2012年8月23日木曜日

全国の原発敷地内に存在する活断層の状況

 

 

 全国の原発敷地内の活断層に関して、大雑把にまとめた記事が掲載されました。それによると「活断層が通っていない」と判断される原発はわずか5カ所に過ぎず、柏崎刈羽原発は「活断層の有無を検討中」の部類に入っています。
柏崎・刈羽原発敷地内に活断層が通っている可能性が正式に疑われるようになったのは、10日に行われた原子力安全・保安院の専門家会議においてであり、11日付の記事「柏崎・刈羽原発敷地内に活断層の可能性が」でも紹介しました。
 

 以下に産経新聞の記事を紹介します。
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原発再稼働に新たな壁 敷地内の断層「破砕帯」
産経新聞2012.8.23 

 全国の原発で再稼働に向けた手続きが進む中、原発敷地内の断層の一種「破砕帯」などが活断層ではないかとの指摘が相次ぎ、再稼働の新たな壁になってきている。経済産業省原子力安全・保安院はすでに4原発で、活断層かどうかを調べる現地調査を指示。現地調査を行う原発は今後も増える可能性がある。調査には数カ月が必要で、難航している各原発の再稼働が、さらに遅れることになりかねない。

■全原発で検証
 発端は日本原子力発電の敦賀原発(福井県)だった。専門家が、原子炉の真下を走る破砕帯が、近くの活断層が動いた場合に、連動して動く可能性を指摘。現場を視察した保安院も「活動性が否定できない」と今年4月、日本原電に現地調査を指示する事態に発展した。
 国の耐震設計審査指針では、原発を活断層の上に建設することを禁じている。断層が動けば地表面でもズレが生じ、頑丈に造られた原発施設でも破損する可能性が高いからだ。
 そのため、事業者は原発の建設前に、敷地に活断層がないことを確認している。
 しかし、東日本大震災では、活断層ではないとされていた断層が、別の断層と連動するなどして動いていたことが判明。敦賀以外の原発でも断層の危険性を指摘する声が高まり、保安院も全原発の断層を検証し直すことを決めた。

■ずさん審査?
 検証は建設時に撮影された断層面の写真や当時のスケッチ、図面などをもとに、専門家が議論する形式が取られている。
 中には建設時のずさんな審査を問題視する指摘も出ている。7月17日の専門家会議では、北陸電力志賀原発(石川県)にある断層について、専門家からは「典型的な活断層に見える」「(当時の審査は)よく通したなあ」とあきれたような発言が相次いだ。
 志賀原発のように、当時の資料では判断が付かない場合、穴やトンネルを掘って断層が動くかどうかを調べる現地調査が行われることになる。
 作業が終わる数カ月先まで再稼働することは事実上、不可能となる。
 現在も検証は続いているが、保安院は敦賀、志賀のほか、東北電力東通原発(青森県)、関西電力大飯原発(福井県)の4原発については現地調査を決定。関電美浜原発(福井県)、同高浜原発(同)、日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(同)も、専門家から現地調査の必要性を指摘する意見が出ており、保安院が近く判断することになる。

■「動く」と廃炉
 現地調査の結果、破砕帯などの断層が「動く」と判断されれば、事態はさらに深刻だ。地表面のズレに耐えられるように建築物を補強する技術はなく、その原発は廃炉になる可能性が高いからだ。
 9月に発足予定の原子力規制委員会の委員長候補、田中俊一氏も稼働中の大飯原発について「(敷地内の断層が)活断層なら当然止めてもらう」と明言。規制委発足後も厳しい姿勢で、断層の評価を行う意向を示している。(原子力取材班)
  破砕帯 活断層が動くと断層面の岩石が摩擦や圧力で破壊される。こうした細かく砕かれた岩石などが帯状に分布している場所を指す。破砕帯があれば活断層の可能性があるが、古い時代のものは固まっており、活動性がない場合も多い。岩石の間には多くの隙間があって地下水の通り道になりやすく、トンネル工事などでは大量の水が噴出して問題となる。 

◆各原発の活断層をめぐる状況

◎保安院が現地調査を指示
   日本原発 敦賀原発(福井県)、東北電力 東通原発(青森県)
北陸電力 志賀原発(石川県)、関西電力 大飯原発(福井県)
関西電力 美浜原発(福井県)、日本原研 もんじゅ(福井県)

◎現地調査の必要性を専門家が指摘
関西電力 高浜原発(福井県)

 ◎検討中のもの
   北海道電力 泊原発(北海道)、東京電力 柏崎刈羽原発(新潟県)
   東京電力 福島第1原発(福島県)、東京電力 福島第2原発(福島県)
   中部電力 浜岡原発(静岡県)、中国電力 島根原発(島根県)

 ◎活断層はないと判断
   東北電力 女川原発(宮城県)、日本原発 東海第2原発(茨城県)
四国電力 伊方原発(愛媛県)、九州電力 玄海原発(佐賀県)
九州電力 川内原発(鹿児島県) 

※以下の東京新聞の記事により、元記事の「◎現地調査の必要性を専門家が指摘」枠から移動
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2原発の断層追加調査を要求 保安院、もんじゅと美浜
東京新聞 2012824 

 経済産業省原子力安全・保安院は24日、全国の原発敷地内にある断層(破砕帯)への対応方針を専門家会議に示し、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅ(福井県)と関西電力美浜原発(同)に関し、新たに追加の現地調査を求めた。
 両原発の近くにある活断層の「白木―丹生断層」が活動すると、敷地内の破砕帯が連鎖的に動く可能性を完全に否定できないとして、試掘溝の掘削調査などを実施するべきだとしている。
 東北電力東通(青森県)、北陸電力志賀(石川県)、日本原子力発電敦賀(福井県)、関電大飯(同)は、各社が追加調査を実施中。   (共同)