しかし民主党が分裂し「国民の生活が第一党」が出来るなどして、党別の委員の割り振りが変わる事態が生じたために、休会のままとなっていましたが、8月2日、約2ヶ月ぶりに衆院憲法審査会が開かれ、憲法第4章「国会」についての審査が行われました。
ここで憲法審査会のこれまでの活動を総括し、憲法改正国民投票法の持っている課題についてまとめて見ます。
◆これまでの審議の日程と審査案件の一覧
ここで憲法審査会のこれまでの活動を総括し、憲法改正国民投票法の持っている課題についてまとめて見ます。
◆これまでの審議の日程と審査案件の一覧
憲法審査会はこれまで 7回開かれて下記の審議が行われました。
第1回 2月23日 選挙権年齢・成年年齢の18歳への引下げに係る政府の検討状況
第2回 3月15日 公務員の政治的行為の制限と国民投票運動をめぐる問題
第3回 3月22日 選挙権年齢・成年年齢の18歳への引下げに係る教育問題
第4回 4月5日 憲法改正問題についての国民投票制度等
第5回 5月24日 日本国憲法の各条章のうち、第一章の論点
第6回 5月31日 日本国憲法の各条章のうち、第二章の論点
第7回 6月7日 日本国憲法の各条章のうち、第三章の論点
第1回~第4回は、政府当局から説明を聴取した後に自由討議を行いました。
(※ 参院憲法審査会もほぼ同じ期間に6回の会合を開きましたが、ここでは衆院憲法審査会について報告します)
◆第1回~第4回 政府説明の概要
各回における政府当局(関係省庁)からの説明の概要は下記のとおりです。
第1回 3月22日 選挙権年齢等の引き下げに係る政府の検討状況
内閣官房
・成年年齢引下げの法制度上の措置はまだ講じていない。
・公職選挙法や民法の成年年齢の関係法令数は現時点で338(法律:204、政令:37、府省令:97)であるが、選挙権年齢、成年年齢とは別の理由で年齢が定められているものが数多くあるため、改正を必要とする法令は法律10本、政令3本、府省令5本程度である。
・成年年齢の引下げに向けた環境整備のための施策を積極的に推進していく。
総務省
・選挙権年齢と民法の成年年齢等は一致させることが適当であると考える。
・平成21年10月の法制審議会の答申で、消費者被害の軽減などの環境整備が必要で、現時点で直ちに引下げを行うことは適当でないとされた。
・選挙権年齢の引下げのための法的措置は、内閣官房等とも連携し、法律体系全体の整合性を図りながら、適切に対処していきたい。
法務省
・公職選挙法の選挙年齢と民法の成年年齢は、それぞれ立法趣旨が異なるので必ずしも一致させる必要はない。
・むしろ、公職選挙法の選挙年齢の引下げを先行させることによって、民法の成 年年齢の引下げに向けた国民の意識を醸成した上で、引き下げることが、一つの有力な選択肢と考えている。
第2回 3月15日 公務員の政治的行為の制限と国民投票運動をめぐる問題についての政府報告
人事院
・一般職の国家公務員は、国民投票に際して行う憲法改正に関する支持・反対については、人事院規則で「政治的目的」として掲げられている項目には該当しないので、国家公務員法が定める政治的行為の制限の対象とはならない。
・国民投票運動と称し、実質的に特定政党への支持・反対を目的として、ビラや政党機関紙の配布などを行うことは、政治的行為に該当し、制限の対象となる。
総務省
・一般職の地方公務員の政治的行為の制限は、憲法改正国民投票を念頭に置かずに制度設計されている。
・憲法審査会における議論を踏まえながら、その状況に応じ、関係府省とも協議しつつ適切に対処したい。
第3回 3月22日 選挙権年齢・成年年齢の18歳への引下げに係る教育問題についての政府報告
文部科学省(小学校~高校の教育課程における憲法教育)
・新しい学習指導要領に基づき、国家・社会の有為な形成者として必要な公民としての資質を養う教育がしっかりと行われるよう努めていく。
法務省(若年者に対する法教育について)
・成年年齢の引下げに係る議論においてその必要性が指摘されている私法分野教育について、法教育の一環として取組を行ってきた。(私法:
民法・商法など)
・近時、法務局職員による私法分野教育への取組が飛躍的に増大しており、法務省では、今後も私法分野教育の一層の充実に向けて取り組む。
消費者庁(若年者に対する消費者教育)
・若年者に対する消費者教育については、早い段階から消費者としての基礎的な知識を身に付け、主体的に責任を持って意思決定を行う能力を育成していく意義がある。
・学校においては、文部科学省や教育委員会が学習指導要領に基づく消費者教育を推進するに当たり、副教材の作成や教員向けセミナーへの資料提供等を通じて支援している。
・消費者庁としては、成年年齢の引下げに向けた環境整備として、若年者に対する消費者教育を積極的に推進していく。
法務省(少年法の適用対象年齢について)
・18、19歳の者について、一律に成人と同様に刑事手続及び刑罰による処遇を行うことが適切かどうか、少年法固有の観点から検討を行う必要がある。
・現段階において、少年法の適用対象年齢を引き下げる積極的な必要性までは認められず、更に慎重に検討する必要がある。
第4回 4月5日 憲法改正問題についての国民投票制度等についての政府報告
衆議院法制局から、憲法改正国民投票法の法案提出までの経緯と、提出以降の経過について説明がありました。
(内容の説明は省略)
◆第5回~第7回の審議
第5回から憲法の各条章の審議に入り、第1章について審査しました。
第5回の審査会については、5月26日掲載の「衆院憲法審査会で各章の検証作業を開始しました」に、第6回の審査会については、6月1日掲載の「31日、衆院憲法審査会が開かれました」に、また第7回の審査会については、6月8日掲載の「7日、衆院憲法審査会が開かれました」に概要を記しましたので、そちらをご参照ください。
第5回から憲法の各条章の審議に入り、第1章について審査しました。
なお前文については、各条章の審査が終了したのちに審議することになりました。
第5回の審査会については、5月26日掲載の「衆院憲法審査会で各章の検証作業を開始しました」に、第6回の審査会については、6月1日掲載の「31日、衆院憲法審査会が開かれました」に、また第7回の審査会については、6月8日掲載の「7日、衆院憲法審査会が開かれました」に概要を記しましたので、そちらをご参照ください。