WWIII - Italian deputy PM対露和解を望み始めたゼレンスキー

ウクライナ軍は、米欧から支給された兵器でロシアを攻撃し続けている。米欧は、直接ロシアを侵攻している状況に近い。ロシアは、報復として米欧諸国の本土を攻撃できるが、それやると米露の世界大戦になりかねない。
実際は、ロシアが米欧の本土を報復攻撃することはない。プーチンはウクライナからの攻撃を放置するだけで、ロシア本土を攻撃するウクライナと和解できるはずがないと言って和平交渉を拒否できるDon't Expect A Radical Response From Russia To Washington's Involvement In Ukraine's Invasion Of Kursk

米欧のマスコミは、ウクライナがクルスク侵攻など露本土を積極攻撃し始めたことで、ウクライナが窮地を挽回する新境地に入ったと喧伝している。
本当は、ロシアがウクライナからの攻撃を放置する恒久化策を採っているだけなのだが、米欧が好戦的な誤報を重ねるほど、米欧からの敵視が永続化され、ロシアやBRICSは非米世界システムの構築・強化に必要な時間を長くとれて好都合だ。
クルスクを占領するウクライナ軍に対し、露軍が反撃して追い出そうとしていると、毎日ロシアで報じられている。実のところプーチンの露政府は、戦争状態の長期化を企図しており、露軍の反撃はふりだけだ。The hazards of Ukraine's incursion into Russia

しかし、このまま何週間も露軍がクルスクのウクライナ軍を追い出せないと、ロシア国内で、軍はもっとしっかりやれと苛立つ世論が出たりしないのか??。
たぶん出ない、というか、そうした世論は抑止されている。開戦から2年以上が過ぎ、膠着状態が続いているが、それについて軍や政府やプーチンの能力を批判する世論はほとんどない。
露当局は、世論操作をうまくやっている。このまま何年間もこの状態を続けられるなら、ウクライナ戦争が低強度で5年以上続くことも十分考えられる。
Ukraine’s Kursk offensive marks Putin’s third major humiliation of the war

ドナルド・トランプは、選挙に勝ったらすぐにウクライナ停戦を実現すると豪語している。私はこれまで、彼のこの手の発言を真に受けて分析記事を書いてきた。
だが現実を見ると、ウクライナ停戦はクルスク侵攻によって難しくなった
難しくなったからこそ、トランプによる停戦仲裁を望む米国の世論が強まり、ポピュリズムに乗ってトランプが、自分が当選したらすぐ停戦を成功させると豪語している。
Here’s why Russia doesn’t care about Trump

このような流れと、実際にトランプが停戦を実現できるかどうかは別物だ。トランプの目的は当選だ。当選後、頑張って仲裁しても停戦が実現しない場合、トランプの人気が急落するかといえば、多分そうでない。
米国が抱えている問題はたくさんあり、経済や違法移民など国内問題で改善があれば、支持者はトランプを称賛し続ける。