2023年5月3日水曜日

大幅賃上げ 大軍拡・増税ノー 第94回メーデー 中央会場に1・5万人

  1日、第94回メーデーが全国256カ所で開かれました。4年ぶりに、ほぼコロナ禍前に戻した形で開催された東京・代々木公園の中央メーデーには1万5000人が参加し、集会後、都内3コースをデモ行進しました。しんぶん赤旗が報じました。

 日比谷公園大音楽堂で行われた日比谷メーデーには3,500人が集まりました。レイバーネット日本の記事を併せて紹介します。
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大幅賃上げ 大軍拡・増税ノー 第94回メーデー 中央会場に1.5万人
                        しんぶん赤旗 2023年5月2日
 「物価高騰分を上回る大幅賃上げ」「大軍拡・増税反対」などをかかげ1日、第94回メーデーが全国256カ所で開かれました。4年ぶりに、ほぼコロナ禍前に戻した形で開催された東京・代々木公園の中央メーデーには1万5000人(主催者発表)が参加。人気アニメのキャラクターを模して「インボイスは駆逐」とアピールするデコレーションカーなども復活し、集会後、都内3コースをデモ行進しました。志位委員長のあいさつ









     (写真)団結ガンバローを唱和する第94回中央メーデー参加者=1日、東京都渋谷区

 中央メーデー実行委員会の小畑雅子代表委員(全労連議長)が主催者あいさつしました。
 壇上からの決意表明で「職場の理不尽な業務命令に対し、2月に組合を結成。非正規雇用や離れた職場で働く人にも声をかけ、職場の多数派となった」と語り拍手に包まれたのは、全印総連国際マイクロ写真工業社労働組合の加藤恵委員長です。
 全国の国立病院でストライキを打った全日本国立医療労働組合(全医労)の前園むつみ委員長は、「多くの組合員の参加で大きくアピールできた。機構の姿勢を変えるために、団結してたたかっていく」と表明しました。
 日本共産党の志位和夫委員長が来賓あいさつ。日比谷メーデー実行委員会の中島由美子代表幹事は連帯あいさつで、「連帯し、平和の上にジェンダー平等を確立しよう」と呼びかけ。安全保障関連法に反対する学者の会の浅倉むつ子早稲田大学名誉教授は、労働時間を短縮して「生活時間」を取り戻し、民主主義のために使ってほしいと激励あいさつしました。

 「平和が1番」の手作りのプラカードを掲げて参加した全商連の女性(45)は、「武器商売をなくすことが一番の願いです」と話しました。

暮らしと平和守る共闘へ
小畑代表委員が主催者あいさつ
 主催者あいさつした小畑雅子代表委員(全労連議長)は「3年余りのコロナ禍のもとで、新自由主義経済政策の矛盾があらわになった」とのべ、物価高騰が追い打ちをかけていると指摘しました。
 春闘では大幅賃上げを勝ち取るために「たたかう労働組合のバージョンアップ」に挑戦し、貴重な教訓を積み重ねてきたと強調。国際労働機関(ILO)が掲げる「ディーセントワーク人間らしい生活を継続的に営める人間らしい労働条件の実現」のために労働組合の役割は大きいとして、「掲げた要求に確信をもち、労働組合への結集を高め運動をすすめよう」と訴えました。
 「戦争か平和かの重大な岐路に立つ今、大軍拡・大増税、改憲ではなく憲法を生かし、平和な日本をつくるために、幅広い労働者・国民の共闘を」と呼びかけました。

志位委員長があいさつ
 志位委員長は激励のあいさつで、賃上げをかちとるための二つの力を語るとともに、平和・暮らし・民主主義を破壊する岸田政権と「悪政4党連合」の暴走を国民・労働者のたたかいで包囲しようと呼びかけました。
 第一は、たたかう労働組合の結束した力です。志位氏は、全労連の呼びかけにより、昨年を大きく上回る労働者がストライキを決行したことに触れ、熱い連帯を表明。「資本から独立したたたかう労働運動の出番です」と述べ、世界でも大幅賃上げを求めるストライキの大波が起きていることを紹介し、「世界の労働者と連帯して、物価高騰を大きく上回る賃上げを勝ち取ろうではありませんか」と訴えました。
 第二は、政治の責任で賃上げを推進することです。志位氏は、岸田政権は財界に対して賃上げを「お願い」するだけで、中小企業に対する賃上げの具体策は何一つないと批判。大企業の内部留保増加分への時限的課税を行い、税収の10兆円を中小企業支援にあて、最低賃金を1500円に引き上げる日本共産党の提案の実現とともに、消費税5%への緊急減税とインボイスの中止を訴えました。
 志位氏は、国会の状況について、次々に悪法が衆院で強行されるなか、5年間で43兆円の大軍拡の財源を捻出する「軍拡財源確保法案」の連休明けの採決が狙われていると指摘。悪法の採決を強行してきた自民、公明、維新、国民の「悪政4党連合」の暴挙に強く抗議し、必ず廃案に追い込もうと呼びかけました。
 「希望は国民のたたかい」にあると訴え、たたかいの力で政権を包囲し、新しい日本をつくるために力を合わせようと訴えると、参加者から大きな拍手がわきおこりました。


物価高騰、人権侵害、外国人差別、戦争の危機をはね返そう!
    〜日比谷メーデー盛大に
                       レイバーネット日本 2023-05-02
   ⇒ 動画(9分) https://youtu.be/5RbXmkuHTxU
 物価高騰、職場での解雇や人権侵害、外国人差別、戦争の危機。働くものの環境がいっそう悪化するなか、5月1日、第94回メーデーが開催された。この日はメーデーにふさわしい5月の晴天に恵まれた。日比谷メーデーの会場である日比谷野音周辺の木々は鮮やかな緑色に染まっていた。そこに赤や青の組合旗が林立していた。コロナが開けたひさしぶりの大規模集会に参加者の表情も高揚していた。
 9時50分に式典が開始された。主催者・連帯・来賓挨拶に続いて、現場労働者からの「決意表明・訴え」があった。登壇したのは4人で4つのテーマを代表しての発言だった。「正規・非正規連帯」谷川紀子さん(郵政産業労働者ユニオン)、「外国人労働者」長谷川ウェナさん(全統一労組ピードア分会)、「組合弾圧」松尾聖子さん(全日建連帯労組関西生コン支部)、「反戦平和」菱山南帆子さん(5・3憲法大集会実行委員会)がマイクを握った。全員女性だった

 谷川紀子さんは非正規社員11人が原告になって「均等待遇」を求める裁判を起こし、最高裁で成果をあげたことを報告した。勝因は、非正規と正規が一緒にたたかっている郵政ユニオンの取り組みだった。

 長谷川ウェナさんは10数人の仲間と登壇した。仕事は都内のホテルでのベッドメイキング・清掃だが、2021年2月に「コロナで経営悪化」を理由に全員解雇された。長谷川ウェナさんの怒りは激しかった。「経営悪化はウソ!必要のない解雇でした。会社は別法人を立ち上げて営業を再開しています。そして社長は逃げ回っている。私たちには組合がある、パワーがある。こんな解雇は許せません。絶対にあきらめません。応援を宜しくお願いします」。会場から大きな声援が起きた。

 次に登壇した松尾聖子さん。「私は関西のメーデーには参加したが東京は初めて。緊張しています」。その言葉とおり、震えを押さえながらマイクに向かった。「関西生コンの弾圧は正当な労働組合活動が犯罪にされたことです。ユーチューブの動画でメチャクチャ悪いイメージをつくられたが、都合よく編集されたもので真実ではない。裁判も負けていたが、最近、無罪判決が続いた」。ここで感極まったのか「逆転無罪判決!ヤッタ!」と手を広げた。顔には涙があふれていた。「日本の司法では起訴された事件の有罪率は99%。それが勝ったんです。正当な労働組合活動は犯罪ではありません。無罪判決の流れを反転攻勢につなげていきたい。ストライキがあたりまえの社会にしたい」と訴えた。そして「悪いイメージを払拭するドキュメンタリー映画ができました。『ここから』です。関西生コン支部の本当の姿が描かれています。ぜひ見てください」と締めた。

 菱山南帆子さんは憲法審査会の現状を報告。岸田政権は「任期中にも改憲する意思を表明している。任期は来年9月。とても危険な状況だ。5.3の憲法大集会に総結集し、あらたな戦前を吹き飛ばしていこう!」と呼びかけた。

*団結ガンバロウ!
 参加者は、そのあと銀座に向けてデモ行進を行った。メーデーのメインスローガンは「働く者の団結で生活と権利、平和と民主主義を守ろう!」である。しかし自民党政権によって「生活と権利、平和と民主主義」がこれほど破壊されている状況はかつてなかっただろう。4月29日の連合メーデーにはその自民党総裁・岸田首相が堂々と出席している。大政翼賛でいいのか、労働組合のあり方がいまほど問われるときはない。(M)
〔追記〕参加者は主催者発表で3500人だった。

テリー・ゴウ氏の穏健な主張(植草一秀氏)

 植草一秀氏は、(4月5日)アメポチでは日本国民を守れない(植草一秀氏)の記事で、遠藤誉筑波大学名誉教授がYAHOOニュースに寄せた記事「馬英九訪中vs.蔡英文訪米の中、台湾民意「米台友好は必ずしも台湾にいいわけではない」」 https://bit.ly/40yFSZ3 を紹介し台湾市民の現状判断は極めて冷静で、米国が主導する台湾と中国との関係悪化工作を批判的に見つめていることを明らかにしています。

 要するに台湾市民は、「台湾有事」は「米国が米国の利益のために創出するものである」ことを冷徹に見抜いているということです。
 それに対して「日本は米国のポチで、米国の意のままに操られている。米国に操られる日本の終着点は日本の地獄である。私たち日本国民も少しは冷徹な透徹眼を保持できるようにならないといけない」と述べました。
 台湾市民は言うまでもなく中国政府も「台湾有事」など望んでいません。「台湾有事」はいまや米国を凌駕する勢いで発展している中国を叩くために、それを口実に中国に戦争を仕掛けたいと、米国が必死に画策しているものです。
 もしもそうなれば日本に将来するものは「火の海」であり「地獄」です。国のトップにいる人間がなぜそのことを認識できないのか不思議なことです。
 そもそも日中戦争で海上を封鎖されれば、日本には食料も石油もLNGも届かなかくなって たちまち立ち行かなくなります。

 植草一秀氏が「テリー・ゴウ氏の穏健な主張」という記事を出しました。
 それは24年1月に実施される台湾総統選に、鴻海(ホンハイ)精密工業創業者の郭台銘(テリー・ゴウ)氏が出馬意思を表明しているというもので、同氏は427日に台湾の東海大学で講演し、中国は台湾との戦争を望んでおらず、自身が総統になれば独立を宣言することはないため、攻撃しないだろうとの見解を示したということです
 台湾のリーダーが台湾独立を志向するか否かは、当面の危機を回避できるかどうかの点で決定的に重要です。その点でもっとも愚かなのは日本の首相であり与党です。
 そもそも国の行く末を見る能力がない人間に国の舵を取る資格はありません。
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テリー・ゴウ氏の穏健な主張
                植草一秀の「知られざる真実」 2023年5月 1日
2024年1月13日に台湾総統選が実施される。直接選挙方式による台湾総統選は1996年に導入され、これまでに7回実施されてきた。明年1月総統選が第8回目になる。
これまでの総統選では国民党の李登輝、民進党の陳水扁(2回)、国民党の馬英九(2回)、民進党の蔡英文(2回)が選出されている。国民党と民進党が交互に総統を輩出してきた。
国民党は中国との距離が近く、民進党は米国との距離が近い。

2017年に発足したトランプ政権は対中国敵対政策を加速させた
米国の対中国政策の基本姿勢を鮮明に示したのが2018年10月に米ハドソン研究所でのペンス副大統領講演である。米国の対中国敵視政策の骨格が鮮明に示されている。
2019年から2020年かけて香港民主化デモが拡大した。この背景に台湾総統選が存在したと考えられる。
米国は民進党蔡英文氏の総統再選を希望した。しかし、蔡英文の支持率は低迷していた。
ところが、香港民主化デモ拡大を背景に蔡英文氏が支持率を上昇させ、2020年総統選で勝利した。
米国が香港での民主化デモ拡大を誘導したと考えられる。2024年1月の総統選に向けて米国と中国の駆け引きが激化することが予想される。

このなかで、日本でも有名な鴻海(ホンハイ)精密工業創業者の郭台銘(テリー・ゴウ)氏が総統選への出馬意思を表明している。
鴻海(ホンハイ)精密工業は2016年、液晶事業の不振で経営危機に陥ったシャープを買収した。鴻海は経営危機に陥ったシャープの業績をV字回復させた。
鴻海は液晶事業からEV(電気自動車)に主軸をシフトさせようとしている。
躍進する台湾経済を代表する企業の一つが鴻海精密工業だ。

その鴻海精密工業創業者の郭台銘氏が4月27日に台湾の東海大学で講演し、中国は台湾との戦争を望んでおらず、自身が総統になれば独立を宣言することはないため、攻撃しないだろうとの見解を示した。
郭台銘氏は「私の理解では彼らは戦争を望んでいない。しかし独立を目指し、独立すれば戦争になる。彼らは台湾を自国の一部を見なしている」と述べた。
郭台銘氏は総統選で中国の関係が深い野党・国民党の候補指名獲得を目指している。
中国との緊張関係拡大に対して、台湾の市民は冷静な視点を有していると考えられる。

4月2日付ブログ記事「アメポチでは日本国民を守れない」https://bit.ly/3LFt8tt
同日付メルマガ記事「米国介入を迷惑に思う台湾市民」https://foomii.com/00050
に記述したように、台湾市民は米国が台湾と中国の緊張を意図的に拡大させていることを好意的に捉えていない
しかし、台湾総統選の結果は米国の利害を大きく左右する。このため、米国は今回総統選に向けても、あらゆる手段を駆使して介入を強めてくると考えられる。
米国と中国を比較して、どちらの国がより危険な存在であるのかを考える必要がある。
中国が突然、日本に戦争を仕掛けてくることがあるのか。むしろ、警戒するべきは、米国が意図的に緊張関係を高めて、何らかの軍事衝突を人為的に引き起こすことではないのか。
私たちは「米国の手口」について、より深い勉強が必要であるし、「米国の手口」に関してより強い警戒感を持つべきである。

中国は日本や米国との国交関係樹立に際して核心的に重要な二つのことがらを明確に示した。
第一は、中華人民共和国政府が中国を代表する唯一の合法政府であること
第二は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であること。
米国は第二の点について、あいまいさを残して国交を樹立した。この点が火種として残っている

しかし、多数の台湾市民は中国との戦争を望んでいない。中国もまた台湾との戦争を望んでいない。このときに、戦乱を誘発させる行動を取ることは賢明でない。
日本でも戦争発生を煽る論説が流布されているが、人為的に創作される緊張拡大策に最大の警戒を払う必要がある。
2023年の内外経済金融情勢を正確に洞察することが非常に重要な局面を迎えている。

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米銀破綻予備軍は186行(日刊ゲンダイ)/「米銀破綻の衝撃」(しんぶん赤旗)

 3月中旬、米国のシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行が相次いで経営破綻したのに引き続き、5月1日にはファースト・リパブリック銀行が経営破綻しました。

 これについて日刊ゲンダイは「2カ月で米銀3行破綻はリーマン級危機の前夜なのか… アメリカには破綻予備軍186行!」という記事を出しました。
 昨年来の金利上昇によって債権の含み損が膨らんでいて、3月に発表された学術調査によると、米国内にはシリコンバレー銀行と同様のリスクを抱えた銀行が186行に上るということです
 厄介なのが米国の3月の消費者物価指数は50%上昇と高水準なことで、インフレ抑制にパウエル米連邦準備制度理事会議長がさらに追加利上げに踏み切るのかが注目されています。

 しんぶん赤旗は、米国のシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行2行が経営破綻した時点で、『米銀破綻の衝撃』を3回シリーズで取り上げています。併せて紹介します。
 新型コロナウイルス禍に対応するため、各国は大量の資金を市場に供給し、同時にインフレを抑制するために積極的に金利を引き上げてきました。金利が引き上がれば、債券の時価は下がるので、金融機関の含み損が拡大します
 米連邦預金保険公社によると、米銀が保有する証券の含み損は、22年末で83円に達し、1年前の78倍に拡大しました満期まで保有できずに売却することとなれば価格時価で評されることになり更に損失が拡大)。
 と同時にパウエル議長はシリコンバレー銀行の経営陣の経営の失敗を強調し、「彼らは銀行を非常に急速に成長させ、銀行を重大な流動性リスクと金利スクにさらし、そのリスクを回避する措置をとらなかった」ための破綻で、「銀行システム全体に広範に存在する弱点ではな」く「経営失敗の教科書のような事例だ」との見解を示しました
 それに対して議員からは、「なぜ強制執行の教科書的な事例がなかったのか」と追及されました。
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2カ月で米銀3行破綻はリーマン級危機の前夜なのか…
        アメリカには破綻予備軍186行!
                          日刊ゲンダイ 2023/05/01
 欧米メディアは4月29日、経営不安が高まっている米中堅銀行ファースト・リパブリック銀行(FRC)が30日にも経営破綻し、米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に置かれると報じた。リーマン・ショック後で最大規模の破綻となる。シリコンバレー銀行とシグネチャー銀行に続き、わずか2カ月足らずで米銀3行が破綻。何が起きているのか。
  ◇  ◇  ◇
 サンフランシスコに拠点を置くファースト銀行は資産規模全米14位(2126億ドル=約29兆円)。昨年来の金利上昇によって債権の含み損が膨らみ、市場では警戒が広がっていた。3月にシリコンバレー銀行が破綻すると、ファースト銀行でも取り付け騒ぎが発生し、3月末時点の預金残高は昨年末より4割も減少していた。ファースト銀行は公的管理を経て金融大手に売却される方向だ。
含み損を抱える米国の中小銀行は少なくなく、信用不安はまだまだくすぶっている。大口預金が引き出され、破綻に追い込まれる銀行は今後も続く恐れがあります」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)
 3月に発表された学術調査によると、米国内にはシリコンバレー銀行と同様のリスクを抱えた銀行が186行に上るという。
 預金者がナーバスになっているだけでなく、金融当局も銀行に対するチェックを厳しくしている。経営の健全性を示したい銀行は、信用の低い企業や個人に対して融資態度を硬化。貸し渋りや貸しはがしが横行し、米国の中小銀行の融資残高は激減している。

景気後退と物価高が同時に起こる
 イエレン米財務長官は銀行が融資をさらに引き締める可能性を指摘し、「追加利上げの代わりになる可能性がある」と発言。信用のない低所得者やベンチャー企業は融資を受けにくくなっているのだ。
 「FRB(連邦準備制度理事会)は2023年後半から緩やかな景気後退に入るとの見方を示していますが、すでにリセッションの“入り口”に差し掛かっていると言う人もいる。厄介なのがインフレです。米国の3月のCPI(消費者物価指数)は上昇率50%と依然高い水準です。景気後退でありながら物価が高止まりする可能性があります。08年のリーマン・ショックも当初、局地的とみられていましたが、あれよあれよと大きな世界的危機に発展してしまった。今はリーマン級危機の前夜なのかもしれません」(森岡英樹氏)
 2日から2日間、FOMC(連邦公開市場委員会)が開かれる。こんな状況でもパウエルFRB議長は追加利上げに踏み切るのか。


『米銀破綻の衝撃』(上)
                       しんぶん赤旗 2023年4月27日
 3月中旬、情報授権(IT)企業やベンヂャー企業を主要顧客とするシリコンバレー銀行(SVB)と暗号資産(仮想通貨)関連業者との積極的な取引で知られたシグネチャー銀行が相次いで経営破綻しました。一連の出来事は、金融当局者らに2008年の世界金敵危機を想起させるのに十分でした。 (金子豊弘)
 新型コロナウイルス禍に対応するため、各国は大量の資金を市場に供給しました。足元では、インフレを抑制するために積極的に金利を引き上げてきました。金利が引き上がれば、債券の時価は下がります。その結果、金融機関の含み損が拡大。国際通貨基金(IMF)が4月11日発表した金融安定報告書は、「金融安定性リスクが急速に高まっている」「インフレ抑制と金融安定の両立が困難になっている」と警告しました。
 米連邦預金保険公社(FDIC)によると、米銀が保有する証券の含み損は、2022年末で200億ドル(約83兆3000億円)に上ります。1年前の78倍に拡大しました。これは、資金運用の目的で保有され、売買時に損益が発生する売却可能証券と、満期まで所有する意図をもって保有する満期保有証券の合計の含み損です。しかし、満期保有目的であっても、満期まで保有できずに売却することとなれば、価格時価で評されることになり損失発生します。

膨らんだ損失
 SVBは、ハイテク業界が主な取引相手の銀行でした。数百億ドルに上る顧客の預金を、金利が上昇すれば価格が下落する金利リスクのある債券に大量に投資していました。そのため、金利上昇局面で損失が一気に膨らみました
 金融システムの安定のたの活動を行っている国際機関の金融安定理事会(FSB)は、4月中旬に開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議への手紙を発表しました。その中で、08年に続く金融改革をテストするものになったとして、次のように指摘しました。
 「グローバルな金融システムは、銀行の自己資本と流動性の大幅な向上、破綻した機関を効果的に解決するための国際的な枠組み、国境を越えた規制と監督の協力の強化などの改革の結果として、負のショックを吸収するのに適したものになっている」

危機終わらず
 FSBは、改革の成果を誇っているものの規制と監督が十分機能していれば、一連の事態も、信用不安の世界的広がりも起こらなかったはずです。
 米連邦準備制度理事会(FRB)が公開した3月2122両日の連邦公需市場委員会(FOMC)の議事要旨には、米中堅銀行2行の経営破綻による信用不安の広がりにより景気後退の見通しも示されていました。
 米国の金融最大手JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)は、4月4日付の年次報告の中で、「危機はまだ終わっていないし、過ぎ去ったとしても、その影響は何年も続くと指摘しました。    (つづく)(3回連載です)


『米銀破綻の衝撃』(中)
                       しんぶん赤旗 2023年4月28日
 3月10日の金曜日早朝、米国の金融市場に衝撃が走りました。米国の中堅銀行の一つ、シリコンバレー銀行(SVB)が破綻したのです。同社の総資産は2022年年末時点で2090億ドル(約28兆円)。全米16位の資産規模を持つ銀行でした。続く12日には、シグネチャー銀行が経営破綻しました。

経営失敗「外れ値」
 米連邦準備制度理事会(FRB)は3月22日、2銀行破綻による信用不安の拡大よりもインフレ抑制を優先し、政策金利をO・25引き上げることを決めました。この日の会見で、FRBのパウエル議長は、「歴史が示しているように、孤立した銀行の問題が対処されないまま放置されると、健全な銀行に対する信頼が損なわれ、家計や企業の貯蓄と信用のニーズを支える重要な役割を果たす銀行システム全休の能力が脅かされる可能性がある」として、関係当局と連携して全額預金保護の措置などをとったと説明しました。
 パウエル議長はさらに、シリコンバレー銀行の経営陣の経営の失敗を強調。「彼らは銀行を非常に急速に成長させ、銀行を重大な流動性リスクと金利スクにさらし、そのリスクを回避する措置をとらなかった」「銀行システム全体に広範に存在する弱点ではない」外れ値⇒例外だ」と指摘したのです。
 米上下両院議会は3月28、29両日、公聴会を開催しました。証言したFRBのバー副議長(金融規制担当)は、今回の銀行破綻について、取引相手が特定業界に偏り、資産規模を短期間で急拡大させるなど「経営失敗の教科書のような事例だ」との見解を示しました。

全預金の85%にも
 8日の水曜日、SVBは資金繰りのための保有債券売却による18億ドルの損失を計上しました。この対応がかえって、「投資家を驚かせ、預金者を驚かせ、市場を驚かせ」(バー副議長)ました。
 それでも、9日の木曜日の朝、事態は落ち着いているように見えました。午後になって事態が動きました。木曜日の午後遅くに預金の流出が始まり、その日の夜までに、420億ドル以上が銀行から流出したのです。バ議長によると、預金流出はその後も予想されていたといいます。その額は合計1000億ドル。同行の預金ペースで85にも達します。銀行は、預金流出に対応する担保がなく、銀行閉鎖に至りました
 前例のない急速かつ大規模な銀行の取り付け騒ぎでした。米下院金融サービス委員会のマクヘンリー委員長(共和党)は声明で、「初のツイッターを利用した破綻だ」と指摘しました。デジタル化時代、SNSという通信手段が、銀行の破綻を後押ししたというわけです。
 SVB破綻の直接的引き金となった預金流出は果たして、個々バラバラで零細な預金者の行動の結果だったのでしょうか。FRBのパウエル議長は、「相互に結び付いた預金者」の行動の結果だと表現しました。しかも、同行の預金上位10口座の合計預金額は130億ドルを超えていたと言われています。
 「相互に結び付いた預金者」は、一瞬にして巨額マネーを動かすことができる経済主体であり、米国社会をむしばむ深刻な格差を映し出してもいます。   (つづく)


『米銀破綻の衝撃』(下)
                       しんぶん赤旗 2023年4月29日
 FRB)は、破綻した米堅2銀行を「外れ値だったといい、例外的な出来事だったと強調しました。ところがその「外れ値」銀行の破綻は、米国史上2番目、3番目の規模だったのです。

透明性と説明責任
 3月下旬、米上下両院で公聴会が聞かれました。28日の米上院銀行委員会の公聴会では、スコット上院議員(共和)が「米国の歴史の中で2番目と3番目に大きな銀行破綻の真っただ中にいる」「(公聴会は)米国の納税者に必要な透明性と説明責任を提供するための重要な第一歩だ」と指摘しまた。
 2日間の公聴会では、議員と規制当局者との次のようなやりとりが交わされました。
 スコット上院議員  SVBに関して三つのことがはっきりしている。第一に、銀行は誤った管理に満ちていた。第二に、監督上の失敗。規制当局は、居眠り運転をしていた。そして最後に、パイデン大統領の無謀な支出が高インフレを引き起こしている。
 パーFRB副議長(金融規制担当) 監督者は、2021年末近くに監督者による警告を出し姶めた。これらの警告が十分であったかどうか、分な手段を持っていたかどうかを検討する。最近の出来事は、技術の変化と新たなリスクに照らして、銀行業務への理解を進める必要がある。
 実際、FRBは、SVBに対して21年から22年にかけて、警告を発していました。21年には、流動性とその管理に欠陥があることを発見。その結果六つの監督上の調査結果を得ていました。22年には、規制当局は、取締役会の監督が効果的でないこと、リスク管理の弱点、銀行の内部監査機能に関連する三つの調査結果を得ていました。`
 規制当局が問題を把握していたにもかかわらず、破綻という事態にいたったことが、29日の下院金融サービス委員会で問題になりました。
 バーFRB副議長が破綻した銀行の経営について、「経営失敗の教科書のような事例だ」と発言したことに合わせて、民主党の下院議員が突っ込みました。
 パルガス下院議員(民主) なぜ強制執行の教科書的な事例がなかったのかということです。
 これに対し、バー副議長は、規制当局が監督している銀行で問題が発生した場合は規制当局の措置をより迅速に使用することなどに重点を置く必要性に言及しました。

規制の一部を緩和
 米国では、リーマン・ショック後にその教訓を踏まえ、金融機関への自己資本や流動性の確保などを課すドッド・フランク法(金融規制改革法)が成立しました。しかしトランプ政権時、資産規模2500億ドル以下の金融機関に対して、銀行によるストレステストなど一部を緩和しました。しかもSVBには、昨年8ヵ月間にわたり、リスク管理を担当する責任者(CRO)も不在でした。規制緩和と行内のリスク管体制の不備が、破綻の背景になったとの指摘もあります。バイデン政権は、3月30日、資産規模180億~2500ドルの金融機関を対象とした規制強化案を提案しました。一方、FRBは、5月1日までに一連の銀行破綻に間する報借書を発表する予定です。(おわり)


2カ月で米銀3行破綻はリーマン級危機の前夜なのか…
        アメリカには破綻予備軍186行!
                          日刊ゲンダイ 2023/05/01
 欧米メディアは4月29日、経営不安が高まっている米中堅銀行ファースト・リパブリック銀行(FRC)が30日にも経営破綻し、米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に置かれると報じた。リーマン・ショック後で最大規模の破綻となる。シリコンバレー銀行とシグネチャー銀行に続き、わずか2カ月足らずで米銀3行が破綻。何が起きているのか。
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 サンフランシスコに拠点を置くファースト銀行は資産規模全米14位(2126億ドル=約29兆円)。昨年来の金利上昇によって債権の含み損が膨らみ、市場では警戒が広がっていた。3月にシリコンバレー銀行が破綻すると、ファースト銀行でも取り付け騒ぎが発生し、3月末時点の預金残高は昨年末より4割も減少していた。ファースト銀行は公的管理を経て金融大手に売却される方向だ。
含み損を抱える米国の中小銀行は少なくなく、信用不安はまだまだくすぶっている。大口預金が引き出され、破綻に追い込まれる銀行は今後も続く恐れがあります」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)
 3月に発表された学術調査によると、米国内にはシリコンバレー銀行と同様のリスクを抱えた銀行が186行に上るという。
 預金者がナーバスになっているだけでなく、金融当局も銀行に対するチェックを厳しくしている。経営の健全性を示したい銀行は、信用の低い企業や個人に対して融資態度を硬化。貸し渋りや貸しはがしが横行し、米国の中小銀行の融資残高は激減している。

景気後退と物価高が同時に起こる
 イエレン米財務長官は銀行が融資をさらに引き締める可能性を指摘し、「追加利上げの代わりになる可能性がある」と発言。信用のない低所得者やベンチャー企業は融資を受けにくくなっているのだ。
 「FRB(連邦準備制度理事会)は2023年後半から緩やかな景気後退に入るとの見方を示していますが、すでにリセッションの“入り口”に差し掛かっていると言う人もいる。厄介なのがインフレです。米国の3月のCPI(消費者物価指数)は上昇率50%と依然高い水準です。景気後退でありながら物価が高止まりする可能性があります。08年のリーマン・ショックも当初、局地的とみられていましたが、あれよあれよと大きな世界的危機に発展してしまった。今はリーマン級危機の前夜なのかもしれません」(森岡英樹氏)
 2日から2日間、FOMC(連邦公開市場委員会)が開かれる。こんな状況でもパウエルFRB議長は追加利上げに踏み切るのか。

イギリスがウクライナへ劣化ウラン弾を供給

 ロシアの警告にもかかわらず、イギリスは4月25日、同国がウクライナへ供給した「チャレンジャー2」戦車と劣化ウラン弾がすでにウクライナ軍の管理下にあることを明らかにしました。

 劣化ウラン弾による深刻な被害については長周新聞や世に倦む日々氏が厳しく指摘して来ました。
  ⇒(3月28日)許されぬ劣化ウラン弾の供与 英国防省がウクライナへ
    (3月30日)劣化ウラン弾の健康被害を「私は知らない」と言った小泉悠 ~ 
 またプーチンも3月21日、イギリスがウクライナに劣化ウラン弾を供与した場合、「対応せざるを得ない」と警告し西側諸国が「核の材料」を使った武器を配備していると非難しています
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イギリスはウクライナへ劣化ウラン弾を供給、環境を汚染する 
                         櫻井ジャーナル 2023.05.01
イギリスのジェームズ・ヒーピー国防閣外大臣は4月25日、同国がウクライナへ供給した「チャレンジャー2」戦車と劣化ウラン(DU)弾はすでにウクライナ軍の管理下にあり、イギリス国防相は発射地点を監視していないことを明らかにした。チャレンジャー2は劣化ウラン弾を発射できる。
 劣化ウラン弾は2003年3月にアメリカのジョージ・W・ブッシュ政権がイラクを先制攻撃した際、問題になった。この攻撃に参加したのはアメリカ軍24万8000人のほかイギリス軍4万5000人、オーストラリア軍2000人、ポーランドの特殊部隊GROMの隊員194名、そしてクルドの武装集団ペシュメルガから7万人だとされている。
 こうした侵略軍によってファルージャでは大量殺戮が実行されたが、その際に劣化ウラン弾が使われたという。その後、ファルージャやバスラでは新生児に奇形や脳の障害などが多発しているという報告がある。環境汚染毒物学紀要という専門誌に掲載された論文によると、ファルージャで2007年から10年にかけて生まれた新生児の場合、半数以上に先天性欠損があったという。1990年代以前には2%以下、2004年に占領軍から攻撃される前は約10%だとされている
 バスラの産院における先天性欠損の割合は、1994年から95年にかけて1000人のうち137人だったが、2003年には23人、そして2009年には48人に増えている。また、ファルージャやバスラの子どもたちの頭髪から鉛が通常の5倍、水銀が通常の6倍と異常に高いともいう。そうした原因は劣化ウラン弾だと一般的には言われている。劣化ウラン弾が環境を汚染し、放射能障害を引き起こすことは間違いないだろう
 しかし、それ以外の原因もあると考える人がいる。例えば、2011年10月にファルージャを調査したウルスター大学のクリストファー・バスビー教授によると、そこで濃縮ウラニウムを人の髪の毛や土の中から検出したと語っている。
 2006年7月から9月にかけてイスラエル軍はレバノンを軍事侵攻したものの、ヒズボラに敗北。その際にイスラエルが誇るメルカバ4戦車も破壊された。それ以降、イスラエルはミサイルや航空機での攻撃が主体になる。その侵攻作戦の直後にバスビー教授はレバノンへ入った。
 バスビーは残されたクレーターを調査、その中で濃縮ウラニウムが見つかったという。レバノンやガザを走っていた自動車のフィルターからもそうした物質が発見されたという。劣化ウラン弾ではなく、濃縮ウラニウムを使う兵器が利用された可能性がある。
 これに対し、ロシア軍は4月から最新鋭戦車のT-14をドンバスへ配備し始めたようだ。弾道弾の射程は7キロメートル、ATGM(対戦車誘導ミサイル)を使用する場合は12キロメートルだと言われ、性能はNATOの戦車を上回る。しかもロシア軍の戦車は航空兵力の支援を受けられるが、ウクライナ軍は困難だ。劣化ウラン弾で戦況を変えることはできない。単に環境を汚染するだけだ。
 昨年11月、シュピーゲル誌はドイツ軍がロシアとの戦争の準備をしているとする記事を掲載した。ドイツ軍のエバーハルト・ツォルン参謀総長が「軍隊の作戦ガイドライン」と題された秘密の草案を作成。ロシアを「差し迫った脅威」だとし、ドイツ軍はこの時点でロシア軍との戦争を準備し始めたとみなされている。
 アンナレーナ・ベアボック外務大臣は昨年8月31日から9月2日にかけてプラハで開かれた「フォーラム2000」で、「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人びとを支援する」と発言して非難され、欧州議会で「われわれはロシアと戦争している」と公言している。
 西側では「反転攻勢」が宣伝されているが、すでにアメリカ/NATO軍は武器弾薬が枯渇。武器弾薬が十分にあり、戦力が温存されているロシア軍に「反撃」することは難しい。
 2014年2月にバラク・オバマ政権はネオ・ナチを利用したクーデターでウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権を2014年2月に倒したものの、クリミアやドンバスを制圧できない。ロシア軍の生産力と戦闘能力を見誤り、アメリカ/NATOの敗北は決定的だ。ウクライナが「反転攻勢」することはできそうにない。
 そうした中、中国が「停戦」を実現しようと動いている。アメリカのメンツを潰さずに戦闘を終えるシナリオを考えているのだろう。ウクライナはロシアからEUへ天然ガスや石油をウクライナ経由で運んでいたが、中国の「一対一路(BRI)」もウクライナを通過する。ウクライナのクーデターは19世紀から続く長期戦略に基づいているが、短期的にみるとロシアのパイプライン、中国のBRIが重要なファクターだろう。