国際放射線防護委員会は年間被曝限度を1ミリシーベルトと定め、わが国の「放射線障害防止法」もそれに準拠して、3ヶ月間の被曝量が1.3ミリシーベルトを超えるところを「放射線管理区域」に指定して、そこには有資格者以外の立ち入りを禁止し、18歳以下の就労や区域内での飲食などを禁止しています。
それを100ミリシーベルト以下なら健康に影響がないし、20ミリシーベルト以下なら帰宅しても大丈夫だと主張したのが、今度、原子力規制委員長になろうとしている田中俊一氏らでした(民主党は人事案を変更しないことに決めました)。
チェルノブイリ事故では放射線によって膨大な数の死者を出し、いまも後遺症に苦しんでいる人たちが多数います。それなのに四半世紀も前に緊急的に定めた基準よりも、さらに大幅に後退させた基準で国は対処しようとしているのです。
以下に福島民報の記事を紹介します。
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国の線量基準に不満 双葉町が再編協議拒否の理由示す
福島民報 2012.8.24
東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域の再編で、福島県双葉町は23日、新潟県柏崎市で開いた住民説明会で区域の再編に現段階で応じていない理由を明らかにした。チェルノブイリ原発事故で立ち入り禁止とされた区域の放射線量と国の「居住制限区域」の線量を比較し、日本側が4倍も高いと指摘。国の基準で区域を再編した場合、町民の安全は守れないなどとしている。
町によると、チェルノブイリ原発事故では、年間積算線量が5ミリシーベルト超の地域の住民に他地域への移住を義務付け、現地は原則立ち入り禁止とされた。これに対し、国は50ミリシーベルト超を「帰還困難区域」とする一方、20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下は住民の帰宅や通過交通を認める「居住制限区域」、20ミリシーベルト以下は除染やインフラの整備を進め住民の早期帰還を目指す「避難指示解除準備区域」に再編する方針。町内については、この線量基準などに基づき3区域に再編する案を示しているが、町側は住民の安全確保などの観点から町内全てを帰還困難区域にするよう求めている。