2018年8月30日木曜日

30- 徹底比較 安倍晋三と石破茂 (4) (日刊ゲンダイ)

 日刊ゲンダイの連載記事:「徹底比較 安倍晋三と石破茂 (4)」が出ましたので紹介します。
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 徹底比較 安倍晋三と石破茂  
安倍は山口に馴染み薄 地方にこだわる石破と決定的に違う
日刊ゲンダイ 2018年8月29日
野上 安倍の選挙区は山口4区(下関市・長門市)ですが、本人は生粋の東京っ子。生まれた時の自宅は港区六本木にあったと聞いていますが、その後、父母とともに渋谷区南平台の岸信介邸の敷地内に転居しています。安倍がまだ2歳のころですね。養育係だった久保ウメによれば「晋ちゃんはおむつが取れるかどうかというころ」だったそうで、広い家の中をちょこまかと歩き回っていたそうです。当時の岸は隣にあった女優の高峰三枝子の夫の洒落た洋館を借り受け、晋太郎・洋子一家を住まわせていた。両親が不在がちだった幼少期の安倍は隣の岸家に入り浸って、祖父に甘えていました。だから、ずっと東京育ちです。
 
鈴木 その点、石破は生まれこそ東京ですが、建設省の事務次官だった父・二朗が鳥取県知事になったため、1歳半で鳥取に移り住み、そこで中学卒業の15歳までを過ごしています。選挙区の鳥取1区(鳥取市・倉吉市ほか)に実際に住んで、鳥取大学の付属小学校と中学校に通っていました。
 
野上 国立の小中学校ですね。それなりに勉強したわけだ。安倍は小学校から大学までエスカレーターでお坊ちゃん校とされる成蹊学園です。
 
鈴木 知事の息子ということでいじめられた石破は、小中学時代はあまりいい思い出はないと言っていますが、鳥取で幼少期を過ごしたことはその後の政治家人生に大きく影響していると思います。なにしろ親父が知事だし、母親も知事の娘で、両親そろって地域やふるさとを大事にすることに強い思い入れがあったんですね。知事室なんかに鳥取県内のあちこちからいろんな人が来て、話をしていくわけですよ。それを大事にしなきゃいけないということを母親がすごく言っていたそうです。そういう刷り込みがある。しかも、父親が参院議員になって師事したのが、地方出身で郷土愛が強かった田中角栄ですから。石破が今でも地方創生を掲げて、地方にこだわるのは、周囲に地方を大切にする人が多かったことが大きいと思います。
 
野上 そこが安倍との大きな違いですね。例えば、安倍がTPPに前のめりの動きを見せた時には、下関の農業関係者は嘆いていましたよ。下関は農業や漁業が盛んな地域なのに、地元の産業を守ろうという気もないのかと。東京育ちの安倍も、子どもの頃は夏休みに山口県大津郡日置村(現在の長門市)にあった晋太郎の生家に行って、庭に続く川でウナギを捕ったりして遊んだそうですが、地元の人は晋太郎のことはよく知っていても、晋三はあまり馴染みがない。長州藩の話を好んでしたり、郷土の英雄である高杉晋作の墓参りをしてみたりと、パフォーマンスで山口出身をアピールすることはありますが、地元への愛着ありと感じた記憶は、ありませんね。 (つづく・敬称略)