2024年12月13日金曜日

13- しばらく記事の更新が出来ません

いつも当ブログをご訪問いただきましてありがとうございます。

此度、突然私のパソコンの「ワード・エクセル」が使えなくなり(メールはOKです)、過去記事の呼び出しや新規記事の作成が出来なくなりました。 

それで解決するまで しばらく記事の更新が出来ませんので、ご了承のほどお願い致します。

2024年12月11日水曜日

日本被団協 ノーベル平和賞 授賞式

 ノーベル平和賞の授賞式が10日、ノルウェーの首都オスロで開かれました。受賞者は広島、長崎の被爆者の全国組織、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)です。
 日本被団協の代表委員の田中熙巳さん(92)、箕牧智之さん(82)、田中重光さん(84)が登壇し、メダルと賞状を受け取りました。
 田中熙巳さんはスピーチで、ロシアによるウクライナ侵略やパレスチナ自治区ガザでの戦闘に触れ、核兵器が二度と使用されてはならないとする「『核のタブー』が壊されようとしていることに限りない憤りを覚える」と話しました。

 オスロ市内でノーベル平和賞の授賞式のパブリックビューイングが行われ、多くの市民などが日本被団協の受賞を見ようと訪れました。

 授賞式の全容は下記のTBS動画で見ることが出来ます。
   ⇒ https://youtu.be/57A9nqT97NQ
 田中さんのスピーチ(約22分は画面下部のタイムバーの6つ目のマーク(33分:57秒)から始まるのでクリックしてください。
 スピーチの後は長い拍手の後に 「荒城の月」の独唱が行われます

 田中さんのスピーチなどへの反響を伝えたNHKの記事を紹介します。

追記 残念なことはこの授賞が余りにも遅きに失したことでした。「世に倦む日々」氏はこの件について痛烈に批判しています。
 日本被団協がノーベル平和賞を受賞 - ノーベル委員会とマスコミと日本国民の欺瞞
                             10月19日付)
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日本被団協 ノーベル平和賞 授賞式 海外の反応は
             NHK NEWS WEB 2024年12月11日 6時39分
ノルウェーの首都オスロでは10日、市内でノーベル平和賞の授賞式のパブリックビューイングが行われ、多くの市民などが日本被団協の受賞を見ようと訪れました。
このうちノーベル平和賞の歴代受賞者を紹介している「ノーベル平和センター」には事前に予約した家族連れや旅行者などおよそ80人が訪れ、大型スクリーンで授賞式を視聴しました。
式典で3人の代表委員にノーベル賞のメダルが手渡されると、訪れた全員が立ち上がって拍手を送り、目に涙を浮かべる人もいました。
続く田中熙巳さんの受賞演説では会場は静まり返り、核兵器廃絶の訴えをメモをとりながら聞く人もいました
演説について、地元の男性は「ことばに力があった。人々の関心が高まったことで、今後ロシアがウクライナに対し核兵器を使うのは難しくなったと思う」と話していました。
フランスから訪れたという女性は「きょう聞いたことすべてにとても感動した人類は過去にひどいことをしたと思うので、将来は改善できることを願っている」と話し、核兵器廃絶への思いを新たにしていました。
パブリックビューイングには、国際交流のためノルウェーを訪れている広島県福山市の高校生10人余りも参加し、生徒の1人は「被爆者の話を聞いた私たちが次の世代に向けていろいろな行動をとり、正しい情報を伝えていかないといけない」と話していました。

ロシア モスクワでは
10日、ロシアの首都モスクワで話を聞きました。
このうち、60歳の女性は「いま世界は核戦争の悲劇にとても近づいていると思う。理性が勝たなければ、取り返しのつかないことが地球上で起こるおそれがある」と危機感を示しました。
一方、28歳の会社員は「いまの世界の状況に対する注意喚起だと思う」とした上でロシアが核保有国であることについては「核兵器による攻撃の犠牲にならないようにするためだ」と話していました。
また、18歳の大学生は「いまの政治状況や世界の雰囲気を反映しているので関心がある」と話す一方、「核兵器は国際舞台におけるロシアの権威を示すものだ」としてロシアにとって核兵器の保有は必要だという考えを示しました。

ウクライナ キーウでは
ロシアによる侵攻が続くウクライナの首都キーウで話を聞きました。
38歳の女性は「重要なことだ。日本人は、ほかの誰も経験したことがない悲劇と痛みを経験した。核兵器の廃絶はいまは現実的ではないかもしれないが、これは非常に重要な問題で、人々は声を上げ続けるべきだ」と話していました。
また、17歳の学生は「核兵器を廃絶できる可能性はあると思う。いまは可能性はあまり高くないが、近い将来、可能になると思う」と話し、26歳の男性は「全世界が核兵器を拒絶すべきだ。人類はこのような危険な兵器を保有すべきではない」と話していました。
ウクライナは、アメリカ、ロシア、イギリスがウクライナの主権や独立を尊重し安全を約束するとした1994年の「ブダペスト覚書」に基づき、旧ソビエト時代に配備された核兵器を放棄しました。
しかし、その後、ロシアの侵攻を受けたことから、別の17歳の学生は「核兵器は非常に悪いもので、どの国にも保有してほしくないが、ウクライナが核兵器を放棄したのは、よくない判断だったと思う。結果として、ロシアがこうした状況を利用して侵攻してきたからだ」と複雑な心境を語りました。

ノルウェー 現地の人たちは
ノーベル平和賞の授賞式に出席した現地の市民は、「被爆者が身体的にも精神的にも苦しんだことや、国の補償を受けていないことなどをきょう初めて知りました。被爆者が経験したことを改めて思い出すことができ、世界にも伝えてくれてよかったです」と話していました。
また、出席したノルウェー議会の議員は「スピーチがすばらしかったです。ノルウェーでも原爆の歴史は教わりますが、実際に経験した被爆者から話を聞くことは特別だと思います」と話していました。

アメリカ ニューヨークでは
アメリカのニューヨークで話を聞きました。
このうち南部ノースカロライナ州から来た40代の女性は「歴史上の大惨事で、悲しいことだ。その背景にはさまざまな意見があると思うが、生き抜いた罪のない人たちはたたえられるべきだ」と祝福していました。
そのうえで世界各地で紛争が続くなかでの受賞に大きな意味があるとして、「なぜそんなことになったのか、そして、同じ歴史を繰り返さないことを話し合うきっかけになればと思う」と話していました。
一方、ニューヨークに住む70代の男性は、「おそらくアメリカ人にとってはあまり意味を持たないと思う。今回の大統領選挙のように、アメリカ人は分断にとらわれているし、あまり世界のことを意識していないと思う」と話していました。
ニューヨークにある日本総領事館の前では、地元の平和団体のメンバーなどおよそ20人が集まり、日本被団協のノーベル平和賞受賞を祝福して横断幕を掲げたり、ビラを配ったりしていました。
メンバーのサリー・ジョーンズさん(75)は、「1949年生まれで『キューバ危機』も経験したが、いまは想像を超えるほど危険な時代だ」と話し、核兵器を取り巻く現状に危機感を抱いていました。
そうしたなかでの今回の受賞について、「彼らは何年も前から受賞に値していた。多くの人々に影響を与え、核兵器はどこであろうと、誰に対してであろうと使われてはならないというメッセージを各地で伝え続けてきた」とたたえました。

日本政治刷新実現の条件/理念が歪んでいる日本財政(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 秋の衆院選では自公が過半数を大きく割り込むという民主党政権を誕生させた12年の衆院選以来の地殻変動が起きましたが、非自公が一枚岩でないばかりか自民以上に混迷を深めていることから、自公政権を退場させる展開にはなりませんでした。
 ウクライナ戦争で明らかになったのは1950年頃に締結されたNATO加盟諸国が米国に牛耳られている姿で、主要国の独仏でも経済的困窮から政情不安が高まり、ドイツの脱退が懸念される有様です。
 しかし対米従属では日本の方がより顕著で、米国による占領時代の体制がいまもなお「日米地位協定」や「日米安保条約」によって維持されています1952年体制)。
 植草氏は「25年は敗戦から80年を迎えるが日本は米軍占領下に置かれ続けている。日本政治変革最大テーマは日本の独立。米国が支配する日本から脱却することができるのかが問われる」と述べます。
 そして「(野田佳彦氏の)立民と(前原誠司氏の)維新の接近もささやかれる」が、「立民と維新が組むならいまの自公と大差がない。最大の共通点は対米隷属を続けること。どちらに転んでも対米隷属だけは変わらない政治体制が築かれてしまう。この最悪の方向に事態が進行しているように見える」と警告しています。

 併せて植草氏の記事「理念が歪んでいる日本財政」を紹介します。
 こちらは財務省(政府)が本予算とは別に編成した補正予算20年~23年に合計154兆円を計上)のうちの19兆円が、「政策投資銀行や政策金融公庫などの財務省天下り政府系金融機関への資金贈与」(自分たちの天下り先への法外な金の流し込み)であったことを分かりやすく説明しています。これは解説してもらわないと普通は気がつきません。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日本政治刷新実現の条件
               植草一秀の「知られざる真実」 2024年12月10日
2025年に日本政治がいかなる変革を実現するか。
大山鳴動して鼠一匹にならぬようにするには何が必要か。
2024年に大きな地殻変動はあった。しかし、この地殻変動が新しい日本政治を誕生させるのか、単なる地殻の地響きだけで終わってしまうのか。予断を許さない

自公が過半数を大きく割り込んだ。自民激減の主因は旧安倍派の激減。モリ・カケ・サクラの不祥事が続いた。アベノミクスは掛け声は大きかったが日本経済は浮上しなかった。
経済の停滞が持続するなかで大企業利益が拡大する一方で労働者実質所得が激減した。
「成長戦略」とは「大企業利益の成長戦略」、「労働者不利益の成長戦略」だった。

日本円暴落は日本が外国資本に乗っ取られるリスクを確実に高めている。
惨憺たる現状をもたらした主軸が自民党安倍派だった。その安倍派の特徴は統一協会との癒着と裏金にあった。
悪事が白日の下に晒され、自公が衆院過半数を大幅に下回った。これが2024年に生じた政治の地殻変動。

自公に対峙する勢力が一枚岩の結束を示したなら政治刷新は2024年に実現したはず。
しかし、非自公が自民以上に混迷を深めている
非自公新政権樹立より自公利権政治に参画しようとする勢力が目立つ。
これでは政権の変革が生じても本質は変わらない。利権まみれの薄汚れた政治が持続する。

根本に流れる日本政治最大の課題は「日本の独立」。1952年に見かけ上の独立を果たしたが内実は異なる。日本は米国に懇願し、米軍の日本駐留を求め、沖縄を含む南西諸島を切り棄てた。米軍は超越的な特権を保持して現在に至る
1952年体制構築を主導したのは昭和天皇だった。日本国憲法施行で天皇の政治権能は失われたはずだったが、実態として1952年体制構築を主導したのは昭和天皇だった。
結果として日本は米国の半植民地に移行。
25年は敗戦から80年を迎えるが日本は米軍占領下に置かれ続けている。
日本政治変革最大テーマは「日本の独立」。米国が支配する日本から脱却することができるのかが問われる。

本年10月総選挙で自公が過半数割れに転落。非自公が結束すれば新政権を樹立できた。
しかし、国民民主がいち早く自公にすり寄り、自公は少数与党政権を樹立。
国民民主は自公政権に加わりたいのだろう。立憲民主は政権樹立に向けての動きを示さなかった。維新は党内騒動で政権協議を行える情勢になかった。
結局、地殻が変動しただけで元の自公政治が続いている。
自公は与党での過半数確保に向けて水面下の動きを強める。野党議員が一本釣りされる。
かつて野中広務が「釣り堀屋のおやじ」と呼ばれたことがある。

立民、維新、国民から自民に移籍する意向のありそうな人物に個別接触が行われているだろう。
他方、立民と維新の接近もささやかれる。立民党首は野田佳彦。維新共同代表に前原誠司が就いた。
自民不人気の継続を見込むなら自民に接近するよりも非自公での結託が次の選挙に有利に働く。
こんな読みが働いているかも知れない。
しかし、立民と維新が組むならいまの自公と大差がない。最大の共通点は対米隷属を続けること。どちらに転んでも対米隷属だけは変わらない政治体制が築かれてしまう。
この最悪の方向に事態が進行しているように見える。

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理念が歪んでいる日本財政
               植草一秀の「知られざる真実」 2024年12月 9日
日本財政の本当の問題は財政資金の配分にある。血税の使い方がおかしいのだ。
「財政規律」という言葉が使われるが、使い方が間違っている。
政府や与党が「財政規律」を口にするとき、主張の帰結は「増税」「歳出削減」だ。
「歳出削減」で真っ先に来るのが社会保障支出。社会保障支出を削るか社会保険料負担引き上げが提案される。
財政運営を徹底的に切り詰めて実行しているなら理解もできる。しかし、現実は違う

一番わかりやすい例を示そう。
国の財政支出を包括的に知ることができるのは「一般会計・特別会計歳出純計」国の歳出全体像を知ることができる。
2024年度の数値を示す。全体は259兆円。
大きいのは社会保障支出102兆円と国債費89兆円。国と地方を合わせた社会保障給付は138兆円で80兆円は保険料収入で賄う。公費負担は55兆円で国が38兆円、地方が17兆円。










国の社会保障支出102兆円のうち公費で賄っているのが38兆円、保険料が65兆円だ。






















国債費が大きいのは満期が到来した国債の償還費が計上されているため。
償還財源の大半は借り換え国債発行で賄っている。
これ以外の支出では地方交付税交付金が22兆円、財政投融資が11兆円。
国の政策支出から社会保障支出を除いたのが「その他」で34兆円。
このうち、防衛費が7.9兆円、予備費が1.6兆円。
両者を除くと24.5兆円になる。ここにすべての政策支出が含まれる。
この金額は22、23年度が23兆円で24年度が24.5兆円でほとんど変わらない。
一般会計・特別会計歳出純計は259兆円と大きいが、社会保障、防衛以外の政策支出は1年間合計で24兆円程度である。すべての政策支出を24兆円でやりくりしている。
このなかにも存在意義の乏しい無駄な政府支出は含まれているが、予算査定で厳しい折衝は行われている。

問題なのはこれらの本予算とは別に編成される補正予算。
2020年度から23年度までの4年間に合計154兆円の追加支出が補正予算に計上された。
1年平均39兆円。1年間の政府支出を24兆円に収めているなかで1年平均39兆円もの追加支出が計上された。コロナで一気にたがが外れたと言える。
2020年度に補正予算で計上された歳出追加は73兆円。空前絶後だ。
1人10万円の給付が実施されたが、これだけが透明公正な政府支出だった。
この金額が13兆円だが、これ以外の支出は不透明極まりないものだった。
最大の支出は「資金繰り対策」の名目で計上された19兆円。内実は財務省天下り先への「資金贈与」だった。
「出資金」の名目だが、実態は政策投資銀行や政策金融公庫などの財務省天下り政府系金融機関への資金贈与。どさくさに紛れて、自分たちの天下り先に法外な金を流し込んだ。

ワクチン関連に4,7兆円。ワクチン代金は2.4兆円だったが、なんと回数にして8.8億回分だった。ワクチン接種対象人口は1億人強だろう。8.8億回分の算出根拠が不明だ。
接種代金が2.3兆円。病床確保等に6兆円。どさくさに紛れて血税の大争奪戦が展開された。
154兆円の補正予算全体が利権の塊。
この一方で社会保障支出を切り刻み、社会保険料負担の引き上げが熱烈推進されている。
このような歪んだ財政運営のことを「財政規律の欠落」と表現するのが正しい。

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 (後 略)

11- 「「軍隊とは危険な存在である。往々にして人民を護らない…どころか、人民に銃を向ける

 藤澤統一郎氏が8日+掲題の記事を出しました。
 これは1941年12月8日に日本が米国の真珠湾を対米宣戦布告が届く前に雷撃機編隊で攻撃し、開戦したことに因んでいると思われます。
 藤澤氏は、12月3日、韓国の尹錫悦大統領が「非常戒厳」を宣布したものの、「軍がこの命令に従わなかったことで戒厳令の発動を失敗に終わらせのは、成熟した軍隊の抗命であり、それは、大統領糾弾を叫ぶ圧倒的な国民世論に支えられたものであった」と高く評価しています。
 そして軍隊は危険な存在であるとして、国連の国際法委員会がニュルンベルク裁判で確認された戦争犯罪に関する法原則を成文化した、7か条の「ニュルンベルク諸原則」の第4原則が「政府または上司の命令にしたがって行為した者は、道徳的選択が現実に可能であったとき、国際法上の責任を免れない」と宣言したことを紹介し、「殺人や放火、建造物破壊など一般に犯罪とされる違法行為はたとえ上官の命令であっても免責されることはない」と解説しています。
 さらに「日本国憲法に戒厳令の制度はないのは戦前の反省を踏まえ、意識的に類似の制度も作られなかった」のであって、12年の自民党改憲草案に記載された「緊急事態条項」には、「何とか戒厳令に似たものを作ろうという狙いが透けて見えている」と述べています。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
軍隊とは危険な存在である。往々にして人民を護らない…どころか、人民に銃を向ける。為政者に従わない軍も危険だが、為政者に盲従する軍も極めて危険なのだ。
                    澤藤統一郎の憲法日記 2024年12月8日
 12月8日、けっして再びの戦争を起こしてはならないとの誓いを新たにすべき日である。あの戦争の究極の責任者は誰か。回答は幾様にもあるだろうが、天皇と軍隊の責任を挙げることに大方の異存はないだろう。民主主義の欠如と、野蛮な武力が戦争の惨禍を引き起こした。
 軍隊は危険な存在である。国防を建前にしながらも、易々と自国の人民に銃を向ける。為政者にとって、これ以上に頼もしく強力な統治の手段はない
 平時においては、軍は人民を威嚇するだけの存在に過ぎないが、非常時にはその実力を行使し武力をもって人民を制圧する。その典型が戒厳令である。いつ、何をもって非常の事態というのかは、軍を統率する為政者の一存で決まる。
 戒厳令とは、民主主義を停止して軍に全面的な統治の権限を委ねることである。民主主義が権力を制約する理念と制度である以上、権力行使に対する民主的束縛を解放する威厳令は、常に権力者にとって妖しい魅力に輝いている。
 戒厳令が施行されれば、民主主義は眠り込まされる。場合によっては永遠の眠りとなりかねない。戒厳令は民主主義の対立物というだけのものではない。民主主義を死滅させかねない劇薬でもある。
 1989年6月4日、戒厳令下の中国人民解放軍は天安門広場とその周辺に市民的自由を求めて集まった群衆に発砲し、流血の惨事を引き起こした。権力を握る中国共産党の命じるままにである。この日、人民から生まれた人民解放軍が、人民に銃を向けただけなく、実弾を発砲して、人命を奪い、自由や民主主義を求める人民の声を封殺した。この日、中国の民主主義も殺戮されたのだ。
 2024年12月3日、韓国の尹錫悦大統領が「非常戒厳」を宣布した。韓国軍に国会の包囲と制圧が命じられた。戒厳令が民主主義の停止である以上は、議会の制圧は当然のこととなる。議会内の議員の逮捕や排除も命じられたという
 しかし、軍は結局この命令に従わなかったと報じられている。これが、戒厳令の発動を失敗に終わらせた。その直接的な要因は成熟した軍隊の抗命であったが、軍隊の抗命は、大統領糾弾を叫ぶ圧倒的な国民世論に支えられたものであった

 通例、軍隊とは上命下服の厳正な規律下にある。この規律を欠いて文民統制に服さない軍隊の危険は言うまでもない。さりとて、中国共産党の命令に盲従して人民を殺戮した人民解放軍も危険極まる存在である。
 国連の国際法委員会(ILC)が、ニュルンベルク裁判で確認された戦争犯罪に関する法原則を成文化した、7か条の「ニュルンベルク諸原則」というものがある。その第4原則が「政府または上司の命令にしたがって行為した者は、道徳的選択が現実に可能であったとき、国際法上の責任を免れない」と宣言している。
 訳文の完成度が低いが、違法行為を犯した将兵は、「政府または上司の命令にしたがったのだから」という理由では免責されないのだ。
 兵の主たる任務は、殺人である。あるいは、放火であり、建造物破壊である。いずれも、一般には犯罪とされる違法行為。その任務遂行としての違法行為が、上官の命令であるからして免責されることはないというのだ。
 韓国の将兵はこのことをよく心得ていた。そのゆえの抗命であった。携えていた銃に実弾は装填されていなかったともいう。立派なものであったと思う。

 もちろん、日本国憲法に戒厳令の制度はない。戦前の反省を踏まえ、意識的に類似の制度も作られなかった。にもかかわらず、何とか戒厳令に似たものを作ろうという狙いが、2012年自民党改憲草案における緊急事態条項に透けて見えている
 その文案は、「国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、…政令を制定することができる」という、国会という民主主義の根幹をなす機関の機能を停止して、内閣が立法権まで吸収しようとのたくらみである。その危険性を見抜かなくてはならない。

 戦争は民主主義のないところに起こる。また、戦争は未成熟の野蛮な軍隊を抱えた国に起こる。12月8日の今日、中国と韓国のそれぞれの例から教訓を引き出して、他山の石としたい。 

2024年12月9日月曜日

トランプVSディープ・ステイト(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事をだしました。
〝ディープ・ステイト″は「影の政府」、「地底政府」などと訳されますが、具体的には「米国を支配する巨大資本」のことです。
 米国大統領にはディープ・ステイト支配下の人物が就任するのが通例ですが、この例外がトランプでした。如何にディープ・ステイトが巨大で且つ莫大な財力を持っていたとしても、意に沿わない大統領が出現すれば邪魔になるのは明らかです。故ケネディ大統領の不幸な例もあります。
 現にトランプは選挙期間中、一度は銃弾が僅か2、3センチ逸れたことで命拾いをし、もう一度は狙撃者が下調べをした形跡が事前に発見されたことで未遂に終わりました。それらはディープ・ステイトの存在と無関係ではなく、たとえ失敗した場合でも当人には猛烈な恐怖心を与えるのでその効果は絶大です。
 その点でトランプは真に勇気のある人物です。

 米国の恐るべき権力の基本構造がおぼろに分かる記事です。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
トランプVSディープ・ステイト
               植草一秀の「知られざる真実」 2024年12月 7日
11月5日の米国大統領選でトランプが勝利。
事前のメディア情報とは真逆のトランプが圧勝だった。共和党は上院、下院両院で過半数議席を確保、トリプルレッドを達成した。

トランプとハリスの戦いはディープ・ステイと反ディープ・ステイとの戦いの側面を有した。ディープ・ステイトとは米国を支配する巨大資本のこと。軍事・金融・多国籍の巨大資本が米国を支配する。
巨大資本は弱肉強食の米国の流儀を世界に埋め込み、世界の一極支配を目論む。One World構想=New World Order構想である。
ディープ・ステイトの牙城となっているのがWorld Economic Forum。世界支配の方策が提示されてきた。

米国大統領にはディープ・ステイト支配下の人物が就任する。
米国大統領に就任するためには共和・民主両党の大統領候補に就かねばならない。
そのための最大の必要条件は資金。莫大な資金がなければ両党の指名候補になれない。
この過程で大統領候補はディープ・ステイトの支配下に入る。

この例外がトランプだった。
トランプは自己資金力で共和党指名候補の地位を勝ち取り、本選で勝利し、大統領に就任した。
トランプはディープ・ステイトの完全支配下の人物でない。このためにトランプを排除しようとする巨大な圧力がかかり続けた
2016年の選挙ではトランプが勝利すれば米ドルとNYダウが暴落すると喧伝された。
私は大統領選直後に刊行した拙著『反グローバリズム旋風で世界はこうなる』(ビジネス社) https://hx.gd/QfBaJ でトランプ勝利を契機に内外株価が急騰するとの予測を示した。結果は内外株価急騰だった。

そのトランプ大統領が2020年選挙で敗北。バイデンが大統領に就任した。
2020年のコロナ騒動はトランプ再選を阻止するために仕組まれた謀略であった可能性が高い。しかし、コロナショックにトランプは機敏に反応した2兆ドル景気対策を一気呵成に決定。パウエルFRBは即座にゼロ金利政策を断行。
この財政金融政策対応によってコロナショックが金融危機を招くことを防いだ。この機敏な政策対応がなかったなら、世界的な金融危機と大不況が発生していたと考えられる

それでもコロナショックの代償は大きく、トランプは僅差で敗北した。
トランプに代わって大統領に就任したのがバイデン。バイデンはディープ・ステイト直結の人物。
巨大資本はいま断末魔の叫びを上げている。
本年初に『資本主義の断末魔』(ビジネス社)https://x.gd/zuHp8 を上梓した。

断末魔の叫びを上げる巨大資本が依存する利益の源泉が 戦争・ワクチン・CO2
バイデン政権の下で熱烈推進されたのがこの三者である。
ウクライナ戦争は米国軍産複合体が利益動機で創作した戦争であると考えられる。
ゼレンスキーは米国の命令に従って戦争を創作した。

コロナの目的はワクチン。ワクチンによる法外利益が計上された
地球の温度上昇主因は太陽活動と宇宙線量変化であると考えられるが、国連はCO2主犯説を提示。これに基づいて法外な財政資金が計上されている。
トランプが新体制人事を発表しているが、ディープ・ステイト収益源の戦争・ワクチン・CO2に真正面から対峙する体制を固めた
反グローバリズムの旋風がいよいよ吹き荒れることになる。
世界情勢をこの視点から俯瞰することが必要だ。

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国賊尹錫悦の〝フリメール14日" - 戒厳クーデターを黙認した黒幕の存在と思惑

 世に倦む日々氏が掲題の記事を出しました。
 韓国の尹錫悦大統領戒厳令の発令という暴挙に奔りましたが、国民と国会議員の必死の抵抗があって失敗しました。深夜あの寒空の中で敢行された韓国民の反対・抗議行動のエネルギーには驚くしかありません。日本人にはとても真似が出来ません。
 戒厳令が失敗に終わったのは韓国民にとっては大変幸いなことでしたが、尹大統領のあり方としては「無様」というしかありません。また戒厳令を実行する軍部はプロなのになぜ大統領を諫止しなかったのか、または発令に向けて必要な体制をとらなかったのかが疑問視されています。
 厳戒令は少なくとも米国の事前の了解なしには出せない筈であって、今回はむしろCIAに唆されたのではないかという見方があります。氏は検事としては優秀だったのでしょうが、政治家として素人同然だと批判されています。

 世に倦む日々氏は、「今度の戒厳令の発令は逆にCIAに唆されて踏み切ったのではないか」と見ています。「米国の意向であれば軍部も同意せざるを得なかった」の(で中途半端になったの)だと(韓国側から見れば米政府とCIAは一体)。
 そして「CIAが唆したのであれば、その狙いは戒厳令を打てば韓国の政情は大混乱となるので、どこかの段階で米軍が韓国政府と一体となって同国内の反米左派を一掃し、『台湾有事』の際に韓国が容易に参入できるようにすること」と見ています。
 これは又 田中宇氏が 12月7日)韓国戒厳令の裏読み で裏読みした、「トランプが就任後に北朝鮮の金正恩との対話を再開し、韓国と北朝鮮の和解を仲裁し朝鮮半島を緊張緩和し在韓米軍を撤退する流れを進めるうえで、尹大統領のままだと南北対話が進まないから、来年早々韓国でも大統領選挙をやって『共に民主党』が大統領と議会の両方を握る与党になることを狙った」という見方と、「米国の都合で尹大統領を失脚させる」という点で共通しています。
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国賊尹錫悦のフリメール14"-戒厳クーデターを黙認した黒幕の存在と思惑
                       世に倦む日日 2024年12月6日
激動の2024年。その師走の政局の中心が兵庫県からソウルに移った。12/3 深夜、尹錫悦が、韓国で44年ぶりとなる戒厳令を突然発し、そこから6時間後の 12/4 未明、それを翻して解除するという大きな事件が起きた。国会で多数を占める革新系野党は、戒厳令布告と同時に国会に集結、市民多数も国会に集まり、この戒厳令を解除・無効化する決議案の可決に出た。他方、大統領の指示を受けて設置された戒厳司令部は特殊部隊を国会に派遣、武装した兵士が窓ガラスを破って建物に侵入、野党党首らを拘束連行しようと図った。それに対して国会職員らがバリケードで抵抗市民も加わって兵士と揉み合いとなり、部隊を国会から追い返すことに成功した。ほどなく、午前1時に国会を開いて決議案を可決、それを見た尹錫悦が午前4時半に戒厳令解除を表明した。12月4日はフランス革命歴でフリメール(霜月)14日となる。マルクスの名著にあやかって題名を着想した

学生時代、岩波の世界を読むのが楽しみで、図書館の(ちょうど時計台の裏側に位置する)2階ロビーで、講義のない時間によく貪り読んでいた。TK生の『韓国からの通信』と藤村信の『パリ通信(プラハの春、モスクワの冬)』が連載されていた。法文学部のキャンパスには、屡々「金芝河釈放!」を要求する立て看があの独特の書体で立っていた。そこから少しして、大学生活も終わりが近づく頃、79年10月に朴正熙暗殺事件が起き、粛軍クーデターで実権を握った全斗煥が80年5月に韓国全土に戒厳令を敷き、5月下旬にかけて忌わしい光州事件が起きる。光州事件については、最近になって『タクシー運転手』とか『ソウルの春』の映画で描かれているが、それを現代史として知る若者と、実際に生の経験で知る高齢者とでは、感じ方に差があるはずで、今回の戒厳令布告が韓国の60代以上に与えた衝撃と恐怖は何如ばかりだっただろうと想像る。

12/4 の朝起きたら、Xのトレンドに事件の一晩の始終が載っていて、特殊部隊の突入をバリケードと消火器噴射で応戦した攻防戦の動画や、ハイライトとなったところの、女性報道官が兵士の銃口を掴んで取っ組み合いを演じ、気迫で撃退する動画がタイムラインに流れていた。徐台教が正確な刻々の現地情報をXで伝え、それを纏めた記事 12/4 午前11時過ぎのタイムスタンプでヤフーニュースに載せている。短い時間で迫真の様子を取材・報告・解説したジャーナリズムの生産力に舌を巻く。無能と怠惰と忖度が取り柄の日本のマスコミ記者にはとてもできない力業だ。記事に登場する市民の勇敢な行動にも敬服の念を抱くばかりで、まさに韓国民主主義の崇高なエネルギーが迸っている。戒厳軍の国会封鎖を防ぐべく、市民たちは身体を張って武装兵士の前に立ちはだかり、決死の覚悟で国会と議員を守った。先人が流血の犠牲を払って得てきた韓国民主主義を防衛した。感動的だ。


テレビを見ていたら、戒厳令の攻防で国会前に駆けつけた市民の若い女性が、こんな醜態を見せて恥ずかしいと(日本のテレビカメラを意識して)語っていた。羞悪と廉恥の精神性がビヘイビアモデルのウエイトを占める、韓国人らしい言葉で清々しく聞こえる。確かに、大統領が自分の権力闘争の目的と動機で、対抗勢力を潰すべく恣意的に戒厳令に出る強権政治は、先進国では見ない絵で、ミャンマーやバングラデシュの如きであり、先進国たるを特に意識し自覚する韓国人には堪えられない恥辱の事態だろう。客観的には、実に非民主主義的で途上国的な愚劣な姿だ。だが、そこには不思議なパラドックスとコントラストがあり、今日これほど見事で画期的なデモクラシーのドラマはない。まさに丸山真男的な理念的な民主主義が体現され、その神髄が世界の前で証明されていた。世界の人々は韓国民主主義の伝統と水準の高さを知り、喝采を送り、大いに勇気づけられたに違いな

尹錫悦はなぜ無謀な戒厳クーデターに出たのか。失敗することが分かり切っている、大義名分のない、憲法違反の戒厳令発動に出たのか。12/4 の昼からずっとその議論が続いている。戒厳クーデターが6時間で失敗に終わった結果と事実から顧みれば、尹錫悦の決断と行動は全く理解できない謎に見えるし、政治の素人が追い詰められて焦った暴走と狂態にしか見えない。傍から観察した分には、そこには何の客観的合理性もなく、勝算なく成功に繋がる条件と要素はない。日本のワイドショーと夜の報道番組は、辺真一と金慶珠をスタジオに呼び、西野純也や木村幹にコメントさせ、尹錫悦が戒厳クーデターに至った動機と理由を解説させているが、結局、それは謎だという結論で堂々巡りを繰り返している。あまりに突飛で軽挙妄動な、用意周到さを欠いた、禁断の一手の暴挙だったから、そう論評するしかないのだ。だが、尹錫悦は発狂したわけではなく、素人なりの勝算と布石はあったのだろう。

実際に、8月頃から、尹錫悦が戒厳令を敷くという観測が浮上し、野党議員がたびたび疑惑を提起しており、明確な証拠がないため「陰謀論」扱いされていたという経緯がある。今回、まさにその指摘が図星となる顛末となり、野党側はその危険性を予知し警戒していたから、深夜でも即座に国会に全員集合する素早い反撃行動に出られたと言える。火の無いところに煙は立たない。どれほど隠密に準備しても、クーデターは一人ではできず、協力者たる軍の最高幹部と実働部隊を必要とするから、狭いソウルで自ずと気配が察知される次第となったと思われる。このクーデターで注目を要するのは、関わった軍人の面々である。現在のところ、国防部長官の金容賢が計画を進言し、金容賢の陸士後輩である陸軍参謀総長の朴安洙を戒厳司令官に据え、さらに、朴安洙の部下である陸軍特殊戦司令官と首都防衛司令官の二人を作戦部隊の指揮官に配してい

制服トップである合同参謀本部議長の金承謙は、海士閥のため、この中核集団の外にいたという説明だが、軍は機械的上下構造のピラミッド組織であり、陸軍参謀総長が国防相の指示で戒厳軍司令官に就任した事実を、制服トップの合同参謀本部議長が知らないはずがない。側聞していただろう。韓国軍が深く関わって動いている。また、実際にそうでなければ、国会を含めた一切の政治活動の禁止とか、言論と出版の戒厳司令部による統制とかの措置の実効性が担保されない。もし、特殊部隊による国会制圧が成功し、野党議員の集会と決議を阻止していれば、4日中にもソウル市街に陸軍の戦車部隊が展開して、新聞社や放送局やネットプロバイダ⇒ネットプラットフォーム管理者)を戒厳軍が統制していただろう。野党幹部は逮捕監禁され、まさに民主化以前の40年前の韓国に戻った世界が出現していたと思われる。危機一髪だったわけだが、韓国軍は酔狂のような尹錫悦の暴挙に同調していた。

の点が重要である。なぜ、こんな杜撰な、どっちに転んでも韓国史の汚点となる、間違えば大量の市民を虐殺して全土を流血の海とした、無謀なクーデター計画に韓国軍の最高幹部は同意し同調したのか。尹錫悦に打診されても、理性のある、韓国の国家国民の安全に責任を持つ軍人なら、「大統領、それはできません」と断って諫めるはずだし、尹錫悦に協力などしなかっただろう。軍が協力しなければ、クーデター計画は実行に移せない。然るに、今回の謎は、なぜ尹錫悦が戒厳クーデターに出たのかではなくて、なぜ軍がクーデターに応諾したのかである。そこに焦点を当てれば問題の解は得やすい。答えは、あくまで仮説だが、尹錫悦が国防相と陸軍参謀総長にこう言ったからである。「アメリカ(米軍CIA)が了承し支持している」。こう言って"エビデンス"を示せば、国防相も陸軍参謀総長も「それなら」と納得し、最高司令官たる大統領の命令に応じる態度になっただろう。

これが私の直観と推理だが、逆に言えば、この想定以外に韓国軍トップがクーデターに同意する理由と条件がない12/14、米国務省のキャンベルは、「判断を大きく誤った」と言って尹錫悦を批判している。だが、これは表面上の形式辞令であり、アメリカは戒厳令には無関係とするアリバイ工作である。敢えて意地悪く勘ぐれば、「アメリカ政府(国務省)には打診はなかったが、CIAは裏で相談を受けた」という種明かしだろうか。再度、尹錫悦の無謀と暴走の分析に戻るが、尹錫悦の精神状態が異常で錯乱していたということはあるまい。尹錫悦には自信があったのだ。だから決行に及んだのだ。その根拠は米軍CIAのエンドース⇒裏書保証)であり、戒厳令と軍事独裁をホワイトハウスが追認するという思惑に他ならない。戒厳令が直後に国会で覆される進行を避け、2日3日、一週間と戒厳令施行の既成事実を作れば、アメリカは必ずこれを黙認するという目算があり、言質を取っていたのだろ

尹錫悦は、支持率20%を切った事実上レイムダックの大統領である。誰もが酷評するとおり、この男には政治の能力がない。政治の知識と経験がなく、政治家としての資質が欠如している。韓国の世論は尹錫悦を見限っている。その尹錫悦が大統領の地位を続けられるのは、アメリカから評判がよいからであり、日本からも好感厚遇されているという外交上の立場を標榜できているからである。韓国にとって「アメリカからの期待と評価」は何より重要で決定的な、政治家の武器となる要素らしい(日本もそうだが)。尹錫悦が自らのアドバンテージとして確信し宣伝しているのが、「アメリカとの関係」であり、「韓米日の堅固な信頼関係」であり、それを実現している立役者という自己認識だ。なので、軍にせよ何にせよ、韓国の関係者は尹錫悦の向こうにアメリカの意向を見るし、尹錫悦を米韓同盟のシンボルとして見

その尹錫悦に「アメリカも戒厳令を了承している」と示唆されれば、国防相も陸軍参謀総長も首を縦に振って謀略に追従するだろう。以上が大統領と韓国軍の謀計の内幕であるとして、それでは、本当にアメリカ(CIA)は戒厳令を事前に知っていたのだろうか。そう断言できるのか。この設問についても、政治の常識の角度からアプローチすれば答えは簡単だ。もし、尹錫悦が事前にアメリカに何も告知せず戒厳令発動に及んだ場合、それが失敗しても成功しても、アメリカを激怒させ失望させていたことは間違いなく、その時点でアメリカは尹錫悦を縁切り処分にしただろう。尹錫悦の政治生命は終わっていた。クーデターが成功しても失敗しても、尹錫悦が頼みにするところは唯一アメリカであり、アメリカが引き立て続けてくれればそれでいい。アメリカが尹錫悦の政治基盤なのだ。それが国内で四面楚歌の尹錫悦の真実であり、そこから考えれば、戒厳令を事前に連絡していないという解釈はあり得ない

それでは、もしアメリカ(CIA)が尹錫悦から「戒厳令やります」と相談を受けていたとして、なぜそこで「やめとけ」と中止を勧告しなかったのだろう。事前にアメリカに連絡が入っていたと仮定して、アメリカが承諾せず尹錫悦に中止を命じていれば、尹錫悦は諦めて撤回していただろう。仮定に仮定が重複して、実に「陰謀論」的な試論を築いて恐縮だけれど、アメリカが制止せず決行させたのには理由があると私は深読みする。尹錫悦が戒厳令を打てば、それが成功しても失敗しても韓国の政情は大混乱となる。親米右派と左派が衝突し、安定した政治体制に容易に着地することはない。アメリカは、どこかで韓国軍と一緒に介入する場面を謀慮し、左派の一掃排除に出ようと戦略を立てているのだろう。戒厳令クーデターが成功すれば、すぐにその局面となり出番となる。失敗すれば、韓国を左右激突の騒乱状態にさせ、どこかで軍事介入を狙い、結局、クーデターが成功した場合と同じ地平にする。

大胆で飛躍した想像であり、「陰謀論」の典型で極致の論だと嘲笑されそうだが、構わず言えば、アメリカがこう意図して韓国を動かす理由は、2年後に台湾有事を控えているからだ。台湾有事が始まれば、韓国軍には中国軍と交戦してもらわなくてはいけない。韓国も戦場となる。そのとき、足を引っ張るであろう韓国の左派は邪魔なのだ。東アジアの中でアメリカ(CIA)にとって邪魔なのは、韓国の左派と台湾の国民党である。日本には障害となる政治勢力はない。台湾有事に向けたCIAの政治プログラムの中で、韓国左派と台湾国民党を潰すことは、きわめて重要な目標課題となる。どのみち対中戦争を開戦すれば、韓国も日本も戦場となり、どちらも軍事独裁国家 ー 日本は大政翼賛会型だが ー となる。日本国憲法の人権規定は効力停止となる。尹錫悦が読み上げた戒厳令布告は、米CIAの正直な本音だと考えてよい。布告の「北朝鮮」を「中国」に、「韓国」を「東アジア」に置き換えて読めば、意味は容易に腑に落ちるだろう。