2023年12月4日月曜日

核禁止条約第2回締約国会議が閉幕 政治宣言を採択

 ニューヨークの国連本部で開かれていた核兵器禁止条約第2回締約国会議は1日、核抑止論について不拡散や核軍縮に反するとして厳しく批判し、禁止条約未参加国に署名や批准を呼び掛ける政治宣言を採択して閉幕しました。

 政治宣言は最近の核保有国による核兵器使用の威嚇などに触れ「核兵器は平和と安全を守るどころか、強制、脅迫、緊張激化の政策手段として使われている」と批判し、「核抑止の永続化と実践は不拡散をむしばみ、矛盾するだけでなく、核軍縮への前進を妨げる」と非難しました。
 会議には69ある締約国のうち59カ国、オブザーバー国35カ国の計94カ国が参加しました

 共産党の志位委員長は2日、第2回締約国会議が閉幕したのを受けて、会議の成功を「心から歓迎する」との談話を発表しました。
 その中で政治宣言で核兵器が「平和と安全を守るどころか、強制、脅迫、緊張の高まりにつながる政策手段」となっているとして「核抑止論」を痛烈に批判したことを指摘し、禁止条約が核使用の手を縛るうえでも「核抑止力」論を打ち破るうえでも大きな規範力を発揮することを示すものだと述べました。
 また日本政府の不在が失望と批判を広げていることを指摘し、オブザーバー参加すらせず、対話や議論を拒否したことを「恥ずべき態度」ときびしく批判し、日本政府が禁止条約に参加するよう強く求めました。
 しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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実効性・規範力を高める核禁条約 第2回締約国会議が閉幕 政治宣言を採択
                       しんぶん赤旗 2023年12月3日
【ニューヨーク=島田峰隆】米ニューヨークの国連本部で開かれていた核兵器禁止条約第2回締約国会議1日、核抑止論について不拡散や核軍縮に反するとして厳しく批判し、禁止条約未参加国に署名や批准を呼び掛ける政治宣言を採択して閉幕しました
 フアン・デラフエンテ議長(メキシコ)は閉幕演説で「政治宣言は今の時期に切望されている強力なメッセージになる」「より安全な世界を実現する唯一の方法は核兵器の禁止だ」と強調。「会議での意見交換は私たちの確信を強化し、禁止条約の実践に向けて前進することを可能にした」と述べました。
 政治宣言は最近の核保有国による核兵器使用の威嚇などに触れ「核兵器は平和と安全を守るどころか、強制、脅迫、緊張激化の政策手段として使われている」と批判。「核抑止の永続化と実践は不拡散をむしばみ、矛盾するだけでなく、核軍縮への前進を妨げる」と非難しました。
 また「締約国は核のリスクと核抑止の危険な永続化の傍観者にはならない」とし核抑止論に対抗してたたかう姿勢を強調しました。
 宣言は昨年の第1回締約国会議以降に参加国が増えたことを歓迎し、未参加の国々に「遅滞なく署名、批准する」よう改めて呼び掛けました。
 宣言は「核兵器使用の破滅的な人道的結果への深刻な懸念」を再確認。核兵器の非人道性が「核軍縮と核兵器のない世界の達成・維持の道徳的、倫理的な責務の土台だ」とし、非人道性の議論を深める姿勢を示しました。

 会議には69ある締約国のうち59カ国、ドイツなど米国の同盟国を含むオブザーバー国35カ国の計94カ国が参加。市民社会も交えて条約の具体化や課題を議論しました。
 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の代表が被爆証言を行ったほか、原水爆禁止日本協議会(日本原水協)の代表も発言。日本共産党からは笠井亮衆院議員が参加し、議長や各国政府代表に要請文を渡しました。
 第3回締約国会議は2025年3月3日~7日、ニューヨークの国連本部でカザフスタンを議長国として開くことを決めました。


核禁条約第2回締約国会議が閉幕 会議の成功を歓迎する 志位委員長が談話
                       しんぶん赤旗 2023年12月3日
 日本共産党の志位和夫委員長は2日、第2回締約国会議が閉幕したのを受けて、「核兵器問題での重大な逆行が起こっているもとで、核兵器禁止条約の国際法としての実効性・規範力をいっそう強化し」たとして、会議の成功を「心から歓迎する」との談話を発表しました。

 志位氏は談話で、政治宣言で核兵器が「平和と安全を守るどころか、強制、脅迫、緊張の高まりにつながる政策手段」となっていると、核抑止を痛烈に批判したことを指摘。次回会合までに「抑止力」論からの脱却を訴える報告書を作成することを決めたことなどをあげ、禁止条約が核使用の手を縛るうえでも「核抑止力」論を打ち破るうえでも大きな規範力を発揮することを示すものだとのべました。
 また、条文にもとづく、被害者支援や環境修復の計画づくり、そのための「国際信託基金」の設立に向けたガイドライン策定など、国際法としての実効性、規範力を高めていることの重要性を指摘しました。
 志位氏は日本政府の不在が失望と批判を広げていることを指摘し、オブザーバー参加すらせず、対話や議論を拒否したことを「恥ずべき態度」ときびしく批判。日本政府が禁止条約に参加するよう強く求めました。(談話全文下掲


実効性・規範力を高める核兵器禁止条約――第2回締約国会議の成功を歓迎する
                       しんぶん赤旗 2023123
202312月2日 日本共産党幹部会委員長 志位和夫
 一、核兵器禁止条約第2回締約国会議は、ロシアやイスラエルによって核使用の脅迫が行われ、他の核保有国も核戦力の維持・強化をはかるなど、核兵器問題での重大な逆行が起こっているもとで、核兵器禁止条約の国際法としての実効性・規範力をいっそう強化し、その具体的運用を前進させ、「核兵器のない世界」への大きな希望を示す会議として大きく成功した。日本共産党は、笠井亮国際委員会副責任者・衆院議員を派遣し、会議成功のため奮闘した。締約国会議の大きな成功と核兵器禁止条約の前進を、心から歓迎する。
 一、政治宣言は、「核の危険が高まっている」ことに警鐘をならし、「核兵器のいかなる使用も、また使用の威嚇も国連憲章を含む国際法違反」であり、「明示的であれ暗黙的であれ、いかなる状況であれ、核兵器によるあらゆる脅威を明確に非難」した。
 また、政治宣言は核兵器が「平和と安全を守るどころか、強制、脅迫、緊張の高まりにつながる政策手段」となっていると、これまでにもまして核抑止を痛烈に批判した。締約国会議は、次回会議までに、核兵器の人道的影響とリスクに関する新たな科学的証拠に基づき、「核抑止に基づく安全保障概念に挑戦」し、「核抑止力」論からの脱却を訴える報告書を作成することも決めたことは重要である。
 これらは、核兵器禁止条約が、核保有国による核使用の手をきつく縛るうえでも、核兵器固執の最悪のよりどころとなっている「核抑止力」論を打ち破るうえでも、大きな規範力を発揮していることを示すものである。
 一、政治宣言は、核軍備縮小・撤廃について定めたNPT第6条の義務や核兵器廃絶の「明確な約束」について、どの核保有国も「法的拘束力のある第6条の義務を果たしていない」とつよく批判する一方、核兵器禁止条約の発効によって、NPT第6条の履行を前進させ条約を拒否する核保有国の非難がまったく成り立たないことを浮き彫りにするものである。
 一、前回会議後、条文にもとづく活動が着実にすすめられた。なかでも被害者支援、環境修復、国際協力と援助に関する第6条と第7条に関して、被爆者の苦しみが続き、多くの人が救済されないままになっていることが改めて明らかにされ、締約国が次回会議に向け、被害者支援や環境修復の計画をつくり、実行すること、そのための国際協力をすすめることなどが確認された。被害者を支援し、環境修復を財政的に援助する「国際信託基金」の設立にむけたガイドラインの策定も決定された。条約が実際に運用され、ここでも、国際法としての実効性、規範力を高めていることは重要である。
 一、会議には35カ国がオブザーバーとして出席し、NATO加盟国など米国の同盟国からのオブザーバー参加国の出席と発言は歓迎された。
 一方、日本政府の不在に対して、「日本がいないのはおかしい。不思議な国」との失望が広がっている。赤道ギニアは「日本は核廃絶を主張する一方で、国連総会には核保有国と足並みをそろえて投票している」と、日本政府の態度をただした。
 日本政府が「橋渡し」といいながら、オブザーバー参加すらせず、対話や議論を拒否したことは、恥ずべき態度である。
 日本共産党は、唯一の戦争被爆国で活動する政党として、日本政府が「核抑止力」論からの呪縛を断ち切り、禁止条約に参加することを強く求める。

ガザでの虐殺を止める努力を強めるべきだとする訴えを小馬鹿にしたバイデン

 櫻井ジャーナルが掲題の記事を出しました。
 米国がイスラエルに事ごとにべったりになっている背景が述べられています。
 この記事では触れられていませんが、米国民の中でイスラエルのガザ攻撃を無条件に支持している勢力はキリスト教の福音主義(聖書原理主義)です(人口比20~30%)。

 「耕助のブログ」は、ネタニヤフが、ガザでの虐殺に関連して旧約聖書サムエル記上15章3節に言及し、パレスチナ人をそこで抹殺されるアマレク人に譬えたことを伝えています。
 ⇒(11月23日)ハマスはテロ組織ではないーハマスの概念定義をめぐる言説工作と情報戦
 櫻井ジャーナルも福音主義との関係については繰り返し述べているので、それがベースにあるのは明らかなのですが、ここでは新たな要素として以下の点を挙げています。

 ガザ沖海底の膨大な天然ガスと石油に関するイスラエル支配権の擁護、中国の「一帯一路」に対抗する「IMEC(インド・中東・欧州経済回廊)プロジェクト」とスエズ運河に対抗する「ベン・グリオン運河計画」(この2点は米国の構想)を推進させる上で、バイデンは米国の私的権力の利権を守るためにはイスラエルを支えなければならないと考えていると述べています。
 その一方でネタニヤフはパレスチナ人を殲滅するまで虐殺を続けると明言しています。
 米国がトンキン湾事件を捏造して開始されたベトナム侵略戦争でも、ソンミ村で数百人の大虐殺が行われ、数十年を経た現在でも強烈に記憶されています。ガザでは、ネタニヤフの野望とバイデンの利権絡みの賛同に基づいて、それが連日連夜繰り返されているのです。

 併せて櫻井ジャーナルの記事「世界の人びとが厳しい目を向けているイスラエルではカルト政治家が虐殺を進める」を紹介します。
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ガザでの虐殺を止める努力を強めるべきだとする訴えを小馬鹿にしたバイデン
                         櫻井ジャーナル 2023.12.03
 インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は11月13日にアメリカを訪問、ホワイトハウスでジョー・バイデンと会談した。その際、ウィドドはバイデンに対し、ガザでの残虐行為を止めるため、アメリカは努力するように訴えたのだが、バイデンはそれを無視、相手を小馬鹿にした態度を示した。重要な気候の話をしたとして、「寒い」と口にしたと語ったのだ。
 ガザにはインドネシアの資金で建設された病院があるが、11月20日にイスラエル軍はその病院を砲撃、2階に命中し、12名以上が殺されたとされている。
 イスラエル軍はハマスの地下施設があるという口実で病院もターゲットにしてきた。アル・シファ病院も破壊された病院のひとつだが、エルサレム・ポスト紙が11月14日に掲載した記事などによると、ハマスの地下司令部はそこから85キロメートル離れた場所にあったその情報を知りながら病院を破壊、患者や避難民を殺傷したのだ。

 イスラエル軍はガザでハマスと戦っているのではなく、イスラエル建国時と同じように、パレスチナ人を虐殺し、恐怖に駆られた人びとが逃げ出すように仕向けていると考えられている。それをわかっているエジプトは国境を開けず、ヨルダンも警戒している。イスラエルは「パレスチナ問題」をそうしたアラブ諸国へ押し付けようとしているとも言われている。
 本ブログでは繰り返し書いてきたが、「イスラエル建国」ではイギリスが重要な役割を果たした。その第一歩はイギリスの外相を務めていたアーサー・バルフォアが1917年11月2日にウォルター・ロスチャイルドへ出した書簡だが、建国の大きな目的のひとつはスエズ運河の安定的な支配だったと考えられている。
 ユーラシア大陸の周辺部を海軍力で支配、内陸国を締め上げるという戦略を成立させる上でスエズ運河は重要な意味を持った。運河によって地中海と紅海を艦船が行き来できることはイギリス海軍にとってだけでなく、物資の輸送においても重要だった。イスラエルと同様、サウジアラビアもイギリスが作り上げた国だ。
 1920年代に入るとパレスチナでアラブ系住民の反発が強まり、デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用することになった。
 この組織はRIC(アイルランド王立警察)を支援、IRA(アイルランド共和国軍)を制圧するために設立された。隊員の多くは第1次世界大戦に従軍した後に失業した元イギリス兵だ。違法な殺人、放火、略奪など残虐さで有名になった。イギリス政府はその働きを評価、パレスチナへ投入、そこでアイルランドと同じことを行うことになる。
 ドイツでナチスが実権を握ると、シオニストはドイツのユダヤ人に目を付ける。そしてシオニストはナチス政権との間でユダヤ系ドイツ人をパレスチナへ移住させることで合意した。「ハーバラ合意」だ。
 その後、イギリスの戦略はアメリカに引き継がれた。イスラエルはアメリカを拠点とする私的権力の利権を守る上で重要な存在になったということだ。それをバイデンは上院議員時代の1986年6月に議会で訴えている。
 そのスエズ運河は現在、エジプト領の中にある。そこでアカバ湾と地中海をつなぐ「ベン・グリオン運河」が計画された。その出口がガザの北側。また地中海の東部、エジプトからギリシャにかけての海域で天然ガスや石油が発見されていることも重要なファクターだ。

 1995年9月、イスラエルのイツァク・ラビン首相とPLOのヤセル・アラファト議長が「オスロ2合意(ヨルダン川西岸地区とガザ地区に関する暫定合意)」に調印、それによってパレスチナ自治政府に海岸から20海里までの海域の海洋管轄権を与えた。
 パレスチナ自治政府は1999年にブリティッシュ・ガスと25年間のガス探査契約を結ぶのだが、その年に大規模なガス田が発見された。ところがパレスチナ人はその天然ガスから何の利益も得ていない。その一方で、イスラエルは2007年以降、パレスチナ人に対する弾圧の度合いを格段に強める。そしてイスラエルはガザ沖の天然ガスの支配権を確立する
 2010年、イスラエル北部で推定埋蔵量約4500億立方メートルの大規模なガス田を発見したとノーブル・エナジーが発表。USGS(アメリカ地質調査所)の推定によると、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っている。ビル・クリントン元米大統領はノーブル・エナジーのロビイストだった。このエネルギー資源をキプロス経由でヨーロッパへ運ぶという計画がある
 ノーブル・エナジーはヒラリー・クリントンに選挙資金を提供していた。そのヒラリーをジョージ・ソロスが操っていることは2016年に漏れた電子メールで明らかにされたが、そのソロスはロスチャイルド金融資本と結びついている。

 ロシアは今年9月10日から13日にかけてウラジオストクでEEF(東方経済フォーラム)を開催したが、その直前の9月8日、ニューデリーでG20サミットが開かれた。その席上、インドのナレンドラ・モディ首相はIMEC(インド・中東・欧州経済回廊)プロジェクトを発表している。
 IMECはインド、UAE(アラブ首長国連邦)、サウジアラビア、イスラエルを結び、さらにギリシャからEUへ伸びるルート。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相によると、アメリカがイスラエルにこの計画を持ちかけたという。この回廊は地中海につながるが、その出口がガザに接している
 ロシアと中国は2015年、BRI(一帯一路)とユーラシア経済連合(アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスタン、ロシア)を連結し、多極的な関係を築くと宣言しているが、この構想に対抗することがIMECの目的だ。
 インドは以前からイスラエルやサウジアラビアとの関係を強化、サウジアラビアもイスラエルに接近していた。アメリカの属国と化したヨーロッパを繋ぎ止めるため、ヨーロッパと西アジアをつなぐわけだ。その中核になるのがイスラエルにほかならない。
 アメリカ政府のエネルギー安全保障顧問を務めるアモス・ホクスタインは11月20日にイスラエルを訪問、ヒズボラの問題だけでなく、地中海東岸の天然ガス田について話し合ったと伝えれている。アメリカにはベン・グリオン運河計画やIMECプロジェクトもあり、ガザの状況がこうした利権を壊さないよう画策しているのだろうが、バイデン大統領はアメリカの私的権力の利権を守るためにはイスラエルを支えなければならないと考えている人物だ。
 バイデンが仕えるアメリカやイスラエルの支配層にとってガザのパレスチナ人は目障りな存在。そこでガザから彼らを消し去ろうとしてきたが、今回のガザ攻撃は特に酷い。


世界の人びとが厳しい目を向けているイスラエルではカルト政治家が虐殺を進める 
                          櫻井ジャーナル 2023.12.04
 ガザはアメリカの私的権力にとって重要な場所になった。まず、地中海の東部、エジプトからギリシャにかけての海域で9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が発見された。ガザ沖にも天然ガスは存在、そこからキプロスを経由してイタリアへパイプラインで輸送する計画がある。そのライバルになるロシアの天然ガスを運ぶパイプラインはすでにアメリカが止めたり破壊した。
 9月8日にニューデリーで開かれたG20サミットの席上、インドのナレンドラ・モディ首相が発表したIMEC(インド・中東・欧州経済回廊)プロジェクトはインド、UAE(アラブ首長国連邦)、サウジアラビア、イスラエルを結び、さらにギリシャからEUへ伸びる輸送ルートで、中国のBRI(一帯一路)に対抗する目的で計画された。後ろ盾はアメリカだ。そのIMECはガザの北で地中海につながる。
 19世紀以来、アングロ・サクソンの世界支配プロジェクトで重要な役割を果たしてきたスエズ運河は現在、エジプト領の中。エジプトの影響力を弱めるため、「ベン・グリオン運河」が計画されている。この運河はアカバ湾のエーラト港からヨルダンとの国境沿いを進み、ガザの北側から地中海へ出る。

 アメリカの戦略上、重要な場所になったガザにイスラエルは強制収容所を築き、中東を不安定化させている。そこでガザやヨルダン川西岸からパレスチナ人を排除しようとしてきた。この手法はイスラエルを「建国」する際やアメリカを「建国」する際にも使われた。今回のガザに対する攻撃も民族浄化作戦にほかならない
 日米欧や中東の「王国」を支配している人びとはイスラエルの残虐行為を容認しているが、全体で見るとイスラエルを見る目は厳しくなっている。サウジアラビアなど「親米」とされてきた国でも国民の怒りを無視できず、ガザでの虐殺を非難するポーズはとっている。
 イスラエル軍がガザで虐殺を続けている別の理由もある。イスラエルはナチスと同じようにカルト色が濃く、その信仰が影響している。
 10月7日にハマスの戦闘部隊がイスラエルへ攻め込んだ直後、イスラエルの首相を務めているベンヤミン・ネタニヤフは「われわれの聖書(キリスト教における「旧約聖書」と重なる)」を持ち出し、パレスチナ人虐殺を正当化した。
 聖書の中でユダヤ人と敵だとされている「アマレク人」を持ち出し、「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を引用、この「アマレク人」をイスラエルが敵視している勢力に重ねて見せたのだ。「アマレク人」を家畜ともども殺した後、イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神に命じられたという。
 そしてサムエル記上15章3節の話を彼は持ち出す。そこには「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」ということが書かれている。これこそがガザでイスラエルによって行われていることだというのだ
 ネタニヤフによると「われわれは光の民であり、彼らは闇の民だ」としたうえで、イザヤの預言を理解しなければならないと主張する。「われわれ」とはイスラエル人、「彼ら」とはパレスチナ人、イスラム教徒、あるいはイスラエル以外の人びとを指しているのだろう。

 また、ギラド・エルダン国連大使は10月8日に安全保障理事会で「これはイスラエルの9/11だ」と演説​、ヨアブ・ギャラント国防相はパレスチナ人を「獣」だと表現した。
 インターネットには、95歳になるイスラエル陸軍の退役兵、エズラ・ヤチンがユダヤ人に対してパレスチナ人を殺して彼らの記憶を消し去れと呼びかけている映像が流れている。
 イスラエルの神憑った人びとはナイル川とユーフラテス川に挟まれた地域、つまりパレスチナのほかレバノン、ヨルダン、クウェート、シリア、さらにイラクの大半、エジプトやサウジアラビアの一部を「約束の地」だと主張している。「大イスラエル構想」とも呼ばれている。
 アメリカやイスラエルの「建国」は神憑っているアメリカの場合、1617年にマサチューセッツ湾へ到達したジョン・ウィンスロップは自分たちを「神から選ばれた民」だと主張、神との契約に基づいてマサチューセッツ植民地を建設すると語っている。
 この感覚はその後も生き続け、アメリカ軍を「神の軍隊」だと考える人が1960年代にもいたが、ベトナム戦争で「神の軍隊」のはずであるアメリカ軍が勝てない。1967年にベトナム戦争は泥沼化していた。その事実が明らかになるのは1968年1月31日に南ベトナムの主要都市を一斉に攻撃した「テト攻勢」からだ。
 マーチン・ルーサー・キング牧師は1967年4月4日にニューヨークのリバーサイド教会で開かれた「ベトナムを憂慮する牧師と信徒」で「沈黙が背信である時が来ている」という主催者の訴えに賛意を示し、「なぜ私はベトナムにおける戦争に反対するのか」という話をしている。牧師が暗殺されたのは1年後の4月4日だ。1968年にはキング牧師と親しかったロバート・ケネディは大統領選挙の最中、6月5日の銃撃され、翌日に死亡した。

 1967年6月5日にはイスラエル軍がエジプト、シリア、ヨルダンを奇襲攻撃して第3次中東戦争が始まった。6月8日にアメリカは情報収集船の「リバティ」を地中海の東部、イスラエルの沖へ派遣、そのリバティをイスラエル軍は攻撃する。偵察飛行を繰り返した後の攻撃で、アメリカ軍の艦船だということを知った上での攻撃だ。
            (中 略)
 リバティが攻撃されている際、イスラエル軍の交信内容をアメリカの情報機関は傍受、記録していた。その中でイスラエル軍のパイロットは目標がアメリカ軍の艦船だと報告、それに対して地上の司令部は命令通りに攻撃するように命令している。イスラエル軍はアメリカの艦船だと知った上で攻撃していることをアメリカの情報機関は知っていた。
 その交信を記録したテープをアメリカの電子情報機関NSAは大量に廃棄したという。複数の大統領へのブリーフィングを担当した経験を持つCIAの元分析官、レイ・マクガバンもこうした隠蔽工作があったと確認している。

 当時、アメリカ政府の内部で秘密工作を統括する中枢は「303委員会」と呼ばれていた。1967年4月、そこで「フロントレット615」という計画が説明されたという。リバティを潜水艦と一緒に地中海の東岸、イスラエル沖へ派遣するというもので、実際、後にリバティや潜水艦は派遣された。
 この計画には「サイアナイド作戦」が含まれていた。リバティを沈没させ、その責任をエジプト、あるいはソ連に押しつけて戦争を始めようとしたという推測がある。いわゆる偽旗作戦だ。エジプトが狙われていた可能性が高いだろう。アメリカの偵察船をイスラエルに攻撃させ、船を沈没させて乗員を皆殺しにしようとしたのはジョンセン政権だった可能性があるのだ。
 イスラエルが攻撃に踏み切った目的、戦争の実態、リバティを攻撃した本当の理由などを知ることのできる資料が2017年には明らかにされるはずだったが、10年7月にベンヤミン・ネタニヤフ首相は情報公開の時期を20年間遅らせることを決めている
 第3次中東戦争の結果、約43万9000人の新たなパレスチナ難民がヨルダン川東岸へ移動しているが、この時にゲリラ戦でイスラエル軍を苦しめたのがファタハであり、ファタハを率いていたのがヤセル・アラファトである。このアラファトを弱体化させるため、イスラエルはハマスを創設した。
 第3次中東戦争以降、アメリカのキリスト教福音主義者(聖書根本主義者)はイスラエル軍を新たな「神の軍隊」とみなすようになり、リクードの後ろ盾になった。ネタニヤフはリクードの政治家だ。

イスラエルの蛮行はあまりに衝撃的で、受け入れるのが困難

 ガザの死者は1万5千人を超え、ガレキの下には、さらに7千人の死者が埋まっていると見られています。しかしながらこれはまだ途中経過であって、ネタニヤフはガザのパレスチナ人を殲滅すると公言しています。
 ケイトリン(豪州人)が掲題の記事を出しました。
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イスラエルの蛮行はあまりに衝撃的で、時に受け入れるのが困難
                 マスコミに載らない海外記事 2023年12月 3日
この生きている悪夢に何か前向きなことがあるとすれば、それは地球を揺るがすほど醜く、世界を揺るがすかもしれないことだ。 ケイトリン・ジョンストン 2023年11月30日

 イスラエルの犯罪はあまりに恐ろしいので、最初自分が何を見ているのかさえ理解できないことがある。ただ自分が見ているものを少しでも理解しようとして、突然宇宙人や靴職人の妖精レプラコーンか何かを見た時のように人はそれを見つめる。
 昨日、ハマスとの人質交渉でパレスチナ人捕虜の解放を祝ったために、エルサレムでイスラエル軍に撃たれた十代の少年に関するスカイニュース報道を見ていた時、それが私に起きた。見ていて自分が見ているものを誤解しているに違いないと思った。イスラエルがひどいことをしているのは知っているが、この話は、彼らが何か嬉しい気分で子供を撃ったというものではない。
 そして、この二ヶ月間に何度も起きたことと同様私は見続け、そう、それは確かに起きたことだと分かった。エルサレムのFleur Hassan-Nahoumフルール・ハッサン・ナフーム副市長は「殺人未遂犯釈放の祝賀会は行わないという決定の一環だ」と述べ銃撃を擁護し(これは実際は取り引きの一部ではなくイスラエル国家安全保障大臣が出した命令に過ぎない)「我々は殺人未遂犯の釈放について話している」と不誠実に主張している(大多数は有罪判決を受けていない)そして彼らに対する告訴に対する適正手続きは拒否されている)。
 副市長発言の映像を見たバンドのEve6は感想をうまくまとめてTweetした。「この映像の注目すべき点は、彼女の自信だ。『十代の若者が祝っていたから撃った』のは妥当だと人々が納得できると、彼女はこの上ない自信を持っているのだ」

 今月初めイスラエル国防軍がガザのアル・ナスル小児病院を襲撃した後、5人の未熟児が飢えと寒さと放置で死ぬに任され、一時停戦で病院への出入りが許可された際、彼らの腐敗した遺体が発見された。乳児は換気用と点滴用のチューブにつながれていた。イスラエル軍兵士がアル・ナスル小児科病院を襲撃し、医師に退去を命じてから17日後だ。
https://t.co/IBLdmH0kvJ Electronic Intifada (@intifada) 2023年11月29日

 今月始め、イスラエル国軍がガザのアル・ナスル小児科病院を襲撃放置されて亡くなった五人の未熟児について読んで私は同じ経験をした。子供たちの腐乱した遺体は、一時停戦で、病院の出入りが可能になった後、ようやく発見されたのだ。信じがたいほどの狂気の沙汰だ。彼らは小児病院を襲撃したのだろうか? そして彼らはそこに赤ん坊を置き去りにして死なせたのだろうか? 何ということだ??
 今このことを我々が知っている唯一の理由は、戦闘が休止し、ジャーナリストが建物にカメラを持ち込み、亡くなった乳児を世界に見せられたからだ。これは「一時停止の意図せざる結果で」「ジャーナリストが広範にガザに出入りし、ガザの惨状を一層明らかにし、世論を反イスラエルに変える機会を与える」のを懸念しているとホワイトハウスは述べたという停戦直前のポリティコ報道を思い起こさせる。

 実際、戦闘の一時停止が始まって以来、ロイターやワシントン・ポストなどの主流メディアから街区から街区へと広がるイスラエル軍の爆弾により完全に破壊された広大な都市地形を暴露するドローン映像を受け取っている。10月7日以来のイスラエルのガザ攻撃によって引き起こされたあからさまな無差別破壊を見れば、イスラエル国防軍が標的にしているのはハマスではなく、ガザそのものなのは明らかだ。
 停戦が始まって以来、自分がどれだけ眠っているか驚いている。だから、あまり書けていない。画面に映し出される信じられないような恐怖を何週間も見つめるのは、そういうことに敏感な人にとって体に負担がかかると思うので、機会がある時にはできるだけ体を休ませている。
 そして、この全てが展開されるのを、私はここメルボルンの自宅で安全に見守っている。この二ヶ月、この恐怖の真っ只中にいて、その過程で失った家族、友人、隣人を悲しみながら、生き残るための最善の方法を見つけようとすることがどんなものか私には想像もつかない。これから起きる暴力、病気、剥奪を生き延びたにせよ、この人々全員一生付きまとう深いトラウマを抱えるのだ
 これは驚くほど醜く、停戦が終わればもっと醜悪になるかもしれない。この生きている悪夢に何か前向きなことがあるとすれば、それは地球を揺るがすほど醜く、世界を揺るがすかもしれないことだ。
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                 (中 略)
記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2023/11/30/israels-savagery-is-so-shocking-its-sometimes-hard-to-take-in/ 

04- イスラエルは経済崩壊の危機にある/ガザの戦いはハマスが勝っている

 外国記事を紹介する「耕助のブログ」に「イスラエルは経済崩壊の危機にある」という記事が載りました。
 休戦後に再開されたガザにおけるイスラエルの蛮行は、それ以前と同様に目を覆うばかりです。
 イスラエルの経済学者や金融関係者によれば、ガザ戦争の初期コストは510億ドル(=イスラエルのGDPの約10%と見積もられ、これを継続すれば誰の目から見てもイスラエル経済は最終的な崩壊につながるまで悪化するだろうということです
 そんな中、ネタニヤフ首相とベザレル・スモトリッチ財務相が発表した財政措置はさらなる経済状況の悪化につながるもので、著名な経済学者300人からなるグループは、ネタニヤフとスモトリッチ財務長官に「正気に戻る」よう呼びかけたということです。
 ネタニヤフは汚職を追及される立場にあったので、10月7日の出来事を好機と考えてガザへの猛攻撃を開始しました。その後も無期限に国を挙げて非道極まる残虐行為を続けるのであれば当然崩壊すべきでしょう。

 併せて同ブログの記事「ガザの戦いはハマスが勝っている」を紹介します。
 これは著名な評論家スコット・リッターによるものです。ガザの人民はいまこれ以上はない悲惨な状況の中で大量に虐殺されているので、それを納得させる説明などはあり得ません。
 しかしながら「戦略的」にはハマスが勝っているというものです。
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イスラエルは経済崩壊の危機にある
                  耕助のブログNo. 1993  2023年12月3日
   Israel is in danger of economic collapse   by Viktor Mikhin

10月7日にハマスが行ったアル・アクサ・フラッド作戦の余波でイスラエル企業は壊滅的な打撃を受け、入植者たちは、政府の資金注入や彼らへの援助がない中で前例のない不慣れな状況に直面している。ハマスの作戦が始まって1カ月以上が経過し、ガザでの戦争はイスラエルの企業活動に壊滅的な影響を及ぼし、何百もの企業が倒産の危機に瀕している経済学者や金融関係者は、テルアビブにとってガザ戦争の初期コストは510億ドル、イスラエルのGDPの約10%に相当すると見積もっている。
イスラエル労働省の報告によると、ガザ地区でパレスチナの抵抗勢力と戦うために予備役として徴兵された後、労働人口の18%にあたる約76万5000人のイスラエル人が失業している。フィナンシャル・タイムズによれば、戦争がイスラエル政権の経済パフォーマンスに壊滅的な影響を及ぼしている証拠がすでに数多くあるという。しかし、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とベザレル・スモトリッチ財務相が発表した財政措置は、経済界から非難を浴びている。経済の不安が増す中、イスラエルの軍事内閣は専門家たちが国の経済状況の悪化につながるだろうと考えている新しい規制を発表したのである。
これに関連して、イスラエルの著名な経済学者300人からなるグループは、ネタニヤフとスモトリッチ財務長官に「正気に戻る」よう呼びかけた。「イスラエルに与えられた深刻な打撃は国家の優先順位の根本的な転換と、戦争による被害を修復し、犠牲者を支援し、経済を再建するための資金の大規模な再配分を必要とする」と公開書簡は述べている。フィナンシャル・タイムズは、シンクタンク「スタートアップ・ネイション・ポリシー・インスティテュート」のユージン・カンデル会長(書簡に署名したエコノミストの一人)の言葉を引用し、イスラエル政府は「事態の深刻さをまだ理解していない」と述べた。
経済学者たちは、ネタニヤフが約束した倒産リスクの高い企業への金融支援策も、政権の経済見通しが悪化し続ければ十分なものにはならないだろうと深刻な懸念を表明した。そして誰の目から見てもイスラエル経済は最終的な崩壊につながるまで悪化するだろう。フィナンシャル・タイムズによると、支援策には公共支出の優先順位の完全な見直しが伴わなければならないという意見もある。

ネタニヤフの連立パートナーである超正統派政党や入植者政党は、学生の宗教的遵守を奨励するプログラムなど、戦争経済にはふさわしくないと批判するプロジェクトに巨額の資金を投入し続けている。その結果、何百もの企業は首相が約束した財政支援を受けられていない。フォーリン・ポリシー誌によれば、イスラエルの戦時経済はいつまでも持ちこたえることはできず、政権の大規模な軍事動員によって深刻な景気後退につながるため間もなく不況に陥る可能性があるという。
ガザ地区での戦争の長期化で打撃を受ける部門の筆頭は、石油・ガス、観光、医療、小売、現代技術の開発である。イスラエル経済は、2000億ドルの準備金と米国からの140億ドルの軍事援助を受けて戦争に突入したとみられる。しかし専門家によれば、現在も続くガザでの戦争はイスラエル経済に数十億ドル以上の損害を与え、回復には過去よりもはるかに長い時間がかかるという。実際、エコノミストやアナリストによれば、ガザでの戦争は短期的にも長期的にも政権経済に深刻なダメージを与えると予想されている

フィッチ・レーティングス、S&P、ムーディーズ・インベスターズ・サービスといった世界的な格付け会社は、戦争がさらにエスカレートすれば政権の国債格付けの引き下げにつながると警告している。S&Pはガザでの戦争が拡大し、経済への悪影響がより顕著になるリスクを挙げ、すでにイスラエルの信用見通しをネガティブに格下げしている。格付け会社は、「ネガティブな見通しは、戦争がより広範囲に広がったり、イスラエルの信用指標に予想以上にマイナスの影響を与えるリスクを反映している」と指摘した。
フォーリン・ポリシーは政治アナリストの言葉を引用し、過去2回の戦争、2006年夏のイスラエルによる対レバノン戦争と2014年の対ガザ地区戦争のコストはGDPの0.5%になり、主に観光セクターに影響を与えたと報じた。しかし今回は、今年の最終四半期に「年間ベースで15%」まで増えると推定されている。これは、多くの航空会社がイスラエルと占領されたパレスチナの地域の両方への飛行を停止している時期に起きている。フライトのキャンセルは、イスラエルの経済、特に政権がその収入に大きく依存している観光産業にさらなるダメージを与えるだろう。また、戦争や、包囲されたガザ地区からパレスチナの抵抗勢力が連日のようにロケット弾を発射する中、国外に出ようとする何十万人もの不安なイスラエル人にとっても問題である。
ロケット攻撃は終わりが見えない状況が続いている。ハマスの作戦が始まってから30日間で、数十万人のイスラエル人がガザ地区近くの入植地から避難したか、避難を余儀なくされた。すべての兆候から見て、彼らが戻ることはないだろう。イスラエルの観光省によると、ホテルの部屋は外国の観光客ではなく、亡命を求めているイスラエルの入植者によってほぼ完全に占められている。多くの人が既に海路でイスラエルを離れ、少なくともアメリカの船がハイファ港からイスラエル人を避難させた。ますます多くのイスラエル人が離れる計画を立てており、ガザ近くの入植地や他の地域を永久に離れる意向を強調するオンライン・キャンペーンも出始めている。

ネタニヤフが1月上旬に政権に復帰して以来、すでに不満を抱いていたイスラエル人の間では知識人の移住が常態化しており、その多くは新政権にただただ怒っていた。ロケット弾が連日のように飛び交い、ネタニヤフとその内閣に対する怒りが高まっている今、優秀なイスラエル人の移住はさらに増えている。
政権が最も厳しい時期を迎えている中、ある住民はイスラエルのメディアにこう語った
「土曜日の最初のサイレンの後、私たちはすぐキプロスに逃げた。私たちは親と4人の子供の6人家族だ。私の直感はこれはただごとではないと告げていた。この狂気の国に住んでいた10カ月間、私の神経はピリピリしていた。午前10時にチケットを買い、午後5時にはパフォスに着いていた。今、私たちはここにいて、落ち着いて新しい生活を始めようとしている」
ガザでの戦争が長引くなか、多くのイスラエル人がその家族とともに占領下のパレスチナ全域から、さらにはイスラエルそのものから、すでに海外に渡航しているか、あるいはその意思を表明している。彼らの最大の懸念は、ガザ地区に対する近代史上最大の戦争が国境を越えて拡大する危険性があるためもはや安全が確保されていないことだ。彼らは命の危険を感じ、イスラエルに来たことを後悔している

https://journal-neo.su/2023/11/22/israel-is-in-danger-of-economic-collapse/ 


ガザの戦いはハマスが勝っている
                  耕助のブログNo. 1992 2023年12月2日
  Hamas Winning Battle for Gaza   by Scott Ritter

最近発表された停戦は、パレスチナ人にとってもイスラエル人にとってもよいことだった。捕虜の交換が行われ、人道支援が必要な人々に行き渡り、紛争双方の感情が冷静になるチャンスである。

カタールの仲介によりイスラエルとハマスが交渉した停戦は、両者の間で相互に合意されたものではあるが、これがハマスの勝利だと騙されてはならない。ハマスという組織を壊滅させることを公然の目的とするイスラエルは、いかなる条件でも停戦には応じないという非常に攻撃的な立場をとっていた{1}。
一方ハマス側は、イスラエルとの現在の戦闘を開始するにあたり、イスラエルが拘束しているパレスチナ人囚人、とりわけ女性や子どもの解放を主要目的のひとつに掲げていた。この観点から見ると、停戦はハマスにとって重要な勝利であり、イスラエルにとっては屈辱的な敗北である。
イスラエルが停戦を避けた理由のひとつは、ガザ北部への攻撃作戦{2}が軍事的脅威としてのハマスを無力化すると確信していたからであり、人道的正当性の有無にかかわらず、停戦は敗北した敵のハマスが休息し、再準備し、再編成するための時間を与えることになると考えたからである。イスラエルが停戦に応じたことは、ハマスに対するイスラエルの攻勢が万事順調でないことを示す最も確かな兆候なのだ。
この結果は誰にとっても驚きではなかったはずだ。ハマスが10月7日に開始したイスラエルへの攻撃は何年も前から計画されていたものだった。ハマスの作戦に表れている細部への注意は、ハマスがイスラエルの情報機関や軍事力を綿密に調査し、それに対する弱点を見つけてそれを利用してきたという現実を浮き彫りにしている。ハマスの行動は確かな戦術的および作戦的計画と実行だけでなく、戦略的概念化においての傑作でもあった。

イスラエルが10月7日に敗北した主な理由のひとつは、ガザでのハマスの活動を監視する役割を担う情報アナリストが何を言おうと、イスラエル政府が、ハマスが攻撃することはないと確信していたことだ。この想像力の欠如は、ハマスがイスラエルの政治的目標と目的(イスラエルがガザに住むパレスチナ人に発行する労働許可証の拡大プログラムを通じてハマスを「買収」する方針をとり、これを通じてハマスを抵抗組織として無効化しようとした)を特定したことによって生じた。ハマス{3}は労働許可証プログラムに協力することで、イスラエルの指導者たちを油断させ、ハマスの攻撃準備が平然と実行されるのを許したのである。
ハマスによる10月7日の攻撃は単独の作戦ではなく、むしろ3つの主要な目的を持つ戦略的計画の一部だった – パレスチナ国家の問題を国際的な言説の前面に戻すこと、イスラエルに拘束されている数千人のパレスチナ人囚人を解放すること、イスラム教で3番目に神聖な場所であるアル・アクサ・モスクへの冒涜をやめるようイスラエルに迫ることだ。10月7日の攻撃だけではこれらの成果を達成することはできなかった。むしろ、10月7日の攻撃は、ハマスの目的が結実するために必要な条件を作り出すイスラエルの反応を引き起こすように設計されていた。
10月7日の攻撃は、イスラエルを非合理的なまでに屈辱的な状況に陥れ、ハマスの目的を無効にするための合理的な反応とは対照的に、イスラエルが復讐の感情に支配されるようにするためのものだった。ここでハマスが指針としたのはイスラエルが確立した集団懲罰のドクトリン(ダヒヤ・ドクトリンとして知られ、イスラエルがヒズボラを戦闘で打ち負かせなかったことに対するレバノン国民への懲罰として、2006年にイスラエルによって大規模な空爆が行われたベイルート西郊のダヒヤにちなんで名付けられた)であった。イスラエルに屈辱的な敗北を与えることで、(イスラエル国防軍に関する)イスラエルの無敵神話と(イスラエル諜報機関に関する)無謬性の両方を打ち砕き、数百人のイスラエル人を人質に取ってガザの地下の隠れ家に撤退するという{4} ハマスがイスラエルに仕掛けた罠に、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は予想通り突進したのである。

ハマスが用意したガザ地区地下のトンネル網{5}は、総延長500キロを超える。「ガザ・メトロ」の愛称で呼ばれるこれらのトンネルは、指揮統制、後方支援、医療、宿営に使われる地下深くの地下壕が相互に連結されたもので、防御と攻撃の両方に特化した他のトンネル網もある。トンネルはイスラエルが保有するほとんどの爆弾による破壊を避けるのに十分な深さに埋められており、最長3カ月(90日間)の包囲に耐えられるように準備されている
ハマスは、イスラエルと古典的な武力対武力で交戦することはできないことを知っている。その代わりに、イスラエル軍をガザに誘い込み、地下の隠れ家から出てきたハマス戦闘員の小集団が脆弱なイスラエル軍を攻撃し、また地下に消えていくというヒット・アンド・ラン攻撃を延々と繰り返すのが目的だった。要するに、イスラエル軍を千切りの死と同じ目に遭わせるのである。

そしてそれは成功した。イスラエル軍は装甲部隊の機動力と火力を生かして、ガザ地区北部の都市化が進んでいない地域{6}に侵入することができたが、ハマス軍がイスラエル軍を継続的に苦しめ、致命的なタンデム弾頭ロケット弾を使ってイスラエル軍の車両を無力化したり破壊したりし、イスラエル軍兵士を多数殺害し、さらに数百人を負傷させているためその進展は幻想にすぎない。イスラエルはこのようにして失われた装甲車の数を公表することを渋っているが、ハマス側はその数は数百にのぼると主張している。ハマスの主張はイスラエルが旧式のメルカバ3戦車の売却を中止し、代わりにこれらの車両の在庫を新たな予備装甲大隊に編成して、ガザでもレバノンとの北部国境沿いでも、ヒズボラ軍がガザのハマス支援を目的とした作戦でイスラエルと死闘を繰り広げている大損害を補填しているという事実によって補強されている。

しかし、イスラエルの今日までの敗北の主な原因はイスラエル自身にある。ハマスの罠にかかったイスラエルは、ガザのパレスチナ住民に対してダヒヤ・ドクトリンを実行に移し、戦争法をあからさまに無視した民間人への無差別攻撃を行った。これらの攻撃によって5,000人以上の子どもを含む、推定13,000人のパレスチナ市民が殺害された。さらに何千人もの犠牲者が、破壊された住居の瓦礫の下に埋もれたままだ。
イスラエルは10月7日のハマスによる攻撃後、国際社会の支持を集めることができたかもしれないが、その過剰反応によってかえって世界の世論を敵に回してしまった。今日、イスラエルはますます孤立し、いわゆる「グローバル・サウス」だけでなく、アメリカ、イギリス、ヨーロッパの親イスラエル感情の伝統的な拠点でも支持を失っている。この孤立は、イスラエルが受け慣れない政治的圧力と相まって、ネタニヤフ政権が停戦とそれに続く捕虜交換に応じる一因となった。
停戦が維持されるかどうかはまだわからない。停戦を永続的な敵対行為の停止につなげるかどうかも未解決の問題だ。しかしひとつだけ確かなことは、勝利の定義はハマスの完全敗北だ{7}と宣言したことで、イスラエルは、ハマスが単に生き残ることで達成される、ハマスの勝利の舞台を設けてしまった

しかし、ハマスがやっているのは生き残ることだけではない。戦場でイスラエル国防軍{8}と膠着状態まで戦い、ハマスがこの紛争における戦略的目的のすべてが結実した。世界はこの地域の永続的な平和の前提条件として、二国家解決策の絶対的な必要性を積極的に表明している。イスラエルの捕虜となっているパレスチナ人は、ハマスが人質に取ったイスラエル人と交換されている。そしてイスラム世界は一致して、イスラエルによるアル・アクサ・モスクの冒涜を非難している。
これらの問題はどれも10月6日の時点では議論の対象ではなかった。今、これらの問題が取り上げられているのは、ハマスが10月7日に成功を収めたことの証であり、そしてその後の数日間、数週間、イスラエル軍はハマスの粘り強さと、イスラエル自身の民間人に対する無差別暴力の組み合わせによって敗北したのである。ハマスが軍事的・政治的勢力として消滅するどころか、パレスチナ人の利益を擁護することに関しては、おそらく最も適切な声と権威として、ハマスは浮上してきたのである。

Links:
{1}https://sputnikglobe.com/20231122/israel-lobby-should-tread-carefully-risks-losing-influence-in-washington-1115137299.html 
{2}https://sputnikglobe.com/20231121/us-to-press-israel-on-holding-settlers-accountable-for-violent-acts-1115115332.html 
{3}https://sputnikglobe.com/20231122/israel-hamas-deal-could-potentially-go-into-effect-as-early-as-thursday—netanyahu-adviser-1115121168.html 
{4} https://sputnikglobe.com/20231121/biden-reaffirms-israels-right-to-bomb-gaza-1115086841.html 
{5} https://sputnikglobe.com/20231122/israel-hamas-are-reaching-deal-on-hostages-1115117845.htm 
{6}https://sputnikglobe.com/20231121/israels-objective-in-gaza-war-kill-the-buildings-1115085538.html 
{7}https://sputnikglobe.com/20231119/idf-says-cargo-vessel-galaxy-leader-seized-by-houthis-in-red-sea-not-israeli-1115059861.html 
{8}https://sputnikglobe.com/20231120/israeli-or-not-what-we-know-about-car-carrier-hijacked-by-houthis-in-red-sea-1115076890.html 

https://www.unz.com/article/hamas-winning-battle-for-gaza/