2012年8月15日水曜日

オスプレイは湯沢の上空も飛びます

 先日米軍岩国基地に強行陸揚げされたオスプレイは、10月にも普天間飛行場に配備され、本格運用されると言われています。住宅地に隣接していて世界一危険だと言われる普天間基地に、世界一危険な飛行機が配備されるなどは、あってはならないことで、沖縄ではいま反対運動が盛り上がっています。
アメリカに行っている日本の調査団には、機体の調査はおろか事故関係者からの聞き取り調査の権限も与えられていないということで、結局はアメリカ側の「安全だという言い分」を、若干の資料と共に、そのまま持ち帰ることになるのは目に見えています。 

オスプレイは、本格運用になれば日本の上空7ルートで低空飛行訓練する予定であり、新潟県周りの「ブルールート」では湯沢町の南部上空を飛行することが明らかになりました。
この低空飛行は、レーダー網や対空ミサイル網をかいくぐって敵国の奥地にまで進攻するための訓練で、地上わずか60メートル(日本の航空法では山間地でも150メートルが限度)を飛行すると言われています。
オスプレイはとりわけ猛烈な爆音をたてて飛行するので、先の環境アセスメントでは離着陸時の騒音を除外して評価し、あとで問題になったほどです。猛烈な爆音が飛行ルート下の人家に与える影響は測り知れませんし、山野に住む野生動物にも多大な影響があることでしょう。 

以下にしんぶん赤旗の記事を紹介します。(飛行ルートは新潟県関係のみを掲示) 
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オスプレイ低空訓練 21県138市町村を通過
本紙分析 墜落の危険、騒音被害強いる
しんぶん赤旗 2012813
 米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの配備に伴って実施される低空飛行訓練のルートが少なくとも全国21県138市町村にかかることが、「環境レビュー」で示されている6本のルートの本紙による分析で判明しました。 

 「環境レビュー」で公表されたのは、グリーン、ピンク、ブルー、オレンジ、イエロー、パープルの6ルート。在沖縄海兵隊はこれ以外にも中国山地を貫くブラウンルートの使用を認めており、同ルートにかかる自治体を含めれば対象はさらに広がります。
 しかし、防衛省が「レビュー」に関する情報を提供したのは、本土では30都府県18市町(7月23日時点)に限られます。ルートにかかる大半の市町村は、直接の情報提供すら受けていません。

 「レビュー」では、オスプレイが日本の航空法の定める最低安全高度(人口密集地で300メートル、それ以外で150メートル)を大きく下回る高度約60メートルの訓練を行うことを想定しています。これまでも米軍機の爆音や衝撃波の被害に苦しんできたルート下の住民に、開発段階から相次ぐ墜落事故の危険に加えて、さらなる騒音被害を強いることは必至です。

 各ルートには進路の切り替え地点(ポイント)が7~11カ所設定されています。山頂や湖沼、有人島など自然地形を利用したものに加え、発電所や多数のダムなどの建造物にも設定されていることが分かりました。これらは仮想の「攻撃目標」にもなっているとみられます。

 長野県飯山市や山形県小国町、徳島県海陽町では、市街地上空にポイントが設定されており、駅や役場が「目標」になっている可能性もあります。ポイント近辺に保育所や役場(高知県本山町)、役場支所(岐阜県高山市)、学校(和歌山県日高川町、熊本県水上村など)が位置するケースが複数あります。
 本山町では、役場上空で低空飛行訓練を行う米軍機の姿がしばしば目撃されています。

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オスプレイ低空飛行 これが直下自治体 日本の空は誰のもの
     しんぶん赤旗 2012813 

米軍が勝手に設定・自由に使用
 「空の暴走族」と呼ばれ、全国で爆音をまき散らす米軍機の低空飛行訓練が顕著になったのは、1980年代以降です。
 低空飛行訓練ルートの存在は、91年の十津川(奈良県)ケーブル切断、94年の早明浦ダム(さめうら高知県)墜落、99年の高知県沖墜落などでの米軍機事故報告書に記載されていました。しかし、米軍が具体的な緯度・経度を含めてルートを明示したのは、オスプレイ配備に伴う「環境レビュー」が初めてです。

 本紙は、米軍が示したルート(航法経路)を、地球儀ソフト「グーグルアース」や目撃証言に基づいて分析し、ルート直下の自治体や推定されるポイント(進路切り替え地点)を割り出しました。
 1面(※前掲記事)所報のように、ルート直下や周辺には多くの民家や公共施設が含まれています。99年の低空飛行訓練に関する日米合意は「人口密集地域や公共の安全に係る他の建築物(学校、病院等)に妥当な考慮を払う」としていますが、そのような「考慮」が払われているとは言いがたい、米軍最優先です。
 しかも、これらのルートは、オスプレイが低空飛行訓練を行うルートや空域の一部にすぎません。
 第一に、米軍は中国山地を貫くブラウンルートでの訓練を明言しているにもかかわらず、「環境レビュー」には記載がありません。重大な欠落です。
 第二に、低空飛行訓練は、「ルート型」だけではありません。群馬県上空や広島、島根県などで、自衛隊の訓練空域を独占的に使用しての訓練が、高い頻度で行われています。
 さらに、米空軍三沢基地(青森県)所属のF16戦闘機が秋田県の男(お)鹿(が)半島周辺や三陸地方などで頻繁に低空飛行訓練を行っています。これらは、環境レビューで示された東北の2ルートとは明らかに異なる空域です。
 加えて各地の目撃証言によれば、米軍はしばしば自ら設定したルートすら外れて飛行しています。

 日本政府は自衛隊空域を除き、訓練の詳細はおろか、ルートさえ把握していません。米軍は日本政府に通知することなく、ルートを自由に設定し、自由に使用しているのです。いったい、この国の空は、だれのものなのでしょうか。 

米では住民の反対で頓挫
 オスプレイの低空飛行訓練は、米国でも問題になっています。
 キャノン空軍基地を拠点に、米中部のニューメキシコ州とコロラド州にかかる約6万平方マイルの山岳地帯で、特殊作戦機のMC130や空軍使用のCV22オスプレイが低空飛行訓練を実施する計画が示されました。最低高度は約60メートルで、夜間の訓練も計画されていました。
 しかし、2010年9月に発表された同計画の環境影響評価案(EIS)に対して、1600人以上の地域住民や環境保護団体などから懸念や反対の声が寄せられました。これを受け、米空軍は事実上、無期限の延期措置をとりました。

 環境保護団体が提案した意見書の草案はオスプレイについて、騒音が野生動物などに与える影響に加え、「多くの死傷者を出した墜落の記録」があり、「事故原因も特定されていない」としています。日本の住民・自治体が抱いている懸念と共通しています。
 米軍はEISで「環境レビュー」以上に詳細なルート図を提示して住民の意見を聴取。それに従いました。
 日本が民主主義国家だというのなら、少なくとも、オスプレイの訓練区域と関連する自治体、住民への影響を提示し、自治体や住民の意見を聴取し、その意見に従うといったことをやるべきです。

新潟県周り飛行ルート (ブルールート)

地図




飛行ポイント
1 粟島 2 北俣山 3 小国町市街地 4 沼沢湖 5 田子倉ダム
6 奥只見ダム 7 藤原ダム 8 飯山駅か 9 新小滝川発電所
10 黒部ダム 11 高根第1地下発電所 
          ※飛行ポイントの各地点は本紙による推定 
   新潟県関係自治体
粟島浦村、村上市、阿賀町、魚沼市、湯沢町、妙高市、糸魚川市