2023年9月2日土曜日

共産党大阪府委員会が 大阪・関西万博中止を求める声明

 共産党大阪府委員会は30日に記者会見し、25年4月開催予定の大阪・関西万博について、「今、事業を止めないと、命と安全が守られず、多大な負担を国民に押しつけることになる」として、万博中止を求める声明を発表しました。
 カジノ・万博問題プロジェクトチーム責任者のたつみコータロー氏は、参加国のパビリオン建設が遅れる中、万博協会が「24年からの建設労働者の残業規制の除外」を政府に要請したと報じられるなど、政府や府・市の進め方は破綻していると批判し、「現行法を守れば建設を進められないということだ。遅れを取り戻すために労働者の命と安全を犠牲にする危険があり、万博のテーマにもふさわしくない」と強調し、万博を口実に夢洲開発をカジノと一体で推進してきた維新、自民、公明と財界・大企業の責任は重大だと批判ました。
 声明の全文を含めてしんぶん赤旗が報じました。
 関連して日刊ゲンダイが「維新・馬場代表『大阪の責任ではない』の他人事感 国会で万博誘致を求めたのをお忘れ?」という記事を出していますので併せて紹介します。
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大阪・関西万博中止を 労働者の命脅かす 膨れる費用 共産党府委員会が声明
                       しんぶん赤旗 2023年8月31日
たつみ衆院予定候補ら会見
 日本共産党大阪府委員会は30日、大阪市内で記者会見し、2025年4月開催予定の大阪・関西万博について、「今、事業を止めないと、命と安全が守られず、多大な負担を国民に押しつけることになる」として、万博中止を求める声明を発表しました。たつみコータロー元参院議員・衆院近畿比例予定候補、柳利昭党府委員長が出席。渡部結党府副委員長が司会を務めました。

 党府委員会カジノ・万博問題プロジェクトチーム責任者の、たつみ氏が声明内容を説明。参加国のパビリオン建設が遅れる中、日本国際博覧会協会(万博協会)が「24年からの建設労働者の残業規制の除外」を政府に要請したと報じられるなど、政府や府・市の進め方は破綻していると批判。「現行法を守れば建設を進められないということだ。遅れを取り戻すために労働者の命と安全を犠牲にする危険があり、万博のテーマにもふさわしくない」と強調しました。
 物価高が国民の生活を圧迫する一方、資材費高騰、人手不足などで大幅に膨れ上がる会場建設費・インフラ整備費等の増加負担を国民に強いる問題や、土壌汚染・地盤沈下、災害時の避難経路の問題など万博会場の夢洲(ゆめしま)の危険性や計画の無謀さについても指摘しました。
 万博を口実に夢洲開発をカジノと一体で推進してきた維新、自民、公明と財界・大企業の責任は重大だと批判。大阪経済の底上げには、大型開発や一時の「イベント」ではなく、中小企業予算を抜本的に増やし、賃上げで府民所得を向上させることが必要だと訴えました。
 大阪・関西万博 計画では2025年4月13日から10月13日まで、大阪市此花(このはな)区の人工島・夢洲(ゆめしま)で開催。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。維新の大阪府・大阪市政が財界と一体になってカジノを中核とする統合型リゾート(IR)誘致とセットで推進。万博会場をIR予定地の夢洲にし、当初はIRの先行開業や万博開催と同時開業をめざすなど常に「カジノ先にありき」の夢洲開発計画となってきました


大阪・関西万博の中止を求める声明
                       しんぶん赤旗 2023年8月31日
 日本共産党大阪府委員会が30日発表した「2025年大阪・関西万博の中止を求める声明」の全文は次の通りです。

2025年大阪・関西万博の中止を求める声明
                             2023年8月30日
                            日本共産党大阪府委員会
 私たちは2025年4月開催予定の大阪・関西万博について、開催地である人工島・夢洲(ゆめしま)に含まれる汚染物質の問題、万博を口実に進める夢洲開発による国民負担増などの重大な問題を指摘し、「夢洲開催」の中止を含む抜本的な見直しを求めてきました
 ところが国、大阪府・市はこうした指摘には一切耳を傾けず、事業を推し進めてきました。今、参加国のパビリオン建設の遅れ、会場建設費やインフラ整備費等の大幅な上振れによる国民負担増、土壌汚染が広がり地盤沈下が起こる危険性など、問題は解決されるどころか深刻さを増しています。
 日本共産党大阪府委員会は、命と安全が守られず多大な負担を国民に押し付ける、大阪・関西万博の中止を求めるものです。

命と安全をないがしろにした開催は認められない
 万博開催が迫るなか、パビリオンを独自でデザインし建設する「タイプA」約50カ国のうち、基本計画書が提出されたのは数カ国のみです。通常なら危機的な状況であり開催不能です。
 そんななか、政府や大阪府は通常ではないやり方で強行しようとしています。日本国際博覧会協会(万博協会)は、2024年4月から始まる建設業界への時間外労働の上限規制を、万博建設には適用しないよう政府に求めたと報じられました。しかし当規制は労働者の命と安全を守る目的で導入されるものであり、万博開催を口実に適用除外することなど絶対に許されません。
 経済産業省は、政府が全額出資する「日本貿易保険」を活用し、参加国からパビリオンの建設費が支払われない場合、通常の3分の1程度の保険料で代金の90%から100%を建設業者に補償する「優遇」制度を創設しました。不払いがあれば国民に負担させるものであり異常です。大阪府・市もパビリオンの建築基準法に基づく許可手続きなどを大幅に簡素化しようとしています。現行法を守れば建設を進められず、代金支払いが不確定でも建設を始めざるを得ない。このような事業は破綻しています。
 工期が迫るなかこのまま万博を強行すれば、労働時間の上限規制が適用されたとしても、建設の遅れを取り戻すために違法な「サービス残業」や長時間労働を労働者に強いる危険性があります。2021年の東京オリンピック・パラリンピックでは、新国立競技場建設に携わった現場監督が過労自殺しました。また工期を前倒しにした新名神の工事でも死亡事故が相次いでいます。このままでは「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマにもっともふさわしくない万博となります。労働者の命と安全を犠牲にして突き進む、そんな国、大阪であることを世界にアピールするわけにはいきません。

膨れ上がる建設費
 国、大阪府・市、経済界が同等で負担する万博会場の建設費は、当初の1・5倍の1850億円に膨張しました。資材費高騰、人手不足、計画の大幅な遅れが建設費を膨らませています。政府の「日本館」は応札がなく、随意契約で当初の予定価格を上回る契約となりました。
 大阪メトロ中央線延伸部の整備費も軟弱地盤対策で約100億円の追加支出です。淀川左岸線2期工事など、万博開催に合わせたインフラ等の工事費も軒並み膨れ上がり、4000億円以上も上振れして総額7500億円となっており、これらとめどない支出の増加はすべて国民の負担となります。「想定が甘かった」で済まされる問題ではありません。府民が物価高で日々の生活にあえぐなか、このような公金の使い方には合意も道理もありません。今、事業を止めないとさらなる負担を国民が強いられることになります。

危険な夢洲で開催
 そもそも夢洲に大規模集客施設を建設すること自体が無謀であり、事業そのものが立ち行かない大きな要因です。
 夢洲の土壌にはダイオキシンやヒ素、PCBなどが含まれ、地震などの際には汚染物質が染み出すおそれがあります。災害時、夢洲へのルートである夢舞大橋と夢咲トンネルが閉鎖されれば、1日の来場者数とされる20万人から30万人が避難できない危険性もあります。夢洲では2018年の台風21号でコンテナが強風で飛ばされるなど甚大な被害が出ました。短期間の万博においてパビリオン等建造物への被害が危惧されます。
 カジノ予定地には軟弱地盤の対策費用として大阪市が788億円もの支出を決めています。同様に万博後の敷地でも同額程度の費用が必要です。今後地盤沈下がおこれば、雪だるま式に市民の負担が増えていくのは目に見えています。
 維新の会は「夢洲は負の遺産」といいますが、建設残土や廃棄物も受け入れる貴重な最終処分場です。ここで大型開発を進めることこそ、際限ない負担を市民に押し付けることになります。

カジノと一体で財界と維新、自民、公明が推進
 万博開催地を夢洲とした背景にはカジノ建設の推進がありました。当初万博の予定地としては上がっていなかった夢洲を、松井一郎知事(当時)がトップダウンで予定地と決め、カジノ誘致とともに推し進めました。「国策」として進める万博を口実にインフラ整備などを進めさせ、万博客をカジノに呼び込むことを狙ったのです。万博誘致委員会のオフィシャルパートナーになった米国のカジノ事業者が万博開催決定の際、「IRを世界に紹介するプラットフォームになる」と歓迎声明を出したほどでした。
 また財界、大企業は「関西経済の起爆剤」といいながら、「大阪・関西万博の開催に向けた協力」などの項目を含む包括連携協定を大阪府・市と締結し、維新政治とともに夢洲開発にのめり込んでいます大手新聞社も同協定を結び、「公平・中立」な報道が保たれない異常な状態です。大阪府議会、大阪市議会においては維新の会だけではなく、自民党や公明党も夢洲開発を推進。膨れ上がる万博予算にもことごとく賛成してきた責任は重大です。

大阪経済の底上げのカギは府民のふところと中小企業の応援
 経済、景気が良くなると万博に期待する人もいます。しかし日本経済の最大の弱点は実質賃金が下がり続けていることです。経済の好循環のためには大企業にたまり続けている内部留保を賃上げなどで経済に還流させることが重要です。
 大阪では維新政治のもと、実質賃金は44万6千円減少し、全国より7万5千円も多く減りました。府のものづくり予算は4分の1に減らされ、商店街支援(小売商業関連)予算は25分の1まで減額されました。
 一方で大企業は莫大(ばくだい)な利益を得ています。全大阪労働組合総連合によると2021年度、在阪大企業の内部留保は46兆7337億円に達しました。わずか1・88%の取り崩しで月額3万円の賃上げが可能であり、経済効果は4857億円、雇用創出は2万8936人です。
 また気候危機対策「グリーン革命」を本気で進めることで、くらしと経済を向上させることができます。大阪商工団体連合会によると大阪府下の中小業者を対象に、省エネ機械・設備の導入や断熱住宅への改修に対する補助制度を進めれば、設備投資が促進されることと、光熱費の削減分が消費に回ることで、2050年の経済波及効果は1兆円超、雇用は約10万人増となります。
「箱もの」「インバウンド頼み」の行政では大阪経済を底上げすることはできません。大阪経済の持続的な発展に必要なのは大型開発や一時の「イベント」ではなく、削減された中小企業予算を抜本的に増やし、賃上げで全国よりも落ち込んだ府民所得の向上を実現することです。

万博の理念にも背く
 直近の世論調査では6割以上が万博に「関心がない」と答えており、「何のための万博か」という声も府民から上がっています。万博の理念は地球環境保全や持続可能な開発目標(SDGs)の達成とも深く結びついています。夢洲を拠点に巨大開発をすすめる大阪・関西万博はその理念にも背を向けるものであり、中止しかありません。


維新・馬場代表「大阪の責任ではない」の他人事感 国会で万博誘致を求めたのをお忘れ?
                          日刊ゲンダイ 2023/08/31
 パビリオン建設の遅れなどが問題視されている2025年大阪・関西万博をめぐり、日本維新の会の馬場伸幸代表(58)が30日の党会合で「大阪の責任とかそういうことではない」などと発言したとして、SNS上で《無責任だ》《大阪で誘致したくせに》などと批判の声が出ている。
 発言を報じた朝日新聞によると、馬場氏は大阪・関西万博について、「かなり危ないんじゃないか、やれないんじゃないかというような報道もあった。私の経験では、1970年の大阪万博では開会直後に会場に行ったらまだいろんなパビリオンが工事中という状態だった」「その国と日本の建設業などのルールが違うこともあって、準備に時間がかかっていることも影響しているのではないか。万博というのは国の行事、国のイベントなので、(遅れが)大阪の責任とかそういうことではなしに、国を挙げてやっている」などと語ったという。
 大阪・関西万博の正式名称は「2025年日本国際博覧会」。このため、馬場氏は「国の行事」「国のイベント」と発言したのだろう。だが、過去の国会議事録をみると、もともと万博の誘致を強く求めていたのは他ならぬ維新だ。

■党を挙げて「全力で取り組んでいく」
 例えば2016年1月27日の衆院本会議で、馬場氏はこう発言していた。
「おおさか維新の会の馬場伸幸です。2020年に東京で開催されるオリンピック・パラリンピック大会に加えて、2025年に予定されている国際博覧会、いわゆる万博を大阪に誘致すべきではありませんか。総理の御見解をお伺いします」
 これに対し、当時の安倍首相はこう答弁。
「現在、大阪府が2025年の万博の誘致に取り組んでいると承知しております。昨年大阪府が開催した検討会においては、地元の機運の醸成やコンセプトづくり等が課題として挙げられています。(略)政府としては、今後、大阪府の検討状況をよくお伺いしながら、計画の実現性を見きわめていきたいと考えています」
 やはり、もともと万博開催を望んでいたのは大阪府や維新であり、政府=国はあくまで地元の意向を踏まえて、というスタンスだったわけだ。そして、馬場氏は昨年1月20日の衆院本会議ではこうも言っていた。
「日本維新の会は、地元自治体や経済界などと手を携え、大阪・関西万博の成功に向けて全力で取り組んでいくことをお誓いし、質問を終わります」
 万博の成功に向け、党を挙げて「全力で取り組んでいく」ことを国会で誓いながら、今さら他人事のように「国の行事」「国のイベント」「大阪に責任はない」と言い放つのだから、ネット上で怒りの声が出るのも無理はない。
《万博誘致に成功したのは維新のおかげみたいな話をしていなかったっけ》
《万博は「大阪経済の起爆剤」、次のカジノは目玉政策と維新議員は言いふらしていたよ》
《うまくいけば自分の手柄、うまくいかないと他人の責任。維新の体質だね》

 馬場氏は万博誘致を国に求めた7年半前の発言、気持ちを思い出し、自ら先頭に立って全力で成功に向けて取り組んでほしい。 

ジャニー喜多川の性加害問題 事務所の“圧力”に加担してきたメディア

 8月29日、ジャニーズ事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」がジャニー喜多川の性加害問題に関する調査報告書を公表し「広範に性加害を繰り返し少なく見積もって数百人の被害者がいる」ことを明らかにしました(延べ数万人に達するという見方もあります)。
 報告書では被害を拡大させた理由として大マスコミの責任にも言及しました。日本のマスコミがこの問題を避けてきたことは、ジャニー喜多川の性加害問題が社会問題化した契機が英国のBBC放送であったことからも明らかです。
 そして同事務所これほどまでに完全にメディアを制圧できたのは、同事務所を実質的に仕切ってきた副社長のメリー喜多川(ジャニー喜多川の実姉)の腕力(恫喝)にメディアが屈したためであることも明らかにしました。
  メリー喜多川ウィキペディアより抜粋)
    本名 藤島メリー泰子1927年2021年)。ジャニー喜多川の姉。
    ジャニーズ事務所副社長時代にジャニー喜多川に代わり会社経営の全般を取り仕切
    った。ジャニーズ事務所名誉会長「ジャニーズ・エンタテイメント」社長
    現ジャニーズ事務所社長の藤島ジュリー景子は娘。
 日刊ゲンダイの2つの記事、「ご都合主義の正義漢ヅラ 手の平返しの大マスコミにはぶったまげた」「ジュリー社長の『知らなかった』と同罪…ジャニーズ事務所の“圧力”に加担してきたスポーツ各紙の苦しい弁明」を紹介します。
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ご都合主義の正義漢ヅラ 手の平返しの大マスコミにはぶったまげた
                       日刊ゲンダイ 2023年8月31日
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 ジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川前社長による性加害問題を巡り、事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」が29日、調査報告書を公表した。
 特別チームは、前社長が1970年代前半から2010年代半ばにかけ、事務所のジャニーズJr.に「広範に性加害を繰り返していた」と認定。「少なく見積もって数百人の被害者がいるという証言が得られた」と報告した。
 事務所がこれまで適切な対応を取れなかった背景として、前社長と姉の故メリー喜多川氏に権力が集中する「同族経営の問題があった」との見方を示した上で、姉が性加害を知りながら「徹底的な隠蔽」を図り、事務所も「見て見ぬふり」をして「被害の拡大を招いた」と批判した。
 特別チームの報告を受け、30日の新聞紙面やテレビのワイドショー番組は前社長による性加害の詳細を報じ、「ここまで踏み込むのか」などと驚いていたようだが、この報道姿勢に鼻白んでしまう読者、視聴者は少なくないだろう。
 なぜなら、報告書では被害を拡大させた理由として大マスコミの責任にも言及していたからだ。

事なかれ主義、忖度が今の大マスコミの姿
 報告書では、多くのメディアが性加害問題を真正面から取り上げなかったため、「事務所は隠蔽体質を強化していったと断ぜざるを得ない」と指摘。結果として「性加害も継続されることになり、さらに多くの被害者を出すことになったと考えられる」「メディアはその影響力を行使することにより、人権侵害を即時にやめさせるべきであったし、できたはずであった」と書いていたが、この苦言は当然だろう。 報告書が示していた通り、前社長の性加害は70年代から始まっており、芸能界では以前から周知の“事実”だったにもかかわらず、大マスコミは知らぬ存ぜぬを続けていたからだ。90年代後半に「週刊文春」が記事で前社長をめぐる性加害の実態について連載し、ジャニーズ事務所は名誉毀損で同社を提訴。2004年に最高裁で「性加害はあった」と確定しても、大マスコミはそろって「沈黙」を貫いた。
 本来は特別チームに調査をゆだねるのではなく、とっくに大マスコミが調査、報道するべきだったわけで、その仕事、役割を放棄しながら、今さら大騒ぎしているのだからクラクラしてしまう。
 ジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「事なかれ主義、忖度。それが今の新聞、テレビの姿です。とりわけ、テレビは酷い。今年初めに放送法の政治的公平の解釈をめぐる総務省の行政文書が漏洩した件がありましたが、テレビ報道における言論の自由という重大な問題にもかかわらず、淡々と報じていただけ。まるで権力側と一体化しているようでした。ジャニーズ事務所の性加害問題も同じ。長い物には巻かれろ、という姿勢が如実に表れています」

メディアが腐るから政治も腐る「リアル戦前」
 ジャニーズ事務所の性加害問題は、大マスコミがコトの重大さをきちんと受け止め、問題意識を持って報じていれば、少なくとも「数百人の被害者」を出す事態にはならなかったに違いない。
 そもそも今回だって、英公共放送BBCが3月に同事務所をめぐる性加害のドキュメンタリー番組を制作しなければどうなっていたか分からない
 元ジャニーズJr.カウアン・オカモト氏が日本外国特派員協会で会見を開いて被害を告発したのを機に、次々と元Jr.メンバーが実名告発。実態を調べるために国連人権理事会の作業部会の専門家が来日するなど“大事”になったため、大マスコミとしては、いよいよ取り上げざるを得なくなった、のが本音ではないのか。いわば「黒船」に突っつかれた「鎖国メディア」が渋々、重い腰を上げたと言っていいだろう。
 それなのに堰を切ったように正義漢ヅラして報じている“臆面のなさ”。ご都合主義。手のひら返しという言葉がふさわしく、ぶったまげてしまう。
 大マスコミのこうした姿勢を見ていると、戦時中の従軍記者と変わらない。従軍記者は「国策に関与している」などと勘違いの高揚感を抱き、戦意をあおる記事を書き続けたが、その結果、多くの市民と軍人を死なせたわけで、ジャニーズ事務所という“大本営”の言いなりに報じてきた従軍メディアは今、どう考えているのか。

福島原発の問題も政府、東電の言い分を垂れ流し
 つくづく、この国のメディアは戦前と同じだが、さあ、彼らが今、口をつぐんでいる問題も今後、果たしてどうなるのか、けだし見ものだろう。
 東電福島原発からの処理水海洋放出だって、大マスコミは政府、東電が言う「安全」を垂れ流すばかりだが、長期間の海洋放出がもたらす環境への影響について、どう考えているのか。ALPS(多核種除去設備)で処理するとはいえ、通常の原発排水とは異なり、メルトダウン(炉心溶融)した核燃料に直接触れるなどした水だ。それを30~40年にわたって海に流せば、何が起きるのか。それを冷静に分析して伝えるのがメディアの役割だろう。
 日本産水産物の輸入を全面禁止した中国の対応についても、政府内から「想定外」なんて声が出ていると報じられているが、だからこそ、地元漁協などは海洋放出に反対していたのではないか。日本政府は事前に中国側にどう説明し、どう理解を得ようとしたのかその外交努力はしたのか。メディアであれば厳しく問うのが当たり前ではないか。それなのに「食べて応援」などと言って福島県産の刺し身を食べる政治家の子供じみたパフォーマンスを喜々として報じているから呆れてしまう。
 振り返れば黒田日銀の異次元緩和だって、副作用を懸念する有識者の声はほとんど伝えず、株高になった、輸出が増えた、と大はしゃぎしていたのが大マスコミだった。
 そうしたら今や、懸念されていた通り、円安が進行し、あらゆるモノの価格が高騰。すると今度は、シレッと苦しい家計事情などと報じているから何をかいわんや。
 岸田政権が前のめりになっている敵基地攻撃能力の保有も武器輸出もスルーしているが、再び悲劇を繰り返すことになったらどうするのか。
 元NHK政治部記者の川崎泰資氏がこう言う。
「ジャニーズ事務所の性加害問題で、メディアは特別チームから、これまでの報道姿勢を厳しく問われたわけですが、それに対して何ら反論できないということは指摘が『その通り』だからでしょう。つまり、今のメディアというのは権力の言いなり、商業至上主義ということ。全く情けない限りです」
 メディアが腐るから政治も腐る。まさに「リアル戦前」ではないか


ジュリー社長の「知らなかった」と同罪…ジャニーズ事務所の“圧力”に加担してきたスポーツ各紙の苦しい弁明
                          日刊ゲンダイ 2023/08/31
《『SMAPには森なんていなかったでしょ?』『最初からいないの。森はSMAPのメンバーじゃない。』などと大声を出した》
 やはり、あの噂は本当だった。8月29日、ジャニーズ事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」がジャニー喜多川氏の性加害問題に関する調査報告書を公表した。その中でジャニー氏(2019年死去)だけでなく、事務所の副社長を務めてきたメリー喜多川氏(2021年死去)への言及もあった。
「調査報告書の『メディアの沈黙』という項目の中に、メリー氏(2021年死去)に関する文言が多数ありました。それは今まで“噂”レベルに留められてきた『圧力』を“真実”と認定したと言っていい内容です。メリー氏のメディアへの圧力がジャニー氏の性加害に拍車をかけた。この点はもっと具体的に、テレビやスポーツ紙で取り上げられてもいい。なぜなら、大局的にみれば、ジャニー氏と同じような性加害は今後起こりにくいですが、メリー氏のようにメディアに圧力をかける人はこれからも現れそうだからです。ジャニーズ事務所の人はさすがにできないとしても、他の大手事務所では出てきてもおかしくない」(週刊誌記者)

 報告書からメリー氏に関する部分を引用しよう。
《文藝春秋に対する訴訟の東京地裁判決でも、週刊文春の記事において、「原告事務所〔注:ジャニーズ事務所を指す〕は怖く、当局〔注:在京の民放テレビ局を指す。〕でも事務所にネガティブなことを扱うのはタブーである」》
 とした上で、「週刊文春」の具体的な文言を書いている。
《「マスコミ対応を委ねられているメリー喜多川は、ドラマの共演者が気に入らないと、その放送局の社長に直接電話をかけ、外すよう要求することもあった」
「平成8年5月にSMAPのメンバーであった森且行が原告事務所を辞めさせられた」
「メリー喜多川は、森がオートレーサーの試験に合格した事実を前向きに報じようとした民放のプロデューサーに、『SMAPには森なんていなかったでしょ?』『最初からいないの。森はSMAPのメンバーじゃない。』などと大声を出した」
「森が原告事務所に内緒でレーサーの試験を受けたことが、メリー喜多川の逆鱗に触れた」
「森の脱退に際して、何らかのイベントは一切なかった」》

 これらの掲載内容について、報告書は以下のように結論づけた。
《その重要な部分が真実であるとの証明がされたか、又は少なくとも、被告の文藝春秋らが、これを真実と信ずるについて相当の理由があったというべきであり、「マスメディアは、原告事務所を恐れ、追従していること」それ自体又はその前提となる事実を真実と信ずるについては、相当の理由があったと判示している(この点は、東京高裁判決においても維持されている)。》

■メリー氏が乗り込んできたのに「圧力を認識したことはない」と書いた日刊スポーツ
 ジャニー氏が性加害を続ける1つの原因になったと認定された「メリー氏の隠蔽」や「メディアの沈黙」についてスポーツ紙は触れたのか。会見翌日の30日の紙面を読むと、日刊スポーツでは多くのジャニーズタレントを長年取材してきた記者がコラムを書いた。
《報告書では「メディアの沈黙」も指摘された。世間でイメージされるような「圧力」を認識したことはないが、記事の性質上、日々の取材ではタレントの生の声、素顔を読者に伝えることに終始して、「密室」での出来事に思いが至らなかったというのが正直なところだ。「気付き」がなく、幾度かのタイミングを失した点で、改めて襟を正す必要を感じている。》

 同コラムに「メリー氏」という名前は見当たらないが、ジャニーズ事務所からの《「圧力」を認識したことはない》としている。ただ、同紙は2年前にメリー氏の死去を伝えた紙面の中で、メリー氏が日刊スポーツに乗り込んできた様子を綴っている。
 それは「日刊スポーツ・ドラマグランプリ」が初めて開催された翌年の1998年のことだったという。第1回は記者と評論家の「審査員票」と「読者投票」で各賞を決め、票の比重は半々だった。メリー氏はこの審査方法に抗議したという。元ジャニーズ担当記者が綴っている。
《応対した私に「あなた、全部のドラマ見ているの?」と聞いてきた。私は「見られる限りは、録画してでも…」としどろもどろに答えた。「見られないのに(記者や評論家が)審査するのはおかしいですね」とズバッと指摘された。そして「やはり視聴者に任せるべきです」。言外に「そうしないとジャニーズのタレントは出さない」のニュアンスを感じたが、メリーさんは純粋にドラマグランプリのことを考えてくれていたと思う。第2回から読者投票だけに切り替え、今年の第25回の節目につながっている。》(日刊スポーツ・2021年8月18日付)

■25回のドラマグランプリのうちジャニーズが21回も主演男優賞を獲得
 メリー氏は読者投票にすれば、ジャニーズ事務所のタレントが賞を取れるという算段があったのだろう。実際、「日刊スポーツ・ドラマグランプリ」は第2回(1998年)から第26回(2022年)までの25回で21回もジャニーズが主演男優賞を取っている昨年は当時King & Princeの平野紫耀が受賞した
「全話平均世帯視聴率を見ると、平野主演の『クロサギ』がヒットしたとは言えません。昨年の民放連続ドラマで1位の『DCU』は14.4%ですが、『クロサギ』は7.4%で半分にも満たない。2つの間には15本以上のドラマがある。キンプリファンが平野君に何か賞を取らせたいという思いで投票したのでしょう。平野君は組織票で受賞しても嬉しくないと思いますよ」(民放関係者)

 昨年の主演男優賞の投票結果を見ると、ベストテンの中で退所者含め8人がジャニーズ系だ。「DCU」の主演である阿部寛はランク外になっている。完全にジャニーズファンによるジャニーズファンのための賞になっている
「おそらく日刊スポーツの記者もそうなると予測していたでしょう。でも、《言外に「そうしないとジャニーズのタレントは出さない」のニュアンスを感じた》からメリー氏の言う通りにした。これを圧力と言わずして、何と言うのでしょうか」(前出の週刊誌記者)

 メリー氏は《あなた、全部のドラマ見ているの?》《見られないのに(記者や評論家が)審査するのはおかしいですね》と言ったそうだが、投票した読者は全てのドラマを見たのだろうか。メリー氏の抗議を受け入れてしまったことで、「日刊スポーツ・ドラマグランプリ」は形骸化してしまった。
「このような話は社内で語り継がれていくと思いますし、メリー氏の行動は氷山の一角でしょう。それなのに、再発防止特別チーム会見の翌日に現在のジャニーズ担当記者が《「圧力」を認識したことはない》と書いた。この期に及んでまだジャニーズを擁護するのかと驚きました。また、記者の《「密室」での出来事に思いが至らなかった》のはジュリー社長の『知らなかった』という発言と同じような印象を受けてしまいます」(ベテラン芸能記者)

■サンスポ、報知、トーチュウ、デイリーは「メディアの沈黙」ついて見解すら示さず
 それでも、日刊スポーツは「メディアの沈黙」という指摘に触れ、見解を述べただけ立派かもしれない。サンケイスポーツ、スポーツ報知、東京中日スポーツ、デイリースポーツは会見内の発言として「メディアの沈黙」や「メリー氏の隠蔽」という言葉は書いているものの、紙面に記者の見解を載せていない。

 昨年からジャニーズに厳しい論調に“変身”したスポーツニッポンは1面で《ジャニーズ解体 嵐、TOKIO、関ジャニどうなる》と大きく見出しを打った。そして、「記者の目」というコラムではこう綴った。
《今回の件で最大の問題は、これほどの事態が半世紀にもわたって隠ぺいされてきたことだ。その責任は、加害者であるジャニー氏、隠ぺいしてきたメリー氏、それを許してきたメディアにある。時代的な背景や事務所の強大なパワーに加え、メリー氏が類いまれな“腕力”の持ち主だったからこそ起きたと言える。》
 メディアの責任にも言及してはいるが、メリー氏の責任が最も重いと主張しているように読める。
「SMAP解散の頃が象徴的ですが、メリー氏が亡くなる前くらいまでスポニチもジャニーズ寄りの記事を量産していたように感じます。裏を返せば、それだけ圧力があったのでしょう。最近のジャニーズへの厳しい論調は、メリー氏への憂さを晴らしているようにも読めます」(前出の週刊誌記者)
 スポニチは「記者の目」でこうも書いていた。
《ジャニー氏が亡くなった今、同様の性加害がジャニーズで再び起きるとは考えにくい。重要なのは、隠ぺいを繰り返さないことだ。》

 前出のベテラン芸能記者はこう話す。
「全くその通りで、ジャニー氏のような性加害が今後起こるとは思いません。しかし、世間はジャニーズに限らず、大手事務所から圧力を掛けられると、メディアが沈黙してしまうと勘付いている。《重要なのは、隠ぺいを繰り返さないこと》とジャニーズ事務所について書いていますが、《重要なのは、大手メディアが沈黙を繰り返さないこと》でしょう。そのためには、今までメリー氏からどんな圧力を受けてきたのか連載すればいいと思います。それは大手事務所への牽制にもなりますから」

 報告書にあったメリー氏の「ドラマの共演者が気に入らないと、その放送局の社長に直接電話をかけ、外すよう要求することもあった」「森がオートレーサーの試験に合格した事実を前向きに報じようとした民放のプロデューサーに、『SMAPには森なんていなかったでしょ?』『最初からいないの。森はSMAPのメンバーじゃない。』などと大声を出した」という文言を、翌日の紙面に掲載したスポーツ紙はなかった。
 死後もなお、メリー氏の残像に屈する必要はないと思うが……。

02- BRICS拡大を読み解く(田中宇氏)

「田中宇の国際ニュース解説」に掲題の記事が載りました。

 BRICSが南アフリカで開いたサミットで、新たにアルゼンチン、サウジアラビア、UAE、イラン、エジプト、エチオピアの6カ国を新規加盟国として招待することを決めました
 現政権が米国と親密な国々ではさすがに参加を見合わせています。BRICS自体も、来るべき米覇権の崩壊までは静観をベースにして、勢力拡大で目立ちたくはないと考えているということです。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
BRICS拡大を読み解く
                 田中宇の国際ニュース解説 2023年8月27日
BRICSが南アフリカで開いたサミットで、アルゼンチン、サウジアラビア、UAE、イラン、エジプト、エチオピアの6カ国を新規加盟国として招待すると決めた。アルゼンチンとサウジとイランは確実視されていた。エジプトもアフリカの有力候補だった。
UAEとエチオピアは意外な感じがする。UAEは、サウジの弟分みたいな国で、人口も900万人しかいない。兄が入ったら弟は入らなくて良さそうなのだが・・・。アフリカで最も人口が多いナイジェリアでなく、2番目のエチオピアが入ったことも分析が必要だ。東南アジアの大国インドネシアが選ばれなかったのも意外だ。
Expanded BRICS to dominate global energy markets - data

サウジとUAEの両方が入った理由はいくつかある。一つは、BRICSが世界の石油ガス利権の大半を握り、米国側をエネルギー面で弱体化させていくためだ。サウジUAEイランが入ったことで、拡大後のBRICSは世界の石油輸出の39%、石油埋蔵の46%、産油量の48%を持つようになった。
2つ目の理由はUAEの外交力だ。サウジは米国に束縛されることが多く、今回のBRICS加盟もこれから米国の了承を得る必要がある。対照的に、UAEは身軽で自由に動けるので、アフガニスタンやイスラエルやアフリカの紛争などに外交的に関与している。
BRICS Invites the UAE - Another Sign That the Multipolar World Is Here
Persian Gulf leaders engage Taliban-ruled Afghanistan

BRICSを主導する中露は、米国が破壊し混乱させた中東やアフリカを安定化していきたい。それには中東やアフリカで外交力がある地元諸国の協力が必要だ。その意味で、UAEとエチオピアをBRICSに入れたのでないかと思われる。
'Welcome to the BRICS 11' What do BRICS invitations mean for the Middle East?

中南米とアフリカで加盟国を増やすことは予測されていた。中南米は、ブラジルが推していたアルゼンチンになった。だが、アルゼンチンの現政権はBRICSに対して冷淡で、招待されたのにBRICSサミットに代表団を送ってこなかった。
アルゼンチンは非米側のBRICSでなく、米国傘下のIMFに追加融資を求めている。しかも10月の大統領選で親米右派で中国敵視のハビエル・ミレイが勝ちそうだ。ミレイが次期大統領になると、アルゼンチンはBRICS加盟を断りそうだ。
How one new member can complicate things for BRICS

ブラジル自身、前大統領のボルソナロは親米右派(親トランプ)で、反米的なBRICSに冷淡だった。2022年に左派のルラが大統領になって(返り咲き)から、ブラジルは急にBRICSに積極関与するようになった
アルゼンチンも、いずれ左派・ペロン派が返り咲けばBRICSに入る。BRICSのこの手の不安定さは、米覇権傘下のG7やNATOの堅い結束(というより束縛、同盟諸国の傀儡化)と対照的だ。米国側のマスコミ権威筋は「BRICSなんてダメだ。米覇権に取って代われるわけがない」と嘲笑している。

実のところ、結束が堅ければ強いというものではない。NATOは鉄の結束だが、ウクライナ戦争でボロ負けしている。G7はリーマン危機以降ゾンビ組織(G7の機能はG20に移転)で、米国が同盟国を束縛するためだけの組織だ。きたるべき米覇権の崩壊まで、BRICSは弱いふりをしていた方が良いので、中南米の右往左往はちょうどいい塩梅だ。
‘A wall of BRICS’: The significance of adding six new members to the bloc

アフリカで人口が最も多いのはナイジェリアだが、米仏のアフリカ支配の片棒担ぎをやっている。最近ニジェール(やマリやブルキナファソ)が、アフリカを不安定にするばかりの米仏に愛想を尽かしてクーデターで親露側に転換した後、ナイジェリアは米仏に味方してニジェールに侵攻する制裁をやると言い続けている。
アフリカの非米化とロシア

ナイジェリアはアフリカの安定に貢献しないのでBRICSに入れなかった。替わりに入ったエチオピアは中国ととても親しい。中国は、世界的な大国(極の一つ)になるための練習として、2000年代からアフリカのスーダン周辺の紛争を仲裁し、その際に地元の仲裁役としてエチオピアと組むようになった。(中国は当時、日本に対し、一緒にアフリカを安定させようと誘ったが無視された。対米従属が何より大事な日本は独自外交など決してやらない)
Can China Broker Peace in Sudan?

外国の紛争に対する中国の戦略は、米欧流の直接関与よりも、地元の仲裁役に任せてそれを支援する間接関与の傾向が強い。中国は、アフリカ北東部ではエチオピアと組んでいる
アフリカの統合を目指すアフリカ連合の本部はエチオピアにあり、本部ビルは中国が建設して寄付した。中国が主導するBRICSの新規加盟国にエチオピアが入るのは自然なことだ。
Explaining China’s involvement in the South Sudan peace process

BRICSへのエチオピアの加盟が中国の肝いりであるのと並んで、エジプトの加盟はロシアの肝いりだ。エジプトは、アラブの春で政権をとったムスリム同胞団を軍部がクーデターで倒して今のシシ政権になったが、軍事政権を嫌う米国に冷遇され、シシのエジプトは安保面でロシアに頼る傾向を強めた。
Sudan conflict: how China and Russia are involved and the differences between them

エジプトやUAEはイスラエルとも親しいので、サウジのBRICS加盟と合わせ、パレスチナ問題もBRICSで取り扱える。
中露敵視の流れに沿うと、エチオピアやエジプトのBRICS加盟は中露のアフリカ支配が強まるだけだと思うかもしれないが、実際は中露がBRICSを使ってアフリカ紛争解決して安定させようとしている。
BRICS grows to include Ethiopia - what should we make of the expansion?

東南アジアでは、インドネシアがBRICSに入りそうな感じがあった。インドネシアは、これまで未加工で輸出されることが多かった鉱物資源を、精製して付加価値をつけてから輸出する新戦略を進めており、中国はインドネシアの資源精製事業への投資・協力を急増している。
これは、資源類の利権を米国側から非米側に移動する中露・BRICSの資源本位制の象徴みたいな話だ。インドネシアは3億人の巨大市場で、その点でもBRICSにふさわしい。インドネシアはBRICSに加盟申請していたが通らなかった
BRICS just announced an expansion. This is a big deal.

その理由は不明だが、もしかするとインドネシアはBRICSに加盟申請しつつも、米国側と非米側の対立の中で非米側に入ってしまうことを躊躇したのかもしれない。インドネシアは、伝統的に「非同盟」の国であり、今回あえてどちらにも入らない姿勢をとったのはインドネシアの伝統に沿っているともいえる。
Will the BRICS expansion stumble over internal divisions or help bridge them?

2023年9月1日金曜日

関東大震災 朝鮮人虐殺「記録ない」 官房長官 資料の存在を無視

 松野博一官房長官は関東大震災当時に起きた朝鮮人虐殺から100年になるのを前に、30日の記者会見で、「政府内において事実関係を把握することのできる記録が見当たらない」と述べ歴史的事実の有無への言及を避け政府としての教訓や反省についても一切答えませんでした。

 しかし専修大学教授の田中正敬さんによれば、朝鮮人虐殺に関するどんな史料がどこに保管されているかは、専門家の誰でもが知っていることであり、資料がないなどということはあり得ないと述べています。

 あたかもなかったことにしたいかのような政府の態度は見苦しいことです。しんぶん赤旗が報じました。
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関東大震災 朝鮮人虐殺「記録ない」 官房長官 資料の存在を無視
                       しんぶん赤旗 2023年8月31日
 松野博一官房長官は30日の記者会見で、関東大震災当時に起きた朝鮮人虐殺について「政府内において事実関係を把握することのできる記録が見当たらない」と述べ、歴史的事実の有無への言及を避けました。政府としての教訓や反省についても一切答えませんでした。

 虐殺をめぐり事実を否定する歴史修正主義的な言説が広がっていることに対し、事実関係を政府として調査する考えがあるかの問いには、「記録が見当たらない」と繰り返すだけで後ろ向きの姿勢をあらわにしました。
 虐殺に関する真相究明は、多くの研究者・市民によって行われてきました。歴史学者の故姜徳相(カン・ドクサン)氏が国会内で発掘した関東大震災時の海軍「公文備考」や、同じく歴史学者の松尾章一氏が東京都立図書館で陸海軍資料を見つけるなど、公文書史料の発掘は進んできた経過があります。内閣府中央防災会議の災害教訓の継承に関する専門調査会報告書『一九二三関東大震災 第二編』でも虐殺が起こったことは認定されています。
 ただ、5月23日の参院内閣委員会では、当時の虐殺を裏付ける記録について警察庁の楠芳伸官房長は記録が見当たらないとし、「仮に資料を確認しても、内容を評価することは困難」と繰り返しました。松野氏の発言はこうした政府見解に基づくものとみられます。

 関東大震災から9月1日で100年を迎えるなか、政府は公文書を含めた多くの資料が存在するにもかかわらず、否定的な姿勢を示しました。歴史に向き合わない異常な姿勢があらためて浮き彫りになっています。


歴史史料の存在明らか 「記録ない」発言の問題点 
       専修大学教授  田中正敬
                       しんぶん赤旗 2023年8月31日
 松野博官房長官の「調査した限り、記録が見当たらない」という発言については、政府が流言を流したという史料は防衛省に、朝鮮人を殺害した記録も東京都立公文書館などに保管されています。朝鮮人の遺体を日本人か朝鮮かわからないように処分しつつあることを示す史料も国会図書館にあります。それらを否定することはできません。
 松野氏の発言は政府がきちんと「調査していない」ということを示しているにすぎませんの問題を研究している人であれば誰でも、史料がどこに保管されているかまで知っていて、「記録がない」などと言っているのは政府だけだということ強調したいと思います。
 中央防災会議で関東大震災に関する報告書が2009年3月に出されましたが、ここにも関東大震災時に軍隊などが朝鮮人の虐殺を直接行ったことが史料に基づいて書かれています。中央防災会議は内開府に所属していますから、朝鮮人虐殺に政府が関与したことは、政府内で確認済みの事柄です。そういう点からしても資料がないなどということはあり得ません。明らかに事実認定を避けていますし、報告書に書かれていることと矛盾する発言は無責任でしょう。
 朝鮮人虐殺が起きたことは明らかです。この問題は日本の朝鮮植民地支配のもとで起きたジェノサイド(集団殺害)です。人権を尊重し、生命の尊厳を認めるという立場の民主主義国家であれば、当然過去の加害を認め真摯(しんし)に対応すべきです。その歴史的事実を認めないことは、自分たちがよって立つ民主主義という政治的な理念を否定することになります。

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