2012年8月6日月曜日

海上自衛隊の幹部がリムパックの副司令官を


629日~83日行われたリムパック=環太平洋合同演習で、海上自衛隊の海将補が22カ国統合軍の副司令官を務めていたことが明らかになりました。自衛隊の最高指揮官は首相なので官邸は勿論承知のことで、演習であればどんなことでも許されると考えたのでしょうか。そして、米誌『タイム』が注目したということですが、他の国には一体どんな風に映ったのでしょうか。
野田首相は51日の日米首脳会談でも、日本の「動的防衛力」を使って米国のアジア太平洋重視戦略に貢献することを約束しました。「動的防衛力」とは聞きなれない言葉ですが、要するに自衛隊が米軍のアジア太平洋戦略を支え、平時から海外で作戦行動しようとするものです。
そういう憲法9条との整合性が問われる事柄を、外国に対しては簡単に約束する一方で、国内ではこのところ政権の基盤が弱くなったので、集団的自衛権の行使の容認の方は当面見合わせるというご都合主義ぶりです。
いずれにしても野田政権の極度に右傾した言動からは目が離せません。 




ちなみにリムパック=環太平洋合同演習は、アメリカ海軍が主催してハワイの周辺海域で行う合同軍事演習のことで、1971年にアメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの4カ国で始め、以後ほぼ隔年毎に実施されて来ました。
1984年にニュージーランドが非核・平和に徹するとして外れた中で、日本は憲法第9条に違反するという批判を押して1980年に初参加して以来、ずっとメンバーになっています。

参加国は少しずつ増えて2008年に8カ国になり、その後は2010年には14カ国に、2012年には22カ国にと急激に増えました。

以下にしんぶん赤旗の記事を紹介します

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米軍主導の多国間軍事演習 海自幹部が副司令官
しんぶん赤旗 201284 

 米海軍が主導する多国間軍事演習である環太平洋合同演習(リムパック2012629日~83日)で海上自衛隊の北川文之海将補が統合軍の副司令官を務めていたことが3日までに分かりました。防衛省は、多国間合同演習の司令官を自衛官が務めるのは「前例がない」としています。 

集団的自衛権へ危険な動き
 日本政府の憲法解釈では、他国の軍隊の指揮系統に入ることは憲法が禁じる「他国の武力行使との一体化」につながります。防衛省は「訓練に関する調整を円滑に実施するため(米軍)第3艦隊近傍に勤務するもので、他国に指揮したり、他国から指揮を受けたりということはない」と説明しています。しかし、連絡調整要員は別に存在しており、不自然な説明です。
 リムパックは、米ハワイ周辺で行われる世界最大規模の海洋演習で、今年は22カ国から艦船42隻、潜水艦6隻、航空機200機以上などが参加しています。
 北川海将補が務めたのは、統合軍全体で第2位にあたる副司令官(Vice Commander of Combined Task Force)の役職です。

 リムパックをめぐっては、2010年の参加時にも海自が米、オーストラリア両軍とともに特定の標的を砲撃、撃沈させる訓練を行い、憲法解釈で禁じる集団的自衛権行使に触れるものとして問題になっていました。
 今回、自衛官が初めて副司令官職についたことは、米軍や米同盟国との軍事一体化をねらう「動的防衛協力」構想の現場レベルでの浸透を図るもので、集団的自衛権の行使に向けた危険な動きが着実に進みつつあることを示します。
 米誌『タイム』は「日本が指揮 ― でも誰にも言わないで」との見出しで注目しています。