2018年8月30日木曜日

玉城氏 知事選に出馬表明 植草氏が直近3回の沖縄国政選挙を分析

 玉城デニー・自由党衆院議員が29那覇市で記者会見し、沖縄県知事選への出馬を正式に表明し県が手続きを進める辺野古埋め立て承認の撤回については「全面的に支持する」と述べました。
 既に出馬を表明している前宜野湾市長の佐喜真淳氏(日本会議メンバー)との事実上の一騎打ちとなります
 
 沖縄知事選に関して、植草一秀氏が沖縄における直近3回の国政選挙の分析結果を発表しましたので紹介します。
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玉城氏が知事選出馬を正式表明 翁長氏の遺志継ぎ
「知事の強さ、思いは県民の胸に刻まれている」
琉球新報 2018年8月29日
 沖縄県知事在任中の8日に死去した翁長雄志氏の後継候補として県政与党などが出馬を要請した衆院議員の玉城デニー氏(58)が29日、那覇市のホテルで記者会見し、9月30日投開票(同13日告示)の県知事選への出馬を正式に表明した。
 玉城氏は「自立と共生の沖縄を目指す。生まれてくる子どもたち、あすを担う若者たちに平和で真に豊かな沖縄、誇りある沖縄、新時代沖縄を託せるよう全力疾走で頑張る」と述べた。
 県知事選は玉城氏と、既に出馬を表明している前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)の事実上の一騎打ちとなる。
 
 会見に先立ち、玉城氏は県政与党や労働組合などでつくる調整会議の照屋大河議長に対し出馬要請への受託を伝えた。
 玉城氏は辺野古新基地建設阻止を貫いた翁長氏に触れ、「県民が持つ力を誰よりも信じ、揺らぐことのない決意が県民とともにあることを最期の瞬間まで、命懸けで私たちに発し続けた知事の強さ、思いは県民の胸の奥に確かに静かに刻まれている」と述べた。
 一方、「知事が誰よりも望んだ心を一つにすることへの、心ない攻撃がある。民意、地方自治を踏みにじる形で辺野古新基地建設を強行するこの国の姿だ」と批判した。県が手続きを進める辺野古埋め立て承認の撤回については「全面的に支持する」と述べた
 
 
直近3回の沖縄国政選挙結果が物語ること
植草一秀の「知られざる真実」 2018年8月28日
201412月衆院総選挙、20167月参院通常選挙、201710月衆院総選挙の沖縄県比例代表選挙得票数を検証してみる。
 
 
選挙時期
201710
20167
201412
 
自  民
140,980
160,170
141,447
 
公  明
108,602
86,897
88,626
 
次世代・心
7,278
7,627
6,411
 
維  新
45,815
44,102
77,262
 
希  望
84,285
 
 
 
民主・民進
 
76,548
49,685 
 
立憲民主
94,963
 
 
 
共  産
75,859
90,061
79,711
 
社  民
70,876
69,821
81,705
 
生 活
 
18,352
28,525
 
2014年衆院選
自公+次世代   236,484
民共社生     239,606
 
2016年参院選
自公+こころ   254,694
民共社生     254,781
 
2017年衆院選
自公+日本維新  302,655
立希共社     325,983
となっている。
 
2014年衆院選では維新の党が 77,262票、
2016年参院選ではおおさか維新の会が 44,101
獲得しているが、この両党は基本的には野党陣営の政党であった。
(自公と次世代・こころ・維新 (反自公陣営) での選挙結果は基本的に伯仲している。
自公政権陣営 30万票
反自公陣営  30万票
が基礎票となっていると見てよいだろう。
 
公明党と共産党の得票推移を見ると、
公明党  88,626 86,897 108,602
共産党  79,711 90,061  75,859
となっている。
安倍政権側に公明党が位置し、反安倍政権側に共産党が位置している。
公明党を含む政権与党陣営と共産党を含む反政権陣営がほぼ互角に対峙している。
この情勢の下に、過去3回の国政選挙では、反安倍政権陣営が僅差で勝利を獲得してきた。
 
2014年知事選では大差で翁長雄志候補陣営が勝利したが、これは、保守陣営の票の一部が翁長支持に回ったためである。
しかし、その後、安倍内閣は沖縄県に対する利益誘導の姿勢を強め、この結果として翁長氏を支持してきた保守陣営の一部が切り崩されてきた
これを「オール沖縄」の弱体化と表現しているが、その変化は、安倍内閣の「札束でほおを叩く戦術」によってもたらされたものである。
 
今回の沖縄県知事選は、自民党総裁選終了直後の選挙となる。
知事選日程が930日に設定されたのは、自民党総裁選後に自民党幹部を沖縄に大量投入できるようにしたためのものである。
また、翁長前知事の県民葬が知事選の後に先送りされたのは、自公サイドが知事選への影響を恐れて、横車を押した結果である。
つまり、この二つの重要日程設定は、現在の沖縄県執行部の意思決定が安倍政権の強権発動の支配下に置かれていることを意味している。
 
沖縄知事ポストが安倍政権側に奪取された場合の状況を想定して沖縄県執行部が動いているということだ。
今回選挙最大の争点は辺野古米軍基地建設の是非であるが、これは、安倍政治そのものの是非と置き換えることができる。
米国に隷従する安倍政治を是とするのか、非とするのか。
沖縄の主権者が判断を示す選挙になる。
 
この意味では、保守陣営を含めた「オール沖縄」体制の構築にこだわる必然性は高くない。
米国に隷従し、沖縄に不当な負担を押し付けようとする安倍内閣の基本姿勢を問えばよいのである。
保守陣営に属する主権者であっても、米国にひれ伏すだけの安倍内閣の基本姿勢を非とする者は多数存在するだろう。
この人々は、対米隷従の安倍内閣の基本姿勢を非として、反安倍自公政権側の候補を支持することになる。
 
ただ一方で、保守陣営の一部が切り崩されたことも事実ではあるから「オール沖縄」の言葉にこだわる必要性は低くなっているのだ。
沖縄での国政選挙での結果を分析すれば、次のことだけは確実に言える。
それは、共産党を含む共闘体制を確立しなければ、自公候補には勝てないということだ。
これだけは間違いない。
政権与党側候補には公明党の支持がつくのである。
この陣営と対峙して勝利を得るには、共産党を含む共闘体制を構築することが絶対に必要である。
 
逆に言えば、自公陣営は、反自公陣営を「共産党との共闘を推進する勢力」と「共産党の共闘に消極的な勢力」とに分断することが勝利を得る最良の方策と考えているはずだ。
このための情報誘導がすでに大規模に展開されていることを認識するべきだ。

「石破ビジョン」が好評 地位協定見直し・東京と平壌に連絡事務所をなど

■自民党が新聞・TVの総裁選報道に“圧力文書”を配布
 自民党の総裁選管理委員会が28日、新聞・通信各社に対し、総裁選での「公平・公正な報道」を求める文書を配布しました。そもそも総裁選に公職選挙法は適用されないのにあえて「公平・公正」を要請するとはおかしな話で、その目的が安倍首相の対抗馬である石破茂単独のメディア露出を潰すことにあるのは明らかです。
 安倍首相は石破氏との論戦を避けるために出馬表明をギリギリまで遅らせた挙句、選挙期間中も海外に逃亡する作戦を立てておきながら、メディアには石破茂氏の一方的な露出をさせないようにするというのは虫のいい話です。それは党の選管委というよりは安倍氏側選挙参謀の要求に過ぎません。
 安倍首相は2014年の総選挙の際、在京テレビキー局の編成局長、報道局長宛てに〈公平中立、公正な報道〉を要求する文書を送りつけ、テレビ局は結局それに従いました
 それに味をしめて今回もこうしてメディアに圧力をかけ、石破氏の露出を抑えるだけでなく政権に批判的な報道を封じようとしている訳です。こんなことにメディアがまた屈するなら、憲法改正の国民投票迎えるであろうことは容易に想像できます。
 
 安倍首相は出馬表明で「骨太の議論をしていきたい」と発言しましたが、一体どういう意味なのでしょうか。彼の「政策ビラ」に載っている「5つの決意」は、決意というよりは単に楽観的な見通しを語ったものに過ぎません。この5年あまり、我々は毎年空虚なスローガンを聞かされ、次の年になるとそれはあっさりとキャンセルされてまた別のものが呈示されるということの繰り返しでした。いい加減に止めて欲しいものです。
 
 それに対して石破氏が27日に発表した「日本創生戦略―石破ビジョン」はネットでも中継され、その予想外に高い評価に安倍応援団が慌てているということです。
 石破氏の「政治・行政の信頼回復100日プラン」は、安倍内閣によって地に落ちた「官邸の信頼」をどう回復するかを具体的に述べています。
 またLGBTへの差別解消のために「法律をつくることは必要」とし、日米地位協定の改定については、「日米はお互いに対等でなければならない」としました。拉致問題、核ミサイル問題は「圧力だけですべて解決する問題ではない」と安倍政権の姿勢を批判し、東京と平壌に連絡事務所を設けることで「北朝鮮の主張を公的に検証する仕組みをつくる」と提言し、安倍氏の怠慢を衝いています。
 これらはいずれも安倍氏では一歩も前進させられない事柄です。さらには目前に断末魔が迫っているのに、いまも「アベノミクス」で頭の中を占められている安倍氏が、石破氏の「アベノミクス」批判に対して太刀打ちできる筈もありません。
 
 いずれにしても石破氏は考え方が緻密で、誰かとは違ってしっかりした正直な人物であることは明らかです。ただ憲法9条2項を削除するという徹底した改悪論者である点はなんとも困る所ですが ・・・ 
 LITERAと日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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石破茂の政策がアンチ安倍でキレキレ! 
改憲より日米地位協定見直し、LGBT差別解消、東京と平壌に連絡事務所を
LITERA 2018年8月28日
 ようやく自民党総裁選への正式な出馬表明をおこなった安倍首相だが、そこで述べた「骨太の議論をしていきたい」という発言に注目が集まっている。
 対抗馬の石破茂・元幹事長との論戦を避けるために出馬表明を引っ張り、公開討論や街頭演説の回数を減らすなどの“逃げ工作”をはかる人間が、「骨太の議論をしたい」などと言い出す……。それだけでも噴飯ものだが、しかも安倍首相は、党員・党友などに宛てて決意文と政策ビラを送っていたのだという。
 
 石破氏は昨日、政策発表会見を開いて「石破ビジョン」を公表し、ネットでも中継されるなど広く国民に対しても説明をおこなった。
 にもかかわらず、本来は国民に方針を示す必要・責任がより強くある現職総理は、国民より前に党内に政策を発表する──国民軽視もここに極まれりだろう。
 しかも、その「政策ビラ」に書かれている「5つの決意」の中身もすごい。何の成果も出していないのに「地球儀を俯瞰する外交の更なる展開」を謳ったり、多くの国民の賛同を得られていない「憲法改正」を打ち出して「新たな時代を切り開く」と勝手に決意するという政策のほかにも、「戦後最大のGDP600兆円を実現」「希望出生率18の実現」「訪日観光客4000万人を実現」などと書いているのだ。
 そもそもGDPについては安倍政権による“かさ上げ”疑惑がある上、「名目GDPが50兆円増加」と言いながら個人消費は一向に伸びず、実質賃金も低迷。結局、大企業しかアベノミクスの恩恵を受けていないのに、GDP600兆円を目指して何になるのか。さらに、待機児童や女性の雇用環境改善もおざなりにしている上、産まない・産めない女性の人権をも無視した杉田水脈議員の「生産性」発言や加藤寛治議員の「3人以上子どもを産め」発言の責任をとらせないでいて希望出生率を上げようとは、安倍政権が「女は産む機械」としか見ていない何よりもの証拠だ。また、訪日観光客を増やそうというのなら、まずは訪日観光客トップ2である韓国や中国に対する自民党議員のヘイト発言や敵愾心を煽る言動を諫めるべきだろう。
 
 このように、威勢のいい言葉や数字を並べるばかりで中身がスカスカな安倍首相の政策。他方、石破氏が発表した「石破ビジョン」は、そうした安倍首相の政策は何を隠しているのかを暴く、強烈なダメ出しになっていた
 たとえば、石破氏は格差是正などに重点を置いた経済財政運営や「真の地方創生」の実現に向けた政策を公表したが、なかでも目を引いたのは「政治・行政の信頼回復100日プラン」なるものだ。
 森友・加計問題で失った政治・行政への信頼を取り戻す──。しかも、石破氏は昨日の会見で、こう断言したのだ。
政治・行政の信頼回復は、まず官邸の信頼回復であります」
 そして石破氏は、内閣人事局の運営方針の見直しを提言。「官邸主導の政策推進プロセスの透明化」のほか、利害に関わる者と官邸の接触に明確なルールを設けるとし、「いつ、どこで、誰が、誰に会ったかという記録は明確でなければならない」「(面会記録の)保管は義務化」と打ち出したのである。
 
 本来ならば安倍首相こそが明言すべきルールだが、安倍首相の政策ビラには森友・加計問題による国民の政治・行政不信への言及は一切なし。完全に「終わったこと」にしてしまっている。つまり、何の反省もしていないのだ。このままでは政治の私物化が繰り返されることは目に見えているだろう。
 
「憲法改正より日米地位協定見直し」「東京と平壌に連絡事務所を」
 また、石破氏は会見のなかで、LGBTへの差別解消のための法案についても、「法律をつくることは必要」「差別をなくすということ、権利の侵害を除去するとともに活躍の場をさらに広げていくために、実効性のある法律であってほしい」と発言をおこなった。
 先の通常国会では、野党4党が「LGBT差別解消法案」を提出したが、その一方で自民党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」は「差別解消法案」ではなく「理解増進法案」を検討。しかしそれさえも党内の反発によって国会提出にはいたっていない。そんななかでの石破氏の発言は大きな意味をもつだろう。逆に言えば、杉田発言を受けて性的少数者に対する提言を盛り込むこともなく、挙げ句、総選挙のための山口県連との会合では安倍首相と杉田議員が同席していたというほど。「生産性」発言の何が問題か、いまだに安倍首相はまったく理解していないのである。
 
 さらに石破氏の政策で驚かされたのは、日米地位協定の改定に踏み込んだことだろう。
 石破氏は憲法改正について「スケジュール観ありきとは考えていない」「国民の深い理解を得ることが重要」としたが、一方、外交・安全保障政策に話題が及ぶと、アメリカ国内の自衛隊常設訓練場の創設を目指すと発言。そのためには日米地位協定の策定が必要だとし、こう述べたのだ。
(日米は)お互いに対等でなければならない
「在日米軍とのあいだには日本は家主、米軍はゲストという関係は十分構築可能なもの」
 憲法改正より日米地位協定の見直しを──。無論、石破氏の安全保障の考え方は自衛隊の役割を拡大させる危険なものではあるが、在日米軍に特権的な地位を与える現在の不平等な地位協定の改定を打ち出したことは、対米従属で思考停止、沖縄に負担を強いてばかりの安倍首相とはまったく対照的だ。
 
 このほかにも、石破氏は北朝鮮に絡んで「拉致問題、核ミサイル問題は圧力だけですべて解決する問題ではない」と切り込み、東京と平壌に連絡事務所を設けることで「北朝鮮の主張を公的に検証する仕組みをつくる」と提言。「拉致問題の全面的解決がなければ何も進展しないというものからは脱却しなければならない」と、安倍首相の怠慢を見事に暴いたのだ。
 石破氏の政策ビジョンは手放しで賛同できるものではないが、それでも、その中身は安倍首相の「不都合な真実」を暴露するものであることは間違いない。しかも、石破氏は昨日の会見でアベノミクスを検証した資料を配付。そこではGDPかさ上げ問題など安倍首相の嘘・まやかしにも踏み込んでいる。
 少なくとも石破氏は、どんな記者からの質問にも意味の通じる日本語でていねいに返答しており、ここが安倍首相と大きく違う点であることは一目瞭然。果たして、安倍首相の政策に真っ向勝負を挑む石破氏との公開討論会で、安倍首相はどんな醜態を晒すことになるのか。楽しみなところだ。(編集部)
 
 
安倍応援団は大慌て 政策「石破ビジョン」予想外の高評価
日刊ゲンダイ 2018年8月30日
「これはヤバイ」――と安倍応援団が慌てている。石破茂氏が発表した政策「日本創生戦略―石破ビジョン」に対する評価が予想外に高いからだ。専門家が「アベノミクス」と比較したら、「石破ビジョン」に軍配が上がる可能性が高い。なんとしても政策論争は避けようと、安倍応援団は策をめぐらしているという。
 石破茂氏が27日に発表した総裁選の公約「石破ビジョン」は、<地方創生の実現><人を幸福にする福祉社会の実現>など5項目からなるもの。
 経済政策の柱は、<中小企業と地方の成長力の引き上げ>と<社会保障制度改革>の2つだ。会見では「大企業だけでなく、中小企業や地方経済の潜在力を可能な限り伸ばし、経済成長の中心とする」「国民が信頼できる社会保障制度を確立し、安定的な消費を喚起する」と訴えた。
 
■アベノミクスの失敗も解説
 さらに、「アベノミクスの不都合な政策目標?」と題した資料も配り、数値を示して安倍首相の看板政策である「成長戦略」や「地方創生」が目標未達の「失敗」に終わったと解説。例えば、潜在成長率が1%前後で低迷しているのは「成長戦略の失敗」と丁寧に説明
 アベノミクスについては「異次元緩和というカンフル剤が効果を上げたが、いつまでも続くわけではない」と、出口戦略の必要性を強調。「都合のいい数字ばかり強調するのは良いことではない」と、安倍首相が「493兆円から551兆円に増えた」と胸を張るGDPについても、増加分のうち32兆円は統計の見直しによるカサ上げが要因だと喝破してみせた。
 
「石破ビジョン」について、経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「まだ、具体的な手法が分からないので評価は難しい。でも、日本経済に対する基本認識と目指す方向は正しいと思います。アベノミクスは、大都会と大企業と富裕層を潤せば、トリクルダウンが起きて、地方も中小企業も貧困層も豊かになると訴えていましたが、まったくの間違いでした。石破ビジョンのように、地方と中小企業を直接、豊かにする考えは間違っていない。社会保障を充実させることで国民の将来不安を解消し、消費を活発にする考えも悪くない。アベノミクスに対する評価は、まさにその通りです」
 
 アベノミクスが失敗に終わっていることもあって、安倍応援団は「石破ビジョン」への評価が高まることに危機感を持っているという。自民党関係者がこう言う。
「まず、石破ビジョンに注目が集まらないように政策論争の機会を少しでも減らすつもりのようです。さらに、NHKを筆頭とする安倍シンパのメディアに、『石破ビジョンは実現性が低い』『安倍内閣の閣僚だったのにアベノミクスを批判するのはおかしい』などと、巧妙にケチをつけてもらう方針のようです。さらに、石破ビジョンをパクって違いをなくしてしまうことも考えているようです。すでに、安倍陣営がまとめたビラには<強靱な地方を創り上げる><全ての世代が安心できる社会保障改革>などと、石破ビジョンをパクったような政策が並んでいます」
 大手メディアは、逃げ続ける安倍首相に「政策論争をすべきだ」と、プレッシャーをかけるべきだ。 

30- 徹底比較 安倍晋三と石破茂 (4) (日刊ゲンダイ)

 日刊ゲンダイの連載記事:「徹底比較 安倍晋三と石破茂 (4)」が出ましたので紹介します。
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 徹底比較 安倍晋三と石破茂  
安倍は山口に馴染み薄 地方にこだわる石破と決定的に違う
日刊ゲンダイ 2018年8月29日
野上 安倍の選挙区は山口4区(下関市・長門市)ですが、本人は生粋の東京っ子。生まれた時の自宅は港区六本木にあったと聞いていますが、その後、父母とともに渋谷区南平台の岸信介邸の敷地内に転居しています。安倍がまだ2歳のころですね。養育係だった久保ウメによれば「晋ちゃんはおむつが取れるかどうかというころ」だったそうで、広い家の中をちょこまかと歩き回っていたそうです。当時の岸は隣にあった女優の高峰三枝子の夫の洒落た洋館を借り受け、晋太郎・洋子一家を住まわせていた。両親が不在がちだった幼少期の安倍は隣の岸家に入り浸って、祖父に甘えていました。だから、ずっと東京育ちです。
 
鈴木 その点、石破は生まれこそ東京ですが、建設省の事務次官だった父・二朗が鳥取県知事になったため、1歳半で鳥取に移り住み、そこで中学卒業の15歳までを過ごしています。選挙区の鳥取1区(鳥取市・倉吉市ほか)に実際に住んで、鳥取大学の付属小学校と中学校に通っていました。
 
野上 国立の小中学校ですね。それなりに勉強したわけだ。安倍は小学校から大学までエスカレーターでお坊ちゃん校とされる成蹊学園です。
 
鈴木 知事の息子ということでいじめられた石破は、小中学時代はあまりいい思い出はないと言っていますが、鳥取で幼少期を過ごしたことはその後の政治家人生に大きく影響していると思います。なにしろ親父が知事だし、母親も知事の娘で、両親そろって地域やふるさとを大事にすることに強い思い入れがあったんですね。知事室なんかに鳥取県内のあちこちからいろんな人が来て、話をしていくわけですよ。それを大事にしなきゃいけないということを母親がすごく言っていたそうです。そういう刷り込みがある。しかも、父親が参院議員になって師事したのが、地方出身で郷土愛が強かった田中角栄ですから。石破が今でも地方創生を掲げて、地方にこだわるのは、周囲に地方を大切にする人が多かったことが大きいと思います。
 
野上 そこが安倍との大きな違いですね。例えば、安倍がTPPに前のめりの動きを見せた時には、下関の農業関係者は嘆いていましたよ。下関は農業や漁業が盛んな地域なのに、地元の産業を守ろうという気もないのかと。東京育ちの安倍も、子どもの頃は夏休みに山口県大津郡日置村(現在の長門市)にあった晋太郎の生家に行って、庭に続く川でウナギを捕ったりして遊んだそうですが、地元の人は晋太郎のことはよく知っていても、晋三はあまり馴染みがない。長州藩の話を好んでしたり、郷土の英雄である高杉晋作の墓参りをしてみたりと、パフォーマンスで山口出身をアピールすることはありますが、地元への愛着ありと感じた記憶は、ありませんね。 (つづく・敬称略)

2018年8月29日水曜日

何から何まで前代未聞 自民党総裁選の不気味さと異様さ <全>

 日刊ゲンダイが「何から何まで前代未聞 自民党総裁選の不気味さと異様さ」を特集しました。電子版には <1>  <4> に分けて27日付で一挙に掲載されました。
 但し <2> と <4> は残念ながら後段が非表示になっているため <2> については一部のみの掲示になっています。幸いに <4> については「阿修羅」に全文が載っていましたのでそれを転載します。
 
 異様な総裁選の概要が述べられています。
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 巻頭特集  
何から何まで前代未聞 自民党総裁選の不気味さと異様さ <1>
日刊ゲンダイ 2018年8月27日
 
「正直、公正」を争点に据えられた異常、それを撤回させた横暴、引き下がったヘタレ
「あと3年、自民党総裁、首相として日本の舵取りを担う決意だ」――。安倍首相は26日、訪問先の鹿児島県垂水市で記者のぶら下がり取材に応じ、9月の党総裁選(7日告示、20日投開票)への立候補を正式に表明した。総裁選は、石破茂元幹事長との一騎打ちとなる見込み。すでに党内では安倍陣営による石破の言論封じ込めや、支持がはっきりしない国会議員らに人事をチラつかせて支持を迫る前代未聞の選挙戦の様相を呈している。
 
 今回の総裁選は2012年来、6年ぶりだが、早くも安倍VS石破のバトルは始まっている。石破が出馬会見で掲げた「正直で公正な政治」というキャッチフレーズに対し、党内から「個人攻撃はヤメロ」という批判の声が広がっているのだ。
 石破としては、いまだに世論の不信感が強い「森友・加計問題」を意識し、一種の「アネクドート」(ロシアの政治的なジョーク、風刺)で安倍の政治姿勢を批判したのだろう。これに対して、石破支持を決めた参院竹下派から「個人的なことでの攻撃には非常に嫌悪感を覚える」「首相に対する個人攻撃は控えるべきだ」とケチがついたのだから驚きだ。
 そもそも、小学校の学級委員選挙のようなキャッチフレーズが総裁選の“争点”に据えられたこと自体、異常と言わざるを得ない上、別に石破は安倍を名指しして“口撃”したワケじゃない。それなのになぜ、個人攻撃につながるのか。
 
 政治評論家の小林吉弥氏はこう言う。
「石破さんは公党が目指すべき政治の在り方として『正直・公正』と、当たり前のことを言っただけ。個人攻撃という批判は的外れです。批判の理由は恐らく、総裁選で石破さんが『正直・公正』を口にするほど、国民のモリカケ不信感がくすぶり続け、来年の統一地方選、参院選にも影響が出かねないと考えているから。特に参院側がピリピリしているのもそのためだと思います」
 石破も石破で「個人攻撃じゃない」と突っぱねればいいのに、「(キャッチフレーズを)変えることがあるかも」なんてアッサリと白旗を揚げるそぶりを見せているからだらしない。おとなしく引き下がれば「ヘタレ」呼ばわりされて政治生命もオシマイになりかねない。
 
プーチン、習近平、エルドアン…「掟破り」の独裁者と安倍の共通項
 自民党総裁はもともと2期6年だったのに、昨年3月、安倍の意向を受け3期9年に変更された。この“掟破り”は、世界の名だたる「独裁者」の発想と酷似している。
 ロシアのプーチン大統領は「連続3選」を禁じる憲法の規定に従い、2期終了後の08年、「首相」に転身。自身に忠実なメドベージェフ現首相を大統領に据え、12年に大統領に返り咲いた。任期切れの24年には再度の「首相」転身か、3選を可能とするよう憲法を改正すると囁かれている。
 中国も今年3月の全国人民代表大会で承認された憲法改正で、「2期まで」とされた国家主席の任期規定を撤廃。習近平国家主席が永続的にトップに居座れるようになった。トルコでは昨年4月、大統領の権限拡大のための憲法改正の是非を問う国民投票が実施され、賛成51%の僅差で承認された。現職のエルドアン大統領は司法にまで影響力を持ち、強固な権力を握るに至ったのだ。
「プーチン大統領に習国家主席、エルドアン大統領は任期延長や権限拡大を実現し、強権を振るっています。安倍さんはそんな彼らを羨望のまなざしで見ているのでしょう。もともと党則になかった総裁3選を可能にしたわけですから、総裁4選や『任期撤廃』だってルールを変えれば出来てしまう。最終目標は、トランプ大統領の子分で終わるのではなく、列強のリーダーの一角に名を連ねること。それは戦後レジームからの脱却にもなり得ます。安倍さんはそんな願望を持ち続けているのでしょう」(元経産官僚の古賀茂明氏)
 
 巻頭特集  
何から何まで前代未聞 自民党総裁選の不気味さと異様さ <2>
日刊ゲンダイ 2018年8月27日
 
現首相のくせに圧勝にシャカリキになるのはなぜなのか
「相手候補を壊滅させるくらいの圧勝しかない」。現時点で細田派(94人)や麻生派(59人)、岸田派(48人)、二階派(44人)などの主要派閥の支持を得ている安倍は国会議員票の7~8割を押さえたとされ、周辺議員の間では、こんな強気の発言がバンバン飛び交っているという。
(以下は有料記事のため非公開)
 
 巻頭特集 
何から何まで前代未聞 自民党総裁選の不気味さと異様さ <3>
日刊ゲンダイ 2018年8月27日
 
石破はどれだけ取れば、生き残れるのか、干されるのか。干されて離党が最善の道
 国会議員票で安倍が7~8割を押さえたため、石破の頼みの綱は地方票だ。党員の中にはモリカケ問題などでの安倍の不誠実な対応に違和感を抱いている人も少なくない。国会議員のように「雪崩を打って安倍」とはならない可能性が高い。
「今度の総裁選は、国会議員票405票、地方票405票、合計810票で争われます。首相は国会議員票で300票以上取るのは当然のこと、地方票でも3分の2以上の270~300票獲得が目標です。裏を返せば、石破さんが地方票で4割近く(150票前後)取れば、安倍首相は真っ青になるでしょう」(自民党関係者)
 
 安倍が地方議員を官邸や公邸に招いて接待攻勢をかけたり、地方組織に石破の集会を開かないようドーカツをかける中、それでも石破が地方票で4割に達すれば、「次」の芽も残る。だが、安倍が地方票でも7~8割取る圧勝になれば、石破は干されるどころか、政治生命まで潰されてしまいかねない。
 政治評論家の森田実氏はこう言う。
「石破さんは『正直』『公正』という政治家としての生き方の“本質”を問題提起して立ち上がった。戦いに敗れて干されるぐらいなら、自民党を飛び出し、野党のリーダーになって、国会を立て直す道を選ぶべきではないですか。日本の政治全体を考え、断固として行動すべきです。かつて加藤紘一元幹事長が、当時の森喜朗首相に対する野党の不信任案への賛成を断念し、結局、それを機に事実上失脚しました。石破さんには、あの二の舞いにならないで欲しい」
 石破は決断できるのか。
 
安倍が「やる」と言っていることは全部口だけ
 安倍は出馬表明で、見事なまでに空疎な言葉を並べた。
「日本は大きな歴史の転換点を迎える。今こそ日本のあすを切り開く時だ」「平成のその先の時代に向けて、新たな国づくりを進める先頭に立つ決意だ」「歴史の大きな転換点を迎える中にあって、どのような国づくりをしていくかが争点だ」などと仰々しいセリフを連発。鹿児島という場所柄、維新の英傑気取りだったが、中身はスカスカ。「国づくり」の具体策は何ひとつ言っていない
 
 これまでも「秋の臨時国会で憲法改正案提出を目指す」「私の手で拉致問題を解決する」と豪語してきたが、威勢のいいのは口先だけ。いずれも夢想の域を出ない。
「臨時国会の改憲案提出を連立を組む公明党が認めるわけはないし、拉致解決も常に“やるやる詐欺”で安倍首相は北朝鮮に全く相手にされていません。この時期に『改憲』と『拉致』を強調するのは、自分の支持基盤である右派の党員へのアピールに過ぎない。決意だけが空回りし、具体性に欠けた言葉は、政権継続のみが自己目的化していることの表れ。あと3年、ひたすら権力の座にしがみつきたいだけなのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
 安倍が「やる」と言っていることは全てが絵空事。権力亡者の素顔を隠すための煙幕である
 
何から何まで前代未聞 自民党総裁選の不気味さと異様さ <4>
日刊ゲンダイ 2018年8月27日
後段 阿修羅文字起こし より転載)
 
全国民が唖然としたアベ様自民党の異様さと今後の政局 
 安倍政権の支持率は4割だ。しかも不支持率の方が高い。それなのに、事実上の首相を決める自民党総裁選で、自民党国会議員の7、8割が早々に安倍支持に流れる光景は、世論と乖離し過ぎて異様だ。「アベ様に歯向かう者は許さない」とばかりに出馬を断念させたり、政策論争さえ封印しようとする自民党には、全国民が唖然としている。たとえ安倍が3選したとしても、世論の支持は下がることはあれ、戻ることはないだろう。
 来年は12年に一度やってくる統一地方選と参院選が重なる選挙イヤー。だから参院竹下派は安倍ではなく石破支持を決めたのだ。つまり、来年の選挙で国民が安倍政権にお灸を据えるだろうことを見越した対応である。
 
「国会議員の大半が安倍支持なのに、実は同じくその大半が、『安倍首相のままで来年の参院選はもつのか』という不安を抱いている。自民党はおかしな政党です。霞が関は公文書を改ざんし、障害者雇用の水増しまで出てきた。それでも安倍政権は何もなかったかのように、詭弁の政治を続けるのでしょうか。国民の怒りは参院選に向かうことになり、自民党は痛い目に遭うでしょう」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)
 青木幹雄元参院議員会長、小泉純一郎元首相、古賀誠元幹事長、山崎拓元副総裁らOBが、安倍3選後の政局に何らかの仕掛けを考えているという話もある。安倍は参院選を乗り越えられるのか。
 本人が望んでも、永久政権どころか3年すらもたないんじゃないか。
 
恐らく前代未聞の腐臭を放つ組閣名簿の下馬評 
 総裁選はまだ告示もされていないのに、早くも自民党内は「人事話」で盛り上がっているというからどうかしている。安倍3選を見越して囁かれる閣僚人事案からは、露骨な論功行賞と“お友達”優遇がにじみ出ている。
「いち早く安倍3選支持を明確にした二階幹事長と、無派閥議員を取りまとめる菅官房長官は留任が濃厚です。財務省の決裁文書改ざんで批判の矢面に立った麻生財務相も留任か、世論の手前、閣内に残すのが難しければ、党副総裁との観測が流れている。一方、支持表明が遅れた岸田派は、現在の閣僚4ポストのうち複数が召し上げられるとみられています」(自民党関係者)
 
 さらに〈官房長官・下村博文、経産大臣・甘利明、総務大臣・小渕優子〉といった仰天の閣僚名簿案まで流れているのだ。利害関係者から50万円を受け取り、大臣室でのツーショット写真まで明るみに出た甘利に、文科相時代に“政治とカネ”でヤリ玉に挙がった下村と、スキャンダルで表舞台を去った人物の名前が挙がるのは、安倍がお友達の“復帰”を熱望しているからだ。甘利は早速27日朝、首相官邸を訪れ、政策提言書を提出する猛アピールだ。
「3選直後は、レームダック化を避けるため、総裁選での論功行賞に配慮したおとなしめの改造人事を行うかもしれません。ただ、安倍さんは最終的に『任期撤廃』まで狙っている可能性がある。恫喝と懐柔を使い分け、人事で求心力を高め、党内基盤が固まったところで、“お友達”登用に打って出ることも考えられる。結局、これまでの5年8カ月と変わらず、好き勝手な人事で1強体制を強固にしようとするのだと思います」(古賀茂明氏=前出)
 全てがご都合主義の閣僚人事。安倍自民の視線の先に、国民は不在だ。
 
野党はこのよにもバカげた総裁選を利用しなければ大バカだ 
 ポストと自己保身のため、一斉にアベ様に忠誠を誓う自民党議員。やる前から結果が見えている世にもバカげた総裁選に、心ある有権者はアキれ、お灸を据えたくてウズウズし始めている。
 野党にとっては一大チャンス到来なのに、反安倍票や自民党批判票の受け皿をいまだつくり切れていないのは情けない限りである。
 立憲民主党は現状の野党第1党の地位の維持にきゅうきゅうとしているように見えるし、国民民主党は国民の誰も関心を示していない党代表選でシャカリキ。立憲と国民の間には、昨秋の衆院選で分裂した際のしこりが依然残ってもいる。共産党とは共闘できないという、選挙を考えれば非現実的な主張を続ける野党議員もいまだ少なくない。
 これでは自公は高笑いである。
「自民党総裁選の投票日の10日後が、沖縄県知事選の投票日です。オール野党で戦う態勢をつくって、辺野古新基地建設に反対した翁長知事の後継者を全力で支援して、勝ちにいくべきです。安倍首相が3選したとしても、沖縄で自公候補が負ければ、政権にとっては大打撃となります」(角谷浩一氏=前出)
 
 そして来年の参院選が「天王山」だ。2007年の参院選で当時の民主党が勝利し、衆参でねじれを起こしたことが、09年の政権交代につながった。野党がその気になれば、同じことが再現できる。
「来年の参院選で自公が過半数を割るようなことがあれば、07年同様、安倍首相は退陣に追い込まれる可能性がある。野党が連携して候補者調整すれば、大勝できるのです。来年の参院選は政治の転換点になるのではないか」(森田実氏=前出)
 この一大チャンスを利用できなければ野党は大バカだ。政権を取りにいく気があるのかどうか、野党の本気度が問われている。