ブログ「世に倦む日々」に掲題の記事が載りました。
世に倦む日々氏のところに 航空券(skyticket)のカスタマーサポートと「えきねっと」を運営するJR東日本から、登録していた個人情報が不正アクセスによって流出した旨の連絡があったということです(流出した項目は「えきねっと」はメールアドレスのみ。skyticketの方は、氏名、生年月日、メールアドレス、電話番号、住所と郵便番号)。
まだ実害が発生するには至っていませんが、いつどんな風に発生するかが分からないので当人の不安は大きいものと思われます。
世に倦む日々氏は、日本における「サイバー攻撃対策」の不備・問題点を指摘しています。無事で済むことを願いながら記事を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
まさかの衝撃 ー skyticketとえきねっとから個人情報漏洩の通知メールが来た!
世に倦む日日 2026年10月14日
サイバー攻撃と個人情報漏洩の問題で大混乱が起きている。10/9、私のメール受信箱にも、14:25 に skyticket のカスタマーサポートから、20:54 にえきねっとを運営するJR東日本から、相次いで連絡が届き、個人情報が流出した可能性があると通知を受けた。えきねっとの方は、漏れたのはメールアドレスだけだという報告だが、skyticket の方は、氏名、生年月日、メールアドレス、電話番号、住所と郵便番号まで流出したと書かれていて、俄かに衝撃を受けた。航空券の予約発行の手続きだから、通常、そこに虚偽や架空の個人情報を入力して申し込むという例は少ないだろう。飲食店やカラオケ店のアカウント登録とは異なる。最悪の事故が起きた場合を想定して、アプライのフォームに正直に個人情報を申告して送信してしまう。これまで、サイバー攻撃と個人情報流出のニュースを見ながら、対岸の火事のように眺めていたが、一気に自分自身が当事者となり、不安に慄く立場となってしまった。
2社から来たメールには文面の表現に差があり、skyticket の方は事態がヨリ深刻な所為か、恐縮した態度が見られ、メールのタイトルに「お客様情報流出のお詫び」と書いている。一方、JR東日本の方は、自社サーバーが攻撃を受けて侵入されたのではなく、クラウドで運用していたIDCフロンティアの事件が原因で顧客情報流出となったゆえか、「IDCフロンティア社で発生した不正アクセスに伴うメールアドレス漏えいの可能性に関するお詫びとお知らせ」とある。いかにも「とばっちりを受けた」「JR東日本には責任はない」と言わんばかりだ。JR東日本で被害者となった者たちが次々と同じクレームをXに書き込んでいたように、えきねっとのアカウント登録とeチケットの予約購入手続きはユーザインタフェースが最悪で、論外で、魑魅魍魎と言うか、利用者愚弄虐待と言うか、渋谷駅の乗り換え迷路構造よりも質が悪い。私は急な用事で新幹線の切符が必要だったためやむなく登録したが、後悔と遺恨の念に苛まれている。
JR東日本の一件を報じた記事を読んで懸念を覚えたのは、「大人の休日倶楽部」では、メールアドレスのほか、会員番号やクレジットカードの有効期限、生年月日などが流出した可能性があるという部分である。えきねっとで漏洩したのはメールアドレスだけれど、39万件が流出した「大人の休日倶楽部」では、クレジットカードの有効期限まで漏洩したと認めている。JR東日本は「住所やクレジットカード番号などは流出していない」と説明しているのだが、そもそも、クレジットカードの有効期限情報などをなぜ顧客データベースに保存し、しかもそれを自社内のコールドストレージではなくクラウドの環境と設備内に置いておいたのだろう。この点について、JR東日本は「大人の休日倶楽部」登録会員に納得のいく説明をする必要があるのではないか。不審に思い、不安に苛まれている会員は多いはずだ。JR東日本は、今回の件で未だ記者会見を開いていない。社会的責任が大きい公共交通機関の事業者として、会見を開いて社長が釈明すべきだろう。
マスコミの前に立って説明責任を果たすべきなのは、何よりクラウド業者のIDCフロンティアであり、親会社のソフトバンク会長の孫正義である。IDCフロンティアはランサムウェアの攻撃を受け、白河にある東日本リージョン1内で運用する495の企業と自治体に影響が及んだ。ランサムウェアで攻撃した犯人がIDCFのコンソール画面に残した 10/7 のメッセージでは、「インフラを掌握した」「7分間で暗号化した」「攻撃から7時間が経過しても、運営側がメッセージに気付かなかった」と言っている。IDCF側は顧客データの復旧は困難と言っていて、身代金の要求に応じない姿勢を示していることが分かる。ということは、今後、JR東日本だけでなくIDCFと契約している他の企業の顧客情報も盗奪され、その事実が公表される可能性があるという意味だ。データは犯人の支配下にあるのだから。IDCFと孫正義がどういう対応をしているか不明だが、IDCFのクラウドを利用する事業者と事業者にアカウント登録している個人は脅威に違いない。
現在、IDCFを利用していた企業・自治体は、クラウド内の環境(ハイパーバイザー)とデータ(VMディスク)の復元が困難なため、自社のバックアップでシステムの復旧を強いられている。IDCFは国内最大級の国産クラウドで、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度である「ISMAP」の認定取得を看板にした業者だ。会社概要には「ソフトバンクが運用する堅牢な国内データセンターにおいて(略)幅広いクラウドサービスを提供しています」と謳い文句があり、セキュリティが売りである旨が滔々と宣伝されている。そのIDCFの管理中枢が、コロッとランサムウェアの魔手に侵され、アサヒやニコ動と同じ災難と失態に遭遇する図は、何とも残念な顛末に違いない。IDCFの諸クライアントは、単に自前の資源を節約してコストを削減する目的だけでなく、こういう事故を避けるため、サイバー攻撃から自社のシステムとデータを防護するため、強靭なセキュリティを誇るクラウドサービスの活用で安心安全を担保していたはずだった。ソフトバンクGの責任は重い。
さらにもう一つ、警察庁サイバー警察局は何をしているのだろう。先週、立て続けにサイバー攻撃の事件が起きて以降、警察が何かアナウンスした例は一度だけだ。10/11 にNHKの7時のニュースで、 最近のサイバー攻撃はオランダのサーバー経由が多いので注意をと短く発信しただけで、幹部の記者会見もなく、警察の捜査状況の案内もない。不思議だ。サイバー攻撃(不正アクセス)は犯罪である。大規模で高度で連続的なサイバー攻撃によって、国民生活は大きな打撃を受け、社会不安が醸成され、企業と市民社会は心労と疲弊に喘いでいる。次にいつどこの企業がハッキングされ、システムとデータが人質化されるか分からない。ソフトバンクの(ISMAPレベルの)クラウドでもセキュリティを破られるのだ。本来、サイバー警察局が前面に出て、捜査について報告し、犯人逮捕の決意を述べ、国民と企業に防犯対策と被害対処の知見と基準を案内し、セキュリティ関係の実務者に指導を与えるのが任務だろう。何もやってない。マスコミと民間に丸投げしている。刑事事件を問題解決する責任当局なのに。
深刻な同種犯罪の大規模同時発生なのに、警察が動いていない。各企業から被害届が出ているのかどうかも情報がない。まるで自然災害の襲来のようにマスコミが報道している。末端のわれわれが自己責任であたふた振り回され、結局は泣き寝入りさせられる構図になっている。テレビを見ていると、サイバーセキュリティクラウドだとか、デジタルデータソリューションとか、ラックとか、S&Jとか、トレンドマイクロとか、セキュリティ業界の幹部がニュースに登場してあれこれを喋っている。SMS認証しろとか二段階とか。これらは、セキュリティ関連の製品とサービスを売って儲けている企業群だ。今は商売大繁盛だろう。テレビが報道番組で無料で宣伝してやっている。彼らは、こうしたサイバー犯罪が大量かつ多発的に起きれば起きるほど利益が上がり株価が騰がる事業者である。基本的に新自由主義のテック資本の陣営に属し、その論理と動機で活発にビジネスしている。庶民の安寧と福利を守るのが彼らの使命ではない。こうした事件に際して、彼らに責任ある公正な解説と意見を求めるというのもおかしいだろう。
が、どうやら、このセキュリティ企業の面々が、実際、事件の具体的状況を最もよく知っていて説明を担っている。どこから真相情報を得ているのか分からないが、警察のサイバー捜査官がマスコミに説明しそうな(本来は説明するべき)分析を講じている。捜査機関の役割を代行している。おそらく、警察庁とも繋がっていて、捜査の手足を担っている面も現にあるのだろう。警察庁サイバー警察局は240人の体制で、4年前に発足して活動しているが、HPを見る限り、サイバー攻撃の犯罪捜査で戦う集団という性格ではない。例によって、情報収集とか、海外機関との連携とか、官民連携とか、調整とか支援とか、官僚のお役所仕事をやっている。察するに、国家情報局や防衛省と直結した組織で、対中国の監視防諜が主要任務だろう。クラウドやセキュリティの業界の幹部の交際費で、大学教授も一緒に、銀座での情報交換会に精出し、海外での会議や視察の出張を重ね、キャリアを埋めて警察組織の出世ピラミッドを順上がりするか、関連業界に(予算を携えて)天下りするのだろう。トップは東大法の警察官僚で、情報工学の専門家ではない。
実働部隊として、関東管区警察局にサイバー特別捜査部があり、130人の体制で動いているはずだが、何をやっているか印象が薄く、捜査に取り組んで悪戦苦闘している様子が全く窺えない。本来、ここの課長クラスがテレビに出て捜査状況を報告するのが筋だと思われる。ランサムウェアには何度も痛い目に遭っている。経験を積んでいるはずだ。この特別捜査部にどこまで本物の情報技術者がいて、熱く精魂傾けて(土門や榊のように)捜査と防止に努めているか、日本の警察を信用し期待したいところだが、どうも怪しく感じられる。そもそも有能な人材リソースが少ないのだろう。そして、優秀な人材がいても、国家情報局や防衛省が引っ張って行って、軍事諜報や治安監視の方面で(中国との戦争準備とCIAの下働きで)仕事させているのだろう。今年夏以降、急に数を増し破壊力を増したサイバー攻撃が、飛躍的に機能を向上させている先端AIモデルの悪用によって行われていることは、報道のとおりで間違いない。自律的な推論と試行錯誤によってシステムの脆弱性を素早く発見し、攻撃コードが自動生成されハッキングが行われている。
アンソロピックの27歳の研究者が、自己改善型のAIが制御不能になって暴走し人類を滅亡させると警鐘を鳴らし、OpenAI やアンソロピックの無責任な開発体制を批判して退社したのは、今からわずか1か月前の 9/8 だった。まさか、自分自身にこれほど早く火の粉が降りかかる事態になるとは想像もしていなかった。きっと戦争(核戦争)のスピード感も同じだろうし、地球環境問題も本質的に同じだろう。体調が悪く困っているときに、実害が生じないことを祈るばかり。